JP2005081370A - 半田鏝 - Google Patents

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勝美 吉野
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Abstract

【課題】未作業時の待機制御、作業時の昇温制御、半田溶融点での直列共振制御等を利用して、安全、省エネルギー型で、しかも、単一の制御で高温の溶融点を有する半田にも対応できる半田鏝を提供する。
【解決手段】本発明による半田鏝は、半田鏝先1と、この半田鏝先に熱的に接続される温度によって特性が変化し、通電により機能する発熱体2と、この発熱体の温度−電気特性を検出して、上記発熱体に通電する電流・電圧量を制御する電子回路部7とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、半田鏝に関し、詳しくは、その使用の際の事故を未然によく防止することができると共に、エネルギー効率の高い省エネルギー型の半田鏝に関する。
従来、錫等の合金を半田付けするための電気半田鏝が広く知られている(例えば、特許文献1参照)。この半田鏝は、カートリッジと熱電対を含む温度制御回路及び加熱電流を流すことができる加熱回路を有する制御装置とを備え、カートリッジは導体、加熱要素及び作業端部を有している。熱電対を半田に接触する端部の極めて近くに位置させることにより、極めて正確に作業端部における温度を示すことができる。
特開2001−121260号公報
しかし、上記電気半田鏝を含めて、従来より知られている半田鏝は、常時、半田の溶融点において温度制御を行っているので、未作業時に火傷や火災等の危険があり、また、未作業時でも無駄なエネルギーを消費している。他方、従来の半田鏝によれば、鉛レス半田(鉛を含まない半田)等を用いる場合には、その半田の溶融温度に応じて、別途、温度を制御する必要がある。
また、従来の半田鏝においては、熱電対等の温度センサを用いて温度の制御を行っているので、発熱体との時間的遅れやずれが発生し、制御温度の限界やハンチングによるエネルギーロスがあるほか、発熱体と温度センサを熱結合させる必要があるところから、構造的に複雑になる傾向があった。
本発明者らは、半田鏝における上述した問題を解決するために鋭意研究した結果、温度によってその特性が変化する発熱体の抵抗変化を検知して温度制御を行うことによって、未作業時の待機制御、作業時の昇温制御、半田の溶融点での直列共振制御等を利用して、安全で省エネルギー型で単一の制御で高温の溶融点を有する半田にも対応できる半田鏝を開発することに成功して、本発明を完成したものである。
本発明によれば、半田鏝先と、この半田鏝先に熱的に接続される温度によって特性が変化し、通電により機能する発熱体と、この発熱体の温度−電気特性を検出して、上記発熱体に通電する電流・電圧量を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする半田鏝が提供される。
本発明によれば、半田鏝待機時の火傷、火災等の事故をよく未然に防止することができると共に、待機温度を制御することによって省エネルギーにも役立つ。また、タッチスイッチで共振点前温度まで昇温、制御を瞬時に行い、ハンダとの接触で起こる直列共振現象による共振電流で鉛レスハンダまで溶融できる機能を有するため、従来の半田鏝では鉛入り、鉛レスと2つの制御系が必要であったが、本発明によれば、1台の半田鏝で対応できる。
即ち、本発明による半田鏝においては、発熱体の特性、例えば、抵抗変化を検知することによって、その温度を制御する。従って、発熱体の温度を時間的遅れやずれ等の発生なしに制御できるので、制御の精度が向上する。また、用いる半田の溶融点に応じて、別途、センサを必要としないため、構造的にも簡単であり、信頼性が向上すると共に、経済的にも有利である。
本発明では、発熱体が半田の溶融温度付近で直列共振現象が起こるように構成されており、単一の制御によって溶融温度の違う鉛を含んだ半田や鉛レス半田等にも対応できる制御が可能となる。
発熱体の材料としては、例えば、Mn、Co、Ni、Fe等の遷移金属の酸化物焼結体、微量の希土類元素(Y、La等)を含有するチタン酸バリウム(BaTiO3)の焼結体、強誘電体、炭素等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、強誘電体材料としては、例えば、PbTiO3、KNbO3、LiNbO3、PZT、PLZT、BST等を挙げることができる。誘電体を用いることにより、コンデンサとしての容量を増すことができる。
発熱体の温度−電気特性は、負の温度係数を有するもの、即ち、NTC(Negative Temperature Coefficient)特性を有するものでもよく、また、正の温度係数を有するもの、即ち、PTC(Positive Temperature Coefficient)特性を有するもの、いずれでもよい。
制御手段は、フィードフォアード制御・フィードバック制御系ならば何でもよく、例えば、共振点を利用した制御、根軌跡、ニコルス線図、PID制御のいずれも用いることができる。
また、半田鏝先としては、例えば、熱伝導性セラミック、黄銅、真鍮、ニッケル合金、銅、アルミニウム、ステンレスを使用することができ、特に、熱伝導性セラミックが好ましい。熱伝導性セラミックとしては、例えば、窒化アルミニウムを用いることができる。
本発明における好ましい半田鏝の構成は、半田鏝先と、この半田鏝先に熱的に接続される強誘電性発熱体と、この強誘電性発熱体を共振させる電子回路部と、少なくともこの電子回路部を収容する筐体と、この筐体の外周に設置された静電容量タッチパネルとからなる。
強誘電性体発熱体の制御温度を待機温度から使用温度に変更する場合は、先ず、静電容量タッチパネルに触れることによって電子回路部にスイッチを入れてオンとし、共振点温度手前まで温度を上昇させる。この状態で、用いる半田に鏝を接触させると、強誘電性体発熱体のインダクタンスLとキャパシタンスCが直列共振現象を起こし、更に、半田溶融温度まで上昇する。上記スイッチとしては、例えば、静電容量タッチパネルを用いることが好ましいが、これに限定されるものではない。
以下に強誘電体セラミックヒータを使用した本発明の実施例による半田鏝を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施例を示し、強誘電体セラミック2に半田鏝先1を被せて、この鏝先に半田を直接接触させて半田作業を行うものである。この半田鏝先1には、熱伝導性がよく、半田との濡れ性がよい窒化アルミニウムが強誘電体セラミックとして用いられている。3は放熱フィン構造になっており、内部熱を放散している。静電容量形タッチパネル4は静電容量形タッチセンサ用導電体薄膜を筐体5に巻き付けて形成されている。筐体5は耐熱プラスチック等の絶縁材で構成されている。7の電子回路部には図2の電子回路部が実装されている。
電子回路部7は接続ケーブル6にて電源回路9と接続し、電源の供給を受けている。電源回路部9はAC電線8より商用電源に接続されている。商用電源から供給された電源は、電源回路部9で安定化DC電源(V0)13に変換され、電子回路部7に供給されている。
図2の回路図と図3の制御パターン図を説明する。図2において、図1と同じ部材には同じ参照番号が付してある。図2において、10は共振用内部キャパシタンス、11は共振用内部インダクタンス、12は内部抵抗、13は安定化電源(DC5V)、14は待機温度制御用コンパレータ、15は共振点前温度制御用コンパレータ、16は共振点温度設定用可変抵抗器、17は待機温度設定用可変抵抗器、18はSCR(サイリスタ)、19はAND回路、20はOR回路、Bは静電容量検知回路、Dはトランジスタである。
電源オン後、VR1にて予め制御温度が60℃となるように抵抗値を調整しておいて通電すると、コンパレータ14より制御信号が出力されて、OR回路20を通して、サイリスタ(SCR)18がオンの状態となるので、発熱体に電力が供給し、60℃まで温度が上昇した。到達後は、発熱体への通電を遮断するようにコンパレータ14が働くことで、温度が一定に保たれた。筐体5に巻き付けている静電容量タッチパネル4を作業者が持つと、静電容量検知回路(B)が動作し、VR2で設定されているコンパレータ15とAND回路19、OR回路20で強誘電体セラミックヒータ2を共振点前温度270℃までSCRで昇温し、その状態を維持制御した(図3の270℃温調時点)。
作業者が半田を半田鏝に接触させると、強誘電体セラミックヒータ(R2)が直列共振現象を起こし、強誘電体セラミック内部インダクタンスL11と内部キャパシタンス10の内部変化が発生し、強誘電体セラミックヒータ2に共振電流が流れ、310℃付近まで瞬時に昇温した(図3の約310℃昇温時点)。特に、連続ハンダ作業では、270℃と310℃を作業毎に繰返した。
作業終了後、半田鏝を半田鏝置き台に戻すと、放熱フィンにより待機温度60℃に復帰し、待機温度で制御を維持する。
待機温度、共振点前温度設定は以下の条件による。強誘電体セラミックヒータ(R2)の温度係数は0.05Ω/℃を使用した。R5、R6で分圧した電位0.7V以下のとき、トランジスタ(D)がオフになり、そのときのセンシング温度を検知して制御を行う。センシング温度の計算式は以下と同様である。
待機温度設定は(60×0.05/100+60×0.05)×V0(13)=0.1456
0.1456(R4/R3+1)=0.29V
共振点前温度設定は(270×0.05/100+270×0.05)V0=0.59
0.59(R4/R3+1)=1.19Vとした。
各条件はV0=5V、R4=10KΩ、R3=10KΩとした。
尚、本発明は上記の実施例に限定されるものではない。
本発明の一実施例の半田鏝の構造を示す。 本発明の一実施例の半田鏝の回路例を示す。 本発明の一実施例の半田鏝の制御パターン図である。
符号の説明
1…半田鏝先
2…強誘電体セラミックヒータ
3…放熱フィン
4…静電容量タッチパネル
5…筐体
6…接続ケーブル
7…電子回路部
8…AC電源
9…電源回路部
10…共振用内部キャパシタンス
11…共振用内部インダクタンス
12…内部抵抗
13…安定化電源(DC5V)
14…待機温度制御用コンパレータ
15…共振点前温度制御用コンパレータ
16…共振点温度設定用可変抵抗器
17…待機温度設定用可変抵抗器
18…SCR(サイリスタ)
19…AND回路
20…OR回路
B…静電容量検知回路
D…トランジスタ

Claims (5)

  1. 半田鏝先と、この半田鏝先に熱的に接続される温度によって特性が変化し、通電により機能する発熱体と、この発熱体の温度−電気特性を検出して、上記発熱体に通電する電流・電圧量を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする半田鏝。
  2. 発熱体が遷移金属の酸化物焼結体、チタン酸バリウムの焼結体又は強誘電体である請求項1記載の半田鏝。
  3. 発熱体の温度−電気特性が負又は正の温度係数を有するものである請求項1乃至2記載の半田鏝。
  4. 半田鏝先と、この半田鏝先に接続される強誘電性発熱体と、この強誘電性発熱体を共振させる電子回路部と、少なくともこの電子回路部を収容する筐体と、この筐体の外周に設置された静電容量タッチパネルとからなることを特徴とする半田鏝。
  5. 半田鏝先が熱伝導性セラミック、黄銅、真鍮、ニッケル合金、銅、アルミニウム又はステンレスからなる請求項1乃至4記載の半田鏝。

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008546537A (ja) * 2005-06-24 2008-12-25 エル ラブ コーポレーション 電気ハンダゴテの急速な温度回復方法及び急速に温度回復できる電気ハンダゴテ
JP2011245555A (ja) * 2010-05-26 2011-12-08 Cooper Tools Gmbh 半田付け装置

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