JP2005078898A - 高圧放電灯 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、高効率で高演色な白色放射光を有するとともに、安定した寿命特性を有し点灯方向による特性変化が少なく、かつ立ち消えの生じにくいセラミック製発光管を用いた高圧放電灯を得ることを目的とするものである。
【解決手段】
セラミック製発光管の内部に封入物として少なくとも希土類金属ハロゲン化物と、ハロゲン化ナトリウムが封入されており、前記希土類金属ハロゲン化物中に含まれるハロゲン化ネオジウムの前記希土類金属ハロゲン化物の総量に対する重量比が1%〜25%であり、かつ、前記ハロゲン化ナトリウムの前記希土類金属ハロゲン化物に対する重量比が10%〜50%であり、相関色温度が5000K〜7000Kの放射光を発することを特徴とする高圧放電灯とした。
【選択図】
図1
本発明は、高効率で高演色な白色放射光を有するとともに、安定した寿命特性を有し点灯方向による特性変化が少なく、かつ立ち消えの生じにくいセラミック製発光管を用いた高圧放電灯を得ることを目的とするものである。
【解決手段】
セラミック製発光管の内部に封入物として少なくとも希土類金属ハロゲン化物と、ハロゲン化ナトリウムが封入されており、前記希土類金属ハロゲン化物中に含まれるハロゲン化ネオジウムの前記希土類金属ハロゲン化物の総量に対する重量比が1%〜25%であり、かつ、前記ハロゲン化ナトリウムの前記希土類金属ハロゲン化物に対する重量比が10%〜50%であり、相関色温度が5000K〜7000Kの放射光を発することを特徴とする高圧放電灯とした。
【選択図】
図1
Description
本発明は、高圧放電灯に関し、特に、最適な植物育成用ランプの改良に関する発明である。
近年、農業技術の発展に伴い人工光源として高圧放電灯を植物育成用に利用する事例が増えている。各種学会等においても数多くの事例が発表されており、今後さらに期待される分野である。この種の光源としては、高圧ナトリウムランプあるいはメタルハライドランプ等の高効率形の高圧放電灯が主流である。
文献等によれば、植物育成用にはランプ発光スペクトルが波長450nm付近の青色領域と650nm付近の赤色領域の特有の波長の光が必要とされ、それ以外の波長の光はあまり必要とされていない。特に、530nm付近の波長の光は視感度が高く人にとっては利用価値が高くとも、植物育成用にはほとんど有効性がないといわれている。従来の高効率形高圧放電灯では視感度の高い領域の発光を利用しているので、植物育成に寄与しない光のエネルギーの大部分を実質的に無駄にしていることになる。
従来の石英からなる発光管に金属ハロゲン化物を封入したメタルハライドランプとしては、相関色温度が3500Kから5500Kの白色放射を行い、しかもRa95以上という高い演色性を有したコンパクトなメタルハライドランプが実用化されている。このようなランプの封入物としては、ディスプロシウム等の希土類系金属沃化物にタリウムおよびセシウムの沃化物を加えたものが一般的である。しかし、ディスプロシウム−タリウム(Dy−Tl)系ランプでは青色領域の出力の変化が大きく、又、ディスプロシウム−セシウム(Dy−Cs)系ランプ(例えば特許文献1参照。)では植物育成用としての必要な光合成曲線を持つランプでは有るが発光効率が低い等の問題点があった。
特開平6−168700号
石英製発光管に金属ハロゲン化物を封入したこの種のメタルハライドランプは、先述のとおり高い演色性を持つ白色光を有するが、希土類系金属の発する連続スペクトルが主体となるためにランプ効率が75lm/W程度と比較的低い。また、希土類系金属は発光管の材料である石英と反応しやすく、この反応によってシリコンが発生する。このシリコンが原因で電極が損傷し、電極材料として使用しているタングステンが飛散し、このタングステンが発光管の管壁に付着して発光管が黒化し、寿命中に大きな光束低下が生じる。さらに、発光管黒化により発光管温度が上昇し、その結果、希土類系金属沃化物の蒸気圧が上昇するため長波長側連続スペクトルが増大し、寿命中に500K以上も相関色温度が低下してしまうという問題点があった。
上記の問題点を解決するために、従来の石英からなる発光管の代わりに封入金属との反応性が低いセラミックからなる発光管を用い、石英からなる発光管と同様の封入物を封入すれば、寿命中の色温度シフトも制御され、発光効率も上がり、しかも高演色な白色光を持つメタルハライドランプの実現が期待できる。
しかしながら、セラミックからなる発光管にディスプロシウム−タリウム−セシウム(65:15:20wt%)の沃化物を封入すると、希土類金属沃化物の蒸気圧が石英からなる発光管に較べ上昇するため、視感効率の低い長波長側スペクトルを中心とする連続スペクトルの増大をまねく結果となる。そのため、ランプの発光効率の上昇はほとんどみられない。
さらに、沃化物蒸気圧の増大のために、正弧波点灯時のランプ電圧の再点弧部分が上昇し、ランプの消弧電圧も上昇するという不具合が生じる。
また、発光管の温度が高く希土類系金属沃化物の蒸気圧が石英からなる発光管に比べ上昇しているため、発光管の最冷点温度の変化による希土類系金属沃化物の蒸気圧の変化が、ランプ特性に大きな影響を与える。そのため、ランプの点灯方向によって、大きな色温度の変化やランプ電圧の変化が生じる結果となる。特に、垂直点灯から水平点灯へと点灯方向を変更した場合、ランプ電圧が大きく上昇し、場合によってはランプの立ち消えを生じる。
本発明は、高効率で高演色な白色放射光を有するとともに、安定した寿命特性を有し点灯方向による特性変化が少なく、かつ立ち消えの生じにくいセラミック製発光管を用いた高圧放電灯を得ることを目的とするものである。
本発明の高圧放電ランプは、内部に一対の電極が設置された本管部と、この本管部の両端に設けられ、かつ内部に、前記電極を先端部に有する導入線がシール材によって封着された細管部とを有する透光性セラミックからなる発光管を備えている。前記細管部の内壁と前期導入線との間には隙間が形成されており、前記発光管の内部には封入物として少なくとも希土類金属ハロゲン化物と、ハロゲン化ナトリウムとが封入されており、前記希土類金属ハロゲン化物中に含まれるハロゲン化ネオジウムの前記希土類金属ハロゲン化物の総量に対する重量比は1%〜25%であり、かつ、前記ハロゲン化ナトリウムの前記希土類金属ハロゲン化物に対する重量比は10%〜50%である。この際、前記ハロゲン化ネオジウムは400〜500nm付近で発光し極端な効率低下をさせることなく色温度を上昇させる役目を果たす。ハロゲン化ネオジウムの上記重量比が1%に満たないと色温度が所定の範囲に入れることができず、また、25%より多いと効率が低下してしまうという問題があった。また、同様にハロゲン化ナトリウムでは、10%に満たないと効率が上がらず、また、50%より多いと演色性、色温度が低くなってしまうという問題があった。なお、効率90lm/W以上、かつ、演色性Ra90以上を達成するためには前記希土類金属ハロゲン化物の総量に対する前記ハロゲン化ネオジウムの重量比は3%〜12%、かつ、前記ハロゲン化ナトリウムの重量比は43%〜48%であることが望ましい。
上記した適量のハロゲン化ナトリウムを加えることにより、セラミックからなる発光管の高い動作温度において、演色性を高めるのに最低限必要な適正な強度の希土類金属の連続スペクトルと、色温度を調整し効率を上昇させるナトリウムのスペクトルを得ることができる。また、上記した適量のハロゲン化ネオジウムを加えることにより、色温度5000Kから7000Kの澄んだ白色放射光を有し、高い演色性とランプ効率を維持することができる高圧放電灯を実現することができた。
さらに注目すべきは、低い励起・電離電圧を持つナトリウムの働きにより、ハロゲン化物の蒸気圧が非常に高い状態でも、ランプ電圧の再点弧部分の上昇を抑制し、ランプの消弧電圧の上昇も防止する作用を有する。同様に、点灯方向を変え最冷点温度がさらに上昇した場合にも、希土類金属沃化物の蒸気圧が上昇すると同時に、電離・励起電圧の低い沃化ナトリウムの蒸気圧も上昇するため、ランプ電圧の上昇を抑制し、ランプの立ち消えを防止するという作用を有する。
本発明の請求項2の記載に高圧放電灯は、請求項1記載の高圧放電灯において、金属ハロゲン化物にハロゲン化セシウムを含んだ構成を有するものである。
電離電圧の低いセシウムを添加することにより、寿命特性を改善する作用を有する。本来、セシウムはナトリウムよりも電離電圧が低く、セシウムを添加することにより、ナトリウムを添加したものと同様の効果を得ることができるものであるが、従来のようにセシウムを多量に(20%)添加するとランプ効率の低下を招く問題がある。さらに、実際にセシウムを希土類金属とともに用いると、発光管内でセシウムと希土類金属の複合ハロゲン化物を生成し、希土類金属を含むハロゲン化物の蒸気圧が増大するため、発光管の動作温度が高い場合にランプ電圧の再点弧部を低下させる作用には結びつかない。従って、この場合のセシウムは比較的少量添加させ、アーク温度の低下による寿命特性の改善を行うためのものである。
本発明の請求項3に記載の高圧放電灯は、請求項1または請求項2記載の高圧放電灯において、希土類金属ハロゲン化物として、ハロゲン化ディスプロシウム、ハロゲン化ツリウムおよび、ハロゲン化ホルミウムのうち少なくとも一種を含んだ構成を有するものである。
可視領域に連続したスペクトルを持つこれらの金属を添加することは、高い効率を保ちつつ、演色性が向上するという作用を有する。
本発明によれば、高効率、高演色な昼白色で相関色温度が5000Kから7000Kという光学的特性を持つ放射光を寿命中に安定して維持し、点灯方向による特性変動が少なく、立ち消えの生じにくい、高圧放電灯を得られるという効果がある。
以下、本発明の実施形態について、図1から図2を用いて説明する.図1に示す本発明の一実施の形態である400W高圧放電灯は、ステム3によって封止された外管2内にセラミックからなる発光管1が内蔵されており、発光管1はステム3から延在している金属線5a、5bに固定支持させた構成を有している。発光管1には、所定量の水銀、始動用希ガスとしてアルゴンが封入され、ハロゲン化金属として、連続スペクトルを発する希土類金属のディスプロシウム、ツリウムおよびホルミウム、光色を調整するためにタリウム、効率を高め立ち消え電圧を低下させ点灯方向変動特性を改善するためにナトリウム、白色光の調整および効率高めるためにネオジウムの沃化物を封入させている。また、外管2内は真空に排気している。なお、4は口金を示す。
図2に示すセラミックからなる発光管1は、2つの半球を円筒で連結した外径19.9mmの本管部6の両端に外径4mm、内径1.6mmの細管部7a、7bがそれぞれ設けられている。細管部7a、7b内にはタングステン及びモリブデンからなる電極を先端部に有する外径1.5mmのニオビウムからなる導入線8a、8bがそれぞれ挿入されている。導入線8a、8bは細管部7a、7b内に、電極9a、9bが本管部2内に位置するよう挿入されシール材10a、10bによって細管部7a、7b内に封着され封着部11a、11bを形成している。この際、両電極先端間の距離は31mmとなっている。なお、12は水銀、13は沃化物ペレットを示す。
表1にセラミック製発光管内の封入物としてディスプロシウム−ツリウム−ホルミウム−ナトリウム−タリウム−ネオジウム(18.5:18.5:18.5:27.8:9.3:7.0wt%)の沃化物を封入した本実施形態の高圧放電ランプ(以下、本発明品という)と、石英製発光管を用い封入物としてディスプロシウム−タリウム−セシウムの沃化物を添加した比較ランプ(以下、比較品という)との垂直点灯時の初期性能特性を示す。
表1に示したように、ディスプロシウム−ツリウム−ホルミウム−ナトリウム−タリウム−ネオジウム(18.5:18.5:18.5:27.8:9.3:7.0wt%)の沃化物が封入された本発明品は、ランプ効率が95lm/Wと高く色温度5600Kの白色光を持ち、演色性も平均演色評価数94と高く、非常に良好なランプ特性を示した。
一方、石英製の発光管でナトリウムを添加していない比較品の場合、本発明品と比べランプ効率73lm/W、平均演色指数Ra85と低い。
但し、石英製の発光管、セラミック製の発光管共に色温度の比較では、植物育成に最適な5000K以上の昼白色光の特性を示した。
図3には、石英製発光管にディスプロシウム−タリウム−セシウムの沃化物を封入した比較品の初期性能分光分布を示し、図4には、セラミック製発光管にディスプロシウム−ツリウム−ホルミウム−ナトリウム−タリウム−ネオジウムの沃化物を封入した本発明品の初期性能分光分布を示している。本発明品は、比較品に比べ太陽光により近い連続スペクトルを持つため植物の育成に最適である。
また、本実施の形態ではディスプロシウム−ツリウム−ホルミウム−ナトリウム−タリウム−ネオジウムの沃化物を封入したがディスプロシウム−ツリウム−ホルミウム−ナトリウム−タリウム−ネオジウム−セシウムの沃化物のように、電離電圧の低いセシウムによって生じるアーク温度の低下による寿命特性の向上のためにセシウムを少量添加してもよい。
なお、本実施形態では、封止部の導入線としてニオビウム線を用いたが、ニオビウムの代わりに熱膨張率が発光管材料に近いその他の導入線材料を用いてもよい。また、導電性や非導電性のセラミックキャップを封止部に用いてもよい。また、発光管の形状についても、細管部を設けたものでなくてもよい。
封入物についても、沃化物以外に臭化物、塩化物等のハロゲン化物を用いてもよく、それらを混合して用いてもよい。希土類金属についても、より効果を高められるツリウムやホルミウム等のディスプロシウム以外の希土類金属沃化物やこれらの混合物を用いてもよい。
1 セラミック製発光管
2 硬質ガラス製外管
3 ステム
4 口金
5a,5b 金属線
6 本管部
7a,7b 細管部
8a,8b Nb導入線
9a,9b 電極
10a,10b シール材
11a,11b 封着部
12 水銀
13 沃化物ペレット
2 硬質ガラス製外管
3 ステム
4 口金
5a,5b 金属線
6 本管部
7a,7b 細管部
8a,8b Nb導入線
9a,9b 電極
10a,10b シール材
11a,11b 封着部
12 水銀
13 沃化物ペレット
Claims (3)
- 内部に一対の電極が配置された本管部と、この本管部の両端に設けられ、かつ内部に、前記電極を先端部に有する導入線がシール材によって封着された細管部とを有する透光性セラミックからなる発光管を備え、前記細管部の内壁と前記導入線との間には隙間が形成されており、前記発光管の内部に封入物として少なくとも希土類金属ハロゲン化物と、ハロゲン化ナトリウムが封入されており、前記希土類金属ハロゲン化物中に含まれるハロゲン化ネオジウムの前記希土類金属ハロゲン化物の総量に対する重量比が1%〜25%であり、かつ、前記ハロゲン化ナトリウムの前記希土類金属ハロゲン化物に対する重量比が10%〜50%であり、相関色温度が5000K〜7000Kの放射光を発することを特徴とする高圧放電灯。
- 請求項1記載の高圧放電灯であって、前記金属ハロゲン化物にハロゲン化セシウムを含むことを特徴とする高圧放電灯。
- 前記希土類金属ハロゲン化物にハロゲン化ディスプロシウム、ハロゲン化ツリウム、ハロゲン化ホルミウムのうち少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高圧放電灯。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003306544A JP2005078898A (ja) | 2003-08-29 | 2003-08-29 | 高圧放電灯 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003306544A JP2005078898A (ja) | 2003-08-29 | 2003-08-29 | 高圧放電灯 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005078898A true JP2005078898A (ja) | 2005-03-24 |
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ID=34409594
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003306544A Pending JP2005078898A (ja) | 2003-08-29 | 2003-08-29 | 高圧放電灯 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005078898A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103094022A (zh) * | 2011-10-31 | 2013-05-08 | 岩崎电气株式会社 | 陶瓷金属卤化物灯 |
-
2003
- 2003-08-29 JP JP2003306544A patent/JP2005078898A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103094022A (zh) * | 2011-10-31 | 2013-05-08 | 岩崎电气株式会社 | 陶瓷金属卤化物灯 |
JP2013097983A (ja) * | 2011-10-31 | 2013-05-20 | Iwasaki Electric Co Ltd | セラミックメタルハライドランプ |
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