JP2005077444A - マイクロレンズアレイ用母型の製造方法 - Google Patents

マイクロレンズアレイ用母型の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大面積にして高精度な曲率を持った単位胞より成るフライアイレンズの母型の製造方法を提供する。
【解決手段】第一基板S1(第一波長λ1の光透過率Tλ1により変化する第一変化層EBALを形成)、第二基板S2(第一波長λ1と第二波長λ2とを含む光透過率Tλ2により変化する第二変化層PCLを形成)及び第三基板S3(第二波長λ2の光吸収により現像液への溶解により変化する第三変化層PRLを形成)を用い、第一基板と第二基板を積層して、第一基板側から第二基板に達する第一波長の光を照射し、第二基板の第二変化層の第二波長の光透過率により変化させ、次に第二基板と第三基板とを積層して、第二基板側から第三基板に達する第二波長の光を照射し、第三基板の第三変化層の現像液への溶解により除去する工程を順に行い、多数のマイクロレンズアレイを形成した第三基板に現像液を接触させ凹凸パターンを形成する母型の製造方法である。
【選択図】図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロレンズアレイ用母型の製造方法に関し、特に、リアプロジェクションディスプレイ用スクリーンの一部を成すマイクロレンズアレイシートを製作するために使用される大面積母型を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般にリアプロジェクションディスプレイ装置は主として、画像を生成する部品である光学エンジン、そこから出射された画像光を投影用スクリーンに投影するための光学系、そして画像光を受ける投影用スクリーンの3種類の部品から成る。
【0003】
このなかで、観察者からもっとも近い位置にある投影用スクリーンは2種類の光学部材から構成されており、これらは一般に、光学エンジン側からフレネルレンズ及びレンティキュラ板と呼ばれている。フレネルレンズの機能は画像光全体のコリメーションであり、レンティキュラ板の機能は個々の画素から出射される画素光の拡散角調整である。
【0004】
光学エンジンから出射された画像光は投影用スクリーンに到達した際に投影用スクリーンの有効表示領域に一致した断面を持つように光学系によって拡大されるので、光学エンジンからの光束は観察者方向に向かって拡散しているが、各画素から出射される画像光のすべてが同一方向に拡散しているわけではない。出射された画像光の強度が最大となる方向は画素毎に異なっているので、画素光拡散角調節機能を持たない投影用スクリーンを使用した場合には、どの方向から見ている観察者にとっても表示画面の全体にわたって同一の表示品質を示すことができない。これは、視角−輝度分布特性が画素毎に異なるためである。
【0005】
ところで、データ表示、たとえばコンピュータのモニターにとっては有効視野角範囲から見ているどの観察者に対しても画面の全体にわたって同一の表示品質を示すことが必要との設計思想がある。このためには画面を構成するすべての画素から出射された個々の画素光の強度がその有効視野角内でいずれの出射角方向にも同一となるように拡散されることが必要である。このような拡散面を使用した場合、有効視野角範囲内外の境界部に位置する観察者にとってはごくわずかの視点の移動で表示品質の急激な変化を見ることになるが、本質的に使用者すなわち観察者は一人なので問題にはならないと考えられている。
【0006】
また、有効視野角範囲内における観察者の位置により表示品質が徐々に変化することが好ましいとの設計思想もあり、これは多人数で使用する場合、すなわちテレビに適していると考えられている。多くの場合真正面すなわち視角(スクリーン面への垂線と観察者の視線がなす角度)=0°から見た時の輝度が最大で視角が傾いて行くに従い徐々に輝度が低下するような拡散パターンの設計がなされる。現在市場で見ることのできるプロジェクションディスプレイの多くはこのような特性を狙って設計されている。この場合もすべての画素から出射光の拡散パターンを同一にする必要がある。
【0007】
投影用スクリーン上のすべての画素から出射された個々の画素光の拡散パターンを同一にするためには、光学エンジンから拡大光学系により投影用スクリーン面に様々な入射角度で到達し、それぞれ異なる光度の角度分布を有した個々の画素光に対し光学系を用いた補正を行わなくてはならない。
【0008】
すなわち、投影用スクリーン面上の多数の画素に対応した位置に正確にマイクロレンズを配置することは極めて精密な位置決め操作が必要なため、その設備には高額の費用を必要とし、生産性も低いために製造コストが過大なものとなる。
【0009】
また、このようなマイクロレンズアレイは特定の光学系と光学エンジンの組み合わせに対して設計されたものであるため汎用性がないことからさらに製造コストが増大する。
【0010】
そこで、光学エンジン側の画素と投影用スクリーン面上の画素の位置決め操作を回避するために、投影用スクリーン面上に配置するマイクロレンズを複数に分割することが一般に行われる。
【0011】
このとき、投影用スクリーン面上に配置するマイクロレンズのピッチを画素ピッチの1/5以下とすればある程度位置ずれが生じても解像度の目に見える低下は起こらないと考えられる。
【0012】
一方、投影用スクリーン面上の各画素からの出射光の光軸と拡散角を補正するマイクロレンズをそれぞれ設計して製作することはきわめて繁雑かつ困難であることから、一旦コリメートしてスクリーンへの入射光の全体を平行光に変換し、マイクロレンズアレイでは光軸補正を行わない方法が現在では採られている。
【0013】
即ち、投影用スクリーンの光学エンジン側にまずフレネルレンズを配置してコリメーションを行い、フレネルレンズから出射してくる平行光の拡散角をマイクロレンズアレイで補正する。マイクロレンズアレイに入射してくる画像光は平行光なので出射光に角度分布を持たせて広げること、すなわち拡散角補正がマイクロレンズアレイの最も重要な機能である。角度分布はマイクロレンズアレイを構成する単位胞の曲面形状で決定される。
【0014】
以上、現在ではプロジェクションディスプレイ用スクリーンのすべてがこの構成をとっている。
【0015】
しかしながら、現状使用されているマイクロレンズアレイは未だに重大な欠点を有している。
【0016】
プロジェクションディスプレイ用スクリーンに使用されるマイクロレンズアレイは一般にレンティキュラ板と呼ばれるシリンドリカルレンズアレイであり、一軸方向にしか拡散角補正機能がない。現在のリアプロジェクションディスプレイの主用途がテレビであり、多人数で見ることが多いため、拡散角補正を必要とする方向は主として横方向であり、縦方向への補正の必要がないわけではないが横方向におけるほどに必要とされていないので、シリンドリカルレンズ単位胞の長手方向を縦に配置して使用される。縦方向の出射角はシリンドリカルレンズアレイを構成する部材に屈折率の異なる微粒子を添加して散乱特性を与えることにより若干拡大し得ているだけであり、不十分ながらもこの状態で使用されているのが現状である。
【0017】
この現状技術において、下記▲1▼、▲2▼及び▲3▼に示す3点の問題が存在する。
【0018】
▲1▼縦視野角が狭い。散乱特性を与えることにより縦視野角を拡大しようとしているにもかかわらず、視野角は散乱によってほとんど拡大させることができない。公共の場におけるデータ表示に使用される多くの場合には観察者の目よりも高い位置にディスプレイが設置されることが多く、縦視野角が狭いことは重大な問題である。
【0019】
▲2▼縦視野角拡大のために添加した微粒子による散乱がもたらす重大な副作用のひとつとして、解像度の低下がある。現在のプロジェクションディスプレイの主要な用途である大面積テレビにおいてはそれほど重大な問題とはなっていないが、今後高解像度化が進んだ場合致命的な問題となる。
【0020】
▲3▼微粒子による散乱がもたらすもう一つの副作用として、スペックル(微小な輝点)の発生がある。この現象は光学系のコヒーレント長よりも小さな散乱体が多数存在することによるシンチレーションが原因となって起こる。
【0021】
これらの問題を回避するため、シリンドリカルレンズを交差させて2枚使用することも行われているが、この場合にも下記▲1▼、▲2▼に示す2点の問題が存在する。
【0022】
▲1▼シリンドリカルレンズアレイシートを2枚使用するためこの部分の製造コストは単純に二倍以上となり経済性に劣る。
【0023】
▲2▼空気と部材の界面が4箇所となり反射損失が増大し、さらに反射光が迷光となってもたらす予期しない結像により表示品質が劣化する。反射防止膜の使用は製造コストを増大させる。
【0024】
従って、リアプロジェクションディスプレイにおいて良好な表示品質を得るには、散乱体を一切添加しないことが必須であり、また、使用されるマイクロレンズアレイシートの枚数は1枚のみに押さえる必要がある。
【0025】
そのためには二軸方向に集光特性を有するマイクロレンズアレイが必要である。このようなマクロレンズアレイはシリンドリカルレンズではなく一般にフライアイレンズと呼ばれる微小な球面あるいは非球面のレンズが縦横に配列された構造を持たなくてはならず、またそれを構成するマイクロレンズ単位胞は設計上の出射光拡散特性が得られるようにその曲面形状が制御されたものでなくてはならない。望ましい曲面形状は多くの場合特定のパラメータによって表現された放物面、双曲面、あるいは縦横の曲率が異なったトーリック面である。
【0026】
しかし、これまでこのようなフライアイレンズによって構成されるマイクロレンズアレイシートを使用したプロジェクションディスプレイ用スクリーンは存在しなかった。成型のための型を製造することが極めて困難であったためである。
【0027】
シリンドリカルレンズアレイの場合、型を製造するためには一軸方向への加工のみで十分なので、金属母材表面に所望の断面形状を持った溝を旋盤を用いて切削加工することにより製作することが可能である。一旦母型の製造に成功すれば、あとはプレス、キャスティング、あるいは押し出し成形等でプラスチック部材を成形加工すればよい。
【0028】
ところがフライアイレンズの場合には、構造が二軸以上の方向に存在するため、旋盤による加工が不可能である。機械加工の手段がないわけではないが、たとえばエンドミルを使用して単位胞を一個ずつ切削した場合には膨大な時間を要することによるコストの増大以外に、単位胞中心部に加工の中心点が異常形状となって残留するという致命的な欠点が存在する。
【0029】
そこで機械加工を行わずにフライアイレンズを製作する方法がこれまでに開発されてきている。それらについて下記1〜4に示す。
【0030】
1 剛性微小球の配列
単位胞と同じ大きさの微小球を平面上に配列し、固定する。大面積対応は可能であるが、単位胞サイズが小さくなった場合対応困難となる。また、配列操作の問題から単位胞形状として球面以外のものを選択することが不可能、すなわち、球以外のものを配列した場合に形状の方向性を揃えて配列することが不可能なので設計上の自由度がなく望ましい画素光拡散特性を得ることができない。
【0031】
2 液体表面張力による曲面形成
(1) リフロー法
フォトレジストを円柱形状にパターニングするかポリマー膜をレーザー加工で円柱の配列を形成し、加熱して流動させることにより曲面を得る。
【0032】
大面積対応は可能であるが、単位胞形状がレジストの流動によって決定されるので設計上の自由度がなく望ましい画素光拡散特性を得ることができない。また、ある円柱を構成するポリマーが軟化流動した際に隣接した円柱から流動してきたポリマーに接触した場合には表面張力により滑らかにつながり、形状が歪んでしまう。
【0033】
(2) インクジェット法
インクジェットプリンターによりポリマー溶液を出射して基板上に付着させ、流動により曲面を得る。
【0034】
利点及び難点は前項のリフロー法と同様である。
【0035】
3 剛性平面の部分エッチング
ガラス等の透明剛性平板表面にこの透明剛性平板材料を溶解させる薬剤に侵されない材料から成る薄膜を成膜し、フォトリソグラフィー等により微小な穴をあけてその穴から透明剛性平板表面をエッチングする。
【0036】
大面積対応は可能であるが、穴から開始したエッチングは等方的に進行するので単位胞形状は球面となり、設計上の自由度がなく望ましい出射光拡散特性を得ることができない。
【0037】
4 三次元リソグラフィー
(1) X線リソグラフィー
通常X線リソグラフィーはLIGA(LIthography−Galvanischversilbern−Abdruck)と呼ばれ、これまでもっぱらきわめて深く切り立った三次元パターンの作製に使用されていたが、曲面パターン形成への適用が最近始まっている。
【0038】
フライアイレンズの対称軸で切った断面形状から作製されたマスクをその対称軸と直交しかつレジストを塗布した基板に平行な方向に摺動させながらX線を照射することを各対称軸毎に行い、レジストを現像する。
【0039】
高度に制御された単位胞曲面形状の作製が可能であるが、大面積への対応がきわめて困難である。すなわち、線源にはシンクロトロンを使用するので設備費用がきわめて大きいうえに、線源に対して基板を精密に位置決めしてステッピング露光を行うことの可能な設備は現状では存在しない。
【0040】
(2) 電子線リソグラフィー
ア 直接法
電子線レジストを塗布した基板表面に電子線を走査しつつ照射する。
【0041】
レンズアレイの深さ方向パターンに応じた線量を調節して吸収させ、レジストを現像した後にレジスト塗布面に垂直にバイアス電圧をかけた反応性イオンエッチングにより基板をエッチングする。電子線レジストとの選択比で決まる倍率だけ深さ方向の寸法が増幅されたレジストの三次元パターンが基板表面に転写される。
【0042】
高度に制御された単位胞曲面形状の作製が可能であるが、大面積への対応がきわめて困難である。すなわち、一般に吸収電子線量の変調は走査中の電子線のON−OFFを多数回の走査において行うことにより実現するが、基板面積が大きくなれば走査にかかる時間が膨大なものとなり現実的な時間内での完了は望み得ない。また、プロジェクションディスプレイのスクリーンと同様の規模の面積に対して電子線を走査可能な設備は現状では存在しない。
【0043】
イ 間接法
電子線を吸収する事によって着色するガラス基板の表面に電子線を走査しつつ照射する。レンズアレイの深さ方向パターンに応じた線量を変調して吸収させ、深さ方向パターンが着色量の濃淡に変換されたグレイスケールパターンを基板に描く。これをフォトマスクとして着色範囲の波長の光りでフォトレジストを塗布した基板を露光し、現像することによりレジストの三次元パターンが基板表面に形成される(図1)。
【0044】
高度に制御された単位胞曲面形状の作製が可能であるが、大面積への対応がきわめて困難である。理由は上記直接法と同様である。
【0045】
ただ、大面積のLCD用基板に微細パターンを形成するために使用されるステッパーは最近ではプロジェクションディスプレイのスクリーンと同等規模の面積の基板に使用可能なものも非常に高価ではあるが入手可能になってきており、この方法で作製したフォトマスクをレティクルとしてステッピング露光を行うことにより大面積基板への三次元リソグラフィーを実現できる可能性はある。
【0046】
しかしながら、下記▲1▼、▲2▼に示す2点の問題が存在する。
【0047】
▲1▼ 露光時間が極めて長くなってしまう。
【0048】
通常、TFT−LCD基板等の配線パターンを描くバイナリーパターニングで使用されるレジストの厚みは0.5〜1μm、厚くても3μmを越えることはないが、三次元リソグラフィーでは当然形成されるパターンの深さ以上のレジスト厚みが必要である。
【0049】
形成されるパターンにもよるがリアプロジェクションディスプレイのスクリーンに使用するマイクロレンズアレイの場合、最小でも30μm、最大を考えると100μm程度は必要である。
【0050】
バイナリーパターニングにおける露光時間は5〜30秒程度なので単純に膜厚の倍率だけかかるとしても一回の露光に500〜3000秒かかることになるが、Lambert−Beerの法則により深い部位の光量はその部位に届くまでに吸収される量だけ減衰しており、レジスト厚みが増大すればするほど指数関数的に必要露光時間が増大する。
【0051】
このような状況でステッピング露光を行った場合、最初のセクションの露光を開始してから最後のセクションの露光を完了するまでにはきわめて長い時間を要することになる。たとえば一回の露光が1時間で完了するとしても、100mmのレティクルを使用して対角70インチワイド画面を露光するためには144回の露光が必要なので144時間以上かけて露光しなくてはならない。この間にレジストが変質してしまう可能性がある。
【0052】
▲2▼ ステッパーには焦点深度の問題が存在する。
【0053】
ステッパー以外のマスク露光装置では露光されるレジスト膜付き基板に対してフォトマスクを密着させるかあるいはプロキシミティと称して数μmのギャップを挟んで近接させた上でフォトマスク側から平行光を照射してマスクパターンの陰を基板表面のレジスト層に投影する。従って、回折によるエッジの非鮮明化以外の解像度低下要因はない(図2(A))。
【0054】
ステッパーの場合、複数回の露光で形成された各パターン相互の位置あわせ精度をあげるために可動部を必要最小減とするべく、基板ステージはX−Y方向にのみ動くようになっている。
【0055】
従って、ステッパーではそれ以外のマスク露光装置で使用される密着露光やプロキシミティ露光は使用されない。基板ステージの動きとフォトマスクの位置が干渉するためである。
【0056】
ステッパーでは、基板近傍にフォトマスクを配置することをせず、光学系によってマスクパターンを基板表面に結像させる方式をとっている。これにより、マスクパターンの描いてある基板(レティクルと呼ばれる)は光学系を挟んで基板と反対側に置くことができるので基板の動きと干渉することはない。
【0057】
しかしそのために別の問題が発生する。結像させたパターンの解像度が最小線幅以上に低下しないZ軸方向の有効距離が存在し、これは焦点深度と呼ばれる。LCD基板用の大型ステッパーの場合焦点深度は最大でも20μm程度でしかなく、これよりも深い形状の三次元リソグラフィーは不可能である(図2(B))。
【0058】
以上述べたように、現状では、高度に制御されたフライアイレンズを作製する方法は存在してもリアプロジェクションディスプレイ用スクリーンのような大面積基板上に作製することができていない。
【0059】
本発明は、上述のような現状に鑑みて達成したもので、大面積にして高精度に制御された曲率を持った単位胞より成るフライアイレンズの母型の製造を可能とする極めて画期的なマイクロレンズアレイ用母型の製造方法を提供するものである。
【0060】
【課題を解決するための手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0061】
多数のマイクロレンズアレイが設けられた光学部材を形成する為の母型の製造方法であって、下記第一基板S1,第二基板S2及び第三基板S3を用い、下記▲1▼の工程,▲2▼の工程,▲3▼の工程及び▲4▼の工程を順に行うことにより前記第三基板S3に多数のマイクロレンズアレイを形成して該第三基板S3に現像液を接触させることにより形成される凹凸パターンを前記母型とすることを特徴とするマイクロレンズアレイ用母型の製造方法に係るものである。

第一基板S1:所定量の電子線を吸収することにより第一波長λ1を含む光の透過率Tλ1が所定量だけ変化する第一変化層EBALを有する基板。
第二基板S2:所定量の第一波長λ1を含む光を吸収することにより第二波長λ2を含む光の透過率Tλ2が所定量だけ変化する第二変化層PCLを有する基板。
第三基板S3:所定量の第二波長λ2を含む光を吸収することにより現像液への溶解性が所定量だけ変化する第三変化層PRLを有する基板。
▲1▼の工程:第一基板S1の所定部位に所定量の電子線を照射し、該部位におけるの第一変化層EBALの第一波長λ1を含む光の透過率Tλ1を所定量だけ変化させる工程。
▲2▼の工程:第一基板S1と第二基板S2とを積層状態とし、第一基板S1側から第二基板S2に達するように所定量の第一波長λ1を含む光を照射し、該第二基板S2の該部位における第二変化層PCLの第二波長λ2を含む光の透過率Tλ2を所定量だけ変化させる工程。
▲3▼の工程:第二基板S2と第三基板S3とを積層状態とし、第二基板S2側から第三基板S3に達するように所定量の第二波長λ2を含む光を照射し、該第三基板S3の該部位における第三変化層PRLの現像液への溶解性を所定量だけ変化させる工程。
▲4▼の工程:第三基板S3を現像液と接触させることにより、第三変化層PRLの前記溶解性が変化した部分を除去する工程。
【0062】
また、請求項1記載のマイクロレンズアレイ用母型の製造方法において、第一基板S1として第二基板S2より小さいものを採用し、▲2▼の工程の際、第二基板S2に対して第一基板S1を移動させ且つ所定位置で該第二基板S2を停止し、この停止位置で第一基板S1側から第二基板S2に達するように第一波長λ1を含む所定量の光を照射することを特徴とするマイクロレンズアレイ用母型の製造方法に係るものである。
【0063】
また、請求項1,2いずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ用母型の製造方法において、第二基板S2と第三基板S3とは略同じ大きさのものが採用されていることを特徴とするマイクロレンズアレイ用母型の製造方法に係るものである。
【0064】
また、請求項1〜3いずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ用母型の製造方法において、▲2▼の工程の際、第二基板S2を支持面に載置することを特徴とするマイクロレンズアレイ用母型の製造方法に係るものである。
【0065】
また、請求項1〜4いずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ用母型の製造方法において、第一基板S1における電子線の吸収量と第一変化層EBALの変化量とが1:1に設定されていることを特徴とするマイクロレンズアレイ用母型の製造方法に係るものである。
【0066】
また、請求項1〜5いずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ用母型の製造方法において、第二基板S2における第一波長λ1の光の吸収量と第二変化層PCLとの変化量とが1:1に設定されていることを特徴とするマイクロレンズアレイ用母型の製造方法に係るものである。
【0067】
また、請求項1〜6いずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ用母型の製造方法において、第三基板S3における第二波長λ2の光の吸収量と第三変化層PRLとの変化量とが1:1に設定されていることを特徴とするマイクロレンズアレイ用母型の製造方法に係るものである。
【0068】
また、グレイスケールマスク体と有機フォトクロミック体と基板とを用いて多数のマイクロレンズアレイが設けられた光学部材を形成する為の母型を製造する方法であって、グレイスケールマスク体として有機フォトクロミック体より小さなものを採用し、このグレイスケールマスク体を有機フォトクロミック体上の適所に位置せしめつつ該グレイスケールマスク体側から第一波長λ1を含む所定量の光を照射することで該有機フォトクロミック体の適所に第一変化部位を形成し、続いて、この第一変化部位が形成された有機フォトクロミック体を基板上に積層せしめ、フォトレジストによって該基板の前記第一変化部位に対応する位置を変化せしめることにより該基板に第二変化部位を形成し、続いて、この基板を現像液に接触させることにより前記第二変化部位を溶解せしめて該基板に多数のマイクロレンズアレイを形成して該基板を母型とすることを特徴とするマイクロレンズアレイ用母型の製造方法に係るものである。
【0069】
また、請求項1〜7いずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ用母型の製造方法において製造される母型は、電鋳型を形成する為の母型であることを特徴とするマイクロレンズアレイ用母型の製造方法に係るものである。
【0070】
【発明の作用及び効果】
前述のように、大きいスクリーンを作るためには大きく且つ高精度の母型が必要である。
【0071】
この大きい母型を簡単且つコスト安で作るためには、半導体の製造に用いられているフォトリソグラフィー法を採用することが考えられるが、この場合、当然ながら、大きいマスクが必要であり、大きく且つ高精度のマスクの作製は厄介である。
【0072】
また、マイクロレンズは、光を所望の方向に適正に向けられるように形成しなければならず、前記高精度の点は必要不可欠である。
【0073】
本発明は、第三基板S3でフォトリソグラフィー法を実現するための第二基板S2を作製する際、例えば、所定の大きさの第一基板S1にマイクロレンズを形成するための形状を設け、この第一基板S1を第二基板S2上の適所に位置せしめながらフォトリソグラフィー法と同様に光(第一波長λ1を含む所定量の光)を照射することで、該第二基板S2の全てにマイクロレンズを形成するための形状を高精度に設けることができ、この第二基板S2を用いて高精度のマイクロレンズを形成するための形状を第三基板S3(母型)に形成することができる。
【0074】
即ち、第二基板S2に対して小さい第一基板S1を形成し、この小さい第一基板S1を高精度とすれば、第二基板S2及び第三基板S3を高精度とすることができる。
【0075】
また、小さい第一基板S1は大きい第一基板S1に比して当然ながら簡単且つコスト安で作成することができる。
【0076】
また、第二基板S2上の全てに第一基板S1を積層せしめれば、一度の光の照射で第二基板S2にマイクロレンズを形成するための形状を設けることができる。
【0077】
また、第二基板S2の第二変化層PCLは所定量の第一波長λ1を含む光によって所定量だけ変化するから、前記電子線の照射によって高精度に変化させた第一変化層EBALの該変化が該第二変化層PCLに高精度に伝わることになる。
【0078】
また、第三基板S3の第三変化層PRLは所定量の第二波長λ2を含む光によって所定量だけ変化するから、前記第一波長λ1を含む光の照射によって高精度に変化させた第二変化層PCLの該変化が該第三変化層PRLに高精度に伝わることになる。
【0079】
即ち、第一基板S1に設けた高精度なマイクロレンズを形成するための形状は、第二基板S2,第三基板S3に高精度なまま伝わり、よって、この第三基板S3を用いて高精度な光学部材や電鋳型を形成することができる。
【0080】
本発明は上述のようにするから、大面積基板への三次元フォトリソグラフィーが可能となり、従来は無理であった微小な単位胞の曲面形状を精密に制御したマイクロレンズアレイの大面積母型を製作することが可能となり、視野角−輝度特性を最適に設計したリアプロジェクションディスプレイ用スクリーンが製造可能となる極めて画期的なマイクロレンズアレイ用母型の製造方法を提供できることになる。
【0081】
【発明の実施の形態】
図面は本発明の一実施例を図示したものであり、以下に説明する。
【0082】
まず、電子線を吸収することにより波長λ1を含む光の透過率Tλ1が変化する層EBALを有し、吸収した電子線量Deと透過率Tλ1が1対1に対応する範囲が存在するグレイスケールフォトマスクレティクル用第一基板S1を準備する。第一基板S1としてはCanyon Materials,Inc製のHEBS(High Energy Beam Sensitive)glassを使用することができる。これはクラウンガラス中にイオン交換で銀ハライドを拡散させることによって感光性を与え、さらにTi,Nb,Y等を添加してバンドギャップを拡大することにより紫外線や可視光線のような比較的低いエネルギーの光線で感光することを抑制したガラスである。波長λ1の範囲は約300nm以上の紫外・可視部であり、透過率Tλ1は電子線量Deの大きさを調節する事により2桁以上変化させることができる。
【0083】
次に第一基板S1に対して電子線を走査しながら該第一基板S1上の位置に応じて電子線量Deを変調する。電子線量Deの変調は走査中に電子銃への投入電力を変調することによっても定電力投入下での走査を複数回行いつつ走査中にON−OFFを制御することによっても行うことができる。
【0084】
以上の操作により基本となるグレイスケールフォトマスクパターンを作製することができるが、この様にして作製したレティクルのサイズは高々数インチに過ぎない。次にこのレティクルから、1m以上の大面積基板に三次元パターンを一括露光で形成できる大面積グレイスケールマスクを作製する。
【0085】
レティクルは大面積基板用ステッパーに装填され、基板ステージには波長λ1を含む光を吸収することにより波長λ2を含む光の透過率Tλ2が変化する層PCLが形成された第二基板S2が装填される。ここで層PCLには、吸収した波長λ1を含む光の光量D1と透過率Tλ2が1対1に対応する範囲が存在する。
【0086】
層PCLの機能は一般にフォトクロミズム、このような機能を持った材料はフォトクロミック材料と呼ばれている。無機材料として良く知られているのは銀のハロゲン化物、すなわちAgCl,AgBr,AgI等であり、古くから単色の写真用感光材料として使用されてきた。ここ数十年ほどは分子設計による物性設計の自由度が高い有機物に関する研究が主として行われている。
【0087】
フォトクロミズムは一般的に、分子Aの構造がある波長λの光を吸収することによって構造の大きく異なる分子Bに変化する現象であり、分子Bの吸収スペクトルが分子Aの吸収スペクトルと大きく異なることが特徴である。通常、分子Bは別の波長λ’の光を吸収することにより、あるいは熱緩和によってふたたび構造を変えて分子Aに戻る。
【0088】
以前はフォトクロミック材料の主な用途は眼鏡レンズのみであったが、最近ではリムーバルストレージメディア、すなわちCD−R/RWやDVD−R/RW等の記憶材料に使用されている。
【0089】
これまでの用途においては、分子Aは一旦分子Bに変化した後になんらかの方法で分子Aに戻る必要があった。
【0090】
たとえば眼鏡レンズの場合には、明るい場所では目に保護をするために着色し、暗い場所に移動した場合には瞬時に元に戻ることが必要であり、従って、分子Bから分子Aに戻る反応は極めて早い熱緩和反応でなければならない。
【0091】
これに対し、ストレージメディアの場合にはむしろ任意の時点において任意の位置に対してエネルギーを加えることによってのみ逆反応が起こる必要がある。ストレージメディアの現状技術においては、可視光で書き込み(分子Aから分子Bへの変化)を行い、赤外光(熱緩和)で消去(分子Bから分子Aへの変化)を行っている。記録密度を高める(記録単位面積を狭くする)ためにレーザー光が使用される。
【0092】
本発明の用途においては必ずしも戻る必要はないが、任意の時点でパターンを消去できれば繰り返し使用が可能となり、コスト面での利点はある。
【0093】
分子Aから分子Bへの構造変化反応は一般に異性化と酸化還元に大別され、異性化にはシス−トランス異性化、互変異性化、環化、環化付加、解離などが、酸化還元には通常の酸化還元と酸素付加が挙げられる。
【0094】
シス−トランス異性化で構造変化が起こる代表的な材料にはチオインジゴ、アゾベンゼン、ヒドラゾン等が挙げられ、互変異性化で構造変化が起こる代表的な材料にはサリチリデンアニリン等が挙げられ、環化で構造変化が起こる代表的な材料にはフルギド、ジヒドロピレン、シス−スチルベン、ビアントロン等が挙げられ、環化付加で構造変化が起こる代表的な材料にはアントラセン等が挙げられ、解離で構造変化が起こる代表的な材料にはスピロピラン、トリフェニルメタン、ビストリフェニルイミダゾイル等が挙げられ、酸化還元で構造変化が起こる代表的な材料にはビオロゲン等が挙げられ、酸素付加で構造変化が起こる代表的な材料には縮合多環系の芳香族化合物等が挙げられる。
【0095】
分子Aから分子Bへの構造変化が小さい場合にはこれら両者の吸収スペクトル間の相違は大きくない。構造変化が大きい場合には吸収スペクトルは大きく異なるが、反応速度が小さい。
【0096】
本発明においては反応速度が速い必要はなく、むしろ次工程で使用する露光光である波長λ2を含む光によって構造変化が起こることは避けなくてはならないので、構造変化の大きな材料を用いることが望ましい。
【0097】
このフォトクロミック材料は真空蒸着により、すなわち、第二基板S2を真空中に配置してこの材料を加熱することにより蒸発させて第二基板S2表面に付着させることにより層PCLを形成しても良く、あるいは高分子マトリクス中に分散あるいは溶解させて第二基板S2表面に塗布することによっても層PCLを形成することができる。
【0098】
層PCLを露光するためには第二基板S2のどの部分に形成されていてもよいが、この第二基板S2をプロキシミティあるいはコンタクト露光のフォトマスクに使用する次の工程を考慮すれば表面領域に層PCLを形成しておいた方が良い。
【0099】
以上のようにして作製した大型フォトマスク基板S2をフォトレジスト層PRLを有する第三基板S3に併置して第二基板S2側から波長λ2を含む平行光を照射して層PRLを露光する。層PRLの露光は平行光によるマスク露光なので、回折によるパターンの非鮮明化を回避するためコンタクト露光あるいはプロキシミティ露光を行う。
【0100】
従って、フォトマスクとして機能する層PCLと感光層として機能する層PRLが近接していることが必要なので第二基板S2の層PCLの形成されている面と第三基板S3の層PRLの形成されている面を対向させて併置しなくてはならない。
【0101】
層PRLを形成するフォトレジストにはポジ型すなわち露光部における現像液への溶解性が高くなるタイプのフォトレジストを使用する必要がある。層PRL内には波長λ2を含む光の吸収量の分布が面内にも厚み方向にも形成される。このことは、吸収された光によって引き起こされる反応の起こった割合(反応率)も同様に分布していることと同義である。
【0102】
面内の特定位置における反応率の分布を厚み方向に見た場合、露光光が入射してくる表面領域における反応率が最も高く、第三基板S3との界面領域では最も低くなっている。
【0103】
このレジストがポジ型であった場合には現像により表面領域が現像液によってもっとも多く溶解除去されるが、ネガ型すなわちポジ型とは逆に露光部における現像液への溶解性が低下するレジストの場合には、現像液によって最も多く除去されるのは第二基板S2との界面領域である。
【0104】
ネガ型のフォトレジストを使用した場合、現像により層PRLはほぼすべてが剥離するかあるいは、第三基板S3との界面領域の露光量が現像液に溶解しない程度に高かった場合には層PRLのほぼすべてが第三基板S3表面に残留する。従って、層PRLを構成する材料にネガ型フォトレジストを使用して層PRL側から露光する場合には三次元パターンの作製が不可能である。もちろん逆方向から露光を行う場合には逆にネガ型フォトレジストを使用することが必要となるが、層PRLは第三基板S3の厚みだけ層PCLから離れるので回折によるパターンの非鮮明化がおこりやすくなる。
【0105】
本発明に用いるポジ型フォトレジストとしては、ごく通常のものを使用することができる。一般にバイナリーパターニングに使用されるフォトレジストは解像度を高くすることが市場の要求であるため、現像の可否を決定する露光量の閾値前後での切れ目が極めて鋭くなるように設計されているが、滑らかな三次元パターンを作製することが目的である本発明に関してはむしろ現像閾値前後のコントラストは低い方が良い。
【0106】
一般に使用されているポジ型フォトレジストの一例としては、クレゾールノボラック系の樹脂にナフトキノンジアジド化合物を添加した組成物が挙げられる。
【0107】
ナフトキノンジアジド化合物はπ共役系が露光機に一般的に使用されている高圧水銀ランプのg線(436nm)、h線(406nm)、I線(365nm)に対して感光性を有し、露光後インデンカルボン酸化合物へとその構造を変化させる。
【0108】
ナフトキノンジアジド構造ではクレゾールノボラック系の樹脂に含まれる水酸基と水素結合を形成しており、塩基性の現像液に対する溶解性が極めて低い。露光後インデンカルボン酸構造に変化すると水素結合が切れてクレゾールノボラック系の樹脂に含まれる水酸基とインデンカルボン酸構造のカルボキシル基が露出するため現像液への溶解性が飛躍的に高まる。
【0109】
層PRLは波長λ2を含む光によって露光される。従って波長λ2に対する感光性が必要である。波長λ2の数値は層PCLの特性との兼ね合いで決める必要がある。波長λ2が長波長側にある場合にはベンゾンフェノンやローダミンなどの増感剤として機能する化合物を添加して感光波長をずらすことができる。
【0110】
層PRLの厚みは形成するパターンの深さに応じて決定される。一般にフォトレジストは溶剤型の塗料なのでコーティングにはスピン、ドクターブレード等が使用されるが、通常使用の際に較べて膜厚が二桁ほど厚いのでプレベーキング(乾燥)の際に表面層のみが急速に乾燥してしまうと内部の溶剤が蒸発できなくなり、気泡や膜質不均一の原因となる。従って、プレベーキングの際の乾燥速度は標準的な処方に較べて遅いほうが好ましい結果を得ることができる。また、乾燥を、フォトレジスト組成物に使用されている溶剤の飽和した雰囲気で行うことも表面層の急激な乾燥を防止するためには効果がある。
【0111】
層PRLの露光後、プレベーキング温度よりもある程度高い温度でポストベーキングを行い、フォトレジスト膜を構成する樹脂を架橋させて安定化する。フォトレジストはこのような特性を持っているので、露光の際にポストベーキングで起こる架橋反応が起こらないようにする必要がある。すなわち、通常使用時に較べて二桁以上長い時間露光するので、温度が上昇し、架橋反応が起こってしまう危険性がある場合には、露光中の温度上昇を防止するための基板冷却手段を講じる必要がある。
【0112】
ポストベーキング後、第三基板S3表面にはフォトレジストによって形成された三次元パターンが完成する。
【0113】
以上の母型製造工程を図3にまとめた。これを母型としてマイクロレンズアレイを成型するための母型を製造する。
【0114】
型の材料としては金属や合成樹脂が一般的に使用されている。金属を使用する場合、一般に電鋳と呼ばれる方法を使用する。導電性薄膜を成膜した上に電解鍍金で金属の厚膜を成長させる。
【0115】
導電性薄膜の成膜には銀鏡反応若しくは真空蒸着、スパッタリング等を使用する。
【0116】
電解鍍金で付着する金属にはNiが一般的に用いられる。また、合成樹脂の場合、一般にSMC(Silicone MoldingCompound)と呼ばれる室温硬化型シリコーン樹脂を使用して形状転写を行う。
【0117】
このようにしてフォトレジストによって形成されている形状を型に転写し、マイクロレンズアレイシートの成型を行う。型の上に非溶剤型の硬化性樹脂組成物を流し込み、マイクロレンズアレイ用基板を乗せて硬化させる。マイクロレンズアレイ用基板の厚みはマイクロレンズの焦点距離程度にしておく。
【0118】
マイクロレンズアレイ硬化後に離型し、マイクロレンズアレイ用基板のマイクロレンズアレイが形成されていない側の面に感光性粘着剤からなる膜を積層し、マイクロレンズアレイ側から平行光を照射してマイクロレンズアレイによる集光作用により感光性粘着剤の光路と干渉する部分のみを露光硬化させる。
【0119】
感光性粘着剤としては、光ラジカル反応により架橋するタイプ、光カチオンによる酸塩基反応により架橋するタイプ等、一般に入手可能なものを使用することができる。
【0120】
その後、黒色粉体あるいは脆い黒色膜を積層して粘着性の残留している光路と干渉しない部分に付着させ、ブラックマトリクスとする。これにより光路上のみが透明で光路にならないマイクロレンズアレイシート表面は黒色とすることができるのでスクリーンのコントラストを増大させることができる。
【0121】
さらにその上から、ブラックマトリクスを保護するためにバックシートを積層して貼り付ける。バックシート表面に反射防止膜を成膜すれば反射光による迷光が発生せず反射損失も低減できる。
【0122】
以上の製造方法により、リアプロジェクション型のスクリーンを形成するための母型を製造し、該母型によりスクリーンを作製したところ、単位胞の表面形状が極めて高精度に制御された縦方向及び横方向の二軸方向への光拡散角補正機能を有するマイクロレンズとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例の電子線リソグラフィーの間接法を示す模式図である。
【図2】従来例のコンタクト露光機若しくはプロキシミティ露光機とステッパーとの違いを示す模式図である。
【図3】本実施例の概略説明図である。

Claims (9)

  1. 多数のマイクロレンズアレイが設けられた光学部材を形成する為の母型の製造方法であって、下記第一基板S1,第二基板S2及び第三基板S3を用い、下記▲1▼の工程,▲2▼の工程,▲3▼の工程及び▲4▼の工程を順に行うことにより前記第三基板S3に多数のマイクロレンズアレイを形成して該第三基板S3に現像液を接触させることにより形成される凹凸パターンを前記母型とすることを特徴とするマイクロレンズアレイ用母型の製造方法。

    第一基板S1:所定量の電子線を吸収することにより第一波長λ1を含む光の透過率Tλ1が所定量だけ変化する第一変化層EBALを有する基板。
    第二基板S2:所定量の第一波長λ1を含む光を吸収することにより第二波長λ2を含む光の透過率Tλ2が所定量だけ変化する第二変化層PCLを有する基板。
    第三基板S3:所定量の第二波長λ2を含む光を吸収することにより現像液への溶解性が所定量だけ変化する第三変化層PRLを有する基板。
    ▲1▼の工程:第一基板S1の所定部位に所定量の電子線を照射し、該部位におけるの第一変化層EBALの第一波長λ1を含む光の透過率Tλ1を所定量だけ変化させる工程。
    ▲2▼の工程:第一基板S1と第二基板S2とを積層状態とし、第一基板S1側から第二基板S2に達するように所定量の第一波長λ1を含む光を照射し、該第二基板S2の該部位における第二変化層PCLの第二波長λ2を含む光の透過率Tλ2を所定量だけ変化させる工程。
    ▲3▼の工程:第二基板S2と第三基板S3とを積層状態とし、第二基板S2側から第三基板S3に達するように所定量の第二波長λ2を含む光を照射し、該第三基板S3の該部位における第三変化層PRLの現像液への溶解性を所定量だけ変化させる工程。
    ▲4▼の工程:第三基板S3を現像液と接触させることにより、第三変化層PRLの前記溶解性が変化した部分を除去する工程。
  2. 請求項1記載のマイクロレンズアレイ用母型の製造方法において、第一基板S1として第二基板S2より小さいものを採用し、▲2▼の工程の際、第二基板S2に対して第一基板S1を移動させ且つ所定位置で該第二基板S2を停止し、この停止位置で第一基板S1側から第二基板S2に達するように第一波長λ1を含む所定量の光を照射することを特徴とするマイクロレンズアレイ用母型の製造方法。
  3. 請求項1,2いずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ用母型の製造方法において、第二基板S2と第三基板S3とは略同じ大きさのものが採用されていることを特徴とするマイクロレンズアレイ用母型の製造方法。
  4. 請求項1〜3いずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ用母型の製造方法において、▲2▼の工程の際、第二基板S2を支持面に載置することを特徴とするマイクロレンズアレイ用母型の製造方法。
  5. 請求項1〜4いずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ用母型の製造方法において、第一基板S1における電子線の吸収量と第一変化層EBALの変化量とが1:1に設定されていることを特徴とするマイクロレンズアレイ用母型の製造方法。
  6. 請求項1〜5いずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ用母型の製造方法において、第二基板S2における第一波長λ1の光の吸収量と第二変化層PCLとの変化量とが1:1に設定されていることを特徴とするマイクロレンズアレイ用母型の製造方法。
  7. 請求項1〜6いずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ用母型の製造方法において、第三基板S3における第二波長λ2の光の吸収量と第三変化層PRLとの変化量とが1:1に設定されていることを特徴とするマイクロレンズアレイ用母型の製造方法。
  8. グレイスケールマスク体と有機フォトクロミック体と基板とを用いて多数のマイクロレンズアレイが設けられた光学部材を形成する為の母型を製造する方法であって、グレイスケールマスク体として有機フォトクロミック体より小さなものを採用し、このグレイスケールマスク体を有機フォトクロミック体上の適所に位置せしめつつ該グレイスケールマスク体側から第一波長λ1を含む所定量の光を照射することで該有機フォトクロミック体の適所に第一変化部位を形成し、続いて、この第一変化部位が形成された有機フォトクロミック体を基板上に積層せしめ、フォトレジストによって該基板の前記第一変化部位に対応する位置を変化せしめることにより該基板に第二変化部位を形成し、続いて、この基板を現像液に接触させることにより前記第二変化部位を溶解せしめて該基板に多数のマイクロレンズアレイを形成して該基板を母型とすることを特徴とするマイクロレンズアレイ用母型の製造方法。
  9. 請求項1〜7いずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ用母型の製造方法において製造される母型は、電鋳型を形成する為の母型であることを特徴とするマイクロレンズアレイ用母型の製造方法。
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