JP2005075046A - モータ四輪駆動車の発進制御装置 - Google Patents

モータ四輪駆動車の発進制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 エンジンと主駆動輪との間にクラッチと変速機構を有する変速機を採用しても、発進時に従駆動輪の駆動源である電動モータの駆動力を確保することができるモータ四輪駆動車の発進制御装置を提供すること。
【解決手段】 主駆動輪をエンジンにより駆動し、従駆動輪を電動モータにより駆動し、前記電動モータは、前記エンジンにより発電される電気エネルギーによって駆動されるモータ四輪駆動車において、前記エンジンと前記主駆動輪との間にクラッチと変速機構を有する変速機を介装し、前記主駆動輪と従駆動輪を共に駆動させて発進する場合、エンジンの回転数上昇を促すように、前記エンジンと変速機構との間のクラッチを発進域にて制御する発進時クラッチ制御手段を設けた。
【選択図】 図4

Description

本発明は、変速機としてクラッチを有する自動クラッチ式歯車変速機(=自動MT)等が搭載されたモータ四輪駆動車の発進制御装置に関するものである。
従来のモータ四輪駆動車は、主駆動輪をエンジンにより駆動し、従駆動輪を電動モータにより駆動し、前記電動モータは、前記エンジンにより発電される電気エネルギーによって駆動している(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
特開2002−200932号公報 特開2002−300701号公報
しかしながら、従来のモータ四輪駆動車において、変速機として、エンジンと主駆動輪との間にクラッチと変速機構を有する自動MT等を採用した場合、主駆動輪と従駆動輪を共に駆動させる4WD発進を行うと、エンジンと変速機構との間のクラッチが締結状態となり、このクラッチ締結による負荷でエンジンの回転数が上昇しないため、エンジンにより発電される電気エネルギーによって駆動される電動モータを駆動源とする従駆動輪に駆動力不足が発生するという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、エンジンと主駆動輪との間にクラッチと変速機構を有する変速機を採用しても、発進時に従駆動輪の駆動源である電動モータの駆動力を確保することができるモータ四輪駆動車の発進制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、主駆動輪をエンジンにより駆動し、従駆動輪を電動モータにより駆動し、前記電動モータは、前記エンジンにより発電される電気エネルギーによって駆動されるモータ四輪駆動車において、前記エンジンと前記主駆動輪との間にクラッチと変速機構を有する変速機を介装し、前記主駆動輪と従駆動輪を共に駆動させて発進する場合、エンジンの回転数上昇を促すように、前記エンジンと変速機構との間のクラッチを発進域にて制御する発進時クラッチ制御手段を設けた。
よって、本発明のモータ四輪駆動車の発進制御装置にあっては、主駆動輪と従駆動輪を共に駆動させて発進する場合、発進時クラッチ制御手段において、エンジンの回転数上昇を促すように、エンジンと変速機構との間のクラッチが発進域にて制御されるため、発進時に従駆動輪の駆動源である電動モータの駆動力を確保することができる。
以下、本発明のモータ四輪駆動車の発進制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1のモータ四輪駆動車を示す全体システム図、図2は実施例1のモータ四輪駆動車の4WD制御系を示すブロック図である。この実施例1システムは、図1に示すように、左右前輪1L,1R(主駆動輪)が内燃機関であるエンジン2によって駆動され、左右後輪3L,3R(従駆動輪)が電動機であるモータ4(電動モータ)によって駆動可能な車両の場合の例である。
そして、図1に示すように、エンジン2の出力トルクTeが、自動MT&デフギア5(変速機)を介して左右前輪1L,1Rに伝達されるようになっている。また、エンジン2の出力トルクTeの一部は、無端ベルト6を介して発電機7に伝達される。前記自動MT&デフギア5は、自動クラッチ50(クラッチ)と前進6段後進1段の変速段を選択可能な同期歯車変速機構とディファレンシャルギア装置73を有し、変速時に自動クラッチ50を切り離しその間に変速歯車を切り換える。なお、詳しくは後述する。
上記発電機7は、エンジン回転数Neにプーリ比を乗じた回転数Nhで回転し、4WDコントローラ8によって調整される界磁電流Ifhに応じて、エンジン2に対し負荷となり、その負荷トルクに応じた電力を発電する。その発電機7が発電した電力は、電線9を介してモータ4に供給可能になっている。その電線9の途中には、ジャンクションボックス10が設けられている。
上記モータ4の駆動トルクは、ギア減速機11及び4WDクラッチ12を介して左右後輪3L,3Rに伝達可能になっている。尚、符号13は左右後輪3L,3Rのディファレンシャルギアをあらわす。
上記エンジン2の吸気管路14(例えば、インテークマニホールド)には、スロットルバルブ15が介装されている。このスロットルバルブ15は、アクセルペダル17の踏み込み量等に応じてスロットル開度が調整制御されるアクセルバイワイヤー方式である。すなわち、上記スロットルバルブ15は、ステップモータ19をアクチュエータとし、そのステップモータ19のステップ数に応じた回転角によりバルブ開度が調整制御される。そのステップモータ19の回転角は、エンジンコントローラ18からの開度信号によって調整制御される。
上記スロットルバルブ15のバルブ開度を検出するスロットルセンサ16を有し、該スロットルセンサ16は、検出したバルブ開度に応じた検出信号を、エンジンコントローラ18及び4WDコントローラ8に出力している。
上記アクセルペダル17の踏み込み量を検出するアクセルセンサ20を有し、該アクセルセンサ20は、検出した踏み込み量に応じた検出信号を、エンジンコントローラ18及び4WDコントローラ8に出力している。
また、エンジン2の回転数を検出するエンジン回転数検出センサ21を備え、このエンジン回転数センサ21は、検出した踏み込み量に応じた検出信号を、エンジンコントローラ18及び4WDコントローラ8に出力している。
上記エンジンコントローラ18では、所定のサンプリング時間毎に、入力した各信号に基づいてバルブ開度制御処理が行われる。
上記発電機7は、図2に示すように、出力電圧Vを調整するための電圧調整器22(レギュレータ)を備え、4WDコントローラ8によって界磁電流Ifhが調整されることで、エンジン2に対する発電負荷トルクTh及び発電する電圧Vが制御される。電圧調整器22は、4WDコントローラ8から発電機制御指令(界磁電流値)を入力し、その発電機制御指令に応じた値に発電機7の界磁電流Ifhを調整すると共に、発電機7の出力電圧Vを検出して4WDコントローラ8に出力可能となっている。なお、発電機7の回転数Nhは、エンジン2の回転数Neからプーリ比に基づき演算することができる。
また、上記ジャンクションボックス10内には、電流センサ23が設けられ、該電流センサ23は、発電機7からモータ4に供給される電力の電流値Iaを検出し、当該検出した電機子電流信号を4WDコントローラ8に出力する。また、電線9を流れる電圧値(モータ4の電圧)が、4WDコントローラ8で検出される。なお、図2において符号24はリレーであり、4WDコントローラ8からの指令によってモータ4に供給される電力(電流)の遮断及び接続が制御される。
また、モータ4は、4WDコントローラ8からの指令によって界磁電流Ifmが制御され、その界磁電流Ifmの調整によって駆動トルクTmが調整される。なお、符号25はモータ4の温度を測定するサーミスタである。
上記モータ4の駆動軸の回転数Nmを検出するモータ用回転数センサ26を備え、該モータ用回転数センサ26は、検出したモータの回転数信号を4WDコントローラ8に出力する。
上記4WDクラッチ12は、油圧クラッチや電磁クラッチ等により構成され、4WDコントローラ8からのクラッチ制御指令に応じたトルク伝達率でトルクの伝達を行う。
上記各車輪1L,1R,3L,3Rには、車輪速センサ27FL,27FR,27RL,27RRが設けられている。各車輪速センサ27FL,27FR,27RL,27RRは、対応する車輪1L,1R,3L,3Rの回転速度に応じたパルス信号を車輪速検出値として4WDコントローラ8に出力する。
上記4WDコントローラ8は、アクセルセンサ20からのアクセル開度に応じた駆動力を発生させるようにモータ4を駆動制御すると共に、左右後輪3L,3Rによりモータ4が回転されるのを防止し、フリクションを低減するため、モータ駆動制御によりモータ4を停止するときには、前記4WDクラッチ12を切り離す制御を行う。また、4WDコントローラ8には、2WDモードと4WDモードとAUTOモードとを手動操作により選択するモード切替スイッチ28からのモード情報が入力されると共に、4WDコントローラ8と自動MTコントローラ30とは、双方向通信線により接続されている。
前記自動MTコントローラ30は、4WDモードを選択しての発進時、エンジンの回転数上昇を促すように、前記エンジン2と変速機構との間の自動クラッチ50を発進域にて滑らせる半クラッチ制御する指令と1速固定モードを選択する指令をに出力する(発進時クラッチ制御手段)。
図3(a)は実施例1のモータ四輪駆動車の自動MT&デフギア5を示すスケルトン図であり、図3(b)は変速機入力軸、変速機出力軸及びアイドラーシャフトの配置を示す図である。
自動MT&デフギア5は、自動クラッチ50と前進6段後進1段の変速段を選択可能な同期歯車変速機構とディファレンシャルギア装置73を有する。同期歯車変速機構は、相互に平行配置により設けた変速機入力軸51と変速機出力軸52とアイドラーシャフト53と、これら3軸51,52,53上に以下に説明するように設けた歯車とで構成する。なお、図3(a)では便宜上、3軸51,52,53の全てが同一図面上にあらわれるように展開して示したが、実際の3軸51,52,53は、図3(b)に示す相関関係を持って配置される。
前記変速機入力軸51は、エンジン2のクランクシャフト2aに対し自動クラッチ50を介して断接可能に連結された軸である。そして、変速機入力軸51には、自動クラッチ50側から順に、1速入力ギア56,リバース入力ギア57,2速入力ギア58を一体回転可能に設けると共に、3速入力ギア59,4速入力ギア60,5速入力ギア61,6速入力ギア62を回転自在に設ける。
前記変速機出力軸52は、自動クラッチ50側端部からファイナルドライブギア組72及びディファレンシャルギア装置73を経過して左右の駆動輪に駆動力を出力する軸である。そして、変速機出力軸52には、1速入力ギア56と噛合する1速出力ギア63,2速入力ギア58と噛合する2速出力ギア64を回転自在に設けると共に、3速入力ギア59と噛合する3速出力ギア65,4速入力ギア60と噛合する4速出力ギア66,5速入力ギア61と噛合する5速出力ギア67,6速入力ギア62と噛合する6速出力ギア68を一体回転可能に設ける。
前記変速機出力軸52の1速出力ギア63と2速出力ギア64との間、前記変速機入力軸51の3速入力ギア59と4速入力ギア60との間、及び、5速入力ギア61と6速入力ギア62との間には、それぞれカップリングスリーブ69,70,71を有するシンクロメッシュ機構を設けている。
前記カップリングスリーブ69は、これを図3(a)の右側に移動させることで1速出力ギア63が変速機出力軸52に駆動結合されて第1速選択状態が得られ、左側に移動させることで2速出力ギア64が変速機出力軸52に駆動結合されて第2速選択状態が得られる。
前記カップリングスリーブ70は、これを図3(a)の右側に移動させることで3速入力ギア59が変速機入力軸51に駆動結合されて第3速選択状態が得られ、左側に移動させることで4速入力ギア60が変速機入力軸51に駆動結合されて第4速選択状態が得られる。
前記カップリングスリーブ71は、これを図3(a)の右側に移動させることで5速入力ギア61が変速機入力軸51に駆動結合されて第5速選択状態が得られ、左側に移動させることで6速入力ギア62が変速機入力軸51に駆動結合されて第6速選択状態が得られる。
上記説明は前進変速段である第1速〜第6速の伝動系の説明であるが、後退段の伝動系は、以下の構成とする。
前記アイドラーシャフト53には、変速機入力軸51上のリバース入力ギア57と噛合するリバースカウンタギア74を一体回転するように設けると共に、自動クラッチ50に近い軸端側にリバースアイドラーギア75を回転自在に設ける。このリバースアイドラーギア75に対し図3(b)に示すように噛合するリバースメインギア76を、図3(a)に示すように、変速機出力軸52上に一体回転するように設ける。
前記リバースアイドラーギア75とアイドラーシャフト53との間には、カップリングスリーブ77を有するシンクロメッシュ機構を設ける。そして、前記カップリングスリーブ77は、これを図3(a)の右側に移動させることでリバースアイドラーギア75がアイドラーシャフト53に駆動結合されて、変速機入力軸51への回転を、リバース入力ギア57からリバースカウンタギア74→アイドラーシャフト53→リバースアイドラーギア75→リバースメインギア76を経て変速出力軸52に伝達する後退(リバース)選択状態が得られる。
次に、作用を説明する。
[発進制御処理]
実施例1の自動MTコントローラ30により実行される発進制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS1では、車両発進を検出し、ステップS2へ移行する。この車両発進の検出は、例えば、シフトレバーをニュートラル位置から第1速位置に切り替えたことを検出することでなされる。
ステップS2では、4WDコントローラ8からの情報により、4WDモードを自動にて選択(モード切替スイッチ28をAUTOモード)しているか、もしくは、手動にて選択(モード切替スイッチ28を4WDモード)しているか否かを判断し、YESの場合はステップS5へ移行し、NOの場合はステップS3へ移行する。なお、モード切替スイッチ28をAUTOモードとすると、発進時には4WDに固定し、発進後、定常走行に移行すると2WDに変更するという駆動力配分制御がなされる。
ステップS3では、ステップS2での2WDモードでの発進判断に基づいて、1速固定モードではなく通常発進による変速モード(ドライバーのシフト操作に従って変速するモード)を選択し、ステップS4へ移行する。
ステップS4では、車両が停止したか否かが判断され、YESの場合はエンドへ移行し、NOの場合はステップS3へ戻る。
ステップS5では、ステップS2での4WDモードの選択判断に基づいて、第2速位置への変速を禁止し第1速位置に固定したままとする1速固定モードを選択し、ステップS6へ移行する。
ステップS6では、自動クラッチ50を滑り締結による半クラッチ状態とする半クラッチ制御モードとし、ステップS7へ移行する。
ステップS7では、4WD発進が完了したか否かを判断し、YESの場合はステップS8へ移行し、NOの場合はステップS5へ戻る。
ここで、「4WD発進の完了」は、例えば、車体速が所定値(15km/h程度)以上、前後輪車輪速差が所定値以下となったことにより検出する。
ステップS8では、ステップS7での4WD発進の完了という判断に基づいて、自動クラッチ50を締結し、ステップS3へ移行する。
[発進制御作用]
2WDモードを選択しての車両発進時には、図4のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3へと進み、ステップS3では、ドライバーのシフト操作に従って変速する通常発進による変速モードが選択され、次のステップS4にて車両停止と判断されるまで、通常発進による変速モードが維持される。
よって、2WDモードを選択しての車両発進時にドライバーが第1速位置にシフト操作すると、図外のシフトアクチュエータによりカップリングスリーブ69を右側に移動させる僅かな時間だけ自動クラッチ50を一時的に解放し、第1速選択状態にした後、自動クラッチ50を締結させ、エンジン2からの駆動力を、自動クラッチ50→変速機入力軸51→1速入力ギア56→1速出力ギア63→変速機出力軸52→ファイナルドライブギア組72→ディファレンシャルギア装置73を経過し、主駆動輪である左右前輪1L,1Rのみに伝達させる、いわゆる前輪駆動の1速発進を達成することができる。
4WDモードを自動または手動により選択しての車両発進時には、図4のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS5→ステップS6へと進み、ステップS5では、1速固定モードが選択され、ステップS6では半クラッチ制御モードで自動クラッチ50が滑り締結される。そして、次のステップS7において、車両発進検出時点から4WD発進が完了する時点まで1速固定モードと半クラッチ制御モードとが継続され、4WD発進が完了すると、ステップS7からステップS8→ステップS3へ進み、自動クラッチ50を締結した後、ドライバーのシフト操作に従って変速位置が変更される通常の変速モードへと移行する。
したがって、車両発進検出時点から4WD発進が完了する時点まで1速固定モードと半クラッチ制御モードとが継続されることで、図5(a)の実線特性に示すように、半クラッチ制御を行わない場合(自動クラッチの完全締結)の点線特性に比べ、エンジン負荷が軽減される分、エンジン回転数の上昇が促され、エンジン2により駆動される発電機7で発電される電力が安定して確保される。このため、発電機7で発電される電力にて駆動されるモータ4のモータトルクは、図5(b)の実線特性に示すように、半クラッチ制御を行わない場合の点線特性に比べ、高いトルクとなり、発進時における従駆動輪である左右後輪3L,3Rへの高い駆動トルクが確保され、4輪駆動による高い発進性能を得ることができる。
次に、効果を説明する。
実施例1のモータ四輪駆動車の発進制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1)主駆動輪をエンジンにより駆動し、従駆動輪を電動モータにより駆動し、前記電動モータは、前記エンジンにより発電される電気エネルギーによって駆動されるモータ四輪駆動車において、前記エンジンと前記主駆動輪との間にクラッチと変速機構を有する変速機を介装し、前記主駆動輪と従駆動輪を共に駆動させて発進する場合、エンジンの回転数上昇を促すように、前記エンジンと変速機構との間のクラッチを発進域にて制御する発進時クラッチ制御手段を設けたため、エンジン2と左右前輪1L,1Rとの間に自動クラッチ50と変速機構を有する自動MT&デフギア5を採用しても、発進時に左右後輪3L,3Rの駆動源であるモータ7の駆動力を確保することができる。
(2)前記発進時クラッチ制御手段は、前記エンジン2と変速機構との間の自動クラッチ50を発進域にて滑らせる半クラッチ制御を行う手段であるため、発進時に必要モータトルクを得る過不足のないエンジン回転数の上昇を達成することができる。
(3)前記変速機は、複数の変速段を選択可能な同期歯車変速機構と自動クラッチ50を有し、変速時に自動クラッチ50を切り離しその間に変速歯車を切り換える自動MT&デフギア5であるため、自動MT&デフギア5を採用した車両での4輪駆動発進時に高い発進性能を確保することができる。
(4)前記発進時クラッチ制御手段は、エンジンの回転数上昇を促すクラッチ制御中は変速機による変速を禁止して変速比を固定とするため、発進域にてアップシフトによるエンジン回転数の低下を防止し、エンジン回転数の上昇を狙う発進時クラッチ制御の実効を図ることができる。
実施例2は、実施例1の半クラッチ制御に代え、クラッチを車両発進判断時から所定時間解放するクラッチ締結遅延制御を行うようにした例である。なお、構成については、実施例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
次に、作用を説明する。
[発進制御処理]
実施例2の自動MTコントローラ30により実行される発進制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
なお、ステップS11〜ステップS15,ステップS18は、図4のステップS1〜ステップS5,ステップS8に対応するので説明を省略する。
ステップS16では、自動クラッチ50を車両発進判断にかかわらずクラッチ解放状態とするクラッチ解放制御モードとし、ステップS17へ移行する。
ステップS17では、エンジン回転数が所定値以上まで上昇したか否かを判断し、YESの場合はステップS18へ移行し、NOの場合はステップS15へ戻る。
ここで、「エンジン回転数の所定値」は、例えば、発進時の必要モータトルクを得るエンジン回転数(1500rpm程度)の値に設定する。
[発進制御作用]
実施例2での4WDモードを自動または手動により選択しての車両発進時には、図6のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS15→ステップS16へと進み、ステップS15では、1速固定モードが選択され、ステップS16ではクラッチ解放制御モードで自動クラッチ50が解放される。そして、次のステップS17において、エンジン回転数が所定値以上まで上昇したと判断されるまでクラッチ解放制御モードとが継続され、エンジン回転数が所定値以上になると、ステップS17からステップS18→ステップS13へ進み、自動クラッチ50を締結した後、ドライバーのシフト操作に従って変速位置が変更される通常の変速モードへと移行する。
したがって、車両発進検出時点からエンジン回転数が所定値以上となる時点まで1速固定モードとクラッチ解放制御モードとが継続される、言い換えると、車両発進時が検出されても自動クラッチ50の締結を遅らせるクラッチ締結遅延制御が行われることで、実施例1と同様に、クラッチ締結遅延制御を行わない場合に比べ、エンジン負荷が大幅に軽減される分、エンジン回転数の上昇が促され、エンジン2により駆動される発電機7で発電される電力が安定して確保される。このため、発電機7で発電される電力にて駆動されるモータ4のモータトルクも実施例1同様に、高いトルクとなり、発進時における従駆動輪である左右後輪3L,3Rへの高い駆動トルクが確保され、4輪駆動による高い発進性能を得ることができる。
次に、効果を説明する。
この実施例2のモータ四輪駆動車の発進制御装置にあっては、実施例1の(1),(3),(4)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(5)前記発進時クラッチ制御手段は、前記エンジンと変速機構との間のクラッチを車両発進判断時から所定時間解放とし、エンジン回転数の上昇を確認してからクラッチを締結させるクラッチ締結遅延制御を行う手段であるため、車両発進判断の直後で発進前の僅かの時間の間に、発進時に必要モータトルクを得る過不足のないエンジン回転数の上昇を達成することができる。
以上、本発明のモータ四輪駆動車の発進制御装置を実施例1及び実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1では4WD発進時に半クラッチ制御を行う例を示し、実施例2では4WD発進時にクラッチ締結遅延制御を行う例を示したが、例えば、発進域において、エンジン回転数の上昇を監視しながらクラッチ解放とクラッチ滑り締結とを組み合わせて制御するようにしても良い。
実施例1,2では、変速機として、複数の変速段を選択可能な同期歯車変速機構と自動クラッチを有し、変速時に自動クラッチを切り離しその間に変速歯車を切り換える自動クラッチ式歯車変速機(自動MT)の例を示したが、外部からの制御により締結力を制御できるクラッチを有する変速機であれば、自動MTに限られない。
本発明の発進制御装置は、左右前輪をエンジンにより駆動し左右後輪を電動モータにより駆動する前輪駆動ベースのモータ四輪駆動車への適用例を示したが、左右後輪をエンジンにより駆動し左右前輪を電動モータにより駆動する後輪駆動ベースのモータ四輪駆動車へも適用することができる。
実施例1のモータ四輪駆動車の発進制御装置を示す全体システム図である。 実施例1のモータ四輪駆動車の発進制御装置の制御系を示すブロック図である。 実施例1の発進制御装置が適用されたモータ四輪駆動車の自動MT&デフギアを示すスケルトン図である。 実施例1の自動MTコントローラ30により実行される発進制御処理の流れを示すフローチャートである。 半クラッチ制御を行った場合と半クラッチ制御を行わない場合とのエンジン回転数対比特性とモータトルク対比特性を示す図である。 実施例2の自動MTコントローラ30により実行される発進制御処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1L,1R 左右前輪(主駆動輪)
2 エンジン
3L,3R 左右後輪(従駆動輪)
4 モータ(電動モータ)
5 自動MT&デフギア(変速機)
6 無端ベルト
7 発電機
50 自動クラッチ(クラッチ)
73 ディファレンシャルギア

Claims (5)

  1. 主駆動輪をエンジンにより駆動し、従駆動輪を電動モータにより駆動し、前記電動モータは、前記エンジンにより発電される電気エネルギーによって駆動されるモータ四輪駆動車において、
    前記エンジンと前記主駆動輪との間にクラッチと変速機構を有する変速機を介装し、
    前記主駆動輪と従駆動輪を共に駆動させて発進する場合、エンジンの回転数上昇を促すように、前記エンジンと変速機構との間のクラッチを発進域にて制御する発進時クラッチ制御手段を設けたことを特徴とするモータ四輪駆動車の発進制御装置。
  2. 請求項1に記載されたモータ四輪駆動車の発進制御装置において、
    前記発進時クラッチ制御手段は、前記エンジンと変速機構との間のクラッチを発進域にて滑らせる半クラッチ制御を行う手段であることを特徴とするモータ四輪駆動車の発進制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載されたモータ四輪駆動車の発進制御装置において、
    前記変速機は、複数の変速段を選択可能な同期歯車変速機構と自動クラッチを有し、変速時に自動クラッチを切り離しその間に変速歯車を切り換える自動クラッチ式歯車変速機であることを特徴とするモータ四輪駆動車の発進制御装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載されたモータ四輪駆動車の発進制御装置において、
    前記発進時クラッチ制御手段は、エンジンの回転数上昇を促すクラッチ制御中は変速機による変速を禁止して変速比を固定とすることを特徴とするモータ四輪駆動車の発進制御装置。
  5. 請求項1に記載されたモータ四輪駆動車の発進制御装置において、
    前記発進時クラッチ制御手段は、前記エンジンと変速機構との間のクラッチを車両発進判断時から所定時間解放とし、エンジン回転数の上昇を確認してからクラッチを締結させるクラッチ締結遅延制御を行う手段であることを特徴とするモータ四輪駆動車の発進制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010167797A (ja) * 2009-01-20 2010-08-05 Nissan Motor Co Ltd 電動車両の制御装置
EP1728672A3 (en) * 2005-05-30 2012-11-28 Hitachi, Ltd. Controller for a hybride four-wheel-drive vehicle

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