本発明は、従来の技術的課題を解決するために、コーヒー抽出機への湯の昇圧を行うポンプの耐久性を改善すると共に、抽出されるコーヒー液の品質の向上を実現することができるコーヒー飲料製造装置を提供する。以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。
図1は本発明のコーヒー飲料製造装置1の正面図、図2のコーヒー飲料製造装置1の側面図、図3はコーヒー飲料製造装置1の内部概略構成図をそれぞれ示している。
本実施例は、ミルクフォーマー61を備えたコーヒー飲料製造装置1であり、前面にコーヒー液を排出するコーヒー液ノズル2と、ミルクフォームを排出するミルクフォームノズル3とを一体に備えたノズル部材4を備えた本体6により構成されている。そして、このノズル部材4の下方には、抽出されたコーヒー液を受容するカップを載置するカップ支持台7が設けられている。尚、ノズル部材4は、詳細は後述する如く上下に高さ調節可能に構成されているものとする。また、図1中、5は排出する飲料の種類を選択する複数の飲料選択ボタンであり、8はコーヒー液の抽出に使用された残滓を受容すると共に、前方に引出自在に設けられた残滓受容部であり、9はコーヒー豆を収容する豆貯蔵容器である。
ここで、図3を参照してコーヒー飲料製造装置1の内部構成について説明する。本実施例のコーヒー飲料製造装置1は、本体6内に、湯タンク11と、湯タンク11の底部に取り付けられたポンプ(ギヤポンプ)12と、コーヒー抽出機13と、詳細は後述するミルクフォーマー61を備えている。湯タンク11は、数リットルの飲料水を貯水可能とするタンクであり、内部には、貯水された飲料水を例えば+97℃に加熱保温する図示しないヒータが設けられている。また、湯タンク11の底部に設けられたポンプ12は、湯タンク11内の湯を加圧して排出するポンプであり、このポンプ12の排出口には、流量計14と、詳細は後述する給湯側電磁弁15とが順次介設された給湯側配管16が接続されており、この給湯側配管16の他端には、コーヒー抽出機13が接続されている。
そして、この給湯側配管16には、流量計14と給湯側電磁弁15との間に位置して循環経路を構成する循環用電磁弁17を備えた循環用配管18が接続されており、この循環用配管18の他端は、湯タンク11に接続されている。更に、循環用配管18には、循環用電磁弁17と湯タンク11との間に位置してポンプ12とを接続するバイパス配管19が接続されている。このバイパス配管19には、ポンプ12内の湯を湯タンク11に還流するためのリリーフ弁21が設けられている。
また、この給湯側配管16には、給湯側電磁弁15とコーヒー抽出機13との間に位置して一端が外部に開放された湯排出用配管26が接続されている。この湯排出用配管26には、コーヒー抽出機13や後述する抽出側配管24内の残液等を外部に排出を制御するための残液リリーフ弁27が設けられている。
他方、コーヒー抽出機13の上方には、前記豆貯蔵容器9が設置される。この豆貯蔵容器9の下方には、豆貯蔵容器9に貯蔵されたコーヒー豆を高速回転する図示しない粉砕刃によって所定の粒度にまで粉砕するコーヒーミル22が設けられており、更に、このコーヒーミル22の下方には、当該コーヒーミルにおいて粉砕されたコーヒー粉をコーヒー抽出機13内に収容するためのシュート23が設けられている。そして、このコーヒー抽出機13の下部には、コーヒー液の抽出経路を構成する抽出側配管24が接続され、この抽出側配管24には、抽出されたコーヒー液の排出を制御する抽出電磁弁25が介設されている。この抽出電磁弁25の下流側の抽出側配管24には、前記コーヒー液ノズル2が接続されている。これにより、カップ支持台7に配置された図示しないカップにコーヒー液を注入可能としている。
尚、カップには、コーヒー液の注入と共に購買者の要望により砂糖やクリームが注入されるが、これらの供給系統については図示及び説明を省略する。また、コーヒーミル22からシュート23に挽き豆を供給する際、計量器により計量が行われるが、これらについても図示を省略する。
次に、図4を参照してコーヒー抽出機13の構成について説明する。コーヒー抽出機13は、コーヒーミル22からシュート23を介して供給される挽き豆を収容するシリンダー31と、このシリンダー31に挿脱自在とされるピストン32と、このピストン32を駆動するピストン駆動モータ33と、当該モータ33とピストン32を連結するトルク伝達部34とを備え、これらシリンダー31と、ピストン32と、ピストン駆動モータ33と、トルク伝達部34とによりシリンダーユニットDを構成している。また、コーヒー抽出機13は、シリンダーユニットD全体を所定の角度に傾斜させるためのユニット駆動モータ35と、シリンダーユニットDが傾斜した際にシリンダー31の上面開口を閉塞する蓋部材36と、この蓋部材36をユニット駆動モータ35を駆動源としてシリンダー31に係合させるギヤ37とを備える。尚、このギヤ37は回転軸37Aにより軸支されている。また、蓋部材36は、該蓋部材36に形成された図示しない貫通孔を介して、前記給湯側配管16を挿入可能な構成とされており、シリンダー31の底面開口には、トルク伝達部34を介して前記抽出側配管24が接続されている。尚、図4中、Wはシュート23の下部に設けられたワイパーである。
次に、図5を参照して、本発明の給湯側電磁弁15及び抽出側電磁弁25の構成について説明する。図5は、電磁弁15又は25の長手方向の断面図を示している。尚、給湯側電磁弁15及び抽出側電磁弁25は、同様の構成であるため、以下、給湯側電磁弁15を例に挙げて説明する。給湯側電磁弁15は、流通方向(図5では上下方向)に開口する本体41と、該本体41の内部に収容される弁体42と、本体41の上流側(図5では下側)の開口部に設けられる上流側保持部材43と、本体41の下流側(図5では上側)の開口部に設けられる下流側保持部材44と、通電により弁体42の開閉を制御するコイル45と、このコイル45を本体41に固定する第1の固定具46と、第2の固定具47とから構成される。
上流側保持部材43は、内部に小径部43Aと、弁体42の収納部43Bを形成し、これら小径部43A及び収納部43Bは、弁体42の離接によって開閉される開口48が形成される隔壁部43Cにより区画される。弁体42の上流側保持部材43側端部は、保持部材43の開口48を被覆可能な寸法に形成されていると共に、側面は、当該保持部材43の内径よりも所定寸法だけ小さく形成されている。そして、上流側保持部材43内に位置する弁体42の側面には、孔49が形成されている。更に、この弁体42の下流側保持部材44側には、一端が下流側保持部材44に固定されると共に、当該弁体42を開口48側に付勢するスプリング(付勢部材)50が設けられている。尚、このスプリング50により、電磁弁15内に浸入したコーヒー液を所定圧力以上となるように調整する調整機構を構成するものとする。
そして、上流側保持部材43及び下流側保持部材44の本体41側の端部には、それぞれ外方に延出したフランジが形成されており、第1の固定具46及び第2の固定具47に予め形成された係合孔に内方から挿入することにより係止可能とされている。そして、これら第1の固定具46及び第2の固定具47が、ネジ51、51により螺合されることにより、給湯側電磁弁15が組立られる。そして、本実施例では、給湯側電磁弁15の上流側保持部材43の端部開口には、流量計14側に接続された給湯側配管16が接続され、下流側保持部材44の端部開口には、コーヒー抽出機13側に接続された給湯側配管16が接続される。尚、抽出側電磁弁16も当該給湯側電磁弁15と同様に構成されると共に、本実施例では、抽出側電磁弁16の上流側保持部材43の端部開口には、コーヒー抽出機13側に接続された抽出側配管24が接続され、下流側保持部材44の端部開口には、コーヒー液ノズル2側に接続された抽出側配管24が接続される。
また、本実施例のコーヒー飲料製造装置1は、図示しない制御装置を備えており、この制御装置は、プログラムやデータを記憶するメモリ、クロック信号を生成するタイマ、前記クロック信号及び前記プログラムに基づいて動作するCPUを備えている。更に、この制御装置の入力側には、流量計14などが接続されていると共に、出力側には、前記ポンプ12、給湯側電磁弁15、循環用電磁弁17、リリーフ弁21、抽出側電磁弁25、残液リリーフ弁27、ピストン駆動モータ33、ユニット駆動モータ35、コイル45や後述する温度センサなどが接続され、当該制御装置の出力に基づき制御されるものとする。
次に、前記ミルクフォーマー61の構成について説明する。本実施例のミルクフォーマー61は、前記湯タンク11から湯を取り出す湯供給配管62と、電磁ポンプ63と、蒸気ボイラ64と、ミルカー65とを備えている。湯供給配管62は、一端が湯タンク11に接続されると共に、電磁ポンプ63及び蒸気ボイラ64が順次介設されている。湯供給配管62の他端には、詳細の構造は後述するミルカー65が接続される。また、電磁ポンプ63と蒸気ボイラ64との間に位置する湯供給配管62には、分岐配管67が設けられ、当該分岐配管67には、所定圧力にて外部に開放する弁装置68が設けられている。
蒸気ボイラ64は、内部に図示しないヒータを備え、湯タンク11から湯供給配管62及び電磁ポンプ63を介して供給された湯を例えば約+170℃に加熱し、蒸気を生成し、ミルカー65へ蒸気を供給するものである。また、蒸気ボイラ64には図示しない温度センサが設けられており、この温度センサの検出に基づいて設定した蒸気温度となるように前記制御装置により温度制御が行われる。更にまた、この蒸気ボイラ64の下流側からミルカー65までを構成する湯供給配管62には、蒸気ボイラ64からの熱の漏洩を抑制するための図示しない保温チューブが外装されているものとする。
次に、図6乃至図9を参照してミルカー65の構造について説明する。図6はミルカー65の側面図、図7は図6のA−A断面図、図8は図6のB−B断面図、図9はミルカー65及び各部品の側面図を示している。ミルカー65は、略円筒状の本体71により構成されており、この本体71の側面には、中心よりも左右どちらか一方に偏重すると共に、当該本体71の内部に突出した吐出部72が一体に形成され、本体71の底面には、本体71内にて生成されたミルクフォームを排出する前記ミルクフォームノズル(排出部)3が一体に形成される。
吐出部72は、左右に開口した略円筒状を呈しており、本体71に接続される側とは反対側の端部には、蒸気ボイラ64の下流側に位置する湯供給配管62の端部が図9に示す如き蒸気ノズル74を介して接続される。本実施例において、この蒸気ノズル74は、蒸気ノズル部材74A及び74Bの二部品により構成されており、これらノズル部材74A、74Bは、それぞれ内部に左右に連通した蒸気通路が形成されている。蒸気ノズル部材74Aは、一端が湯供給配管62に容易に接続可能とするため、少許先細り形成とされていると共に、他端は蒸気ノズル部材74Bを収容するため、内方に凹陥して形成されている。他方、蒸気ノズル部材74Bは、一端には、蒸気を吐出部72に吐出する小穴74Cが形成されると共に、側面には、吐出部72の内壁及びノズル部材74Aとの接続を密着するためOリング74Dが設けられている。これにより、供給された蒸気中にカルキなどの混入し、小穴74Cやノズル部材74A及び74B内に析出又は、内部閉塞を生じた場合であっても、容易に蒸気ノズル74を分割し、洗浄することが可能となる。そのため、蒸気ノズル74の閉塞を未然に回避することができると共に、メンテナンスの簡素化を図ることができるようになる。尚、本実施例では、ノズル部材74Bの左右形状を異なった形状とすることにより、組立時における接続ミスを抑制している。また、本実施例では、蒸気ノズル74を二部品により構成しているが、これ以上であってもよいものとする。
吐出部72の下面には、吐出部72内部に連通したミルク吸込ノズル75が接続されていると共に、吐出部72の上面には、ミルク吸込ノズル75と対向する箇所に、同じく吐出部72内部に連通した空気吸込ノズル76が接続されている。
ミルク吸込ノズル75には、一端が、詳細は後述するミルク保冷庫82に収納されるミルクパック83内に挿入されるミルク吸引チューブ77が接続される。尚、このミルク吸引チューブ77のミルクパック83側の端部(先端)には、図9に示す如き重り部材78が設けられている。この重り部材78は、ミルクパック83の下部にまでミルク吸引チューブ77を沈めるため、本実施例では、約20gの質量とする。また、この重り部材78は、底面から側面に渡って切欠78Aが形成されており、ミルクパック83の底面に残留したミルクをも容易に吸引可能な構成とされている。
空気吸込ノズル76には、空気吸込チューブ79が接続されると共に、この空気吸込チューブ79の他端開口には、空気吸込キャップ81が着脱自在に取り付けられる。この空気吸込キャップ81は、先端に小穴81Aが形成された筒状部材であり、この小穴81A周囲には、チューブ79側に対向する方向に突出した周壁81Bが形成されていると共に、先端近傍には、外方に突出したフランジ81Cが形成されている。これにより、空気吸込ノズル76は、一度に少量の空気を吸い込むことが可能となる。また、空気吸込キャップ81は、小穴81A近傍に周壁81Bが形成されていることから、洗浄等により空気吸込キャップ81を手指で触った場合であっても、直接小穴81Aに触れ、小さなゴミなどを詰め込み、閉塞させる不都合を回避することができる。また、フランジ81Cが形成されていることから容易に取り扱うことが可能となる。
そして、吐出部72が本体71内に接続される側の端部は、図7及び図8に示す如く当該吐出部72の端部開口72Aが本体71の内壁に沿って形成される。この開口72Aの縁部であって、本体71内に突出している突出部72Bは、本体71の内周面と略同心円弧状を呈する湾曲部72Cが形成されると共に、湾曲部72Cの端部(開口72Aとは反対側)から本体71の内壁に渡って指向部72Dが形成されている。
更に、本体71の底面中央部に形成されたミルクフォームノズル3内には、図7に示す如くミルクと空気の混合物であるミルクフォームの吐出方向に指向して当該ノズル3内を仕切ると共に、吐出部72と略平行に形成された仕切部材3Aが形成される。本実施例では、仕切部材3Aの上端は本体71の底面の高さと略同一とされるように形成される。尚、当該仕切部材3Aの上端は、本体71の底面の高さよりも低くてもよいものとする。
また、本体71の上面開口は、図9に示す如く本体71内方に突出した突出部84Aが形成されるミルカーキャップ84が着脱自在に閉塞されるものとする。突出部84Aの周面にはOリング84Bが設けられ、これにより、本体71にミルカーキャップ84を密着して取り付けることが可能となる。
一方、前記ミルク保冷庫82は、図10に示す如く上面に開口を有し、内部に市販のミルクパック83を収納可能な本体82Aと、本体82の上面開口をヒンジ部材82Bにより開閉自在に閉塞する蓋82Cとから構成されている。この本体82の上面開口縁部には、蓋82Cを閉塞した状態で、ミルクパック83に挿入される前記ミルク吸引チューブ77を外部に引き出すための切欠82Dが形成されている。そして、この本体82は、内壁に図示しない断熱材が設けられていると共に、本体82内には、図示しない冷却装置が配設されており、収納されるミルクパック83を冷却可能としている。
以上の構成により、ミルクフォーマーの動作について説明する。ミルクの供給が要求される飲料の飲料選択ボタン5が操作された際に、前記制御装置の出力により、電磁ポンプ63が所定時間、例えば約10秒間、運転される。これにより、湯タンク11内の湯が湯供給配管62内に排出され、排出された湯は蒸気ボイラ64に浸入する。ここで、湯タンク11内に貯溜される湯の温度は、上記コーヒー抽出機13で用いるのに適した温度、例えば+97℃に設定されるため、蒸気ボイラ64には、この約100℃に近い温度の湯水が供給される。蒸気ボイラ64内に供給された湯は当該蒸気ボイラ64により、更に加熱され、ミルクフォーマー61に適した温度、例えば+170℃にまで昇温され蒸気とされる。
そして、蒸気ボイラ64により生成された蒸気は、該蒸気ボイラ64の下流側に接続された湯供給配管62及び蒸気ノズル74を介してミルカー65の吐出部72内に噴射される。ここで、蒸気が吐出部72内のミルク吸込ノズル75及び空気吸込ノズル76の近傍を通過する際に、吐出部72内に負圧が生じ、ミルク吸込ノズル75からは、ミルクパック83内のミルクがミルク吸引チューブ77を介して吐出部72内に吸い込まれ、空気吸込ノズル76からは、外部の空気が空気吸込キャップ81及び空気吸込チューブ79を介して吐出部72内に吸い込まれる。
そして、吐出部72内を通過する蒸気によって吐出部72内に吸引されたミルク(吸引ミルク)と空気(吸引空気)は、吐出部72の内壁に沿ってミルカー65の本体71内に吐出される。ここで、本体71内に吐出されたミルクと空気は、蒸気の圧力により、本体内壁71内に沿って旋回する。この旋回により、ミルクと空気とが混合され、泡立てられた状態となり、本体71の底面に形成されたミルクフォームノズル3から吐出され、当該ノズル3の下方に載置されたカップなどに供給される。
ここで、本実施例のミルカー65は、吐出部72が本体71内に突出して形成されているため、吐出部72の端部開口72Aから本体71内に吐出されたミルクと空気は、初め本体71の内壁に沿って旋回し、更に、混合されたミルクと空気の一部が突出部72Bの湾曲部72Cに沿って更に旋回することにより、本体72内における回転が促進される。これにより、本体72内においてミルクと空気の混合により形成されるミルクフォームの旋回時間を十分に確保することができるようになる。そのため、ミルクと空気の撹拌を十分に行うことができ、きめ細かな上質のミルクフォームを生成することができるようになる。
また、本体71内を旋回するミルクフォームの一部は、突出部72Bの指向部72Dに衝突し、本体71の中央に指向される。これにより、ミルクフォームのミルクフォームノズル3からの排出を促進することができ、上質のミルクフォームを短時間で生成し、円滑に排出することができるようになる。
更にまた、ミルクフォームノズル3内には、混合物の吐出方向に指向して当該ノズル3内を仕切る仕切部材3Aが形成されているため、従来の如く本体72内において生成されたミルクフォームがミルクフォームノズル3内において旋回しながら落下する不都合を回避することができるため、ノズル3内に落下したミルクフォームを真っ直ぐに落下させることができる。これにより、排出までの所要時間を短縮することができる。そのため、より一層よい状態でミルクフォームをカップなどに排出することができ、提供するミルクフォームの品質の向上を図ることができるようになる。
また、仕切部材3Aの上端は本体71の底面以下の高さとされているので、仕切部材3Aが本体71内を旋回するミルクフォームの旋回を妨害する不都合を回避することができ、これによっても、ミルクフォームの泡の大きさをきめ細かく形成することができ、品質の向上を図ることができるようになる。尚、本実施例の如きミルクフォーマー61によって形成されるミルクフォームは、使用されるミルクの量に対し、約2倍の体積にまで泡立てられた状態で提供することが可能となる。
尚、上述した如きミルカー65への蒸気供給時において、メンテナンスの不良などにより蒸気ノズル74などにカルキが固着し、ノズル74内を閉塞する場合がある。かかる場合には、蒸気ノズル74と電磁ポンプ63との間に異常な圧力が負荷されることとなるが、本実施例では、電磁ポンプ63と蒸気ボイラ64との間に所定圧力にて外部に開放する弁装置68が設けられていることから、当該異常な圧力が外部に開放される。これにより、ミルクフォーマーの安全性を向上させることができるようになる。
次に、図11乃至図14を参照して、上記ノズル部材4の構成について説明する。図11はノズル部材4部分の正面図、図12はノズルカバーを取り外した状態のノズル部材4部分の正面図、図13は図12の平面図、図14はコーヒー液ノズル2の分解図を示している。ノズル部材4は、上記ミルカー65とコーヒー液ノズル2とを組み合わせ外方をノズルカバー86にて被覆することにより構成される。
コーヒー液ノズル2は、図14に示す如くノズルベース87と、ノズルカップ88と、ノズルキャップ89と、連絡パイプ91とから構成される。ノズルベース87は、背面に前記抽出側配管24の端部を接続する接続ノズル87Aが形成されており、前面には、当該接続ノズル87Aと連通する図示しない接続部と、ノズルカップ88を係合保持する係合孔87Bが形成されている。尚、このノズルベース87の上端及び下端には、ノズルカバー86の図示しない係合孔と着脱自在に係合するための係合爪87C、87Dが形成されている。
ノズルカップ88は、後部に前記ミルカー65の本体71を保持するミルカー保持部88Aが形成されると共に、前部には上面に開口する受容部88Bが形成される本体により構成されている。この受容部88Bには、内部を二室に区画形成すると共に、所定の高さを有する仕切壁88Cが形成されており、仕切壁88Bの前方の室の底面には、コーヒー液排出部88Dが、本実施例では、左右に2つ形成されている。ノズルキャップ89は、ノズルカップ88の上面開口を着脱自在に閉塞する蓋部材であり、このノズルキャップ89の後部には、図示しない連通孔が形成されている。そして、このノズルキャップ89の連通孔及びノズルベース87の接続部には、連絡パイプ91が接続される。
そして、図12及び図13に示す如くこのノズルカップ88のミルカー保持部88Aに上述した如きミルカー65の本体71を載置し、前方からノズルカバー86を係合させることによりノズル部材4が構成される。
ここで、本実施例では、上記ノズル部材4が取り付けられるコーヒー飲料製造装置1の本体6の前面には、図11に示す如くノズル部材4の高さ寸法よりも所定寸法分だけ大きな高さを有する矩形状の開口6Aが形成されている。そして、この開口6Aを前方から閉塞するように当該開口6Aよりも所定寸法だけ大きく形成されたスライド板92を介してノズル部材4がコーヒー飲料製造装置1の本体6に取り付けられる。スライド板92は、ノズル部材4が取り付けられる位置に対応して図示しない開口が形成されると共に、図13に示す如く一方の側端(本実施例では向かって左側)が付勢部材93により本体6に取り付けられる。
付勢部材93は、本体6の前面を構成する前面板6Aの後面であって、スライド板92の側方に位置して設けられており、スライド板92を常に本体6前面側に付勢するように構成されている。これにより、ノズル部材4が取り付けられるスライド板92を付勢部材93が付勢する本体6前面側とは反対方向、即ち、付勢部材93が取り付けられる側端を中心として前方に回動させ、上下に移動させることにより、ノズル部材4の高さを容易に調整することができるようになる。
これにより、コーヒー飲料の供給を行うカップの高さに応じてノズル部材4の高さを変更することができるようになり、利便性の向上を図ることができる。尚、付勢部材93に対し、更に、付勢部材93が取り付けられる側とは反対側のスライド板92を更に前方に回動させることによって、本体6内に位置する蒸気ノズル74を目視することができる。これにより、使用者は、コーヒー飲料製造装置1を分解することなく、蒸気ノズル74の状態、特に、カルキの付着状態などを把握することができ、より一層利便性の向上を図ることができるようになる。
以上の構成により、本実施例のコーヒー飲料製造装置1の動作について説明する。尚、飲料選択ボタン5の操作が行われる前は、何れの電磁弁も非通電とされ、閉鎖若しくは、一定圧力以上にて湯の流通を許容する状態とされているものとする。先ず初めに、作業者が、本体6に設けられた飲料選択ボタン5の内、何れかのボタン5を操作することにより、制御装置に抽出開始入力が行われる。これにより、制御装置は、循環用電磁弁17を開放し、所定時間、本実施例では4秒間、ポンプ12の低速運転を行う配管昇温工程を実行する。これにより、湯タンク11内の湯がポンプ12により給湯側配管16を介して循環経路を構成する循環用電磁弁17及び循環用配管18に送出される。そして、ポンプ12と給湯側電磁弁15との間に位置する給湯側配管16内に滞留する湯は循環用電磁弁17を介して循環用配管18に圧送され、湯タンク11に戻される。これにより、湯タンク11から供給される約+90℃乃至+95℃の高温の湯でポンプ12と給湯側電磁弁15との間に位置する給湯側配管16の昇温を行うことができる。
上記配管昇温工程が開始してから上記所定時間経過後に、制御装置は、ポンプ12の運転を停止し、次いで循環用電磁弁17を閉鎖し、配管昇温工程を終了する。尚、この場合において、本実施例では、循環用電磁弁17に隣接して給湯側配管16に介設される給湯側電磁弁15は、上述した如く非通電とされ、一定圧力以上にて湯の流通を許容する状態とされていることから、循環用電磁弁17が開閉状態から閉鎖される状態に移行した際に生じる配管16内の圧力変化によるショックを当該給湯側電磁弁15に設けられたスプリング50にて緩衝することができる。これにより、給湯側電磁弁15の損傷を未然に回避することができると共に、当該電磁弁15の耐久性の向上を図ることができるようになる。
一方、コーヒー抽出機13は、前回のコーヒー液の供給工程の終了後に次回の抽出準備工程が行われている。即ち、抽出準備工程では、先ず、制御装置は、図15に示す如くコーヒー抽出機13のシリンダー31を直立した状態とし、予め豆貯蔵容器9内のコーヒー豆をコーヒーミル22において粉砕し、挽き豆Pとした状態で、シュート23を介してシリンダー31内に供給する。その後、挽き豆Pの供給が終了した時点で、制御装置は、図16に示す如くピストン駆動モータ33に通電してギヤ37を駆動し作動させ、シリンダーユニットDの全体を下端を中心として下方(矢印の方向)に回動させ、シリンダー31を所定の角度に傾斜させる。その後、制御装置は、図17に示す如く蓋部材36でシリンダー31の上端開口を密封する。このとき、制御装置は、シリンダーユニットDの傾斜に同期して蓋部材36を下降させ、シリンダー31内に挿入し、ピストン駆動モータ33の駆動を停止する。このとき、ギヤ37は図15の状態から180°回転した位置で停止しているものとする。更に、制御装置は、図18に示す如くピストン駆動モータ33を作動させ、トルク伝達部34を介してピストン32を押し上げ、シリンダー31内の挽き豆Pを圧縮する。
そして、この状態で、制御装置は、コーヒー液抽出工程に移行し、供給側電磁弁15を開放すると共にポンプ12を駆動する。これにより、0.3MPaの圧力で約+90℃乃至+95℃に加熱された高温の湯がシリンダー31に供給される。尚、この場合において、本実施例では、供給側電磁弁15は、従来の如く逆止弁により構成されていないことから、従来の逆止弁に比して給湯側電磁弁15における流路抵抗を小さくすることができ、ポンプ12による加圧量を低減することが可能となる。これにより、ポンプ12の耐久性の向上を図ることができるようになる。
その後、制御装置は、キャップ36で密封されたシリンダー31に高温且つ加圧された湯が給湯側配管16を介して供給され、圧縮された挽き豆Pからコーヒー液が抽出される。このとき、シリンダー31内には、高温高圧の湯が供給されるため、抽出初期からコーヒー成分を十分に溶出した濃いコーヒー液を抽出することが可能となる。
そして、コーヒー抽出機13のシリンダー31にて抽出されたコーヒー液は、抽出側配管24及び抽出側電磁弁25を介してコーヒー液ノズル2に排出される。ここで、抽出側電磁弁25は、制御装置により、一定圧力、例えば0.3MPa以上にてコーヒー液の流通を許容する状態とすることにより、抽出されるコーヒー液に一定圧力、本実施例では、ポンプ12にて0.3MPaの圧力が加えられており、シリンダー31において膨潤した挽き豆Pにより更に圧力が加えられることから、実際には0.4MPa以上の圧力を加えることができるようになる。これにより、コーヒー液の液面上にきめ細かい良質な泡を生成することができると共に、濃い芳醇な味と香りのコーヒー液を得ることができ、コーヒー液の品質の向上を図ることができるようになる。
尚、上記給湯側電磁弁15及び抽出側電磁弁25は、上述した如くコイル45への通電/非通電により、電磁弁の開弁状態と、一定の圧力以上にて湯の流通を許容する状態とすることが可能となり、容易に本発明を実現することができる。尚、電磁弁にて許容する圧力は、スプリング50を調整することにより、任意に変更することができる。
また、給湯側配管16を介してシリンダー31に湯を供給する直前に、制御装置は、ポンプ12を所定時間作動させ、ポンプ12内の温度が低下した湯をバイパス管19及びリリーフ弁21を介して湯タンク11に戻し、新たに高温の湯を給湯側配管16に圧送する動作を行う。そして、制御装置は、ポンプ12内の湯の交換を終了した時点で、ポンプ12を一旦停止し、リリーフ弁21を閉鎖する。リリーフ弁21を閉鎖した状態で、給湯側配管16からシリンダー13に給湯を行うことにより、より高温且つ高圧の湯を供給することができる。
そして、カップなどにコーヒー液の抽出を行っている際に、制御装置により電磁ポンプ63に通電を行うことにより、ミルクフォーマー61を詳細は上述した如く作動させることが可能となり、抽出されたコーヒー液の上面に泡立てられたミルクを注ぐことができる。
その後、制御装置は、コーヒー液の抽出終了後に、ポンプ12の駆動を停止し、抽出滓廃棄行程に移行する。当該工程では、制御装置は、図19に示す如くピストン駆動モータ33を駆動してピストン32を更に上昇させ、このピストン32の上昇動作に基づいて抽出滓をパッキングすることにより滓中のコーヒー液を絞る。これにより、シリンダー31内のコーヒー液は抽出側配管24に送られると共に、挽き豆Pは圧縮される。
その後、制御装置は、ピストン駆動モータ33を逆回転し、図20に示す如くピストン34を押し下げ、給湯側配管16中の湯の一部と、抽出側配管24中のコーヒー液がシリンダー31内に吸い込まれる。ここで、制御装置は、抽出側電磁弁25及び残液リリーフ弁27を開放することから、抽出側配管24やコーヒー抽出機13と残液リリーフ弁27管の給湯側配管16内が大気に開放され、給湯側配管16内に残留した残液が湯排出用配管26より外部に排出される。これにより、抽出側配管24内の残液の流通を容易とすることができ、当該残液を効率的に処理することができるようになる。そのため、次回のコーヒー液の抽出時に、前回の抽出時の残液が混入し、品質の低下を招く不都合を回避することができるようになる。尚、この場合において、制御装置は、給湯側電磁弁15を一定の圧力以上にて湯の流通を許容する状態とすることで、従来の逆止弁の如く湯の逆流を防止することができる。
その後、制御装置は、モータ35及びギヤ37を作動させ、図21に示す如く蓋部材36をシリンダー31の上端開口から離間させる。更に、制御装置は、ピストン駆動モータ33を作動させ、ピストン32を再び押し上げる。これにより、挽き豆Pの抽出滓Rがシリンダー31下部から押し上げられる。更に、制御装置は、図22に示す如くモータ35及びギヤ37を作動させ、シリンダーユニットDを上方(矢印の方向)に回動させ、シリンダー31を直立状態とする。この回転により、シリンダー31から押し出されていた抽出滓Rは、シュート23の下部に設けられるワイパーWにより掻き落とされ、前記残滓受容部8に落下し、廃棄される。その後、制御装置は、抽出滓Rの廃棄後、ピストン駆動モータ233逆転駆動してピストン32を下降させることによって1回の販売動作を終了する。
以上の構成により、本実施例によれば、コーヒー抽出機13の下流側に設けられた抽出側電磁弁25によって一定圧力、0.3MPa以上のコーヒー液の流通のみを許容することにより、抽出の初期から上面にきめ細かな良質な泡を形成することができるエスプレッソコーヒーをカップに供給することができるようになる。これにより、味覚的にも視覚的にも質の向上を図ることが可能となる。
また、本実施例では、コーヒー液の圧力調整としてニードル弁や逆止弁、更には圧力センサを用いていないため、従来に比して著しく構造を簡素化することができ、コストの削減を図ることができるようになる。