JP2005071907A - フィルム外装型電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】レイアウトの自由度を高めることと、薄型化との両立を図ることが可能なフィルム外装型電池を提供する。
【解決手段】リチウムイオン二次電池1は、フィルム外装材で構成された電池容器4に、板状のセルが気密封止され、セルに導通する帯材12,13が電池容器4の外側に延出されている。電池容器4には、内部の気密を保持する融着代11がセルの周囲に沿って形成されている。融着代11は、電池容器4の側面部4fとの間に隙間HSが形成されるように電池厚さ方向に折り曲げられており、その隙間HSに帯材12,13に接合された導線21,22が案内され、反対側から延び出ている。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に代表される、フィルム外装型電池に関する。
電解液を電極内で膨潤保持可能なリチウムイオン二次電池(リチウムポリマー二次電池の概念を含む)においては、液漏れの恐れが小さいため、発電要素(セル)を、可撓性を有するフィルム外装材からなる電池容器に収容することが行なわれている。この手法によれば、金属製の容器を使用しないで済むため、電池の小型・軽量化が容易である。
フィルム外装材は、アルミニウム箔の両面に樹脂をラミネートしたものが一般的である。容器内に露出する側には、ポリプロピレン等の熱融着性樹脂がラミネートされる。この構成によれば、熱融着性樹脂を溶融および固化させるだけで、容器を封口することが可能である。熱融着性樹脂が溶融および固化された箇所には、融着代が形成される。電池内部への水分の透過を防止するために、適正量の融着代を形成する必要がある。小型の電池においては、この融着代が比較的大きな面積を占めるようになる。そこで、この融着代を電池の側面にぴったりと折り畳んで、電池が実質的に占有する面積を低減する試みがなされている(下記特許文献1〜3参照)。
特開2000−58013号公報 特開2001−202931号公報 特開2001−357824号公報
ところで、昨今は電気製品の小型化が急速に進み、電池のスペースを自由に割くことが困難となってきている。これにともなって、電気製品に電池を組み込む際の向き等、レイアウトに対する制限も厳しくなってきている。レイアウトの問題を解決する1つの案として、上記特許文献3(図3)に記載されているように、電力取出用のリード部材を電池容器からの取り出し側とは反対側に折り返すようにする構造がある。この構造によれば、リード部材の先端位置を任意に調整できるのでレイアウトの自由度が高まる。一方で、電池の実質的な厚さが若干増す。このことは、厚さ方向のスペースに全く余裕が無い場合に問題となると考えられる。また、上面から荷重が懸かったりする場合にはリード部材に荷重が直接懸かることになり、好ましくない。したがって、フィルム外装材で容器を構成する電池のレイアウトの自由度を高めることが可能な、別の技術が望まれていた。
本発明の課題は、レイアウトの自由度を高めることが可能なフィルム外装型電池を提供することにある。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記課題を解決するために本発明は、金属箔に熱融着性樹脂がラミネートされてなるフィルム外装材で構成された電池容器に、電極およびセパレータを備えた板状の発電要素が気密封止され、発電要素に導通するリード部材が電池容器の外側に延出されたフィルム外装型電池であって、内側に位置する熱融着性樹脂の溶融および固化により上下のフィルム外装材が貼り合わさって電池容器内の気密を保持する融着代が発電要素の周囲に沿って形成され、電池容器の側面部との間に隙間が形成されるように融着代が電池厚さ方向に折り曲げられており、その隙間にリード部材が案内されていることを主要な特徴とする。
上記本発明のフィルム外装型電池は、融着代を折り曲げて、電池が実質的に占有する面積を低減している。さらに、電池容器の側面部との間に隙間が形成されるように融着代を折り曲げ、その隙間にリード部材を通すようにしている。隙間にリード部材を引き回すことにより、リード部材の先端の位置を、当該電池を組み込む電気製品の端子の位置にあわせて調整することが可能となる。つまり、電池自体のレイアウトの自由度が高まる。また、折り曲げた融着代に切欠き等を形成し、その切欠きからリード部材を外方に引き出すことも可能である。つまり、大きな設計を伴うことなくリード部材の引き出し位置調整を行なえる。また、電池の厚さの実質的な増加も無く、リード部材は融着代によって固定・保護されるので好ましい。
好適な態様において、電池容器には、多角形状を有する発電要素のコーナに対応して融着代を内側方向に切欠いた切欠き部が形成され、それら切欠き部が形成された位置における融着代の残存幅に応じて、該融着代を外周部分と内周部分とに区分けする折り線が形成され、外周部分が電池容器の側面部と接する又は向かい合うとともに、内周部分が電池板面方向に張り出すように調整されることにより隙間が形成される。隣り合う2辺をなす融着代の折り曲げを行なう場合において、コーナ部分に切欠き部を形成すれば、折り皺が形成され難くなって成形性(融着代の折り曲げ容易性)が高まる。すると、リード部材を通すための隙間も形成しやすくなるので都合がよい。場合によっては、融着代の切れ目である切欠き部よりリード部材を引き出すようにしてもよい。また、切欠き部の切り込み深さ調整により隙間の広さ等を調整できるので、好都合である。
また、多角形状の発電要素の一辺から突出する形で電力取出部が設けられ、電力取出部に一端が接続され、他端が電池容器の外側に延出された帯材と、電池容器の外側に延出された帯材に接続された導線とを含んでリード部材が構成され、融着代は、正極側の帯材と負極側の帯材との両側に隙間の入口が形成されるように折り曲げられており、正極側の導線と負極側の導線とは、互いに反対方向に向かって延びて隙間の入口に個別に案内されている。一般に、電池容器の気密性保持のため、リード部材のうち発電要素に接続する部分は帯材で構成する。ただし、帯材は捩りを加えたりすることが難しいので、帯材よりも可撓性(引き回し容易性)が高い導線を溶接、ろう付け等の方法で帯材に接続する。そして、1対の導線を左右に分岐する形で融着代の折り曲げによって形成された隙間に挿通すれば、導線同士が短絡する恐れがないうえ、断線等の恐れも小さい。また、電池自体を左右対称に保つことができる。
さらに、隙間に個別に案内された各導線は、当該電池における帯材の延出している側とは反対側で合流することができる。このようにすれば、電池の向きを反転させた場合と、実質的に同一レイアウトとすることができる。
また、本発明にかかるフィルム外装型電池の各構成は、リチウム含有複合酸化物を活物質に持つ正極と、リチウムの吸蔵・放出が可能な材料を活物質とする負極と、それら正極と負極との間に介在するセパレータとにより発電要素が構成されたリチウムイオン二次電池に特に好適である。
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態であるリチウムイオン二次電池1(以下、単に電池1ともいう)の斜視図、図2は融着代11を拡げた状態の電池1の斜視図、図3は電池1のIII-III断面図である。図3に示すように、電池1は、発電要素であるセル2が電池容器4の中に密封された構造を有する。板状のセル2は、個別に作製された複数の発電単位20が外周縁を上下方向で一致させる形で積層されたものである。
電池1は、セル2に導通し電池容器4の外側に延出された正極側と負極側のリード部材28,29を備えている。一方、電池容器4には、容器内の気密を保持する融着代11がセル2の周囲に沿って形成されている。図1に示すように、この融着代11は、電池容器4の側面部4fとの間に隙間HSが形成されるように、当該電池1の厚さ方向に折り曲げられている。そして、その隙間HSにリード部材28,29が案内されている。リード部材28,29は、隙間HSを通って電池容器4からの取り出し側とは反対側に延びている。
図4に発電単位20の断面模式図を示す。発電単位20は、セパレータ3,3を正極7,7と負極10とにより挟んだバイセル構造をなすものである。正極7は、正極集電体5に正極活物質層6を積層させた構造をなす。他方、負極10は、負極集電体8に負極活物質層9,9を積層させた構造をなす。本実施形態では、負極10が2つのセパレータ3,3に挟まれる形にてこれらに共用され、各セパレータ3,3の負極10に面していない側が、個別に正極7,7に覆われている。負極10の面積は、正極7と等しくすることもできるが、正極7よりも大きくすることが望ましい。また、セパレータ3,3は、各電極7,10よりも大きい面積を有している。正極7および負極10の配置は、相互に入れ替わってもよい。また、セル2の形状は方形、方形以外の多角形など種々の形状を採用できる。すなわち、本実施形態に示すような積層型リチウムイオン二次電池1は、形状の自由度が極めて高いという特徴を持っている。
正極集電体5は、AlまたはAl合金からなる箔または金属メッシュで構成することができる。負極集電体8は、CuまたはCu合金からなる箔または金属メッシュで構成することができる。金属メッシュとしては、エキスパンドメタル、エッチングメタルおよびパンチングメタルのいずれも使用できる。
正極活物質層6は、正極活物質、導電助剤および高分子基質(ポリマー)を含んで構成される。同様に、負極活物質層9は、負極活物質、導電助剤および高分子基質を含んで構成される。セパレータ3、正極活物質層6および負極活物質層9は多孔質形態を有し、LiPFなどのリチウム塩を、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートのような有機溶媒に溶解させた非水電解液が含浸されている。
正極活物質層6および負極活物質層9を構成する高分子基質としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTEF)などのフッ素樹脂や、あるいはこれらのフッ素樹脂の共重合体を使用することができる。
正極活物質層6を構成する正極活物質としては、LiMnO、LiCoO、LiNiOなど、遷移金属あるいは典型金属を含むリチウム複合酸化物を使用できる。負極活物質層9を構成する負極活物質としては、リチウムの吸蔵・放出が可能なメソフューズカーボン材などの黒鉛系炭素材料が好適である。また、導電助剤(導電性物質)としてはアセチレンブラックなどの導電性カーボンを使用できる。
セパレータ3は、正極活物質層6および負極活物質層9に含まれる高分子基質と同様の材料、たとえばPVDFやHFP、あるいはそれらの共重合体により構成される(SiOなどのフィラーを混入させてもよい)。あるいは、ポリエチレンやポリプロピレンなどの微多孔膜、ポリエチレンをポリプロピレンで挟んだ複数層構造を持つ微多孔膜、ポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂層と、PVDFやHFP、あるいはそれらの共重合体からなる樹脂層とを有する微多孔膜などを使用してもよい。
セル2を収容する電池容器4は、図8に示すように、アルミニウム箔などの金属箔32の両面に樹脂層31,33を設けた可撓性を有するフィルム外装材34で構成されている。電池容器4の外側に露出する樹脂層31としては、たとえばポリエチレンテレフタラートや2軸延伸ナイロンなどが使用され、内側にくる樹脂層33には、ポリエチレンやポリプロピレンなど、熱融着性、電解液に対する耐性および低水蒸気透過性を備えた材料が使用されている。
図3に示すように、容器の内側に位置する樹脂層33の溶融および固化により、上下のフィルム外装材34同士が貼り合わさり、融着代11が形成される。具体的には、図9に示すように、電池容器4は、セル2を収容するための凹部4pを有する容器本体4bと、蓋部4aとで構成することができる。容器本体4bの凹部4pにセル2を収容させた後に、蓋部4aを被せる。容器本体4bの凹部4pの開口を完全に塞ぐように蓋部4aを配置し、容器本体4bおよび蓋部4aの外周縁部をシールバー90,91(熱融着治具)で挟む。シールバー90,91に内側の樹脂層33,33が加熱されて溶融する。シールバー90,91を離間させれば、容器本体4bおよび蓋部4aの溶融した樹脂層33,33が一体になりながら固化し、これにより電池容器4内の気密を保持する融着代11が形成される。なお、1枚の外装材34を成形して蓋部4aと容器本体4bとを一体に作製する場合と、蓋部4aと容器本体4bとを別々に作製する場合とがある。
図1〜図3に示すように、リード部材28,29は、一端がセル2の電力取出部50,80に接続され他端が融着代11を経て電池容器4の外側に延び出ている帯材12,13と、それら帯材12,13に接続された導線21,22とによって構成されている。具体的には、正極集電体5と一体の電力取出部50に正極用の帯材12の一端が接続されており、負極集電体8と一体の電力取出部80に負極用の帯材13の一端が接続されている。正極集電体5の電力取出部50は、発電単位20の各々に設けられており、これら複数の電力取出部50は1つに束ねられている。負極側の電力取出部80についても同様である。正極用の帯材12は、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム合金にて構成するとよい。負極用の帯材13は、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、ニッケルメッキを施した銅またはニッケルメッキを施した銅合金にて構成するとよい。導線21,22には、それらが接続する帯材12,13と同種の金属材料や、上記に列挙した良導性の金属材料を用いることができる。
融着代11と、導線21,22を挿通する隙間HSの形成形態について説明する。図5に示すのは、電池1の上面模式図であり、融着代11の形成領域を幾何模様で表している(図5中では導線21,22は省略)。符号14は、帯材12,13の取り出し位置での絶縁性および気密性を高めるための樹脂フィルムを示している。これらの図に示すように、融着代11は、帯材12,13の取り出し位置を含め、セル2の周囲に沿って形成されている。この融着代11を厚さ方向に折り曲げることにより、電池1のコンパクト化を図ることができる。このとき、折り曲げた融着代11と電池容器4の側面部4fとの間に隙間HSができるようにし、そこに導線21,22を通すようにすれば、電池1はコンパクト化が図られるとともに、レイアウトの自由度が高まる。
図6に示すように、融着代11の外周部分11bを電池板面方向WL(板面に平行な方向)に対して90度以上折り曲げ、当該電池1の実質的な大きさ(占有面積)を減少させることができる。図6では融着代11の外周部分11bについて、電池容器4(容器本体4b)の側面部4fに接する(又は向かい合う)ように折り曲げている。他方、融着代11のうち内周部分11aは、電池板面方向WLに張り出すように調整されている。これにより、電池容器4の側面部4fと、折り曲げられた融着代11との間に、導線21,22の引き回し通路である隙間HSが形成されている。電池容器4の側面部4fに外周部分11bが接触した状態に保持されるよう、折り曲げられた融着代11は、粘着テープ、熱収縮フィルム、接着剤等の固定手段(図示省略)により固定される。折り曲げ状態が保持された融着代11により、導線21,22が固定・保護される。なお、隙間HSは、電池板面方向WLからの、耐衝撃性の向上にも寄与する。
また、隣り合う2辺を構成する融着代11を折り曲げに供する場合においては、コーナに折り皺ができてしまう。また、折り線(外周部分11bと内周部分11aの境界)の形成位置の調整も面倒である。そこで、融着代11を折り曲げる工程に先立って、図2および図5に示すように、多角形状のセル2の各コーナに対応する位置において、切欠き部40〜45を形成する。これにより、折り曲げ容易性の向上を図ることができ、隙間HSを容易に形成できるようになるうえ、折り皺も発生しにくくなる。
図1に示すように、セル2の各辺に対応するように形成された融着代11は、切欠き部40〜45が両端に設けられることにより、個別に折り曲げられている。すなわち、融着代11は、切欠きが形成されることにより周方向の複数箇所に区分けされ、その区分けされた1つ1つが独立して折り曲げられている。電池容器4からの帯材12,13の取り出し位置となっている融着代11は、折り曲げられておらず、その両端に隙間HSの入口が形成されている。帯材12,13は、融着代11に重なるように融着代11の折り曲げ側と同じ側に180°折り畳まれている。そして、その折り畳まれた部分に、導線21,22との接合部24,25が形成されている。このようにすれば、帯材12,13の突出分だけ電池1の占有面積が減る。また、折り畳んだ部分に導線21,22を接合すれば、両者の接合部24,25に負荷が懸かったりする恐れも小さくなり、接続信頼性の観点で好ましい。本実施形態では、両者の接合を先に行なってから、帯材12,13を折り畳むようにしているが逆でもよい。帯材12,13と、導線21,22との接合は、抵抗溶接、超音波溶接、ロウ接等の方法により行なうことができる。
図1に示すように、各導線21,22は、それらの左右2箇所に入口が形成された隙間HSに個別に案内されており、電池容器4の側面部4fに沿って進み、当該電池1における、帯材12,13の延出している側とは反対側で合流するようになっている。これにより、帯材12,13の取り出し位置を180°反対側にした場合と、実質的に同一レイアウトとなっている。電気製品の仕様により、図5中の領域A側に電力取出端子が必要であるが、本実施形態のように、電池の形状の制約からそれが困難な場合がある。このような場合に、融着代11を折り曲げて形成した隙間HSに導線21,22を通して反対側に延ばせば、大きな設計変更を伴うことなく電池1のリード部材28,29(具体的には導線21,22)の先端位置と、電気製品側の端子の位置との整合を図ることができる。
また、切欠き部40,41のように隣り合う1組の切欠き部にまたがって、該融着代11を外周部分11bと内周部分11aとに区分けする折り線KLが形成される(図5参照)。切欠き部40,41の形成位置における融着代11の残存幅dは、融着代11の内周縁から折り線KLまでの幅を決定する。すなわち、切欠き部40〜45を形成するための切り込み深さを調整することが、折り曲げ位置を定めることに兼用されていることとなる。
具体的には、図7の模式図に示すように、各部を調整することができる。まず、融着代11の形成幅dは、たとえば2.0mm以上6.0mm以下に調整することが望ましい。融着代11の形成幅dを小さく調整しすぎると、十分な耐水分透過性が得られなくなる恐れがある。逆に、融着代11の形成幅dを大きく調整しすぎると、折り曲げ時に電池1の上面に食み出たりする場合があるので好ましくない。また、切欠き部42(全ての切欠き部を代表する)の形成位置においては、融着代11の残存幅dを0.5mm以上確保することが望ましい。残存幅dを小さくし過ぎると、容器内への水分透過が活発になり、電池1の特性劣化を加速させる恐れがあるし、融着代11の内周部分11aの幅Dを十分確保できず、導線21,22を挿通する隙間HSを十分に形成できなくなる。
また、図7(b)に示すように、切欠き部42の底、つまり切欠きの先端には、電池容器4の内部側に凹の適度な円弧形状が付与されていることが望ましい。切欠き部42の形成は、切断刃を用いて行なうことができるが、切欠きの先端が鋭くなっていると、融着代11の折り曲げ作業中等において、切欠きの先端から破断が進行したりして、電池容器4内に空気がリークする恐れがある。他方、図7(a)(b)に示すように、切欠いた断面に円弧形状が付与されている場合には、破断が生じ難い。円弧の半径Rは、たとえば0.1mm程度とすることができる。また、融着代11の残存幅dにほぼ等しい半径の円弧形状を付与するようにしてもよい。
また、図7(b)に示すように、切欠き部42は、円弧形状の両端から延びる1組の切欠き線を仮想的に延長したとき、それら切欠き線が鋭角θで交わるように設けられていること好ましい。つまり、先端は円弧形状を付与しつつ鋭角に切り欠いて切欠き部42を形成すれば、耐水分透過性の保持効果と、破断防止効果とをバランスよく保つことができる。同様の理由から、図7(c)に示すように、一定幅の切欠きを設けつつ、切欠きの先端に円弧形状を付与する形態も好適である。
なお、図10に示すように、融着代11の折り曲げによって形成された隙間HSに導線21,22を挿通する構成を、方形状の電池60に適用してもよい。また、図11に示す電池100のように、導線21,22は電池容器4の帯材12,13を取り出した側から反対側に向かう中途に形成された切欠きより引き出すことが可能である。切欠きの形成位置は、セル2のコーナに対応した位置に限定されないので、導線21,22の引き出し位置についても比較的自由に調整できる。
本発明にかかるリチウムイオン二次電池の斜視図。 図1の電池の分解斜視図。 図1の電池のIII-III断面図。 図1の電池を構成する発電単位の断面模式図。 図1の電池の分解上面図。 融着代の折り曲げ形態を示す断面模式図。 切欠き部の形成形態を説明する模式図。 電池容器の材料である外装材の構成を示す断面模式図。 電池容器の封止手順を示す断面模式図。 本発明にかかるリチウムイオン二次電池の別実施例。 導線の取り出し位置を変更した図1の電池の別形態を示す斜視図。

Claims (5)

  1. 金属箔(32)に熱融着性樹脂(33)がラミネートされてなるフィルム外装材(34)で構成された電池容器(4)に、電極(7,10)およびセパレータ(3)を備えた板状の発電要素(2)が気密封止され、前記発電要素(2)に導通するリード部材(28,29)が前記電池容器(4)の外側に延出されたフィルム外装型電池(1)であって、
    内側に位置する前記熱融着性樹脂(33)の溶融および固化により上下の前記フィルム外装材(34)が貼り合わさって前記電池容器(4)内の気密を保持する融着代(11)が前記発電要素(2)の周囲に沿って形成され、
    前記電池容器(4)の側面部(4f)との間に隙間(HS)が形成されるように前記融着代(11)が電池厚さ方向に折り曲げられており、
    その隙間(HS)に前記リード部材(28,29)が案内されていることを特徴とするフィルム外装型電池(1)。
  2. 前記電池容器(4)には、多角形状を有する前記発電要素(2)のコーナに対応して前記融着代(11)を内側方向に切欠いた切欠き部(40〜45)が設けられ、
    それら切欠き部(40〜45)が形成された位置における前記融着代(11)の残存幅(d)に応じて、該融着代(11)を外周部分(11b)と内周部分(11a)とに区分けする折り線(KL)が形成され、
    前記外周部分(11b)が前記電池容器(4)の側面部(4f)と接する又は向かい合うとともに、前記内周部分(11a)が電池板面方向に張り出すように調整されることにより前記隙間(HS)が形成されている請求項1記載のフィルム外装型電池(1)。
  3. 多角形状の前記発電要素(2)の一辺から突出する形で電力取出部(50,80)が設けられ、
    前記電力取出部(50,80)に一端が接続され、他端が前記電池容器(4)の外側に延出された帯材(12,13)と、前記電池容器(4)の外側に延出された前記帯材(12,13)に接続された導線(21,22)とを含んで前記リード部材(28,29)が構成され、
    前記融着代(11)は、正極(7)側の前記帯材(12)と負極(10)側の帯材(13)との両側に前記隙間(HS)の入口が形成されるように折り曲げられており、
    正極(7)側の前記導線(21)と負極(10)側の前記導線(22)とは、互いに反対方向に向かって延びて前記隙間(HS)の入口に個別に案内されている請求項1または2記載のフィルム外装型電池(1)。
  4. 前記隙間(HS)に個別に案内された前記導線(21,22)の各々は、当該電池(1)における、前記帯材(12,13)の延出している側とは反対側で合流する形となっている請求項3記載のフィルム外装型電池(1)。
  5. 前記発電要素(2)が、リチウム含有複合酸化物を活物質に持つ正極(7)と、リチウムの吸蔵・放出が可能な材料を活物質とする負極(10)と、それら正極(7)と負極(10)との間に介在するセパレータ(3)とを含むリチウムイオン二次電池(1)として構成された請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフィルム外装型電池(1)。
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