JP2005070571A - ビデオ顕微鏡装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ビデオ顕微鏡装置において、複数の試料をそれぞれ配置できるようにした複数の支持部と、各複数の支持部に配置される各試料の拡大像をそれぞれ独立して作ることが可能な対物レンズと、これら複数の支持部の試料配置空間を囲み各支持部に配置される複数の試料を同一の環境にすることを可能とする環境室と、上記複数の対物レンズの各拡大画像を選択的に撮影可能なカメラ装置と、カメラ装置での撮影データを各試料間で相互に比較可能なようにパラメータとともに関係付けて記録する記録装置を設ける。
【選択図】図1
Description
こうした観察時間の長期化の問題は、異なる複数の処理等の効果・影響を調べようとする場合さらに問題となるが、時間だけでなく対象の環境が異なる可能性が生じという問題も惹起する。すなわち、試料として使用する細胞の状態も、細胞は時々刻々分裂増殖しており、分裂増殖を繰り返すたびに、細胞は、獲得した性質を失っていったり、その密度も変わって行く。また、処理等の研究効果を行う場合、温度や湿度等の試料の環境を同一に維持することが好ましいが、従来の顕微鏡装置の場合、それぞれを異なる日に観察することになり、資料環境を同一に維持することが難しいという問題があった。
試料支持部6上には、4つの独立した試料8がそれぞれ別のシャーレ内に入れられて載置できるよう構成され、それらの4つの試料載置部分全体が、下面が支持部6の構成壁で、また側面と上面が側壁5で囲繞され、これらの壁で構成された環境室2内に配置された状態となっている。後述する方法により、全ての試料8を、温度、湿度、CO2濃度など、その培養に必要な条件、同じ環境を与える事ができるようにされている。
その位置調節機構の詳細を図3に示す。試料支持部6の構成壁を一部凹状にえぐり、そこに、試料支持部構成壁の上面よりわずかに高くなる様な厚みのプレート、試料可動支持板14を置く。この試料可動支持板14は、下部にある対物レンズ15から支持部構成壁に開けた穴を通してその上に置かれる試料8が直接観察できるように、穴があけてある。また、この試料可動支持板14の大きさは試料支持部6の構成壁の凹状部よりも小さく構成され、凹状部内で水平方向に位置を変えられるよう構成されるとともに、顕微鏡本体1の環境室の壁5から外にでるような耳部を持っている。この耳部分を顕微鏡外部から動かし、内部でこの試料可動支持板14上に乗っている試料8の対物レンズ15に対する水平方向位置を変化させ観察部位を限定された範囲で、移動させることができる。
勿論、このプレート部分を、電気的にX−Y方向に可動できる自動ステージとして装置化しても良い。自動ステージにすれば、同一の試料で、複数の位置が観察可能となる。大まかな試料の位置は、試料を設置した時に決定できる。
この光学拡大部3の側壁は、図2に見られるように、四隅の柱のみで、側方に窓があいており、外部から対物レンズ上下可動ホルダー16が実験者により回せる様になっており、試料8のどの部分にピントを合わせるかは、観察者があらかじめ所定のピント位置に、対物レンズ上下可動ホルダー16を回わして、複数の試料それぞれに独立して自由に設定できるようになっている。
更に、これにピエゾ素子などでできたレンズマウントを、サブミクロンオーダーで上下に電気的に駆動可能な対物レンズのマウント部として、対物レンズ上下可動ホルダー16の中に組み込んだり、対物レンズ上下可動ホルダー16の代わりに設置して、電気的に俊敏に、試料の上下方向の様々な面の画像が複数撮影できる様にも出来る。これらにより、従来のラック&ピニオン方式の複雑な対物レンズ上下駆動装置が不要となり、装置のコストや部品点数およびスペースを押さえる事ができる。もちろん、幅広い範囲の駆動や自動焦点化などの為に、従来方式の上下駆動装置を採用しても良い。
カメラ部4には、4つの対物レンズ15のそれぞれの下方に、結像点に画像検出部18が来るよう4つのカメラ17が独立して取り付けてある。4つのカメラ17は、本体1の下方側部にカメラ毎に設けられた4つの画像出力・制御端子30を介して制御ユニット19に接続それる。制御ユニット19により、撮影の制御がなされ、長時間の観察では、一定の時間間隔毎に、光源のONと同期して撮影ONの制御が行えるようになっている。画像に関しては、現在では、その画像検出部18の例えばCCDの各画素での光の強度が、高速A/Dコンバーターなどで、デジタル値に変換され、定量的な画像データとして、試料第番号等の識別記号および共通パラメータとしての撮影時刻データともに、画像記録装置22内のデジタル記録媒体に記録できる。更に、その画像データ1枚1枚が、相互に演算対象となり、連続した画像の差像など様々な画像処理が出来、その演算結果も記録できる。
また、環境室2内部の温度条件を一定にするために、環境室2を構成する支持部6および側壁5の内部に液体を流す流路26を設けてあり、所定の温度にされた水等の液体供給源(図示せず)からの液体を流路26に供給し、環境室2周辺を流すことにより、環境室内の温度を適切な範囲に維持するように構成されている。
尚、この実施例の環境制御に代え、内部表面に、ペルチエ素子やヒーターを付設し、内部温度を一定に保つ機構を付加しても良い。また、この様な条件は同じまま、さらに紫外線の照射など3次的な条件をおのおのの試料に対して変える事もできる。さらに、必要であれば、内部に仕切り板をおいて、同じ条件のうちのある条件を(例えば、同じ温度で、違う炭酸ガス濃度や湿度の様に)変える事もできる。
連続的に発光している光源の場合は、チョッパーなどでその照射・非照射を制御することもできる。また、外部に単一の光源を持ち、回転ミラーやチョッパーや光ファイバーあるいはそれらの組み合わせ等で、必要な時に、光を環境室内に導入し光照射できるような機構としても良い。
図1の光照射装置9には、光源10の他に、細胞などの形態観察によく用いられる位相差観察の為に必要な位相板11が設置され、位相板を通過した光がレンズ12で集光され、顕微鏡の視野内に存在する細胞群を、ケーラー照明の様な理想的な照明で、照射されるように構成されている。他に、細胞を染色しなくても観察できるものとして、ノマルスキー微分干渉観察や暗視野観察などに必要な光学系を組み込んでも良い。
試験の開始時、光源10に信号が送られ、各試料8が照射装置9により照射された状態にされるとともに、各試料8に対応したカメラ17による試料8の拡大画像がモニターに表示される。試験者は、モニターに表示された画像を見ながら試料可動支持板14を操作し、観察したい部位が表示される位置に試料位置を設定する。また、対物レンズ上下可動ホルダー16を回転操作し、焦点を合わせ設定する。次に、環境室内のCO2濃度等を適切に設定する。
試験が開始されると、観察者が試験に応じて自由に設定した画像入手タイミングで、制御信号をコンピュータである制御ユニット19からカメラ17および照射装置9に送り、光源10を電源ONあるいは照射して、各サンプルそれぞれに対して顕微画像を入手しそのデータをそのままあるいは画像処理部21で画像処理された顕微画像データを記録媒体22に記録することが出来る。画像データの記録は、撮影時刻としての時間軸とその時の環境データと共に、記録媒体22に記録される。
図5は、繊維芽細胞という皮膚の下層に存在する細胞が、培養により一面に広がった状態(コンフルエントになったと言う)になった時に、図の真ん中に、細胞群を線状にはぎ取り部分を形成し、傷の修復過程観察のモデルとしたものである。すると、顕微鏡1つでの観察であるが、時間と共に、この傷となったゾーンに細胞が移動して傷を修復していく過程が分かる。実はここでも発見があり、細胞は、まず移動して、間を粗に埋める事を先行し、ある程度まばらでも埋めると、初めて、細胞分裂し始め(右下に細胞分裂した細胞の個数が表示されている)、最終的に密に、傷のゾーンを修復する事が、この様な長時間のビデオ観察で分かった。しかし、この観察中も問題が様々にあった。この観察中、顕微鏡の光源は、ずっと細胞を照らし続けており、この長時間の光照射が、細胞にどんなダメージを与えているかは分からず、その影響も、この結果の中には含まれている。細胞を培養室から、その都度取り出して見る方が、その点良いが、その場合、同じ観察点を探して、まったく同じ位置の画像を撮る事は殆ど不可能であること、また、顕微鏡の上に、一日中置くために、環境設定として、顕微鏡の設置してある部屋の温度を37度にして、作業し、培養液の細胞の代謝によるpHなどの変化には、CO2ガスの注入が出来ないため、培養液を多くして何とか対応せざるを得なかった事など、様々な問題を含んでいた。さらに、これに、違う条件を加味する場合、顕微鏡1台では、翌日の実験となり、その時は、スタート時の細胞も培養が進み、同じように一面に広がっているとは言え、同じ細胞密度ではないなど、すでにスタート時点での、差異が一日後では、存在する事を覚悟しなくてはならなかった。
従って、この様な観察装置は、細胞や生体組織の様々な変化への、実に多種多様な因子の発見や機能解析を可能とし、生命現象のメカニズムの解明を加速し、結果として新しい医薬品や治療法の開発も加速する重要な観察手段、研究手段を提供するものと期待できる。
環境室
光学拡大部
画像検出部
環境室側壁
試料支持部
光学検出部支持台
試料(シャーレ内)
光照射部
光源(LED等)
位相リング
集光レンズ
対物レンズシール
試料可動支持台
対物レンズ
対物レンズ上下可動ホルダー
カメラ
画像検出部
制御ユニット
モニター
画像処理部
画像記録装置
CO2ボンベ
加湿・恒温装置
加湿・恒温ガス導入部
環境室恒温保持用液体通路
センサー
環境室開閉ヒンジ
環境室締め具
画像出力/制御端子
光源(蛍光観察用)
ダイクロイックミラー
ミラー回転用モーター
回転ミラー
特殊カメラあるいは高感度カメラ
Claims (6)
- 試料を配置する支持部を備えた支持装置と、該試料を照射する光源を備えた照射装置と、該支持部に配置される試料の拡大像を作るための対物レンズを備えた光学拡大装置と、該光学拡大装置で作られた試料の拡大像を撮影するカメラ装置と、該カメラ装置の撮影データをそのままもしくは処理した後記録する記録装置とを有するビデオ顕微鏡装置において、上記支持装置の支持部が異なる複数の試料をそれぞれ配置できるように複数設けられ、上記光学拡大装置の対物レンズが複数の支持部に配置される各試料の拡大像をそれぞれ独立して作ることが可能なように各支持部に対応して複数設けられ、上記複数の支持部の試料配置空間を囲み各支持部に配置される複数の試料を同一の環境にすることを可能とする環境室が設けられ、上記カメラ装置が上記複数の対物レンズの各拡大画像を選択的に撮影可能に構成され、上記記録装置にはカメラ装置からの撮影データが各支持部に配置される試料の画像データが相互に比較可能なパラメータとともに関係付けられて記録装置に記録されるようにしたことを特徴とするビデオ顕微鏡装置。
- 上記照射装置は光源からの光を複数の支持部毎に独立して照射もしくは非照射することが可能に構成され、かつ、特定の支持部の試料に対する照射非照射が、当該試料の拡大画像を上記カメラ装置で撮影する時照射し撮影しないとき非照射とするよう制御されるようにされていることを特徴とする請求項1記載のビデオ顕微鏡装置。
- 上記照射装置は支持部の数と同数の光源を備え、各光源が対応する支持部に配置される試料を照射するよう構成され、かつ、各光源による特定の支持部の試料に対する照射非照射が、当該光源の発光消灯で制御されるように構成されていることを特徴とする請求項2記載のビデオ顕微鏡装置。
- 上記支持装置の複数の支持部には各支持部に配置される試料の位置をそれぞれ独立して調整できる位置調整機構が設けられているとともに、上記光学拡大装置の複数の対物レンズには各対物レンズの焦点距離を独立して調整する焦点距離調整機構が設けられていることを特徴とする請求項1記載のビデオ顕微鏡装置。
- 上記記録装置に記録される試料の画像データと関係付けられるパラメータが時間であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載のビデオ顕微鏡装置。
- 上記環境室内の雰囲気を所望の実験環境に維持すべく、上記環境室内の炭酸ガス濃度、温度、湿度の少なくとも一つを制御する環境制御装置を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載のビデオ顕微鏡装置。
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