図1に本発明を適用した、カラー画像を形成可能な画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、カラーレーザプリンタであるが、他のタイプのプリンタ、ファクシミリ、複写機、複写機とプリンタとの複合機等、他の画像形成装置であっても良い。画像形成装置100は、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。これは画像形成装置100がファクシミリとして用いられる場合も同様である。画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体として画像形成を行なうことが可能である。
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な複数の像担持体としての感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKを並設したタンデム構造を採用しており、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに形成された可視像が、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに対峙しながら矢印A1方向に移動可能な無端ベルトである中間転写体としての中間転写ベルトである転写ベルト11に対しそれぞれ重畳転写され、その後、記録媒体である転写材たる転写紙Sに一括転写されるようになっている。
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに形成された可視像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに対向して配設された回転体としての1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKは、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKはそれぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像を形成するための、画像形成部としてのトナー像形成部たる画像ステーションに備えられている。
画像形成装置100は、かかる4つの画像ステーションと、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKの上方に対向して配設され、転写ベルト11及び1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKを備えた転写ベルトユニット10と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11に従動し、連れ回りする転写部材としての転写ローラである2次転写ローラ5と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11上をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置としてのクリーニング装置13と、かかる4つの画像ステーションの下方に対向して配設された光書き込み装置としての光走査装置8とを有している。
画像形成装置100はまた、感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKと転写ベルト11との間に向けて搬送される転写紙Sを積載した給紙カセットとしてのシート給送装置61と、シート給送装置61から搬送されてきた記録紙Sを、画像ステーションによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKと転写ベルト11との間の転写部に向けて繰り出すレジストローラ対4と、転写紙Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
画像形成装置100はまた、トナー像を転写された転写紙Sに同トナー像を定着させるためのローラ定着方式の定着ユニットとしての定着装置6と、定着済みの転写紙Sを画像形成装置100の本体外部に排出する排紙ローラ7と、画像形成装置100の本体上部に配設され排出ローラ7により画像形成装置100の本体外部に排出された転写紙Sを積載する排紙トレイ17と、排紙トレイ17の下側に位置し、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル9Y、9C、9M、9BKとを有している。
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKの他に、中間転写ベルトケース14と、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKとともに転写ベルト11を巻き掛けられた、回転体としての、駆動部材である駆動ローラ72と、転写入口ローラ73と、クリーニング対向ローラ74とを有している。
クリーニング対向ローラ74は、詳細を図示しない付勢手段により、転写ベルト11の張力を増加する方向に付勢されており、転写ベルト11に、転写に適した所定の張力を与える加圧部材としてのテンションローラたる機能を有している。この点、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BK、駆動ローラ72、転写入り口ローラ73は定位置で回転し、加圧部材としての機能を有しておらず、よって加圧部材とは異なる。転写ベルトユニット10と、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKと、2次転写ローラ5と、クリーニング装置13とは、転写装置71を構成している。
シート給送装置61は、画像形成装置100の本体下部に配設されており、最上位の転写紙Sの上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ3を有しており、給送ローラ3が反時計回り方向に回転駆動されることにより、最上位の転写紙Sをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。
定着装置6は、熱源を内部に有する定着ローラ62と、定着ローラ62に圧接された加圧ローラ63とを有しており、トナー像を担持した転写紙Sを定着ローラ62と加圧ローラ63との圧接部である定着部に通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を転写紙Sの表面に定着するようになっている。
クリーニング装置13は、詳細な図示を省略するが、転写ベルト11に対向、当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有しており、転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。
画像ステーションについて、そのうちの一つの、感光体ドラム20Yを備えた画像ステーションの構成を代表して構成を説明する。なお、他の画像ステーションの構成に関しても実質的に同一であるので、以下の説明においては、便宜上、感光体ドラム20Yを備えた画像ステーションの構成に付した符号に対応する符号を、他の画像ステーションの構成に付し、詳細な説明については適宜省略することとし、符号の末尾にY、C、M、Kが付されたものはそれぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像形成を行うための構成であることを示すこととする。
図2に示すように、感光体ドラム20Yを備えた画像ステーションは、感光体ドラム20Yの周囲に、図中時計方向であるその回転方向B1に沿って、1次転写ローラ12Yと、クリーニング手段としてのクリーニング装置40Yと、帯電手段である帯電装置としての帯電ローラ30Yと、現像手段としての現像ユニットである現像装置50Yとを有している。
クリーニング装置40Yは、感光体ドラム20Yに対向する部分に開口部を有するクリーニングケース43Yと、基端部がクリーニングケース43Yに固定され先端部が感光体ドラム20Yに当接し感光体ドラム20Y上の残留トナーを掻き取ってクリーニングするためのクリーニングブレード41Yと、クリーニングケース43Yに回転自在に支持され、クリーニングブレード41によって掻き取られた残留トナーを図示しない廃トナーボトルに向けて搬送するための廃トナースクリュ42Y等を有している。
帯電ローラ30Yは、感光体ドラム20Yの表面に当接して従動回転する。帯電ローラ30Yには、直流に交流成分のバイアスを重畳印加する図示しない電圧印加手段が接続されており、感光体ドラム20Yと対向する帯電領域において、感光体ドラム20Yの表面を除電すると同時に、所定の極性に帯電するようになっている。帯電ローラ30Yには、帯電ローラ30Yに従動回転するクリーニングローラ31Yが当接しており、帯電ローラ30Yをクリーニングするようになっている。
現像装置50Yは、感光体ドラム20Yに対向する部分に開口部を有する現像ケース55Yと、かかる開口部から感光体ドラム20Yに臨むよう感光体ドラム20Yに近接対向して配設された現像ローラ51Yと、現像ローラ51Y上の現像剤を一定の高さに規制する現像ブレード52Yと、現像ケース55Yの下部に互いに対向するように配設され、現像剤を攪拌するとともに現像ローラ51Yに現像剤を供給するための第1搬送スクリュ53Y及び第2攪拌スクリュ54Y等とを有している。
現像装置50Yにおいては、現像ブレード52Yによって現像剤の担持量を規制された現像ローラ51Yが、その矢印C1方向への回転により、現像ローラ51Yと感光体ドラム20Yとの間の現像領域に、現像ブレード52Yによって量を適量とされた現像剤を運び、現像剤中のイエロートナーが感光体ドラム20Yの表面に形成された静電潜像に静電的に移行して、静電潜像をイエロートナー像として可視像化するようになっている。現像ケース55Y内の現像剤には、トナーボトル9Yからイエロートナーが補給、供給され、第1搬送スクリュ53Y及び第2攪拌スクリュ54Yによって供給されたイエロートナーと現像剤とが攪拌混合され、攪拌混合された現像剤が現像ローラ51Y供給される。
1次転写ローラ12Yには、図示しない電圧印加手段によって1次転写に適した所定の電圧が印加されるようになっている。図1に示した光走査装置8は、図2に示すように、感光体ドラム20Yにおける帯電領域と現像領域との間の領域に、光変調されたレーザー光Lを照射して帯電ローラ30Yにより帯電された後の感光体ドラム20Yの表面を露光し、現像装置50Yによってイエロートナー像として可視像化される静電潜像を形成するようになっている。
したがって、感光体ドラム20Yは、B1方向への回転に伴い、帯電ローラ30Yにより表面を一様に帯電され、光走査装置8からのレーザー光の露光走査によりイエロー色に対応した静電潜像を形成され、この静電潜像を現像装置50Yによりイエロー色のトナーにより現像され、現像により得られたイエロー色のトナー像を1次転写ローラ12YによりA1方向に移動する転写ベルト11に1次転写され、転写後に残留したトナー等の異物をクリーニング装置40Yにより除去されて帯電ローラ30Yによる次の除電、帯電に供される。
他の感光体ドラム20C、20M、20BKにおいても同様に各色のトナー像が形成される等し、形成された各色のトナー像は、1次転写ローラ12C、12M、12BKにより、A1方向に移動する転写ベルト11上の同じ位置に順次1次転写される。転写ベルト11上に重ね合わされたトナー像は、転写ベルト11のA1方向の回転に伴い、2次転写ローラ5との対向位置である2次転写部である転写部まで移動し、この転写部において転写紙Sに2次転写される。
転写ベルト11と2次転写ローラ5との間に搬送されてきた転写紙Sは、シート給送装置61から給送ローラ3によって繰り出されてフィードされ、レジストローラ対4によって、センサによる検出信号に基づいて、転写ベルト11上のトナー像の先端部が2次転写ローラ5に対向するタイミングで送り出されたものである。
転写紙Sは、すべての色のトナー像を一括転写され、担持すると、定着装置6に進入し、定着ローラ62と加圧ローラ63との間の定着部を通過する際、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を定着され、転写紙S上にカラー画像が形成される。定着装置6を通過した定着済みの転写紙Sは、排紙ローラ7を経て、画像形成装置100の本体上部の排紙トレイ17上にスタックされる。一方、2次転写を終えた転写ベルト11は、クリーニング装置13に備えられたクリーニングブラシ及びクリーニングブレードによってクリーニングされ、画像ステーションによる次の現像工程に備える。
転写ベルト11を内部から張架している回転体は、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKと、駆動ローラ72と、転写入口ローラ73と、クリーニング対向ローラ74との、合計7本である。転写ベルト11の外面から当接する部材としては、感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKと、2次転写ローラ5と、クリーニング装置13とがある。
駆動ローラ72は、転写ベルト11を挟んで2次転写ローラ5と互いに対向する位置に配設されており、図示しないモータ等の駆動源により、回転駆動され、転写ベルト11を回転駆動するようになっている。転写入口ローラ73は、転写ベルト11を挟んで駆動ローラ72と2次転写ローラ5とが互いに対向した2次転写部の、A1方向上流側であって、転写ベルト11を挟んでレジストローラ対4と対向する位置に配設されている。
クリーニング対向ローラ74は、A1方向における最上流の画像ステーションであるイエロートナー像を形成する画像ステーションよりもA1方向上流側であって、2次転写部よりもA1方向下流側の、転写ベルト11を挟んでクリーニング装置13、具体的にはクリーニング装置13に備えられたクリーニングブラシ及びクリーニングブレードと互いに対向する位置に配設されている。
転写ベルト11を巻き掛けた巻き付け角は、駆動ローラ72が100°であり、クリーニング対向ローラ74が170°である。よって、オイラー式等から公知のように、そのグリップ力はクリーニング対向ローラ74の方が優れている。したがって、グリップ力から判断すると転写ベルト11の駆動をクリーニング対向ローラ74により行うことが適している。
しかしながら、転写ベルト11の駆動をクリーニング対向ローラ74により行うとすれば、転写ベルト11に1次転写、2次転写に適した所定の張力を与えるための加圧部材を、他に設けなければならないこととなる。クリーニング対向ローラ74以外の部材を加圧部材とする場合、転写入口ローラ73を加圧部材とすると、2次転写部入口の形状が随時変化することとなり得るため、転写紙Sの搬送が不安定となり転写不良を発生させるおそれがある。よって転写入口ローラ73を加圧部材とすることは適切でない。
また、転写ベルト11を挟んで2次転写ローラ5に対向する部材、いわゆる転写対向部材たる転写対向ローラは、2次転写ローラ5に対し、言い換えると転写位置に対し、固定でなくてはならないので、かかる転写対向ローラを加圧部材とすることは適切でない。したがって、クリーニング対向ローラ74以外の部材を加圧部材とする場合には、加圧部材を別途、追加して配設せざるを得ない。しかしながら、加圧部材を追加して配設すると、転写ベルトユニット10の構成が複雑になる、大型化する、重量が増加する、コストが増加するなどの問題が発生する。
また、クリーニング対向ローラ74以外の部材を加圧部材とする場合には、外部負荷の問題もある。外部負荷は、転写ベルト11の移動速度の変動の原因となり、移動速度の変動が発生して転写ベルト11の走行に安定性を欠くと、転写位置のズレなどの画像不良が発生するのである。外部負荷は、転写ベルトユニット10に当接する部材との間の加圧力によって発生する。
転写ベルトユニット10に生じる加圧力は、具体的には、概ね、2次転写ローラ5との当接部にて30N、感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKとの当接部にて3N、クリーニング装置13との当接部にて5Nである。2次転写ローラ5との当接部にて、転写ベルト11に最も負荷がかかっていることから、転写ベルトユニット10の系においては、2次転写ローラ5との当接部で外部負荷の問題、すなわち転写ベルト11の走行性の問題が発生することとなる。
外部負荷の問題を解決するには、転写ベルト11とこれに当接した各部材自身が駆動され、転写ベルト11とかかる各部材との間に線速差すなわち摺動が発生しない構成とすることが考えられる。しかしながら、この構成を採用した場合には、転写ベルト11の駆動に関して負荷は発生しないものの、線速の調整が不可欠であり、そのための構成が付加されるため、装置の複雑化また大型化を招くという問題がある。
外部負荷の問題を解決するための他の構成として、2次転写ローラ5を転写ベルト11に連れ回りさせる構成があるが、転写対向ローラが転写ベルト11を回転駆動するための駆動部材でない場合は転写ベルト11の駆動に対して負荷となるという問題がある。また連れ回りは転写などでの文字抜け画像等の画像不良の発生が見られるなど、転写の線速を等速に合わせることは必ずしも画像に良くない事も分かっている。このように、転写ベルト11に対する加圧力の大きな部材を、転写ベルト11を回転駆動するための駆動部材と離して設置すると、転写ベルト11の走行性の安定化等に不具合を発生させ、画像不良が発生しやすくなることがあった。
そこで、転写装置74においては、すでに述べたように、2次転写ローラ5が転写ベルト11を挟んで対向する2次転写対向ローラを、駆動ローラ72としている。この構成によれば最も加圧力の大きな2次転写ローラ5により、転写ベルト11と駆動ローラ72との間に垂直に力が働き、この力に転写ベルト11と駆動ローラ72との間の摩擦係数をかけた力が摩擦力となって転写ベルト11を駆動する際のグリップ力となる。
また転写装置74においては、すでに述べたように、2次転写ローラ5が転写ベルト11に連れ回りし、従動して回転するようになっている。これにより、2次転写ローラ5の駆動の構成を設ける必要がなく、装置を簡便化、小型化、低コスト化している。また、外部負荷の問題を解決する等し、転写ベルト11の走行性の安定も同時に達成している。
さらに、駆動ローラ72は、後述するように弾性体の表層を有しており、弾性体には温度変化によって駆動ローラ72の径を変動させる性質があるため、転写ベルト11が速度変動を生じる可能性があるが、2次転写ローラ5を連れ回り構成にすることにより、温度変化によって駆動ローラ72の径が変動し転写ベルト11の速度変動を生じても、2次転写ローラ5の回転速度を転写ベルト11の速度に合わせるための線速合わせの機構を設ける必要が無く、安定した用紙搬送、転写を行うようになっている。
転写装置74においては、駆動ローラ72の巻き付け角が従動ローラたるクリーニング対向ローラ74に比較して小さく、単に巻き付け角で比較した場合には、駆動ローラ72による転写ベルト11のグリップ力がクリーニング対向ローラ74による転写ベルト11のグリップ力より小さい。しかし、2次転写ローラを転写ベルト11を介して駆動ローラ72に圧接しているため、この加圧力によって大きなグリップ力を得ている。
駆動ローラ72に対する転写ベルト11の巻き付け角は、転写装置71に対し下側から給紙し、転写装置71の上方に定着を配置し、転写ベルト11の側面で記録紙Sを縦方向に搬送する構成を採用していることから、かかる角の角度を90°以上にする事が望ましい。これは、90°以下であればベルトは駆動ローラ72を中心に転写ベルト11が広角を持って配置されるためである。
一方、転写ベルト11の内部に1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BK等を配置するスペースを確保し、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BK、転写入口ローラ73、クリーニング対向ローラ74といった従動ローラを配置することを考慮すると、転写装置71の小型化の観点から、かかる角の角度を130°以下にすることが望ましい。これは、130°以上になれば転写入口ローラ73、クリーニング対向ローラ74といった従動ローラを配置するために1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKの配設ができなくなり、画像ステーション間のピッチを確保できなくなるためである。
以上のような構成により、転写ベルト11の駆動力を向上させ、転写ベルト11の走行性を向上し、安定した転写性能を担保させたが、転写装置71においては、2次転写対向ローラを駆動ローラ72とし2次転写ローラ5を当接させた構成においてこの当接のショックを緩和するために、駆動ローラ72が、弾性体の表層を有する構成とした。これにより2次転写ローラ5の当接によるショックジター等の発生や転写装置71に発生する振動が緩和される。
本実施例においては、かかる弾性体をEPゴムとしたが、この場合、駆動ローラ72のグリップ力すなわち転写ベルト11のスリップが始まる力が約10%〜30%向上した。よって、駆動ローラ72の表層が弾性体によって構成される場合には、転写ベルト11の巻き付け角が浅くとも、十分なグリップ力を得られる点においても有効であることが分かった。
弾性体の材質はEPゴムに限定されるものではなく、EPDM、NR、NBR、SBR、ECO等の各種ゴム材料を採用することができる。このようにゴム材料を使用すれば更に高いグリップ力を得る。ショック緩和の観点から、弾性層の厚みは厚いほうがよいとも考えられるが、ゴム材料を採用する場合、熱膨張係数が金属に比較して大きく、その厚みに比例し径の変動が大きくなる。径の変動は転写ベルト11の走行速度の変動につながり、画像の倍率誤差の要因となり得る。
倍率誤差に関しては、一般的には、記録紙上において画像の前後に余裕が形成されるように、記録紙の長さに合わせて画像長さを設定し、倍率誤差が変動しても画像が記録紙に納まるようになされる。しかし、この余裕度はなるべく小さくすることが望まれており、また、画像長さの変動が明確に認識されるほどに倍率誤差が大きくなることを防止するため、径変動による倍率誤差は2mm以下に抑えることが望ましい。
そこで、駆動ローラ72においては、かかる倍率誤差が2mm以下となるよう、弾性体の厚さすなわち弾性体により形成された表層の厚さを、駆動ローラ72の半径の10%以下となるように構成した。例えばφ26相当の駆動ローラ72においては弾性体たるゴムの厚さを2mm程度にすることにより、10℃〜45℃における径変動を30μm程度に抑えることが可能になり、結果、画像長さの差を、A3縦相当にて約1mm程度に抑えることが可能になる事が分かった。このように、弾性体の厚さを駆動ローラ72の半径の10%以下とすることで、駆動力を確保した上で倍率等、画像の不具合を低減している。
さらに、2次転写対向ローラとしての機能を向上させるため、駆動ローラ72においては、弾性体が、安定した転写電界を形成するための所定の抵抗値を有するよう、弾性体によって構成された弾性層を抵抗制御している。具体的には、弾性体であるゴムの体積抵抗を1012Ω・cm以下に設定した。これによりある程度厚みを持つ弾性層を設けても、2次転写の電界を安定して形成している。このように、弾性体の体積抵抗が1012Ω・cm以下であることにより、転写ベルト11の駆動力を効率よく得ることができ、2次転写ローラ5の当接によるショックジターを低減し、倍率誤差等の副作用を低減させた上で、安定した転写電界の形成を担保している。
上述のように転写電界を形成するために弾性体の抵抗制御を行うと、抵抗制御材の分散状況、また電圧値により弾性体の耐圧が問題となることがあり得る。体積抵抗を1012Ω・cm以下に設定した場合、転写電圧5KVまで対応できるよう評価を行った結果、弾性体としてのゴム厚さを1mm以上に設定することによりリーク等の発生を防止できることが可能となった。したがって、駆動ローラ72は、弾性体の厚さが1mm以上となるように構成される。
駆動ローラ72の硬度に関しては、JIS−A硬度にて50°以上であることが望ましい。これはかかる硬度を50°以上にすることにより駆動ローラ72の稼動時の外形変動が抑えられ、カラー画像形成時の位置ずれの発生を抑えるためである。また、硬度が低くなると、表面研削時の反動・振動が発生し径精度を出すことが難しくなり、これも画像位置ずれの原因になることが分かったためである。したがって駆動ローラ72は、弾性体の硬度が、JIS−A硬度にて50°以上であり、これにより、位置ずれの発生を防止し、また高いグリップ力を担保している。