JP2005069025A - 洋上風力発電装置の基礎構造及び設置方法 - Google Patents
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- Y02E10/70—Wind energy
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Abstract
【課題】現地での設置作業の短縮を計り、以て、現地での設置工事費などを低減する。
【解決手段】浅水深向け着底式洋上風力発電装置の設置方法である。（ａ）陸上で箱型の浮体２１に筒状の風車基礎部２２を立設して基礎本体２０を形成する工程、（ｂ）基礎本体２０を海上に仮係留する工程、（ｃ）前記風車基礎部２２に風車本体２４を搭載して洋上風力発電装置２５を形成する工程、（ｄ）洋上風力発電装置２５を引き船３１で設置海域Ｄに曳航する工程、（ｅ）洋上風力発電装置２５をクレーン船３２で支持しながら浮体２１内に海底地盤の強度に見合ったバラストを注入する工程、（ｆ）洋上風力発電装置２５をクレーン船３２で吊り下げて基礎本体２０を海底地盤Ｆに据付ける工程よりなる。
【選択図】 図８
【解決手段】浅水深向け着底式洋上風力発電装置の設置方法である。（ａ）陸上で箱型の浮体２１に筒状の風車基礎部２２を立設して基礎本体２０を形成する工程、（ｂ）基礎本体２０を海上に仮係留する工程、（ｃ）前記風車基礎部２２に風車本体２４を搭載して洋上風力発電装置２５を形成する工程、（ｄ）洋上風力発電装置２５を引き船３１で設置海域Ｄに曳航する工程、（ｅ）洋上風力発電装置２５をクレーン船３２で支持しながら浮体２１内に海底地盤の強度に見合ったバラストを注入する工程、（ｆ）洋上風力発電装置２５をクレーン船３２で吊り下げて基礎本体２０を海底地盤Ｆに据付ける工程よりなる。
【選択図】 図８
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水深が比較的浅い（例えば、水深１０ｍ〜３０ｍ程度）、いわゆる浅水深域に設置する着底式の洋上風力発電装置の基礎構造と設置方法、及び比較的水深が深い、（例えば、水深３０ｍ〜１０００ｍ程度）、いわゆる大水深に設置する浮体式の洋上風力発電装置の基礎構造と設置方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、地球の環境問題が大きくクローズアップされ、クリーンな自然エネルギーとして、風力発電が世界的に注目され、ヨーロッパの国々を中心に実用化されている。
【０００３】
一方、わが国においても、各地で風力発電が実用化されているが、今までは全て陸地に風車を設置したものである。しかし、わが国において、風力発電を拡大して行くためには、地理的条件などを考慮すると、必然的に陸地から洋上に移行すると思われる。
【０００４】
ところで、洋上風力発電の設置位置として、沿岸域の比較的水深が浅い海域と、外洋の比較的水深が深い海域が考えられる。例えば、図２０に示すように、浅水深向けの設置工法として、その内部中央に固定された支柱支持体７とを有し、着底後、ケーソン３及びその周囲に波消ブロック４を敷設することが知られている（例えば、特許文献１参照。）。
【０００５】
【特許文献１】
特開２００２−２０６４７４号公報（第２〜４頁、図５）
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の着底式の洋上風力発電装置は、その基礎を海底に着底後、ケーソン３の消波ブロック積載面及びその周囲に波消ブロック４を１個ずつ配置するために、現地（現場）での設置作業が長期化する恐れがある。
【０００７】
また、大水深向けの設置工法として、浮体工法が考えられるが、現地での海象条件の厳しさや、陸から遠距離となるなどの理由により、現地での設置作業が更に長期化する恐れがある。
【０００８】
本発明は、このような不都合を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、現地での設置作業の短縮を計り、以て、現地での設置工事費などを低減することができる浅水深向け着底式洋上風力発電装置の基礎構造と設置方法及び大水深向け浮体式洋上風力発電装置の基礎構造と設置方法を提供することにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するため、本発明は、次のように構成されている。
【００１０】
すなわち、
本発明の浅水深向け着底式洋上風力発電装置の基礎構造は、箱型の浮体上に、筒状の風車基礎部を立設して海底面に着底させて基礎本体を形成してなる浅水深向け着底式洋上風力発電装置の基礎構造である。
【００１１】
ここで、本発明の箱型浮体は、必要に応じて、その下面にストッパ杭を多数本設けている。
【００１２】
また、本発明の浅水深向け着底式洋上風力発電装置の設置方法は、（ａ）陸上にて、箱型の浮体上に、筒状の風車基礎部を立設して基礎本体を形成する工程と、（ｂ）前記基礎本体を海上に仮係留する工程と、（ｃ）前記基礎本体の風車基礎部に、支柱と発電機及び風車によりなる風車本体を搭載して洋上風力発電装置を形成する工程と、（ｄ）前記洋上風力発電装置を引き船で設置海域に曳航する工程と、（ｅ）前記洋上風力発電装置をクレーン船で支持しながら前記浮体内に海底地盤の強度に見合ったバラストを注入する工程と、（ｆ）前記洋上風力発電装置をクレーン船で吊り下げて前記基礎本体を海底地盤上に据え付ける工程よりなる浅水深向け着底式洋上風力発電装置の設置方法である。
【００１３】
ここで、本発明は、海底地盤の状況に応じて浮体内にコンクリートバラストを注入したり、浮体内に水バラストを注入する。
【００１４】
一方、本発明の大水深向け浮体式洋上風力発電装置の基礎構造は、多角形箱型の下部浮力体上に、筒状の垂直浮力体を立設して半没水型浮体を緊張係留して、基礎本体を形成してなる大水深向け浮体式洋上風力発電装置の基礎構造である。
【００１５】
また、本発明の大水深向け浮体式洋上風力発電装置の設置方法は、（ａ）工場にて、箱型の下部浮力体上に、筒状の垂直浮力体を立設して半没水型浮体を形成する工程と、（ｂ）前記半没水型浮体を海上に仮係留する工程と、（ｃ）前記半没水型浮体に複数本の索条を搭載するとともに、各索条の下端部にアンカーを取り付ける工程と、（ｄ）前記半没水型浮体の垂直浮力体に、支柱と発電機及び風車によりなる風車本体を搭載して洋上風力発電装置を形成する工程と、（ｅ）該洋上風力発電装置を引き船で設置海域に曳航する工程と、（ｆ）設置海域に到着後、前記索条を繰り出してアンカーを海底に着底させる工程と、（ｇ）前記索条を、再度、所定の長さだけ引き揚げて前記半没水型浮体に固定する工程と、（ｈ）前記下部浮力体内にバラストを注水して前記半没水型浮体を半没状態に保持する工程よりなる大水深向け浮体式洋上風力発電装置の設置方法である。
【００１６】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
（Ａ）先ず、浅水深向け着底式洋上風力発電装置の基礎構造及び設置方法について説明する。
【００１７】
図１（ａ）及び（ｂ）に示すように、工場（図示せず）で鋼板や、コンクリートなどを用いて箱型の浮体２１と、円筒状の風車基礎部２２とを製作する。次に、図１（ｃ）に示すように、この箱型の浮体２１の上に円筒状の風車基礎部２２を立設させて基礎本体２０、即ち、浅水深向け着底式洋上風力発電装置の基礎構造を形成する。
【００１８】
その後、箱型の浮体２１と円筒状の風車基礎部２２の間に必要に応じて支持部材２３を斜めにあてがって円筒状の風車基礎部２２の支持力を増強する。
【００１９】
次に、図２に示すように、上記基礎本体２０を艤装岸壁（図示せず）に仮係留する。
【００２０】
次に、図３に示すように、艤装岸壁に仮係留されている基礎本体２０の円筒状の風車基礎部２２に、風車本体２４を搭載して着底式の洋上風力発電装置２５を形成する。
【００２１】
風車本体２４は、幹部（根元部）から先端部（上端部）に向かうにしたがって次第に径が小さくなるテーパー付きの中空状の支柱２６と、この支柱２６の頂部に設けられた発電機２７と、この発電機２７の回転軸２８に装着された風車２９により構成されている。この風車２９は、図８に示すように、回転軸２８に放射状に取り付けられた複数枚の翼体３０から構成されている。
【００２２】
次に、図４に示すように、上記洋上風力発電装置２５を数隻の引き船３１で設置海域に曳航する。
【００２３】
次に、図５に示すように、所定の設置海域Ｄに到着後、数隻のクレーン船３２によって箱型の浮体２１を支持しながら、この箱型の浮体２１の中にポンプを使って一時に水バラスト（海水）を注入する。
【００２４】
その際、図６に示すように、上記クレーン船３２のワイヤーロープ３５を繰り出して、箱型の浮体２１の安定性を確保し、海底Ｅに予め構築した海底地盤Ｆ上に据え付ける。しかる後に、箱型の浮体２１からワイヤーロープ３５を取り外し、図７及び図８に示すように、洋上風力発電装置２５を海底地盤Ｆ上に自立させる。その後、内部の水バラストをコンクリートなどの固定バラストに置き換える。尚、配電ケーブル（図示せず）などは、予め、接続端子（図示せず）に接続させておく。
【００２５】
この実施形態では、箱型の浮体２１の中に最終的に全てコンクリートバラストを注入したが、内部のバラスト量などを調整し、地盤設置圧を調整することが可能である。例えば、海底が柔らかい砂地盤Ｇの場合には、図９（ａ）に示すように、箱型の浮体２１の中に最終的にコンクリートバラストｂを半分程度注入する。また、海底が軟弱地盤Ｈの場合には、図９（ｂ）に示すように、箱型の浮体２１の中に水バラストａを必要最小限注入する。
【００２６】
尚、海底が柔らかい砂地盤Ｇや軟弱地盤Ｈの場合には、箱型の浮体２１の下面に自重沈下するストッパ杭３６を多数本、取り付けるとよい。
（Ｂ）次に、大水深向け浮体式洋上風力発電装置の基礎構造及び設置方法について説明する。
【００２７】
図１０に示すように、先ず、工場（図示せず）で半没水型（セミサブ型）の浮体４１、即ち、大水深向け浮体式洋上風力発電装置の基礎構造を製作する。この浮体４１は、多角形の箱型の下部浮力体４２と、円筒形の垂直浮力体４３により形成されている。これらの浮力体４２，４３は、鋼板などを用いて製作されている。
【００２８】
次に、図１１に示すように、この半没水型の浮体４１を艤装岸壁（図示せず）に仮係留する。
【００２９】
次に、図１２に示すように、上記浮体の下部浮力体４２の縁に沿って設けられている複数のガイドパイプ４４にチェーンなどの索条４５を挿通するとともに、その下端に無蓋箱形のシンカー型枠４６を取り付ける。
【００３０】
次に、図１３に示すように、上記シンカー型枠４６の中にコンクリートｃを水中打設する。このコンクリートの水中打設は、上記艤装岸壁上に設置させたコンクリート打設機（図示せず）を用いて行なう。
【００３１】
次に、図１４に示すように、艤装岸壁に仮係留されている浮体４１の垂直浮力体４３に、風車本体２４を搭載してセミサブ型の洋上風力発電装置４７を形成する。
【００３２】
上記風車本体２４は、幹部（根元部）から先端部（上端部）に向かうにしたがって次第に径が小さくなるテーパー付きの中空状の支柱２６と、この支柱２６の頂部に設けられた発電機２７と、この発電機２７の回転軸２８に装着された風車２９により構成されている。この風車２９は、図１９に示すように、回転軸２８に放射状に取り付けられた複数枚の翼体３０から構成されている。
【００３３】
次に、図１５に示すように、セミサブ型の洋上風力発電装置４７を数隻の引き船３１で所定の設置海域に曳航する。
【００３４】
次に、図１６に示すように、所定の設置海域Ｄに到着後、セミサブ型の洋上風力発電装置４７を数隻のクレーン船３２で支持しながら、箱型の下部浮力体４２の縁に搭載させたチェーンなどの索条４５を繰り出してシンカー４８を海底Ｅに接触させる。
【００３５】
次に、図１７に示すように、チェーンなどの索条４５の弛みを取り除いた後、当該索条４５を所定の長さだけ引き揚げて下部浮力体４２に固定する。
【００３６】
次に、図１８及び図１９に示すように、下部浮力体４２の中に水バラスト（海水）を注水してシンカー４８を海底Ｅに定着させるとともに、索条の張力調整を行なう。この時、浮体４１の垂直浮力体４３の一部（上部）は、海水面Ｊより上方に突き出すことから、浮体２１は、半没水型、すなわち、セミサブ型となる。尚、配電ケーブル（図示せず）などは、予め、接続端子（図示せず）に接続させておく。
【００３７】
【発明の効果】
上記のように、本発明の浅水深向け着底式洋上風力発電装置の基礎構造は、箱型の浮体上に、筒状の風車基礎部を立設して海底面に着底させたものであるから、現場の海底地盤に安定した状態で確実に設置することができる。その上、箱型浮体の下面にストッパ杭を多数本取り付けていることから、このストッパ杭を海底地盤に食い込ませることで、基礎構造の安定性が格段に向上する。
【００３８】
また、本発明の浅水深向け着底式洋上風力発電装置の設置方法は、（ａ）陸上にて、箱型の浮体上に、筒状の風車基礎部を立設して基礎本体を形成する工程と、（ｂ）前記基礎本体を海上に仮係留する工程と、（ｃ）前記基礎本体の風車基礎部に、支柱と発電機及び風車によりなる風車本体を搭載して洋上風力発電装置を形成する工程と、（ｄ）前記洋上風力発電装置を引き船で設置海域に曳航する工程と、（ｅ）前記洋上風力発電装置をクレーン船で支持しながら前記浮体内に海底地盤の強度に見合ったバラストを注入する工程と、（ｆ）前記洋上風力発電装置をクレーン船で吊り下げて前記基礎本体を海底地盤上に据え付ける工程により構成されている。
【００３９】
従って、本発明によれば、工場で箱型浮体に筒状風車基礎部を立設して基礎本体を一体製作し、その後、仮係留中に工場内で風車本体の搭載を行う一方、現地では、浮体内に海底地盤の強度に見合ったバラストを注入することが主たる作業になることから、現地での工期が短縮でき、以て、工費の削減を計ることができる。また、この発明は、海底地盤の状況に応じて底面構造及びバラスト量を調整することができる。
【００４０】
一方、本発明の大水深向け浮体式洋上風力発電装置の基礎構造は、上記のように、多角形箱型の下部浮力体上に、筒状の垂直浮力体を立設して半没水型浮体を緊張係留して、基礎本体を形成しているから、構造が非常にシンプルな上、水線面積が非常に小さいことから、波浪の影響を受け難いという利点がある。
【００４１】
また、本発明の大水深向け浮体式洋上風力発電装置の設置方法は、（ａ）工場にて、箱型の下部浮力体上に、筒状の垂直浮力体を立設して半没水型浮体を形成する工程と、（ｂ）前記半没水型浮体を海上に仮係留する工程と、（ｃ）前記半没水型浮体に複数本の索条を搭載するとともに、各索条の下端部にアンカーを取り付ける工程と、（ｄ）前記半没水型浮体の垂直浮力体に、支柱と発電機及び風車によりなる風車本体を搭載して洋上風力発電装置を形成する工程と、（ｅ）該洋上風力発電装置を引き船で設置海域に曳航する工程と、（ｆ）設置海域に到着後、前記索条を繰り出してアンカーを海底に着底させる工程と、（ｇ）前記索条を、再度、所定の長さだけ引き揚げて前記半没水型浮体に固定する工程と、（ｈ）前記下部浮力体内にバラストを注水して前記半没水型浮体を半没状態に保持する工程により構成されている。
【００４２】
従って、本発明によれば、浮体の横揺れがほとんどないことから、風車性能の低下を抑えることができる。また、この発明は、浮体本体が単純な構造で、製作が容易であり、防食対策が計り易い。また、工場で半没水型浮体の一体製作及び風車本体の搭載を行なうので、現地工期が短縮でき、以て、工費を削減することができる。また、この発明は、海水バラストの調整により再浮上が可能であり、維持管理性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図１】（ａ）浮体の側面図、（ｂ）基礎部の側面図、（ｃ）基礎本体の側面図である。
【図２】仮係留中の基礎本体の側面図である。
【図３】基礎本体に風車を搭載したの側面図である。
【図４】曳航中の着底型の洋上風力発電装置の側面図である。
【図５】浮体に水バラスト（海水）を注入する説明図である。
【図６】洋上風力発電装置をクレーン船で保持して着底させる説明図である。
【図７】自立した着底式洋上風力発電装置の側面図である。
【図８】自立した着底式洋上風力発電装置の正面図である。
【図９】（ａ）、（ｂ）地盤条件に合わせた底面構造及びバラスト調整の説明図である。
【図１０】浮体の側面図である。
【図１１】仮係留中の浮体の側面図である。
【図１２】浮体にチェーンを搭載した側面図である。
【図１３】シンカー枠にコンーリートを注入した説明図である。
【図１４】仮係留中の基礎本体の側面図である。
【図１５】曳航中のセミサブ型の洋上風力発電装置の側面図である。
【図１６】シンカーを海底に着底させた説明図である。
【図１７】シンカーを所定高さに引き揚げた説明図である。
【図１８】シンカーを、再度、海底に着底させた説明図である。
【図１９】自立したセミサブ型洋上風力発電装置の正面図である。
【図２０】従来の洋上風力発電装置の説明図である。
【符号の説明】
Ｄ 設置海域
２０ 基礎本体
２１ 浮体
２２ 風車基礎部
２５ 風力発電装置
２６ 支柱
２７ 発電機
２８ 風車
２９ 風車本体
３１ 引き船
３２ クレーン船
【発明の属する技術分野】
本発明は、水深が比較的浅い（例えば、水深１０ｍ〜３０ｍ程度）、いわゆる浅水深域に設置する着底式の洋上風力発電装置の基礎構造と設置方法、及び比較的水深が深い、（例えば、水深３０ｍ〜１０００ｍ程度）、いわゆる大水深に設置する浮体式の洋上風力発電装置の基礎構造と設置方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、地球の環境問題が大きくクローズアップされ、クリーンな自然エネルギーとして、風力発電が世界的に注目され、ヨーロッパの国々を中心に実用化されている。
【０００３】
一方、わが国においても、各地で風力発電が実用化されているが、今までは全て陸地に風車を設置したものである。しかし、わが国において、風力発電を拡大して行くためには、地理的条件などを考慮すると、必然的に陸地から洋上に移行すると思われる。
【０００４】
ところで、洋上風力発電の設置位置として、沿岸域の比較的水深が浅い海域と、外洋の比較的水深が深い海域が考えられる。例えば、図２０に示すように、浅水深向けの設置工法として、その内部中央に固定された支柱支持体７とを有し、着底後、ケーソン３及びその周囲に波消ブロック４を敷設することが知られている（例えば、特許文献１参照。）。
【０００５】
【特許文献１】
特開２００２−２０６４７４号公報（第２〜４頁、図５）
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の着底式の洋上風力発電装置は、その基礎を海底に着底後、ケーソン３の消波ブロック積載面及びその周囲に波消ブロック４を１個ずつ配置するために、現地（現場）での設置作業が長期化する恐れがある。
【０００７】
また、大水深向けの設置工法として、浮体工法が考えられるが、現地での海象条件の厳しさや、陸から遠距離となるなどの理由により、現地での設置作業が更に長期化する恐れがある。
【０００８】
本発明は、このような不都合を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、現地での設置作業の短縮を計り、以て、現地での設置工事費などを低減することができる浅水深向け着底式洋上風力発電装置の基礎構造と設置方法及び大水深向け浮体式洋上風力発電装置の基礎構造と設置方法を提供することにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するため、本発明は、次のように構成されている。
【００１０】
すなわち、
本発明の浅水深向け着底式洋上風力発電装置の基礎構造は、箱型の浮体上に、筒状の風車基礎部を立設して海底面に着底させて基礎本体を形成してなる浅水深向け着底式洋上風力発電装置の基礎構造である。
【００１１】
ここで、本発明の箱型浮体は、必要に応じて、その下面にストッパ杭を多数本設けている。
【００１２】
また、本発明の浅水深向け着底式洋上風力発電装置の設置方法は、（ａ）陸上にて、箱型の浮体上に、筒状の風車基礎部を立設して基礎本体を形成する工程と、（ｂ）前記基礎本体を海上に仮係留する工程と、（ｃ）前記基礎本体の風車基礎部に、支柱と発電機及び風車によりなる風車本体を搭載して洋上風力発電装置を形成する工程と、（ｄ）前記洋上風力発電装置を引き船で設置海域に曳航する工程と、（ｅ）前記洋上風力発電装置をクレーン船で支持しながら前記浮体内に海底地盤の強度に見合ったバラストを注入する工程と、（ｆ）前記洋上風力発電装置をクレーン船で吊り下げて前記基礎本体を海底地盤上に据え付ける工程よりなる浅水深向け着底式洋上風力発電装置の設置方法である。
【００１３】
ここで、本発明は、海底地盤の状況に応じて浮体内にコンクリートバラストを注入したり、浮体内に水バラストを注入する。
【００１４】
一方、本発明の大水深向け浮体式洋上風力発電装置の基礎構造は、多角形箱型の下部浮力体上に、筒状の垂直浮力体を立設して半没水型浮体を緊張係留して、基礎本体を形成してなる大水深向け浮体式洋上風力発電装置の基礎構造である。
【００１５】
また、本発明の大水深向け浮体式洋上風力発電装置の設置方法は、（ａ）工場にて、箱型の下部浮力体上に、筒状の垂直浮力体を立設して半没水型浮体を形成する工程と、（ｂ）前記半没水型浮体を海上に仮係留する工程と、（ｃ）前記半没水型浮体に複数本の索条を搭載するとともに、各索条の下端部にアンカーを取り付ける工程と、（ｄ）前記半没水型浮体の垂直浮力体に、支柱と発電機及び風車によりなる風車本体を搭載して洋上風力発電装置を形成する工程と、（ｅ）該洋上風力発電装置を引き船で設置海域に曳航する工程と、（ｆ）設置海域に到着後、前記索条を繰り出してアンカーを海底に着底させる工程と、（ｇ）前記索条を、再度、所定の長さだけ引き揚げて前記半没水型浮体に固定する工程と、（ｈ）前記下部浮力体内にバラストを注水して前記半没水型浮体を半没状態に保持する工程よりなる大水深向け浮体式洋上風力発電装置の設置方法である。
【００１６】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
（Ａ）先ず、浅水深向け着底式洋上風力発電装置の基礎構造及び設置方法について説明する。
【００１７】
図１（ａ）及び（ｂ）に示すように、工場（図示せず）で鋼板や、コンクリートなどを用いて箱型の浮体２１と、円筒状の風車基礎部２２とを製作する。次に、図１（ｃ）に示すように、この箱型の浮体２１の上に円筒状の風車基礎部２２を立設させて基礎本体２０、即ち、浅水深向け着底式洋上風力発電装置の基礎構造を形成する。
【００１８】
その後、箱型の浮体２１と円筒状の風車基礎部２２の間に必要に応じて支持部材２３を斜めにあてがって円筒状の風車基礎部２２の支持力を増強する。
【００１９】
次に、図２に示すように、上記基礎本体２０を艤装岸壁（図示せず）に仮係留する。
【００２０】
次に、図３に示すように、艤装岸壁に仮係留されている基礎本体２０の円筒状の風車基礎部２２に、風車本体２４を搭載して着底式の洋上風力発電装置２５を形成する。
【００２１】
風車本体２４は、幹部（根元部）から先端部（上端部）に向かうにしたがって次第に径が小さくなるテーパー付きの中空状の支柱２６と、この支柱２６の頂部に設けられた発電機２７と、この発電機２７の回転軸２８に装着された風車２９により構成されている。この風車２９は、図８に示すように、回転軸２８に放射状に取り付けられた複数枚の翼体３０から構成されている。
【００２２】
次に、図４に示すように、上記洋上風力発電装置２５を数隻の引き船３１で設置海域に曳航する。
【００２３】
次に、図５に示すように、所定の設置海域Ｄに到着後、数隻のクレーン船３２によって箱型の浮体２１を支持しながら、この箱型の浮体２１の中にポンプを使って一時に水バラスト（海水）を注入する。
【００２４】
その際、図６に示すように、上記クレーン船３２のワイヤーロープ３５を繰り出して、箱型の浮体２１の安定性を確保し、海底Ｅに予め構築した海底地盤Ｆ上に据え付ける。しかる後に、箱型の浮体２１からワイヤーロープ３５を取り外し、図７及び図８に示すように、洋上風力発電装置２５を海底地盤Ｆ上に自立させる。その後、内部の水バラストをコンクリートなどの固定バラストに置き換える。尚、配電ケーブル（図示せず）などは、予め、接続端子（図示せず）に接続させておく。
【００２５】
この実施形態では、箱型の浮体２１の中に最終的に全てコンクリートバラストを注入したが、内部のバラスト量などを調整し、地盤設置圧を調整することが可能である。例えば、海底が柔らかい砂地盤Ｇの場合には、図９（ａ）に示すように、箱型の浮体２１の中に最終的にコンクリートバラストｂを半分程度注入する。また、海底が軟弱地盤Ｈの場合には、図９（ｂ）に示すように、箱型の浮体２１の中に水バラストａを必要最小限注入する。
【００２６】
尚、海底が柔らかい砂地盤Ｇや軟弱地盤Ｈの場合には、箱型の浮体２１の下面に自重沈下するストッパ杭３６を多数本、取り付けるとよい。
（Ｂ）次に、大水深向け浮体式洋上風力発電装置の基礎構造及び設置方法について説明する。
【００２７】
図１０に示すように、先ず、工場（図示せず）で半没水型（セミサブ型）の浮体４１、即ち、大水深向け浮体式洋上風力発電装置の基礎構造を製作する。この浮体４１は、多角形の箱型の下部浮力体４２と、円筒形の垂直浮力体４３により形成されている。これらの浮力体４２，４３は、鋼板などを用いて製作されている。
【００２８】
次に、図１１に示すように、この半没水型の浮体４１を艤装岸壁（図示せず）に仮係留する。
【００２９】
次に、図１２に示すように、上記浮体の下部浮力体４２の縁に沿って設けられている複数のガイドパイプ４４にチェーンなどの索条４５を挿通するとともに、その下端に無蓋箱形のシンカー型枠４６を取り付ける。
【００３０】
次に、図１３に示すように、上記シンカー型枠４６の中にコンクリートｃを水中打設する。このコンクリートの水中打設は、上記艤装岸壁上に設置させたコンクリート打設機（図示せず）を用いて行なう。
【００３１】
次に、図１４に示すように、艤装岸壁に仮係留されている浮体４１の垂直浮力体４３に、風車本体２４を搭載してセミサブ型の洋上風力発電装置４７を形成する。
【００３２】
上記風車本体２４は、幹部（根元部）から先端部（上端部）に向かうにしたがって次第に径が小さくなるテーパー付きの中空状の支柱２６と、この支柱２６の頂部に設けられた発電機２７と、この発電機２７の回転軸２８に装着された風車２９により構成されている。この風車２９は、図１９に示すように、回転軸２８に放射状に取り付けられた複数枚の翼体３０から構成されている。
【００３３】
次に、図１５に示すように、セミサブ型の洋上風力発電装置４７を数隻の引き船３１で所定の設置海域に曳航する。
【００３４】
次に、図１６に示すように、所定の設置海域Ｄに到着後、セミサブ型の洋上風力発電装置４７を数隻のクレーン船３２で支持しながら、箱型の下部浮力体４２の縁に搭載させたチェーンなどの索条４５を繰り出してシンカー４８を海底Ｅに接触させる。
【００３５】
次に、図１７に示すように、チェーンなどの索条４５の弛みを取り除いた後、当該索条４５を所定の長さだけ引き揚げて下部浮力体４２に固定する。
【００３６】
次に、図１８及び図１９に示すように、下部浮力体４２の中に水バラスト（海水）を注水してシンカー４８を海底Ｅに定着させるとともに、索条の張力調整を行なう。この時、浮体４１の垂直浮力体４３の一部（上部）は、海水面Ｊより上方に突き出すことから、浮体２１は、半没水型、すなわち、セミサブ型となる。尚、配電ケーブル（図示せず）などは、予め、接続端子（図示せず）に接続させておく。
【００３７】
【発明の効果】
上記のように、本発明の浅水深向け着底式洋上風力発電装置の基礎構造は、箱型の浮体上に、筒状の風車基礎部を立設して海底面に着底させたものであるから、現場の海底地盤に安定した状態で確実に設置することができる。その上、箱型浮体の下面にストッパ杭を多数本取り付けていることから、このストッパ杭を海底地盤に食い込ませることで、基礎構造の安定性が格段に向上する。
【００３８】
また、本発明の浅水深向け着底式洋上風力発電装置の設置方法は、（ａ）陸上にて、箱型の浮体上に、筒状の風車基礎部を立設して基礎本体を形成する工程と、（ｂ）前記基礎本体を海上に仮係留する工程と、（ｃ）前記基礎本体の風車基礎部に、支柱と発電機及び風車によりなる風車本体を搭載して洋上風力発電装置を形成する工程と、（ｄ）前記洋上風力発電装置を引き船で設置海域に曳航する工程と、（ｅ）前記洋上風力発電装置をクレーン船で支持しながら前記浮体内に海底地盤の強度に見合ったバラストを注入する工程と、（ｆ）前記洋上風力発電装置をクレーン船で吊り下げて前記基礎本体を海底地盤上に据え付ける工程により構成されている。
【００３９】
従って、本発明によれば、工場で箱型浮体に筒状風車基礎部を立設して基礎本体を一体製作し、その後、仮係留中に工場内で風車本体の搭載を行う一方、現地では、浮体内に海底地盤の強度に見合ったバラストを注入することが主たる作業になることから、現地での工期が短縮でき、以て、工費の削減を計ることができる。また、この発明は、海底地盤の状況に応じて底面構造及びバラスト量を調整することができる。
【００４０】
一方、本発明の大水深向け浮体式洋上風力発電装置の基礎構造は、上記のように、多角形箱型の下部浮力体上に、筒状の垂直浮力体を立設して半没水型浮体を緊張係留して、基礎本体を形成しているから、構造が非常にシンプルな上、水線面積が非常に小さいことから、波浪の影響を受け難いという利点がある。
【００４１】
また、本発明の大水深向け浮体式洋上風力発電装置の設置方法は、（ａ）工場にて、箱型の下部浮力体上に、筒状の垂直浮力体を立設して半没水型浮体を形成する工程と、（ｂ）前記半没水型浮体を海上に仮係留する工程と、（ｃ）前記半没水型浮体に複数本の索条を搭載するとともに、各索条の下端部にアンカーを取り付ける工程と、（ｄ）前記半没水型浮体の垂直浮力体に、支柱と発電機及び風車によりなる風車本体を搭載して洋上風力発電装置を形成する工程と、（ｅ）該洋上風力発電装置を引き船で設置海域に曳航する工程と、（ｆ）設置海域に到着後、前記索条を繰り出してアンカーを海底に着底させる工程と、（ｇ）前記索条を、再度、所定の長さだけ引き揚げて前記半没水型浮体に固定する工程と、（ｈ）前記下部浮力体内にバラストを注水して前記半没水型浮体を半没状態に保持する工程により構成されている。
【００４２】
従って、本発明によれば、浮体の横揺れがほとんどないことから、風車性能の低下を抑えることができる。また、この発明は、浮体本体が単純な構造で、製作が容易であり、防食対策が計り易い。また、工場で半没水型浮体の一体製作及び風車本体の搭載を行なうので、現地工期が短縮でき、以て、工費を削減することができる。また、この発明は、海水バラストの調整により再浮上が可能であり、維持管理性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図１】（ａ）浮体の側面図、（ｂ）基礎部の側面図、（ｃ）基礎本体の側面図である。
【図２】仮係留中の基礎本体の側面図である。
【図３】基礎本体に風車を搭載したの側面図である。
【図４】曳航中の着底型の洋上風力発電装置の側面図である。
【図５】浮体に水バラスト（海水）を注入する説明図である。
【図６】洋上風力発電装置をクレーン船で保持して着底させる説明図である。
【図７】自立した着底式洋上風力発電装置の側面図である。
【図８】自立した着底式洋上風力発電装置の正面図である。
【図９】（ａ）、（ｂ）地盤条件に合わせた底面構造及びバラスト調整の説明図である。
【図１０】浮体の側面図である。
【図１１】仮係留中の浮体の側面図である。
【図１２】浮体にチェーンを搭載した側面図である。
【図１３】シンカー枠にコンーリートを注入した説明図である。
【図１４】仮係留中の基礎本体の側面図である。
【図１５】曳航中のセミサブ型の洋上風力発電装置の側面図である。
【図１６】シンカーを海底に着底させた説明図である。
【図１７】シンカーを所定高さに引き揚げた説明図である。
【図１８】シンカーを、再度、海底に着底させた説明図である。
【図１９】自立したセミサブ型洋上風力発電装置の正面図である。
【図２０】従来の洋上風力発電装置の説明図である。
【符号の説明】
Ｄ 設置海域
２０ 基礎本体
２１ 浮体
２２ 風車基礎部
２５ 風力発電装置
２６ 支柱
２７ 発電機
２８ 風車
２９ 風車本体
３１ 引き船
３２ クレーン船
Claims (7)
- 浅水深向け着底式洋上風力発電装置の基礎構造であって、箱型の浮体上に、筒状の風車基礎部を立設して海底面に着底させて基礎本体を形成してなる浅水深向け着底式洋上風力発電装置の基礎構造。
- 前記箱型浮体の下面にストッパ杭を多数本取り付けてなる請求項１記載の浅水深向け着底式洋上風力発電装置の基礎構造。
- 浅水深向け着底式洋上風力発電装置の設置方法であって、
（ａ）陸上にて、箱型の浮体上に、筒状の風車基礎部を立設して基礎本体を形成する工程と、
（ｂ）前記基礎本体を海上に仮係留する工程と、
（ｃ）前記基礎本体の風車基礎部に、支柱と発電機及び風車によりなる風車本体を搭載して洋上風力発電装置を形成する工程と、
（ｄ）前記洋上風力発電装置を引き船で設置海域に曳航する工程と、
（ｅ）前記洋上風力発電装置をクレーン船で支持しながら前記浮体内に海底地盤の強度に見合ったバラストを注入する工程と、
（ｆ）前記洋上風力発電装置をクレーン船で吊り下げて前記基礎本体を海底地盤上に据え付ける工程よりなる浅水深向け着底式洋上風力発電装置の設置方法。 - 前記浮体内にコンクリートバラストを注入することを特徴とする請求項３記載の浅水深向け着底式洋上風力発電装置の設置方法。
- 前記浮体内に水バラストを注入することを特徴とする請求項３記載の浅水深向け着底式洋上風力発電装置の設置方法。
- 大水深向け浮体式洋上風力発電装置の基礎構造であって、多角形箱型の下部浮力体上に、筒状の垂直浮力体を立設して半没水型浮体を緊張係留して、基礎本体を形成してなる大水深向け浮体式洋上風力発電装置の基礎構造。
- 大水深向け浮体式洋上風力発電装置の設置方法であって、
（ａ）工場にて、箱型の下部浮力体上に、筒状の垂直浮力体を立設して半没水型浮体を形成する工程と、
（ｂ）前記半没水型浮体を海上に仮係留する工程と、
（ｃ）前記半没水型浮体に複数本の索条を搭載するとともに、各索条の下端部にアンカーを取り付ける工程と、
（ｄ）前記半没水型浮体の垂直浮力体に、支柱と発電機及び風車によりなる風車本体を搭載して洋上風力発電装置を形成する工程と、
（ｅ）該洋上風力発電装置を引き船で設置海域に曳航する工程と、
（ｆ）設置海域に到着後、前記索条を繰り出してアンカーを海底に着底させる工程と、
（ｇ）前記索条を、再度、所定の長さだけ引き揚げて前記半没水型浮体に固定する工程と、
（ｈ）前記下部浮力体内にバラストを注水して前記半没水型浮体を半没状態に保持する工程よりなる大水深向け浮体式洋上風力発電装置の設置方法。
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