JP2005068181A - 微細構造体前駆ペースト、微細構造体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】PDPリブあるいはその他の微細構造体を、気泡の発生、パターンの変形等の欠陥を伴わないで高アスペクト比かつ高い寸法精度で製造できる微細構造体前駆ペーストを提供すること。
【解決手段】感光性ペーストを、感光性材料と、ペースト中に一次粒子として分散せしめられたセラミック微粒子と、分子中にリン酸基を含むリン系化合物及び分子中にスルホン酸基を含むスルホン酸系化合物を含む界面活性剤とを含んでなり、かつ22℃で1,500〜15,000cpsの粘度を有しているように構成する。
【選択図】 なし
【解決手段】感光性ペーストを、感光性材料と、ペースト中に一次粒子として分散せしめられたセラミック微粒子と、分子中にリン酸基を含むリン系化合物及び分子中にスルホン酸基を含むスルホン酸系化合物を含む界面活性剤とを含んでなり、かつ22℃で1,500〜15,000cpsの粘度を有しているように構成する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性ペーストに関し、さらに詳しく述べると、微細構造体を成形する際に有利に使用できる微細構造体前駆ペーストに関する。また、本発明は、かかるペーストを使用して微細構造体を製造する方法と、それによって製造される微細構造体に関する。微細構造体の典型例として、プラズマディスプレイパネル用背面板のリブがある。
【0002】
【従来の技術】
近年、薄型かつ軽量のフラットパネルディスプレイが次世代の表示装置として注目されている。例えば、薄型で大画面のフラットパネルディスプレイとして、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel: PDP)があり、業務用でまた最近は家庭用で壁掛けテレビとして使用され始めている。
【0003】
PDPは、図1に模式的に示すような構成を有している。図示のPDP50では、簡略化のために1個の放電表示セル56しか示されていないが、放電表示セル56は、前面ガラス基板61及び背面ガラス基板51と、微細構造のリブ(バリアリブ、隔壁又は障壁ともいう)54とによって囲まれて画定されている。前面ガラス基板61は、走査電極及び維持電極からなる透明な表示電極63と、透明な誘電体層62と、透明な保護層64とをその上に備えている。また、背面ガラス基板51は、アドレス電極53と、誘電体層52とをその上に備えている。
走査電極及び維持電極からなる表示電極63とアドレス電極53は、直交しており、かつ、それぞれ、間隔をあけて一定のパターンで配置されている。各放電表示セル56は、その内壁に蛍光体層55を有するとともに、希ガス(例えば、Ne−Xeガス)が封入されており、上記電極間のプラズマ放電により自発光表示をできるようになっている。
【0004】
このようなPDP50において、リブ54は、一般的にセラミックの微細構造体からなり、したがって、本発明の微細構造体をこれに適用することができる。
図2は、以下において詳細に説明するように、本発明のリブ54を模式的に示したものであり、アドレス電極53とともに背面ガラス基板51の上に予め設けられてPDP用背面板を構成している。
【0005】
PDPのリブは、その形状や寸法の精度がPDPの性能に大きく影響するので、従来、その製造に用いられる成形型や製造方法においていろいろな改良が加えられている。例えば、型材に金属又はガラスを使用し、リブ(隔壁)を形成する硬化可能な塗布液をガラス基板の表面と型材との間に配置し、塗布液が硬化した後に型材を取り除き、硬化された塗布液の転写された基板を焼成することを特徴とする隔壁形成方法が提案されている(特許文献1)。塗布液は、低融点ガラス粉末を主成分とするペーストである。しかし、この隔壁形成方法の場合、型材は高い工作精度でもって製造したものでなければならない、リブに気泡が入りやすい、ガラス基板からリブが剥離しやすい、減圧下で型材とガラス基板を密着させなければならないので、減圧装置が必要となり、不経済であり、熟練も必要となる、などのいろいろな問題点をかかえている。
【0006】
成形型や製造方法の改良に加えて、リブ形成用のペーストにおいてもいろいろな改良が加えられている。例えば、高アスペクト比かつ高精度のパターン加工を可能とするため、ゲル化を抑制することに重点をおいた、リン含有化合物、感光性有機成分及び無機微粒子を必須成分とする感光性ペーストが提案されている(特許文献2)。
【0007】
リン含有化合物をゲル化防止剤として含む上記のような感光性ペーストの場合、その粘度は200〜200,000cpsの範囲であるのが好ましいと開示されているけれども、本発明者が実施例を追試した結果では、この感光性ペーストの粘度は、約26,000cpsの高粘度であった。したがって、可とう性の成形型とかかる高粘度の感光性ペーストを使用してリブを形成したところ、気泡の巻き込みがペースト粘度と大きく関係しているため、高粘度に原因するいろいろな欠陥の発生を防止することができなかった。また、リブには、通常、ストレートパターンと格子状パターンとがあるけれども、特に格子状パターンの時に気泡の巻き込みによる欠陥の発生が顕著であった。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−12336号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平9−218509号公報(特許請求の範囲、段落0058)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来の技術の問題点を解決することを目的とする。
【0010】
本発明の1つの目的は、PDPリブあるいはその他の微細構造体を、気泡の発生、パターンの変形等の欠陥を伴わないで高アスペクト比かつ高い寸法精度で製造できる感光性ペーストを提供することにある。
【0011】
また、本発明のもう1つの目的は、熟練を必要とすることなく高アスペクト比かつ高い寸法精度で製造でき、しかも欠陥を有しないPDPリブあるいはその他の微細構造体を提供することにある。
【0012】
さらに、本発明のもう1つの目的は、本発明の感光性ペーストを使用して、例えばセラミック微細構造体などの微細構造体を高アスペクト比かつ高い寸法精度で、気泡の発生、パターンの変形等の欠陥を伴わないで、しかも熟練を必要とすることなく製造する方法を提供することにある。
【0013】
本発明のこれらの目的やその他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、その1つの面において、微細構造体前駆ペーストであって、
感光性材料と、
前記ペースト中に一次粒子として分散せしめられたセラミック微粒子と、
分子中にリン酸基を含むリン系化合物及び分子中にスルホン酸基を含むスルホン酸系化合物を含む界面活性剤とを含んでなり、かつ
22℃で1,500〜15,000cpsの粘度を有していることを特徴とする微細構造体前駆ペーストにある。
【0015】
また、本発明は、そのもう1つの面において、所定の形状及び寸法を有する突起パターンを基板の表面に備えた微細構造体であって、
本発明による微細構造体前駆ペーストの光硬化によって成形されたものであることを特徴とする微細構造体にある。
【0016】
さらに、本発明は、そのもう1つの面において、所定の形状及び寸法を有する突起パターンを基板の表面に備えた微細構造体を製造する方法であって、下記の工程:
前記突起パターンに対応する形状及び寸法を有する溝パターンを表面に備えた可とう性成形型を用意する工程、
前記基板と前記成形型の溝パターンとの間に本発明による微細構造体前駆ペーストを配置して、前記ペーストを前記成形型の溝パターンに充填し、かつ前記基板上にラミネートする工程、
前記ペーストに所定の波長を有する光を照射して光硬化させ、前記基板とそれに一体的に結合した突起パターンとからなる微細構造体を形成する工程、そして
前記微細構造体から前記成形型を取り去る工程、を含んでなることを特徴とする微細構造体の製造方法にある。
【0017】
ここで、本発明を完成するに至った経緯を説明しておくと、本発明者は、PDPのリブやそれに類似する微細構造体を高アスペクト比及び高精度で、しかも気泡の発生、パターンの変形等の欠陥を伴わないで作製することについて鋭意研究した結果、本発明者が先に発明したような可とう性の成形型(例えば、特開2001−191345号公報を参照されたい)を使用することが第1に重要であり、それに併用する感光性ペーストをいかに最適化することが第2に重要であるという知見を得た。また、感光性ペーストの最適化については、従来の技術ではペーストの粘度はさほど重要視されておらず、例えば先に参照した特許文献2でもペーストの組成に応じて粘度を適宜調整すればよいとされてきたところを、本発明では、感光性ペーストの粘度(22℃で測定したB粘度;ブルックフィールド粘度)を15,000cps以下に調整することが有効であることを発見した。
感光性ペーストの粘度が15,000cps以下の低粘度である場合、より小さい圧力で成形型とアドレス電極基板を貼り合わせることができ、所望の寸法精度を確保することが可能となり、あわせて、ストレートパターンでも格子状パターンでも気泡の巻き込みを伴わずにペーストを充填できるので、気泡の巻き込み等に原因する欠陥の発生を防止できるからである。本発明者は、感光性ペーストの粘度を2,000〜10,000cpsの範囲に調整するのが最も有効であるということを発見した。
【0018】
感光性ペーストの粘度を低下させるに当たって、次の3方法が検討された。
方法1:ガラスあるいはその他のセラミック微粒子の含有量を下げること。
方法2:感光性成分として、比較的に粘度の低い感光性材料を使用すること。
方法3:ガラスあるいはその他のセラミック微粒子の分散度を高めること。
【0019】
しかし、方法1は、リブの焼成時に収縮による寸法精度の大きな低下を引き起こし、欠陥数の増加を伴うため、好ましくない。
【0020】
また、方法2は、光硬化収縮量の増大による欠陥数の増加をともなうため、好ましくない。
【0021】
これらの2方法に反して、方法3は、理想的であり、欠陥数の増加を伴うこともない。本発明者は、方法3のため、分子中にリン酸基を含むリン系化合物及び分子中にスルホン酸基を含むスルホン酸系化合物を含む界面活性剤を感光性ペーストに混入した場合、高いセラミック微粒子含有量を確保しながらペースト中におけるそれらの微粒子の分散度を向上させ、粘度を15,000cps以下に下げられることを発見した。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明は、感光性の微細構造体前駆ペースト、そして微細構造体とその製造方法にあり、それぞれ、いろいろな形態で有利に実施することができる。以下では、微細構造体の典型例であるPDPリブの製造を参照して本発明の実施を詳細に説明する。なお、本発明がPDPリブの製造に限定されるわけではないことは、言うまでもない。
【0023】
本発明は、光硬化による成形で、PDPのリブやその他の微細構造体の製造に用いられる感光性セラミックペーストにある。この感光性セラミックペーストは、少なくとも下記の3種類の成分:
(1)感光性材料、
(2)前記ペースト中に一次粒子として分散せしめられたセラミック微粒子、及び
(3)分子中にリン酸基を含むリン系化合物及び分子中にスルホン酸基を含むスルホン酸系化合物を含む界面活性剤、を含むことを必須の構成要件とし、必要ならば、その他の追加の成分を有していてもよい。
【0024】
本発明の感光性セラミックペーストにおいて、第1の成分である感光性材料は、常用の感光性ペーストにおいて一般的に使用されている各種の感光性材料であってもよいけれども、好ましくは、分子中にメタクリル基を有するモノマーもしくはオリゴマーを含む感光性材料である。
【0025】
本発明の実施に好適なメタクリル基含有モノマーもしくはオリゴマーの例は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、
トリエチレングリコールジメタクリレート、
ジエチレングリコールジメタクリレート、
エチレングリコールジメタクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、
グリセリンジメタクリレート、
2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、
ネオペンチルグリコールジメタクリレート、
1,10−デカンジオールジメタクリレート、
ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、
ビスフェノールAのEO付加物ジメタクリレートなどを包含する。これらのモノマーもしくはオリゴマーは、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0026】
また、第2の成分であるセラミック微粒子は、常用の感光性ペーストにおいて一般的に用いられている各種のセラミック微粒子を包含する。本発明の実施において微粒子の形で有利に使用することのできるセラミック材料の例は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、ガラス、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカなどを包含する。これらのセラミック材料の微粒子は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。また、ある種のセラミック材料の微粒子の表面に別の種類のセラミック材料の薄膜を被覆してもよく、必要ならば、セラミック材料に代えてポリマーコーティングなどを被覆してもよい。
【0027】
上述のようなセラミック微粒子は、いろいろな粒径で使用することができるというものの、リブなどの形成に使用することを考慮した場合、通常、約0.1〜10μmの平均粒径で使用するのが好ましく、約0.5〜5.0μmの平均粒径で使用するのがさらに好ましい。
【0028】
さらに、感光性セラミックペースト中で感光性樹脂及びセラミック微粒子とともに第3の成分(界面活性剤)として使用されるリン系化合物は、分子中にリン酸基を含むリン系化合物であれば特に限定されないというものの、好ましくは、次式(I)、(II)、(III)又は(IV)によって表されるリン系化合物である。
【0029】
【化1】
【0030】
【化2】
【0031】
【化3】
【0032】
【化4】
【0033】
上式において、
R1 〜R7 は、それぞれ、同一もしくは異なっていてもよく、必要に応じて1〜30個の酸素原子を有していてもよい炭素数1〜60の炭化水素基を表し、
Xは、酸素原子を表すかもしくは硫黄原子を表し、そして
mは1〜4の整数である。
【0034】
かかるリン系化合物の典型例は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ブチル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸メチル、亜リン酸プロピル、亜リン酸ジプロピル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸フェニル、亜リン酸イソプロピル、亜リン酸ジイソプロピル、亜リン酸nブチル−2−エチルヘキシルなどの亜リン酸モノアルキル(C1〜10)エステル類、亜リン酸ジアルキル(C1〜10)エステル類、リン酸ジブチル、リン酸ブチル、リン酸ジメチル、リン酸メチル、リン酸プロピル、リン酸ジプロピル、リン酸ジフェニル、リン酸フェニル、リン酸イソプロピル、リン酸ジイソプロピル、リン酸nブチル−2−エチルヘキシルなどのリン酸モノアルキル(C1〜10)エステル類、リン酸ジアルキル(C1〜10)エステル類、リン酸化脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類、前述のリン酸エステル類の酸素を硫黄に置換したチオリン酸化合物などを包含する。また、亜リン酸アルキルエステルやリン酸アルキルエステルのアルキル部分にアクリル基やメタクリル基、ビニル基などの不飽和基を有する化合物を用いてもよい。さらに、ホスホン酸基やホスフィン酸基を有する化合物を用いてもよい。より好ましいリン系化合物として、ヒドロキシエチリレンジホスホン酸に代表されるアルキルジホスホン酸などのように、リン酸基や亜リン酸基を分子内に2個以上有するリン系化合物を挙げることができる。
【0035】
また、これらのリン系化合物と組み合わせて、同じく界面活性剤として使用されるスルホン酸系化合物は、分子中にスルホン酸基を含むスルホン酸系化合物であれば特に限定されないというものの、一例を示すと、
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム、
アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、
スルホコハク酸ジアルキルエステルナトリウム、
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムなどを包含する。
【0036】
本発明の感光性セラミックペーストでは、上記した2種類の化合物を組み合わせて界面活性剤として使用することが必要である。これらの化合物を組み合わせて使用する時、リン系化合物及びスルホン酸系化合物の混合比(重量比)は、通常、約99:1〜1:99の範囲であり、好ましくは、約90:10〜10:90の範囲である。両者の混合比が上記の範囲を外れた場合には、セラミック微粒子を一次粒子のレベルまで分散させることが不可能となるので、もはや粘度の望ましい低下を達成することができない。
【0037】
本発明による感光性セラミックペーストは、従来の感光性ペーストが高い粘度を有していたのとは対照的に、22℃で測定して、15,000cps以下の粘度を有しており、好ましくは2,000〜10,000cpsの粘度を有しており、しかも従来の感光性ペーストにおいて不可避であった各種の問題点も排除できる。従来のリブ成形用感光性ペーストの場合、ガラス微粒子の分散度を向上させることでペースト粘度を15,000cps以下に低下させることが考察されたけれども、ペースト中のガラス微粒子含有量を低下させることでペースト粘度を低下させた場合、焼成時の収縮が大きくなるため、欠陥数が増加したり、リブ形状の変形が大きくなったりと、多くの問題点が避けられなかったのとは対照的である。
【0038】
本発明では、リン酸基を有する界面活性化合物とスルホン酸基を有する界面活性化合物を組み合わせることで、まったく予想外のことに、感光性ペースト中においてガラス微粒子あるいはその他のセラミック微粒子を一次粒子のレベルまで分散させることが可能となった。その結果、例えばガラス微粒子を80重量%の量で含有する感光性ペーストにおいて、その粘度を10,000cps以下に低下させることができた。
【0039】
下記の実施例の項において説明するように、例えばガラス微粒子を80重量%の量で含有する感光性ペーストにおいて、リン酸基を有するリン系化合物のみを界面活性剤として添加した場合(比較例1)には、得られる感光性ペーストの粘度は26,000cpsの高粘度であり、また、スルホン酸基を有するスルホン酸系化合物のみを界面活性剤として添加した場合(比較例2)にも、得られる感光性ペーストの粘度は35,000cpsの高粘度であった。
【0040】
一方、実施例1に記載するように、リン酸基を有するリン系化合物とスルホン酸基を有するスルホン酸系化合物を界面活性剤として一緒に添加した場合、得られる感光性ペーストの粘度は、驚くべきことに6,000cpsまで低下した。
このことは、リン系化合物とスルホン酸系化合物の組み合わせによる相乗効果で、ペースト粘度を大幅に低下させえたことを立証している。実施例1で得られた感光性ペースの分散度を粒ゲージで測定したところ、最大粒子径が2〜3μm程度であり、ガラス微粒子が一次粒子(平均粒径:2〜3μm程度)として分散しており、これが本発明の作用効果に大きく関与していることが確認された。
【0041】
さらに、リン系化合物とスルホン酸系化合物を一緒に添加して調製した感光性ペーストについて、22℃で2ヶ月間放置して状態の変化を観察したところ、ペーストにおいてゲル化等の劣化現象は認められず、問題なくリブを形成することができた。このことは、リン系化合物とスルホン酸系化合物の組み合わせによる相乗効果で、ペーストの劣化も効果的に抑制できたことを立証している。
【0042】
さらに、本発明の感光性セラミックペーストにおいて、そのセラミック微粒子の含有量は通常約60〜90重量%の範囲であり、好ましくは、約70〜85重量%の範囲である。ペースト中のセラミック微粒子含有量が上記した範囲を外れると、微細構造体の製造や得られる微細構造体の特性に悪影響がで、本発明の上記した目的を達成することができなくなる。悪影響の例としては、ペーストの塗布不良、リブ等の微細構造体の損傷、欠損、型剥離の困難などを挙げることができる。
【0043】
本発明の感光性セラミックペーストは、上記した成分に加えて、常用の感光性ペーストにおいて一般的に使用されている添加剤を必要に応じて含有することができる。適当な添加剤として、例えば、バインダ(結合剤)、光重合開始剤、希釈剤、紫外線吸収剤、増感剤、増感助剤、重合禁止剤、可塑剤、増粘剤、有機溶媒などを挙げることができる。
【0044】
本発明の感光性セラミックペーストは、上記した要件を満たす範囲でいろいろな組成を有することができるけれども、好ましくは、下記の組成:
感光性樹脂 5〜15重量部、
セラミック微粒子 60〜90重量部、
リン系化合物からなる界面活性剤 0.1〜1.0重量部、
スルホン酸系化合物からなる界面活性剤 0.1〜1.0重量部、
希釈剤 5〜15重量部、及び
光重合開始剤 0.02〜0.25重量部、
を有することができる。また、このような組成のセラミックペーストは、任意の添加剤を必要量で含有することができる。
【0045】
本発明の感光性セラミックペーストは、所定の形状及び寸法を有する溝パターンを表面に備えた可とう性成形型を介した光の照射によって光硬化せしめる時に、その優れた作用効果をいかんなく発揮することができ、したがって、微細構造体前駆ペーストとして有用である。また、微細構造体の典型例は、PDP用背面板のリブである。なお、PDP用背面板のリブの作製において、可とう性成形型の溝パターンは、一定の間隔をあけて互いに略平行に配置された複数本の溝部をもって構成されたストレートパターンであってもよいけれども、好ましくは、一定の間隔をあけて互いに交差しながら略平行に配置された複数本の溝部をもって構成された格子状パターンである。すなわち、PDP用背面板のリブは、ストレートパターン及び格子状パターンのいずれであってもよいけれども、好ましくは、格子状パターンである。
【0046】
上記との関連において、本発明は、所定の形状及び寸法を有する突起パターンを基板の表面に備えた微細構造体にある。本発明の微細構造体は、本発明の感光性セラミックペースト(微細構造体前駆ペースト)の光硬化によって成形されたものであることを特徴とする。
【0047】
本発明の微細構造体は、好ましくは、PDP用背面板のリブである。PDP用背面板において、突起状のリブパターンは、一定の間隔をあけて互いに略平行に配置された複数本のリブをもって構成されたストレートリブパターン及び一定の間隔をあけて互いに交差しながら略平行に配置された複数本のリブをもって構成された格子状リブパターンのいずれであってもよいが、好ましくは、格子状リブパターンである。
【0048】
また、本発明は、所定の形状及び寸法を有する突起パターンを基板の表面に備えた微細構造体を製造する方法にある。本発明方法は、下記の工程:
前記突起パターンに対応する形状及び寸法を有する溝パターンを表面に備えた可とう性成形型を用意する工程、
前記基板と前記成形型の溝パターンとの間に本発明の感光性セラミックペースト(微細構造体前駆ペースト)を配置して、前記セラミックペーストを前記成形型の溝パターンに充填し、かつ前記基板上にラミネートする工程、
前記セラミックペーストに所定の波長を有する光を照射して光硬化させ、前記基板とそれに一体的に結合した突起パターンとからなる微細構造体を形成する工程、そして
前記微細構造体から前記成形型を取り去る工程、を含んでなることを特徴とする。
【0049】
上記したように、微細構造体は、好ましくはPDP用背面板のリブであり、したがって、本発明方法は、好ましくは、基板の表面に、1組のアドレス電極を一定の間隔をあけて、略平行にかつ独立に設ける工程をさらに含むことができる。
【0050】
また、本発明方法の実施に使用される成形型は、好ましくは、支持体と、前記支持体上に設けられ、前記突起パターンに対応する形状及び寸法を有する溝パターンを表面に備えた成形層とを有する可とう性成形型である。可とう性成形型は、以下において詳細に説明する。
【0051】
さらに続けて、添付の図面を参照して、本発明の実施をさらに詳細に説明する。
【0052】
図2は、本発明による微細構造体の典型例である、PDPのリブ54である。すでに従来の技術の項で説明したように、PDPのリブ54は、背面ガラス基板51の上に設けられてPDP用背面板を構成し、図1に示したようなPDP50に組み込んで有利に使用することができる。また、図示のリブ54は、ストレートなリブパターンを有しているけれども、リブが直交した格子状のリブパターンも本発明の範囲に含まれ、むしろ格子状リブパターンに適用したほうが、本発明による感光性セラミックペーストの作用効果をいかんなく発揮させることができる。
【0053】
図示のリブ54において、リブ54の間隔(セルピッチ)cは、画面サイズなどによって変更可能であるけれども、通常、約150〜400μmの範囲である。一般的にリブには「欠陥のないこと」及び「寸法精度がよいこと」の2点が必要とされる。寸法精度に関して言えば、リブは、その形成時、アドレス電極に対してほとんどずれることなく所定位置に設けられることが求められ、実際、数十μm以内の位置誤差しか許容されない。位置誤差が数十μmを上回った場合、可視光の放出条件等に悪影響が生じ、満足のいく自発光表示が不可能となる。画面サイズの大型化が進んでいる今日、このようなリブのピッチ精度の問題は深刻である。本発明に従うと、このピッチ精度の問題を解決することができる。
【0054】
リブ54を全体として見た場合、基板のサイズ及びリブの形状によって若干の差はあるものの、一般的に、リブ54のトータルピッチ(両端のリブ54の距離;図では5本のリブしか示されていないが、通常、3000本前後である)Rは、これも前記したように、数十ppm以下の寸法精度が必要とされる。また、本発明の実施には支持体とそれによって支持された溝パターン付きの成形層とからなる可とう性成形型が有利に使用されるが、そのような成形型のトータルピッチ(両端の溝部の距離)にも、リブと同様に数十ppm以下の寸法精度が必要とされる。本発明に従うと、これらの寸法精度の問題も解決することができる。
【0055】
ところで、本発明の実施に有利に使用される可とう性成形型は、特にその構成が限定されるわけではないけれども、プラスチックフィルムからなる支持体と、その支持体の片面に光硬化性樹脂の成形によって形成された溝パターン(溝部)を備えた成形層とを含むことが好ましい。
【0056】
本発明の実施において好ましい支持体は、プラスチック材料のフィルムである。支持体に適当なプラスチック材料の例としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、延伸ポリプロピレン、ポリカーボネート、トリアセテートなどを挙げることができる。とりわけPETフィルムが支持体として有用であり、例えば、ポリエステルフィルム、例えばテトロンTMフィルムを支持体として有利に使用することができる。これらのプラスチックフィルムは、単層フィルムとして使用してもよく、2種類以上を組み合わせて複合もしくは積層フィルムとして使用してもよい。
【0057】
また、上記のようなプラスチックフィルムは、成形型及びPDPの構成などに応じていろいろな厚さで使用することができるけれども、通常、約0.05〜1.0mmの範囲であり、好ましくは、約0.1〜0.4mmの範囲である。支持体の厚さが上記の範囲を外れた場合には取り扱い性などが低下する。なお、支持体の厚さは、大きいほうが強度の面で有利である。
【0058】
可とう性成形型は、上述のような支持体とともに、その上に設けられ成形層を有する。成形層は、以下に詳細に説明するように、この成形型を使用して製造されるPDP背面板のリブやその他の微細構造体の突起物に対応する、所定の形状及び寸法を有する溝パターンを表面に備え、従って「賦形層」とも呼ぶことができる。成形層は、通常、単層で形成されるけれども、必要ならば、性質を異にする2種類以上の材料から多層構造で形成してもよい。なお、光硬化性成形材料を使用することを特に考慮に入れた場合、支持体及び成形層のどちらも透明であることが好ましい。
【0059】
引き続いて、可とう性成形型の構成を図3及び図4を参照して具体的に説明する。また、以下の説明から、この可とう性成形型を使用して光硬化によって成形される格子状パターンをもったリブの構成も、容易に理解できるであろう。
【0060】
図3は、可とう性成形型の好適な一実施形態を模式的に示す部分斜視図であり、図4は、図3の線分IV−IVに沿った断面図である。図から理解できるように、この可とう性成形型10は、図2に示したような複数本のリブ54が互いに平行に配置されたストレートリブパターンの背面ガラス基板51を製造するために設計されたものではなくて、図示しないが、複数本のリブが一定の間隔をあけて互いに交差しながら略平行に配置された、すなわち、格子状リブパターンを備えた背面ガラス基板を製造するためのものである。本発明の感光性セラミックペーストは、かかる格子状リブパターンを備えた背面ガラス基板を製造するのにとりわけ有用である。
【0061】
可とう性成形型10は、図示のように、予め定められた形状及び寸法をもった溝パターンをその表面に有している。溝パターンは、一定の間隔を開けて互いに交差しながら略平行に配置された複数本の溝部4をもって構成された格子状パターンである。すなわち、可とう性成形型10は、もちろんその他の微細構造体の製造にも適用可能であるけれども、このように開口した格子状パターンの溝部を表面に設けて構成されているので、例えば格子状突起パターンをもったPDPリブの成形に有利に使用可能になっている。可とう性成形型10は、必要に応じて追加の層を有していたり型を構成する各層に任意の処理や加工を施していてもよいけれども、基本的には、図3に示されるように、支持体1と、その上の溝部4をもった成形層11とから構成される。
【0062】
成形層11は、好ましくは、硬化性材料の硬化物からなる。硬化性材料は、熱硬化性の材料又は光硬化性の材料である。特に光硬化性材料は、成形層の形成に長大な加熱炉を必要とすることなく、しかも比較的短時間に硬化させることが可能であるので、有用である。光硬化性の材料は、好ましくは、光硬化性のモノマーやオリゴマー、さらに好ましくは、アクリル系のモノマーやオリゴマーである。硬化性材料は、任意の添加剤を含有することができる。適当な添加剤としては、例えば、重合開始剤(例えば、光開始剤)、帯電防止剤などを挙げることができる。
【0063】
成形層の形成に好適なアクリル系モノマーとしては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸エステルなどを挙げることができる。また、成形層の形成に好適なアクリル系オリゴマーとしては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマーなどを挙げることができる。特にウレタンアクリレートやそのオリゴマーは、硬化後に柔軟で強靭な硬化物を提供でき、また、アクリレート全般のなかでも硬化する速度が極めて速いので、成形型の生産性の向上にも寄与できる。さらに、これらのアクリル系モノマーやオリゴマーを使用すると、成形層が光学的に透明になる。したがって、このような成形層を備えた可とう性成形型は、PDPリブやその他の微細構造体を製造する時、光硬化性の成形材料を使用可能となす。なお、これらのアクリル系のモノマー及びオリゴマーは、単独で使用してもよく、2種類以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0064】
成形層11を担持する支持体1は、すでに説明したように、好ましくはプラスチックフィルムであり、また、その厚さは、通常、約0.05〜1.0mmの範囲である。また、支持体は、好ましくは光学的に透明である。支持体が光学的に透明であると、硬化のために照射する光がこの支持体を透過可能であるので、光硬化性の成形材料を用いて成形層を形成することができる。透明な支持体の典型的な例は、上記した通りである。
【0065】
上記したような可とう性成形型に本発明の感光性セラミックペーストを組み合わせて成形を行うと、その成形型やペーストの詳細に応じて各種の微細構造体を製造することができる。例えば、図3及び図4に示した可とう性成形型を使用すると、格子状リブパターンをもったPDPのリブを熟練を求められることなく高アスペクト比及び高精度に製造することができ、リブにおいて欠陥が発生することもない。また、このような可とう性成形型を使用すれば、真空設備及び(又は)複雑なプロセスの代わりにラミネートロールを用いただけで、放電表示セルから外部に紫外線が漏れ難いリブ構造を有する大画面のPDPを簡便に製造することができる。
【0066】
本発明はまた、微細構造体と、その製造方法にある。微細構造体は、いろいろな構造を有することができるけれども、その典型例は、ガラス平板上にリブを設けたPDP用基板(背面板)のリブの部分である。以下、図3及び図4に示した可とう性成形型を使用して格子状リブパターンをもったPDP用基板を製造する方法を図5を参照して説明する。なお、本方法の実施には、例えば特開2001−191345号公報の図1〜図3に示した製造装置を有利に使用できる。
【0067】
まず、ここでは図示されていないが、一定の間隔をあけて互いに平行に電極を配設したガラス平板を予め用意して定盤上にセットする。次いで、図5(A)に示すように、溝パターンを表面に有する本発明の可とう性成形型10をガラス平板31上の所定の位置に設置し、ガラス平板31と成形型10との位置合わせ(アライメント)を行う。成形型10は透明であるので、ガラス平板31上の電極との位置合わせは、容易に可能である。詳細に述べると、この位置合わせは、目視によって行うか、さもなければ、例えばCCDカメラのようなセンサを用いて、成形型10の溝部とガラス平板31の電極とを平行にするようにして行う。このとき、必要により、温度及び湿度を調整して成形型10の溝部とガラス平板31上の相隣れる電極間の間隔を一致させてもよい。通常、成形型10とガラス平板31は温度及び湿度の変化に応じて伸縮し、また、その程度は互いに異なるからである。したがって、ガラス平板31と成形型10との位置合わせが完了した後は、そのときの温度及び湿度を一定に維持するよう制御する。かかる制御方法は、大面積のPDP用基板の製造に当たって特に有効である。
【0068】
引き続いて、ラミネートロール23を成形型10の一端部に載置する。ラミネートロール23は、好ましくはゴムロールである。このとき、成形型10の一端部はガラス平板31上に固定されているのが好ましい。先に位置合わせが完了したガラス平板31と成形型10との位置ずれが防止され得るからである。
【0069】
次に、成形型10の自由な他端部をホルダー(図示せず)によって持ち上げてラミネートロール23の上方に移動させ、ガラス平板31を露出させる。このとき、成形型10には張力を与えないようにする。成形型10にしわが入るのを防止したり、成形型10とガラス平板31の位置合わせを維持したりするためである。但し、その位置合わせを維持し得る限り、他の手段を使用してもよい。なお、本製造方法では、成形型10に弾性があるので、成形型10を図示のようにめくりあげても、その後のラミネート時には、もとの位置合わせの状態に正確に戻すことができる。
【0070】
引き続いて、リブの形成に必要な所定量の感光性ペースト33をガラス平板31の上に供給する。感光性ペースト33は、先に詳細に説明した本発明の感光性セラミックペーストからなる。感光性セラミックペースト33の供給には、例えば、ノズル付きのペースト用ホッパーを使用できる。
【0071】
また、図示の製造方法の実施に当たっては、感光性セラミックペースト33をガラス平板31上の全体に均一に供給しない。図5(A)に示すように、ラミネートロール23の近傍のガラス平板31上にリブ前駆体33を供給するだけでよい。後述の工程でラミネートロール23が成形型10上を移動するときにガラス平板31の上に均一に感光性セラミックペースト33を広げることができるからである。この作業を円滑に行う面でも、感光性セラミックペースト33が2,000〜10,000cpsの粘度を有していることが好適である。但し、感光性セラミックペーストの供給は、上述の方法に限定されるものではない。例えば、図示しないが、感光性セラミックペーストをガラス平板の全面にコーティングしてもよい。
【0072】
次に、回転モータ(図示せず)を駆動させ、図5(A)において矢印で示すように、ラミネートロール23を成形型10上を所定の速度で移動させる。ラミネートロール23がこのようにして成形型10上を移動している間、成形型10にはその一端部から他端部に圧力がラミネートロール23の自重によって順次印加されて、ガラス平板31と成形型10の間に感光性セラミックペースト33が広がり、成形型10の溝部にペーストが充填される。すなわち、感光性セラミックペースト33が順次溝部の空気と置換されて充填されていく。このとき、感光性セラミックペーストの厚さは、セラミックペーストの粘度又はラミネートロールの直径、重量もしくは移動速度を適当に制御することにより、数μmから数十μmの範囲にすることができる。
【0073】
また、図示の製造方法によれば、成形型の溝部は空気のチャネルにもなって、空気をそこに捕捉したとしても、上述した印加圧力を受けたときには空気を効率よく成形型の外部又は周囲に排除することができる。その結果、本製造方法は、感光性セラミックペーストの充填を大気圧下で行っても、気泡の残存を防止することができるようになる。換言すれば、感光性セラミックペーストの充填に当たって減圧を適用する必要はなくなる。もちろん、減圧を行って、気泡の除去を一層容易に行ってもよい。
【0074】
引き続いて、感光性セラミックペーストを硬化させる。ガラス平板31上に広げたセラミックペースト33が光硬化可能である場合は、図5(B)に示すように、ガラス平板31と成形型10の積層体を光照射装置(図示せず)に入れ、紫外線(UV)のような光をガラス平板31及び成形型10を介してセラミックペースト33に照射して硬化させる。このようにして、感光性セラミックペーストの成形体、すなわち、リブそのものが得られる。
【0075】
最後に、得られたリブ34をガラス平板31に接着させたまま、ガラス平板31及び成形型10を光照射装置から取り出し、図5(C)に示すように成形型10を剥離除去する。ここで使用している可とう性の成形型10はハンドリング性にも優れるので、この成形型において被覆層に粘着性の低い材料を用いた場合、ガラス平板31に接着したリブ34を破損させることなく、少ない力で成形型10を容易に剥離除去できる。もちろん、この剥離除去作業に大掛かりな装置は不要である。
【0076】
【実施例】
引き続いて、本発明をその実施例を参照して説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。
実施例1
感光性ガラスペーストの調製:
ガラスペーストの調製のため、下記の原料を記載の量で用意した。
これらの原料をすべてアトライタミルに入れ、直径7mmのジルコニアボールを分散媒体として使用して30℃で1時間にわたって分散を行った。
【0077】
分散処理の完了後、アトライタからペーストを取り出し、22℃の環境下で一昼夜放置した。その後、ペーストの粘度をブルックフィールドB粘度計で測定した。粘度の測定条件として、シャフト#5、回転数20rpmを適用した。ペーストの粘度は、6,000cpsであった。
PDP用背面板の作製:
PDP用背面板を作製するため、高さ200μm、頂部幅100μm、ピッチ360μm、リブ本数2593本、そしてリブ長さ540mmの可とう性樹脂製成形型を作製した。
【0078】
次いで、PDP用ガラス基板の上に上記のようにして調製した感光性ガラスペーストをブレードを使用して約100μmの厚さで塗布した。その後、作製した可とう性成形型をたわませながら、ガラスペーストの塗布されたガラス基板の上に位置合わせしてラミネートした。ここで使用したラミネートロールは、直径200mm、重量100kgであり、40mm/秒の速度で走らせた。この時、成形型に印加される圧力は、ラミネートロールの重量だけであった。
【0079】
ガラス基板に成形型をラミネートした状態で、フィリップス社製の蛍光ランプを用い、400〜450nmに波長をもった光を成形型とガラス基板の両面から30秒間照射した。感光性ガラスペーストが硬化し、リブとなった。引き続いて、ガラス基板をその上のリブと共に成形型から剥離し、リブ付きのガラス基板を得た。
【0080】
次いで、成形に使用した成形型と得られたガラス基板のリブのトータルピッチ(両端のリブの距離)を5点法(5つの測定ポイント)で測定したところ、下記の第1表にまとめるような測定結果が得られた。
【0081】
【表1】
【0082】
上記第1表の測定結果から理解できるように、本発明に従いリン系界面活性剤とスルホン酸系界面活性剤を組み合わせてペースト中で使用してリブを作製した場合、使用した成形型とリブの寸法がほぼ一致しており、高い寸法精度でリブを作製できたことがわかる。
【0083】
さらに続けて、リブ付きのガラス基板を550℃で1時間にわたって焼成することで、原料ペースト中の有機成分を燃焼除去し、ガラス成分からなるリブを形成した。得られた背面板のリブを光学顕微鏡で観察したけれども、欠陥の存在は認められなかった。
比較例1
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例の場合、比較のため、リン系界面活性剤とスルホン酸系界面活性剤を組み合わせて使用する代りに、50.6gのリン系界面活性剤(ホスフェートプロポキシルアルキルポリオール)を使用して感光性ガラスペーストを調製した。得られたペーストのB粘度を測定したところ、26,000cps(シャフト#5、20rpm)であった。
【0084】
次いで、調製した感光性ガラスペーストを使用して、前記実施例1に記載の手法に従ってリブ付きのガラス基板を作製した。なお、本例では、ガラスペーストの粘度が26,000cpsの如く高粘度であったので、ガラスペーストの塗布されたガラス基板の上に成形型をラミネートするとき、より大きなラミネート圧力を加えた。具体的には、直径200mm、重量250kgのラミネートロールを20mm/秒の速度で走らせた。ガラス基板をその上のリブと共に成形型から剥離し、リブ付きのガラス基板を得た。
【0085】
次いで、成形に使用した成形型と得られたガラス基板のリブのトータルピッチ(両端のリブの距離)を5点法(5つの測定ポイント)で測定したところ、下記の第2表にまとめるような測定結果が得られた。
【0086】
【表2】
【0087】
上記第2表の測定結果から理解できるように、リン系界面活性剤のみをペースト中で使用してリブを作製した場合、使用した成形型とリブの寸法に不一致が発生し、リブの寸法は成形型の寸法から最大で70μm程度ずれていることがわかる。つまり、本例の場合、高い寸法精度でリブを作製できなかった。
【0088】
さらに続けて、リブ付きのガラス基板を550℃で1時間にわたって焼成することで、原料ペースト中の有機成分を燃焼除去し、ガラス成分からなるリブを形成した。得られた背面板のリブを光学顕微鏡で観察したところ、多数の欠陥の存在が認められた。
比較例2
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例の場合、比較のため、リン系界面活性剤とスルホン酸系界面活性剤を組み合わせて使用する代りに、50.6gのスルホン酸系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を使用して感光性ガラスペーストを調製した。得られたペーストのB粘度を測定したところ、35,000cps(シャフト#5、20rpm)であった。
【0089】
次いで、調製した感光性ガラスペーストを使用して、前記実施例1に記載の手法に従ってリブ付きのガラス基板を作製した。なお、本例では、ガラスペーストの粘度が35,000cpsの如く高粘度であったので、ガラスペーストの塗布されたガラス基板の上に成形型をラミネートするとき、より大きなラミネート圧力を加えた。具体的には、直径200mm、重量250kgのラミネートロールを10mm/秒の速度で走らせた。ガラス基板をその上のリブと共に成形型から剥離し、リブ付きのガラス基板を得た。
【0090】
次いで、成形に使用した成形型と得られたガラス基板のリブのトータルピッチ(両端のリブの距離)を5点法(5つの測定ポイント)で測定したところ、前記比較例1と同様に、使用した成形型とリブの寸法に不一致が発生し、リブの寸法は成形型の寸法から最大で100μm程度ずれていることがわかった。つまり、本例の場合、高い寸法精度でリブを作製できなかった。
【0091】
さらに続けて、リブ付きのガラス基板を550℃で1時間にわたって焼成することで、原料ペースト中の有機成分を燃焼除去し、ガラス成分からなるリブを形成した。得られた背面板のリブを光学顕微鏡で観察したところ、多数の欠陥の存在が認められた。
【0092】
【発明の効果】
以上に詳細に説明したように、本発明によれば、特定の組成及び特性をもった感光性セラミックペーストを使用することで、PDP背面板のリブを始めとした各種の微細構造体を、欠陥の発生を伴うことなく、安定的に、かつ高精度で製造することができる。
【0093】
また、このセラミックペーストに組み合わせて可とう性の樹脂製成形型を使用することで、樹脂製成形型の溝状パターンにセラミックペーストを気泡を取り込むことなく充填することができ、また、樹脂製成形型をその寸法精度を維持した状態で電極基板に貼り合わせることができる。よって、本発明によれば、欠陥がなく、寸法精度の高いリブやその他の微細構造体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明も適用可能な、従来のPDPの一例を模式的に示した断面図である。
【図2】本発明による微細構造体の好ましい1実施形態である本発明のリブを備えたPDP用背面板を示した斜視図である。
【図3】本発明で使用される可とう性成形型の1実施形態を示した斜視図である。
【図4】図3の可とう性成形型の線分IV−IVに沿った断面図である。
【図5】本発明によるリブを備えたPDP用背面板の1製造方法を、順を追って示した断面図である。
【符号の説明】
1…支持体
4…溝部
10…可とう性成形型
11…成形層
31…ガラス平板
34…リブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性ペーストに関し、さらに詳しく述べると、微細構造体を成形する際に有利に使用できる微細構造体前駆ペーストに関する。また、本発明は、かかるペーストを使用して微細構造体を製造する方法と、それによって製造される微細構造体に関する。微細構造体の典型例として、プラズマディスプレイパネル用背面板のリブがある。
【0002】
【従来の技術】
近年、薄型かつ軽量のフラットパネルディスプレイが次世代の表示装置として注目されている。例えば、薄型で大画面のフラットパネルディスプレイとして、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel: PDP)があり、業務用でまた最近は家庭用で壁掛けテレビとして使用され始めている。
【0003】
PDPは、図1に模式的に示すような構成を有している。図示のPDP50では、簡略化のために1個の放電表示セル56しか示されていないが、放電表示セル56は、前面ガラス基板61及び背面ガラス基板51と、微細構造のリブ(バリアリブ、隔壁又は障壁ともいう)54とによって囲まれて画定されている。前面ガラス基板61は、走査電極及び維持電極からなる透明な表示電極63と、透明な誘電体層62と、透明な保護層64とをその上に備えている。また、背面ガラス基板51は、アドレス電極53と、誘電体層52とをその上に備えている。
走査電極及び維持電極からなる表示電極63とアドレス電極53は、直交しており、かつ、それぞれ、間隔をあけて一定のパターンで配置されている。各放電表示セル56は、その内壁に蛍光体層55を有するとともに、希ガス(例えば、Ne−Xeガス)が封入されており、上記電極間のプラズマ放電により自発光表示をできるようになっている。
【0004】
このようなPDP50において、リブ54は、一般的にセラミックの微細構造体からなり、したがって、本発明の微細構造体をこれに適用することができる。
図2は、以下において詳細に説明するように、本発明のリブ54を模式的に示したものであり、アドレス電極53とともに背面ガラス基板51の上に予め設けられてPDP用背面板を構成している。
【0005】
PDPのリブは、その形状や寸法の精度がPDPの性能に大きく影響するので、従来、その製造に用いられる成形型や製造方法においていろいろな改良が加えられている。例えば、型材に金属又はガラスを使用し、リブ(隔壁)を形成する硬化可能な塗布液をガラス基板の表面と型材との間に配置し、塗布液が硬化した後に型材を取り除き、硬化された塗布液の転写された基板を焼成することを特徴とする隔壁形成方法が提案されている(特許文献1)。塗布液は、低融点ガラス粉末を主成分とするペーストである。しかし、この隔壁形成方法の場合、型材は高い工作精度でもって製造したものでなければならない、リブに気泡が入りやすい、ガラス基板からリブが剥離しやすい、減圧下で型材とガラス基板を密着させなければならないので、減圧装置が必要となり、不経済であり、熟練も必要となる、などのいろいろな問題点をかかえている。
【0006】
成形型や製造方法の改良に加えて、リブ形成用のペーストにおいてもいろいろな改良が加えられている。例えば、高アスペクト比かつ高精度のパターン加工を可能とするため、ゲル化を抑制することに重点をおいた、リン含有化合物、感光性有機成分及び無機微粒子を必須成分とする感光性ペーストが提案されている(特許文献2)。
【0007】
リン含有化合物をゲル化防止剤として含む上記のような感光性ペーストの場合、その粘度は200〜200,000cpsの範囲であるのが好ましいと開示されているけれども、本発明者が実施例を追試した結果では、この感光性ペーストの粘度は、約26,000cpsの高粘度であった。したがって、可とう性の成形型とかかる高粘度の感光性ペーストを使用してリブを形成したところ、気泡の巻き込みがペースト粘度と大きく関係しているため、高粘度に原因するいろいろな欠陥の発生を防止することができなかった。また、リブには、通常、ストレートパターンと格子状パターンとがあるけれども、特に格子状パターンの時に気泡の巻き込みによる欠陥の発生が顕著であった。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−12336号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平9−218509号公報(特許請求の範囲、段落0058)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来の技術の問題点を解決することを目的とする。
【0010】
本発明の1つの目的は、PDPリブあるいはその他の微細構造体を、気泡の発生、パターンの変形等の欠陥を伴わないで高アスペクト比かつ高い寸法精度で製造できる感光性ペーストを提供することにある。
【0011】
また、本発明のもう1つの目的は、熟練を必要とすることなく高アスペクト比かつ高い寸法精度で製造でき、しかも欠陥を有しないPDPリブあるいはその他の微細構造体を提供することにある。
【0012】
さらに、本発明のもう1つの目的は、本発明の感光性ペーストを使用して、例えばセラミック微細構造体などの微細構造体を高アスペクト比かつ高い寸法精度で、気泡の発生、パターンの変形等の欠陥を伴わないで、しかも熟練を必要とすることなく製造する方法を提供することにある。
【0013】
本発明のこれらの目的やその他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、その1つの面において、微細構造体前駆ペーストであって、
感光性材料と、
前記ペースト中に一次粒子として分散せしめられたセラミック微粒子と、
分子中にリン酸基を含むリン系化合物及び分子中にスルホン酸基を含むスルホン酸系化合物を含む界面活性剤とを含んでなり、かつ
22℃で1,500〜15,000cpsの粘度を有していることを特徴とする微細構造体前駆ペーストにある。
【0015】
また、本発明は、そのもう1つの面において、所定の形状及び寸法を有する突起パターンを基板の表面に備えた微細構造体であって、
本発明による微細構造体前駆ペーストの光硬化によって成形されたものであることを特徴とする微細構造体にある。
【0016】
さらに、本発明は、そのもう1つの面において、所定の形状及び寸法を有する突起パターンを基板の表面に備えた微細構造体を製造する方法であって、下記の工程:
前記突起パターンに対応する形状及び寸法を有する溝パターンを表面に備えた可とう性成形型を用意する工程、
前記基板と前記成形型の溝パターンとの間に本発明による微細構造体前駆ペーストを配置して、前記ペーストを前記成形型の溝パターンに充填し、かつ前記基板上にラミネートする工程、
前記ペーストに所定の波長を有する光を照射して光硬化させ、前記基板とそれに一体的に結合した突起パターンとからなる微細構造体を形成する工程、そして
前記微細構造体から前記成形型を取り去る工程、を含んでなることを特徴とする微細構造体の製造方法にある。
【0017】
ここで、本発明を完成するに至った経緯を説明しておくと、本発明者は、PDPのリブやそれに類似する微細構造体を高アスペクト比及び高精度で、しかも気泡の発生、パターンの変形等の欠陥を伴わないで作製することについて鋭意研究した結果、本発明者が先に発明したような可とう性の成形型(例えば、特開2001−191345号公報を参照されたい)を使用することが第1に重要であり、それに併用する感光性ペーストをいかに最適化することが第2に重要であるという知見を得た。また、感光性ペーストの最適化については、従来の技術ではペーストの粘度はさほど重要視されておらず、例えば先に参照した特許文献2でもペーストの組成に応じて粘度を適宜調整すればよいとされてきたところを、本発明では、感光性ペーストの粘度(22℃で測定したB粘度;ブルックフィールド粘度)を15,000cps以下に調整することが有効であることを発見した。
感光性ペーストの粘度が15,000cps以下の低粘度である場合、より小さい圧力で成形型とアドレス電極基板を貼り合わせることができ、所望の寸法精度を確保することが可能となり、あわせて、ストレートパターンでも格子状パターンでも気泡の巻き込みを伴わずにペーストを充填できるので、気泡の巻き込み等に原因する欠陥の発生を防止できるからである。本発明者は、感光性ペーストの粘度を2,000〜10,000cpsの範囲に調整するのが最も有効であるということを発見した。
【0018】
感光性ペーストの粘度を低下させるに当たって、次の3方法が検討された。
方法1:ガラスあるいはその他のセラミック微粒子の含有量を下げること。
方法2:感光性成分として、比較的に粘度の低い感光性材料を使用すること。
方法3:ガラスあるいはその他のセラミック微粒子の分散度を高めること。
【0019】
しかし、方法1は、リブの焼成時に収縮による寸法精度の大きな低下を引き起こし、欠陥数の増加を伴うため、好ましくない。
【0020】
また、方法2は、光硬化収縮量の増大による欠陥数の増加をともなうため、好ましくない。
【0021】
これらの2方法に反して、方法3は、理想的であり、欠陥数の増加を伴うこともない。本発明者は、方法3のため、分子中にリン酸基を含むリン系化合物及び分子中にスルホン酸基を含むスルホン酸系化合物を含む界面活性剤を感光性ペーストに混入した場合、高いセラミック微粒子含有量を確保しながらペースト中におけるそれらの微粒子の分散度を向上させ、粘度を15,000cps以下に下げられることを発見した。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明は、感光性の微細構造体前駆ペースト、そして微細構造体とその製造方法にあり、それぞれ、いろいろな形態で有利に実施することができる。以下では、微細構造体の典型例であるPDPリブの製造を参照して本発明の実施を詳細に説明する。なお、本発明がPDPリブの製造に限定されるわけではないことは、言うまでもない。
【0023】
本発明は、光硬化による成形で、PDPのリブやその他の微細構造体の製造に用いられる感光性セラミックペーストにある。この感光性セラミックペーストは、少なくとも下記の3種類の成分:
(1)感光性材料、
(2)前記ペースト中に一次粒子として分散せしめられたセラミック微粒子、及び
(3)分子中にリン酸基を含むリン系化合物及び分子中にスルホン酸基を含むスルホン酸系化合物を含む界面活性剤、を含むことを必須の構成要件とし、必要ならば、その他の追加の成分を有していてもよい。
【0024】
本発明の感光性セラミックペーストにおいて、第1の成分である感光性材料は、常用の感光性ペーストにおいて一般的に使用されている各種の感光性材料であってもよいけれども、好ましくは、分子中にメタクリル基を有するモノマーもしくはオリゴマーを含む感光性材料である。
【0025】
本発明の実施に好適なメタクリル基含有モノマーもしくはオリゴマーの例は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、
トリエチレングリコールジメタクリレート、
ジエチレングリコールジメタクリレート、
エチレングリコールジメタクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、
グリセリンジメタクリレート、
2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、
ネオペンチルグリコールジメタクリレート、
1,10−デカンジオールジメタクリレート、
ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、
ビスフェノールAのEO付加物ジメタクリレートなどを包含する。これらのモノマーもしくはオリゴマーは、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0026】
また、第2の成分であるセラミック微粒子は、常用の感光性ペーストにおいて一般的に用いられている各種のセラミック微粒子を包含する。本発明の実施において微粒子の形で有利に使用することのできるセラミック材料の例は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、ガラス、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカなどを包含する。これらのセラミック材料の微粒子は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。また、ある種のセラミック材料の微粒子の表面に別の種類のセラミック材料の薄膜を被覆してもよく、必要ならば、セラミック材料に代えてポリマーコーティングなどを被覆してもよい。
【0027】
上述のようなセラミック微粒子は、いろいろな粒径で使用することができるというものの、リブなどの形成に使用することを考慮した場合、通常、約0.1〜10μmの平均粒径で使用するのが好ましく、約0.5〜5.0μmの平均粒径で使用するのがさらに好ましい。
【0028】
さらに、感光性セラミックペースト中で感光性樹脂及びセラミック微粒子とともに第3の成分(界面活性剤)として使用されるリン系化合物は、分子中にリン酸基を含むリン系化合物であれば特に限定されないというものの、好ましくは、次式(I)、(II)、(III)又は(IV)によって表されるリン系化合物である。
【0029】
【化1】
【0030】
【化2】
【0031】
【化3】
【0032】
【化4】
【0033】
上式において、
R1 〜R7 は、それぞれ、同一もしくは異なっていてもよく、必要に応じて1〜30個の酸素原子を有していてもよい炭素数1〜60の炭化水素基を表し、
Xは、酸素原子を表すかもしくは硫黄原子を表し、そして
mは1〜4の整数である。
【0034】
かかるリン系化合物の典型例は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ブチル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸メチル、亜リン酸プロピル、亜リン酸ジプロピル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸フェニル、亜リン酸イソプロピル、亜リン酸ジイソプロピル、亜リン酸nブチル−2−エチルヘキシルなどの亜リン酸モノアルキル(C1〜10)エステル類、亜リン酸ジアルキル(C1〜10)エステル類、リン酸ジブチル、リン酸ブチル、リン酸ジメチル、リン酸メチル、リン酸プロピル、リン酸ジプロピル、リン酸ジフェニル、リン酸フェニル、リン酸イソプロピル、リン酸ジイソプロピル、リン酸nブチル−2−エチルヘキシルなどのリン酸モノアルキル(C1〜10)エステル類、リン酸ジアルキル(C1〜10)エステル類、リン酸化脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類、前述のリン酸エステル類の酸素を硫黄に置換したチオリン酸化合物などを包含する。また、亜リン酸アルキルエステルやリン酸アルキルエステルのアルキル部分にアクリル基やメタクリル基、ビニル基などの不飽和基を有する化合物を用いてもよい。さらに、ホスホン酸基やホスフィン酸基を有する化合物を用いてもよい。より好ましいリン系化合物として、ヒドロキシエチリレンジホスホン酸に代表されるアルキルジホスホン酸などのように、リン酸基や亜リン酸基を分子内に2個以上有するリン系化合物を挙げることができる。
【0035】
また、これらのリン系化合物と組み合わせて、同じく界面活性剤として使用されるスルホン酸系化合物は、分子中にスルホン酸基を含むスルホン酸系化合物であれば特に限定されないというものの、一例を示すと、
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム、
アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、
スルホコハク酸ジアルキルエステルナトリウム、
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムなどを包含する。
【0036】
本発明の感光性セラミックペーストでは、上記した2種類の化合物を組み合わせて界面活性剤として使用することが必要である。これらの化合物を組み合わせて使用する時、リン系化合物及びスルホン酸系化合物の混合比(重量比)は、通常、約99:1〜1:99の範囲であり、好ましくは、約90:10〜10:90の範囲である。両者の混合比が上記の範囲を外れた場合には、セラミック微粒子を一次粒子のレベルまで分散させることが不可能となるので、もはや粘度の望ましい低下を達成することができない。
【0037】
本発明による感光性セラミックペーストは、従来の感光性ペーストが高い粘度を有していたのとは対照的に、22℃で測定して、15,000cps以下の粘度を有しており、好ましくは2,000〜10,000cpsの粘度を有しており、しかも従来の感光性ペーストにおいて不可避であった各種の問題点も排除できる。従来のリブ成形用感光性ペーストの場合、ガラス微粒子の分散度を向上させることでペースト粘度を15,000cps以下に低下させることが考察されたけれども、ペースト中のガラス微粒子含有量を低下させることでペースト粘度を低下させた場合、焼成時の収縮が大きくなるため、欠陥数が増加したり、リブ形状の変形が大きくなったりと、多くの問題点が避けられなかったのとは対照的である。
【0038】
本発明では、リン酸基を有する界面活性化合物とスルホン酸基を有する界面活性化合物を組み合わせることで、まったく予想外のことに、感光性ペースト中においてガラス微粒子あるいはその他のセラミック微粒子を一次粒子のレベルまで分散させることが可能となった。その結果、例えばガラス微粒子を80重量%の量で含有する感光性ペーストにおいて、その粘度を10,000cps以下に低下させることができた。
【0039】
下記の実施例の項において説明するように、例えばガラス微粒子を80重量%の量で含有する感光性ペーストにおいて、リン酸基を有するリン系化合物のみを界面活性剤として添加した場合(比較例1)には、得られる感光性ペーストの粘度は26,000cpsの高粘度であり、また、スルホン酸基を有するスルホン酸系化合物のみを界面活性剤として添加した場合(比較例2)にも、得られる感光性ペーストの粘度は35,000cpsの高粘度であった。
【0040】
一方、実施例1に記載するように、リン酸基を有するリン系化合物とスルホン酸基を有するスルホン酸系化合物を界面活性剤として一緒に添加した場合、得られる感光性ペーストの粘度は、驚くべきことに6,000cpsまで低下した。
このことは、リン系化合物とスルホン酸系化合物の組み合わせによる相乗効果で、ペースト粘度を大幅に低下させえたことを立証している。実施例1で得られた感光性ペースの分散度を粒ゲージで測定したところ、最大粒子径が2〜3μm程度であり、ガラス微粒子が一次粒子(平均粒径:2〜3μm程度)として分散しており、これが本発明の作用効果に大きく関与していることが確認された。
【0041】
さらに、リン系化合物とスルホン酸系化合物を一緒に添加して調製した感光性ペーストについて、22℃で2ヶ月間放置して状態の変化を観察したところ、ペーストにおいてゲル化等の劣化現象は認められず、問題なくリブを形成することができた。このことは、リン系化合物とスルホン酸系化合物の組み合わせによる相乗効果で、ペーストの劣化も効果的に抑制できたことを立証している。
【0042】
さらに、本発明の感光性セラミックペーストにおいて、そのセラミック微粒子の含有量は通常約60〜90重量%の範囲であり、好ましくは、約70〜85重量%の範囲である。ペースト中のセラミック微粒子含有量が上記した範囲を外れると、微細構造体の製造や得られる微細構造体の特性に悪影響がで、本発明の上記した目的を達成することができなくなる。悪影響の例としては、ペーストの塗布不良、リブ等の微細構造体の損傷、欠損、型剥離の困難などを挙げることができる。
【0043】
本発明の感光性セラミックペーストは、上記した成分に加えて、常用の感光性ペーストにおいて一般的に使用されている添加剤を必要に応じて含有することができる。適当な添加剤として、例えば、バインダ(結合剤)、光重合開始剤、希釈剤、紫外線吸収剤、増感剤、増感助剤、重合禁止剤、可塑剤、増粘剤、有機溶媒などを挙げることができる。
【0044】
本発明の感光性セラミックペーストは、上記した要件を満たす範囲でいろいろな組成を有することができるけれども、好ましくは、下記の組成:
感光性樹脂 5〜15重量部、
セラミック微粒子 60〜90重量部、
リン系化合物からなる界面活性剤 0.1〜1.0重量部、
スルホン酸系化合物からなる界面活性剤 0.1〜1.0重量部、
希釈剤 5〜15重量部、及び
光重合開始剤 0.02〜0.25重量部、
を有することができる。また、このような組成のセラミックペーストは、任意の添加剤を必要量で含有することができる。
【0045】
本発明の感光性セラミックペーストは、所定の形状及び寸法を有する溝パターンを表面に備えた可とう性成形型を介した光の照射によって光硬化せしめる時に、その優れた作用効果をいかんなく発揮することができ、したがって、微細構造体前駆ペーストとして有用である。また、微細構造体の典型例は、PDP用背面板のリブである。なお、PDP用背面板のリブの作製において、可とう性成形型の溝パターンは、一定の間隔をあけて互いに略平行に配置された複数本の溝部をもって構成されたストレートパターンであってもよいけれども、好ましくは、一定の間隔をあけて互いに交差しながら略平行に配置された複数本の溝部をもって構成された格子状パターンである。すなわち、PDP用背面板のリブは、ストレートパターン及び格子状パターンのいずれであってもよいけれども、好ましくは、格子状パターンである。
【0046】
上記との関連において、本発明は、所定の形状及び寸法を有する突起パターンを基板の表面に備えた微細構造体にある。本発明の微細構造体は、本発明の感光性セラミックペースト(微細構造体前駆ペースト)の光硬化によって成形されたものであることを特徴とする。
【0047】
本発明の微細構造体は、好ましくは、PDP用背面板のリブである。PDP用背面板において、突起状のリブパターンは、一定の間隔をあけて互いに略平行に配置された複数本のリブをもって構成されたストレートリブパターン及び一定の間隔をあけて互いに交差しながら略平行に配置された複数本のリブをもって構成された格子状リブパターンのいずれであってもよいが、好ましくは、格子状リブパターンである。
【0048】
また、本発明は、所定の形状及び寸法を有する突起パターンを基板の表面に備えた微細構造体を製造する方法にある。本発明方法は、下記の工程:
前記突起パターンに対応する形状及び寸法を有する溝パターンを表面に備えた可とう性成形型を用意する工程、
前記基板と前記成形型の溝パターンとの間に本発明の感光性セラミックペースト(微細構造体前駆ペースト)を配置して、前記セラミックペーストを前記成形型の溝パターンに充填し、かつ前記基板上にラミネートする工程、
前記セラミックペーストに所定の波長を有する光を照射して光硬化させ、前記基板とそれに一体的に結合した突起パターンとからなる微細構造体を形成する工程、そして
前記微細構造体から前記成形型を取り去る工程、を含んでなることを特徴とする。
【0049】
上記したように、微細構造体は、好ましくはPDP用背面板のリブであり、したがって、本発明方法は、好ましくは、基板の表面に、1組のアドレス電極を一定の間隔をあけて、略平行にかつ独立に設ける工程をさらに含むことができる。
【0050】
また、本発明方法の実施に使用される成形型は、好ましくは、支持体と、前記支持体上に設けられ、前記突起パターンに対応する形状及び寸法を有する溝パターンを表面に備えた成形層とを有する可とう性成形型である。可とう性成形型は、以下において詳細に説明する。
【0051】
さらに続けて、添付の図面を参照して、本発明の実施をさらに詳細に説明する。
【0052】
図2は、本発明による微細構造体の典型例である、PDPのリブ54である。すでに従来の技術の項で説明したように、PDPのリブ54は、背面ガラス基板51の上に設けられてPDP用背面板を構成し、図1に示したようなPDP50に組み込んで有利に使用することができる。また、図示のリブ54は、ストレートなリブパターンを有しているけれども、リブが直交した格子状のリブパターンも本発明の範囲に含まれ、むしろ格子状リブパターンに適用したほうが、本発明による感光性セラミックペーストの作用効果をいかんなく発揮させることができる。
【0053】
図示のリブ54において、リブ54の間隔(セルピッチ)cは、画面サイズなどによって変更可能であるけれども、通常、約150〜400μmの範囲である。一般的にリブには「欠陥のないこと」及び「寸法精度がよいこと」の2点が必要とされる。寸法精度に関して言えば、リブは、その形成時、アドレス電極に対してほとんどずれることなく所定位置に設けられることが求められ、実際、数十μm以内の位置誤差しか許容されない。位置誤差が数十μmを上回った場合、可視光の放出条件等に悪影響が生じ、満足のいく自発光表示が不可能となる。画面サイズの大型化が進んでいる今日、このようなリブのピッチ精度の問題は深刻である。本発明に従うと、このピッチ精度の問題を解決することができる。
【0054】
リブ54を全体として見た場合、基板のサイズ及びリブの形状によって若干の差はあるものの、一般的に、リブ54のトータルピッチ(両端のリブ54の距離;図では5本のリブしか示されていないが、通常、3000本前後である)Rは、これも前記したように、数十ppm以下の寸法精度が必要とされる。また、本発明の実施には支持体とそれによって支持された溝パターン付きの成形層とからなる可とう性成形型が有利に使用されるが、そのような成形型のトータルピッチ(両端の溝部の距離)にも、リブと同様に数十ppm以下の寸法精度が必要とされる。本発明に従うと、これらの寸法精度の問題も解決することができる。
【0055】
ところで、本発明の実施に有利に使用される可とう性成形型は、特にその構成が限定されるわけではないけれども、プラスチックフィルムからなる支持体と、その支持体の片面に光硬化性樹脂の成形によって形成された溝パターン(溝部)を備えた成形層とを含むことが好ましい。
【0056】
本発明の実施において好ましい支持体は、プラスチック材料のフィルムである。支持体に適当なプラスチック材料の例としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、延伸ポリプロピレン、ポリカーボネート、トリアセテートなどを挙げることができる。とりわけPETフィルムが支持体として有用であり、例えば、ポリエステルフィルム、例えばテトロンTMフィルムを支持体として有利に使用することができる。これらのプラスチックフィルムは、単層フィルムとして使用してもよく、2種類以上を組み合わせて複合もしくは積層フィルムとして使用してもよい。
【0057】
また、上記のようなプラスチックフィルムは、成形型及びPDPの構成などに応じていろいろな厚さで使用することができるけれども、通常、約0.05〜1.0mmの範囲であり、好ましくは、約0.1〜0.4mmの範囲である。支持体の厚さが上記の範囲を外れた場合には取り扱い性などが低下する。なお、支持体の厚さは、大きいほうが強度の面で有利である。
【0058】
可とう性成形型は、上述のような支持体とともに、その上に設けられ成形層を有する。成形層は、以下に詳細に説明するように、この成形型を使用して製造されるPDP背面板のリブやその他の微細構造体の突起物に対応する、所定の形状及び寸法を有する溝パターンを表面に備え、従って「賦形層」とも呼ぶことができる。成形層は、通常、単層で形成されるけれども、必要ならば、性質を異にする2種類以上の材料から多層構造で形成してもよい。なお、光硬化性成形材料を使用することを特に考慮に入れた場合、支持体及び成形層のどちらも透明であることが好ましい。
【0059】
引き続いて、可とう性成形型の構成を図3及び図4を参照して具体的に説明する。また、以下の説明から、この可とう性成形型を使用して光硬化によって成形される格子状パターンをもったリブの構成も、容易に理解できるであろう。
【0060】
図3は、可とう性成形型の好適な一実施形態を模式的に示す部分斜視図であり、図4は、図3の線分IV−IVに沿った断面図である。図から理解できるように、この可とう性成形型10は、図2に示したような複数本のリブ54が互いに平行に配置されたストレートリブパターンの背面ガラス基板51を製造するために設計されたものではなくて、図示しないが、複数本のリブが一定の間隔をあけて互いに交差しながら略平行に配置された、すなわち、格子状リブパターンを備えた背面ガラス基板を製造するためのものである。本発明の感光性セラミックペーストは、かかる格子状リブパターンを備えた背面ガラス基板を製造するのにとりわけ有用である。
【0061】
可とう性成形型10は、図示のように、予め定められた形状及び寸法をもった溝パターンをその表面に有している。溝パターンは、一定の間隔を開けて互いに交差しながら略平行に配置された複数本の溝部4をもって構成された格子状パターンである。すなわち、可とう性成形型10は、もちろんその他の微細構造体の製造にも適用可能であるけれども、このように開口した格子状パターンの溝部を表面に設けて構成されているので、例えば格子状突起パターンをもったPDPリブの成形に有利に使用可能になっている。可とう性成形型10は、必要に応じて追加の層を有していたり型を構成する各層に任意の処理や加工を施していてもよいけれども、基本的には、図3に示されるように、支持体1と、その上の溝部4をもった成形層11とから構成される。
【0062】
成形層11は、好ましくは、硬化性材料の硬化物からなる。硬化性材料は、熱硬化性の材料又は光硬化性の材料である。特に光硬化性材料は、成形層の形成に長大な加熱炉を必要とすることなく、しかも比較的短時間に硬化させることが可能であるので、有用である。光硬化性の材料は、好ましくは、光硬化性のモノマーやオリゴマー、さらに好ましくは、アクリル系のモノマーやオリゴマーである。硬化性材料は、任意の添加剤を含有することができる。適当な添加剤としては、例えば、重合開始剤(例えば、光開始剤)、帯電防止剤などを挙げることができる。
【0063】
成形層の形成に好適なアクリル系モノマーとしては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸エステルなどを挙げることができる。また、成形層の形成に好適なアクリル系オリゴマーとしては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマーなどを挙げることができる。特にウレタンアクリレートやそのオリゴマーは、硬化後に柔軟で強靭な硬化物を提供でき、また、アクリレート全般のなかでも硬化する速度が極めて速いので、成形型の生産性の向上にも寄与できる。さらに、これらのアクリル系モノマーやオリゴマーを使用すると、成形層が光学的に透明になる。したがって、このような成形層を備えた可とう性成形型は、PDPリブやその他の微細構造体を製造する時、光硬化性の成形材料を使用可能となす。なお、これらのアクリル系のモノマー及びオリゴマーは、単独で使用してもよく、2種類以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0064】
成形層11を担持する支持体1は、すでに説明したように、好ましくはプラスチックフィルムであり、また、その厚さは、通常、約0.05〜1.0mmの範囲である。また、支持体は、好ましくは光学的に透明である。支持体が光学的に透明であると、硬化のために照射する光がこの支持体を透過可能であるので、光硬化性の成形材料を用いて成形層を形成することができる。透明な支持体の典型的な例は、上記した通りである。
【0065】
上記したような可とう性成形型に本発明の感光性セラミックペーストを組み合わせて成形を行うと、その成形型やペーストの詳細に応じて各種の微細構造体を製造することができる。例えば、図3及び図4に示した可とう性成形型を使用すると、格子状リブパターンをもったPDPのリブを熟練を求められることなく高アスペクト比及び高精度に製造することができ、リブにおいて欠陥が発生することもない。また、このような可とう性成形型を使用すれば、真空設備及び(又は)複雑なプロセスの代わりにラミネートロールを用いただけで、放電表示セルから外部に紫外線が漏れ難いリブ構造を有する大画面のPDPを簡便に製造することができる。
【0066】
本発明はまた、微細構造体と、その製造方法にある。微細構造体は、いろいろな構造を有することができるけれども、その典型例は、ガラス平板上にリブを設けたPDP用基板(背面板)のリブの部分である。以下、図3及び図4に示した可とう性成形型を使用して格子状リブパターンをもったPDP用基板を製造する方法を図5を参照して説明する。なお、本方法の実施には、例えば特開2001−191345号公報の図1〜図3に示した製造装置を有利に使用できる。
【0067】
まず、ここでは図示されていないが、一定の間隔をあけて互いに平行に電極を配設したガラス平板を予め用意して定盤上にセットする。次いで、図5(A)に示すように、溝パターンを表面に有する本発明の可とう性成形型10をガラス平板31上の所定の位置に設置し、ガラス平板31と成形型10との位置合わせ(アライメント)を行う。成形型10は透明であるので、ガラス平板31上の電極との位置合わせは、容易に可能である。詳細に述べると、この位置合わせは、目視によって行うか、さもなければ、例えばCCDカメラのようなセンサを用いて、成形型10の溝部とガラス平板31の電極とを平行にするようにして行う。このとき、必要により、温度及び湿度を調整して成形型10の溝部とガラス平板31上の相隣れる電極間の間隔を一致させてもよい。通常、成形型10とガラス平板31は温度及び湿度の変化に応じて伸縮し、また、その程度は互いに異なるからである。したがって、ガラス平板31と成形型10との位置合わせが完了した後は、そのときの温度及び湿度を一定に維持するよう制御する。かかる制御方法は、大面積のPDP用基板の製造に当たって特に有効である。
【0068】
引き続いて、ラミネートロール23を成形型10の一端部に載置する。ラミネートロール23は、好ましくはゴムロールである。このとき、成形型10の一端部はガラス平板31上に固定されているのが好ましい。先に位置合わせが完了したガラス平板31と成形型10との位置ずれが防止され得るからである。
【0069】
次に、成形型10の自由な他端部をホルダー(図示せず)によって持ち上げてラミネートロール23の上方に移動させ、ガラス平板31を露出させる。このとき、成形型10には張力を与えないようにする。成形型10にしわが入るのを防止したり、成形型10とガラス平板31の位置合わせを維持したりするためである。但し、その位置合わせを維持し得る限り、他の手段を使用してもよい。なお、本製造方法では、成形型10に弾性があるので、成形型10を図示のようにめくりあげても、その後のラミネート時には、もとの位置合わせの状態に正確に戻すことができる。
【0070】
引き続いて、リブの形成に必要な所定量の感光性ペースト33をガラス平板31の上に供給する。感光性ペースト33は、先に詳細に説明した本発明の感光性セラミックペーストからなる。感光性セラミックペースト33の供給には、例えば、ノズル付きのペースト用ホッパーを使用できる。
【0071】
また、図示の製造方法の実施に当たっては、感光性セラミックペースト33をガラス平板31上の全体に均一に供給しない。図5(A)に示すように、ラミネートロール23の近傍のガラス平板31上にリブ前駆体33を供給するだけでよい。後述の工程でラミネートロール23が成形型10上を移動するときにガラス平板31の上に均一に感光性セラミックペースト33を広げることができるからである。この作業を円滑に行う面でも、感光性セラミックペースト33が2,000〜10,000cpsの粘度を有していることが好適である。但し、感光性セラミックペーストの供給は、上述の方法に限定されるものではない。例えば、図示しないが、感光性セラミックペーストをガラス平板の全面にコーティングしてもよい。
【0072】
次に、回転モータ(図示せず)を駆動させ、図5(A)において矢印で示すように、ラミネートロール23を成形型10上を所定の速度で移動させる。ラミネートロール23がこのようにして成形型10上を移動している間、成形型10にはその一端部から他端部に圧力がラミネートロール23の自重によって順次印加されて、ガラス平板31と成形型10の間に感光性セラミックペースト33が広がり、成形型10の溝部にペーストが充填される。すなわち、感光性セラミックペースト33が順次溝部の空気と置換されて充填されていく。このとき、感光性セラミックペーストの厚さは、セラミックペーストの粘度又はラミネートロールの直径、重量もしくは移動速度を適当に制御することにより、数μmから数十μmの範囲にすることができる。
【0073】
また、図示の製造方法によれば、成形型の溝部は空気のチャネルにもなって、空気をそこに捕捉したとしても、上述した印加圧力を受けたときには空気を効率よく成形型の外部又は周囲に排除することができる。その結果、本製造方法は、感光性セラミックペーストの充填を大気圧下で行っても、気泡の残存を防止することができるようになる。換言すれば、感光性セラミックペーストの充填に当たって減圧を適用する必要はなくなる。もちろん、減圧を行って、気泡の除去を一層容易に行ってもよい。
【0074】
引き続いて、感光性セラミックペーストを硬化させる。ガラス平板31上に広げたセラミックペースト33が光硬化可能である場合は、図5(B)に示すように、ガラス平板31と成形型10の積層体を光照射装置(図示せず)に入れ、紫外線(UV)のような光をガラス平板31及び成形型10を介してセラミックペースト33に照射して硬化させる。このようにして、感光性セラミックペーストの成形体、すなわち、リブそのものが得られる。
【0075】
最後に、得られたリブ34をガラス平板31に接着させたまま、ガラス平板31及び成形型10を光照射装置から取り出し、図5(C)に示すように成形型10を剥離除去する。ここで使用している可とう性の成形型10はハンドリング性にも優れるので、この成形型において被覆層に粘着性の低い材料を用いた場合、ガラス平板31に接着したリブ34を破損させることなく、少ない力で成形型10を容易に剥離除去できる。もちろん、この剥離除去作業に大掛かりな装置は不要である。
【0076】
【実施例】
引き続いて、本発明をその実施例を参照して説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。
実施例1
感光性ガラスペーストの調製:
ガラスペーストの調製のため、下記の原料を記載の量で用意した。
これらの原料をすべてアトライタミルに入れ、直径7mmのジルコニアボールを分散媒体として使用して30℃で1時間にわたって分散を行った。
【0077】
分散処理の完了後、アトライタからペーストを取り出し、22℃の環境下で一昼夜放置した。その後、ペーストの粘度をブルックフィールドB粘度計で測定した。粘度の測定条件として、シャフト#5、回転数20rpmを適用した。ペーストの粘度は、6,000cpsであった。
PDP用背面板の作製:
PDP用背面板を作製するため、高さ200μm、頂部幅100μm、ピッチ360μm、リブ本数2593本、そしてリブ長さ540mmの可とう性樹脂製成形型を作製した。
【0078】
次いで、PDP用ガラス基板の上に上記のようにして調製した感光性ガラスペーストをブレードを使用して約100μmの厚さで塗布した。その後、作製した可とう性成形型をたわませながら、ガラスペーストの塗布されたガラス基板の上に位置合わせしてラミネートした。ここで使用したラミネートロールは、直径200mm、重量100kgであり、40mm/秒の速度で走らせた。この時、成形型に印加される圧力は、ラミネートロールの重量だけであった。
【0079】
ガラス基板に成形型をラミネートした状態で、フィリップス社製の蛍光ランプを用い、400〜450nmに波長をもった光を成形型とガラス基板の両面から30秒間照射した。感光性ガラスペーストが硬化し、リブとなった。引き続いて、ガラス基板をその上のリブと共に成形型から剥離し、リブ付きのガラス基板を得た。
【0080】
次いで、成形に使用した成形型と得られたガラス基板のリブのトータルピッチ(両端のリブの距離)を5点法(5つの測定ポイント)で測定したところ、下記の第1表にまとめるような測定結果が得られた。
【0081】
【表1】
【0082】
上記第1表の測定結果から理解できるように、本発明に従いリン系界面活性剤とスルホン酸系界面活性剤を組み合わせてペースト中で使用してリブを作製した場合、使用した成形型とリブの寸法がほぼ一致しており、高い寸法精度でリブを作製できたことがわかる。
【0083】
さらに続けて、リブ付きのガラス基板を550℃で1時間にわたって焼成することで、原料ペースト中の有機成分を燃焼除去し、ガラス成分からなるリブを形成した。得られた背面板のリブを光学顕微鏡で観察したけれども、欠陥の存在は認められなかった。
比較例1
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例の場合、比較のため、リン系界面活性剤とスルホン酸系界面活性剤を組み合わせて使用する代りに、50.6gのリン系界面活性剤(ホスフェートプロポキシルアルキルポリオール)を使用して感光性ガラスペーストを調製した。得られたペーストのB粘度を測定したところ、26,000cps(シャフト#5、20rpm)であった。
【0084】
次いで、調製した感光性ガラスペーストを使用して、前記実施例1に記載の手法に従ってリブ付きのガラス基板を作製した。なお、本例では、ガラスペーストの粘度が26,000cpsの如く高粘度であったので、ガラスペーストの塗布されたガラス基板の上に成形型をラミネートするとき、より大きなラミネート圧力を加えた。具体的には、直径200mm、重量250kgのラミネートロールを20mm/秒の速度で走らせた。ガラス基板をその上のリブと共に成形型から剥離し、リブ付きのガラス基板を得た。
【0085】
次いで、成形に使用した成形型と得られたガラス基板のリブのトータルピッチ(両端のリブの距離)を5点法(5つの測定ポイント)で測定したところ、下記の第2表にまとめるような測定結果が得られた。
【0086】
【表2】
【0087】
上記第2表の測定結果から理解できるように、リン系界面活性剤のみをペースト中で使用してリブを作製した場合、使用した成形型とリブの寸法に不一致が発生し、リブの寸法は成形型の寸法から最大で70μm程度ずれていることがわかる。つまり、本例の場合、高い寸法精度でリブを作製できなかった。
【0088】
さらに続けて、リブ付きのガラス基板を550℃で1時間にわたって焼成することで、原料ペースト中の有機成分を燃焼除去し、ガラス成分からなるリブを形成した。得られた背面板のリブを光学顕微鏡で観察したところ、多数の欠陥の存在が認められた。
比較例2
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例の場合、比較のため、リン系界面活性剤とスルホン酸系界面活性剤を組み合わせて使用する代りに、50.6gのスルホン酸系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を使用して感光性ガラスペーストを調製した。得られたペーストのB粘度を測定したところ、35,000cps(シャフト#5、20rpm)であった。
【0089】
次いで、調製した感光性ガラスペーストを使用して、前記実施例1に記載の手法に従ってリブ付きのガラス基板を作製した。なお、本例では、ガラスペーストの粘度が35,000cpsの如く高粘度であったので、ガラスペーストの塗布されたガラス基板の上に成形型をラミネートするとき、より大きなラミネート圧力を加えた。具体的には、直径200mm、重量250kgのラミネートロールを10mm/秒の速度で走らせた。ガラス基板をその上のリブと共に成形型から剥離し、リブ付きのガラス基板を得た。
【0090】
次いで、成形に使用した成形型と得られたガラス基板のリブのトータルピッチ(両端のリブの距離)を5点法(5つの測定ポイント)で測定したところ、前記比較例1と同様に、使用した成形型とリブの寸法に不一致が発生し、リブの寸法は成形型の寸法から最大で100μm程度ずれていることがわかった。つまり、本例の場合、高い寸法精度でリブを作製できなかった。
【0091】
さらに続けて、リブ付きのガラス基板を550℃で1時間にわたって焼成することで、原料ペースト中の有機成分を燃焼除去し、ガラス成分からなるリブを形成した。得られた背面板のリブを光学顕微鏡で観察したところ、多数の欠陥の存在が認められた。
【0092】
【発明の効果】
以上に詳細に説明したように、本発明によれば、特定の組成及び特性をもった感光性セラミックペーストを使用することで、PDP背面板のリブを始めとした各種の微細構造体を、欠陥の発生を伴うことなく、安定的に、かつ高精度で製造することができる。
【0093】
また、このセラミックペーストに組み合わせて可とう性の樹脂製成形型を使用することで、樹脂製成形型の溝状パターンにセラミックペーストを気泡を取り込むことなく充填することができ、また、樹脂製成形型をその寸法精度を維持した状態で電極基板に貼り合わせることができる。よって、本発明によれば、欠陥がなく、寸法精度の高いリブやその他の微細構造体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明も適用可能な、従来のPDPの一例を模式的に示した断面図である。
【図2】本発明による微細構造体の好ましい1実施形態である本発明のリブを備えたPDP用背面板を示した斜視図である。
【図3】本発明で使用される可とう性成形型の1実施形態を示した斜視図である。
【図4】図3の可とう性成形型の線分IV−IVに沿った断面図である。
【図5】本発明によるリブを備えたPDP用背面板の1製造方法を、順を追って示した断面図である。
【符号の説明】
1…支持体
4…溝部
10…可とう性成形型
11…成形層
31…ガラス平板
34…リブ
Claims (11)
- 微細構造体前駆ペーストであって、
感光性材料と、
前記ペースト中に一次粒子として分散せしめられたセラミック微粒子と、
分子中にリン酸基を含むリン系化合物及び分子中にスルホン酸基を含むスルホン酸系化合物を含む界面活性剤とを含んでなり、かつ
22℃で1,500〜15,000cpsの粘度を有していることを特徴とする微細構造体前駆ペースト。 - 前記セラミック微粒子の含有量が60〜90重量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の微細構造体前駆ペースト。
- 前記感光性材料が、分子中にメタクリル基を有するモノマーもしくはオリゴマーを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の微細構造体前駆ペースト。
- 前記セラミック微粒子が、ガラス、アルミナ、チタニア、ジルコニア及びシリカからなる群から選ばれた少なくとも1種類のセラミック材料の微粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の微細構造体前駆ペースト。
- 前記セラミック微粒子が、0.1〜10μmの平均粒径を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の微細構造体前駆ペースト。
- 前記界面活性剤において、前記リン系化合物及び前記スルホン酸系化合物が、99:1〜1:99の範囲で含まれていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の微細構造体前駆ペースト。
- 下記の組成:
感光性樹脂 5〜15重量部、
セラミック微粒子 60〜90重量部、
リン系化合物からなる界面活性剤 0.1〜1.0重量部、
スルホン酸系化合物からなる界面活性剤 0.1〜1.0重量部、
希釈剤 5〜15重量部、及び
光重合開始剤 0.02〜0.25重量部、
からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の微細構造体前駆ペースト。 - 所定の形状及び寸法を有する突起パターンを基板の表面に備えた微細構造体であって、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の微細構造体前駆ペーストの光硬化によって成形されたものであることを特徴とする微細構造体。 - 前記突起パターンが、一定の間隔をあけて互いに略平行に配置された複数本のリブをもって構成されたストレートパターンであることを特徴とする請求項8に記載の微細構造体。
- 前記突起パターンが、一定の間隔をあけて互いに交差しながら略平行に配置された複数本のリブをもって構成された格子状パターンであることを特徴とする請求項8に記載の微細構造体。
- 所定の形状及び寸法を有する突起パターンを基板の表面に備えた微細構造体を製造する方法であって、下記の工程:
前記突起パターンに対応する形状及び寸法を有する溝パターンを表面に備えた可とう性成形型を用意する工程、
前記基板と前記成形型の溝パターンとの間に請求項1〜7のいずれか1項に記載の微細構造体前駆ペーストを配置して、前記ペーストを前記成形型の溝パターンに充填し、かつ前記基板上にラミネートする工程、
前記ペーストに所定の波長を有する光を照射して光硬化させ、前記基板とそれに一体的に結合した突起パターンとからなる微細構造体を形成する工程、そして
前記微細構造体から前記成形型を取り去る工程、を含んでなることを特徴とする微細構造体の製造方法。
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