JP2005067285A - 赤外線映像装置および赤外線映像装置を利用した海上捜索方法 - Google Patents

赤外線映像装置および赤外線映像装置を利用した海上捜索方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 海上遭難者を捜索する航空機に設けた赤外線映像装置において、スラントレンジを目標物の表示可能な最大距離以下にでき、波に影響されず、遭難者発見時には同一箇所の再スキャンおよびスキャン映像の録画を行なえ、遭難者を一早く、効率的に発見する。
【解決手段】 赤外線を受信し赤外線視軸を変更可能な赤外線撮像部2と、電気信号を映像信号に変換する電子制御部4と、映像信号を再生する表示部6と、映像信号と目標物探知レベルと入力目標物の寸法とに基づいて赤外線撮像部2の視軸を制御する視軸信号を出力する視軸制御部8と、視軸信号に基づいて赤外線撮像部2と対象物との距離が目標物の視認可能な最大限界距離を超えないよう赤外線撮像部2の視軸制限を計算する演算部13と、視軸制御部8からの視軸信号と演算部13からの視軸制限とに基づいて視軸を操作する駆動信号を赤外線撮像部2に出力する駆動制御部9とをそなえて構成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば、赤外線映像装置を設けた飛行体(航空機,ヘリコプター等)を用いて、上空からの海上遭難者の捜索に用いて好適な、赤外線映像装置および赤外線映像装置を利用した海上捜索方法に関する。
一般に、海上において遭難した人間(遭難者又は海上遭難者)を上空から捜索する場合、航空機又はヘリコプターの高速移動,飛行高度,海面からの太陽光の反射等が要因となり、オペレータが目視によって人間を捜索することが困難である。特に、夜間の捜索はきわめて困難である。このため、捜索は、航空機搭載型(航空機装備型)の赤外線映像装置を用いることが多い。赤外線映像装置は、物体が放射する赤外線の放射エネルギー(以下、赤外線放射と称する。)を受信して映像化するものであって、遭難者からの赤外線放射を映像表示するものである。この赤外線映像装置は航空機に設けられ、航空機に搭乗したオペレータが、上空から遭難者を捜索する。
(X1)スキャンの一例
上空から捜索する場合、赤外線映像装置は、赤外線映像装置自身の水平視野(水平視野角度又は水平視界)の方向を左右に振り、スキャン(走査)して捜索幅を拡大させている。このスキャンは、捜索領域(捜索域,捜索範囲)に抜けが発生しないように、航空機の速度等に応じて、スキャン振り角およびスキャン俯角が、航空機の飛行状態を考慮して制御されるようになっている。なお、この俯角は3次元位置座標(X,Y,Z)で表したものであり、オイラー角(アジマス角θa,エレベーション角θe,ロール角θr)を用いた場合はエレベーション角に相当する。
(X2)航空機の飛行状態
また、以下の説明において、航空機の飛行状態とは、ピッチ,ロールおよびヨー等の航空機の状態姿勢を意味する。図18は航空機の状態姿勢を説明するための図である。ピッチとはこの図18に示す航空機の機首又は機尾(機体の前後を貫く軸)の上下方向への動きであり、ロールとは機軸を中心として航空機を左右方向に傾ける動きであり、そして、ヨーとは機体の垂直軸に沿って航空機を左右に振る動きを意味する。これらのピッチ,ロールおよびヨーは、いずれも、航空機に設けられた各種の計器、センサ等(図示省略)によって収集される。
次に、図16(a),図16(b)〜図19を参照して、航空機の捜索範囲,視野,瞬時視野および俯角等について概略的に説明する。
(X3)スキャンの一例
図16(a)は上面方向から海面に向かう鉛直(真下)方向に見下ろした図であって、A点に位置し赤外線映像装置を有する航空機と、この航空機の飛行方向(機軸)Xと、その飛行方向Xを基準として赤外線映像装置のスキャン領域Eとがそれぞれ表示されている。航空機は、この図16(a)に示すA点において飛行方向Xに前進している。赤外線映像装置は、捜索幅Dの範囲において前方を中心にして、想像曲線Cに沿って右方向に首振りスキャンし(I参照)、また、想像曲線Bに沿って左方向に首振りスキャンする(II参照)。そして、赤外線映像装置は、スキャンの両端において前回のスキャンの画面最上部と今回のスキャンの最下部とが重なるようにスキャン方向の折り返しを繰り返し、捜索範囲の抜けが生じないように、赤外線撮像部の駆動系を制御している。これにより、捜索領域に抜けの発生が防止される。
(X4)視野(水平視野および垂直視野)と瞬時視野
ここで、視野とは、画面の広がりに対応する角度であって、水平視野の平面角と垂直視野の平面角とを用いて表わされる。
図17は水平視野および垂直視野を説明するための図である。この図17に示す四角すいAP1234は、航空機(A点)に設けられた赤外線映像装置が赤外線を検知できる立体的撮像範囲を模式的に表したものであって、四角形の底面P1234を有する。この底面P1234は、基準海面G上の捜索範囲に対応している。ここで、辺P12および辺P34は、それぞれ、図16(a)に示す想像曲線BおよびCに相当するとともに、図16(a)に示す画面上部および画面下部に対応している。
そして、図17において、垂直視野とは角P1AP4(∠P1AP4)(rad又は度)であり、水平視野とは角P1AP2(∠P1AP2)(rad又は度)である。換言すれば、3次元の視野が、垂直方向の平面角および水平方向の2種類の角度値(平面角)を用いて表されている。視野は例えば、「水平視野4度および垂直視野3度」と表される。また、水平視野は、図16(a)に示す捜索幅Dの範囲内になるように制御されている。
なお、Y[rad(radian)]と、X[度(degree)]との対応は、円周率πを用いて、Y[rad]=(π/180)・X[度]又はX[度]=(180/π)・Y[rad]により表される。「・」は乗算を表す。
(X5)瞬時視野
次に、図17に示す瞬時視野とは、画面上に表わされる1映像を構成する最小の単位映像である。この単位映像は、映像を縦横に最小単位で分割されたものであって、点線により区切られた最小の四角形である。そして、瞬時視野は、赤外線映像装置が目標物に向いているときの視野を用いて表わされる。例えば、瞬時視野が1[mrad(ミリラジアン)]とは、赤外線映像装置と1m(メートル)離れた目標物について1mm(ミリメートル)平方の平均温度を測定していることを意味する。概略的には、赤外線映像装置および目標物間の距離の1万分の1が、その目標物における分解能の1辺に相当する。
従って、目標物の大きさが瞬時視野よりも小さい場合、赤外線映像装置はその目標物を正確に映像化することができない。すなわち、瞬時視野は、映像の分解能に相当する。
(X6)スラントレンジおよび視野の関係
次に、図16(b)を参照してスラントレンジと視野とについて説明する。ここで、スラントレンジとは、実際の距離を表し、画面において最上部に表示される部分に相当する。
図16(b)は飛行方向Xについて側方から眺めた図であって、半直線AXと、基準海面GおよびA点とにより定まる平面に対して垂直方向から表示したものである。この図16(b)に示すA,B,Cの各点は、それぞれ、図16(a)に示すA点,曲線B,Cの各点に対応している。そして、図16(b)に示すF点は基準海面Gにおける目標物(捜索対象)であって、このF点と赤外線映像装置の位置A点とを結ぶ線分AFが視軸を表しており、この視軸AFは、B点とC点との間においてスキャンされている。さらに、垂直視野は、視軸AFを中心軸とする角度として表示されている。
次に、図16(b)において、B,Cの各点はそれぞれ赤外線映像装置の画面上部,画面下部を表している。そして、視軸ABは、スラントレンジ(目標物を表示できる実距離)Lに相当し、視野の最も遠方なところを表している。なお、最大距離は、図16(b)に示す飛行高度Hと、A点の鉛直方向およびB点間の距離とに基づいて計算される。従って、これらのB,Cの各点は、俯角が大きくなると遠方になり、俯角が小さくなるとA点の航空機に近くなる。
ここで、俯角とは、側方からみた場合におけるスラントレンジLとの間の角度である。すなわち、機軸に対する縦方向の視軸の角度が俯角である。
このように、赤外線映像装置は、航空機の速度および飛行方向Xを考慮し捜索範囲において左右に折り返してスキャンするので捜索領域に抜けがない捜索が可能となる。
(X7)公知技術
なお、従来、航空機等に搭載され、捜索に用いられる電子光学機器において、搭載している航空機等の速度、移動方向および飛行高度を検出し、航空機等の機軸に対する縦方向の視軸の角度から、視軸の駆動速度を変化させ、抜けのない捜索領域を得る技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開平6−94822号公報
しかしながら、従来技術は、次の(a)〜(e)に示す課題を有する。
(a)首振りスキャンによって、航空機からの遭難者等の捜索において捜索領域が広くなり捜索領域に抜けのないスキャン捜索が可能となる。この半面、赤外線映像装置の撮像性能が考慮されていない。撮像性能の一例は、目標物が視野に入った場合においても、目標物が瞬時視野よりも小さいときは、温度差が減少し、赤外線映像に映らない可能性があり、この可能性を排除できないという課題がある。
このため、オペレータが捜索する目標物の寸法を赤外線映像装置に入力することによって、赤外線映像装置は、目標物を画面に表示できる最大距離を計算する。従って、スキャンの画面最上部のスラントレンジが「目標物の表示可能な最大距離」を超えないことが要請されている。
(b)俯角に関し、赤外線映像装置は目標物を表示できる最大距離と画面最上部とを一致させることにより、常時、俯角を自動的に制御している。
この半面、海上捜索の場合、赤外線映像は、海面の波(以下、波と称する。)によって影響される。図19は波の影響を説明するための図であるが、俯角が小さい場合、赤外線映像は、波の影響を多く受け、目標物が見えにくくなるという課題がある。
従って、波の大小の程度に応じて、オペレータが俯角を制御できることが要請されている。
(c)目標物の位置に関し、首振りスキャンを用いた場合、赤外線映像に映る目標物は常時画面上を左右に移動する。さらに、航空機の移動によって、赤外線映像装置が前進するため、スキャンしている間に目標物が2回映ることが少なく、再度、目標物位置を確認できないという課題を有する。
このため、オペレータが目標物らしき人間又は物を発見したときに、再度の目標物確認のため、再度、同一箇所をスキャンすることが要請されている。
(d)首振りスキャンによって目標物が2度映ることが少ないことを補うために、映像を一旦記憶することもできる。すなわち、ある時間(又は時刻)における映像を記憶し、その後、オペレータが目標物らしき人間又は物を発見すると、再度確認するためにその記憶映像の再生が可能となることが要請されている。
(e)目標物が画面に映りうる最大距離を画面最上部としている場合、目標物の表示可能な最大距離に位置する目標物は、画面に小さく表示され、また、輝度も小さい。従って、オペレータが目標物を見逃す可能性が高いという課題がある。
このため、オペレータが見逃す可能性を少なくするために、目標物の表示可能な最大距離を用いる代わりに、オペレータが目標物を認識できる最大距離にすることが要請されている。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、赤外線映像装置を設けた航空機内のオペレータが上空から遭難者を捜索する技術において、画面最上部のスラントレンジが「目標物の表示可能な最大距離」以下になり、波の大小の程度に応じてオペレータが俯角を制御でき、また、オペレータが目標物を発見したときに同一箇所の再度のスキャンと、スキャン映像の記憶および再生とが可能となり、そして、最大距離がオペレータの認識可能な最大距離に設定でき、遭難者を一層早く、かつ効率的に発見可能な、赤外線映像装置および赤外線映像装置を利用した海上捜索方法を提供することを目的とする。
このため、本発明の赤外線映像装置は、赤外線放射を映像化する赤外線映像装置であって、受信した赤外線を電気信号に変換出力するとともに赤外線の視軸を変更可能な赤外線撮像部と、赤外線撮像部からの電気信号を映像信号に変換出力する電子制御部と、電子制御部から出力された映像信号を再生する表示部と、表示部にて再生された映像信号と目標物探知レベルと入力された目標物の寸法データとに基づいて赤外線撮像部の視軸を制御する視軸制御信号を出力する視軸制御部と、視軸制御部から出力された視軸制御信号に基づいて、赤外線撮像部と対象物との距離が、目標物の視認可能な最大限界距離を超えないように赤外線撮像部の視軸変動制限データを計算出力する演算部と、視軸制御部からの視軸制御信号と演算部からの視軸変動制限データとに基づいて視軸を操作する駆動信号を赤外線撮像部に出力する駆動制御部とをそなえて構成されたことを特徴としている(請求項1)。
また、航空機の状態姿勢情報を収集するインタフェース信号を演算部に入力する機体インタフェース部にて収集された航空機の状態姿勢情報の一要素である飛行速度に基づいて航空機の過去の位置を計算する位置計算部と、位置計算部にて計算された航空機の過去の位置における俯角を計算し俯角を駆動制御部に入力する俯角制御部とをそなえて構成されてもよい(請求項2)。
そして、本発明の赤外線映像装置を利用した海上捜索方法は、赤外線放射を映像化する赤外線映像装置を利用した海上捜索方法であって、入力データを記憶する入力データ記憶部が、入力された目標物の寸法データを記憶し、受信した赤外線に起因する映像信号を出力し、映像信号と、目標物探知レベルと、目標物の寸法データとに基づいて赤外線の視軸を制御する視軸制御信号を出力し、視軸制御信号に基づいて赤外線映像装置自身における目標物の視認可能な最大限界距離を計算し、視軸制御信号に基づいて、表示部の最大表示距離が目標物の視認可能な最大限界距離を超えないように、視軸変動制限データを計算出力し、視軸制御信号と視軸変動制限データとに基づいて視軸を操作することを特徴としている(請求項3)。
本発明の赤外線映像装置によれば、赤外線撮像部と、電子制御部と、表示部と、視軸制御部と、演算部と、駆動制御部とをそなえて構成されているので、赤外線撮像部の首振りスキャンにより捜索領域に抜けが生じず、赤外線映像装置が有する目標物探知レベルを考慮した撮影距離を維持でき、目標物探知レベルによって規定される距離以上の距離に存在する目標物を撮影でき、これにより、目標物が映らずに発見できないといった弊害が排除され、遭難者の発見確率が向上する(請求項1)。
また、機体インタフェース部にて収集された航空機の状態姿勢情報の一要素である飛行速度に基づいて航空機の過去の位置を計算する位置計算部と、位置計算部にて計算された航空機の過去の位置における俯角を計算し俯角を駆動制御部に入力する視軸制御部とをそなえて構成されてもよく、このようにすれば、捜索時に振り角と俯角とを変更できるため、赤外線映像装置は、波の影響を受けにくくなり、遭難者を発見しやすくなる(請求項2)。
そして、本発明の赤外線映像装置を利用した海上捜索方法によれば、入力データを記憶する入力データ記憶部が、入力された目標物の寸法データを記憶し、受信した赤外線に起因する映像信号を出力し、映像信号と、目標物探知レベルと、目標物の寸法データとに基づいて赤外線の視軸を制御する視軸制御信号を出力し、視軸制御信号に基づいて赤外線映像装置自身における目標物の視認可能な最大限界距離を計算し、視軸制御信号に基づいて、表示部の最大表示距離が目標物の視認可能な最大限界距離を超えないように、視軸変動制限データを計算出力し、視軸制御信号と視軸変動制限データとに基づいて視軸を操作する。
従って、このようにすれば、遭難者らしきものが映った場合、オペレータが再確認でき目標物発見の確率が向上する。また、画面に映る目標物のレベルを、オペレータが指定できるようになり、目標物発見の確率が向上する。さらに、夜間等において赤外線映像装置を赤外線暗視装置として使用する遭難者捜索において遭難者発見率向上に大きく寄与する(請求項3)。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(A)本発明の一実施形態の説明
図1は本発明が適用される航空機(飛行体)の外観図である。この図1に示す航空機は、主に海上の遭難者,船舶等を上空から捜索するためのものであって、赤外線放射を映像化する赤外線映像装置100を、航空機の腹部(下部)に設けている。そして、航空機に搭乗したオペレータが、この赤外線映像装置100に表示される映像を確認しながら、遭難者を捜索する。また、本発明の赤外線映像装置100は、各種の航空機およびヘリコプター等の飛行体にも搭載できる。以下の説明においては、特に断らない限り、赤外線映像装置100は航空機に搭載するものとする。
以下、図2〜図6を参照して、赤外線映像装置100と赤外線映像装置100のスキャンとについて説明する。
(1)赤外線映像装置100
図2は本発明の一実施形態に係る赤外線映像装置100のブロック図である。この図2に示す赤外線映像装置100は、赤外線放射を映像化するものであって、赤外線撮像部(赤外線カメラ又は赤外線受信部)2と、表示部6と、操作部7と、電子制御部4とをそなえて構成されている。
(1−1)赤外線撮像部2
赤外線撮像部2は、受信した赤外線放射を電気信号に変換出力するとともに赤外線の視軸を変更可能なものであって、赤外線検知部3と駆動部10とをそなえて構成されている。
(1−1−1)赤外線検知部3
ここで、赤外線検知部3は、受信した赤外線放射を電気信号に変換出力するものであって、この機能は例えば赤外線センサ等により実現される。具体的には、赤外線検知部3は、遭難者および海水等の物理的な物体が放射する赤外線の放射エネルギーを受信しその放射エネルギーを温度データとして電気信号に変換出力する。
(1−1−2)駆動部10
駆動部10は、後述する電子制御部4から出力された駆動用の駆動信号によって視軸を変化させるものであって、水平反射ミラー10aと、垂直反射ミラー10bと、これらの水平反射ミラー10aおよび垂直反射ミラー10bを回転させるためのモータ10c,10dとをそなえて構成されている。これらの水平反射ミラー10aおよび垂直反射ミラー10bは、それぞれ、振り角および俯角を大きく又は小さくするためのものであり、モータ10c,10dは、これらの水平および垂直の両反射ミラー10a,10bの回転軸に接続され、電子制御部4から入力された駆動信号に基づく正方向又は負方向の回転角を回転させるようになっている。
これにより、目標物および背景から放射された赤外線(背景放射)が、赤外線検知部3によって検知され、温度データが出力されるようになっている。また、これらのモータ10c,10dの回転角度位置および回転速度の各情報は、電子制御部4に入力される。
(1−1−3)赤外線カメラとしての赤外線撮像部2
赤外線撮像部2は、赤外線カメラとして機能しており、首振りスキャン時の駆動対象となっている。そして、この赤外線撮像部2の首振りスキャンにより、捜索領域の面積が増加し、また、効率のよい捜索が可能になる。
(1−2)表示部6
表示部6は、電子制御部4から出力されたビデオ信号(映像信号)を再生するものであり、例えばカラー表示可能なディスプレイ装置が用いられる。オペレータは、捜索中は、この表示部6の画面を確認しながら捜索する。表示色の一例については、温度が低い目標物は青,緑等により表わされ、温度が高い目標物は黄色,赤等により表され、認識度が向上する。
(1−3)操作部7
操作部7は、オペレータが設定データ等を電子制御部4に入力するためのものであって、視軸を制御するためのスリュースイッチと、映像の再生および映像の停止のための再生停止スイッチと、各種のデータを入力するためのキーボード,テンキー等とを設けている。具体的には、オペレータは、スリュースイッチを上下左右に傾けて、赤外線撮像部2の視軸を制御し、また、映像に目標物が表示されたときに再生停止スイッチを押下して映像を再確認する。これにより、オペレータは視軸を上下左右に動かすことができる。
また、オペレータがキーボード等を用いて入力する設定データ例は、赤外線撮像部2のスキャン角度の調整、表示部6における表示領域を表す画面の調整、映像の再生、映像の録画、映像の巻き戻しおよび映像の先送り等である。
(1−4)電子制御部4
電子制御部4は、赤外線撮像部2からの電気信号をビデオ信号に変換出力するものであって、映像処理部5と、映像メモリ14と、視軸制御部8と、駆動制御部9と、演算部13と、機体インタフェース部12とをそなえて構成されている。
(1−4−1)映像処理部5および映像メモリ14
映像処理部5は、赤外線検知部3から出力された電気信号をビデオ信号に変換出力するとともに、映像メモリ14に記憶されたビデオ信号を読み出して読み出したビデオ信号を表示部(ディスプレイ)6に入力するものである。この機能は例えばLSI(Large Scale Integration)等により実現され、高速な映像処理が可能になっている。
また、映像処理部5は、航空機の位置に基づいてスキャン速度を調整するスキャン速度調整部5aを設けている。映像処理部5は、演算部13から機体の飛行状態等のデータおよび視軸に関するデータを常時入力され、さらに、航空機自身の現在位置を視軸制御部8から取得する。そして、スキャン速度調整部5aは、飛行状態等と視軸に関するデータと航空機の現在位置とに基づいて、スキャン速度を2倍速,3倍速等のスキャン速度に変更又は設定するのである。
ここで、スキャン速度を2倍速等に変更する理由の一つは、オペレータがいったん通過した捜索領域を再度確認し、その後、現在捜索中の捜索領域を映像化するために、スキャン速度を上げるためである。このスキャン速度変更の詳細については後述する。
また、電子制御部4にて変換出力されたビデオ信号を記憶する映像メモリ14が設けられ、表示部6が、映像メモリ14に記憶されたビデオ信号の再生と、現時刻における映像の録画とを行なうようになっている。
この映像メモリ14の機能は、例えばRAM(Random Access Memory)によって発揮され、複数のRAMが設けられたリングバッファが用いられることが好ましい。これにより、CPU(Central Processing Unit)が、リングバッファについて読み書きアクセスを連続的にできる。この映像メモリ14の記憶領域の大きさは、少なくとも3スキャン分であり、4スキャン分以上の記憶領域を設けてもよい。
そして、映像処理部5は、演算部13からの制御信号に基づいて、映像メモリ14の所望の領域に記憶されたビデオ信号を読み出し可能になっている。
これにより、オペレータが目標物らしきものを発見すると、オペレータは、操作部7の再生停止スイッチを押下する。電子制御部4において、視軸制御部8がこの再生停止スイッチの押下を検出すると、映像処理部5は、1スキャン前の映像を映像メモリ14から読み出し、この読み出した映像を表示部6が1スキャン分の映像を再生する。
また、これにより、目標物らしき物が映った場合、映像が最確認され、再度同一の捜索領域がスキャンされる。さらに、俯角および振り角の自動制御とオペレータの指示による手動制御とを組み合わせることにより、捜索精度が一層向上する。
このように、再生映像によって、オペレータは目標物らしきものについて再確認でき、目標物の発見を一層向上させることができる。また、映像再生時においても、スキャンは続けられ、映像再生とリアルタイムに映像録画は同時に進行する。そして、スキャン再生後は、1回分のスキャンが捜索領域から抜けるため、記憶映像を例えば2倍速で再生し、現時刻におけるスキャン映像に達したら通常の映像に戻す。
これにより、やはり、オペレータの指示により、再生映像が表示されるので、捜索精度が向上する。
(1−4−2)視軸制御部8
視軸制御部8は表示部6にて再生された映像と目標物探知レベルと入力された目標物の寸法とに基づいて赤外線撮像部2の視軸を制御する制御信号を出力するものである。この目標物探知レベルとは、表示部6に目標物を表示することができる最大距離の大きさであって、スラントレンジ又は視認距離のいずれかがオペレータによって選択されるようになっている。ここで、スラントレンジは赤外線映像装置100の性能の一つであり、視認距離はオペレータが目標物を明りょうに確認できる距離である。
さらに、視軸制御部8は、操作部7から入力された設定データに基づき、映像メモリ14に対して読み出し領域データ、駆動制御部9に対してスキャン角度データを入力し、そして、演算部13に対して演算データ等を入力するようになっている。
なお、視軸制御部8の機能は、CPU、RAMおよびROM(Read Only Memory)等により実現される。
(1−4−3)演算部13
演算部13は、視軸制御部8から出力された視軸制御信号に基づいて、赤外線撮像部2と対象物との距離が、目標物の視認可能な最大限界距離を超えないように赤外線撮像部2の視軸変動制限データを計算出力するものである。この対象物とは、目標物が視認できる場合は目標物そのものを意味し、また、目標物が視認できない場合は船舶,漂流物又は大型の海生物を意味する。
また、演算部13には、航空機の状態姿勢情報を収集するインタフェース信号を演算部13に入力する機体インタフェース部12が設けられている。この航空機の状態姿勢情報とは、航空機のピッチ,ロールおよびヨー等の飛行姿勢(例えば図18参照)を表す。この機体インタフェース部12により、演算部13は、常時、航空機の飛行状態に応じて適切な演算を行なえる。
演算部13は、1スキャン時間と飛行速度とから現時刻におけるスキャンの1回前のスキャンにおける捜索領域を計算して得る。また、演算部13は、現時刻における航空機の飛行位置から1回前のスキャンにおける捜索領域をスキャンするための俯角を計算し、そして、駆動部10が赤外線撮像部2の俯角を変化させた後にスキャンを開始する。
首振りスキャンにより捜索する場合、視軸制御部8は、表示部6の画面最上部に対応するスラントレンジが、「目標物の表示可能な最大距離」を超えないように俯角を制御する。すなわち、視軸制御部8が、表示部6の画面最上部のスラントレンジが目標物の表示可能な最大距離以下に俯角を制御するようになっている。
目標物寸法と目標物の表示可能な最大距離L(m)とは、赤外線映像装置100の目標物探知レベルによって変化する。演算部13は、式(1−1)のように、例えば瞬時視野(赤外線映像の1映像単位)になったときを最大距離にしている。
L(m) =X(m)÷Θ(rad) (1−1)
L(m) :目標物の表示可能な最大距離
X(m):目標物の大きさ
Θ(rad) :瞬時視野
図3(a),図3(b)はともに本発明の一実施形態に係る最大距離と視野とを説明するための図であって、図3(a)は上面方向から海面に向かう鉛直方向に見下ろした図であり、図3(b)は飛行方向について側方から眺めた図である。この図3(b)に示す視軸の俯角は以下の式(1−2),式(1−3)により計算される。
視軸(俯角) = 画面上部俯角 +(視野÷2) (1−2)
画面上部俯角 = sin-1(飛行高度H÷スラントレンジL)(1−3)
ここで、sin-1(Z)はZのアークサインである。
そして、首振りスキャンの俯角を制御することによって、「目標物の表示可能な最大距離」を超えないようにスキャン捜索ができ目標物が映らないことがなくなり捜索目標物が発見しやすくなる。
なお、目標物寸法と目標物の表示可能な最大距離は赤外線映像の最大探知距離を用いてもよい。
(1−4−4)駆動制御部9
駆動制御部9は、視軸制御部8からの視軸制御信号と演算部13における計算結果とに基づいて視軸を操作する駆動信号を赤外線撮像部2に出力するものである。
(1−5)赤外線映像装置100を利用した海上捜索方法
本発明の赤外線映像装置100を利用した海上捜索方法は、赤外線放射を映像化する赤外線映像装置100を搭載した航空機にオペレータが搭乗し、オペレータが上空から赤外線映像装置100の視軸を左右に首振りスキャンし、遭難者等を広域捜索するものである。そして、オペレータが、目標物に関する赤外線映像装置100の目標物探知レベルに基づいて目標物の寸法を指定し、これにより、常時、撮像範囲が目標物の表示可能な最大距離となるように、自動的に俯角および振り角が制御されるのである。
(2)赤外線映像装置100のスキャン方法
(2−1)スキャン方法
図4は本発明の一実施形態に係る駆動部10の要部を示す図である。この図4に示す駆動部10の視軸は目標物に対して向いており、駆動部10は、その視軸と垂直に交差する画面(想像面)に表された目標物を、垂直および水平の各方向についてスキャンするようになっている。
駆動部10は、赤外線を水平方向に反射する水平スキャンミラー10aと、赤外線を垂直方向に反射する垂直スキャンミラー10bと、水平スキャンミラー10aを水平方向に回転させるモータ10cと、垂直スキャンミラー10bを垂直方向に回転させるモータ10dと、垂直スキャンミラー10bにて反射された赤外線を集光する集光レンズ10eとをそなえて構成されている。
これにより、投影面の方向から到来する赤外線は、水平スキャンミラー10aにて反射され、その反射された赤外線は垂直スキャンミラー10bにて再度反射され、反射された赤外線は、集光レンズ10eにて集光され、この集光された集光赤外線が、赤外線検知部3に入力される。
また、スキャン速度はHz(ヘルツ)によって表され、例えば水平方向および垂直方向の各スキャン速度はそれぞれ所定の周波数に設定されている。水平周波数は図4に示す画面の端から端までにスキャンが要する時間を表し例えば水平周波数が50Hzとは、1秒間に水平方向について50回スキャンすることであり、また、垂直周波数が30Hzとは画面最上部から画面最下部までにスキャンが1秒間に30回行なわれることを表す。さらに、垂直方向のスキャン速度と水平方向のスキャン速度とは、それぞれ、水平スキャンミラー10aと垂直スキャンミラー10bとの各回転速度に等しい。従って、図2に示す駆動制御部9から出力される駆動信号によって、水平スキャンミラー10aと垂直スキャンミラー10bとの各モータ10c,10dの回転速度が増減し、これにより、垂直方向のスキャン速度と水平方向のスキャン速度とが制御されるのである。
また、赤外線検知部3から出力された赤外線は、映像メモリ14に記憶される。そして、映像メモリ14に記憶されたディジタル映像信号は、映像処理部5によって読み出され、読み出されたディジタル映像信号は、ディジタルアナログ変換されてから表示部6にて再生されるのである。
なお、図4に示す駆動部10の構成は、一例であって、種々の構成にすることもできる。例えば、ミラーを用いずに、赤外線映像装置100の赤外線撮像部2の全体を駆動させることによってスキャン角度を調整するようにもできる。
(2−2)本発明の海上捜索方法
本発明の海上捜索方法は、赤外線放射を映像化する赤外線映像装置100を用いたものである。そして、入力データを記憶する入力データ記憶部8aが、入力された目標物の寸法データを記憶し、受信した赤外線を電気信号に変換した映像信号を出力する。次に、視軸制御部8が、映像信号と、目標物探知レベルと、目標物の寸法データとに基づいて赤外線の視軸を制御する視軸制御信号を出力する。
また、演算部13は、その視軸制御信号に基づいて赤外線映像装置100自身における目標物の表示可能な最大距離を計算し、視軸制御信号に基づいて表示部6の最大表示距離が目標物の視認可能な最大限界距離を超えないように、視軸変動制限データを計算出力し、そして、視軸制御信号と視軸変動制限データとに基づいて視軸を操作するのである。
これにより、表示部6に表示されるスラントレンジが目標物を表示できる最大距離以下になるような距離情報が演算出力され、俯角が制御される。
(2−3)入力データ記憶部8a
また、視軸制御部8には、入力データ記憶部8aが設けられ、オペレータが設定用のデータを赤外線映像装置100に入力すると、その入力されたデータを一定期間記憶し、一定期間経過後には消去されるようになっている。
入力データ記憶部8aは、スキャンに関する指示データを検出して記憶し、航空機の状態姿勢情報を収集する機体インタフェース部12が、収集した航空機の状態姿勢情報の一要素である飛行速度に基づいて航空機の過去の位置と、航空機の位置における俯角とを計算し、俯角によりスキャンし、スキャンにより抜けた捜索領域を補うことが可能なスキャン速度に調整し、スキャン領域が所定位置に戻ったときにスキャン速度を通常速度に戻す。すなわち、状態姿勢情報に含まれる飛行速度に基づいてスキャン速度が制御される。
次に、入力データ記憶部8aは、映像を再確認する再確認データを検出し、表示部6が、受信した赤外線を復調して変換した映像信号を記憶する映像メモリ14に記憶された映像信号を再生するとともに電子制御部4からの映像を録画し、表示部6が、その録画された映像信号を2倍速,3倍速等の高倍速再生し、現時刻におけるスキャンに対応する映像に達すると通常の映像を再生する。
また、入力データ記憶部8aは、捜索範囲に関する探知レベルデータを記憶するようにもなっている。
このように、赤外線映像装置100は、赤外線映像装置100自身の水平視野方向を左右に振ることによりスキャンするので捜索が確実になる。また、捜索領域に抜けが発生しないように、スキャンは、航空機の速度および航空機の飛行状態等を考慮して制御される。
(2−4)映像の表示
次に、図2において、集光された集光赤外線は、赤外線検知部3にて電気信号に変換され、電気信号は、電子制御部4に内蔵された映像処理部5にてビデオ信号に変換され、この変換されたビデオ信号が表示部6にて映像化される。そして、オペレータは、この表示部6に表示される赤外線映像を参照して目標物を捜索する。
(2−5)視軸の制御
一方、視軸は、オペレータが、操作部7のスリュースイッチ(上下左右に押下すことができるスイッチ)を操作することによって、俯角が制御され、赤外線撮像部2の視軸が上下左右に動かされる。ここで、視軸とは、映像の中心,赤外線撮像部2の撮影方向、オペレータの目視方向等を意味する。そして、スリュースイッチの信号は視軸制御部8にて制御信号に変換され、変換された制御信号は、駆動制御部9によって駆動信号に変換される。この駆動信号によって、駆動部10が動作し視軸が制御される。また、駆動部10が動作を開始し、図4に示す水平スキャンミラー10aと垂直スキャンミラー10bとが回転し、視軸が変化する。このように、オペレータの手動により視軸が制御される。
(2−6)航空機の状態姿勢情報の反映
オペレータによる視軸の手動操作に加えて、赤外線映像装置100は、スキャンのため航空機の状態姿勢情報を知る必要がある。図2に示す電子制御部4の機体インタフェース部12には、航空機の状態姿勢情報(飛行高度,位置,緯度/経度,方向,ロール,ピッチおよび飛行速度等の情報)を含むインタフェース信号が入力される。機体インタフェース部12は、インタフェース信号に含まれる航空機の種々の状態姿勢情報を数値化して演算部13に入力し、演算部13は視軸を所望の方向になるように駆動信号を演算する。
以上が、赤外線映像装置100に設けられた各モジュールの概略的な説明である。
(3)赤外線映像の撮像範囲および瞬時視野の一例
図5は本発明の一実施形態に係る赤外線映像装置100の撮像範囲および瞬時視野を説明するための図である。この図5に示す撮像範囲S1は、赤外線映像装置100から300m離れた地点において、赤外線映像装置100が表示部6に表示可能な範囲を表しており、例えば16m×21mの範囲の映像を表示できるようになっている。なお、この図5に示す赤外線映像装置100の設定される例とし、水平視野,垂直視野は、それぞれ、4[度],3[度]であり、また、瞬時視野は0.1[mrad]であり(度数とradとを混在させるのは慣習的な理由である。)、この場合、赤外線映像装置100は、赤外線映像装置100自身から1km離れたところにおいて10cm平方の大きさを分解できる。
ここで、撮像範囲S1の中央部分(四角形で表示した部分)は、1画素の投影寸法(投影寸)であって、最小分解能は約30mmである。また、この中央部分は、画面に表わされる1画像又は1映像を構成する最小の単位画像又は単位映像であって瞬時視野に相当する。
図6は本発明の第1実施形態に係る単位画像又は単位映像を説明するための図である。この図6に示す画面は、瞬時視野を最小の単位画像又は単位映像として構成されている。従って、赤外線映像装置100は、300m離れた場所において約30mmよりも小さい物を識別できない。撮像範囲S2〜S5についても撮像範囲S1と同様である。
従って、オペレータが約2000m離れた海面上(撮像範囲S5)を捜索している場合、赤外線映像装置100は、105m×140mの範囲において大きさ約20cmのものを捜索することができる。
また、視野範囲の形状は一例として四角すい型であるので、赤外線映像装置100から所定距離離れた場所における撮像範囲および瞬時視野の大きさは、いずれも、その所定距離に基づいて比較的簡単に計算でき、画像処理に要する時間を短縮できる。
次に、映像メモリ14を用いた映像再生,映像録画について詳述する。
(4)映像メモリ14を用いた映像の再生方法および録画方法
映像メモリ14は、赤外線撮像部にて受信された映像データを、通常のビデオ再生装置と同様に、所定領域に記憶する。そして、映像処理部15は、その所定領域に記憶された映像データを読み出し、表示部6はその読み出された映像データを、メモリ映像として表示する。このメモリ映像は、スキャン再生を行なうためのものであり、例えば30秒間の映像データを記憶できるものが用いられている。
(5)捜索スキャンのための操作およびメニュー
図7は本発明の一実施形態に係る表示部6の表示例を示す図である。この図7に示す表示部6は、オペレータが捜索緒元データを入力するためのものである。オペレータはその表示された操作メニューに基づいて、捜索スキャンの条件又は設定を入力する。さらに、この操作メニューの一例について詳述する。
目標寸法(目標物寸法)15は、捜索する目標物の大きさ(例えば1m)を暫定入力するための項であり、探知レベル16は目標物を表示可能な最大距離について最大距離計算又は最大視認距離計算のうちの一方を選択するための項である。
さらに、最大距離計算結果17は目標物の表示可能な最大距離又は最大視認距離の計算結果を表示しており、捜索幅計算結果18は目標寸法15,探知レベル16の入力データと航空機の飛行状態(飛行速度および飛行高度)とから導き出された捜索幅の計算結果を表示している。
また、電子制御部4(図2参照)の視軸制御部8又は演算部13は、捜索時に、航空機の飛行状態(飛行条件)に基づいて、スキャンの画面最上部のスラントレンジを補正計算し、これにより、捜索幅が一定となるように補正されるようになっている。
従って、演算部13が、目標物の表示可能な最大距離と、最大視認距離とのうちの一方又は両方を用いて、距離に応じて俯角および振り角を制御するように構成されたことになる。
さらに、赤外線映像装置100の探知距離の計算アルゴリズムの一例について詳述する。
図8は本発明の一実施形態に係る探知距離の計算例を示す図であり、2本の曲線が表示されている。これらの2本の曲線は、それぞれ、受信温度差ΔTreceived(R)と最小探知温度差MDTD(R)とを表す。そして、探知距離は、次の式(1),(2)により算出された2本の曲線の交点(図8のP点参照)を取得することにより算出される。ここで、「・」は乗算を表し、ΔT,R,τ(R)およびPdはそれぞれ温度差,距離(km),距離R(m)に対する赤外線の大気中の透過率および探知確率を表す。なお、τ(R)は大気の条件(温度,湿度)に応じて計算ソフトウェアを用いて計算可能である。また、(Tox,Toy)は目標物(オブジェクト)の寸法(m)を表し、SNRp(Pd)は探知確率Pdに必要な知覚SN比である。
受信温度差ΔTreceived(R)=ΔT・τ(R) (2−1)
最小探知温度差MDTD(R)
=MDTD(Tox/R,Toy/R)・SNRp(Pd)/4.5
(2−2)
また、2本の曲線の交点、すなわち、式(3)により得られるRを探知可能な距離とするのである。
受信温度差ΔTreceived(R)=MDTD(R) (2−3)
また、受信SNRは、式(2−4)により算出される。
SNR= (Tx・Ty・ΔT)/NETD (2−4)
ここで、NETDは最小温度分解能を表す。NETDは、赤外線検知部3(図2参照)の性能パラメータであり、赤外線検知部3が固有に有する値である。
(6)捜索スキャン時の表示部6の表示例
図9は本発明の一実施形態に係る捜索スキャン時においてオペレータに提供される情報表示例を示す図であり、この図9に表示された情報について具体的に説明する。視軸水平位置表示19は視軸が水平方向のどこにあるのかを示すものであり、視軸垂直位置表示20は視軸が垂直方向のどこにあるのかを示すものである。また、現在スラントレンジ21は現時刻におけるスラントレンジ(画面の最上部の実際の距離)を表示し、最大距離22は計算された距離計算結果の値を表示し、現在捜索幅23は現時刻の捜索幅を表示し、初期値捜索幅24は計算された捜索幅計算結果を表示し、そして、飛行高度表示25は初期捜索幅を維持できる幅であって初期値捜索幅にするための飛行高度を表示する。これにより、俯角は、オペレータによって指定される。
さらに、スキャン停止位置26はスキャンを停止させたときの航空機の位置を緯度および経度により表示するものであり、エラー表示27は例えば「高度を上げてください。」等を表示し、この表示に加えて赤外線映像装置100が元の捜索幅に戻るための飛行高度および飛行速度を共に表示する。
このようにして、赤外線映像装置100が有する目標物探知レベルのうちの目標物の寸法が指定されるので、撮影範囲は常時目標物を表示可能な最大距離となるように自動的に俯角および振り角が制御される。
(7)本発明の俯角制御方法の説明
(7−1)スラントレンジを考慮した俯角制御
図10は本発明の一実施形態に係る俯角変更処理を説明するための図であって、視軸を側方から表したものである。オペレータが、捜索する目標物の寸法を赤外線映像装置100に入力すると、赤外線映像装置100は、目標物の表示可能な最大距離を計算する。赤外線映像装置100の演算部13は、入力された目標物の寸法等を用いて計算し、視軸制御部8は、その計算結果に基づいて、スラントレンジが、「目標物の表示可能な最大距離」を超えないように視軸制御する。
これにより、俯角が大きくなるように制御され(図10参照)、視野が移動し、スラントレンジと視野とが変更される。
また、捜索中は、オペレータが操作部7を用いて俯角を制御している。さらに、首振りスキャン捜索中は、視軸制御部8は、オペレータによるスリュースイッチの操作のうちの左右方向の操作を受け付けないようにしている。従って、首振りスキャン捜索中は、オペレータは、俯角の上下方向を制御する。
海上捜索時において、赤外線映像装置100の視認の度合いは、海面の波により影響される。具体的には、波が赤外線を反射し赤外線映像装置100が波自体を物として映像化するので、オペレータは波を物として見え、このため目標物の発見が困難となる。
この波による影響は一般的に俯角を大きくすることにより減少する。以下、俯角の制御について詳述する。
図11は本発明の一実施形態に係る航空機の飛行高度Hの変化に応じた俯角制御を説明するための図である。この図11には、航空機の初期飛行高度H1と航空機の上昇後の飛行高度H2とのそれぞれにおける俯角α1,α2とスラントレンジL1,L2とが表示されている。このスラントレンジL1は元のスラントレンジであり、最初の俯角α1が大きくなると、スラントレンジL1は俯角に追随してスラントレンジL2に変化する。
このため、表示部6は、オペレータが目標物を認識できるように、画面(図9参照)の「現在スラントレンジ21」に、現在のスラントレンジ値を表示している。また、赤外線映像装置100は、航空機と目標物との間の距離がスラントレンジを超えて目標物を視認できない距離になると捜索ができない。これを回避するために、表示部6は、図9に示す画面に表示された「最大距離22」に、初期値の目標物の表示可能な最大距離を表示している。
一方、スラントレンジが小さく(短く)なったときの捜索幅の減少を回避するため、視軸制御部8はスラントレンジを一定にするとともに、図9に示す画面に、現時刻の捜索幅と、スリューを変化させる前の捜索幅又は捜索幅の初期値とを表示する。なお、捜索幅は、種々のタイミングにおけるものを記憶するようにもできる。従って、表示部6が、表示部6自身の画面最上部の距離と、複数の時刻に設定された複数の捜索幅とを表示するように構成されたことになる。
この表示によって、オペレータは常時、最大距離に注意しながら、所望の俯角に制御できる。
このように、オペレータは、捜索中(スキャン)に、所望の方向にスリュースイッチを操作し、俯角を制御できる。また、この操作によって、オペレータが見やすい所望の俯角に設定できる。
(7−2)航空機の飛行高度Hの変化に応じた俯角制御
俯角が変化すると、画面最上部のスラントレンジおよび捜索幅がともに変化する。この一方、オペレータは、スラントレンジを変化させずに一定値に固定した状態で捜索する必要がある。このため、演算部13は、俯角の変化時において、スラントレンジを変化させずに、航空機の飛行高度Hを変化させるための演算を行なっている。
具体的には、図10,図11に示す俯角が変化したときに、演算部13が、スラントレンジ値をスラントレンジの変化前と同一の値になるように、飛行高度Hを計算し、その計算結果を、飛行高度表示25(図9参照)として表示するのである。
また、表示部6は、飛行高度表示25に加えて、元の捜索幅および現時刻の捜索幅をも表示し、オペレータは、俯角の制御およびスラントレンジの変化を知る。さらに、演算部13は、元の捜索幅にするための飛行高度Hを計算し、表示部6がその計算結果を表示する。そして、演算部13が、複数の捜索幅のうちの過去に設定された捜索幅を、飛行高度の計算により表示する。
これにより、オペレータは、これらの表示を参考にして捜索できるので、常時、赤外線映像装置100が有する性能および能力を最大限にした状態で捜索できる。
また、オペレータが、赤外線映像装置100に距離を指定した後は、常時、同一距離になるように、自動的に俯角および振り角が制御されるので、航空機の上昇又は下降にともなって適切な角度を維持できる。例えば、航空機が下降してさらに詳細な捜索が可能となる。
(7−3)目標物の発見時における再確認操作
捜索中は、飛行による前進と、赤外線映像装置100の左右に視野を動かすスキャンとによって、画面に映る目標物は、常時、移動する。また、しばらくすると、目標物は撮影範囲から外れる。従って、オペレータは、捜索中に、画面に映った映像を参照し、目標物らしきものを発見した場合、再確認のため、再度、同一の捜索領域を捜索する必要が生じる。
図12は本発明の一実施形態に係る再スキャン時の映像操作を説明するための図である。この図12に示す点A1は目標物発見時における航空機の飛行位置であり、点A2は目標物発見後で再スキャンを開始するときの航空機の飛行位置である。また、俯角θ1,視野1は共に目標物発見時におけるものであり、俯角θ2,視野2は共に再スキャン開始時におけるものである。
このような構成によって、オペレータは、捜索中(スキャン)に目標物らしき物を発見すると、再確認のための再生停止スイッチ(操作部7)を押下する。演算部13は、この再生停止スイッチの押下を検出すると、その時点の航空機の速度から1スキャン前の飛行位置を計算し、俯角を計算し、再度1スキャン前の同一位置をスキャンする。すなわち、両時点における捜索領域が重畳するようにスキャンされる。
また、再スキャン後は1回分のスキャン領域が捜索領域から抜けるため、視軸制御部8および駆動制御部9は、次のスキャンから4回分のスキャンは、そのスキャン速度を2倍にする。その後、航空機が初期のスキャン位置に戻ったら通常のスキャン速度に戻す。
また、演算部13は、現時刻の航空機の飛行位置から1回前のスキャンにおける捜索領域をスキャンするための俯角を計算し、1スキャン時間と飛行速度とから現時刻におけるスキャンの1回前のスキャンにおける捜索領域を計算する。そして、駆動部10が赤外線撮像部2の俯角を変化させた後にスキャンを開始する。
さらに、演算部13は、俯角演算に加えて、機体インタフェース部12に入力される状態姿勢情報を取得し、航空機の機体位置,機体姿勢および飛行高度H等を監視および制御するようになっている。
図13は本発明の一実施形態に係る演算部13のブロック図である。この図13に示す演算部13は、位置計算部13aと、俯角制御部13bとをそなえて構成されている。ここで、位置計算部13aは機体インタフェース部12にて収集された航空機の状態姿勢情報の一要素である飛行速度に基づいて航空機の過去の位置を計算するものであり、俯角制御部13bは位置計算部13aにて計算された航空機の過去の位置における俯角を計算し俯角を駆動制御部9に入力するものである。
また、再スキャン時は、赤外線映像装置100は、航空機の飛行によって目標物に近づいているため、視野の範囲の変動をそのままにし、視軸の中心を適切な位置に合わせるようにしている。ここで、視軸の中心は以下の式(5)により計算される。なお、角度「度」は「°」を用いることもできる。
目標物発見時の俯角:θ1(度)
再スキャンの俯角 :θ2(度)
飛行高度:H(m)
飛行速度:S(m/sec)
1回のスキャン時間:T(sec)
θ2 = tan-1(h/((h/tanθ)-(S×T))) (5)
この再スキャンによって、オペレータは目標物らしきものを再確認でき、目標物発見の確実性が一層向上する。
再スキャンすると、1回分のスキャンが捜索領域から抜けるので、この抜けを補填するため、駆動制御部9は、スキャン速度を2倍にし、次のスキャンから4回スキャンを繰り返し、そして、赤外線撮像部2の位置が、初期のスキャン位置に戻ったら通常のスキャン速度に戻す。
(7−4)目標物の発見時における再スキャン時の映像操作
航空機の前進と赤外線撮像部2の首振りとよって、画面上の目標物は、撮影範囲から外れることがある。従って、オペレータは、捜索において目標物らしきもの(画面に映った映像)を発見した場合、確認のため、再度同一領域を確認する必要が生じることがある。
図12に示す航空機の飛行高度を変化させることにより、再スキャン時の映像を得られるように操作する。このため、映像メモリ14(図2参照)には、映像が例えば3スキャン分に相当する映像データが記憶されている。
このような構成によって、オペレータが、捜索中(スキャン)に目標物らしき物を発見すると、再確認のための再生停止スイッチを押下する。ここで、電子制御部4の映像処理部5は、映像メモリ14に記憶された映像を1スキャン分再生する。この1スキャン分の映像再生時においても、赤外線映像装置100はスキャンを続けるようにし、リアルタイムの映像録画も、1スキャン分の再生と同時に行なう。また、1スキャン分の再生実施後は、1回分のスキャンが捜索領域から抜けるため、映像処理部は、記憶映像を高倍速(例えば2倍速)で再生し、航空機の移動により現時刻におけるスキャン映像に達したら通常の映像に戻す。
1スキャン前の映像を映像メモリ14から再生して1スキャン分再生表示する。
再生映像によって、オペレータは目標物らしきものを再確認し、目標物発見を確かなものとすることができる。
(7−5)最大距離計算又は最大視認距離
赤外線映像装置100は、目標物の表示可能な最大距離を基準として画面最上部を決定しているが、目標物の表示可能な最大距離においては目標物が画面に映ったときに、画面表示上小さく見え、また、輝度も小さい。従って、目標物を目視することが困難になることが生じる。
図14は本発明の一実施形態に係る赤外線映像装置100の表示距離を説明するための図であって、目標物の表示可能な最大距離と視認距離との相違点を説明する。
表示部6(図2参照)は、捜索のためのパラメータ設定画面を表示しており、オペレータが、捜索する探知レベルを指定して「探知レベル16」に入力できるようになっている。この探知レベルとは、目標物の表示可能な最大距離と、オペレータによる視認距離とを選択するためのレベルである。目標物の表示可能な最大距離では目標物が見えればよい距離、視認距離では目標物が明りょう見える距離である。
例えば視認距離は、目標物の表示可能な最大距離の1/2の距離に設定されている。なお、この1/2の距離は、経験的に得られた値であり、この値は、視認性能の基準によって変動する。
このような構成によって、表示可能な最大距離は、目標物の表示可能な最大距離よりも、視認距離は短いため、航空機に近い場所を捜索することになる。従って、捜索面積は小さくなる。
このように、赤外線映像を用いることにより、画面上に目標物が明りょうに映るので、オペレータが見逃す可能性が低減し、オペレータは遭難者を発見しやすくなる。さらに、各オペレータのスキルにかかわらず、精度の高い捜索が可能となる。
このように、目標物の表示可能な最大距離と視認距離とが適切に制御される。
また、本発明の赤外線映像装置100によれば、オペレータが目標物を見逃す可能性を低減でき、オペレータが目標物の表示可能な最大距離で捜索を行なうか、あるいは最大視認距離で捜索を行なうかを指定できる。
(B)その他
本発明の赤外線映像装置100は、航空機およびヘリコプターのほかに、防衛上の用途を有する偵察機等にも搭載でき、多目的に利用できる。
捜索領域のカバーするために、航空機が進む経路は、種々の経路を用いることができる。図15(a)は「はしご」状の経路を示す図であり、図15(b)は「うずまき」状の経路を示す図である。
なお、撮像範囲は、四角すい型のほかに、円すい型等、種々の形状を用いて定義することができる。
操作部7は、オペレータの手動入力の代わりに、各種のモジュール等を接続しそのモジュールから自動的に設定データを入力されるようにもできる。
赤外線は、一般に、近赤外線(約0.76〜1.5[μm])と、中間赤外線(約1.5〜5.6[μm])と、遠赤外線(約5.6〜1000[μm])とに分類される。ここで、赤外線映像装置100が用いる赤外線の波長は、大気による吸収の影響の小さい3〜5[μm]および8〜12[μm]の範囲の波長が選択され、この波長は、捜索範囲,目標物等に応じて種々変更される。
また、上記の目標物は、海上において事故に遭った船舶又は漂流物を対象とすることもできる。
また、入力データ記憶部8aは、オペレータによる手動入力の代わりに、メモリ等を接続して自動入力できるようにもできる。
(C)付記
(付記1) 赤外線放射を映像化する赤外線映像装置であって、
受信した赤外線を電気信号に変換出力するとともに該赤外線の視軸を変更可能な赤外線撮像部と、
該赤外線撮像部からの該電気信号を映像信号に変換出力する電子制御部と、
該電子制御部から出力された該映像信号を再生する表示部と、
該表示部にて再生された映像信号と目標物探知レベルと入力された目標物の寸法データとに基づいて該赤外線撮像部の該視軸を制御する視軸制御信号を出力する視軸制御部と、
該視軸制御部から出力された該視軸制御信号に基づいて、該赤外線撮像部と対象物との距離が、該目標物の視認可能な最大限界距離を超えないように該赤外線撮像部の視軸変動制限データを計算出力する演算部と、
該視軸制御部からの該視軸制御信号と該演算部からの該視軸変動制限データとに基づいて該視軸を操作する駆動信号を該赤外線撮像部に出力する駆動制御部とをそなえて構成されたことを特徴とする、赤外線映像装置。
(付記2) 該航空機の状態姿勢情報を収集するインタフェース信号を該演算部に入力する機体インタフェース部をそなえて構成されたことを特徴とする、付記1記載の赤外線映像装置。
(付記3) 該機体インタフェース部にて収集された該航空機の状態姿勢情報の一要素である飛行速度に基づいて該航空機の過去の位置を計算する位置計算部と、
該位置計算部にて計算された該航空機の過去の位置における俯角を計算し該俯角を該駆動制御部に入力する俯角制御部とをそなえて構成されたことを特徴とする、付記2記載の赤外線映像装置。
(付記4) 該視軸制御部が、
該表示部の画面最上部の実距離が該目標物の表示可能な最大距離以下に俯角を制御するように構成されたことを特徴とする、付記1記載の赤外線映像装置。
(付記5) 該表示部が、
該表示部自身の画面最上部の距離と複数の捜索幅とを対応付けて表示するように構成されたことを特徴とする、付記1記載の赤外線映像装置。
(付記6) 該演算部が、
該複数の捜索幅のうちの過去に設定された捜索幅を、飛行高度の計算により表示するように構成されたことを特徴とする、付記1記載の赤外線映像装置。
(付記7) 該演算部が、
該目標物の表示可能な最大距離と、最大視認距離とのうちの少なくとも一方の距離に応じて俯角および振り角を制御するように構成されたことを特徴とする、付記1記載の赤外線映像装置。
(付記8) スキャン位置に基づいてスキャン速度を調整するスキャン速度調整部をそなえて構成されたことを特徴とする、付記1〜3のいずれか一に記載の赤外線映像装置。
(付記9) 該電子制御部にて変換出力された該映像信号を記憶する画像メモリが設けられ、
該表示部が、該画像メモリに記憶された該映像信号の再生と、現時刻における映像の録画とを行なうように構成されたことを特徴とする、付記1記載の赤外線映像装置。
(付記10) 赤外線放射を映像化する赤外線映像装置を利用した海上捜索方法であって、
入力データを記憶する入力データ記憶部が、入力された目標物の寸法データを記憶し、
受信した赤外線に起因する映像信号を出力し、
該映像信号と、目標物探知レベルと、該目標物の寸法データとに基づいて該赤外線の視軸を制御する視軸制御信号を出力し、
該視軸制御信号に基づいて赤外線映像装置自身における該目標物の視認可能な最大限界距離を計算し、
該視軸制御信号に基づいて、表示部の最大表示距離が該目標物の視認可能な最大限界距離を超えないように、視軸変動制限データを計算出力し、
該視軸制御信号と該視軸変動制限データとに基づいて該視軸を操作することを特徴とする、赤外線映像装置を利用した海上捜索方法。
(付記11) 該入力データ記憶部が、スキャンに関する指示データを検出して記憶し、
航空機の状態姿勢情報を収集するインタフェース部が、収集した該航空機の状態姿勢情報の一要素である飛行速度に基づいて過去の該航空機の位置と、該航空機の位置における俯角とを計算し、
該俯角によりスキャンし、
該スキャンにより抜けた捜索領域を補うことが可能なスキャン速度に調整し、
該スキャンの領域が所定位置に戻ったときにスキャン速度を通常速度に戻すことを特徴とする、付記10記載の海上捜索方法。
(付記12) 該入力データ記憶部が、映像を再確認する再確認データを検出し、
表示部が、受信した赤外線に起因する映像信号を記憶する画像メモリに記憶された映像信号を再生するとともに該電子制御部からの映像を録画し、
該表示部が、該映像信号を高倍速再生し、
現時刻におけるスキャンに対応する映像に達すると通常の映像を再生することを特徴とする、付記10記載の海上捜索方法。
(付記13) 該入力データ記憶部が、捜索範囲に関する探知レベルデータを記憶することを特徴とする、付記10記載の海上捜索方法。
本発明の赤外線映像装置および赤外線映像装置を利用した海上捜索方法によれば、航空機およびヘリコプター等に搭載した赤外線映像装置を用いてオペレータが遭難者を捜索するときに、撮像部分について赤外線映像装置が首振りスキャンを行なうことにより、捜索領域の面積を増加させることができ、かつ効率よく捜索できる。さらに、撮像範囲が常時目標物の表示可能な最大距離となるように自動的に俯角および振り角が制御されるので、遭難者の捜索に関するオペレータの手間が大幅に軽減され、発見確率が向上し、従って、人命救助に貢献する。
本発明が適用される飛行体の外観図である。 本発明の一実施形態に係る赤外線映像装置のブロック図である。 (a),(b)はともに本発明の一実施形態に係る最大距離と視野とを説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る駆動部の要部を示す図である。 本発明の一実施形態に係る赤外線映像装置の撮像範囲および瞬時視野を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る単位画像又は単位映像を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る表示部の表示例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る探知距離の計算例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る捜索スキャン時においてオペレータに提供される情報表示例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る俯角変更処理を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る航空機の飛行高度の変化に応じた俯角制御を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る再スキャン時の映像操作を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る演算部のブロック図である。 本発明の一実施形態に係る赤外線映像装置の表示距離を説明するための図である。 (a)は「はしご」状のスキャン方法を示す図であり、(b)は「うずまき」状のスキャン方法を示す図である。 (a)は上面方向から海面に向かう鉛直方向に見下ろした図であり、(b)は飛行方向について側方から眺めた図である。 水平視野および垂直視野を説明するための図である。 航空機の状態姿勢を説明するための図である。 波の影響を説明するための図である。
符号の説明
2 赤外線撮像部
3 赤外線検知部
4 電子制御部
5 映像処理部
5a スキャン速度調整部
6 表示部
7 操作部
8 視軸制御部
9 駆動制御部
10 駆動部
10a 水平スキャンミラー
10b 垂直スキャンミラー
10c,10d モータ
10e 集光レンズ
11 機体情報
12 機体インタフェース部
13 演算部
13a 位置計算部
13b 俯角制御部
14 映像メモリ
15 目標物寸法
16 探知レベル
17 最大距離計算結果
18 捜索幅計算結果
19 視軸水平位置表示
20 視軸垂直位置表示
21 現在のスラントレンジ表示
22 最大距離視認計算結果表示
23 現在の捜索幅表示
24 初期計算結果の捜索幅表示
25 初期捜索幅を維持できる飛行高度表示
26 スキャンを停止させたときの自機位置
27 エラー表示
100 赤外線映像装置

Claims (3)

  1. 赤外線放射を映像化する赤外線映像装置であって、
    受信した赤外線を電気信号に変換出力するとともに該赤外線の視軸を変更可能な赤外線撮像部と、
    該赤外線撮像部からの該電気信号を映像信号に変換出力する電子制御部と、
    該電子制御部から出力された該映像信号を再生する表示部と、
    該表示部にて再生された映像信号と目標物探知レベルと入力された目標物の寸法データとに基づいて該赤外線撮像部の該視軸を制御する視軸制御信号を出力する視軸制御部と、
    該視軸制御部から出力された該視軸制御信号に基づいて、該赤外線撮像部と対象物との距離が、該目標物の視認可能な最大限界距離を超えないように該赤外線撮像部の視軸変動制限データを計算出力する演算部と、
    該視軸制御部からの該視軸制御信号と該演算部からの該視軸変動制限データとに基づいて該視軸を操作する駆動信号を該赤外線撮像部に出力する駆動制御部とをそなえて構成されたことを特徴とする、赤外線映像装置。
  2. 該航空機の状態姿勢情報を収集するインタフェース信号を該演算部に入力する機体インタフェース部にて収集された該航空機の状態姿勢情報の一要素である飛行速度に基づいて該航空機の過去の位置を計算する位置計算部と、
    該位置計算部にて計算された該航空機の過去の位置における俯角を計算し該俯角を該駆動制御部に入力する俯角制御部とをそなえて構成されたことを特徴とする、請求項1記載の赤外線映像装置。
  3. 赤外線放射を映像化する赤外線映像装置を利用した海上捜索方法であって、
    入力データを記憶する入力データ記憶部が、入力された目標物の寸法データを記憶し、
    受信した赤外線に起因する映像信号を出力し、
    該映像信号と、目標物探知レベルと、該目標物の寸法データとに基づいて該赤外線の視軸を制御する視軸制御信号を出力し、
    該視軸制御信号に基づいて赤外線映像装置自身における該目標物の視認可能な最大限界距離を計算し、
    該視軸制御信号に基づいて、表示部の最大表示距離が該目標物の視認可能な最大限界距離を超えないように、視軸変動制限データを計算出力し、
    該視軸制御信号と該視軸変動制限データとに基づいて該視軸を操作することを特徴とする、赤外線映像装置を利用した海上捜索方法。
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CN103816671A (zh) * 2014-02-26 2014-05-28 中山市泰宝电子科技有限公司 红外感应的玩具飞行器结构及应用
CN109040689A (zh) * 2018-08-24 2018-12-18 中国南方电网有限责任公司超高压输电公司检修试验中心 用于直升机巡线过程红外热点追踪的图像信息处理系统
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