JP2005066591A - 未燃炭素分離装置および分離方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】石炭灰に含まれる未燃炭素を分離する装置であって、電圧を印加してプラスに帯電させた篩網と該篩網を振動させる振動枠とを備えた超音波篩と、電圧を印加してプラスに帯電させた電極を備えた電気集塵機とを有することを特徴とする未燃炭素分離装置および分離方法。
【選択図】図2
Description
具体的には、例えば石炭焚火力発電所のボイラーなどで発生する石炭灰に含まれる未燃炭素を分離する装置および分離方法に関する。
例えば、特開2003−126832号公報の第0013欄には、静電向流ベルト式の分離装置が開示されている。
この分離装置は、隙間を隔てて上下対方向に配置された電極の中を、有孔の無端ベルトを循環移動させながら、電極の隙間に投入した石炭灰の粒子を表面接触により研磨帯電させ静電気力で未燃炭素を分離するものである。
しかし、特開2003−126832号公報に開示された装置は、無端ベルトを循環移動させながら石炭灰の粒子と表面接触させているためにベルトの磨耗が激しく1回/月の頻度で取り替える必要がありメンテナンスコストが高くなるという問題点があった。
この分離装置は、円筒円錐形のケーシングとその内部に設けられ高速回転する分級羽根とから構成されており、上部投入口から投入された石炭灰は遠心力と分級羽根の内部へ向かう空気流の抗力との釣り合い粒径の違いにより未燃炭素を分級するものである。
しかし、この方式についても駆動部があり磨耗の問題が発生する。更には、粒径の違いを利用した分級方式であるので積極的に未燃炭素を分離するものではなく、本発明者らの実験によると、炭素濃度が34%以上の分離効率を達成することは原理的に困難だった。
(1)石炭灰に含まれる未燃炭素を分離する装置であって、電圧を印加してプラスに帯電させた篩網と該篩網を振動させる振動枠とを備えた超音波篩と、電圧を印加してプラスに帯電させた電極を備えた電気集塵機とを有することを特徴とする未燃炭素分離装置。
(2)前記電極が屈曲路または湾曲路を形成していることを特徴とする(1)に記載の未燃炭素分離装置。
(3)さらに、電圧を印加してプラスに帯電させた網電極フィルターを有することを特徴とする(1)または(2)に記載の未燃炭素分離装置。
(4)前記振動枠を振動させる振動子に絶縁体を装入することを特徴とする請(1)乃至(3)に記載の未燃炭素分離装置。
(5)(1)または(2)に記載の未燃炭素分離装置を用いる未燃炭素分離方法であって、前記石炭灰を前記篩網に通過させることにより、該石炭灰に含まれる未燃炭素をプラスに帯電させ、炭素以外の鉱物の表面に分極を発生させることにより、該鉱物のみを前記電極に捕捉することを特徴とする未燃炭素分離方法。
(6)(3)または(4)に記載の未燃炭素分離装置を用いる未燃炭素分離方法であって、前記石炭灰を前記網電極フィルターに通過させることにより、前記未燃炭素と炭素以外の鉱物とを引き離して該鉱物のみを前記網電極フィルターに捕捉することを特徴とする未燃炭素分離方法。
また、本発明の未燃炭素分離装置は、従来のように駆動部がない静電機器のみで構成されているため、ベルトなどの交換の必要がなくメンテナンスコストを著しく低減できるなど、産業上有用な著しい効果を奏する。
図1および図2は、本発明の未燃炭素分離装置の実施形態を例示する図であり、図1は上面から見た平面図を示し、図2は側面図を示す。
図1および図2において、1は超音波篩、2は電気集塵機、3は網電極フィルター、4はサイクロン、5は篩網、6は振動枠、7は棒電極、8は板電極、9は振動子を示す。
超音波篩1には、電圧を印加してプラスに帯電させた篩網5と該篩網5を振動させる振動枠6とが備えられており、振動子9が振動することによって、振動枠6および篩網5が微小振動して、凝縮している石炭灰を分散させるとともに、未燃炭素をプラスに帯電させることができる。
本発明においては、超音波篩1の目開きおよび振動周波数は問わないが、粒径の小さい石炭灰を効率よく分散させるためには、目開きは200μm以下、振動周波数は20kHz程度が好ましい。
次に、分散された石炭灰は、電圧を印加してプラスに帯電させた板電極8とマイナスに帯電させた棒電極7とを備えた電気集塵機2に導入される。
プラスに帯電した未燃炭素は、プラスに帯電した板電極8と反発して電気集塵機2を通過するが、未燃炭素以外の鉱物の表面には分極が発生するため、鉱物のみがプラスに帯電した板電極8に吸引されて捕捉される。
石炭灰に含まれる未燃炭素(C)は導電率の高い物質(良導体)なので、篩網5と接触した際に接地した篩網5を通じて良導体中の動電子(マイナスの電荷)が漏洩するため、図3に示すように、プラスの電荷が表面を支配することになる。
プラスに帯電した未燃炭素(C)は、プラスに帯電した板電極8と反発することによって、電気集塵機2を通過する。
一方、未燃炭素(C)以外の鉱物は、非常に電気を通しにくい物質(絶縁体)なので、マイナスの電荷の漏洩が瞬時に行われず、その結果、絶縁体表面にプラスとマイナスの電荷が存在する分極が発生し、図3に示すように、板電極8に吸引されて捕捉される。
また、鉱物の一部は、篩網5を通過後すでにプラスに帯電した未燃炭素(C)に吸引されて結合するため、板電極8に捕捉されないで電気集塵機2を通過してしまう。
そこで、未燃炭素(C)の分離効率をさらに高めるためには、さらに、電圧を印加してプラスに帯電させた網電極フィルター3を設けることが好ましい。
電気集塵機2を通過した未燃炭素(C)と結合した鉱物は、プラスに帯電した網電極フィルター3に接触しながら通過する際に、未燃炭素(C)から切り離されて、網電極フィルター3に吸引されて捕捉され、分離された未燃炭素(C)は、プラスに帯電しているため、プラスに帯電した網電極フィルター3と反発して通過する。
本発明においては、この網電極フィルター3の目開きは問わないが、石炭灰が通過する際の圧損を小さくするため、この目開きは2〜3mmが好ましい。
分離された未燃炭素(C)は、サイクロン4によって、さらに空気と分離されて炭素粉として回収することができ、エネルギー源として利用することができる。
また、未燃炭素が除去された鉱物は、例えばコンクリートの副原料として再利用することができる。
なお、本発明に用いる超音波篩、電気集塵機、網電極フィルターの印加電圧は問わないが、未燃炭素(C)の分離効率を高めるためには、1KV〜50KVが好ましい。
図5において、6は振動枠、9は振動子、10は絶縁体を示す。
振動枠6を振動させる振動子9に高電圧を印加すると、超音波篩用直流電源と振動子用の直流電源との間に電流路が発生し電源を破損する場合がある。
そこで図5に示すように、振動子9の中央部に絶縁体10を装入することによって、超音波篩用直流電源と振動子用の直流電源との間の電流路を遮断することができ、電源の破損を防止することができる。
絶縁体の種類は問わないが、強度および耐電圧の観点からセラミックスを用いることが好ましい。
図6乃至図8において、1は超音波篩、2は電気集塵機、4はサイクロン、5は篩網、6は振動枠、9は振動子、11はくの字電極を示す。
図6および図7に示すように、電気集塵機2に設置する電極に曲げ加工を加えた複数のくの字電極11にして屈曲路を形成し、プラス電極(+)とマイナス電極(−)を交互に配置する。
図8は、くの字電極の内部の石炭灰および炭素の動きを示す模式図である。
図8に示すように、炭素はくの字電極と反発するため、電極を通り抜けて回収されるが、石炭灰はくの字に曲がった電極の間を通る際に電極面に衝突して捕捉されるため、炭素の分離回収率を向上させることができる。
本実施形態では、図6に示すように電極をくの字にして屈曲路を形成しているが、炭素灰および炭素が電極に衝突すればよいので、例えばS字状にして湾曲路を形成させても同等の効果が得られる。
具体的には、電極が3枚以上の場合には、中間部の電極への振動付与が非常に困難であるため、図10に示すように超音波振動子9と簡易ノッカー12による単発的振動との併用で実施することが好ましい。
更には、電極が2枚の場合には、図11に示すように、くの字電極の側面に超音波振動子9´を設けて両サイドから超音波振動を付与することが好ましい。
但し、図10、図11での超音波振動子を取付ける場合には、振動子に絶縁体を挿入て絶縁対策を行うことが好ましい。
<実験条件1>
・石炭灰の粒径:10〜150μm
・超音波篩の目開き:80μm
・超音波篩の周波数:20KHz
・超音波篩の印加電圧:10KV
・くの字電極の電圧:18KV
・くの字電極のキ゛ャッフ゜:35mm
上記の実験条件で電極が3枚の場合について、超音波振動と簡易ノッカーに
よる単発的振動確認実験を行なった結果を表1に示す。
実験方法として、超音波篩部から100gを投入して、篩上、電極付着、電極下、サイクロンでの回収量を測定することで評価を行なった。その結果、超音波振動だけでは電極に28g付着しており、除去効果が不充分であり、簡易ノッカーによる単発的振動を付与することで大幅に除去が可能なことが判明した。
また、同様に上記の実験条件で電極が2枚の場合について、両サイドから超
音波振動を付与する実験を行なってみた。この場合には、超音波振動のみで殆
ど除去できていることが理解できる。
・超音波篩の目開き:80μm
・超音波篩の周波数:20kHz
・超音波篩、電気集塵機、網電極フィルターの印加電圧:4.7KV
・電気集塵機のサイズ:L300mm×W300mm×H200mm
・網電極フィルターの目開き:2mm
上記の実施条件で実施した結果を表3に示す。
表3において、石炭灰(原粉)は、本発明を実施する前の石炭灰を示し、未燃炭素を24%含んでいた。
本発明例1は、超音波振動網および電気集塵機を用いて未燃炭素を分離した結果であり、分離後の粉中の炭素(C)が43.2%まで上昇させることができた。
本発明例2は、超音波振動網、電気集塵機、および、網電極フィルターを用いて未燃炭素を分離した結果であり、分離後の粉中の炭素(C)が55.7%まで上昇させることができ、さらに、本発明例3は、電気集塵機中にくの字電極を用いた結果であり、分離後の粉中の炭素(C)が73%に達した。
2 電気集塵機、
3 網電極フィルター、
4 サイクロン、
5 篩網、
6 振動枠、
7 棒電極、
8 板電極
9 振動子
10 絶縁体
11 くの字電極
12 簡易ノッカー
13 振動子取付け台
Claims (6)
- 石炭灰に含まれる未燃炭素を分離する装置であって、
電圧を印加してプラスに帯電させた篩網と該篩網を振動させる振動枠とを備えた超音波篩と、
電圧を印加してプラスに帯電させた電極を備えた電気集塵機とを有することを特徴とする未燃炭素分離装置。 - 前記電極が屈曲路または湾曲路を形成していることを特徴とする請求項1に記載の未燃炭素分離装置。
- さらに、電圧を印加してプラスに帯電させた網電極フィルターを有することを特徴とする請求項1または2に記載の未燃炭素分離装置。
- 前記振動枠を振動させる振動子に絶縁体を装入することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の未燃炭素分離装置。
- 請求項1または請求項2に記載の未燃炭素分離装置を用いる未燃炭素分離方法であって、前記石炭灰を前記篩網に通過させることにより、該石炭灰に含まれる未燃炭素をプラスに帯電させ、炭素以外の鉱物の表面に分極を発生させることにより、該鉱物のみを前記電極に捕捉することを特徴とする未燃炭素分離方法。
- 請求項3または請求項4に記載の未燃炭素分離装置を用いる未燃炭素分離方法であって、前記石炭灰を前記網電極フィルターに通過させることにより、前記未燃炭素と炭素以外の鉱物とを引き離して該鉱物のみを前記網電極フィルターに捕捉することを特徴とする未燃炭素分離方法。
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