JPH0215564Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は排ガス中の導電性粒子と絶縁性粒子と
を別々に捕集できるようにした電気集塵装置に関
する。

〔従来の技術〕

一般に石炭焚きボイラから大量に排出される石
炭灰（以下フライアツシユと言う）は、その多く
は埋立用に使用されるが、一部はセメント用原料
に使用されている。このフライアツシユはセメン
ト用原料として使用する場合、高混合空気性、流
動性、浸水性が良く、また硬化速度が遅い等の長
所を持つているために今後さらに需要が高まる傾
向にある。しかし、灰中に未燃焼カーボンが多い
とセメントの色が黒ずんだり、コンクリートのひ
び割れや電気化学的な腐蝕を引起こすなどの欠点
をも持ち合せている。フライアツシユ中の未燃焼
カーボンの含有量は通常５％以下であるが、最近
の低NOx燃焼ボイラでは10％にも達するほどの
黒い灰が生ずる。この未燃焼カーボンの含有量が
多いと、フライアツシユをセメントなどと混合し
て建材材料として使用する場合、強度的に弱くな
る言われており、その選別除去が課題の一つとな
つている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来、フライアツシユ中の未燃焼カーボンの除
去にはサイクロンを使用するケースが多いが、こ
の方法ではカーボンの選別能力が低く（未燃焼カ
ーボンは粒子径0.1μm以下と10μm以上に多く含
まれる）、灰中カーボンの完全除去ができる装置
の開発が望まれている。

本考案はこのような事情に鑑みなされたもの
で、その目的とするところは排ガス中の絶縁性粒
子と導電性粒子とを分離除去でき、セメント用と
してカーボン含有量の極めて少ない良質なフライ
アツシユを回収できる電気集塵装置を提供するこ
とにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上記の目的を達成するために、前段部
にアース電極と直流高電圧電極とを交互にかつ両
電極間の間隔がガスの流れ方向に向かつて狭くな
るように配置するとともに、後段部に集塵電極と
放電極とを交互にかつガスの流れ方向に沿つて平
行に配置し、前記前段部でガス中の導電性粒子を
後段部で絶縁性粒子をそれぞれ捕集するようにし
たことを特徴とするものである。

〔考案の効果〕

上記の構成を特徴とする本考案によれば、フラ
イアツシユ中の未燃焼カーボンはアース電極と直
流高電圧電極とを交互に配置した前段部で分離除
去されるので、カーボン含有量の極めて少ない良
質なフライアツシユを後段部で回収することがで
きる。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明
する。

第１図および第２図は本考案による電気集塵装
置の概略構成を示す図で、図中１は装置本体であ
る。この装置本体１の前部には排ガスを装置本体
１内へ導入するためのガス入口２が設けられ、後
部には清浄ガスを排出するためのガス出口３が設
けられている。この装置本体１内には排ガス中の
導電性粒子を除去する導電性粒子除去装置４と排
ガス中の絶縁性粒子を除去する絶縁性粒子除去装
置５とが設けられている。上記導電性粒子除去装
置４は装置本体１内の前段部に設置され、板状の
アース電極６と直流高電圧電極７とを交互にかつ
両電極の間隔がガスの流れ方向（図中矢印）に向
つて狭くなるように配置して構成されている。ま
た、前記絶縁性粒子除去装置５は装置本体１内の
後段部すなわち導電性粒子除去装置４の下流側に
設置され、集塵電極８と放電極９とを交互にかつ
ガスの流れ方向に沿つて平行に配置して構成され
ている。上記直流高電圧電極７は直流高電圧電源
１０と接続しており、アース電極６との間に高電
界を形成するようになつている。また、集塵電極
８および放電極９には図示せぬ直流高電圧電源よ
り高電圧が印加され、電極間にコロナ放電を発生
させるようになつている。なお、図中１１はカー
ボン回収ホツパ、１２はフライアツシユ回収ホツ
パである。

次に本実施例の作用を第３図ないし第５図を参
照して説明する。まず始めに、本考案による導電
性粒子除去装置４の原理について説明する。

今、第３図に示すように平行平板電極Ｐ１，Ｐ
２により形成される電界中に置かれた絶縁性粒子
ａと導電性粒子ｂの挙動について考えてみる。平
行平板電極Ｐ１，Ｐ２間に直流高電圧を印加する
と、絶縁性粒子ａは電荷を受け難いが、一旦帯電
すると放電時間が遅いため電極Ｐ１に付着して離
れなくなる。一方、カーボンのような導電性粒子
ｂは電荷を受け易いが放電時間も早いため、電極
Ｐ１から離れて再飛散し、電極Ｐ１とＰ２との間
を往復運動する。このことは第４図に示す如く対
向面に傾きを持たせた平板電極Ｐ１，Ｐ２の場合
でも同様である。またこの場合には導電性粒子ｂ
は電気力線と衝突慣性力の影響で、往復運動を繰
り返しながら電極間隔が拡がつている方向へ移動
することになる。

従つて、アース電極６と直流高電圧電極７との
間に入つてきた粒子ｂは、第５図に示すように電
極６，７間に印加された高電圧により電極６に衝
突する。そして、電極６に衝突した粒子ｂは電気
力線に沿つて円弧状に移動し、電極６，７に衝突
しながらガスの流れ方向とは逆方向に移動する。
そして、最終的には電気力線の存在しない上流域
まで弾き出されてホツパ１１に重力落下するの
で、電極７，８の荷電を止めて落下させるわけで
はない。

一方、フライアツシユのような絶縁性粒子ａは
電荷を受け難いためにアース電極６および直流高
電圧電極７間を通過して、後段の集塵電極８間に
入り、ここで捕集される。そして、集塵電極８上
に付着した絶縁性粒子ａは下部のフライアツシユ
回収ホツパ１２へ払い落される。

このように本実施例によれば、排ガス中のカー
ボンを前段の導電性粒子除去装置４で分離除去す
ることができるので、カーボンをほとんど含まな
い良質のフライアツシユを後段の絶縁性粒子除去
装置５で回収することができる。また、フライア
ツシユとカーボンを排ガス中から直接分離するの
で、従来のように一次アツシユサイロやサイクロ
ン等を設置する必要がなく、大幅な設備費の低減
を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は本考案の一実施例を示す
図で、第１図は本考案による電気集塵装置の概略
構成を示す斜視図、第２図は同じく平面図、第３
図ないし第５図は本考案による導電性粒子除去装
置の原理を説明するための図である。 １……装置本体、２……ガス入口、３……ガス
出口、４……導電性粒子除去装置、５……絶縁性
粒子除去装置、６……アース電極、７……直流高
電圧電極、８……集塵電極、９……放電極、１１
……カーボン回収ホツパ、１２……フライアツシ
ユ回収ホツパ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前段部にアース電極と直流高電圧電極とを交互
   にかつ両電極間の間隔がガスの流れ方向に向かつ
   て狭くなるように配置するとともに、後段部に集
   塵電極と放電極とを交互にかつガスの流れ方向に
   沿つて平行に配置し、前記前段部でガス中の導電
   性粒子を後段部で絶縁性粒子をそれぞれ捕集する
   ようにしたことを特徴とする電気集塵装置。