JP2005065693A - ユビキノン高含有酵母又は植物の作製方法、及び、該ユビキノン高含有酵母又は植物を用いたユビキノンの製造方法 - Google Patents

ユビキノン高含有酵母又は植物の作製方法、及び、該ユビキノン高含有酵母又は植物を用いたユビキノンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明の課題は、ユビキノン高含有酵母又は植物の作製方法、及び該ユビキノン高含有酵母又は植物、並びに、ユビキノンを製造する方法、及び、該製造方法により得られたユビキノンを提供することである。
【解決手段】
本発明は、p−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAを酵母又は植物の小胞体に局在化発現するように導入して形質転換することを特徴とする、ユビキノン高含有酵母又は植物の作製方法、並びに、該方法により得られた酵母又は植物を提供する。本発明は、さらに、上記ユビキノン高含有酵母又は植物からユビキノンを回収することを特徴とする、ユビキノンの製造方法、並びに、該方法により得られたユビキノンを提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ユビキノン高含有酵母又は植物の作製方法、及び、該作製方法により得られたユビキノン高含有酵母又は植物に関する。本発明は、さらに、前記ユビキノン高含有酵母又は植物を用いてユビキノンを製造する方法、及び、該製造方法により得られたユビキノンに関する。
ユビキノン(UQ)は2,3−ジメトキシ−5−メチル−6−ポリプレニル−1,4−ベンゾキノンの総称で、コエンザイムQとも呼ばれる。ユビキノンは電子伝達系の構成成分として広く生物界に存在している。生物種によりユビキノンのポリプレニル側鎖長が異なり、ユビキノン−1〜13までの同族体が天然に見出されている。主要な同族体はユビキノン−6〜10であり、ヒト・ウシはユビキノン−10、ネズミ、トウモロコシはユビキノン−9、大腸菌はユビキノン8、Hansenula酵母はユビキノン−7、出芽酵母はユビキノン−6を生合成している。
ユビキノン−10は、心不全や他の虚血性心疾患の症状改善に有効であり、医薬品として認可されている。また、アドリアマイシンなどの抗がん剤の心臓副作用の軽減、歯周病の改善、運動負荷に対する骨格筋保護などにも有効との報告がある(非特許文献1)。現在、ユビキノン−10は、合成法あるいは光合成細菌などの微生物からの抽出法で生産されている。
また、ユビキノン−6は、側鎖のイソプレン単位の数が異なること以外はユビキノン−10と同じ構造をとり、その作用・機能についてもユビキノン−10と類似した効果を有するものである。
ユビキノンは、構造上ベンゾキノン骨格部分とポリプレニル側鎖部分に大別される。ポリプレニル側鎖はイソプレノイド化合物の一種で、炭素数5のイソペンテニルピロリン酸(IPP)を基本骨格単位とし、それが複数個縮合して生合成される。この反応を司る一連の酵素をプレニルトランスフェラーゼという。
ベンゾキノン骨格部分は、シキミ酸経路で生合成されたコリスミン酸を経由して生合成されたp−ヒドロキシ安息香酸(PHB)が出発基質となる。一方、ポリプレニル側鎖部分は、メバロン酸経路、または、最近明らかにされた非メバロン酸経路(非特許文献2)によって生合成されたIPPが複数個縮合してできたポリプレニル2リン酸を出発基質とする。p−ヒドロキシ安息香酸とポリプレニル2リン酸が、p−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼ(EC.2.5.1.39)の作用で4−ヒドロキシ−3−ポリプレニル安息香酸となり、これが種々の修飾を受け、ユビキノンとなる。
これら生合成経路上の酵素およびその遺伝子は、大腸菌や酵母で大方同定されている。これら遺伝子の全容は未だ解明されていないが、ユビキノン生合成経路上の酵素遺伝子を発現強化してユビキノン蓄積量を増大させた例がいくつか知られている。例えば、Zhuらは、大腸菌由来の各種ユビキノン生合成酵素遺伝子を、lacプロモーター下流に連結して大腸菌内で高発現させることで、ユビキノン蓄積量が増加することを示した(非特許文献3)。また、川向らは、光合成細菌R.capsulatusに大腸菌由来のubiAおよびubiCを導入し、嫌気培養することにより、ユビキノン−10の生産性が向上することを示している(特許文献1)。
PHBをプレニルアクセプタとし、鎖長の多様なプレニルピロホスフェート(prenylpyrophosphate)をプレニルドナーとするこの一次代謝系のプレニルトランスフェラーゼ反応は、ミトコンドリア内の呼吸鎖の機能に必須な反応として従来から研究が行われており、2種のPHB:ポリプレニルトランスフェラーゼが大腸菌(非特許文献4)と酵母(非特許文献5)からクローニングされている。
酵母のPHB:ポリプレニルトランスフェラーゼはCoq2遺伝子にコードされ、炭素数30個の側鎖を持つ中間体をつくるため、PHB:ヘキサプレニルトランスフェラーゼと呼ばれる。
酵母のCoq2遺伝子は、全長約1.5kbで、372個のアミノ酸をコードする1116塩基対のORFを有している。そのアミノ酸配列のN末端には、典型的なミトコンドリアへのシグナルペプチドがあり、ミトコンドリアの内膜タンパクであることが既に報告されている。酵母におけるCoq2の遺伝子産物PHB:ポリプレニルトランスフェラーゼは、酵母のin vitroのアッセイ系を用いた研究により、その基質特異性はMg2+ 濃度に依存しており、33mM以上のMg2+ 濃度においては、本来の基質であるヘキサプレニルピロホスフェートのみならず、すべての鎖長のプレニルピロホスフェートを基質として利用できることが示されている。このCoq2遺伝子産物の基質特異性の低さに関しては、大腸菌のubiA欠損株においてCoq2遺伝子を高発現させた研究によっても示されている(非特許文献6)。すなわち、Coq2遺伝子の導入により、大腸菌のubiA欠損株においてユビキノン合成能を相補したところ、合成されたユビキノンは、側鎖の炭素数が30個の酵母型のユビキノン−6ではなく、オクタプレニルピロホスフェートが転移されてできた大腸菌型のユビキノン−8であった。この結果は、ユビキノンの側鎖長は、各生物種に特異的なプレニルピロホスフェート合成酵素に依存しており、Coq2蛋白質はその基質を、フレキシブルにユビキノン合成のために利用できる酵素である可能性を示唆している。
ところで、光合成細菌(R.sphaeroides)において、プレニルトランスフェラーゼであるゲラニルゲラニルピロリン酸合成酵素が同定されている(非特許文献7)。
近年、ゲラニルゲラニルピロリン酸合成酵素活性の低下または欠損した性質、デカプレニル2リン酸合成酵素活性の強化された性質およびp−ヒドロキシ安息香酸−デカプレニルトランスフェラーゼ活性の強化された性質からなる群より選ばれる1つ以上の性質を有する、ユビキノン−10を生成する能力を有する微生物を用いたユビキノン−10の製造法が開示された(詳細には、特許文献2を参照のこと)。特許文献2は、光合成細菌において、種々の高発現プロモーターの直下に、デカプレニル2リン酸合成酵素をコードする遺伝子又はp−ヒドロキシ安息香酸−デカプレニルトランスフェラーゼ遺伝子を有するプラスミドを導入して、ユビキノン−10生産量を高める方法を記載している。また、光合成細菌のゲラニルゲラニルピロリン酸合成酵素欠損株を用いて、ユビキノン−10生産量を高める方法を記載している。しかしながら、そのユビキノン生産量は、デカプレニル2リン酸合成酵素をコードする遺伝子を高発現させた場合、コントロールと比べて最大約2.2倍、p−ヒドロキシ安息香酸−デカプレニルトランスフェラーゼ遺伝子を高発現させた場合、コントロールと比べて最大約1.4倍増大したに過ぎない(特許文献2、第3表及び第4表)。また、ゲラニルゲラニルピロリン酸合成酵素遺伝子欠損株を用いた場合、そのユビキノン生産量は、コントロールの約1.3〜1.7倍にとどまっている(特許文献2、第1表)。
近年、ユビキノンの抗酸化作用やエネルギー代謝賦活効果が注目され、老化防止の目的で化粧品や機能性食品にも応用されてきており、その需要も急速に拡大している。そこで、これまで以上に効率的にユビキノンを生産する方法が強く求められている。
特開平8−107789公報 WO 01/27286公報 ビタミンの事典 日本ビタミン学会編(1996) Biochem.J.,295,517(1993) J.Fermentation and Bioengineering,79,493(1995) Cox, G.B., Gibson, F., and Pittard, J. (1968) J. Bacteriol., 95, 1591 Ashby, M.N., Kutsunai, S.Y., Ackerman, S., Tzagoloff, A. and Edwards ,P.A.(1992) J.Biol.Chem. 267, 4128 Suzuki, K., Ueda, M., Yuasa, M., Nakagawa, T., Kawamukai, M. and Matsuda, H. (1994) Biosci. Biotech. Biochem. 58, 1814 J.Bacteriol.,177,2064−2073(1995)
本発明の課題は、ユビキノン高含有酵母又は植物の作製方法、及び該ユビキノン高含有酵母又は植物、並びに、ユビキノンを製造する方法、及び、該製造方法により得られたユビキノンを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、p−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAを酵母又は植物の小胞体に局在化発現するように導入して得られた形質転換酵母又は植物が、ユビキノンを多量に含有することを見出した。さらに、本発明者らは、ミトコンドリア局在化シグナルを欠損し且つ小胞体局在化シグナルを導入したp−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAを酵母又は植物に導入して形質転換することにより得られた形質転換酵母又は植物がユビキノンを多量に含有することを確認した。また、植物において、該形質転換植物(即ち、ユビキノン高含有植物)が農薬によるストレス及び塩ストレスに対して耐性を有することを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の事項に関する。
(項1)p−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAを酵母又は植物の小胞体に局在化発現するように導入して形質転換することを特徴とする、ユビキノン高含有酵母又は植物の作製方法。
(項2)ミトコンドリア局在化シグナルを欠損し、且つ、小胞体局在化シグナルを導入したp−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAを酵母又は植物に導入して形質転換することを特徴とする、ユビキノン高含有酵母又は植物の作製方法。
(項3)前記p−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼが、p−ヒドロキシ安息香酸−ヘキサプレニルトランスフェラーゼである、項1又は2に記載の方法。
(項4)項1〜3のいずれかに記載の方法により作製されたユビキノン高含有酵母又は植物。
(項5)農薬ストレス耐性、塩ストレス耐性、強光ストレス耐性、乾燥ストレス耐性、寒冷ストレス耐性からなる群より選択される少なくとも1種のストレス耐性を有する、項4に記載のユビキノン高含有植物。
(項6)活性酸素種を発生し得るストレスに対して耐性を有する、項4に記載のユビキノン高含有植物。
(項7)項4に記載のユビキノン高含有酵母又は植物からユビキノンを回収することを特徴とする、ユビキノンの製造方法。
(項8)項7に記載の方法により製造されたユビキノン。
以下、本発明をより詳細に説明する。
(A)ユビキノン高含有酵母又は植物の作製
本発明のユビキノン高含有酵母又は植物は、基本的に、p−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAを酵母又は植物の小胞体に局在化発現するように導入して形質転換することにより、作製することができる。p−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAを小胞体に局在化発現させるには、代表的には、ミトコンドリア局在化シグナルを欠損し、且つ、小胞体局在化シグナルを導入し、好ましくは、更に小胞体保持シグナルを導入したp−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAを酵母又は植物(宿主)に導入して形質転換すればよい。
ミトコンドリア局在化シグナルを欠損し、且つ、小胞体局在化シグナルを導入したp−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAは、例えば、下記のように作製することができる。
まず、p−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAを慣例的なDNA増幅方法により増幅する。例えば、PCR(Polymerase Chain Reaction)により、適当なプライマーセット、DNA溶液(例えば、ゲノム溶液)、dNTPmixture、DNAポリメラーゼ(例えば、ExTaq、Taq(Promega社製) 、KOD(TOYOBO社製) 、Platinum Pfu 、Pfu (Promega社製) 、Vent(NEB社製)等)、PCR反応バッファーを混合したPCR反応溶液を所定の温度、時間、サイクルで反応させて、p−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAの増幅産物を得ることができる。
ミトコンドリア局在化シグナルを欠損させるには、例えば、ミトコンドリア局在化シグナルをコードするDNAを増幅しないよう設計したプライマーを用いてPCRを行うか、或いは、PCRの後、PCR増幅産物を制限酵素処理してミトコンドリア局在化シグナルをコードするDNAを切断することにより、得ることができる。
p−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAに小胞体保持シグナル(endoplasmic reticulum retention signal)をコードするDNAを連結させることが特に好ましい。小胞体保持シグナルとしては、酵素を小胞体に保持する機能を有するペプチドであればいかなるものであってもよく、例えば、マメ(Phaseolus vulgaris)などで知られる小胞体保持シグナルであるKDEL(配列番号8)(リジン−アスパラギン酸−グルタミン酸−ロイシン)を例示できる。また酵母ではHDELの4アミノ酸がこれに相当するが、これも植物細胞内で同等の機能を有するため用いることができる(例えば、Boehm, R., et al., (2000) Transgenic Res., 9, 477-486)。また、小胞体保持シグナルをコードするDNAを連結する位置は、好ましくは、p−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAの下流側(3’末端側)である。
小胞体保持シグナルをコードするDNAを連結させるには、例えば、前記PCRにおいて、p−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAに小胞体保持シグナルをコードするDNAを連結するよう設計されたプライマーを用いればよい。
さらに、かくして得られたミトコンドリア局在化シグナルを欠損したp−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAに、小胞体局在化シグナル(endoplasmic reticulum sorting signal)をコードするDNAをインフレーム(in-frame)で連結する。小胞体局在化シグナルとしては、小胞体局在化機能を有するペプチドであればいかなるものであってもよく、例えば、マメ(Phaseolus vulgaris)由来の小胞体局在化シグナルを例示できる。マメ小胞体局在化シグナルの配列については、GenBankのACCESSION No. J01261より入手可能である(或いは、Moreno J and Chrispeels MJ (1989) A lectin gene encodes the alfa-amylase inhibitor of the common bean. Proc Natl Acad Sci USA 86: 7885-7889.を参照のこと)。また、小胞体局在化シグナルをコードするDNAを連結する位置は、好ましくは、ミトコンドリア局在化シグナルをコードするDNAが存在していた位置、即ち、p−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAの上流側(5’末端側)である。
次いで、ミトコンドリア局在化シグナルを欠損し、且つ、小胞体局在化シグナルを導入した(好ましくは、さらに小胞体保持シグナルを導入した)p−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAを、酵母又は植物発現用ベクターのプロモーターの3’末端側(下流側)へ連結してプラスミドを構築する。このとき、適当な配列(例えば、制限酵素認識部位等)を介して間接的に連結してもよいし、直接的に連結してもよい。また、転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に配置されることが好ましい。
ここで、発現用ベクターとしては、宿主において自律複製又は染色体中への組み込みが可能であり、本発明のポリペプチドをコードするDNAを転写できる位置にプロモーター(好ましくは、高発現プロモーター)を含有しているものを使用する。さらに選択マーカー遺伝子を含有しているものを用いてもよい。酵母用発現用ベクターとしては、例えば、pYES、pYC、pYI、pYLなどが、植物用発現用ベクターとしては、例えば、pBiHyg−HSE、pBI19、pBI101、pGV3850、pABH−Hm1等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、プロモーターとしては、宿主において目的の蛋白質及び/又はペプチドを発現するものであれば、いかなるものでもよい。宿主として酵母を用いる場合、例えば、構成的発現プロモーターであるPMA1プロモーター、ADH1プロモーター、GAL1プロモーター、PGKプロモーター、PHO5プロモーター、GAPDHプロモーター等を用いることができ、宿主として植物を用いる場合、構成的発現プロモーターであるEl2プロモーター、CaMV35Sプロモーター、Cabプロモーター、RuBisCoプロモーター、PR1プロモーター等を用いることができるが、これらに限定されない。また、植物の組織特異的に発現するプロモーターを使うことで、例えば、種子や果実など部位特異的にユビキノンを高生産させることが可能である。
次いで、構築したプラスミドを宿主である酵母又は植物細胞へ導入する。
酵母としては、例えば、パン酵母、ビール酵母、分裂酵母、メタノール資化性酵母等が挙げられ、これらの種としては、例えばSaccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Pichia pastoris等が挙げられるが、これらに限定されない。
植物としては、例えば、タバコ(Nicotiana tabacum)、イネ、オオムギ、コムギ、パンコムギ、ライムギ、カラスムギ、ハトムギ、モロコシ、トウモロコシ、キビ、アワ、ヒエ、ソバ、カタクリ、クズ、サトウキビ、テンサイ、ナス、ジャガイモ、サツマイモ、ヤマイモ、サトイモ、コンニャク、ゴボウ、レンコン、キュウリ、カラスウリ、ヘチマ、フキ、タロイモ、キャッサバ、トマト、ニンジン、アスパラガス、カボチャ、ダイコン、カブ、アブラナ、キャノーラ、アルアルファ、ピーマン、トウガラシ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、レタス、マツナ、ホウレンソウ、シュンギク、ヨモギ、オクラ、シソ、ゴマ、クチナシ、ワサビ、カラシ、ショウガ、ミョウガ、ウコン、サフラン、タマネギ、ネギ、ニンニク、ワラビ、ゼンマイ、ダイズ、アズキ、インゲンマメ、エンドウ、ソラマメ、ササゲ、ベルベットビーン、カラスノエンドウ、ラッカセイ、クコ、ケシ、オリーブ、ハッカ、アーモンド、ピスタチオ、マカダミアナッツ、ピーナッツ、ナツメヤシ、ココヤシ、サゴヤシ、サトウヤシ、ニッパヤシ、パイナップル、カキ、リンゴ、ウメ、モモ、ビワ、ナシ、ブドウ、サクランボウ、イチゴ、キイチゴ、ブルーベリー、プルーン、ザクロ、イチジク、アケビ、グミ、マンゴスチン、キーウィフルーツ、メロン、柑橘、バナナ、パパイヤ、マンゴー、シロイヌナズナ、ナズナ、イヌナズナ、ユリ、バラ、サクラ、ヤマザクラ、ボタン、ツバキ、サザンカ、ラベンダー、フジ、シャクヤク、スミレ、パンジー、スイートピー、スイセン、ハナショウブ、アヤメ、バショウ、ショウブ、ミズバショウ、スイレン、ハス、ラン、アサガオ、キンモクセイ、アザミ、ガーベラ、ダリア、チューリップ、コスモス、ヒマワリ、タンポポ、カモミール、ローズマリー、ホオズキ、ハマナス、マタタビ、クローバー、ライラック、サボテン、ユキノシタ、ドクダミ、チャ、コーヒー、エゾマツ、カラマツ、アカマツ、タケ、イチョウ、スギ、ヒノキ、モミ、ゴム、ブナ、ケヤキ、クスノキ、モミジバフウ、ユーカリ、カエデ、ポプラ、アカシア、ゲッケイジュ、ワタ、イグサ、シバ、ベニバナ、クルミ、アボカドが挙げられるが、これらに限定されない。
また、上記酵母又は植物以外にも、細胞内に小胞体が存在する食用の真核生物(例えば、食用の真菌類)を宿主として用いることができる。
構築したプラスミド(組換えプラスミド)を宿主へ導入する方法としては、種々の慣例的な方法を用いることができ、例えば、酢酸リチウム法(Ito, H., Fukuda, Y., Murata, K. and Kimura, A. (1983) J. Bacteriol. 153, 163-168、又は、Soni R, Carmichael JP, Murray JA., Saccharomyces cerevisiae and development of a rapid and simplified procedure. Curr Genet. 1993 24(5): 455-459)、エレクトロポレーション法(特開昭60−251887)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)(特開昭59−140885、特開昭60−70080、WO94/00977)、パーティクルガン(遺伝子銃)を用いる方法(特許第2606856、特許第2517813)、カルシウムイオンを用いる方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,69,2110(1972))、プロトプラスト法(特開昭63−248394)、またはGene,17,107(1982)やMolecular & General Genetics,168,111(1979)に記載の方法等を挙げることができる。
上記方法により遺伝子導入して形質転換した酵母又は植物(本明細書において、形質転換体、形質転換酵母又は形質転換植物とも呼ぶ)を培養又は栽培して、該酵母又は植物にユビキノンを生産させることにより、ユビキノン高含有酵母又は植物を作製することができる。
酵母の場合、例えば、形質転換酵母を適当な培養液中で培養し、酵母にユビキノンを生産させることにより、ユビキノン高含有酵母を得ることができる。このとき、一旦、酵母培養液をプレーティングした後、独立のコロニーのユビキノン含量を調べ、ユビキノン含量のより高いコロニーを培養に用いることが好ましい。或いは、エチルメタンスルホン酸(EMS)などを用いて人為的に変異を起こさせて、ユビキノン含量のより高いコロニーを選抜し、これを培養に用いてもよい。培養後、必要に応じて、遠心分離又は濾過等の常法により培養液を取り除く。
植物の場合、例えば、形質転換植物を生育させ、植物にユビキノンを生産させることにより、ユビキノン高含有植物を得ることができる。このとき、一旦、形質転換植物の細胞を培養し、培養細胞を再分化させ、かかる再分化個体にユビキノンを生産させることにより、ユビキノン高含有植物を得ることが特に好ましい。なお、再分化については、形質転換細胞をカルスの状態で増やして再分化することも可能であるが、特定組織の切片(例えば、リーフディスク)で形質転換する場合には、形質転換した切片を数日カルス誘導培地に置いた後、組織(例えば、芽)を分化する培地に移して植物体に生育させるのが好ましい。また、種子繁殖の際、個体ごとのユビキノン含量をモニターし、含量の高い個体を選抜し、その個体を繁殖させることで、より高いユビキノン含量の植物を作り出すことが可能である。あるいは、一度培養細胞にして、ユビキノン含量の高いカルス塊を選抜し、そのカルスから植物体を再分化させることで、より高いユビキノン生産性の植物を作り出すことが可能である。
生育は、植物の成長に適した生育条件下(土壌、温度、水量、日照度等)で行われることが特に望ましいが、本発明の形質転換植物はユビキノンを多量に含有しているため、植物にとって通常不適切とされる環境下(塩ストレス環境下、農薬ストレス環境下、乾燥ストレス環境下、強光ストレス環境下、その他活性酸素種を発生しやすいストレス環境下)でも可能である。
なお、形質転換された酵母又は植物そのものも、及び、ユビキノン高含有植物の子孫、ユビキノン高含有植物を交配(交雑)させて得られる子孫もまた、本発明のユビキノン高含有酵母又は植物に含まれる。また、ユビキノン高含有植物の遺伝子型は、ヘテロであってもホモであってもよいが、安定した表現型を得るためには、ホモであることが好ましい。
かくして得られた本発明のユビキノン高含有酵母又は植物は、それぞれ、ユビキノン−6又はユビキノン−10を多量に含有している。かかるユビキノン高含有酵母又は植物は、そのまま食用に供することもできるし、加工食品・調理食品に加工することもできるし、ユビキノンの原料として用いることもできる。以下、ユビキノンの製造方法について述べる。
(B)ユビキノンの製造方法
ユビキノンは、基本的に、上記で得られたユビキノン高含有酵母又は植物からユビキノンを回収することにより製造される。
酵母の場合、例えば、先ず、ユビキノン高含有酵母を慣用的な方法に従って破砕し、その破砕物を有機溶媒(例えば、エタノール)中に懸濁し、ユビキノンを有機溶媒中に溶解させる。次いで、懸濁液を濾過して酵母の細胞片を取り除き、ユビキノンを含む溶液を回収する。その後、該溶液を濃縮又は乾燥し、ユビキノンを得ることができる。必要に応じて、ユビキノンの精製を行ってもよい。
植物の場合、例えば、先ず、ユビキノン高含有植物を十分に乾燥させた後、粉砕し、その粉砕物を有機溶媒(例えば、エタノール)中に懸濁し、十分に浸漬させ、ユビキノンを有機溶媒中に溶解させる。その後、該懸濁液を濾過して植物の細胞片を取り除き、ユビキノンを含む溶液を回収する。その後、該溶液を濃縮又は乾燥し、ユビキノンを得ることができる。必要に応じて、ユビキノンの精製を行ってもよい。
以下、本発明の好ましい実施形態を記載する。
本発明の特に好ましい実施形態では、ミトコンドリア局在化シグナルを欠損し、5’末端(上流側)に小胞体局在化シグナルを導入し、且つ、3’末端(下流側)に小胞体保持シグナルを導入した酵母由来の−ヒドロキシ安息香酸−ヘキサプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAを、タバコ発現用ベクターの高発現プロモーター下へ連結し、このプラスミドをタバコ細胞へ導入して形質転換する。その後、形質転換タバコ細胞を培養して再分化個体を得、該再分化個体にユビキノン−10を生産させ、ユビキノン−10高含有植物を得ることができる。さらに必要に応じて、ユビキノン−10高含有植物からユビキノン−10を回収する。
本発明の別の好ましい実施形態では、ミトコンドリア局在化シグナルを欠損し、5’末端(上流側)に小胞体局在化シグナルを導入し、且つ、3’末端(下流側)に小胞体保持シグナルを導入した酵母由来のp−ヒドロキシ安息香酸−ヘキサプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAを、酵母発現用ベクターの高発現プロモーター下へ連結し、このプラスミドを酵母へ導入して形質転換する。その後、酵母を培養し、ユビキノン−6を生産させ、ユビキノン−6高含有酵母を得ることができる。さらに必要に応じて、ユビキノン−6高含有植物からユビキノン−6を回収する。
また、本発明において、ユビキノン‐10以外のユビキノンを生産する宿主にユビキノン‐10を生産させる方法を用いてもよい。前述の通り、ユビキノンの鎖の長さは、ポリプレニルジリン酸合成酵素の生産物特異性に依存している。従って、例えば、プレニル10の鎖を持ったユビキノンを酵母で作るには、デカプレニルジリン酸合成酵素遺伝子を酵母に導入すればよい(例えば、Okada, K., Suzuki, K., Kamiya, Y., Zhu, X., Fujisaki, S., Nishimura, Y., Nishino, T., Nakagawa, T., Kawamukai, M., and Matsuda, H. (1996) Polyprenyl diphosphate synthase essentially defines the length of the side chain of ubiquinone. Biochim. Biophys. Acta., 1302, 217-223を参照のこと)。この場合、内在性のユビキノン−6を作らせないためには、酵母内在のヘキサプレニルジリン酸合成酵素遺伝子であるCoq1を破壊する、あるいはRNAiなどで発現を抑制した株を用いることで、UQ-10のみを生産させることができる。本発明において、かかる方法を用いれば、ユビキノン−10以外のユビキノンを生産する宿主(例えば、ユビキノン−6を生産する酵母)に、ユビキノン−10を多量に生産させることが可能である。
ところで、植物は、一般的に、塩害、農薬害(特に、除草剤による農薬害)、冷害、強光、乾燥等のストレスに弱いことが知られている。これらのストレスを受けた植物は、クロロフィルが分解されて葉が白くなる現象(クロローシス現象)を引き起こす。クロローシスは、ストレスにより植物内に生産された活性酸素がチラコイド膜上のクロロフィルをアタックするために起こる現象である。植物にストレスを引き起こす因子は高濃度の塩分、農薬、寒さ、強光など様々であるが、植物がダメージを受ける直接的な原因は活性酸素であると考えられている。ユビキノンは、活性酸素及びそれにより二次的に生じる過酸化脂質に対して、ビタミンEよりもはるかに強い抗酸化作用(酸素毒性消去作用)を有する。
また、植物が光のエネルギーを利用して水および二酸化炭素から有機物を合成(光合成)することが広く知られている。光合成の反応段階の一つとして、電子伝達系を介するATP合成があり、最も重要なATP合成はミトコンドリア内で行われている。ユビキノンは、電子伝達系を介するATP合成段階において電子伝達体として機能しており、植物のエネルギー通貨であるATP合成を亢進し、細胞内のエネルギーレベルを上昇させ、ひいては植物の生長を促進し得ると考えられている。
本発明のユビキノン高含有植物は、抗酸化作用を有し且つATP合成における電子伝達体として機能するユビキノンを高レベルで含有しているため、活性酸素種によるストレスを受けにくく、高レベルのエネルギーを消費して良好に成長し得る。
それゆえ、本発明のユビキノン高含有酵母又は植物は、塩分濃度の高い土地(例えば、海岸周辺地域、塩害地域等)、農薬(例えば、除草剤・駆虫剤等)に汚染された環境、光照射の強い環境(例えば、熱帯地域、夏季等)、寒冷な環境(例えば、寒冷地域、冬季等)、水分の少ない環境(例えば、乾燥地帯、乾季等)、その他活性酸素種を発生しやすいストレス環境下でもクロローシスを生じにくく、良好に生育する。本発明のユビキノン高含有酵母又は植物は、非ユビキノン高含有酵母又は植物に比べて、高栄養価になり得る。また、樹木、観葉植物、草木などの植物においては、本発明のユビキノン高含有植物は、速く大きく成長し得るため、森林破壊の修復、観葉植物の栽培、飼草(家畜飼料用草)の栽培等に有用である。
また、本発明のユビキノン高含有酵母又は植物は、多量のユビキノンに加え、酵母または植物自体の栄養素を含有しており、機能性食品又はサプリメントとして有用である。特に、例えば、プルーン(鉄分含有)、ブルーベリー(アントシアニン含有)、カボチャ(カロチン含有)、ダイズ(イソフラボン含有)、クチナシ(色素含有)等の特定の栄養素に富む生物種のユビキノン高含有植物は、機能性食品又はサプリメントとして有用性が高い。ユビキノン高含有酵母も、酵母自体が栄養素の体への吸収力を高める働きをもち、また、高栄養であるため、機能性食品としての有用性に優れている。酵母又は植物自体の栄養素の一例として、食物繊維(整腸作用等を有する)、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC(美肌・美白作用等を有する)、ビタミンD、ビタミンE、グルタチオン(抗酸化作用、解毒作用等を有する)、β−D−グルカン(免疫細胞の活性化等を有する)、エルゴステロール(コレステロール低下作用、カルシウム吸収作用等を有する)、アントシアニン、鉄分(貧血の予防効果等を有する)、カロチン、イソフラボン(美肌作用等を有する)を例示できるが、酵母又は植物の種類は多種多様であり、かかる酵母又は植物が含む栄養素も多種多様であるため、これらに限定されない。
ユビキノン高含有酵母または植物は、そのまま摂取してもよいし、ヨーグルト等の既製品に添加して摂取してもよいし、パン、ジュース、ジャム等の加工食品・調理食品に加工して摂取してもよい。また、濃縮、乾燥、凍結乾燥、凍結、加熱等の加工を施したり、粉末、タブレット、カプセル等に加工して、食用に供することもできる。
また、本発明のユビキノン高含有酵母又は植物を、家畜又はペットの飼料に添加してもよい。ユビキノン高含有酵母又は植物を摂取した家畜又はペットは、飼育に適さない環境(例えば、寒冷地域、高山地域等)において生育可能であり得る。また、ユビキノン高含有酵母又は植物を家畜又はペットに摂取させることにより、家畜又はペットにおける種々の疾患(例えば、寒冷感作や低酸素状態等が原因となって引き起こされる循環器障害)を予防又は処置することができる。家畜又はペットとしては、例えば、哺乳類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウサギ、シカ、イノシシ)、鳥類(例えば、ニワトリ、ウズラ、シチメンチョウ、カモ、ダチョウ、キジ)、両生類(例えば、カエル、スッポン)、爬虫類(例えば、トカゲ、ハブ)、魚類(例えば、熱帯魚、養殖魚、観賞魚)などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明は、ユビキノン高含有酵母又は植物の新規な作製方法、及び、該作製方法により得られたユビキノン高含有酵母又は植物、さらに、該ユビキノン高含有酵母又は植物を用いた新規なユビキノン製造方法、及び、該製造方法により得られたユビキノンを提供した。
本発明の方法により作製されたユビキノン高含有植物は、従来法(例えば、PCT/JP00/07121公報(WO01/27286公報)に開示される方法)に比べて有意に高いレベルでユビキノンを含有していた。即ち、本発明のユビキノン高含有植物は、野性型の約6倍のユビキノン−10を含有し、ユビキノン高含有酵母は、野性型の約3倍のユビキノン−6を含有していた。
本発明のユビキノン高含有植物は、塩ストレス及び農薬ストレスに対して耐性を示し、活性酸素種を発生し得るストレス存在下においても良好に生育することができた。具体的には、除草剤(パラコート)の存在下において、又は、NaCl存在下において、野生型植物及び本発明のユビキノン高含有植物を生育させたところ、野生型植物はクロローシスを引き起こし死滅したのに対し、本発明のユビキノン高含有植物は良好に生育した。
また、本発明では宿主として酵母又は植物を用いているため、光合成細菌、大腸菌等の微生物を用いる従来法と異なり、ユビキノンの抽出及び精製を必ずしも必要とせず、そのまま食用に供することができる。また、本発明のユビキノン高含有酵母又は植物は、高レベルのユビキノンに加え、酵母又は植物自体がもつ栄養価を有するので、高機能性食品又はサプリメント、或いは、家畜又はペットの飼料として有用である。
以下に本発明の実施例を示すが、これらの実施例は単なる例示であって、本発明を何ら限定するものではない。
1)全長Coq2のDNA増幅、ミトコンドリア局在化シグナル欠損型の改変Coq2のDNA増幅、及び、小胞体局在型の改変Coq2の作成
図1に、全長Coq2(COQ2-full(明細書中、full-COQ2とも呼ぶ))、ミトコンドリア局在化シグナル欠損型の改変Coq2 (mature-COQ2)、及び、小胞体局在型の改変Coq2 (COQ2-ER)の発現カセットの概略図を示す。
(1−1)全長Coq2のDNA増幅
<試料と方法>
常法に従って、HF7Cという酵母からゲノムを抽出し、PCRの鋳型として用いた。PCRに用いたDNAポリメラーゼはPfu(プロメガ)である。PCRに用いたプライマーは以下に示す組み合わせである。
Coq2-Full-Fw: 5'-ATCAATCTTCGAGAAAAGGCTAAACGAGCGC-3'(配列番号2)
Coq2-Full-Rv: 5'-GCGTTGTGAAGAATGACGCCAGGATC-3' (配列番号3)
PCR反応の反応液は以下に示す組成である。
Figure 2005065693
上記の反応液を以下のPCRプログラムで、反応させた。
[1]94℃ 1 min
[2]92℃ 30 sec
[3]50℃ 30 sec
[4]72℃ 2 min
[5] [2]〜[4]の工程を29回繰り返す
[6]72℃ 10 min
[7]4℃ ∞
<結果>
上記のPCRにより、Coq2遺伝子のコーディング配列全長(1118bp)を含む約1.5kbのゲノムDNAが増幅された。
(1−2)ミトコンドリア局在化シグナル欠損型の改変Coq2のDNA増幅
<試料と方法>
常法に従って、HF7Cという酵母からゲノムを抽出し、PCRの鋳型として用いた。PCRに用いたDNAポリメラーゼはPfu(プロメガ)である。PCRに用いたプライマーは以下に示す組み合わせである。
Figure 2005065693
PCR反応の反応液は以下に示す組成である。
Figure 2005065693
上記の反応液を以下のPCRプログラムで、反応させた。
[1]94℃ 1 min
[2]92℃ 30 sec
[3]50℃ 30 sec
[4]72℃ 2 min
[5][2]〜[4]の工程を29回繰り返す
[6]72℃ 10 min
[7]4℃ ∞
<結果>
上記のPCRにより、ミトコンドリア局在化シグナルDNAを欠損した改変Coq2のDNA配列約1.0kbが増幅された。
(1−3)小胞体局在型Coq2の作成
<試料と方法>
(1−2)で得られたPCR産物をPCRの鋳型として用いた。PCRに用いたDNAポリメラーゼはPfu(プロメガ)である。PCRに用いたプライマーは以下に示す組み合わせである。なお、リバースプライマーには、小胞体保持シグナルであるKDELをコードするDNAを付与できるオリゴヌクレオチドを用いた。
Figure 2005065693
PCR反応の反応液は以下に示す組成である。
Figure 2005065693
上記の反応液を以下のPCRプログラムで、反応させた。
[1]95℃ 1 min
[2]94℃ 30 sec
[3]50℃ 30 sec
[4]72℃ 2 min
[5][2]〜[4]の工程を29回繰り返す
[6]72℃ 10 min
[7]4℃ ∞
<結果>
上記のPCRにより、mature-COQ2 DNAの3'末端側に、小胞体保持シグナルであるKDEL配列(配列番号8)をコードするDNAが付加されたものが得られた。次いで、このPCR産物のN末端に、DNAリガーゼ(T4 DNA ligase,NEB)を用いた通常のライゲーションにより、ER局在シグナルをコードするDNA断片(ER sorting signal of lectin from Phaseolus vulgaris)を連結し、小胞体局在型の改変Coq2が得られた。
(2)全長Coq2及び小胞体局在型の改変Coq2を用いた野生型酵母及び内在性Coq2破壊酵母の形質転換
(2−1)内在性Coq2破壊酵母(delta-coq2)の作成
<方法>
酵母はW303−1aを用いた。酵母ゲノム上のCoq2遺伝子を、相同組み換え法により破壊した。選抜マーカーとしてはジェネティシン耐性遺伝子を用いた。
(2−2)全長Coq2及び小胞体局在型の改変Coq2を用いた野生型酵母及び内在性Coq2破壊酵母の形質転換
<方法>
宿主には、野生型酵母(W303−1a)、及び、(2−1)で得られた内在性Coq2破壊酵母(delta-coq2)を用いた。
(1−1)で得られた全長Coq2を発現ベクターpDR196のPMA1プロモーターの下流に挿入したプラスミド、及び、(1−3)で得られた小胞体局在型の改変Coq2を発現ベクターpDR196のPMA1プロモーターの下流に挿入したプラスミドを、通常の酢酸リチウム法により、野生型酵母及び内在性Coq2破壊酵母へ導入して形質転換をおこなった。また、コントロールとして、空ベクター(pDR196)を野生型酵母及びCoq2遺伝子破壊酵母へ導入したものを作成した。選抜は、ウラシルの栄養要求性により行った。
(2−3)ユビキノン‐6含量の測定
上記(2−2)で得られた形質転換酵母からユビキノン−6を抽出し、HPLCを用いて定量解析を行った。HPLCの条件は、以下の条件で行った。
HPLCは、島津のLC-10Aシステムを用いた。カラムはTSK-gel ODS-80TM (Tosoh, Tokyo; 4.6 mm i.d. X 250 mm)で、溶媒系はethanol/H2O (97.5 : 2.5)、流速は1.0 ml/min、カラム温度は40℃にて行った。検出は、フォトダイオードアレイSPD6Aにより、275nm で行った。UQ-6の同定は標品との直接比較により行った。
<結果>
結果を下記の第1表に示す。
Figure 2005065693
全長Coq2を含む発現プラスミド(pDR-full-COQ2)で形質転換した酵母では、野生型酵母及び内在性Coq2破壊酵母のいずれにおいても、ユビキノン−6含量がコントロールより有意に増大していた。
また、小胞体局在型の改変Coq2を含む発現プラスミドで形質転換した酵母では、野生型酵母及び内在性Coq2破壊酵母のいずれにおいても、コントロールよりも、さらには、全長Coq2を含む発現プラスミドで形質転換した酵母よりも、多量にユビキノン−6を含有していた。
具体的には、野生型酵母では、小胞体局在型の改変Coq2で形質転換した酵母のユビキノン−6含量は、コントロールの約3.0倍であり、また、全長Coq2を含む発現プラスミドで形質転換した酵母の約1.6倍であった。また、内在性Coq2破壊酵母においては、小胞体局在型の改変Coq2を含む発現プラスミドで形質転換した酵母は、全長Coq2を含む発現プラスミドで形質転換した酵母の約1.5倍のユビキノン‐6を生産していた。
<考察>
野生株において、全長COQ2を高発現させた酵母が、コントロールの約1.8倍のユビキノン−6を生産した。このことから、COQ2を本来の局在部位であるミトコンドリアで高発現させることにより、ユビキノン生合成経路におけるプレニル化反応の段階が補強され、結果としてユビキノン‐6の生産量を上昇させられることがわかる。
一方、野生株において、小胞体局在型COQ2を高発現させた酵母は、驚くべきことに、コントロールの約3.0倍、ミトコンドリア局在型COQ2の約1.6倍のユビキノン‐6を生産した。
これにより、Coq2を本来の局在部位であるミトコンドリアから、人為的に小胞体へ局在化させることにより、ユビキノンの生産量が有意に高まることが明らかになった。野生株のみならず、内在性Coq2破壊酵母においても同様の結果が得られた。また、この効果は、内在性のCoq2を破壊し、ミトコンドリアでp−ヒドロキシ安息香酸のプレニル化が起こらないようにした酵母においても同様であった。このことは、小胞体局在型COQ2によるユビキノン含量の上昇の直接の原因は、p−ヒドロキシ安息香酸のプレニル化反応を小胞体で行わせたことによるものであることを示している。
その理由としては、本来の部位で単一の生合成酵素を高発現させた場合、その次の生合成中間体がミトコンドリアで蓄積し、それがユビキノンの生合成全体をネガティブ・フィードバック機構により抑制することが考えられる。本研究のように、p−ヒドロキシ安息香酸のプレニル化を小胞体で行わせることで、中間体の過剰蓄積によるネガティブ・フィードバックによる負の制御を回避でき、このことがより効率的なユビキノン生産につながっていると考えられる。
なお、このように、もともとミトコンドリアに局在するCOQ2を小胞体に局在化させるという代謝エンジニアリングにより、ユビキノンの生産量を有意に増大させたという報告はこれまでになされていない。
(3)全長Coq2及び小胞体局在型の改変Coq2を用いたタバコの形質転換
(3−1)植物用発現ベクターの構築
<試料と方法>
上記(1−1)、(1−3)により得られた2種類の発現カセットを、植物発現用ベクター (pBiHyg−HSE, pBin19 derivative, Gatz et al., Plant J, 1992)にDNAリガーゼ(T4 DNA ligase, NEB)を用いて導入した。植物発現用プロモーターには、植物における構成的発現プロモーターであるEl2 promoterを用いた。選抜マーカー遺伝子としては、ハイグロマイシン耐性遺伝子(HPT)を用いた。
(3−2)植物用発現ベクターのアグロバクテリウムへの導入
<試料と方法>
(3−1)により作成した2種類の植物用発現ベクター、及び、コントロールとしての空ベクターを、通常のエレクトロポレーションによりアグロバクテリウム(Agrobacterium tumefaciens,LBA 4404)に形質転換した。
<結果>
通常のエレクトロポレーション法により、(3−1)により作成した2種類の植物用発現ベクター及び空ベクターをそれぞれアグロバクテリウムに形質転換し、選抜マーカーであるカナマイシン50 μg/mlを含むLB寒天培地上で生育可能なアグロバクテリウムを得た。
(3−3)アグロバクテリウム法によるタバコの形質転換
<方法と結果>
(3−2)により作成した形質転換アグロバクテリム3種類を選抜マーカーであるカナマイシン50μg/mlを含むLB培地(50ml)で2昼夜震盪培養する。無菌的に、この培養液中でタバコ(Nicotiana tabacum,Samsun NN)緑葉を約1cm×1cmにメスを用いて切る。このタバコのリーフディスクを、選抜マーカーであるハイグロマイシン(25μg/ml)、アグロバクテリウム除菌のためセフォタキシム(500μg/ml)を含むLS寒天培地(3%シュークロース、10μM ベンジルアデニン、1μM ナフタレン酢酸)上で、25℃にて明所培養した。約2ヶ月でタバコの再分化個体が得られた。
(3−4)ユビキノン−10含量の測定
<方法>
(3−3)で得られた形質転換タバコの再分化個体の葉を凍結乾燥した試料から、エタノールを用いてユビキノン−10を抽出し、HPLCにより定量解析した。HPLCの条件は、ユビキノン−6の定量解析の場合と同様である。また、UQ-10の同定は標品との直接比較により行った。
<結果>
結果を、下記第2表に示す。
Figure 2005065693
上記第2表に示すように、ユビキノン−10含量は、ミトコンドリア局在型COQ2を高発現させたタバコでは、コントロール(WT)の約2.8倍、小胞体局在型COQ2を高発現させたタバコでは、コントロールの約5.9倍にまで増大した。
(3−6)考察
小胞体局在型COQ2を高発現させたタバコのユビキノン‐10含量は、全長COQ2(ミトコンドリア局在型COQ2)を高発現させたタバコの約2.1倍であった。このことから、植物体においても、COQ2を小胞体に局在化させることにより、ユビキノン‐10生産量が有意に高まることが明らかになった。この結果は、前記の酵母における結果と矛盾しない。
このように、本来ミトコンドリアで発現する酵素(即ち、p−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼ)を小胞体に局在化発現させるという代謝エンジニアリングにより、ユビキノン‐10の生産量を高めた例は他に無い。
また、p−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼを小胞体で局在化発現させることによりユビキノン−10の含量が増大するのは、おそらく、本来の部位では一つの代謝酵素の高発現による中間体の過剰蓄積のため負のフィードバック調節がかかり易いのに対して、本来の部位でない小胞体ではその負のフィードバック調節がかからないからであると推測される。
(4)ユビキノン高発現植物のストレス耐性試験
(4−1)農薬(除草剤)ストレスに対する耐性試験
<方法>
除草剤に対するストレス耐性試験には、ミトコンドリアにCOQ2を局在させたクローン(No.15)、および小胞体にCOQ2を局在させたクローン(No.9)、及び、野生型の植物体を用いた。除草剤としてパラコート(化学名:メチルビオロゲン)を用いた。
発芽後5週間目の各植物体に50μMのメチルビオロゲン (0.1% Tween20を含む)をスプレーし、48時間、18/6時間(昼/夜)、25℃で放置することにより、酸化ストレス負荷をかけた。光照射は、蛍光灯により、強度は80μE/m-2・sec-1とした。(図2A)
また、野生型および形質転換培養細胞における活性酸素種の測定を行った。活性酸素種の測定には、ニトロブルーテトラゾリウム(nitroblue tetrazolium (NBT))を使用した。300 mg の各タバコ培養細胞を700μlの50mM Tris-HCl buffer (pH 7.2) でホモジナイズし、4度で10,000g 5分遠心して細胞残渣を除いた。次いで、上清400μlを100μlの6mM NBTと混和し、1時間室温で反応させた。反応液を4度で10,000g 1分遠心して上清の560 nm における吸光度を測定した。(図2B)
また、芽生えを観察するため、メチルビオロゲン3μM を含むLinsmaier-Skoog (LS)の寒天培地に野生型および形質転換タバコの芽生えを無菌的に置き、2週間、18/6時間(昼/夜)、25℃で培養した。その芽生えをNBT 100μM(0.1% Tween 20 を含む)溶液に浸して24時間、25℃でインキュベートした。光照射は、蛍光灯により、強度は80μE/m-2・sec-1とした。(図2C)
<結果>
除草剤によるストレス負荷を与えた野生型及び形質転換植物体の細胞内における活性酸素種の測定結果を図2Bに示す。ミトコンドリア局在型COQ2を高発現する形質転換体のクローン(No.15)の及び小胞体局在型COQ2を高発現する形質転換体のクローン(No.9)の植物体細胞内における活性酸素種の蓄積量は、野生型に比べて、約3分の1であった。
芽生えの観察結果を図2Cに示す。野生型タバコは、除草剤を用いた酸化ストレス負荷によりクロロフィルの分解が生じ、白色化を引き起こして死滅していたのに対し、ミトコンドリアにCOQ2を局在させたクローン(No.15)及び小胞体にCOQ2を局在させたクローン(No.9)は、共に、野生型に比べて、明確な酸化ストレス耐性を示した。
(4−2)ユビキノン高発現植物の塩ストレス耐性試験
<方法>
形質転換体のタバコ種子をLinsmaier-Skoog(LS)培地 (含0.8%寒天) のプレート上で、セレクションマーカーであるハイグロマイシン存在下(25 μg/ml)、発芽させた。2週間目の形質転換体タバコ芽生えを、対照として野生型のタバコ芽生えとともに、300 mM の NaCl を含ませた2重のろ紙の上に静置した。ろ紙とタバコの芽生えはシャーレに密封して、水の蒸発を防いだ。NaCl処理下で7日間25℃にて生育させた後、NaCl を含まないLS培地(含0.8%寒天)に芽生えを移し、8日間25℃にて復帰させた。また、コントロールとして、上記形質転換タバコの芽生えを、NaClを添加していないLS培地において、15日間25℃にて生育させた。
<結果>
結果を図3に示す。図3は、NaCl処理下で7日間生育させた後、塩を含まない培地に移して8日目の芽生えの写真である。野生型タバコは、塩ストレスによりクロロフィルの分解が生じ、典型的な白色化を引き起こして死滅していた。それに対し、内在性ユビキノン量を増加させた形質転換体、即ちミトコンドリアにCOQ2を局在させたクローン(No.15)、および小胞体にCOQ2を局在させたクローン(No.9)共に、野生型に比べて、明確な塩ストレス耐性を示した。
(4−3)考察
本発明によりユビキノン量を増加させた形質転換植物は、農薬(除草剤)によるストレス及び塩ストレスに対して明確な耐性を示した。このことから、本発明の形質転換植物は、活性酸素種の発生を引き起こし得る他の様々なストレス(例えば、強光ストレス、乾燥ストレス等)に対しても抵抗性を示すと考えられる。
本発明の形質転換植物はユビキノンを多量に含有しているため、植物にとって通常不適切とされる環境(例えば、海岸周辺地域、塩害地域等、農薬に汚染された土壌、熱帯地域又は夏季、寒冷地域又は冬季、乾燥地帯又は乾季)でも、栽培可能である。
また、樹木、観葉植物、草木などの植物においては、本発明のユビキノン高含有植物は、速く大きく成長し得るため、森林破壊の修復、観葉植物の栽培、飼草(家畜飼料用草)の栽培に有用である。
本発明のユビキノン高含有酵母又は植物は、多量のユビキノンに加え、酵母または植物自体の栄養素を含有しており、機能性食品又はサプリメントとして、或いは、家畜の餌又はペットフード(及び、それらの原料)として、有用である。
また、本発明のユビキノン製造方法により、アレルギー疾患、ウイルス又は細菌による感染症、炎症、創傷、心臓疾患、肝臓疾患、糖尿病、高血圧、アルツハイマー症、歯槽膿漏および歯肉炎、冷え性、疲労回復、肥満症、新陳代謝の低下、皮膚炎(尋常性ざ瘡(ニキビ)、脂漏)等の疾患の予防又は処置に有効なユビキノンを大量に生産することが可能になった。
図1は、酵母PHB:ヘキサプレニルトランスフェラーゼの発現カセットを示す。全長Coq2(COQ2−full)、N末端のミトコンドリア局在化シグナルDNAを欠損させたミクロソーム局在型Coq2(mature−COQ2)、ER(小胞体)局在型のCoq2(COQ2−ER)を示す。 図2は、ミトコンドリア局在型COQ2で形質転換したタバコ(MT-type)、小胞体局在型COQ2で形質転換したタバコ(ER-type)、及び、野生型タバコ(WT)のパラコート(化学名:メチルビオロゲン)に対する耐性試験の結果を示す。(A)発芽後5週間目の各植物体にパラコートをスプレーして48時間放置したときの、植物体の葉の写真。(B)各形質転換タバコ、及び、野生型タバコの細胞内の活性酸素種の蓄積量を示すグラフ。(C)野生型、及び、形質転換タバコの芽生えをメチルビオロゲン存在下で2週間培養した後、NBTに24時間浸漬させたときの、芽生えの写真。 図3は、ミトコンドリア局在型COQ2で形質転換したタバコ(MT-type)、小胞体局在型COQ2で形質転換したタバコ(ER-type)、及び、野生型タバコ(WT)の塩ストレス耐性試験の結果を示す。各形質転換タバコ、及び、野生型タバコの芽生えをNaCl存在下で7日間生育させた後、NaClの非存在下で8日間生育させたときの、芽生えの写真。なお、コントロールとして、上記の各種タバコ芽生えを、NaClを添加していない培地で15日間生育させた。

Claims (8)

  1. p−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAを酵母又は植物の小胞体に局在化発現するように導入して形質転換することを特徴とする、ユビキノン高含有酵母又は植物の作製方法。
  2. ミトコンドリア局在化シグナルを欠損し、且つ、小胞体局在化シグナルを導入したp−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼをコードするDNAを酵母又は植物に導入して形質転換することを特徴とする、ユビキノン高含有酵母又は植物の作製方法。
  3. 前記p−ヒドロキシ安息香酸−ポリプレニルトランスフェラーゼが、p−ヒドロキシ安息香酸−ヘキサプレニルトランスフェラーゼである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により作製されたユビキノン高含有酵母又は植物。
  5. 農薬ストレス耐性、塩ストレス耐性、強光ストレス耐性、乾燥ストレス耐性、寒冷ストレス耐性からなる群より選択される少なくとも1種のストレス耐性を有する、請求項4に記載のユビキノン高含有植物。
  6. 活性酸素種を発生し得るストレスに対して耐性を有する、請求項4に記載のユビキノン高含有植物。
  7. 請求項4に記載のユビキノン高含有酵母又は植物からユビキノンを回収することを特徴とする、ユビキノンの製造方法。
  8. 請求項7に記載の方法により製造されたユビキノン。



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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018147440A1 (ja) * 2017-02-10 2018-08-16 株式会社 メニコン 植物浸透圧ストレス耐性誘導剤及び乾燥ストレス緩和方法
WO2020251253A1 (ko) * 2019-06-10 2020-12-17 부산대학교 산학협력단 비만 예방 또는 치료용 바이탈 멜론 및 이의 추출물

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