JP2005061871A - 液滴重量測定方法、液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】液滴の重量を高精度に測定することのできる液滴重量測定方法を提供する。
【解決手段】圧電振動子110に設けられた電極110bに液滴が付着される前の前記圧電振動子の共振周波数を検出するステップと、前記電極に前記液滴が付着された後の前記圧電振動子の共振周波数を検出するステップと、前記検出された前記液滴の付着の前後の共振周波数の変化量を求めるステップと、前記電極に前記液滴が付着された後の前記圧電振動子の共振抵抗、又は前記電極に前記液滴が付着された前後の前記圧電振動子の共振抵抗の変化量に基づいて、前記液滴の粘度を求めるステップと、前記液滴の粘度によって変化した共振周波数の量を求めるステップと、前記液滴の付着の前後の共振周波数の変化量と、前記液滴の粘度によって変化した共振周波数の量に基づいて、前記液滴の重量を求めるステップとを備えたことを特徴としている。
【選択図】 図9
【解決手段】圧電振動子110に設けられた電極110bに液滴が付着される前の前記圧電振動子の共振周波数を検出するステップと、前記電極に前記液滴が付着された後の前記圧電振動子の共振周波数を検出するステップと、前記検出された前記液滴の付着の前後の共振周波数の変化量を求めるステップと、前記電極に前記液滴が付着された後の前記圧電振動子の共振抵抗、又は前記電極に前記液滴が付着された前後の前記圧電振動子の共振抵抗の変化量に基づいて、前記液滴の粘度を求めるステップと、前記液滴の粘度によって変化した共振周波数の量を求めるステップと、前記液滴の付着の前後の共振周波数の変化量と、前記液滴の粘度によって変化した共振周波数の量に基づいて、前記液滴の重量を求めるステップとを備えたことを特徴としている。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出装置、特に、吐出ヘッドから吐出される液滴の重量を高精度に測定可能な液滴重量測定方法および液滴吐出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、液晶表示装置のカラーフィルタ、配向膜等の成膜に液滴吐出装置が利用されている。また、液滴吐出装置は、これ以外にも工業上の各種の分野で利用されている。液滴吐出装置は、吐出ヘッドと呼ばれる液滴吐出機構を有している。この吐出ヘッドには、規則的に複数のノズルが形成されている。液滴吐出装置では、これらのノズルから吐出材料の液滴を吐出することにより、何等かの製品の構成要素となる基板上に吐出材料からなるパターンの描画を行う。吐出ヘッドから吐出される液滴の重量を測定する装置としては、例えば、以下の微小液滴重量装置が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
同装置は、振動板と圧電素子を貼り合わせた圧電振動体にヒーターを設け、圧電振動体にホットメルトインク(固形材料を溶かして液体にしたインク)が付着しても剥離も蒸発もしない温度に圧電振動体をコントロールした状態で、ホットメルトインクジェットを吹き付ける。ホットメルトインクが付着すると、圧電振動体の電気機械的結合係数が変わり、その付着重量に比例して圧電素子のインピーダンスが変化する。そのインピーダンスの変化量から付着重量を算出する。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−248250号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
水晶振動子の圧電効果を利用して、水晶振動子表面で起こる微小な質量の変化を、共振周波数の変化として測定することのできるQCM(Quartz Crystal Microbalance)が知られている。ところが、共振周波数は、水晶振動子表面の質量の変化のみによって変化するものではない、ということが判明した。よって、共振周波数の変化のみによっては、液滴の質量を高精度に測定することはできない。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、液滴の重量を高精度に測定することのできる液滴重量測定方法、液滴吐出装置を提供することを目的とする。更に、本発明は、上記液滴吐出装置による高精度な液滴の重量の測定結果を用いた電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の液滴重量測定方法は、液滴の重量を測定する液滴重量測定方法であって、圧電振動子に設けられた電極に前記液滴が付着される前の前記圧電振動子の共振周波数を検出するステップと、前記電極に前記液滴が付着された後の前記圧電振動子の共振周波数を検出するステップと、前記検出された前記液滴の付着の前後の共振周波数の変化量を求めるステップと、前記電極に前記液滴が付着された後の前記圧電振動子の共振抵抗、又は前記電極に前記液滴が付着された前後の前記圧電振動子の共振抵抗の変化量に基づいて、前記液滴の粘度を求めるステップと、前記液滴の粘度によって変化した共振周波数の量を求めるステップと、前記液滴の付着の前後の共振周波数の変化量と、前記液滴の粘度によって変化した共振周波数の量に基づいて、前記液滴の重量を求めるステップとを備えたことを特徴としている。
【0008】
本発明の液滴重量測定方法において、前記圧電振動子の共振周波数は、前記圧電振動子のインピーダンス変化を検出することにより検出されることを特徴としている。
【0009】
本発明の液滴重量測定方法において、前記圧電振動子の共振抵抗は、前記圧電振動子のインピーダンスを検出することにより検出されることを特徴としている。
【0010】
本発明の液滴重量測定方法において、前記圧電振動子の共振周波数及び共振抵抗は、前記圧電振動子のアドミッタンス曲線を算出することにより検出することを特徴としている。
【0011】
本発明の液滴吐出装置は、吐出ヘッドから液滴を吐出して描画対象物に描画する液滴吐出装置において、前記吐出ヘッドに駆動信号を印加して液滴を吐出させる吐出ヘッド制御手段と、両面に電極を有する圧電振動子からなる検出手段と、前記電極に振動電圧を印加して前記圧電振動子を振動させる発振手段と、前記吐出ヘッドから吐出される液滴が前記電極に付着する前後での前記圧電振動子の共振周波数の変化と、前記電極に前記液滴が付着された後の前記圧電振動子の共振抵抗又は前記電極に前記液滴が付着した前後の前記圧電振動子の共振抵抗の変化とを検出し、前記共振抵抗又は前記共振抵抗の変化に基づいて前記液滴の粘度を検出し、前記液滴の粘度と前記圧電振動子の共振周波数の変化に基づいて、前記電極に付着した液滴の重量を測定する液滴重量測定手段とを備えたことを特徴としている。
【0012】
本発明の液滴吐出装置において、前記吐出ヘッド制御手段は、前記液滴重量測定手段で測定された液滴の重量に基づいて、前記吐出ヘッド印加する駆動信号の駆動波形を変更することを特徴としている。
【0013】
本発明の液滴吐出装置は、配線、カラーフィルタ、配向膜、マイクロレンズアレイ、エレクトロルミネセンス材料、および生体物質のうちのいずれか1つのパターン形成を用途とすることを特徴としている。
【0014】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記本発明の液滴吐出装置を使用することを特徴としている。
【0015】
本発明の電気光学装置は、上記本発明の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
【0016】
本発明の電子機器は、上記本発明の電気光学装置を含むことを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明にかかる液滴吐出装置の好適な実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1にかかる液滴吐出装置は、電気光学装置に含まれるカラーフィルタの製造に用いられる液滴吐出装置である。以下、実施の形態1にかかる液滴吐出装置を、[液滴吐出装置の全体構成]、[吐出ヘッド]、[QCMセンサ]、[液滴重量の測定原理]、[液滴重量の測定フロー]の順に説明する。
【0018】
[液滴吐出装置の全体構成]
図1は、本発明の実施の形態1にかかる液滴吐出装置100の全体の概略構成を示す図である。実施の形態1の液滴吐出装置100は、QCM(Quartz−Crystal Microbalance)と呼ばれるセンサを搭載した構成となっている。本実施の形態の液滴吐出装置100は、主として、制御部101と、ヘッドキャリッジ102と、吐出ヘッド103R、103G、103Bと、インクタンク104R、104G、104Bと、ステージ105と、水晶振動子106を含むQCMセンサと、計測部107と、表示部108とを備えて構成されている。
【0019】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、ROM、RAMなどからなり、液滴吐出装置100全体を制御する。具体的には、制御部101は、ステージ105上に載置された基板等の対象物Wに吐出ヘッド103R、103G、103Bで描画する動作の制御や、吐出ヘッド103R、103G、103Bから吐出される液滴の重量を測定する動作の制御を行う。ヘッドキャリッジ102は、制御部101の制御に従って、吐出ヘッド103R、103G、103Bを副走査方向(X軸方向)に搬送する。吐出ヘッド103R、103G、103Bは、ヘッドキャリッジ102に担持されてヘッドキャリッジ102とともに移動し、制御部101から入力される駆動信号に応じて、そのノズルから液滴を吐出する。
【0020】
インクタンク104R、104G、104Bには、R,G,Bのインクが充填されており、吐出ヘッド103R、103G、103BにR,G,Bのインクをそれぞれ供給する。ステージ105は、基板等の描画対象物Wが載置され、制御部101の制御に従って不図示の駆動機構により主走査方向(Y軸方向)に描画対象物Wを搬送する。水晶振動子106は、水晶110と当該水晶110の両面に形成された第1の電極110aおよび第2の電極110bとで構成されている。この水晶振動子106は、吐出ヘッド103R、103G、103Bから吐出される液滴の重量を測定する場合に使用される。計測部107は、水晶振動子106の電極110bに液滴が付着する前と付着後の水晶振動子106の共振周波数の変化を検出して電極110bに付着した液滴の重量を測定し、測定結果を制御部101に出力する。表示部108は、例えば、LCDモニターからなり、制御部101の制御に従って、液滴の重量の測定結果等を表示する。
【0021】
[吐出ヘッド]
図2は、図1の吐出ヘッド103Rの詳細な構成を示す図である。吐出ヘッド103Rは、図2に示す如く、圧力室121と、ピエゾ素子122と、ノズル123とを備えて構成されている。圧力室121は、インクタンク104R内と連通し、インクタンク104Rから供給された赤色インクを一時的に貯える。ピエゾ素子122は、周知のように電圧を印加すると、結晶構造が歪んで極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う素子である。ピエゾ素子122は、制御部101から供給される駆動信号に応じて、圧力室121の内面を変形させ、圧力室121内の赤色インクを増減圧する。吐出ヘッド103Rにおいては、このピエゾ素子122による赤色インクの増減圧に応じて、ノズル123から赤色インクを液滴IPとして吐出する。
【0022】
吐出ヘッド103Gは、吐出ヘッド103Rと同様な構成をしており、制御部101から供給される駆動信号に応じて、インクタンク104Gから供給を受けた緑色インクを液滴として吐出する。同様に吐出ヘッド103Bも、制御部101から供給される駆動信号に応じて、インクタンク104Bから供給を受けた青色インクを液滴として吐出する。この実施形態においては、説明の便宜上、赤色インク、緑色インクおよび青色インクは、それらの液体としての性質(例えば温度に応じた粘度特性など)が略同一に揃えられており、同一条件下では、同様な流体的挙動を示すものとする。したがって、仮に液滴吐出にかかる条件が全く同一であれば、いずれのインクを用いた場合であっても、同量の液滴にて吐出される。なお、以降の説明においては、吐出ヘッド103R、103G、103Bの各々を特に区別する必要のない場合には、吐出ヘッド103と記載し、同様に、インクタンク104R、104G、104Bの各々を特に区別する必要のない場合には、インクタンク104と記載する。
【0023】
図3は、ピエゾ素子122に印加する駆動信号の駆動波形を制御することで、吐出する液滴IPの大きさを変更する原理を説明するための図である。同図において、横軸は時刻、縦軸は駆動電圧を示している。同図において、時刻「0」から時刻「T1」までの期間においては、ピエゾ素子122に供給される駆動信号は一定値「VM」をとり、この際、ピエゾ素子122は変形しない。続く、時刻「T1」から時刻「T2」まで期間において、駆動信号は、「VM」から「VH」まで上昇する。これを受けてピエゾ素子122は、圧力室121内のインクが減圧されるように変形し、インクタンク104から圧力室121にインクが流入する。
【0024】
次に、時刻「T2」から時刻「T3」までの間に、駆動信号は、一定値「VH」をとり、続く、時刻「T3」から時刻「T4」まで間において、駆動信号は、「VH」から「VL」まで下降する。この駆動信号の下降により、ピエゾ素子122は、圧力室121内のインクが増圧するように変形し、圧力室121内のインクがノズル123から連なった状態で吐出する。なお、以降の説明においては、時刻「T3」から時刻「T4」まで期間を、電圧下降期間ΔTと称し、当該電圧下降期間ΔTにおいて下降する電圧の量「VH−VL」を、電圧下降量ΔVと称することとする。
【0025】
次いで、時刻「T4」から時刻「T5」までの間に、駆動信号は、一定値「VL」をとり、続く、時刻「T5」から時刻「T6」まで間において、駆動信号は、「VL」から「VM」まで上昇する。この駆動信号の上昇により、ピエゾ素子122は、圧力室121内のインクの圧力が減少するように変形し、上述した電圧下降期間ΔTに一旦吐出されたインクが引き戻され、その一部が液滴IPとして吐出する。
【0026】
ここで、説明の便宜上、駆動波形における電圧下降期間ΔTあるいは電圧下降量ΔVを調整して、液滴量を変更する技術について説明する。まず、電圧下降期間ΔTを短くすると、溶液の増圧にかかる期間が短縮されて、電圧下降時間ΔT内にノズル123から吐出するインクの勢いが増し、液滴量を増大することができる。逆に、電圧下降期間ΔTを長くすると、ノズル123から吐出するインクの勢いが低下し、液滴量を減少させることができる。
【0027】
一方、電圧下降量ΔVを大きくすると、インクの増圧量が増大されて、電圧下降時間ΔT内にノズル123から吐出するインクの量が増し、液滴量を増大させることができる。逆に、電圧下降量ΔVを小さくすると、ノズル123から吐出するインク量が減少し、液滴量を減少させることができる。これらの技術は、例えばノズル径などの吐出ヘッド103の機械的構成を変更することなく、液滴量を任意に変更させることができるため、1つのノズル123から複数の量の液滴を選択的に吐出させる場合などに広く用いられている技術である。
【0028】
[QCMセンサ]
図4は、図1の水晶振動子106の構成を示す平面図である。水晶110は、略正方形状を呈し、その両面に、一対の電極110a、110bが略対向した状態で取り付けられている。一対の電極110a、110bは、AuやPtの金属で構成することができる。また、絶縁体131は、導電性を有する支持体133a、133bによって、水晶110を振動自在に保持する。支持体133aは、電極110aと導通すると共に、絶縁体131に固定された端子132aと導通している。同様に、支持体133bは、電極110bと導通すると共に、絶縁体131に固定された端子132bと導通している。また、同図において、符号PEは電極110bの略中央位置を示している。
【0029】
図5は、水晶振動子106の等価回路を示している。水晶振動子106は、電気的には、図5に示すように、抵抗R1と、コンデンサC1およびCoと、コイルL1とで構成される電気回路と等価である。ここで、並列容量であるCoは、水晶110の両面に設けられた電極110a、110bによって生成される容量成分である等価電極容量である。水晶振動子106は、電気的な固有周波数を有しており、水晶110の両側に設けた電極110a、110bを電源に接続すると、回路は固有周波数で発振を開始し、水晶振動子106も発振周波数と同じ周波数で振動する。発振する周波数は、主に、結晶の成長軸に対して水晶110を切り出した角度と、水晶110の厚さとによって定まり、また、水晶110の振動形態は、薄板を切り出した角度によって決定される。QCMでは、通常、ATカットと呼ばれる所定の角度で切り出された水晶110が用いられており、ATカットされた水晶110の振動形態は、厚みすべり振動、すなわち水晶110の表面と裏面とが、水晶110の厚み方向と直角方向に、互いにずれるように振動する形態となる。
【0030】
水晶振動子106は、自身に作用する外力が一定であれば、一定の共振周波数にて振動するが、電極110bに液滴が付着して外力が変化すると、その変化量に応じて共振周波数が変化するという特性を有している。換言すると、電極110bに液滴が付着すると、水晶振動子106は、その液滴の重量および粘度に応じた共振周波数にて振動するという特性を有している。また、水晶振動子106は、電極110bに液体が付着すると、付着した液体の粘度に応じて、その共振抵抗値が変化するという特性を有している。後述するように、計測部107は、これらの水晶振動子106の特性を利用して、液滴の重量および粘度を算出する。
【0031】
[液滴重量の測定原理]
図6は、図1の計測部107の概念図を示している。本実施の形態の計測部107は外部発振方式を使用している。図6において、計測部107では、水晶振動子106の一方の電極110aに、発振器150で(振動電圧発生部111に対応)振動電圧Vinを印加して水晶振動子106を励起する。RF電圧計151(測定部112に対応)は、励起された水晶振動子106の他方の電極110bから流れる電流Iq=(Vq/RL)を測定する。これにより、印加した振動電圧と水晶振動子106を流れる電流の関係からその周波数に対する水晶振動子106の電気的なインピーダンスを求めることができる。インピーダンスは、共振周波数付近で大きく変化する。そこで、計測部107では、印加する振動電圧の周波数を掃引しながらインピーダンスを測定し、その抵抗成分が最小となる周波数を求める。この周波数が直列共振周波数(fs)であり、このときの抵抗成分が共振抵抗となる。
【0032】
図7は、水晶振動子106の共振周波数を測定する場合に使用される帰還型の自励式発振方式(従来方式)の概念図を示している。本実施の形態の外部発振方式を、図7に示す帰還型の自励式発振方式と比較して説明する。図7において、帰還型の自励式発振方式では、水晶振動子106を含む発振回路を共振状態としておき、電極に液滴が付着したことによって変化する共振周波数を周波数カウンタ160で計測する。そして、測定した共振周波数に基づいて、水晶振動子の電極面に付着した物質の重量を測定する。しかしながら、上述したように、水晶振動子106の共振周波数は付着した物質の粘弾性によっても変化する。このため、粘弾性的な特性を併せ持った物質が付着した場合、どちらかの影響によって変化したのか判別することができない。他方、共振抵抗は、主に粘弾性に比例することが知られている。本実施の形態の計測部107では、共振周波数と共振抵抗の両者を測定して、その変化が重量に起因するものか、粘弾性に起因するものかを判別している。
【0033】
図8は、水晶振動子106のアドミッタンス線図を示している。上記図5の等価回路で表される水晶振動子のインピーダンスについて、周波数特性を測定し、これをX軸にG(コンダクタンス)、Y軸にB(サセプタンス)成分を取ったインピーダンス平面上にプロットしたものである。同図に示すように、等価電極容量Coの影響によって、曲線は、全体がB軸上をωCo分ずれてしまう。帰還型の自励式発振方式の共振点は、位相ずれが「0」になる点、すなわち、B成分が「0」になる点であるので、同図でfrで示している。Coのために共振点は、本来の水晶振動子の共振点であるfs(直列共振周波数)からfr(一般的に共振周波数と言う場合はfrを言う)にずれてしまう。
【0034】
ここで、重量と周波数の比例関係はあくまでもfsについて成立する。したがって、frを基準とした帰還型の自励式発振方式では、重量と周波数の関係に誤差が生じる。具体的には、同図の(a)に示すように、負荷が小さくGが大きいうちは(共振抵抗Rが小さいうち)は、円の半径が大きいためfsとfrの値にはあまり差がない。これに対して、同図の(b)に示すように、負荷が増えてGが極端に小さく(Rが大きく)なると、両者はずれで大きくなる。このため、frを共振周波数として測定する帰還型の自励式発振方式では、負荷が増えるにしたがって直線性が悪化する。これに対して、本実施の形態のような外部発振方式でfsを測定する方式では、このような直線性の劣化は生じない。
【0035】
さらに、負荷が増えて、同図の(c)のようになると、fr点が消えてしまうため、従来の帰還型の自励発振方式では発振することができなくなる。これに対して、本実施の形態の外部発振方式では、fsを測定するため等価電極容量Coの影響がない。したがって、この場合でも共振点を見つけ出すことが可能となる。すなわち、本実施の形態の外部発振方式では、帰還型の自励発振方式に比して、重負荷での測定が可能となる。また、帰還型の自励発振方式では、発振の安定と精度の両方を得るためには使用する周波数に応じて発振回路をチューニングする必要がある。このため、同じ発振回路で広範な発振周波数に対応することが困難である。これに対して、本実施の形態の外部発振方式では、水晶振動子106を振動させる振動電圧を外部で生成するため、広範な周波数に回路変更なしで対応可能である。
【0036】
つぎに、図1の計測部107を詳細に説明する。振動電圧発生部111は、水晶振動子106の一方の電極110aに振動電圧を印加して、水晶振動子106を振動させる。その際、振動電圧の周波数を低周波数から高周波数へと少しずつ変更して周波数の掃引を行う。測定部112は、水晶振動子106の他方の電極110bから流れる電流Iq=(Vq/RL)を測定し、印加した振動電圧と水晶振動子106を流れる電流の関係からその周波数に対する水晶振動子106の電気的なインピーダンスを算出する。そして、測定部112は、その抵抗成分が最小となる周波数を共振周波数値(上述の直列共振周波数fs)として算出し、このときの抵抗成分を共振抵抗値として算出する。測定部112は、算出した共振周波数値および共振抵抗値を演算部113に出力する。この場合、測定部112は、吐出ヘッド103が電極110bから離間した位置での共振周波数ffirstと、電極110bへの液滴の付着前における共振周波数fbeforeと、付着後における共振周波数fafterを演算部113に出力する。演算部113は、以下のようにして、測定部112から入力される共振抵抗に基づいて、液滴の粘度を算出し、その粘度によって変化した共振周波数量Δfを算出し、測定部112から入力される共振周波数fbefore、fafterの変化量(Δfr)から、液滴の粘度によって変化した共振周波数量Δfを引くことで、液滴の質量のみによる共振周波数変化量(Δfreq)を算出し、その液滴の質量のみによる共振周波数変化量(Δfreq)に基づいて、液滴の重量を算出する。
【0037】
ここで、電極110bに付着した液滴の重量をImとし、液滴の付着前後における液滴の質量のみによる共振周波数の変化量をΔfreqとすると、液滴の重量Imと、液滴の付着前後における液滴の質量のみによる共振周波数の変化量Δfreqの関係は、下式(1)のように表すことができる。
【0038】
【数1】
【0039】
また、共振抵抗値をRとし、電極110bに付着した液滴の粘度をηとすると、これらの関係は、下式(2)で表すことができる。
【0040】
【数2】
【0041】
また、液滴の粘度のみによる共振周波数の変化量をΔfとすると、電極110bに付着した液滴の粘度ηと、液滴の粘度のみによる共振周波数の変化量をΔfの関係は、下式(3)のように表すことができる。
【0042】
【数3】
【0043】
演算部113は、測定部112から供給される電極110bへの液滴の付着前における共振周波数fbefore、付着後における共振周波数fafterからその変化量Δfr=fbefore−fafterを算出する。また、演算部113は、測定部112から入力される電極110bに液滴の付着後の共振抵抗値Rを、上記式(2)に代入して、液滴の粘度ηを算出する。その後、液滴の粘度ηを、上記式(3)に代入して、液滴の粘度のみによる共振周波数の変化量Δfを算出する。次いで、演算部113は、液滴の付着前後の共振周波数の変化量Δfr、液滴の粘度のみによる共振周波数の変化量Δfから、その変化量、すなわち、液滴の質量のみによる共振周波数の変化量Δfreq=Δfr−Δfを算出する。その後、液滴の質量のみによる共振周波数の変化量Δfreqを上記式(1)に代入して、液滴の重量Imを算出する。演算部113は、算出した液滴の粘度ηおよび重量Imを制御部101に出力する。
【0044】
[液滴重量の測定フロー]
図9は、図1の液滴吐出装置100の液滴重量の測定フローを示す図である。なお、吐出ヘッド103は、水晶振動子106上になく待機位置にあるものとする。図9において、まず、計測部107では、振動電圧発生部111が、水晶振動子106の電極110aに振動電圧を周波数掃引しながら印加する(ステップS1)。
【0045】
つぎに、測定部112は、水晶振動子106の電極110bに流れる電流を検出する(ステップS2)。そこで、印加した電圧と検出した電流の値に基づいて、これらの振幅及び位相差の関係から掃引周波数に対するアドミッタンス曲線を求める。アドミッタンス曲線の実数成分が最大になる周波数が共振周波数である。電極110bに液滴が付着される前のアドミッタンス曲線から電極110bに液滴が付着される前の共振周波数fbeforeを求め、演算部113に出力する(ステップS3)。なお、電極110bに液滴が付着される前の共振周波数fbeforeは、毎回測定しないで予め演算部113に記憶しておくことにしても良い。
【0046】
つぎに、制御部101は、吐出ヘッド103から液滴が吐出されたときにその吐出された液滴が、水晶振動子106の電極110bの略中央位置(図4の地点PE参照)に付着するような位置まで、ヘッドキャリッジ102により吐出ヘッド103を移動させる。ここで、電極110bの略中央位置としているのは、電極110bの略中央位置に液滴を付着させた場合、検出精度が向上するためである。
【0047】
続いて、制御部101は、標準駆動波形に従って、吐出ヘッド103に含まれるピエゾ素子122に駆動信号を供給して、吐出ヘッド103から電極110bのPEに向けて液滴を吐出させる(ステップS4)。
【0048】
この後、計測部107では、振動電圧発生部111が、水晶振動子106の電極110aに振動電圧を周波数掃引しながら印加し、測定部112は、水晶振動子106の電極110bに流れる電流を検出する。そこで、印加した電圧と検出した電流の値に基づいて、これらの振幅及び位相差の関係から掃引周波数に対するアドミッタンス曲線を求める。アドミッタンス曲線の実数成分が最大になる周波数が共振周波数である。電極110bに液滴が付着された後のアドミッタンス曲線から電極110bに液滴が付着された後の共振周波数fafterを求め、演算部113に出力する(ステップS5)。演算部113は、共振周波数fbefore、fafterに基づいて、共振周波数の変化量Δfr=fbefore−fafterを算出する。
【0049】
次に、演算部113は、電極110bに液滴が付着された後のアドミッタンス曲線の実数成分が最大のときの、その実数成分の逆数として共振抵抗Rを求める(ステップS6)。
【0050】
次に、演算部113は、共振抵抗Rに基づいて、上述した式(2)を用いて液滴の粘度ηを算出する(ステップS7)。演算部113は、算出した粘度ηに基づいて、上述した式(3)を用いて、液滴の粘度ηによって変化した共振周波数の変化量Δfを算出する(ステップS8)。
【0051】
次いで、演算部113は、実際に測定した共振周波数の変化量Δfr、液滴の粘度によって変化した共振周波数の変化量Δfに基づいて、液滴の質量のみによって変化した共振周波数の変化量Δfreq=Δfr−Δfを算出する(ステップS9)。
【0052】
次に、演算部113は、液滴の質量のみによる共振周波数の変化量Δfreqを上述した式(1)に代入して液滴の重量Imを算出する(ステップS10)。演算部113は、算出した液滴の重量Imと液滴の粘度ηを制御部101に出力する。制御部101は、液滴の重量Imと液滴の粘度ηを表示部108に表示する(ステップS11)。
【0053】
また、制御部101は、算出した液滴の重量Imが所定値以下であるか否かを判断する(ステップS12)。この判断の結果、算出した液滴の重量Imが所定値以下である場合には、制御部101は、吐出ヘッド103のノズル詰まりまたはインクのエンドの可能性があると判断して、”ノズル詰まりまたはインクのエンド”の可能性がある旨を表示部108に表示する(ステップS13)。制御部101は、以上のようにして測定した、標準駆動波形の駆動信号で形成された液滴の重量Imに基づいて、吐出ヘッド103で描画対象物Wに描画を行う場合に、吐出ヘッド103に印加する駆動信号の駆動波形を変更する。
【0054】
実施の形態1の液滴吐出装置100によれば、以下の効果を奏することができる。水晶振動子106では、共振周波数の変化量に基づいて液滴の重量を算出するが、共振周波数は水晶振動子106の表面の質量変化と粘弾性変化によって変化するので、一概に共振周波数のみにより液滴の重量を算出すると、その算出値は正確な重量ではなかった。これに対し、実施の形態1では、外部発振方式を採用しており、外部の発振回路111で生成された周波数(電圧)Vinによって水晶振動子106が励起されたときに流れる電流Iqを測定することにより、その周波数に対する水晶振動子106のインピーダンスを求めることができる。このインピーダンスから共振抵抗を求めることができ、その共振抵抗から液滴の粘度を測定することができ、その液滴の粘度から、粘度によって変化した共振周波数量を算出することができる。実際に測定した液滴の付着前後での共振周波数の変化量から、この粘度によって変化した共振周波数量を引くことで、液滴の質量のみによる共振周波数変化量を算出することができ、この液滴の質量のみによる共振周波数変化量を用いて、正確な液滴の重量を測定することができる。
【0055】
本実施の形態1の液滴吐出装置100は、工業用のインクジェット装置として使用することができ、例えば、配線、カラーフィルタ、配向膜、マイクロレンズアレイ、エレクトロルミネセンス材料、および生体物質等のパターン形成に使用することができる。以下に、一例として、本実施の形態1の液滴吐出装置100においてインクが塗布されるカラーフィルタ用の基板および該基板上の構造物について図10を参照して説明する。
【0056】
図10に示すように、ガラスなどの光透過性を有する基板400には、遮光膜410と隔壁420とが、基板400側からこの順で積層されている。このうち遮光膜410は、例えばクロムなどの遮光性材料の薄膜である。一方、隔壁420は、例えばアクリル樹脂などであり、液滴吐出装置100において赤色インクが塗布される塗布領域430Rと、緑色インクが塗布される塗布領域430Gと、青色インクが塗布される塗布領域430Bとの各々を区画する役割を果たす。
【0057】
液滴吐出装置100によるカラーフィルタのパターニング動作では、タンク104R、104G、104Bに貯蔵される各インクについて、標準駆動波形に応じて液滴を試験的に吐出させ、その試験的に吐出させた液滴の重量Imと粘度ηとに応じて、所定の吐出量、例えば「10ng」の液滴を吐出することが可能な適正駆動波形を特定し、特定した適正駆動波形を用いてカラーフィルタのパターニングを行う。液滴吐出装置100においては、まず基板400上の塗布領域430Rへ赤色インクを塗布し、次に塗布領域430Gへ緑色インクを塗布し、最後に塗布領域430Bへ青色インクを塗布する。
【0058】
尚、上述した実施形態においては液滴の重量Imおよび粘度ηを求めるための関係式として(式1)、(式2)および(式3)を示したが、重量Imおよび粘度ηを求めるための法則は、これらの関係式に限定されるものではなく、使用する定数やパラメータなどが異なる他の関係式や、近似式などを用いても良い。
【0059】
なお、液滴吐出装置100の用途は、電気光学装置に用いられるカラーフィルタのパターニングに限られなく、次のような様々な薄膜層の形成に用いることができる。例えば、有機EL(エレクトロルミネセンス)表示パネルに含まれる有機EL層や、正孔注入層などの薄膜形成に用いることができる。さらに詳述すると、有機EL層を形成する場合には、例えばポリチオフェン系の導電性高分子などの有機EL材料を含む液滴を、基板上に形成された隔壁により仕切られる塗布領域に向けて吐出して、液滴を塗布領域に塗布する。このように塗布された溶液が乾燥すると、塗布領域に有機EL層が形成される。
【0060】
また、その他の液滴吐出装置100の用途としては、プラズマディスプレイに含まれる透明電極の補助配線や、IC(integrated circuit)カードなどに含まれるアンテナなどのデバイスの形成などがある。具体的には、テトラデカンなどの有機溶剤に、銀微粒子などの導電性微粒子を分散させた分散液を液滴吐出装置100によりパターニングした後、有機分散液が乾燥すると、金属薄膜層が形成される。
【0061】
これら以外にも、液滴吐出装置100は、例えば立体造形に用いられる熱硬化樹脂などの他、マイクロレンズアレイ材料、また、DNA(deoxyribonucleic acid)やたんぱく質といった生体物質などの様々な材料を含む液滴を塗布することが可能である。
【0062】
以上説明した液滴吐出装置100により形成されたカラーフィルタを有する電気光学装置と、該電気光学装置を表示部として適用した電子機器について説明する。
【0063】
図11は、カラーフィルタを有する電気光学装置の断面図である。この図に示すように、電気光学装置440は、大略して、観察者側に向けて光を放出するバックライト機構442と、バックライト機構442から放出された光を選択的に透過させるパッシブ型液晶表示パネル444とを有している。このうち、液晶表示パネル444は、基板446と、電極448と、配向膜450と、スペーサ452と、配向膜454と、電極456と、カラーフィルタ460とを有している。
【0064】
カラーフィルタ460は、前掲した図と上下逆に示されており、隔壁420からみて基板400側が上側(観察者側)に位置している。このカラーフィルタ460に含まれる赤色カラーフィルタ432R、緑色カラーフィルタ432Gおよび青色カラーフィルタ432Bは、液滴吐出装置100によりパターニングされたものであり、設計値と略等しい厚みを有している。また、各カラーフィルタ432R、432G、432Bの背面側には、それらの保護を目的としたオーバーコート層434が設けられている。スペーサ452を隔てて対向する2つの配向膜450、454の間隔には、液晶453が封入されている。
【0065】
液晶駆動用IC457は、配線類459を介して電極448、456に駆動信号を供給する。このように電極448、456に駆動信号が供給されると、対応する液晶453の配向状態が変化する。これにより、液晶表示パネル444においては、バックライト機構442から放出された光を、各カラーフィルタ432R、432G、432Bに対応する領域(サブ画素)毎に選択的に透過させる。
【0066】
次に、図12は、電気光学装置440を搭載した携帯電話機600の外観図である。この図において、携帯電話機600は、複数の操作ボタン610の他、受話口620、送話口630とともに、電話番号などの各種情報を表示する表示部として、カラーフィルタを含む電気光学装置440を備えている。
また、携帯電話機600以外にも、液滴吐出装置100を用いて製造された電気光学装置440は、コンピュータや、プロジェクタ、デジタルカメラ、ムービーカメラ、PDA(Personal Digital Assistant)、車載機器、複写機、オーディオ機器などの各種電子機器の表示部として用いることができる。
【0067】
(実施の形態2)
図13は、本発明の実施の形態2にかかる液滴吐出装置の概略構成を示す図である。実施の形態2にかかる液滴吐出装置300は、インクジェットプリンタとしたものである。実施の形態2にかかる液滴吐出装置300は、用紙搬送路の一部にQCMセンサ301が設けられており、また、キャリッジ302に吐出ヘッドが搭載されている。この吐出ヘッドから吐出される液滴(インク滴)の重量の測定原理は、実施の形態1と同様であるのでその説明は省略する。実施の形態2にかかる液滴吐出装置300は、印刷用紙上でキャリッジ302を往復動させながら微細なインク滴を吐出することによって、印刷用紙上にインクドットを形成して画像を印刷するインクジェットプリンタである。
【0068】
図13を参照して、液滴吐出装置300が用紙に画像を印刷する動作を簡単に説明する。キャリッジ302には、インク滴を吐出するための吐出ヘッドが内蔵されている。キャリッジ302の上面側に装着されたインクカートリッジ308は吐出ヘッドにインクを供給する。印刷用紙は紙送りローラ303によってキャリッジ302の下側の所定位置に搬送される。印刷用紙が所定位置にセットされると、キャリッジ302は印刷用紙上を往復動しながら吐出ヘッドからインク滴を吐出させる。キャリッジ302は、図示するように2本のガイドレール305に導かれ、駆動ベルト306を介してキャリッジモータ307によって駆動される。このように、キャリッジ302を往復動させる動作は主走査と呼ばれる。
【0069】
キャリッジ302の主走査に同期させて紙送りローラ303を駆動し、印刷用紙を主走査方向と直角方向に少しずつ移動させる。このように、主走査方向と交差する方向に、吐出ヘッドと印刷用紙とを相対的に移動させる動作は副走査と呼ばれる。こうして、キャリッジ302を主走査させながら印刷用紙を副走査させ、これにあわせてインク滴を適切なタイミングで吐出することで印刷用紙上にインクドットを形成し、これによって画像を印刷している。
【0070】
このように、本発明の液滴吐出装置は、インクジェットプリンタにも好適に使用することが可能である。なお、インク滴の代わりに試料液体の重量を測定する場合には、インクカートリッジ308を取り外して、インクの代わりに試料液体が収納された容器をキャリッジ302に装着することにすれば良い。本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で適宜変形して実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる液滴吐出装置の全体の概略構成を示す図である。
【図2】吐出ヘッドの詳細な構成を示す図である。
【図3】吐出ヘッドから吐出する液滴の大きさを変更する原理を説明するための図である。
【図4】QCMセンサの構成を示す平面図である。
【図5】水晶振動子の等価回路を示す図である。
【図6】計測部の概念図である。
【図7】帰還型の自励発振方式の概念図である。
【図8】水晶振動子のアドミッタンス線図である。
【図9】本発明の実施の形態1にかかる液滴吐出装置の液滴重量の測定フローを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1にかかる液滴吐出装置において液滴が塗布されるカラーフィルタの基板を示す図である。
【図11】電気光学装置の一例を示す図である。
【図12】同電気光学装置を搭載した電子機器の一例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態2にかかる液滴吐出装置の全体の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
100 液滴吐出装置、101 制御部、102 ヘッドキャリッジ、103R、103G、103B 吐出ヘッド、104R、104G,104B インクタンク、105 ステージ、106 水晶振動子、107 計測部、108 表示部、 110 水晶、110a、110b 電極、111 振動電圧発生部、112 測定部、113 演算部、121 圧力室、122、ピエゾ素子、123ノズル、131 絶縁体、132a、132b 支持体、133a、133b端子 、300 液滴吐出装置、301 QCMセンサ、302 キャリッジ、303 紙送りローラ、305 ガイドレール、306 駆動ベルト、307
キャリッジモータ、308 インクカートリッジ
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出装置、特に、吐出ヘッドから吐出される液滴の重量を高精度に測定可能な液滴重量測定方法および液滴吐出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、液晶表示装置のカラーフィルタ、配向膜等の成膜に液滴吐出装置が利用されている。また、液滴吐出装置は、これ以外にも工業上の各種の分野で利用されている。液滴吐出装置は、吐出ヘッドと呼ばれる液滴吐出機構を有している。この吐出ヘッドには、規則的に複数のノズルが形成されている。液滴吐出装置では、これらのノズルから吐出材料の液滴を吐出することにより、何等かの製品の構成要素となる基板上に吐出材料からなるパターンの描画を行う。吐出ヘッドから吐出される液滴の重量を測定する装置としては、例えば、以下の微小液滴重量装置が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
同装置は、振動板と圧電素子を貼り合わせた圧電振動体にヒーターを設け、圧電振動体にホットメルトインク(固形材料を溶かして液体にしたインク)が付着しても剥離も蒸発もしない温度に圧電振動体をコントロールした状態で、ホットメルトインクジェットを吹き付ける。ホットメルトインクが付着すると、圧電振動体の電気機械的結合係数が変わり、その付着重量に比例して圧電素子のインピーダンスが変化する。そのインピーダンスの変化量から付着重量を算出する。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−248250号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
水晶振動子の圧電効果を利用して、水晶振動子表面で起こる微小な質量の変化を、共振周波数の変化として測定することのできるQCM(Quartz Crystal Microbalance)が知られている。ところが、共振周波数は、水晶振動子表面の質量の変化のみによって変化するものではない、ということが判明した。よって、共振周波数の変化のみによっては、液滴の質量を高精度に測定することはできない。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、液滴の重量を高精度に測定することのできる液滴重量測定方法、液滴吐出装置を提供することを目的とする。更に、本発明は、上記液滴吐出装置による高精度な液滴の重量の測定結果を用いた電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の液滴重量測定方法は、液滴の重量を測定する液滴重量測定方法であって、圧電振動子に設けられた電極に前記液滴が付着される前の前記圧電振動子の共振周波数を検出するステップと、前記電極に前記液滴が付着された後の前記圧電振動子の共振周波数を検出するステップと、前記検出された前記液滴の付着の前後の共振周波数の変化量を求めるステップと、前記電極に前記液滴が付着された後の前記圧電振動子の共振抵抗、又は前記電極に前記液滴が付着された前後の前記圧電振動子の共振抵抗の変化量に基づいて、前記液滴の粘度を求めるステップと、前記液滴の粘度によって変化した共振周波数の量を求めるステップと、前記液滴の付着の前後の共振周波数の変化量と、前記液滴の粘度によって変化した共振周波数の量に基づいて、前記液滴の重量を求めるステップとを備えたことを特徴としている。
【0008】
本発明の液滴重量測定方法において、前記圧電振動子の共振周波数は、前記圧電振動子のインピーダンス変化を検出することにより検出されることを特徴としている。
【0009】
本発明の液滴重量測定方法において、前記圧電振動子の共振抵抗は、前記圧電振動子のインピーダンスを検出することにより検出されることを特徴としている。
【0010】
本発明の液滴重量測定方法において、前記圧電振動子の共振周波数及び共振抵抗は、前記圧電振動子のアドミッタンス曲線を算出することにより検出することを特徴としている。
【0011】
本発明の液滴吐出装置は、吐出ヘッドから液滴を吐出して描画対象物に描画する液滴吐出装置において、前記吐出ヘッドに駆動信号を印加して液滴を吐出させる吐出ヘッド制御手段と、両面に電極を有する圧電振動子からなる検出手段と、前記電極に振動電圧を印加して前記圧電振動子を振動させる発振手段と、前記吐出ヘッドから吐出される液滴が前記電極に付着する前後での前記圧電振動子の共振周波数の変化と、前記電極に前記液滴が付着された後の前記圧電振動子の共振抵抗又は前記電極に前記液滴が付着した前後の前記圧電振動子の共振抵抗の変化とを検出し、前記共振抵抗又は前記共振抵抗の変化に基づいて前記液滴の粘度を検出し、前記液滴の粘度と前記圧電振動子の共振周波数の変化に基づいて、前記電極に付着した液滴の重量を測定する液滴重量測定手段とを備えたことを特徴としている。
【0012】
本発明の液滴吐出装置において、前記吐出ヘッド制御手段は、前記液滴重量測定手段で測定された液滴の重量に基づいて、前記吐出ヘッド印加する駆動信号の駆動波形を変更することを特徴としている。
【0013】
本発明の液滴吐出装置は、配線、カラーフィルタ、配向膜、マイクロレンズアレイ、エレクトロルミネセンス材料、および生体物質のうちのいずれか1つのパターン形成を用途とすることを特徴としている。
【0014】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記本発明の液滴吐出装置を使用することを特徴としている。
【0015】
本発明の電気光学装置は、上記本発明の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
【0016】
本発明の電子機器は、上記本発明の電気光学装置を含むことを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明にかかる液滴吐出装置の好適な実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1にかかる液滴吐出装置は、電気光学装置に含まれるカラーフィルタの製造に用いられる液滴吐出装置である。以下、実施の形態1にかかる液滴吐出装置を、[液滴吐出装置の全体構成]、[吐出ヘッド]、[QCMセンサ]、[液滴重量の測定原理]、[液滴重量の測定フロー]の順に説明する。
【0018】
[液滴吐出装置の全体構成]
図1は、本発明の実施の形態1にかかる液滴吐出装置100の全体の概略構成を示す図である。実施の形態1の液滴吐出装置100は、QCM(Quartz−Crystal Microbalance)と呼ばれるセンサを搭載した構成となっている。本実施の形態の液滴吐出装置100は、主として、制御部101と、ヘッドキャリッジ102と、吐出ヘッド103R、103G、103Bと、インクタンク104R、104G、104Bと、ステージ105と、水晶振動子106を含むQCMセンサと、計測部107と、表示部108とを備えて構成されている。
【0019】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、ROM、RAMなどからなり、液滴吐出装置100全体を制御する。具体的には、制御部101は、ステージ105上に載置された基板等の対象物Wに吐出ヘッド103R、103G、103Bで描画する動作の制御や、吐出ヘッド103R、103G、103Bから吐出される液滴の重量を測定する動作の制御を行う。ヘッドキャリッジ102は、制御部101の制御に従って、吐出ヘッド103R、103G、103Bを副走査方向(X軸方向)に搬送する。吐出ヘッド103R、103G、103Bは、ヘッドキャリッジ102に担持されてヘッドキャリッジ102とともに移動し、制御部101から入力される駆動信号に応じて、そのノズルから液滴を吐出する。
【0020】
インクタンク104R、104G、104Bには、R,G,Bのインクが充填されており、吐出ヘッド103R、103G、103BにR,G,Bのインクをそれぞれ供給する。ステージ105は、基板等の描画対象物Wが載置され、制御部101の制御に従って不図示の駆動機構により主走査方向(Y軸方向)に描画対象物Wを搬送する。水晶振動子106は、水晶110と当該水晶110の両面に形成された第1の電極110aおよび第2の電極110bとで構成されている。この水晶振動子106は、吐出ヘッド103R、103G、103Bから吐出される液滴の重量を測定する場合に使用される。計測部107は、水晶振動子106の電極110bに液滴が付着する前と付着後の水晶振動子106の共振周波数の変化を検出して電極110bに付着した液滴の重量を測定し、測定結果を制御部101に出力する。表示部108は、例えば、LCDモニターからなり、制御部101の制御に従って、液滴の重量の測定結果等を表示する。
【0021】
[吐出ヘッド]
図2は、図1の吐出ヘッド103Rの詳細な構成を示す図である。吐出ヘッド103Rは、図2に示す如く、圧力室121と、ピエゾ素子122と、ノズル123とを備えて構成されている。圧力室121は、インクタンク104R内と連通し、インクタンク104Rから供給された赤色インクを一時的に貯える。ピエゾ素子122は、周知のように電圧を印加すると、結晶構造が歪んで極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う素子である。ピエゾ素子122は、制御部101から供給される駆動信号に応じて、圧力室121の内面を変形させ、圧力室121内の赤色インクを増減圧する。吐出ヘッド103Rにおいては、このピエゾ素子122による赤色インクの増減圧に応じて、ノズル123から赤色インクを液滴IPとして吐出する。
【0022】
吐出ヘッド103Gは、吐出ヘッド103Rと同様な構成をしており、制御部101から供給される駆動信号に応じて、インクタンク104Gから供給を受けた緑色インクを液滴として吐出する。同様に吐出ヘッド103Bも、制御部101から供給される駆動信号に応じて、インクタンク104Bから供給を受けた青色インクを液滴として吐出する。この実施形態においては、説明の便宜上、赤色インク、緑色インクおよび青色インクは、それらの液体としての性質(例えば温度に応じた粘度特性など)が略同一に揃えられており、同一条件下では、同様な流体的挙動を示すものとする。したがって、仮に液滴吐出にかかる条件が全く同一であれば、いずれのインクを用いた場合であっても、同量の液滴にて吐出される。なお、以降の説明においては、吐出ヘッド103R、103G、103Bの各々を特に区別する必要のない場合には、吐出ヘッド103と記載し、同様に、インクタンク104R、104G、104Bの各々を特に区別する必要のない場合には、インクタンク104と記載する。
【0023】
図3は、ピエゾ素子122に印加する駆動信号の駆動波形を制御することで、吐出する液滴IPの大きさを変更する原理を説明するための図である。同図において、横軸は時刻、縦軸は駆動電圧を示している。同図において、時刻「0」から時刻「T1」までの期間においては、ピエゾ素子122に供給される駆動信号は一定値「VM」をとり、この際、ピエゾ素子122は変形しない。続く、時刻「T1」から時刻「T2」まで期間において、駆動信号は、「VM」から「VH」まで上昇する。これを受けてピエゾ素子122は、圧力室121内のインクが減圧されるように変形し、インクタンク104から圧力室121にインクが流入する。
【0024】
次に、時刻「T2」から時刻「T3」までの間に、駆動信号は、一定値「VH」をとり、続く、時刻「T3」から時刻「T4」まで間において、駆動信号は、「VH」から「VL」まで下降する。この駆動信号の下降により、ピエゾ素子122は、圧力室121内のインクが増圧するように変形し、圧力室121内のインクがノズル123から連なった状態で吐出する。なお、以降の説明においては、時刻「T3」から時刻「T4」まで期間を、電圧下降期間ΔTと称し、当該電圧下降期間ΔTにおいて下降する電圧の量「VH−VL」を、電圧下降量ΔVと称することとする。
【0025】
次いで、時刻「T4」から時刻「T5」までの間に、駆動信号は、一定値「VL」をとり、続く、時刻「T5」から時刻「T6」まで間において、駆動信号は、「VL」から「VM」まで上昇する。この駆動信号の上昇により、ピエゾ素子122は、圧力室121内のインクの圧力が減少するように変形し、上述した電圧下降期間ΔTに一旦吐出されたインクが引き戻され、その一部が液滴IPとして吐出する。
【0026】
ここで、説明の便宜上、駆動波形における電圧下降期間ΔTあるいは電圧下降量ΔVを調整して、液滴量を変更する技術について説明する。まず、電圧下降期間ΔTを短くすると、溶液の増圧にかかる期間が短縮されて、電圧下降時間ΔT内にノズル123から吐出するインクの勢いが増し、液滴量を増大することができる。逆に、電圧下降期間ΔTを長くすると、ノズル123から吐出するインクの勢いが低下し、液滴量を減少させることができる。
【0027】
一方、電圧下降量ΔVを大きくすると、インクの増圧量が増大されて、電圧下降時間ΔT内にノズル123から吐出するインクの量が増し、液滴量を増大させることができる。逆に、電圧下降量ΔVを小さくすると、ノズル123から吐出するインク量が減少し、液滴量を減少させることができる。これらの技術は、例えばノズル径などの吐出ヘッド103の機械的構成を変更することなく、液滴量を任意に変更させることができるため、1つのノズル123から複数の量の液滴を選択的に吐出させる場合などに広く用いられている技術である。
【0028】
[QCMセンサ]
図4は、図1の水晶振動子106の構成を示す平面図である。水晶110は、略正方形状を呈し、その両面に、一対の電極110a、110bが略対向した状態で取り付けられている。一対の電極110a、110bは、AuやPtの金属で構成することができる。また、絶縁体131は、導電性を有する支持体133a、133bによって、水晶110を振動自在に保持する。支持体133aは、電極110aと導通すると共に、絶縁体131に固定された端子132aと導通している。同様に、支持体133bは、電極110bと導通すると共に、絶縁体131に固定された端子132bと導通している。また、同図において、符号PEは電極110bの略中央位置を示している。
【0029】
図5は、水晶振動子106の等価回路を示している。水晶振動子106は、電気的には、図5に示すように、抵抗R1と、コンデンサC1およびCoと、コイルL1とで構成される電気回路と等価である。ここで、並列容量であるCoは、水晶110の両面に設けられた電極110a、110bによって生成される容量成分である等価電極容量である。水晶振動子106は、電気的な固有周波数を有しており、水晶110の両側に設けた電極110a、110bを電源に接続すると、回路は固有周波数で発振を開始し、水晶振動子106も発振周波数と同じ周波数で振動する。発振する周波数は、主に、結晶の成長軸に対して水晶110を切り出した角度と、水晶110の厚さとによって定まり、また、水晶110の振動形態は、薄板を切り出した角度によって決定される。QCMでは、通常、ATカットと呼ばれる所定の角度で切り出された水晶110が用いられており、ATカットされた水晶110の振動形態は、厚みすべり振動、すなわち水晶110の表面と裏面とが、水晶110の厚み方向と直角方向に、互いにずれるように振動する形態となる。
【0030】
水晶振動子106は、自身に作用する外力が一定であれば、一定の共振周波数にて振動するが、電極110bに液滴が付着して外力が変化すると、その変化量に応じて共振周波数が変化するという特性を有している。換言すると、電極110bに液滴が付着すると、水晶振動子106は、その液滴の重量および粘度に応じた共振周波数にて振動するという特性を有している。また、水晶振動子106は、電極110bに液体が付着すると、付着した液体の粘度に応じて、その共振抵抗値が変化するという特性を有している。後述するように、計測部107は、これらの水晶振動子106の特性を利用して、液滴の重量および粘度を算出する。
【0031】
[液滴重量の測定原理]
図6は、図1の計測部107の概念図を示している。本実施の形態の計測部107は外部発振方式を使用している。図6において、計測部107では、水晶振動子106の一方の電極110aに、発振器150で(振動電圧発生部111に対応)振動電圧Vinを印加して水晶振動子106を励起する。RF電圧計151(測定部112に対応)は、励起された水晶振動子106の他方の電極110bから流れる電流Iq=(Vq/RL)を測定する。これにより、印加した振動電圧と水晶振動子106を流れる電流の関係からその周波数に対する水晶振動子106の電気的なインピーダンスを求めることができる。インピーダンスは、共振周波数付近で大きく変化する。そこで、計測部107では、印加する振動電圧の周波数を掃引しながらインピーダンスを測定し、その抵抗成分が最小となる周波数を求める。この周波数が直列共振周波数(fs)であり、このときの抵抗成分が共振抵抗となる。
【0032】
図7は、水晶振動子106の共振周波数を測定する場合に使用される帰還型の自励式発振方式(従来方式)の概念図を示している。本実施の形態の外部発振方式を、図7に示す帰還型の自励式発振方式と比較して説明する。図7において、帰還型の自励式発振方式では、水晶振動子106を含む発振回路を共振状態としておき、電極に液滴が付着したことによって変化する共振周波数を周波数カウンタ160で計測する。そして、測定した共振周波数に基づいて、水晶振動子の電極面に付着した物質の重量を測定する。しかしながら、上述したように、水晶振動子106の共振周波数は付着した物質の粘弾性によっても変化する。このため、粘弾性的な特性を併せ持った物質が付着した場合、どちらかの影響によって変化したのか判別することができない。他方、共振抵抗は、主に粘弾性に比例することが知られている。本実施の形態の計測部107では、共振周波数と共振抵抗の両者を測定して、その変化が重量に起因するものか、粘弾性に起因するものかを判別している。
【0033】
図8は、水晶振動子106のアドミッタンス線図を示している。上記図5の等価回路で表される水晶振動子のインピーダンスについて、周波数特性を測定し、これをX軸にG(コンダクタンス)、Y軸にB(サセプタンス)成分を取ったインピーダンス平面上にプロットしたものである。同図に示すように、等価電極容量Coの影響によって、曲線は、全体がB軸上をωCo分ずれてしまう。帰還型の自励式発振方式の共振点は、位相ずれが「0」になる点、すなわち、B成分が「0」になる点であるので、同図でfrで示している。Coのために共振点は、本来の水晶振動子の共振点であるfs(直列共振周波数)からfr(一般的に共振周波数と言う場合はfrを言う)にずれてしまう。
【0034】
ここで、重量と周波数の比例関係はあくまでもfsについて成立する。したがって、frを基準とした帰還型の自励式発振方式では、重量と周波数の関係に誤差が生じる。具体的には、同図の(a)に示すように、負荷が小さくGが大きいうちは(共振抵抗Rが小さいうち)は、円の半径が大きいためfsとfrの値にはあまり差がない。これに対して、同図の(b)に示すように、負荷が増えてGが極端に小さく(Rが大きく)なると、両者はずれで大きくなる。このため、frを共振周波数として測定する帰還型の自励式発振方式では、負荷が増えるにしたがって直線性が悪化する。これに対して、本実施の形態のような外部発振方式でfsを測定する方式では、このような直線性の劣化は生じない。
【0035】
さらに、負荷が増えて、同図の(c)のようになると、fr点が消えてしまうため、従来の帰還型の自励発振方式では発振することができなくなる。これに対して、本実施の形態の外部発振方式では、fsを測定するため等価電極容量Coの影響がない。したがって、この場合でも共振点を見つけ出すことが可能となる。すなわち、本実施の形態の外部発振方式では、帰還型の自励発振方式に比して、重負荷での測定が可能となる。また、帰還型の自励発振方式では、発振の安定と精度の両方を得るためには使用する周波数に応じて発振回路をチューニングする必要がある。このため、同じ発振回路で広範な発振周波数に対応することが困難である。これに対して、本実施の形態の外部発振方式では、水晶振動子106を振動させる振動電圧を外部で生成するため、広範な周波数に回路変更なしで対応可能である。
【0036】
つぎに、図1の計測部107を詳細に説明する。振動電圧発生部111は、水晶振動子106の一方の電極110aに振動電圧を印加して、水晶振動子106を振動させる。その際、振動電圧の周波数を低周波数から高周波数へと少しずつ変更して周波数の掃引を行う。測定部112は、水晶振動子106の他方の電極110bから流れる電流Iq=(Vq/RL)を測定し、印加した振動電圧と水晶振動子106を流れる電流の関係からその周波数に対する水晶振動子106の電気的なインピーダンスを算出する。そして、測定部112は、その抵抗成分が最小となる周波数を共振周波数値(上述の直列共振周波数fs)として算出し、このときの抵抗成分を共振抵抗値として算出する。測定部112は、算出した共振周波数値および共振抵抗値を演算部113に出力する。この場合、測定部112は、吐出ヘッド103が電極110bから離間した位置での共振周波数ffirstと、電極110bへの液滴の付着前における共振周波数fbeforeと、付着後における共振周波数fafterを演算部113に出力する。演算部113は、以下のようにして、測定部112から入力される共振抵抗に基づいて、液滴の粘度を算出し、その粘度によって変化した共振周波数量Δfを算出し、測定部112から入力される共振周波数fbefore、fafterの変化量(Δfr)から、液滴の粘度によって変化した共振周波数量Δfを引くことで、液滴の質量のみによる共振周波数変化量(Δfreq)を算出し、その液滴の質量のみによる共振周波数変化量(Δfreq)に基づいて、液滴の重量を算出する。
【0037】
ここで、電極110bに付着した液滴の重量をImとし、液滴の付着前後における液滴の質量のみによる共振周波数の変化量をΔfreqとすると、液滴の重量Imと、液滴の付着前後における液滴の質量のみによる共振周波数の変化量Δfreqの関係は、下式(1)のように表すことができる。
【0038】
【数1】
【0039】
また、共振抵抗値をRとし、電極110bに付着した液滴の粘度をηとすると、これらの関係は、下式(2)で表すことができる。
【0040】
【数2】
【0041】
また、液滴の粘度のみによる共振周波数の変化量をΔfとすると、電極110bに付着した液滴の粘度ηと、液滴の粘度のみによる共振周波数の変化量をΔfの関係は、下式(3)のように表すことができる。
【0042】
【数3】
【0043】
演算部113は、測定部112から供給される電極110bへの液滴の付着前における共振周波数fbefore、付着後における共振周波数fafterからその変化量Δfr=fbefore−fafterを算出する。また、演算部113は、測定部112から入力される電極110bに液滴の付着後の共振抵抗値Rを、上記式(2)に代入して、液滴の粘度ηを算出する。その後、液滴の粘度ηを、上記式(3)に代入して、液滴の粘度のみによる共振周波数の変化量Δfを算出する。次いで、演算部113は、液滴の付着前後の共振周波数の変化量Δfr、液滴の粘度のみによる共振周波数の変化量Δfから、その変化量、すなわち、液滴の質量のみによる共振周波数の変化量Δfreq=Δfr−Δfを算出する。その後、液滴の質量のみによる共振周波数の変化量Δfreqを上記式(1)に代入して、液滴の重量Imを算出する。演算部113は、算出した液滴の粘度ηおよび重量Imを制御部101に出力する。
【0044】
[液滴重量の測定フロー]
図9は、図1の液滴吐出装置100の液滴重量の測定フローを示す図である。なお、吐出ヘッド103は、水晶振動子106上になく待機位置にあるものとする。図9において、まず、計測部107では、振動電圧発生部111が、水晶振動子106の電極110aに振動電圧を周波数掃引しながら印加する(ステップS1)。
【0045】
つぎに、測定部112は、水晶振動子106の電極110bに流れる電流を検出する(ステップS2)。そこで、印加した電圧と検出した電流の値に基づいて、これらの振幅及び位相差の関係から掃引周波数に対するアドミッタンス曲線を求める。アドミッタンス曲線の実数成分が最大になる周波数が共振周波数である。電極110bに液滴が付着される前のアドミッタンス曲線から電極110bに液滴が付着される前の共振周波数fbeforeを求め、演算部113に出力する(ステップS3)。なお、電極110bに液滴が付着される前の共振周波数fbeforeは、毎回測定しないで予め演算部113に記憶しておくことにしても良い。
【0046】
つぎに、制御部101は、吐出ヘッド103から液滴が吐出されたときにその吐出された液滴が、水晶振動子106の電極110bの略中央位置(図4の地点PE参照)に付着するような位置まで、ヘッドキャリッジ102により吐出ヘッド103を移動させる。ここで、電極110bの略中央位置としているのは、電極110bの略中央位置に液滴を付着させた場合、検出精度が向上するためである。
【0047】
続いて、制御部101は、標準駆動波形に従って、吐出ヘッド103に含まれるピエゾ素子122に駆動信号を供給して、吐出ヘッド103から電極110bのPEに向けて液滴を吐出させる(ステップS4)。
【0048】
この後、計測部107では、振動電圧発生部111が、水晶振動子106の電極110aに振動電圧を周波数掃引しながら印加し、測定部112は、水晶振動子106の電極110bに流れる電流を検出する。そこで、印加した電圧と検出した電流の値に基づいて、これらの振幅及び位相差の関係から掃引周波数に対するアドミッタンス曲線を求める。アドミッタンス曲線の実数成分が最大になる周波数が共振周波数である。電極110bに液滴が付着された後のアドミッタンス曲線から電極110bに液滴が付着された後の共振周波数fafterを求め、演算部113に出力する(ステップS5)。演算部113は、共振周波数fbefore、fafterに基づいて、共振周波数の変化量Δfr=fbefore−fafterを算出する。
【0049】
次に、演算部113は、電極110bに液滴が付着された後のアドミッタンス曲線の実数成分が最大のときの、その実数成分の逆数として共振抵抗Rを求める(ステップS6)。
【0050】
次に、演算部113は、共振抵抗Rに基づいて、上述した式(2)を用いて液滴の粘度ηを算出する(ステップS7)。演算部113は、算出した粘度ηに基づいて、上述した式(3)を用いて、液滴の粘度ηによって変化した共振周波数の変化量Δfを算出する(ステップS8)。
【0051】
次いで、演算部113は、実際に測定した共振周波数の変化量Δfr、液滴の粘度によって変化した共振周波数の変化量Δfに基づいて、液滴の質量のみによって変化した共振周波数の変化量Δfreq=Δfr−Δfを算出する(ステップS9)。
【0052】
次に、演算部113は、液滴の質量のみによる共振周波数の変化量Δfreqを上述した式(1)に代入して液滴の重量Imを算出する(ステップS10)。演算部113は、算出した液滴の重量Imと液滴の粘度ηを制御部101に出力する。制御部101は、液滴の重量Imと液滴の粘度ηを表示部108に表示する(ステップS11)。
【0053】
また、制御部101は、算出した液滴の重量Imが所定値以下であるか否かを判断する(ステップS12)。この判断の結果、算出した液滴の重量Imが所定値以下である場合には、制御部101は、吐出ヘッド103のノズル詰まりまたはインクのエンドの可能性があると判断して、”ノズル詰まりまたはインクのエンド”の可能性がある旨を表示部108に表示する(ステップS13)。制御部101は、以上のようにして測定した、標準駆動波形の駆動信号で形成された液滴の重量Imに基づいて、吐出ヘッド103で描画対象物Wに描画を行う場合に、吐出ヘッド103に印加する駆動信号の駆動波形を変更する。
【0054】
実施の形態1の液滴吐出装置100によれば、以下の効果を奏することができる。水晶振動子106では、共振周波数の変化量に基づいて液滴の重量を算出するが、共振周波数は水晶振動子106の表面の質量変化と粘弾性変化によって変化するので、一概に共振周波数のみにより液滴の重量を算出すると、その算出値は正確な重量ではなかった。これに対し、実施の形態1では、外部発振方式を採用しており、外部の発振回路111で生成された周波数(電圧)Vinによって水晶振動子106が励起されたときに流れる電流Iqを測定することにより、その周波数に対する水晶振動子106のインピーダンスを求めることができる。このインピーダンスから共振抵抗を求めることができ、その共振抵抗から液滴の粘度を測定することができ、その液滴の粘度から、粘度によって変化した共振周波数量を算出することができる。実際に測定した液滴の付着前後での共振周波数の変化量から、この粘度によって変化した共振周波数量を引くことで、液滴の質量のみによる共振周波数変化量を算出することができ、この液滴の質量のみによる共振周波数変化量を用いて、正確な液滴の重量を測定することができる。
【0055】
本実施の形態1の液滴吐出装置100は、工業用のインクジェット装置として使用することができ、例えば、配線、カラーフィルタ、配向膜、マイクロレンズアレイ、エレクトロルミネセンス材料、および生体物質等のパターン形成に使用することができる。以下に、一例として、本実施の形態1の液滴吐出装置100においてインクが塗布されるカラーフィルタ用の基板および該基板上の構造物について図10を参照して説明する。
【0056】
図10に示すように、ガラスなどの光透過性を有する基板400には、遮光膜410と隔壁420とが、基板400側からこの順で積層されている。このうち遮光膜410は、例えばクロムなどの遮光性材料の薄膜である。一方、隔壁420は、例えばアクリル樹脂などであり、液滴吐出装置100において赤色インクが塗布される塗布領域430Rと、緑色インクが塗布される塗布領域430Gと、青色インクが塗布される塗布領域430Bとの各々を区画する役割を果たす。
【0057】
液滴吐出装置100によるカラーフィルタのパターニング動作では、タンク104R、104G、104Bに貯蔵される各インクについて、標準駆動波形に応じて液滴を試験的に吐出させ、その試験的に吐出させた液滴の重量Imと粘度ηとに応じて、所定の吐出量、例えば「10ng」の液滴を吐出することが可能な適正駆動波形を特定し、特定した適正駆動波形を用いてカラーフィルタのパターニングを行う。液滴吐出装置100においては、まず基板400上の塗布領域430Rへ赤色インクを塗布し、次に塗布領域430Gへ緑色インクを塗布し、最後に塗布領域430Bへ青色インクを塗布する。
【0058】
尚、上述した実施形態においては液滴の重量Imおよび粘度ηを求めるための関係式として(式1)、(式2)および(式3)を示したが、重量Imおよび粘度ηを求めるための法則は、これらの関係式に限定されるものではなく、使用する定数やパラメータなどが異なる他の関係式や、近似式などを用いても良い。
【0059】
なお、液滴吐出装置100の用途は、電気光学装置に用いられるカラーフィルタのパターニングに限られなく、次のような様々な薄膜層の形成に用いることができる。例えば、有機EL(エレクトロルミネセンス)表示パネルに含まれる有機EL層や、正孔注入層などの薄膜形成に用いることができる。さらに詳述すると、有機EL層を形成する場合には、例えばポリチオフェン系の導電性高分子などの有機EL材料を含む液滴を、基板上に形成された隔壁により仕切られる塗布領域に向けて吐出して、液滴を塗布領域に塗布する。このように塗布された溶液が乾燥すると、塗布領域に有機EL層が形成される。
【0060】
また、その他の液滴吐出装置100の用途としては、プラズマディスプレイに含まれる透明電極の補助配線や、IC(integrated circuit)カードなどに含まれるアンテナなどのデバイスの形成などがある。具体的には、テトラデカンなどの有機溶剤に、銀微粒子などの導電性微粒子を分散させた分散液を液滴吐出装置100によりパターニングした後、有機分散液が乾燥すると、金属薄膜層が形成される。
【0061】
これら以外にも、液滴吐出装置100は、例えば立体造形に用いられる熱硬化樹脂などの他、マイクロレンズアレイ材料、また、DNA(deoxyribonucleic acid)やたんぱく質といった生体物質などの様々な材料を含む液滴を塗布することが可能である。
【0062】
以上説明した液滴吐出装置100により形成されたカラーフィルタを有する電気光学装置と、該電気光学装置を表示部として適用した電子機器について説明する。
【0063】
図11は、カラーフィルタを有する電気光学装置の断面図である。この図に示すように、電気光学装置440は、大略して、観察者側に向けて光を放出するバックライト機構442と、バックライト機構442から放出された光を選択的に透過させるパッシブ型液晶表示パネル444とを有している。このうち、液晶表示パネル444は、基板446と、電極448と、配向膜450と、スペーサ452と、配向膜454と、電極456と、カラーフィルタ460とを有している。
【0064】
カラーフィルタ460は、前掲した図と上下逆に示されており、隔壁420からみて基板400側が上側(観察者側)に位置している。このカラーフィルタ460に含まれる赤色カラーフィルタ432R、緑色カラーフィルタ432Gおよび青色カラーフィルタ432Bは、液滴吐出装置100によりパターニングされたものであり、設計値と略等しい厚みを有している。また、各カラーフィルタ432R、432G、432Bの背面側には、それらの保護を目的としたオーバーコート層434が設けられている。スペーサ452を隔てて対向する2つの配向膜450、454の間隔には、液晶453が封入されている。
【0065】
液晶駆動用IC457は、配線類459を介して電極448、456に駆動信号を供給する。このように電極448、456に駆動信号が供給されると、対応する液晶453の配向状態が変化する。これにより、液晶表示パネル444においては、バックライト機構442から放出された光を、各カラーフィルタ432R、432G、432Bに対応する領域(サブ画素)毎に選択的に透過させる。
【0066】
次に、図12は、電気光学装置440を搭載した携帯電話機600の外観図である。この図において、携帯電話機600は、複数の操作ボタン610の他、受話口620、送話口630とともに、電話番号などの各種情報を表示する表示部として、カラーフィルタを含む電気光学装置440を備えている。
また、携帯電話機600以外にも、液滴吐出装置100を用いて製造された電気光学装置440は、コンピュータや、プロジェクタ、デジタルカメラ、ムービーカメラ、PDA(Personal Digital Assistant)、車載機器、複写機、オーディオ機器などの各種電子機器の表示部として用いることができる。
【0067】
(実施の形態2)
図13は、本発明の実施の形態2にかかる液滴吐出装置の概略構成を示す図である。実施の形態2にかかる液滴吐出装置300は、インクジェットプリンタとしたものである。実施の形態2にかかる液滴吐出装置300は、用紙搬送路の一部にQCMセンサ301が設けられており、また、キャリッジ302に吐出ヘッドが搭載されている。この吐出ヘッドから吐出される液滴(インク滴)の重量の測定原理は、実施の形態1と同様であるのでその説明は省略する。実施の形態2にかかる液滴吐出装置300は、印刷用紙上でキャリッジ302を往復動させながら微細なインク滴を吐出することによって、印刷用紙上にインクドットを形成して画像を印刷するインクジェットプリンタである。
【0068】
図13を参照して、液滴吐出装置300が用紙に画像を印刷する動作を簡単に説明する。キャリッジ302には、インク滴を吐出するための吐出ヘッドが内蔵されている。キャリッジ302の上面側に装着されたインクカートリッジ308は吐出ヘッドにインクを供給する。印刷用紙は紙送りローラ303によってキャリッジ302の下側の所定位置に搬送される。印刷用紙が所定位置にセットされると、キャリッジ302は印刷用紙上を往復動しながら吐出ヘッドからインク滴を吐出させる。キャリッジ302は、図示するように2本のガイドレール305に導かれ、駆動ベルト306を介してキャリッジモータ307によって駆動される。このように、キャリッジ302を往復動させる動作は主走査と呼ばれる。
【0069】
キャリッジ302の主走査に同期させて紙送りローラ303を駆動し、印刷用紙を主走査方向と直角方向に少しずつ移動させる。このように、主走査方向と交差する方向に、吐出ヘッドと印刷用紙とを相対的に移動させる動作は副走査と呼ばれる。こうして、キャリッジ302を主走査させながら印刷用紙を副走査させ、これにあわせてインク滴を適切なタイミングで吐出することで印刷用紙上にインクドットを形成し、これによって画像を印刷している。
【0070】
このように、本発明の液滴吐出装置は、インクジェットプリンタにも好適に使用することが可能である。なお、インク滴の代わりに試料液体の重量を測定する場合には、インクカートリッジ308を取り外して、インクの代わりに試料液体が収納された容器をキャリッジ302に装着することにすれば良い。本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で適宜変形して実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる液滴吐出装置の全体の概略構成を示す図である。
【図2】吐出ヘッドの詳細な構成を示す図である。
【図3】吐出ヘッドから吐出する液滴の大きさを変更する原理を説明するための図である。
【図4】QCMセンサの構成を示す平面図である。
【図5】水晶振動子の等価回路を示す図である。
【図6】計測部の概念図である。
【図7】帰還型の自励発振方式の概念図である。
【図8】水晶振動子のアドミッタンス線図である。
【図9】本発明の実施の形態1にかかる液滴吐出装置の液滴重量の測定フローを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1にかかる液滴吐出装置において液滴が塗布されるカラーフィルタの基板を示す図である。
【図11】電気光学装置の一例を示す図である。
【図12】同電気光学装置を搭載した電子機器の一例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態2にかかる液滴吐出装置の全体の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
100 液滴吐出装置、101 制御部、102 ヘッドキャリッジ、103R、103G、103B 吐出ヘッド、104R、104G,104B インクタンク、105 ステージ、106 水晶振動子、107 計測部、108 表示部、 110 水晶、110a、110b 電極、111 振動電圧発生部、112 測定部、113 演算部、121 圧力室、122、ピエゾ素子、123ノズル、131 絶縁体、132a、132b 支持体、133a、133b端子 、300 液滴吐出装置、301 QCMセンサ、302 キャリッジ、303 紙送りローラ、305 ガイドレール、306 駆動ベルト、307
キャリッジモータ、308 インクカートリッジ
Claims (10)
- 液滴の重量を測定する液滴重量測定方法であって、
圧電振動子に設けられた電極に前記液滴が付着される前の前記圧電振動子の共振周波数を検出するステップと、
前記電極に前記液滴が付着された後の前記圧電振動子の共振周波数を検出するステップと、
前記検出された前記液滴の付着の前後の共振周波数の変化量を求めるステップと、
前記電極に前記液滴が付着された後の前記圧電振動子の共振抵抗、又は前記電極に前記液滴が付着された前後の前記圧電振動子の共振抵抗の変化量に基づいて、前記液滴の粘度を求めるステップと、
前記液滴の粘度によって変化した共振周波数の量を求めるステップと、
前記液滴の付着の前後の共振周波数の変化量と、前記液滴の粘度によって変化した共振周波数の量に基づいて、前記液滴の重量を求めるステップと
を備えたことを特徴とする液滴重量測定方法。 - 請求項1記載の液滴重量測定方法において、
前記圧電振動子の共振周波数は、前記圧電振動子のインピーダンス変化を検出することにより検出される
ことを特徴とする液滴重量測定方法。 - 請求項2記載の液滴重量測定方法において、
前記圧電振動子の共振抵抗は、前記圧電振動子のインピーダンスを検出することにより検出される
ことを特徴とする液滴重量測定方法。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の液滴重量測定方法において、
前記圧電振動子の共振周波数及び共振抵抗は、前記圧電振動子のアドミッタンス曲線を算出することにより検出する
ことを特徴とする液滴重量測定方法。 - 吐出ヘッドから液滴を吐出して描画対象物に描画する液滴吐出装置において、
前記吐出ヘッドに駆動信号を印加して液滴を吐出させる吐出ヘッド制御手段と、
両面に電極を有する圧電振動子からなる検出手段と、
前記電極に振動電圧を印加して前記圧電振動子を振動させる発振手段と、
前記吐出ヘッドから吐出される液滴が前記電極に付着する前後での前記圧電振動子の共振周波数の変化と、前記電極に前記液滴が付着された後の前記圧電振動子の共振抵抗又は前記電極に前記液滴が付着した前後の前記圧電振動子の共振抵抗の変化とを検出し、前記共振抵抗又は前記共振抵抗の変化に基づいて前記液滴の粘度を検出し、前記液滴の粘度と前記圧電振動子の共振周波数の変化に基づいて、前記電極に付着した液滴の重量を測定する液滴重量測定手段と
を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。 - 請求項5記載の液滴吐出装置において、
前記吐出ヘッド制御手段は、前記液滴重量測定手段で測定された液滴の重量に基づいて、前記吐出ヘッド印加する駆動信号の駆動波形を変更する
ことを特徴とする液滴吐出装置。 - 請求項5または6に記載の液滴吐出装置において、
配線、カラーフィルタ、配向膜、マイクロレンズアレイ、エレクトロルミネセンス材料、および生体物質のうちのいずれか1つのパターン形成を用途とすることを特徴とする液滴吐出装置。 - 請求項5から7のいずれか1項に記載の液滴吐出装置を使用することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
- 請求項8記載の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする電気光学装置。
- 請求項9記載の電気光学装置を含むことを特徴とする電子機器。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003207763A JP2005061871A (ja) | 2003-08-18 | 2003-08-18 | 液滴重量測定方法、液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011164017A (ja) * | 2010-02-12 | 2011-08-25 | Seiko Epson Corp | インク吐出量測定装置、インク吐出量測定方法、片持ち梁アレイ |
CN115479932A (zh) * | 2022-10-18 | 2022-12-16 | 中国矿业大学 | 一种基于云平台的现场痕迹物质检测系统及方法 |
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2003
- 2003-08-18 JP JP2003207763A patent/JP2005061871A/ja not_active Withdrawn
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