JP2005060530A - 重合体の分解方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリ塩化ビニル、アクリル系重合体およびポリウレタンを生物的に分解する。
【解決手段】バシラス属する微生物またはブレビバシラス属に属する微生物を、溶剤処理されたポリ塩化ビニル、アクリル系重合体あるいはポリウレタンに接触させることによって、ポリ塩化ビニル、アクリル系重合体およびポリウレタンを分解させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、重合体、例えばポリ塩化ビニル、アクリル系重合体あるいはポリウレタンなどの重合体を生物的に分解処理する方法に関する。
従来、ポリ塩化ビニルは、シートあるいは管などの成形品として広く使用されている。例えば、広告看板、工事現場の囲い壁面の保護、美装、室内外の壁面の美装などでは、裏面に粘着剤層を有する着色されたポリ塩化ビニルシート(塩ビシート)が主に用いられている。このような粘着シートは、幅広のシートを所望形状に切断するなどした後、基材などに貼り付けられるが、切り抜かれ、不要となった塩ビシートは産業廃棄物として処分されている。また、広告看板、壁面、ショーウインドーなどに貼り付けられた粘着シートは、いずれにしても所定期間経過後剥離され、新しい粘着シートに張り替えられることが多いが、使用後剥離除去された粘着シートもまた産業廃棄物として処分せざるをえない。これら廃棄物の処分方法としては、最終的には焼却、埋め立てに頼らざるをえないものであった。しかし、ポリ塩化ビニルは燃焼すると塩化水素などの発生の問題があるし、埋め立ての場合にもシートの飛散など、環境上の問題からその方法も制限される。このような問題は、粘着シートの場合だけでなく、農業用シート、成形品などの他の塩ビ製品の処分においても同様の問題がある。また、このような事情はアクリル系重合体、ポリウレタンの場合においても同様である。このため、ポリ塩化ビニル、アクリル系重合体などの重合体について、燃焼、埋め立てなどによることなく、生物的分解処理により環境に悪影響を与えない処理方法が注目されている。
従来、所謂難分解性重合体を生物的に分解処理する方法として、例えば、親水性ポリマーまたはそれを含む被処理物を好気生条件下において40℃〜95℃の温度範囲で微生物により分解させる方法(特許文献1参照)、N−ビニルアミド系ポリマーまたはそれを含む被処理物をコンボスト中で処理する方法(特許文献2参照)、含芳香族ポリエステルをトリコスボロン FERM BP−6445またはアルスロバクター FERM BP−6444により分解する方法(特許文献3参照)、オレフィン(共)重合体およびロジン樹脂分解能を有するアシネトバクター(Acinetobacter)に属する微生物で、オレフィン(共)重合体およびロジン樹脂を分解する方法(特許文献4参照)、ポリオレフィン分解能を有するスフィンゴモナス(Sphingomonas)属またはステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属に属する微生物によりポリオレフィンを分解する方法(特許文献5参照)、低密度ポリエチレン分解能を有するバシラス属に属する微生物により低密度ポリエチレンを分解する方法(特許文献6参照)、脂肪族ポリカーボネート樹脂分解能を有するシュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物をより脂肪族ポリカーボネート樹脂を分解する方法(特許文献7参照)など種々の方法が提示されている。
特開2002−27537号公報 特開2002−167464号公報 特開2000−143868号公報 特開平11−346763号公報 特開平11−346762号公報 特開平11−158318号公報 特開平8−187090号公報
したがって、本件発明は、従来の他の樹脂の処理と同様、環境に悪影響を与えず処理できる、ポリ塩化ビニル、アクリル系重合体およびポリウレタンの生物的処理方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、ポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタン分解能を有する微生物を提供することである。
本発明者は前記課題を解決すべく検討をした結果、基板などに貼り付けられていたポリ塩化ビニル粘着シートを、剥離液を用いて剥離したものを、生ゴミの生物的処理に用いられていた微生物群を用いて処理することにより、ポリ塩化ビニルが分解処理されることを見出し、この分解処理に関与する菌株を取得し、さらに検討した同菌株がポリ塩化ビニルの分解能のみでなく、アクリル系重合体、ポリウレタン分解能をも有することを見出して本発明をなしたものである。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(5)のポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンの分解方法または(6)〜(8)の微生物に関する。
(1)ポリ塩化ビニル、アクリル系重合体およびポリウレタンの少なくともいずれかに対し分解能を有する微生物をポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンに接触させることによって、ポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンを分解させることを特徴とするポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンの分解方法。
(2)ポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタン分解能を有する微生物が、バシラス(Bacillus)属する微生物またはブレビバシラス(Brevibacillus)属に属する微生物であることを特徴とする上記(1)記載のポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンの分解方法。
(3)バシラス属に属する微生物が、バシラス(Bacillus) FERM P−19471、バシラス ズブチリス(Bacillus subtilis) FERM P−19473、バシラス ズブチリス(Bacillus subtilis) FERM P−19474又はバシラス スミチイ(Brevibacillus sumithii) FERM P−19475であり、ブレビバシラス属に属する微生物が、ブレビバシラス(Brevibacillus) FERM P−19472であることを特徴とする上記(2)記載のポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンの分解方法。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンの分解方法において、ポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンがN−メチルピロリドンを主成分として含有する溶剤により膨潤処理された後、好気性条件下において40〜95℃の温度範囲で分解処理されることを特徴とするポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンの分解方法。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンの分解方法において、被分解物がポリ塩化ビニルであることを特徴とするポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンの分解方法。
(6)バシラス(Bacillus)属またはブレビバシラス(Brevibacillus)属に属する、ポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタン分解能を有する微生物。
(7)バシラス(Bacillus) FERM P−19471、バシラス ズブチリス(Bacillus subtilis) FERM P−19473、バシラス ズブチリス(Bacillus subtilis) FERM P−19474、バシラス スミチイ(Bacillus sumithii) FERM P−19475、又はブレビバシラス(Brevibacillus) FERM P−19472である上記(6)記載の微生物。
(8)ポリ塩化ビニル分解能を有することを特徴とする上記(6)または(7)に記載の微生物。
〔発明の詳細な説明〕
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の分解処理方法において用いられる上記微生物は、生ゴミの生物的処理に用いられていた微生物群をポリ塩化ビニルの存在下で48時間培養し、ポリ塩化ビニルがほぼ消滅されたことを確認した後、培養液を抽出し、増殖したと考えられる上位5種の微生物(菌)を単離、固定化することにより得られたものである。この分離により得られた5種の微生物を、それぞれNRK SIID2336−1b、2336−7b、2336−10b、233611b、2336−12bと命名した。得られた微生物について、16S rDNA(16S rRNA遺伝子)の部分塩基配列約500bpを用いての解析(16S rDNA−500塩基配列解析)により帰属分類群の推定を行った。解析により得られた各微生物の塩基配列は次のとおりであった。
配列番号:1
配列の長さ:535
配列の型:二本鎖
トポロジー:直鎖状
起源
生物名:NRK SIID2336−1b
〔配列表1〕
Figure 2005060530
配列番号:2
配列の長さ:421
配列の型:二本鎖
トポロジー:直鎖状
起源
生物名:NRK SIID2336−7b
〔配列表2〕
Figure 2005060530
配列番号:3
配列の長さ:535
配列の型:二本鎖
トポロジー:直鎖状
起源
生物名:NRK SIID2336−10b
〔配列表3〕
Figure 2005060530
配列番号:4
配列の長さ:535
配列の型:二本鎖
トポロジー:直鎖状
起源
生物名:NRK SIID2336−11b
〔配列表4〕
Figure 2005060530
配列番号:5
配列の長さ:537
配列の型:二本鎖
トポロジー:直鎖状
起源
生物名:NRK SIID2336−12b
〔配列表5〕
Figure 2005060530
なお、16S rDNA−500塩基配列解析は次のように行われた。まず、各検体をActino Medium No.2(日本放射線菌学会規格)に植菌し、35℃で2日間培養した。その後、この菌体をDNA抽出の供試菌体とした。ゲノムDNAの抽出には、PrepMan Method(Applied Biosystems, CA,USA)を使用した。抽出したゲノムDNAを鋳型として、PCRにより16S Ribosomal RNA(16S rDNA)のうち5’末端側約500bpの領域を増幅した。その後、増幅された塩基配列をシーケシングし、検体の16S rDNA部分塩基配列を得た。PCR産物の精製、サイクルシークエンスにはMicroSeq 500 16S rDNA Bacterial Sequencing Kit(Applied Biosystems, CA,USA)を使用した。サーマルサイクラーには、GeneAmp PCR System 9600(Applied Biosystems, CA,USA)、DNAシーケンサーにはABI PRISM 3100 DNA Sequencer(Applied Biosystems, CA,USA)を使用した。
解析では、得られた16S rDNA−500塩基配列を用いて相同性検索を行い、相同率の上位10株を決定し、更に、検索された上位10株と検体の16S rDNAを用いて、近隣結合法により分子系統樹を作成し、検体の近縁種および帰属分類群の検討を行った。結果は次のとおりであった。
NRK SIID2336−1bの16S rDNA部分塩基配列はBacillus amyloliquencies、およびBacillus atrophaeusの16S rDNAに対し、相同率99%以上の高い相同性を示した。分子系統樹上では、NRK SIID2336−1bの16S rDNAはBacillus amyloliquenciesの16S rDNAとクラスターを形成した。BLASTを用いたGenBank/DDBJ/EMBLに対する相同性検索の結果では、相同率100%でBacillus sp. Bch1株の16S rDNAと一致した。検索された上位株はBacillus由来の16S rDNAで占められた。
NRK SIID2336−7bの16S rDNA部分塩基配列は相同率98.57%でBrevibacillus choshinensis、 Brevibacillus reuszeriおよびBrevibacillus parabrevisの16S rDNAに対し最も高い相同性を示した。分子系統樹上では、NRK SIID2336−7bの16S rDNAはBrevibacillus parabrevisの16S rDNAとクラスターを形成した。BLASTを用いたGenBank/DDBJ/EMBLに対する相同性検索の結果では、相同率100%でBrevibacillus sp. BN53-1株の16S rDNAと一致した。検索された上位株はBrevibacillus由来の16S rDNAでほぼ占められた。
NRK SIID2336−10bの16S rDNA部分塩基配列は、相同率100%でBacillus subtilis subsp. subtilisの16S rDNAと一致した。分子系統樹上でもBacillus subtilis subsp. subtilisの16S rDNAと同じ場所に位置した。
NRK SIID2336−11bの16S rDNA部分塩基配列は相同率100%でBacillus subtilis subsp. subtilisの16S rDNAと一致した。NRK SIID2336−11bの16S rDNAは分子系統樹上でもBacillus subtilis subsp. subtilisの16S rDNAと同じ場所に位置した。
NRK SIID2336−12bの16S rDNA部分塩基配列は相同率100%でBacillus smithiiと一致した。NRK SIID2336−12bの16S rDNAは分子系統樹上でも分子系統樹上でもBacillus smithiiの16S rDNAと同じ場所に位置した。
これらの結果から、NRK SIID2336−1bはバシラス(Bacillus)属、NRK SIID2336−7bはブレビバシラス(Brevibacillus)属、NRK SIID2336−10bはバシラス ズブチリス(Bacillus subtilis)、NRK SIID2336−11bはバシラス ズブチリス(Bacillus subtilis)、NRK SIID2336−12bはバシラス スミチイ(Bacillus sumithii)に帰属するものと結論付けられた。
これらについては、従来該当する菌株が見当たらなかったことから、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託した。寄託番号は、NRK SIID2336−1bはFERM P−19471、NRK SIID2336−7bはFERM P−19472、NRK SIID2336−10bはFERM P−19473、NRK SIID2336−11bはFERM P−19474、NRK SIID2336−12bはFERM P−19475である。
本発明のポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンを分解する際には、これら微生物は単独で用いられてもよいが、組み合わせて使用することが好ましい。分解は、ポリ塩化ビニルまたはアクリル系重合体を、例えば、N−ビニルピロリドンを主成分とする溶剤によって膨潤処理した後、上記微生物と接触させることにより行うことが好ましい。微生物と重合体との接触は、水溶液中で行われてもよいし、膨潤溶液中で行われてもよい。水溶液中で重合体の分解処理を行う場合には、溶剤で膨潤された重合体を溶剤から取り出して、微生物の水溶液と接触させる方法が採られる。膨潤溶剤中で重合体の分解処理を行う場合には、重合体が入れられた溶剤中に上記微生物の水溶液を添加してやればよい。処理装置は、固定床式の装置、流動床式の装置の何れであってもよい。微生物は水溶液中にそのまま懸濁させ、使用してもよいが、固定化担体表面に着床させれば菌の流出を防ぐことが可能となり、濃厚な菌液を得ることができるため、効率よく重合体の分解を行うことができる。
重合体の分解を行う際は、好気的に、40〜95℃の温度で行うことが好ましい。処理温度を例えば70℃〜90℃とすれば、菌の活性が高くなり、処理の促進が図られる。処理時の菌の培養方法は、振盪培養、静置培養、攪拌培養等いずれを用いても良い。
ポリ塩化ビニル、アクリル系重合体あるいはポリウレタンを膨潤する溶剤としては、水溶性あるいは水と親和性を有する溶剤が用いられる。このような溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、セロソルブアセテート、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、3−ピロリドンなどのピロリドン系溶剤、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの含窒素溶剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、或いは混合されて用いられてもよい。なお、これら溶剤に加えて、さらにテルペン系溶剤を配合し、芳香性、樹脂溶解力、再汚染防止力、除臭力、生分解性を向上させることもできる。テルペンは(C)nで表示され、nが2〜4のものが好ましく使用でき、例えば、シトラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、シネンサール、リナロール、ミルセノール、α−ピネン、β−ピネン、D−リモネン、ミルセンなどが挙げられる。当該テルペンは、全処理溶剤に対し、好ましくは2〜28重量%配合される。
また、溶剤とともに界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤としては、アニオン、カチオン、ノニオン性の何れのものであってもよい。代表的な界面活性剤としては
次の様なものが挙げられる。すなわち、ノニオン系としては、ポリオキシレンエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフエニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル、アミノ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸アルキルエステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸等であり、陰イオン系としては、脂肪酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、アシルタウリン塩、アシルグルタミン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、などである。これら界面活性剤は、全処理溶剤に対し、好ましくは2〜25重量%配合される。
使用する溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドンを主剤として用いるものが好ましく、剥離液の組成の好ましい例としては、N−メチル−2−ピロリドンを50〜90重量%、界面活性剤2〜25重量%、テルペン2〜28重量%、残部が水からなるものが挙げられ、さらに好ましいものとしては、N−ビニルピロリドン70〜80重量%程度、必要に応じて用いられるエチルアルコールなどの低級アルコール6〜9重量%程度、界面活性剤15重量%程度、D−リモネン10重量%程度からなるものが挙げられる。
以下、ポリ塩化ビニルを例に挙げて、具体的に処理の工程を説明する。まず、処理対象となるポリ塩化ビニルであるが、シート状となったものは必要に応じ処理槽で処理可能な程度の大きさに切り、また成形品については、破砕して処理液との接触面積が大となるように適宜の大きさとする。この適宜の大きさとされたポリ塩化ビニルを必要に応じ溶剤により膨潤処理した後、処理槽に投入する。ポリ塩化ビニルの処理槽への投入は、水の投入後あるいは水および菌の投入後であってもよい。次いで処理槽には、水と菌および菌に対する適宜の栄養源となる物質を溶解した液が投入される。菌は、必要に応じ菌床に菌が着床された形態のものであってもよい。処理槽は適宜の温度とされ、かつ攪拌等を行なって、菌の培養がなされる。処理槽の温度は常時一定の範囲に保たれることが好ましく、また、水、栄養源も適宜の時期に補充される。必要であれば液のpHの管理も適宜行えばよい。所定の時間処理した後、必要であればさらに新たなポリ塩化ビニルを投入し、処理が続行される。処理が終わった後には、処理液の取り出し、残渣の除去を行い、再度同様の処理を繰り返し行う。本発明により塩化ビニルは速やかに分解される。処理スピードは、処理液、菌量に対する重合体の量、重合体の重合度、共重合モノマーの種類、被処理体が硬質か軟質か、処理液との接触面積、樹脂に対する溶剤処理の有無や処理時間など種々の条件によっても異なる。軟質ポリ塩化ビニルシートであれば、通常24〜48時間程度でほぼ分解が終了する。処理を実施する際に、攪拌速度、処理液に対するポリ塩化ビニルの量、菌の処理液中での濃度、処理温度、処理液のpHの調整、菌床の種類、さらにはポリ塩化ビニルの溶剤などによる予備処理液の改良、最適化などを行えば、さらに良好な結果を得ることができる。
以上、ポリ塩化ビニルについて説明したが、アクリル系重合体、ポリウレタンについても同様の処理を行うことにより、同様の速度での分解がなされる。
本発明の方法により、従来生物的に処理できなかった難分解性のポリ塩化ビニル、アクリル系重合体、ポリウレタンが迅速に生物的に分解処理できる。したがって、本発明により、環境に負荷を掛けることなく前記各重合体の処理を行うことが可能となる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
図1に、本発明の生物的分解処理を行うための装置を示し、図2に本実施例において用いられる菌床を示す。図1において、図1(a)は生物的分解処理装置の平面模式図であり、図1(b)は図1(a)のA−A断面図である。図中、1は分解処理装置の外枠であり、2は処理槽を形成する内枠であり、外枠と内枠の間は空間部3とされる一方、外枠下方には前記空間部3に温水を導入する注水管7が、また外枠上部には、温水を排出する排水管8が取り付けられている。さらに、処理槽には、内枠及び外枠を貫通して回転軸4が設けられ、回転軸4には攪拌羽根5が取り付けられている。この装置においては、この空間部3に注水管7から温水が導入、循環されて排水管8から排水され、恒温槽とされている。図1の装置においては、80℃の温水が注入、循環、排出されて、処理槽の温度がほぼ80℃に保たれている。また、処理槽内には回転軸4に回転羽根5が4本取り付けられており、図示しないモータにより歯車6を介して回転軸4が回転されている。この例では30rpmの回転速度で回転軸を間欠的に回転させることにより攪拌が行われた。
本例では、処理槽の容量が約0.02m3の大きさのものが用いられ、この処理槽に、図2に示される菌床11が4リットル投入された。菌床11は、プラスチック88重量%に炭素を10重量%を混合して発泡加工するとともに、雲母型粘土質鉱物12を2重量%粉体状の形態で混入して製造されたもので、円筒状で、外表面に凹凸13を有する、外径φ約1.2cm、内径0.8cm、高さ1cmの大きさのものが用いられた。
厚さ50μmのポリ塩化ビニルシートを被処理シートとし、この12gを採り、N−メチル−2−ピロリドン約80重量%、界面活性剤約10重量%、D−リモネン約5重量%、およびエチルアルコール約5重量%を含有する溶剤により30〜60分膨潤処理した。処理後、被処理ポリ塩化ビニルを処理槽に投入し、更に80℃の温水300ccとバシラス(Bacillus) FERM P−19471、バシラス ズブチリス(Bacillus subtilis) FERM P−19473、バシラス ズブチリス(Bacillus subtilis) FERM P−19474又はバシラス スミチイ(Brevibacillus sumithii) FERM P−19475およびブレビバシラス(Brevibacillus) FERM P−19472を含む溶液50ccを投入し、処理槽の温度を約80℃に保った状態で攪拌羽根による30rpmでの間欠攪拌を行った。水を適宜補給しながら、24時間この状態を保持した後、処理を終了し、残留するポリ塩化ビニルシートの量を測定した。0.5gのポリ塩化ビニルが処理槽内に残存していた。
処理後の濾液の赤外吸収スペクトルは、図3に示すものであった。また、汚泥の赤外吸収スペクトルは、図4に示すものであり、処理後に残存する固形物の赤外吸収スペクトルは、図5に示すものであった。汚泥の赤外吸収スペクトルには1062cm-1に酸化ケイ素の大きな吸収が示されているが、図5のポリ塩化ビニルの吸収の特徴である1727cm-1および2800〜3000cm-1の吸収ピークは弱い。また、図3の濾液の吸収スペクトルとしては、1596、1411、1105cm-1などに界面活性剤に基づくと思われる吸収が見られる。
以上の結果から、本発明の微生物処理により、ポリ塩化ビニルが迅速に分解処理されていることが分る。
上記実施例1と同様の装置、同様の条件で、アクリル系重合体シートの分解処理を行った。アクリル系重合体シートとして、50μm厚のシートを用いた。24時間後のアクリル系重合体シートの残量は0.5gであった。この結果から、本発明の処理法により、アクリル系重合体シートの分解が迅速に行われることが分る。
アクリル系重合体シートに代えて50μm厚のポリウレタンシートを用いることを除き、実施例2と同様の処理を行い、実施例2と同様の結果を得た。
図1は、本発明の生物的分解処理を行う処理装置の平面図および断面図である。 図2は、実施例において用いられる菌床の斜視図である。 ポリ塩化ビニルを本発明により分解処理した後の、処理槽内に残存する処理液の赤外吸収スペクトル図である。 ポリ塩化ビニルを本発明により分解処理した後に処理槽に残存する汚泥の赤外吸収スペクトル図である。 ポリ塩化ビニルを本発明により分解処理した後に処理槽に残存する固形物の赤外吸収スペクトル図である。
符号の説明
1 分解処理装置の外枠
2 処理槽を構成する内枠
3 空間部
4 回転軸
5 攪拌羽根
6 歯車
7 注水管
8 排水管
11 菌床
12 雲母型粘土質鉱物

Claims (8)

  1. ポリ塩化ビニル、アクリル系重合体およびポリウレタンの少なくともいずれかに対し分解能を有する微生物をポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンに接触させることによって、ポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンを分解させることを特徴とするポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンの分解方法。
  2. ポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタン分解能を有する微生物が、バシラス(Bacillus)属に属する微生物またはブレビバシラス(Brevibacillus)属に属する微生物であることを特徴とする請求項1記載のポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンの分解方法。
  3. バシラス属に属する微生物が、バシラス(Bacillus) FERM P−19471、バシラス ズブチリス(Bacillus subtilis) FERM P−19473、バシラス ズブチリス(Bacillus subtilis) FERM P−19474又はバシラス スミチイ(Bacillus sumithii) FERM P−19475であり、ブレビバシラス属に属する微生物が、ブレビバシラス(Brevibacillus) FERM P−19472であることを特徴とする請求項2記載のポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンの分解方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンの分解方法において、ポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンがN−メチルピロリドンを主成分として含有する溶剤により膨潤処理された後、好気性条件下において40〜95℃の温度範囲で分解処理されることを特徴とするポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンの分解方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンの分解方法において、被分解物がポリ塩化ビニルであることを特徴とするポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタンの分解方法。
  6. バシラス(Bacillus)属またはブレビバシラス(Brevibacillus)属に属する、ポリ塩化ビニル、アクリル系重合体またはポリウレタン分解能を有する微生物。
  7. バシラス(Bacillus) FERM P−19471、バシラス ズブチリス(Bacillus subtilis) FERM P−19473、バシラス ズブチリス(Bacillus subtilis) FERM P−19474、バシラス スミチイ(Bacillus sumithii) FERM P−19475、又はブレビバシラス(Brevibacillus) FERM P−19472である請求項6記載の微生物。
  8. ポリ塩化ビニル分解能を有することを特徴とする請求項6または7に記載の微生物。
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