JP2005059014A - 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鋼板の片面あるいは両面に、圧延方向にほぼ垂直で、且つ一定周期で線状の溝と溝内部中央部に凸の溶融再凝固層を形成して鉄損特性を改善した方向性電磁鋼板において、溝の深さをd1、溝内部中央部の溶融再凝固層断面の高さをd2、以下の条件を全て満たす。10≦d1≦40μm、0.5≦d2/d1≦1.0
またレーザビーム投入照射エネルギー密度Upとビーム通過時間Tc以下の範囲である。0.2≦Up≦10 J/mm2、1≦Tc≦400μs
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、方向性電磁鋼板表面にレーザ加工により溝と溶融再凝固層を形成することで、歪み取り焼鈍後にも優れた磁気特性を維持し、巻鉄芯に使用可能な方向性電磁鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
方向性電磁鋼板は、鉄損を低減することがエネルギー節約の観点から要望されている。その方法として、レーザ照射により磁区を細分化する方法が既に特公昭58−26405号公報に開示されている。この方法では、レーザビームを照射することによって生じる熱衝撃波の反力によって方向性電磁鋼板に応力歪みを導入し、磁区を細分化することにより鉄損の低下を図るものである。しかし、この方法では、レーザ照射により導入した歪みが焼鈍時に消失し、磁区細分化効果が失われるという問題がある。したがって、この方法によって製造された方向性電磁鋼板は、歪取り焼鈍を必要としない積鉄芯トランス用としては使用できるが、歪取り焼鈍処理を必要とする巻鉄芯トランス用としては使用できない。
【0003】
そこで、鉄損値低減効果が歪取り焼鈍後も残るようにした方向性電磁鋼板の鉄損改善方法として、鋼板表面に溝を形成し、空隙での透磁率変化を利用して磁区を細分化する方法がさまざまに提案されている。例えば、特許文献1には歯形ロールで鋼板を押圧して溝を鋼板表面に形成する方法が、また、特許文献2には化学的エッチングにより溝を形成する方法かつ、さらに、特許文献3にはQスイッチCO2レーザで鋼板表面に点列溝を形成する方法などが開示されている。また、特許文献4、特許文献5には鋼板表面に溝ではなく、溶融再凝固層をレーザによって形成する方法が、特許文献4には溝と溝下層部に薄い溶融再凝固層をレーザにより形成する方法などが開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特公昭63−44804号公報
【特許文献2】
米国特許第4750949号公報
【特許文献3】
特開平7−220913号公報
【特許文献4】
特願平10−284034号明細書
【特許文献5】
特開平6−212275号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術のうち、歯形ロールを用いる機械的方法は、電磁鋼板の硬度が高いため歯形が短期間で摩耗し、その結果、メンテナンス頻度が高いという問題がある。化学的エッチングによる方法は、歯形が磨耗するという問題はないが、マスキング、エッチング処理、マスク除去の工程が必要であり、機械的方法に比べて工程が複雑になる問題がある。QスイッチCO2レーザで鋼板に点列溝を形成する方法は、非接触で凹みを形成するため、歯形が磨耗する、工程が複雑になるという問題がないが、市販のレーザ発振装置に特殊なQスイッチ装置を別途追加する必要があるという問題がある。また、単純な溝形成による方法では、空隙部での透磁率減少のため磁束密度の劣化と占積率(積層した鉄芯の中で鋼板が占める割合)の低下を招き、変圧器の性能を低下させる問題がある。溶融再凝固層を形成する方法は、溝による体積減少がないため占積率低下は解消されるが、鉄損改善効果が溝形成法に比べ劣位傾向にある。また、溝と溝下層部に薄い溶融再凝固層をレーザにより形成する方法は、溝と溶融再凝固層の相乗効果が期待できるものの、溶融再凝固層の占める割合が小さいため、溝形成の場合と同様に磁束密度劣化と占積率の低下が生じてしまう問題があった。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、溝形成と同等以上の鉄損改善を有すとともに磁束密度の劣化、占積率の低下を最小限に抑えた方向性電磁鋼板および製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、鋼板の表面に、圧延方向にほぼ垂直で、且つ一定周期で線状の溝と溝内部中央部に凸の溶融再凝固層を形成して鉄損特性を改善した方向性電磁鋼板において、溝の深さをd1、溝内部中央部の溶融再凝固層断面の高さをd2として、以下の条件を全て満たすことを特徴とする磁気特性の優れた方向性電磁鋼板である。
10≦d1≦40μm
0.5≦d2/d1≦1.0
また本発明は、方向性電磁鋼板の製造方法において、レーザビームを走査照射して前記の溝と溶融再凝固層を形成すること、その照射条件として、レーザビームの照射パワーをP(W)、集光ビームのビーム走査方向径をdc(mm)、集光ビーム面積をS(mm2)、ビーム走査線速度をVc(mm/sec)とした時、ビーム通過時間Tc(sec)をTc=dc/Vc、照射エネルギー密度Up(mJ/mm2)をUp=(P/S)×Tcとで定義し、TcとUpがそれぞれ以下の範囲であることを特徴とする磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法である。
0.2≦Up≦10J/mm2
1≦Tc≦400μsec
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、レーザビームのスキャン照射加工により溝と溶融層を形成して鉄損を改善する技術において、レーザ照射条件、溝と溶融再凝固層の断面形状、および磁気特性について詳細に研究を行った。その結果、ある特定の断面形状において、鉄損改善率を最大化し、且つ磁束密度劣化と占積率劣化を最小限に抑制することを見出した。更にそれを実現するために、レーザ加工による溶融、再凝固現象を利用した新たな加工方法を考案した。以下に実施例を用いて本発明を説明する。
【0009】
まず本発明の溝および溶融再凝固層の形状とその効果について説明する。図1は本発明の溝および溶融再凝固層の断面模式図である。また図2、3、4は従来の技術における溝、または溶融再凝固層の断面模式図である。図2の溝のみの形状はエッチング、あるいは歯形ロールにより形成されるものであり、図3、4の溝とその下層に溶融層が存在する形状、また溝を伴わない溶融層は、例えばレーザビームの走査照射により形成される。本発明における断面形状の特徴は溝のほぼ中心に溶融再凝固層の凸部が存在することであり、その形状は溝の深さd1、凸部の高さd2、溝の全幅Hで特徴づけられる。一方、従来の技術である図2〜4の形状もd1、H、あるいは溶融層の厚みd3で特徴づけられる。
【0010】
本発明者らは上記パラメータと鉄損改善率η、磁束密度劣化量△B8、占積率γの関係を詳細に調べた。ここでηは鉄損W17/50(W/kg)の改善率であり、次式で定義される。
【0011】
η(%)=(溝、溶融層形成前の鉄損−溝、溶融層形成後の鉄損)/溝、溶融層形成前の鉄損
溝、溶融層形成後の鉄損は800℃で4時間の歪み取り焼鈍を行った後の測定値である。なお、W17/50は、周波数50Hz、最大磁束密度1.7Tのときの鉄損である。
【0012】
△B8は溝、溶融層形成前後の磁束密度の減少量であり次式で定義される。
【0013】
△B8(ガウス)=溝、溶融層形成前のB8−溝、溶融層形成後のB8
ここでB8は磁界800A/mにおいて発生しえる磁束密度と定義され、この値が高いほど方向性電磁鋼板の結晶方位性が高く、容易に高い磁束が得られるため優れた鉄芯材料と見なされる。
【0014】
占積率γは積層した鉄芯の中で鋼板が占める割合であり、鋼板を積層した後に圧力を加えて鉄芯を形成した際の、鉄芯の質量m(g)、鋼板の密度D(g/cm3)、長さL(cm)、幅b(cm)、鉄芯の厚みh(cm)とすると以下で定義される。
【0015】
γ(%)=m/(b×L×h×D)
図5は溝、溶融層の深さd1、d3、あるいはその合計値であるdと鉄損改善率ηの関係について従来技術と本発明で調べた実験結果である。ここで本発明の製品(図1)と従来製品でエッチングなどにより溝のみを形成した場合(図2)のdとは溝深さd1に相当する。従来製品で溝と溶融層を形成した場合(図3)におけるdとはd1とd3の和である。また溶融層のみを形成した場合(図4)のdとはd3に相当する。溝または溶融層は鋼板の両面に圧延方向にほぼ垂直な方向に平行して形成され、その間隔は3mmである。尚、深さdは片面当たりの深さである。また本発明の製品の特徴である溝中央の凸部の高さd2は後述するレーザ照射条件の制御によりd2/d1=0.5に固定した。溝深さd1は2箇所存在するが、深い方をd1と定義する。
【0016】
図5の結果より、いずれの場合もηのdに対する依存性はほぼ一致しており、手法によらず、10≦d≦40μmにおいて高い改善率が得られる。空隙による鉄損改善のメカニズムは、空気と鋼板の透磁率の差により溝壁面に磁極が発生し、磁区が細分化することにあると考えられる。従って、圧延方向に垂直な成分である深さdは磁極発生量に影響が大きいことが推測され、図5の結果はそれを裏付けるものである。
【0017】
ここでdが小さい場合は上記の考察から十分な鉄損改善効果が得られないと考えられる。一方、dが大きくなりすぎると磁束が通過する鋼板断面積が減少する。その結果、溝部での単位面積当たりの実効磁束密度は増加してしまう。W17/50は発生する最大磁束を鋼板の平均断面積で割った値、すなわち磁束密度が1.7Tになる場合の鉄損に相当するが、溝がある部分は断面積が小さくなるため、磁束密度は1.7Tより高くなっていることが推測される。一般に発生した磁束密度が高いほど鉄損は増加するため、溝部近傍の鉄損は相対的に増加する。その結果、溝が深くなりすぎると磁区細分化による鉄損改善効果よりも鋼板断面積の過大な減少に起因する局部的な鉄損増加の影響が大きくなり、図5のdが大きい領域で見られる様な鉄損改善率の低下につながったものと考えられる。以上説明したように、dに関しては最適範囲が存在し、その範囲は10≦d≦40μmであるという基礎的知見を得た。
【0018】
改善率の絶対値に注目すると、本発明の断面形状の場合、エッチング等で形成された溝の場合に比べ、同じ深さdにおいて多少高い鉄損改善率が見られた。これは溝中心部の溶融部が再凝固する際に残留応力を発生するため、これが何らかの磁区制御効果を発生させていると推測される。また溶融層のみの場合に比べてより高い鉄損改善率が得られた。溶融層による鉄損改善効果は残留応力と溶融部の透磁率の変化が磁区細分化の根元と考えられるが、本発明では更に溝の効果が付与されるため同等以上の改善効果が得られていると考えられる。
【0019】
次に磁束密度劣化量△B8について検討した。B8は800A/mの磁界でどれだけ磁束を発生し得るかという指標である。ここで鋼板断面積が減少すると、そこを貫く磁束発生抵抗は大きくなると考えられる。すなわち溝深さdが増加するとB8は減少する。更に磁束の発生方向は圧延方向に一致するため、溝の幅Hが増加して断面積の小さい部分が圧延方向に長くなると更に磁束の発生抵抗は増加するものと推測される。そこで△B8について各種法における、△B8のd依存性を調べた。また本発明の製品の特徴である溝中央の凸部の高さd2は後述するレーザ照射条件の制御によりd2/d1=0.5に固定した。
【0020】
図6は幅Hを0.2mmに固定して、深さdと△B8の関係を調べた結果である。これより従来の溝加工製品ではdの増加とともに△B8が大きく増加することがわかる。溶融層による方法では基本的に溝が形成されないため△B8はほとんど見られない。一方、本発明の製品では溝深さは従来製品と同様に△B8は増加する傾向が見られるが、溝中心部に溶融層の凸部が存在するため、実効的な幅Hは狭いと考えられ、△B8は従来の溝製品に比べ小さい。
【0021】
次に占積率γについて本発明と従来製品を比較した。ここではすべての製品においてH=200μm、d=20μmに固定して、占積率を調べた。本発明の溝中央の凸部高さd2はd2/d1=0.5に固定した。図7に占積率の比較結果を示す。溶融層のみの場合は鋼板の体積減少がないため最も高い占積率が得られる。従来の溝製品は体積除去の影響により占積率は低下する。本発明の方法では、凸部の効果により実効除去体積は小さく、その結果、相対的に占積率低下は従来溝製品に比べ小さいことが判明した。
【0022】
次に本発明の溝形状における中央の溶融再凝固層高さd2の最適範囲について占積率γを用いて説明する。本発明の製品では溝中央の凸部が溝深さの中で占める割合が大きな意味を持つ。そこでd2とd1の比率d2/d1と占積率γの関係について評価を行った。図8に示すように、d2/d1が0.5を超える範囲ではγは比較的高い値を示すが、1.0を超えるとγは大きく低下する。これは溶融の凝縮度が激しく、溝深さを超えて表面に凸が発生した場合である。この場合、積層した鋼板の間に空隙が発生するため、占積率が大きく低下したものである。以上の結果より、d2/d1の最適な範囲は0.5<d2/d1<1.0である。
【0023】
次に本発明の製品を製造する方法について説明する。本発明の製品の特徴は溝中央部に凸部を持つことである。この凸部の形成方法について本発明者らは連続波レーザ光の高速ビーム走査加工法において溶融部の再凝固過程で発生する凸部形成に着目し、レーザ照射条件を最適制御することで所望の溝深さ、および凸部高さが得られることを見出した。以下に図9、および式(1)〜(3)を用いて本発明に最適なレーザ条件について説明する。図9はレーザビームの照射模式図である。
【0024】
Ip=P/S=P/(π/4×dl×dc)・・・式(1)
Tc=dc/Vc・・・・・・・・・・・・・・式(2)
Up=Ip×Tc・・・・・・・・・・・・・・式(3)
溝形成メカニズムは、鋼板温度が融点を超え、更に沸点を超えて蒸発飛散することにあると考えられる。従って局所的に非常に高いパワー密度が要求される加工現象である。よって溝形成はレーザパワーを照射ビーム面積で除した空間的パワー密度Ip(W/mm2)に依存すると考えられる。しかしビームが高速で移動する際には移動による加工時間、すなわちビーム通過時間の影響も加味する必要がある。よってレーザパラメータとして局所エネルギー密度Up(mJ/mm2)を定義し、溝深さに影響するパラメータとした。Upはパワー密度Ipのビームが、走査方向ビーム径dc(mm)と走査速度Vc(mm/s)できまる通過時間Tc(s)の間に照射された総エネルギー密度と定義される。ここでdlはビーム走査方向と直交する方向の集光ビーム径である。
【0025】
次に溝中央部の凸部は、レーザ照射により溶融した金属がビームの通過後に冷却される際の凝縮過程で発生するものである。従って溶融・凝縮の緩急により凸部の形状が決定されると考えられる。すなわちTcが凸部への影響が最も大きい。傾向として急速加熱・急冷却では溝もできないか、あるいは周辺部への熱緩和速度より速く溝内部で凝固が起こるため、凸部の凹凸が激しく、部分的に高い凸部が発生する。加熱・冷却速度が遅い場合は、周辺部への熱緩和により比較的ゆっくりした凝固がおこり、その結果、比較的平坦な溶融部ができる傾向がある。
【0026】
次に実験から得られたUp、Tcの具体的な最適範囲を示す。まずUpが0.2J/mm2以下の場合、すなわちIp、およびまたはTcが非常に小さい場合は、溝が全く形成されないため鉄損改善率が優れない。一方、Upが10J/mm2を超える場合、すなわちIpおよびまたはTcが非常に大きな場合は、溝が深くなり、特に△B8や占積率の低下が大きい。従って、Upの範囲は0.2〜10J/mm2が最適である。
【0027】
上記のUpの最適範囲は主に溝深さの観点で決定されるものであるが、更に凸部高さを最適化するため、Tcの範囲が決定される。図10(a)、(b)、(c)にTcに依存した断面形状の模式図を示す。Tcが1μs以下の領域では凝固速度も非常に速いため周辺部への熱緩和がなく、溝内部で凸部の急速凝固が発生し、凸部は溝深さd1を超え鋼板表面以上まで形成される。その結果、d2/d1>1となり、占積率が大幅に低下する。一方、Tc>400μsの範囲では凝固過程は非常に緩やかであり、周辺部との熱緩和も発生するため、例えば、図4に示されるような平坦な溶融部となり溝も埋まってしまう。
【0028】
以上の実施例より、本発明の溝・溶融層を形成するのに最適な方法は連続波レーザ光を円形、または楕円状に集光し、図9、式(1)〜(3)で示される照射パラメータUpとTcが以下の範囲である。
0.2≦Up≦10J/mm2
1≦Tc≦400μs
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明における溝と溝中央部に溶融再凝固金属の凸部をもつ断面形状によって、高い鉄損改善率が得られ、更に磁束密度と占積率の劣化を最小限に抑えられるという利点がある。なお、本発明における溝と溝中央部に溶融再凝固層鋼板の凸部の形成は鋼板表面の片面あるいは両面どちらでも効果が認められた。また、本発明の製品の製造方法において、本発明の条件範囲にてレーザビームの高速走査加工を行うことで、優れた方向性電磁鋼板を製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方向性電磁鋼板の溝および溶融再凝固層の断面模式図である。
【図2】従来技術である溝のみの断面模式図である。
【図3】従来技術である溝と溶融再凝固層の断面模式図である。
【図4】従来技術である溶融再凝固層のみの断面模式図である。
【図5】溝あるいは溶融層深さdと鉄損改善率ηの関係図である。
【図6】幅Hを固定した場合の溝あるいは溶融層深さdと磁束密度劣化量△B8の関係図である。
【図7】本発明と従来例の占積率の比較図である。
【図8】本発明におけるd2/d1と占積率の関係図である。
【図9】本発明のレーザビーム照射パラメータの説明図である。
【図10】(a)、(b)、(c)はいずれも本発明におけるレーザビーム通過時間Tcと形成される溝・溶融層断面の相関模式図である。
【符号の説明】
d1…溝深さ
d2…凸部高さ
d3…溶融部深さ
d…溝深さ、およびまたは溶融部深さの合計
H…溝または溶融部の圧延方向の幅
dl…照射ビームの圧延方向の径
dc…照射ビームの板幅(ビーム走査方向)の径
P…レーザパワー
S…照射ビーム面積
Ip…照射パワー密度
Up…照射エネルギー密度
Tc…ビーム通過時間
η…鉄損改善率
△B8…磁束密度減少量
γ…占積率
Claims (2)
- 鋼板の表面に、圧延方向にほぼ垂直で、且つ一定周期で線状の溝と溝内部中央部に凸の溶融再凝固層を形成して鉄損特性を改善した方向性電磁鋼板において、溝の深さをd1、溝内部中央部の溶融再凝固層断面の高さをd2として、以下の条件を全て満たすことを特徴とする磁気特性の優れた方向性電磁鋼板。
10≦d1≦40μm
0.5≦d2/d1≦1.0 - 請求項1記載の方向性電磁鋼板の製造方法において、レーザビームを走査照射して溝と溶融再凝固層を形成する条件として、レーザビームの照射パワーをP(W)、集光ビームのビーム走査方向径をdc(mm)、集光ビーム面積をS(mm2)、ビーム走査線速度をVc(mm/sec)とした時、ビーム通過時間Tc(sec)をTc=dc/Vc、照射エネルギー密度Up(mJ/mm2)をUp=(P/S)×Tcとで定義し、TcとUpがそれぞれ以下の範囲であることを特徴とする磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
0.2≦Up≦10 J/mm2
1≦Tc≦400μsec
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