JP2005058224A - 薬剤起因性顆粒球減少症発症リスク判定法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ヒトの薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクの存在の判定手段を提供する。
【解決手段】 被検者のヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子(IRS-2遺伝子)の遺伝子多型を検出し、これを指標として薬剤起因性顆粒球減少症発症のリスクの存在を判定する薬剤起因性顆粒球減少症発症リスク判定法。

Description

本発明は、ヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子の遺伝子多型の存在を指標として薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクを判定する方法、該リスク判定の指標となる遺伝子多型の検出方法、それらの方法に利用するオリゴヌクレオチドおよび判定用および/または検出用キットに関する。
現代医療は、種々の疾患の治療・進展予防に薬剤を用いる薬物療法が主体となっている。薬物療法に用いられる低分子化合物を始めとする薬剤の殆ど全ては、本来ヒトにとって異物であり、その投与によって治療効果に反して様々な副作用が発現する。該副作用は、しばしば薬物治療を断念せざるを得ない場合を惹起する。ある疾患を有する患者にとって有用な薬剤とされながら、重篤な副作用によって開発中止となった薬剤もあり、またその薬剤の投与方法や副作用の発現の厳しいチェックを要求される薬剤もある。
米国の統計では、薬剤による副作用発現の報告は、年間200万件にも上っている。また、10万人以上が副作用により死亡したと報告されている(JAMA, 279, 1200 (1998))。本邦でも医薬品の副作用報告は、重複報告を含めて2万6545症例もあり、死亡報告も2000年度の1年間だけで1239件報告されている(厚生労働省、平成15年6月6日、衆議院答弁第55号答弁書)。
薬剤投与に起因する副作用のなかでも、顆粒球減少症は致死的な副作用である。特に、顆粒球が減少すると感染しやすくなり、無顆粒球症の状態に至った場合には、肺炎、敗血症などの重篤な感染症に陥る危険性が非常に高い。この顆粒球減少症を惹起させる原因薬剤の主なものとしては、鎮痛解熱薬(アミノピリン)、抗生物質(クロロマイセチン)、抗甲状腺薬(メルカゾール)、抗けいれん薬、抗糖尿病薬、利尿薬などが知られている。これらの薬剤による副作用の発症は、その投与量とはあまり関連せず、患者の体質、例えばアレルギー体質、特異体質などに関連するといわれている。そのため、副作用発症の予測は殆ど困難である。副作用発症を未然に防ぐためには、個々の患者の他科を含めた薬歴などの詳しい問診と、血液検査などによる十分な注意が必要とされている。尚、一旦副作用としての顆粒球減少症が発症した場合は、入院などによる迅速な対応が要求される。
また顆粒球減少症を惹起させる原因薬剤の他の例として、抗精神病薬のジベンゾジアゼピン(クロザピン)が知られている。この薬剤は高い有効性が期待されるにもかかわらず、その副作用のために日本での治験が中断されたものである。
更に、他の薬剤としてPDE3阻害作用とKチャンネルに対する作用を有するベスナリノンがある。この薬剤は、不整脈の発現が低く、心事故(心不全の発症、入院など)の発生率も少ない強心薬として有効なものであるが、その投与中に白血球減少、顆粒球減少に続く無顆粒球症を生じる副作用のためにその使用が厳格に制限されている。
ヒトゲノム解析において、一塩基多型(Single nucleotide polymorphisms: SNPs)は、最も頻度の高い遺伝子多型マーカーである。これまでに、該SNPはありふれた疾患、薬剤応答などに関連するヒトゲノム解析において有用であることが示されている(非特許文献1,2および3参照)。また、複数のSNPsを用いたハプロタイプ解析が遺伝的に複雑な疾患における疾患感受性を解析する上で有用であることも知られている(非特許文献4および5参照)。実際に、アルツハイマー病および高血圧症のような疾患は、この方法で既に集中的に解析されている(非特許文献6参照)。
近年、ゲノム解析の進歩と共に、薬剤開発過程において、薬物代謝酵素であるチトクロームP450(CYP)に対する薬剤の作用を研究するトキシコゲノミクスが発展してきている。中でも、前述したような薬剤起因性副作用との関係において、特定の遺伝子多型と薬剤感受性/応答性との関連を、個々の患者について明らかにする研究が提案され、かくして所謂オーダーメイドの治療法を確立することが望まれてきている。
Brookes, A. J., "The essence of SNPs", Gene, USA, (1999), 234, 177-186 Cargill, M, et al., "Characterization of single-nucleotide polymorphisms in coding regions of human genes", Nature Genet., USA, (1999), 22, 231-238 Evans, W. E., & Relling, M. V., "Pharmacogenomics: translating functional genomics into rational therapeutics", Science, USA, (1999), 286, 487-491 Stephens, J. C., et al., "Dating the origin of the CCR5-Delta32 AIDS-resistance allele by the coalescence of haplotypes", Am. J. Hum. Genet., USA, (1998), 62, 1507-1515 Tishkoff, S. A., et al., "The accuracy of statistical methods for estimation of haplotype frequencies: an example from the CD4 locus", Am. J. Hum. Genet., USA, (2000), 67, 518-522 Jeunemaitre, X., et al., Am. J. Hum. Genet., 60, 1448-1460 (1997); Martin, E. R., Am. J. Hum. Genet., 67, 383-394 (2000)
本発明は、ヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子の遺伝子多型を指標として薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクを判定する手段、および該リスク判定の指標とする遺伝子多型を検出する手段を提供することをその主な課題としている。
本発明者らは、上記課題を解決するために、まず多型解析用遺伝子として、サイトカイン関連、MHC領域、G-CSF関連、TNF-α関連、NFκ関連、cAMP関連、K-チャンネル関連などの115に及ぶ候補遺伝子を選択し、日本人の多型データーベースからこれら候補遺伝子のSNPsを検索し、188の候補SNPsを選択した。
次いで、これらの選択されたSNPsについて、特定薬物投与によって発症した顆粒球減少症発症患者群と非発症患者群の2群の検体ゲノムDNAに現れるそれらSNPsの頻度を決定した。その結果、上記2群間で統計学的に最も有意な差を示すSNPsが、インスリン受容体基質-2遺伝子(Insulin receptor substrate 2: IRS-2) (J-SNP ID: IMS-JST040476) (以下、「IRS-2遺伝子」という)上に存在することを確認した。
本発明者らは更に該IRS-2遺伝子の多型と薬剤起因性顆粒球減少症との関連について検討を重ねた結果、特定薬剤の服用によって誘発される顆粒球減少症と強く関連する合計6つのIRS-2遺伝子のSNPsを確認した。
これら特定のSNPsを解析すれば、ヒトの各種疾患に対する薬剤起因性副作用、特に薬剤起因性顆粒球減少症、の発症リスクが判定(予測診断)できることを見出した。本発明はかかる知見を基礎として更に研究を重ねた結果完成されたものである。
本発明は、下記(1)〜(19)に示される薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクの存在を判定する方法、該リスク判定の指標となる遺伝子多型の検出方法、並びにこれらの方法に用いるオリゴヌクレオチドおよびキットを提供する。
(1) 被検者のヒトIRS-2遺伝子の遺伝子多型を検出し、これを指標として薬剤起因性顆粒球減少症発症のリスクの存在を判定する薬剤起因性顆粒球減少症発症リスク判定法。
(2) ヒトIRS-2遺伝子の遺伝子多型の存在を指標として薬剤起因性顆粒球減少症発症のリスクの存在を判定するための、当該遺伝子の遺伝子多型を検出する方法。
(3) ヒトIRS-2遺伝子の遺伝子多型が、下記(a)-(f)からなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(1)または(2)に記載の方法;
(a) コード領域の翻訳開始コドンから上流4587番目における野生型(C)がAに変異した多型、
(b) コード領域の翻訳開始コドンから上流2510番目における野生型(AT)が欠失した多型、
(c) コード領域の翻訳開始コドンから上流1164番目における野生型(A)がCに変異した多型、
(d) コード領域の翻訳開始コドンから15870番目における野生型(A)がGに変異した多型、
(e) コード領域の翻訳開始コドンから29793番目における野生型(A)がGに変異した多型、および
(f) コード領域の翻訳開始コドンから31532番目における野生型(C)が欠失した多型。
(4) 遺伝子多型の検出が、ヌクレオチド直接塩基配列決定法、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)-ドットブロット分析、一塩基プライマー伸長法、PCR-単鎖高次構造多型(SSCP)分析、PCR-制限酵素断片長多型(RFLP)分析、インベーダー法、定量的リアルタイムPCR検出法および質量分析計を用いた遺伝子多型検出法(mass array)からなる群から選ばれる少なくとも1つの方法により行われる上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 遺伝子多型の検出が、ヌクレオチド直接配列決定法により行われる上記(4)に記載の方法。
(6) 遺伝子多型の検出が、PCR-制限酵素断片長多型(RFLP)分析により行われる上記(4)に記載の方法。
(7) PCR-制限酵素断片長多型(RFLP)分析が、ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから29793番目のAからGへの変異を検出するために制限酵素Afa Iを用いて行われる上記(6)に記載の方法。
(8) ヒトIRS-2遺伝子にハイブリダイズすることができる遺伝子多型検出用プライマーまたはプローブとしてのオリゴヌクレオチドであって、以下の(a)-(f)からなる群から選ばれるオリゴヌクレオチド;
(a) ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから上流4587番目のCがAに変異した遺伝子多型部位を含む配列であるオリゴヌクレオチド、
(b) ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから上流2510番目のATが欠失した遺伝子多型部位を含む配列であるオリゴヌクレオチド、
(c) ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから上流1164番目のAがCに変異した遺伝子多型部位を含む配列であるオリゴヌクレオチド、
(d) ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから15870番目のAがGに変異した遺伝子多型部位を含む配列であるオリゴヌクレオチド、
(e) ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから29793番目のAがGに変異した遺伝子多型部位を含む配列であるオリゴヌクレオチド、および
(f) ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから31532番目のCが欠失した遺伝子多型部位を含む配列であるオリゴヌクレオチド。
(9) ヒトIRS-2遺伝子にハイブリダイズすることができる遺伝子多型検出用プライマーであって、以下の(a)-(d)および(f)からなる群から選ばれるオリゴヌクレオチドからなるプライマー;
(a) 配列番号:3で示される配列のオリゴヌクレオチド、
(b) 配列番号:6で示される配列のオリゴヌクレオチド、
(c) 配列番号:9で示される配列のオリゴヌクレオチド、
(d) 配列番号:12で示される配列のオリゴヌクレオチド、
(f) 配列番号:17で示される配列のオリゴヌクレオチド。
(10) 上記(8)に記載のオリゴヌクレオチドを、ヒトIRS-2遺伝子の多型検出用プライマーまたはヒトIRS-2遺伝子の多型検出用プローブとして含む薬剤起因性顆粒球減少症発症リスク判定用キット。
(11) 上記(9)に記載のプライマーを含む上記(10)に記載のキット。
(12) 上記(8)の(e)に記載のオリゴヌクレオチドと、制限酵素Afa Iとを含むヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから29793番目のAからGへの変異を検出するための上記(10)に記載のキット。
(13) 上記(8)に記載のオリゴヌクレオチドまたは上記(9)に記載のプライマーを用いてベスナリノン投与による薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクを判定する上記(1)に記載の方法。
(14) 上記(8)の(e)に記載のオリゴヌクレオチドと、制限酵素Afa Iとを用いてベスナリノン投与による薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクを判定する上記(1)に記載の方法。
(15) 上記(8)に記載のオリゴヌクレオチドを、ヒトIRS-2遺伝子の多型検出用プライマーまたはヒトIRS-2遺伝子の多型検出用プローブとして含む薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクの存在を判定するための当該遺伝子の遺伝子多型検出用キット。
(16) 上記(9)に記載のプライマーを含む上記(15)に記載のキット。
(17) 上記(8)の(e)に記載のオリゴヌクレオチドと、制限酵素Afa Iとを含むヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから29793番目のAからGへの変異を検出するための上記(15)に記載のキット。
(18) 上記(8)に記載のオリゴヌクレオチドまたは上記(9)に記載のプライマーを用いてベスナリノン投与による薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクを判定するための遺伝子多型を検出する上記(2)に記載の方法。
(19) 上記(8)の(e)に記載のオリゴヌクレオチドと、制限酵素Afa Iとを用いてベスナリノン投与による薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクを判定するための遺伝子多型を検出する上記(2)に記載の方法。
本明細書におけるアミノ酸、ペプチド、塩基配列、核酸などの略号による表示は、IUPAC-IUBの規定〔IUPAC-IUB communication on Biological Nomenclature, Eur. J. Biochem., 138: 9 (1984)〕、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作成のためのガイドライン」(特許庁編)および当該分野における慣用記号に従うものとする。
尚、本明細書中に示されるヒトIRS-2遺伝子のゲノム配列は、サンガー・センター(Sanger Center) のモハマジム(Mohammadi, M.)によってGenBankアクセッション番号:AL162497として報告された全長143,409塩基長(bp)の配列の中に含まれている。
GenBank (accession number XM 007095)より入手したIRS-2 mRNAの配列情報と上記AL162497の配列情報を基にして得られたゲノム配列から推定されるIRS-2遺伝子は、2つのエクソンから構成されており、イントロンを含む遺伝子の全長は32,730bpである。この遺伝子はAL162497の配列では93673-126402bpに相当する。該遺伝子の構造の概略を図1に示す。図1中、「Ex.1」および「Ex.2」は2つのエクソンを示す。矢印を付して示す略号は、それぞれ以下の変異(SNP)を示す。尚、これらは全て同義的置換(蛋白産物の配列に変化を生じないもの)である。本文中または図中に示されるSNPの存在位置番号は、蛋白質をコードするコード領域の翻訳開始コドン(ATG)のAを1として該Aから数えられる存在位置番号として示される。
C-4587A;ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから上流4587番目のCからAへの変異、
AT-2510del;ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから上流2510番目のATの欠失、
A-1164C;ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから上流1164番目のAからCへの変異、
A15870G;ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから15870番目のAからGへの変異、
A29793G;ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから29793番目のAからGへの変異、
C31532del;ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから31532番目のCの欠失。
本明細書において「遺伝子」なる語は、2本鎖DNAのみならず、それを構成する各1本鎖DNA(センス鎖およびアンチセンス鎖)を包含する。即ち、本発明遺伝子(DNA)は、特に言及しない限り、ヒトゲノムDNAを含む2本鎖DNA、cDNAを含む1本鎖DNA(センス鎖)、該センス鎖と相補的な配列を有する1本鎖DNAおよびそれらの断片を含む。また上記遺伝子(DNA)は、調節領域、コード領域、エクソンおよびイントロンを含むことができる。ポリヌクレオチドは、RNAおよびDNAを包含する。DNAは、cDNA、ゲノムDNAおよび合成DNAを含む。ポリペプチドは、その断片、同族体、誘導体および変異体を含む。更に変異体は、天然に存在するアレル変異体、天然に存在しない変異体、改変(欠失、置換、付加および挿入)のなされた変異体およびコードするポリペプチドの機能を実質的に変更しないポリヌクレオチド配列を意味する。尚、アミノ酸配列における改変は、天然において例えば突然変異、翻訳後の修飾などにより生じることもあり、天然由来の遺伝子を利用して人為的にこれを行うこともできる。
また、本明細書において、SNP (Single nucleotide polymorphism: 一塩基多型)とは、ある遺伝子乃至遺伝子群における一塩基の核酸の変異として表わされ、複数箇所に存在する上記一塩基の核酸の変異(SNP)をSNPsとして表す。ハプロタイプとは、連続した遺伝子領域または遺伝子群中の複数箇所の変異部位における対立遺伝子の種類と数とによって表される上記変異(SNPs)のタイプを示す。
本発明は、ヒトIRS-2遺伝子(転写調節に係わるプロモーター領域を含むヒトIRS-2遺伝子全体)の特定位置における変異を含む多型、殊にSNPもしくは SNPsがヒトの薬剤起因性顆粒球減少症と強く相関しており、特定位置におけるSNPを検出することによって、薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクを判定(予測診断)できるという事実の発見に基づいて完成されている。本発明判定方法は、検体(被検者由来)におけるヒトIRS-2遺伝子の多型、即ちヒトIRS-2遺伝子のSNPもしくはSNPsを検出することを必須の要件とする。
本発明方法によって検出、解析されるSNPs(即ち、薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクの指標となる遺伝子的変異)には、前述したC-4587A、AT-2510del、A-1164C、A15870G、A29793GおよびC31532delの6つの変異が含まれる。それらの存在するヒトIRS-2遺伝子上の位置は前記図1に示す通りである。但し、核酸に挟まれるSNPsの存在位置番号は、IRS-2遺伝子の蛋白質をコードするコード領域の翻訳開始コドンのATGのAからの該SNPsの存在位置番号を示す。
本発明によれば、ヒトIRS-2遺伝子の多型(SNPsおよびハプロタイプ)が検出でき、これによって、ヒトにおける薬剤起因性顆粒球減少症発症の機能解明、把握、診断および予防に有用な情報乃至手段を与えることができる。また、本発明によれば、薬剤起因性顆粒球減少症発症のリスクを有する患者を判定して、該患者への薬剤投与を回避することで、薬剤起因性顆粒球減少症の発症を未然に防止することができる。加えて、本発明によれば、薬剤投与に際して副作用発現を考慮した頻回の検査を治療または処置に併せて行うことによって、副作用対策を有効に行うことができる。
以下、本発明方法につき詳述する。
本発明方法は、被検者におけるヒトIRS-2遺伝子の遺伝子多型を検出し、これを指標として薬剤起因性顆粒球減少症のリスクの存在を判定するものである。
ヒトIRS-2遺伝子の遺伝子多型の検出は、例えば次の如くして実施できる。即ち、被検者からまずヒトIRS-2遺伝子のゲノム配列もしくはその相補鎖を調製し、次いで必要に応じて該ゲノム配列もしくはその相補鎖のDNA配列を決定した後、このゲノム配列もしくはその相補鎖のDNA配列について、その遺伝子多型の検出を行う。

ヒトIRS-2遺伝子(SNPs)の調製
検体として被検者由来のヒトIRS-2遺伝子(多型を有する遺伝子)を調製する。該多型を有する遺伝子(SNPs)の具体例は前述した通りである。該検体としての遺伝子には、上記例示のヒトIRS-2遺伝子のゲノム配列およびその相補鎖のDNA配列が包含される。
遺伝子多型を有するヒトIRS-2遺伝子もしくはその相補鎖(SNPs)は、本明細書に開示されたヒトIRS-2遺伝子の具体的配列情報に基づいて、一般的遺伝子工学的手法を利用して容易に調製することができる〔Molecular Cloning 2nd Ed, Cold Spring Harbor Lab. Press (1989);続生化学実験講座「遺伝子研究法I、II、III」、日本生化学会編(1986)など参照〕。
具体的には、ヒトIRS-2遺伝子のSNPsを有する薬剤起因性顆粒球減少症患者より、常法に従ってcDNAまたはゲノムDNAを抽出し、ヒトIRS-2遺伝子の特定の変異を含んでいてもよい適当なプローブ、制限酵素、抗体などを用いて常法〔Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 78, 6613 (1981); Science, 222, 778 (1983)など参照〕に従って、所望クローンを選択することによって、所望のヒトIRS-2遺伝子のゲノム配列を調製できる。
上記において、cDNAまたはゲノムDNAの起源としては、ヒトIRS-2遺伝子(SNPs)を有する各種細胞、組織、これらに由来する培養細胞などを例示できる。具体的には、血清、血漿などの血液、唾液、リンパ液、気道粘液、尿、精液などの体液を例示することができる。尚、検体としての上記起源材料は、薬剤投与前(特に薬剤起因性顆粒球減少症が過去に報告されている薬剤を投与する前)の患者由来のDNAまたはゲノムDNAであるのが好ましい。これら起源材料からのRNAの分離、mRNAの分離および精製、cDNAの取得、そのクローニングなどは、いずれも常法に従うことができる。また、cDNAライブラリーは市販されており、本発明においてはそれらのcDNAライブラリー、例えばクローンテック社(Clontech Lab. Inc.)などより市販されている各種cDNAライブラリーなどを用いることもできる。
所望遺伝子をcDNAライブラリーからスクリーニングする方法も、特に制限されず、通常の方法に従うことができる。具体的には、目的のSNPsのDNA配列に選択的に結合し得る変異部分を含むプローブを作成し、これを用いてプラークハイブリダイゼーション、コロニーハイブリダイゼーションなどを実施するか、これらを組合せて実施すればよい。
スクリーニング用プライマーとしては、所望のヒトIRS-2遺伝子の塩基配列情報に基づいて設定したフォワード・プライマーおよびリバース・プライマーを用いることができる。これらは常法に従い、例えば自動合成装置を用いて合成することができる。該スクリーニング用プローブは、通常、標識したプローブであるが、直接的または間接的に標識したリガンドと特異的に結合できるものであれば、非標識のものであってもよい。プローブおよびリガンドの標識剤および標識法は、既にこの種技術分野でよく知られている。その例としては、例えばニック・トランスレーション、ランダム・プライミングム、キナーゼ処理などの既知の方法によって取り込ませることができる放射性標識剤、ビオチン、蛍光性色素、化学発光剤、ルシフェラーゼなどの酵素、抗体などを例示できる。
抽出した遺伝子あるいはmRNAは、遺伝子増幅法によって増幅させることができる。この増幅によれば、本発明検出方法における検出をより容易に且つ精度の高いものとすることができる。遺伝子増幅法の例としては、PCR法 (Saiki, R. K., Bugawan, T. L., et al., Nature, 324, 163-166 (1986))、NASBA法 (Comptom, J., Nature, 650, 91-92 (1991))、TMA法 (Kacian, D. L., and Fultz, T. J., 米国特許第5,399,491号 (1995))、SDA法 (Walker, G. T., Little, M. C., et al., Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 89, 392-396 (1992))などが挙げられる。
尚、PCR法などで増幅させた遺伝子断片の単離精製は、常法、例えばゲル電気泳動法などによればよく、またカラムにて精製してもよい。その確認は例えばマススペクトル法によることができる。これらの方法により増幅させた遺伝子は、その増幅物の特性に応じて、本発明に係るヒトIRS-2遺伝子の遺伝子多型(SNPs)の検出に供される。

ヒトIRS-2遺伝子の遺伝子多型の検出
本発明方法では、次いで上記検体について、その多型の有無を検出する。この検出は、具体的には下記(1)-(9)に示す各方法に従い実施することができる。
(1) ヌクレオチド直接塩基配列決定法
ヒトIRS-2遺伝子の検出は、この種遺伝子の塩基配列の決定に慣用されている、例えばダイデオキシ法(Sanger, et al., Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 74, 5463-5467 (1977))、マキサム−ギルバート法〔Methods in Enzymology, 65, 499 (1980)〕などのヌクレオチド直接塩基配列決定法に従って実施することができる。この方法とPCR法などのDNA増幅法を組合せた方法に従っても実施することもできる。特に、少量のDNA試料を用いて簡便かつ容易にしかも感度および精度の高い検出が可能である観点からは、PCR法もしくはそれに準じたDNA増幅法を組合せた方法が好ましい。
この好ましい方法は、基本的には、例えばPCR法で増幅させた遺伝子断片またはその精製物をプラスミドにクローニングし、次いでダイデオキシ法、マキサム−ギルバート法などに従って直接塩基配列をシーケンスすることにより実施できる。また、簡便には市販のシークエンスキットなどを用いてヌクレオチド配列を決定することにより実施できる。かくして、ヒトIRS-2遺伝子の前述した特定部位における変異の存在の有無を検出できる。
上記方法および以下に示す各方法において、検体としてのPCR法で増幅させるDNA断片は、前述した変異の存在が想定される特定部位の少なくとも1つを含む限り特に限定されるものではない。通常、約50から数千塩基の長さ、好ましくは50から数百塩基の長さを有するものであるのがよい。
(2) 対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド−ドットブロット法
ヒトIRS-2遺伝子検出の別法としては、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)−ドットブロット法 (Conner, B. J., et al., Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 80, 278-282 (1983))に従う方法を挙げることができる。該方法は、例えば目的とするSNPを挟むように設計したフォワード・プライマーおよびリバース・プライマーを利用して、PCR増幅した遺伝子断片に対する対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド・プローブにハイブリダイズするDNA断片を、ドット・ブロット分析することにより実施できる。かくして、該断片中にSNPが存在するか否かを決定することができる。
(3) 一塩基プライマー伸長法
ヒトIRS-2遺伝子の検出は、スナップショット法、ピロシーケンス法、特開平2000-279197号に開示の点変異検出法のような一塩基伸長法によって実施することもできる。これらの方法では、目的の変異(SNP)の直前の塩基または数塩基前の塩基に対応するように設定したプローブ、即ち、その3'末端を検出目的である変異の1塩基上流または近傍に設定したプローブを、DNA検体にアニーリングさせる。各方法は市販のSNPs検出用キットおよび該キットに添付のソフトウエアを利用して実施することができる。
例えばスナップショット法は、ABI PRISM SNaPshot ddNTP Primer Extension Kit (ABIバイオシステムズ社製)を用いて実施できる。SNPsは、反応後に生成した蛍光フラグメントを、ABI PRISM310/377/3100/3700DNA Analyzer (いずれもABIバイオシステムズ社製)とGeneScanソフトウエアを用いて検出・解析できる。
ピロシーケンス法は、例えば、以下のごとくして実施できる。即ち、血液サンプルなどから常法によりゲノムDNAを単離し、ビオチン標識したプライマーを用いて変異を含む数十から数百塩基をPCR増幅させ、マグネットビーズを用いて一本鎖DNAを精製し、この精製DNAを検体とする。該検体に、所望の変異の数塩基上流からシーケンスするように設定したプライマーをアニーリングさせ、次いでソフトウェアに入力された変異付近のシーケンスに従って装置に1種類ずつdNTPを添加する。DNAポリメラーゼが塩基伸長するとピロリン酸(PPi)を生成するので、該PPiをスルフリラーゼ(Sulfurylase)によりATPに変換させ、これをルシフェラーゼの基質として発光検出器、CCDカメラなどを用いて化学発光を検出する。かくして、添加したdNTPに応じて得られる発光のピークを解析することによって遺伝子のタイピングが可能となる。該方法を用いれば、96サンプルを15分ほどでタイピングすることができる。
上記方法において試薬および装置としては、通常のもの、例えばDNAポリメラーゼ、ATP-スルフリラーゼ、ルシフェラーゼおよびアピラーゼ(apyrase)の4種の酵素混合液、ルシフェリンおよびAPS(アデノシン5'硫酸リン酸)からなる基質液、dATP(デオキシアデノシン・3リン酸)、dCTP、dGTPおよびdTTPからなるdNTPを構成要素とする市販のSNP Reagent Kits (Pyrosequencing AB社製)などの試薬、並びに自動DNA配列分析のためのPSQ96システム (Pyrosequencing AB社製)およびその使用のためのSNPソフトウェア (Pyrosequencing AB社製)を用いることができる。
また、ピロシーケンス法は、例えば米国特許第6,159,693号の記載に従って、核酸を単離後、増幅し、増幅したPCR産物を精製後、READITTM System (プロメガ・コーポレーション社製)を用いて、これにピロリン酸を反応させ、得られデータを分析することによっても実施できる。このデータ分析には、例えば市販のREADIT技術 (プロメガ・コーポレーション社製)を利用したExcel分析を採用できる。
(4) PCR-単鎖高次構造多型(SSCP)分析法
本発明にかかる検出法には、PCR増幅産物(一本鎖DNA)を非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動して、その移動度の差異により一塩基変異の有無を識別するPCR-SSCP法(Orita, M., Iwahara, H., et al., Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 86, 2776-2770 (1989))を採用することもできる。
(5) PCR-制限酵素断片長多型(RFLP)分析法
本発明ヒトIRS-2遺伝子のSNPsまたはハプロタイプの検出にあたり、検出目的とする変異を含む核酸配列が制限酵素認識部位を含んでいる場合には、該検出は、制限酵素断片長多型分析法(RFLP法: Botstein, D. R., et al., Am. J. Hum. Gen., 32, 314-331 (1980))によって行うこともできる。
具体的には、ヒトIRS-2遺伝子の第2エクソンに存在する蛋白質のコード領域の翻訳開始コドンから29793番目の核酸配列が野生型(A)であるか変異型(G)であるかを検出するために、変異箇所を含めてその前後の配列を認識し得る制限酵素を用いる。かかるRFLP法に用いられる酵素は、目的とする変異箇所の前後配列を認識し得る各種公知の制限酵素であればよい。その具体例としては、例えばAfa Iが例示できる。
該RFLP法は、より好適にはPCR-RFLP法、即ち予めPCR法またはその変法などによって検体DNAを増幅・調製後、多量に調製され且つ濃縮された検体DNAについて実施する方法によることができる。かくして、特異的切断サイトの存在の有無として、変異の存在の有無を検出することができる。
PCR-RFLP法によるヒトIRS-2遺伝子のSNPの検出は、より具体的には例えば以下の方法に従って行われる。即ち、まず、ヒト生体試料からヒトIRS-2遺伝子のゲノムDNAを抽出し、該遺伝子の変異部位を含む領域のDNA断片を増幅させて多量に且つ濃縮された検体サンプルを得る。ここで用いるフォワード・プライマーおよび/またはリバース・プライマーには、その配列がゲノムの配列と完全に一致しないものも含まれ、好ましくは制限酵素認識部位を導入するための配列が導入されたものが含まれる。次いで、増幅DNA検体を特定の制限酵素(即ち、野生型または変異型のいずれか一方のみを消化できる酵素)を用いて消化し、DNAの切断様式(切断の有無、切断フラグメントの塩基長など)を常法に従って確認する。
本発明で特定されたヒト薬剤起因性顆粒球減少症と連鎖不平衡を示すヒトIRS-2遺伝子の変異(A29793G)の場合、ヒトIRS-2遺伝子の塩基配列29793〜29796位の領域に制限酵素Afa Iの特異的切断サイト(GTAC)を生じさせるため、この変異はRFLP法によって検出することができる。
(6) インベーダー法
ヒトIRS-2遺伝子のSNPsの検出は、インベーダー(Invader)法によっても実施することができる。インベーダー法の実施には、以下の文献が参照できる。
・Lyamichev, V., et al., Nat. Bioltechnol., 17 (3) 292-296 (1999)および
・国際特許公開WO9823774号(特表2001-526526号)。
該方法は、予め標的DNAを増幅せずにゲノムDNAのSNPsを分析することもできる方法であって、例えば以下のごとくして実施される。
目的とするヒトIRS-2遺伝子のSNPsが存在するかどうかを検出するために、先ずゲノムDNAを単離する。次に、15から50塩基長からなる5'フラップと検出したい核酸(本発明ではSNP)を5'フラップの3'端に配し、変異核酸以外は標的ゲノムDNAに相補するように合成された30から数百塩基のオリゴヌクレオチドからなる第一の標的プローブと、検出したい核酸に相補的な核酸を3'端に配する以外は、標的ゲノムDNAに相補するように合成された15から数十塩基長のオリゴヌクレオチドからなるインベーダー・オリゴヌクレオチド・プローブとを、例えば自動合成機により合成する。これらのプローブに、単離したゲノムDNAおよび第一のプローブの検出したい核酸に相補的な核酸を3'端として切断する酵素(本発明に用いるインベーダー法では酵素Cleavase)を加えて適当な反応液中で反応させる。
もし検体中のゲノムDNAが所望の変異核酸(SNP)を有している場合は、変異核酸を3'端に有する5'フラップを遊離する第一の反応が起こる。もし、検体中のゲノムDNAが変異核酸配列を有していない場合は、前記酵素による切断は生じない。
酵素で切断された第一のプローブから遊離した5'フラップは、標的として蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)プローブに相補的に結合し、5'フラップの3'端がFRETプローブ内に侵入(invasion)する。同様に、制限酵素による反応が起こり、蛍光色素が遊離する。
この第二の反応に用いられる各FRETプローブは、検出される標的に依存せず、以下の本質的に2つのエレメントを含むように構築される。
(1)第一の反応から割裂した産物に相補する3'領域、および(2)一本鎖プローブを模倣するために複式を形成し、そして標的が共にハイブリダイズして、それらがレポーター蛍光色素とクエンチャー蛍光色素を含んでいる自家相補的領域。
前記レポーター蛍光色素は、該レポーター蛍光色素が前記クエンチャー蛍光色素と同一のプローブに結合されている場合には、蛍光共鳴エネルギー転移によりその蛍光強度が抑制され、前記クエンチャー蛍光色素と同一のプローブに結合されていない状態では、蛍光強度は抑制されない。切断された第一のプローブから遊離した5'フラップが、FRETプローブにハイブリダイズしたとき、それは第二の反応においてインベーダー・オリゴヌクレオチドとして作用し、酵素によって認識される侵入複合物を産生する。かくして、FRETプローブの上記酵素による切断が、二つの蛍光色素を分離し、検出可能な蛍光シグナルを産生する。該シグナルは、これを例えば標準蛍光マイクロタイタープレート読み取り機器で読み取ることができ、これによって、所望のSNPsの有無あるいはハプロタイプを検出することができる。第一と第二の反応の組み合わせにより、シグナルを1から1×106倍まで増幅することができる。また、蛍光色素の異なる2種類のフレットプローブを用いることによって、SNPの有無を検出(タイピング)することもできる。
(7) 定量的リアルタイムPCR検出法
ヒトIRS-2遺伝子多型の検出は、定量的リアルタイムPCR検出法(TaqMan法)によっても簡便に実施することができる。
該方法は、例えば以下のごとくして実施できる。即ち、まず、目的とする変異の有無を検出すべき核酸部位を含むDNA断片を、例えば15〜39塩基からなるフォワード側プライマーおよびリバース側プライマーとして作成する。但し、フォワード側プライマーおよびリバース側プライマーは目的とする変異を含まないように作成する。次いで、例えば15〜50塩基からなる塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであってレポーター蛍光色素とクエンチャー蛍光色素とが結合されたプローブを作成する。但し該プローブの塩基配列としては、フォワード側プライマーがハイブリダイズする領域と該プローブがハイブリダイズする領域とが互いに重複しない組み合わせを選ぶものとする。該プローブは、目的とする一塩基の核酸変異の有無を検出するための対立遺伝子特異的配列に相補的な配列を有するように作成する。該プローブを用いて、検体中の測定すべきヒトIRS-2遺伝子の所望のDNA断片をPCRによって増幅させて、反応液からの蛍光をリアルタイムに測定する。かくして、変異の有無を検出することができる。また、蛍光色素の異なる2種類のプローブを用いることによって、SNPの有無の検出(タイピング)を行うこともできる。
上記インベーダーアッセイやTaqMan法に用いられるレポーター蛍光色素としては、FAM(6-カルボキシ-フルオレッセイン)のようなフルオレッセイン系蛍光色素が好ましく、クエンチャー蛍光色素としては、TAMRA(6-カルボキシ-テトラメチル-ローダミン)のようなローダミン系蛍光色素が好ましい。これらの蛍光色素は公知であり、市販のリアルタイム検出PCR用キットに含まれているのでそれらを用いることができる。レポーター蛍光色素およびクエンチャー蛍光色素の結合位置は特に限定されないが、通常、プローブのオリゴヌクレオチドの一端(好ましくは5'末端)にレポーター蛍光色素が、他端にクエンチャー蛍光色素が結合される。なお、オリゴヌクレオチドに蛍光色素を結合する方法は公知であり、例えばNoble et al., (1984), Nuc. Acids Res., 12: 3387-3403およびIyer et al., (1990), J. Am. Chem. Soc., 112: 1253-1254に記載されている。
TaqMan法自体は公知であり、そのための装置およびキットも市販されているので、本発明ではこのような市販の装置およびキットを用いることもできる。この方法は、例えば特許第2,825,976号に記載の方法に従うか、PEバイオシステムズ社製のABI PRISM 7700配列決定システム・ユーザーマニュアルに従えばよい。
(8) 質量分析計を用いた遺伝子多型検出法(mass array)
Mass array法は、多型によって生じる質量の差を検出する方法である。具体的には、検出したい多型を含む領域をPCRにて増幅した後、SNP位置直前に伸長用プライマーをハイブリダイズさせ、ddNTP/dNTP混合物を含む反応液、例えばddATP,dCTP,dGTPおよびdTTPを含む反応液を用いて伸長反応を行うことで、SNPに応じて長さの異なる断片が生成される。この生成産物を精製し、MALDI-TOF質量分析計などによって分析することで、質量数と遺伝子型との対応を解析することができる(Pusch, W., Wurmbach, JH., Thiele, H., Kostrzewa, M., MALDI-TOF mass spectrometry-based SNP genotyping, Pharmacogenomics, 3(4): 537-48 (2002))。該方法は、例えばSequenom Mass ARRAYハイスループットSNP解析システムを用いて簡便に実施することができる(http://www.sequenom.com/Files/applications/hme_assay.html)。
(9) その他の検出法
ヒトIRS-2遺伝子のSNPsの検出は、従来よりDNAについてその塩基配列の決定法として、また変異検出法として知られている以下に挙げる如き各種の方法によっても実施することができる。
(a) 配列特異的オリゴヌクレオチドを用いるPCR-SSO法;
各変異に対するプローブを担体に固相化し、これに検体(遺伝子増幅産物)をハイブリダイズさせ、ミスマッチの有無によるハイブリダゼーションの効率の差を判定するもの。
(b) 点変異を検出するPCR-SSP法;
点変異に対応する塩基を3'末端に設定した遺伝子増幅用配列特異的プライマーを用いて、プライマーの3'末端が相補的であるか否かによってPCRによる増幅効率に著しい差が生じることを利用したもの。
(c) PCR-DGGE(変性剤濃度勾配ゲル電気泳動)法;
変異DNA断片と正常DNA断片とを混合してハイブリッド結合させた後、尿素、ホルムアミドなどの変性剤の濃度が徐々に高くなっているポリアクリルアミドゲル中で電気泳動すると、ミスマッチのないホモ2本鎖に比べて、より低い濃度の変性剤の位置で1本鎖に解離する。この1本鎖DNAは、2本鎖DNAに比べて泳動速度が速いため、移動度の差を比較することで1塩基の変異を検出することができる。
(d) PCR-DGGE/GCクランプ法(Shefield, V. C., et al., Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 86, 232-236 (1989));
上記PCR-DGGE法に加えて、GC含量の高い領域を変異核酸の検出対象であるDNA断片につなげることにより複数の塩基置換、欠失、付加および挿入がある場合の検出の欠点を補った方法である。該方法は特に変異検出の対象DNA断片にGCクランプを付加する工程を必要とする。
(e) RNase保護アッセイ法(Finkelstein, J., et al., Genomics, 7, 167-172 (1990))
(f) in situ RT-PCR (Nucl. Acids Res., 21, 3159-3166 (1993))
(g) in situ ハイブリダイゼーション
(h) サザンブロッティング (Sambrook, J., et al., Molecular Cloning a Laboratory Manual., Cold Spring Harbor Laboratory Press: NY. (1989))
(i)ドットハイブリダイゼーション法(Southern, E. M., J. Mol. Biol., 98: 503-517 (1975)など参照)、
(j) 蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH: Takahashi, E., et al., Hum. Genet., 86, 1416 (1990))
(k) 競合的ゲノミック・ハイブリダイゼーション (Comparative Genomic Hybridization: CGH: Kallioneimi, A., et al., Science, 258, 818-821 (1992))、(Spectral karyotyping: SKY: Rowley, J. D., et al., Blood, 93, 2038-2042 (1999))
(l) 酵母人工染色体(YAC)ベクターのクローンをプローブとする方法(Lengauer, C., et al., Cancer Res., 52, 2590-2596 (1992))。
かくして、ヒトIRS-2遺伝子の多型(SNPs)およびハロタイプを検出することができる。
本発明に従う薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクの判定は、上記に従って検出されたヒトIRS-2遺伝子多型の存在を指標として、該多型の存在が確認される検体の場合に、該検体はそのリスクが高いと判定する。
このようにリスクが高いと判定された患者は、薬剤を投与する前に、薬剤起因性顆粒球減少症を引き起こすリスクの存在を確認できるため、薬剤投与などによる顆粒球減少症の発症を未然に防止することができる。
特に、本発明に従うヒトIRS-2遺伝子のSNPsの検出は、ヒトにおける薬剤起因性顆粒球減少症発症危険因子の存在の検出に有効であり、該SNPsの検出によってヒト薬剤起因性顆粒球減少症の発症危険因子の検出が可能である。
従って、本発明は、ヒトIRS-2遺伝子のSNPs検出の対象となる被検者の薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクの存在をヒトIRS-2遺伝子の遺伝子多型の存在を指標として判定するための当該遺伝子の遺伝子多型の検出方法を提供する。

オリゴヌクレオチド
本発明は、PCR法を採用する本発明判定(検出)方法において用いられる遺伝子多型検出用プライマーまたはプローブとしてのオリゴヌクレオチドをも提供する。該オリゴヌクレオチドは、ヒトIRS-2遺伝子の変異部分(SNPs)を含む特定配列部分を特異的に増幅できるものである限り特に制限はない。該オリゴヌクレオチドはヒトIRS-2遺伝子の配列情報に基いて常法に従って適宜合成、構築することができる。
その合成は、より具体的には通常のホスホルアミダイト法、リン酸トリエステル法などの化学合成法によることもでき、また市販されている自動オリゴヌクレオチド合成装置、例えば(Pharmacia LKB Gene Assembler Plus: ファルマシア社製)などを使用して合成することもできる。二本鎖断片は、化学合成した一本鎖生成物とその相補鎖を合成し、両者を適当な条件下でアニーリングさせるか、または適当なプライマー配列とDNAポリメラーゼとを用いて、上記一本鎖生成物に相補鎖を付加させることによって、得ることができる。
前記プローブまたはプライマーとして用いられるオリゴヌクレオチドの好適なものとしては、ヒトIRS-2遺伝子の変異を含むように設定されたDNA断片に対応する部分オリゴヌクレオチドであって、少なくとも10個、通常10〜35個程度の連続した塩基を有するものを例示することができる。プライマー対としては、ヒトIRS-2遺伝子(ゲノム配列)におけるSNPを挟むように設計、合成された2つのオリゴヌクレオチド配列を有するものであることができる。プローブとして用いられるオリゴヌクレオチドは、陽性クローンそれ自体であってもよい。
前記プローブまたはプライマーとして用いられるオリゴヌクレオチドの好適なものとしては、ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから上流4587番目のCからAへの変異(C-4587A)、ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから上流2510番目のATが欠失した変異(AT-2510del)、ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから上流1164番目のAからCへの変異(A-1164C)、ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから15870番目のAからGへの変異(A15870G)、ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから29793番目のAからGへの変異(A29793G)、およびヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから31532番目のCが欠失した変異(C31532del)のいずれか少なくとも1つを含むように設定されたDNAに対応する部分オリゴヌクレオチドであって、少なくとも10個、好ましくは少なくとも15個の連続した塩基を有するものを挙げることができる。
その具体例としては、後記実施例に示される配列番号1、2、4、5、7、8、10、11および13-16で示されるフォワード・プライマーおよびリバース・プライマー並びに配列番号3、6、9、12および17で示されるダイレクトシークエンス用オリゴヌクレオチド・プライマーを挙げることができる。
また、本発明の遺伝子特異的プローブとしては、前記C-4587A、AT-2510del、A-1164C、A15870G、A29793GおよびC31532delのいずれかを検出できるものであれはよい。

判定用キット
本発明判定(検出)方法は、検体中のヒトIRS-2遺伝子のSNPsの検出のための試薬キットを利用することによって、より簡便に実施することができる。本発明はかかる判定用キットをも提供する。
本発明キットの一つは、少なくともヒトIRS-2遺伝子の6つのSNPsのDNA断片である塩基配列もしくはその相補的塩基配列の一部または全てに、あるいは変異部位の1塩基前または数塩基前の配列からなる配列に、ハイブリダイズするDNA断片を必須構成成分として含む。また、本発明キットの他の一つは、上記変異部位を含む数塩基の核酸配列を認識する制限酵素、例えばAfa Iを必須構成成分として含む。
本発明キットにおける他の成分としては、標識剤、PCR法に必須な試薬(例えば、TaqDNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオチド三リン酸、DNA増幅用プライマーなど)を例示することができる。標識剤としては、放射性同位元素、発光物質、蛍光物質などの化学修飾物質などが挙げられ、DNA断片自身が予め該標識剤でコンジュゲートされていてもよい。更に当該キットには、測定の実施の便益のために適当な反応希釈液、標準抗体、緩衝液、洗浄剤、反応停止液などが含まれていてもよい。
本発明の前記判定方法を利用すれば、ヒトにおける薬剤起因性顆粒球減少症を引き起こす可能性がある遺伝子の多型を検出し、これを指標としてヒト薬剤起因性顆粒球減少症リスクを検査する方法、特にベスナリノンなどの薬剤投与によって薬剤起因性の顆粒球減少症(無顆粒球症も含む)の副作用が既報されている薬剤の投与前に、その投与による顆粒球減少症発症リスクを検査する方法および該方法に用いる診断剤並びに診断用キットをも提供できる。
本発明によれば、ヒトにおける薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクの判定方法、その判定の指標となる遺伝子多型の検出方法、それらのためのキット、それらに利用する変異検出用プライマーおよびプローブ、およびヒトにおける薬剤起因性顆粒球減少症発症の危険因子に関連する遺伝子が提供される。これらはヒト薬剤起因性顆粒球減少症の発症リスクの検査、判定に、殊に薬剤投与によって薬剤起因性の顆粒球減少症(無顆粒球症も含む)の副作用が既報されている薬剤の投与前における当該顆粒球減少症発症リスクの検査、判定に有用である。
以下、本発明を更に詳しく説明するため、実施例を挙げるが本発明はこれに限定されない。
(a)薬剤服用によって生じた顆粒球減少症に対する関連遺伝子多型の探索
薬剤服用によって生じた顆粒球減少症に対する関連遺伝子多型を探索するために、ベスナリノン(3,4-ジヒドロ-6-[4-(3,4-ジメトキシベンゾイル)-1-ピペラニジル]-2(1H)-キノリン)を服用した患者を対象とした。
ベスナリノンは、本邦においては慢性心不全(軽症〜中等症)に適応症を有するが、市販後に該薬剤の投与により薬剤起因性の副作用として白血球減少、顆粒球減少、無顆粒球症などが報告されているので、薬剤投与においては、これらの副作用に対する観察と頻繁な顆粒球の検査を行うことが必要とされている。
ベスナリノンを服用し、1991年5月から1996年10月の間にベスナリノンの顆粒球減少症原因究明に協力することに口頭で同意が得られ、血液検体提供の許諾を受けた患者のうち、倫理指針に則り2001年7月から2001年12月の間に、遺伝子解析に協力することに再同意が得られた患者84名(男性:女性比=1.21:1)を対象患者とした。上記再同意が得られた患者の血液検体或いはそれに由来する細胞検体から、通常の方法によりゲノムDNAを抽出し、以下の試験に供した。
(b)対象患者分類基準
対象患者を以下の基準で顆粒球減少症発症患者群と非発症患者群の2群に分類した。
対象患者のうち、ベスナリノン投与前の白血球数あるいは好中球数が投与後に半数以下に低下した患者であって且つ白血球数あるいは好中球数が各々2000あるいは1000/mm3以下になった患者を発症例(顆粒球減少症発症患者群)とした。一方、ベスナリノンを90日以上服薬しても投与前に比して顆粒球減少の認められない患者を非発症例(非発症患者群)とした。
これらの各群を性別によりさらに2群に分類して全4群を作成した。即ち、顆粒球減少症発症患者男性13名(A群)、発症患者女性17名(B群)、非発症患者男性33名(C群)、非発症患者女性21名(D群)とした。
(c)解析対象遺伝子および多型(SNP)
サイトカイン関連、MHC領域、G-CSF関連、TNF-α関連、NF-κ関連、cAMP関連、カリウム・チャンネル関連などの遺伝子から115の候補遺伝子を選択した。
これらの遺伝子の日本人における多型の有無を検索するために日本人の多型データベース(JSNP: http://snp.ims.u-tokyo.ac.jp/index_ja.html) から、これら候補遺伝子のSNPsを検索して、188の候補SNPsを選択した。
(d)解析手法
SNPの解析は、インベーダー法を用いて実施した。該インベーダー法は、以下の文献(1)および(2)を参照して実施した。
(1)Lyamichev、 V. et al.、 Nat. Biotechnol.17: 292-296(1999)、および
(2)国際特許公開W09823774号(98/6/4)
候補SNPのゲノムDNA領域をPCR法で増幅するために、JSNPで検索したSNPを含むゲノムDNA配列情報に基づいて、各SNP領域を増幅するプライマー・セットを設定し、各プライマーを合成した。
候補SNPの遺伝子多型を判定するためのインベーダー・アッセイ試薬は、JSNPで検索したSNPを含むゲノムDNA配列情報に基づいて通常の方法により作成した。
各PCR反応は、1ngゲノムDNAを鋳型にして実施した。15μLの反応液は、dNTPs (0.25mM)、TaKaRa Ex Taq (Takara社)に添付されているPCR反応用バッファーを総反応量の1/10量、フォワード・プライマーとリバース・プライマーの各セット (各130nM)およびTaKaRa Ex Taq (Takara社) (0.5U)を含んでいた。各サンプルはDNA Engine PTC-0200 (MJ Research社製)によって増幅した。PCR反応は、94℃2分の後、94℃30秒、56℃もしくは58℃もしくは60℃30秒および72℃90秒を50サイクル行った。
インベーダー・アッセイ反応は、得られたPCR産物を10-1000倍に希釈したものに、インベーター・アッセイ試薬を混合して実施した。15μLの反応液は、5.5×Invaderバッファー(2.75μL)、10×Bioplex FRET Probe Mix(0.75μL)、Cleavase VIII酵素(200ng/μL) (1μL)、PPI Mix(3μL)、およびPCR産物希釈物(7.5μL)を含んでいる。反応は62℃、60-120分間の条件で実施した。
(e)遺伝子型判定法
遺伝子型は、インベーダー・アッセイ反応の結果、検出される2色の蛍光強度により判定した。かくして、インベーダー・アッセイにより115遺伝子に存在している188個のSNPsについて、対象患者における遺伝子型を決定した。
(f)統計的分析方法
顆粒球減少症発症患者群と非発症患者群における対立遺伝子頻度を、contingency χ二乗テストによって比較した。オッズ比はブラウン(Brown)法に従い評価した(Brown, C.C., Am. J. Epidemiol.,113: 474-480 (1981))。オッズ比の95%信頼区間はWoolfの方法を用いて算出した。
(g)結果
115遺伝子に存在している188個のSNPsについて上記方法を用いて分析した結果、統計学的に最も有意な差を持った多型は、Insulin receptor substrate 2 (IRS-2)に存在していた(JSNP ID IMS-JST040476)。このSNPは、対象患者群においてハーディ−ワインバーグ平衡の法則に従うことが確認された。
この結果から、ヒトIRS-2遺伝子におけるSNPは、ベスナリノン投与による顆粒球減少症の発症に強く関連し、このヒトIRS-2遺伝子が顆粒球減少症の発症に重要な役割を有する可能性を示唆している。
ヒトIRS-2遺伝子の発現産物は、インスリン受容体基質蛋白ファミリー(IRSs; IRS-1, IRS-2, IRS-3, IRS-4)に属している。インスリン受容体のチロシンキナーゼが活性化されるとチロシンリン酸化される。リン酸化されたIRSsはPI-3キナーゼを活性化し、グルコーストランスポーター4(GLUT-4)の細胞質から細胞膜への輸送を促進し、グルコースの取り込みを促進させる作用を有するインスリン作用を発現させることが知られている。そこでヒトIRS-2遺伝子とベスナリノンによる顆粒球減少症との関連を更に調べるために、ヒトIRS-2遺伝子の多型解析試験を実施した。
ヒトIRS-2遺伝子多型と薬剤起因性顆粒球減少症との関連解析
実施例1に記載の患者サンプルを用いて、ヒトIRS-2遺伝子の多型解析を以下の通り行った。
(a)ヒトIRS-2遺伝子のスクリーニングと多型の検出
転写調節に係わっているプロモーター領域を含むヒトIRS-2遺伝子全体をスクリーニングするために、GenBank (accession number XM_007095)から入手したヒトIRS-2 mRNAの配列情報を元に検索して得られたヒトIRS-2遺伝子を含むゲノム配列をGenBank (accession number AL162497 全長143409 bp)より入手した。ヒトIRS-2 mRNAの配列とヒトIRS-2遺伝子を含むゲノム配列との詳細な比較を行って、ヒトIRS-2の遺伝子構造を推定した。但し、遺伝子の方向を5'側から3'側に統一するために入手したゲノム配列はその相補鎖を用いて比較した。
その結果、ヒトIRS-2遺伝子は2つのエクソンから構成されており、イントロンを含むこの遺伝子の全長は32730bpであると解析された。
この配列情報に基づいてプライマーを設計し、合成した。
検体としては、実施例1の対象患者中の顆粒球減少症の発症例12例および非発症例12例の各ゲノム検体を利用した。
各PCR反応は、5ngのゲノムDNAを利用して実施した。10μLの反応液は、dNTPs (1.25mM)、塩化マグネシウム (3.9mM)、硫酸アンモニウム (16.6mM)、トリス塩酸 (67mM、pH8.8)、β-メルカプトエタノール (10mM)、フォワードプライマーとリバースプライマーの各セット (1.25mM)、およびTaKaRa Ex Taq (Takara社) (0.5U)を含んでいた。反応液には必要に応じて終濃度10%になるようにDMSO(Dimethyl sulfoxide) を加えた。
各サンプルはDNA Engine PTC-0200 (MJ Research社製)またはGeneAmpPCRシステム9700 (PEアプライドバイオシステム社製)によって増幅させた。PCR反応は、95℃2分の後、94℃30秒、58℃もしくは60℃30秒、72℃3分を37サイクル行った後、72℃10分間にて最終の伸長反応を行った。
得られた各PCR産物を、ビッグダイ・ターミネーターRRミックス(BigDyeTMTerminator RR mix: PEアプライド・バイオシステムズ社製)を用いて反応させた。
遺伝子多型は、ABI Prism 3700 DNA Analyzer (PEアプライドバイオシステム社製)において得られた塩基配列情報をもとに、SEQUENCHER 3.1 (Gene Codes社製)を用いて検出し、ヒトIRS-2遺伝子上の位置を確認した。
(b)検体の増幅と遺伝子型判定法
上記検出法で同定された多型が、対象患者においてどのような遺伝子型の分布を示すかを調べるために、すべてのゲノムDNA検体について、各PCR産物が上記で同定した遺伝子多型を含んでいるように各プライマーセットを用いて上記記載と同様に反応させ、解析を行った。
(c)統計的分析
実施例1と同じ方法に加えて、トンプソンらの方法(Thompson,E.A.,et al., Am. J. Hum. Genet. 42: 113-124 (1988))に従い、ペア・ワイズ連鎖不平衡係数(D'=D/DmaxまたはD/Dmin)を計算した。
(d)結果
上記の解析の結果、本実施例に基づき解析したすべての多型は、対象患者群においてハーディーワインバーグ平衡の法則に従うことが確認された。
本解析の結果、ベスナリノンの服用により誘発される顆粒球減少症と強い関連が認められた6つの多型とその統計値を表1から表6に示す。
Figure 2005058224
Figure 2005058224
Figure 2005058224
Figure 2005058224
Figure 2005058224
Figure 2005058224
表中において、「del」で示している多型は欠失多型を示し、「多型」に示している数字はヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンATGのAを+1として数えたものである。また、数字にマイナス(-)がついているものは該コード領域の翻訳開始コドンATGのAから5'上流側に位置していることを示している。
表1-6に示されるように、ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから上流4587番目のCがAに変異した多型「C-4587A」と、ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから上流2510番目のATが欠失した多型「AT-2510del」と、ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから上流1164番目のAがCに変異した多型「A-1164C」と、ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから15870番目のAがGに変異した多型「A15870G」と、ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから29793番目のAがGに変異した多型「A29793G」と、ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから31532番目のCが欠失した多型「C31532del」の6種の多型のいずれかの多型を1つでも有する患者の場合は、ベスナリノン服用後の顆粒球減少症の発症と強い関連が観察された。これら6つの多型のヒトIRS-2遺伝子における位置関係を図1に示す。尚、図1中、+1は翻訳開始コドンATGのAを示す。
これら多型間に連鎖不平衡が成り立つか否かを検討した結果を表7に示す。
Figure 2005058224
表7より、ベスナリノン服用後の顆粒球減少症発症に強く関連していた多型は、全ての多型がほぼ完全な連鎖不平衡にあることが判る。即ち、ヒトIRS-2遺伝子のコード領域の上流4587番目のアレルが変異型Aを持つならば、ベスナリノン服用後の顆粒球減少症発症に強く関連している別の5ヵ所に存在している多型も変異型を有することが判る。
これらの結果は、ヒトIRS-2遺伝子におけるこれら6ヶ所の変異が、ベスナリノン服用後の顆粒球減少の発症において重要な役割を有していることを強く示唆している。
最近、スカッチャー(Schacher,D. H.,et al., J. Immunol., 164:113-120 (2000))らは、骨髄芽系細胞のHL-60細胞がDMSO刺激で顆粒球へと分化する際にIRS-2蛋白質の発現レベルが上昇することを報告した。この報告はIRS-2が、顆粒球分化へ強く関わっていることを示唆している。本発明者らが見出したヒトIRS-2遺伝子変異のうちの3つの変異(C-4587A、AT-2510delおよびA-1164C)は、ヒトIRS-2遺伝子の転写量の調節をつかさどっているプロモーター領域に位置していることから、これらの変異が認められる場合は、IRS-2の転写量が抑制され、顆粒球への分化が誘導され難くなるという考えが支持されるかもしれない。
本例は、本発明のヒトIRS-2遺伝子の6つの多型を検出する別法に関する例であり、下記(a)および(b)に示すように実施された。
(a)直接塩基決定法
PCR産物が本発明に係る6つの多型を含むように、表8に示されるフォワード・プライマー(配列番号:1、4、7、10、13および15)およびリバース・プライマー(配列番号:2、5、8、11、14および16)を用いて、DNA Engine PTC-0200(MJ Research社製)またはGeneAmpPCRシステム9700 (PEアプライドバイオシステム社製)によって各DNA断片を増幅させた。各PCR反応は、95℃2分の後、94℃30秒、表8に示す各アニーリング温度で30秒、72℃で表8に示す各伸長反応時間を、37サイクル行った後、72℃10分間にて最終伸長反応を行った。アニーリング温度および伸長反応時間は、下記表8に示す通りであり、各DNA断片に対して、それぞれ58℃〜60℃の温度および0.5分〜3分間の時間である。
Figure 2005058224
反応溶液の組成は実施例2-(a)に示す通りである。ただし、「A-1164C」を検出するための反応溶液には終濃度10%となるようにDMSOを加えた(表8のDMSOの項参照)。
表8中「A29793G」の検出に用いたリバースプライマー(配列番号:14)の23番目のGは、制限酵素Afa I認識部位を導入するために入れた変異である。
「A29793G」の変異の検出以外は、ヌクレオチド直接塩基配列決定法[ダイデオキシ法(Sanger, et al., Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 74, 5463-5467 (1977)またはマキサム−ギルバート法(Methods in Enzymology, 65, 499 (1980)]にて多型の検出を行った。用いたプライマーを表9に示す(配列番号:3,6,9,12および17)。
Figure 2005058224
(b)PCR-RFLP(制限酵素断片長多型)分析法
「A29793G」の検出には、PCR-RFLP(制限酵素断片長多型)分析法を用いた。即ち、20μLの反応溶液は、10μLのPCR産物、2単位の制限酵素Afa I (10units/mL; Takara社製)および制限酵素に添付の2μLの10×Buffer Tからなっており、これに終濃度0.01%になるようにBSAを加えて、37℃で16時間インキュベーション後、4%のアガロースゲルにて制限酵素処理産物を分離した。
かくして、患者検体から抽出したDNAを、上記実施例に示されるヒトIRS-2遺伝子の6つの多型のいずれかの検出方法に適応すれば、予め薬剤を投与する前に、薬剤投与によって薬剤起因性の顆粒球減少症(無顆粒球症も含む)が生じる可能性の有無、即ち薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクを判定することができる。このように、本発明によれば、特に患者検体のDNAを調べることによってベスナリノン投与による顆粒球減少症発症リスクを検査、判定することができる。
本発明は、ヒト薬剤起因性顆粒球減少症の発症リスクの検査、判定に、殊に薬剤投与によって薬剤起因性の顆粒球減少症(無顆粒球症も含む)の副作用が既報されている薬剤の投与前における当該顆粒球減少症発症リスクの検査、判定に有用である。
ヒトIRS-2遺伝子の構造および遺伝子多型の存在位置を示す概略図である。
配列番号1-17は、それぞれ、IRS-2遺伝子のSNPsの増幅のためのプライマー配列である。

Claims (19)

  1. 被検者のヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子の遺伝子多型を検出し、これを指標として薬剤起因性顆粒球減少症発症のリスクの存在を判定する薬剤起因性顆粒球減少症発症リスク判定法。
  2. ヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子の遺伝子多型の存在を指標として薬剤起因性顆粒球減少症発症のリスクの存在を判定するための、当該遺伝子の遺伝子多型を検出する方法。
  3. ヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子の遺伝子多型が、下記(a)-(f)からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1または2に記載の方法;
    (a) コード領域の翻訳開始コドンから上流4587番目における野生型(C)がAに変異した多型、
    (b) コード領域の翻訳開始コドンから上流2510番目における野生型(AT)が欠失した多型、
    (c) コード領域の翻訳開始コドンから上流1164番目における野生型(A)がCに変異した多型、
    (d) コード領域の翻訳開始コドンから15870番目における野生型(A)がGに変異した多型、
    (e) コード領域の翻訳開始コドンから29793番目における野生型(A)がGに変異した多型、および
    (f) コード領域の翻訳開始コドンから31532番目における野生型(C)が欠失した多型。
  4. 遺伝子多型の検出が、ヌクレオチド直接塩基配列決定法、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)-ドットブロット分析、一塩基プライマー伸長法、PCR-単鎖高次構造多型(SSCP)分析、PCR-制限酵素断片長多型(RFLP)分析、インベーダー法、定量的リアルタイムPCR検出法および質量分析計を用いた遺伝子多型検出法(mass array)からなる群から選ばれる少なくとも1つの方法により行われる請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 遺伝子多型の検出が、ヌクレオチド直接配列決定法により行われる請求項4に記載の方法。
  6. 遺伝子多型の検出が、PCR-制限酵素断片長多型(RFLP)分析により行われる請求項4に記載の方法。
  7. PCR-制限酵素断片長多型(RFLP)分析が、ヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから29793番目のAからGへの変異を検出するために制限酵素Afa Iを用いて行われる請求項6に記載の方法。
  8. ヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子にハイブリダイズすることができる遺伝子多型検出用プライマーまたはプローブとしてのオリゴヌクレオチドであって、以下の(a)-(f)からなる群から選ばれるオリゴヌクレオチド;
    (a) ヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから上流4587番目のCがAに変異した遺伝子多型部位を含む配列であるオリゴヌクレオチド、
    (b) ヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから上流2510番目のATが欠失した遺伝子多型部位を含む配列であるオリゴヌクレオチド、
    (c) ヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから上流1164番目のAがCに変異した遺伝子多型部位を含む配列であるオリゴヌクレオチド、
    (d) ヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから15870番目のAがGに変異した遺伝子多型部位を含む配列であるオリゴヌクレオチド、
    (e) ヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから29793番目のAがGに変異した遺伝子多型部位を含む配列であるオリゴヌクレオチド、および
    (f) ヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから31532番目のCが欠失した遺伝子多型部位を含む配列であるオリゴヌクレオチド。
  9. ヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子にハイブリダイズすることができる遺伝子多型検出用プライマーであって、以下の(a)-(d)および(f)からなる群から選ばれるオリゴヌクレオチドからなるプライマー;
    (a) 配列番号:3で示される配列のオリゴヌクレオチド、
    (b) 配列番号:6で示される配列のオリゴヌクレオチド、
    (c) 配列番号:9で示される配列のオリゴヌクレオチド、
    (d) 配列番号:12で示される配列のオリゴヌクレオチド、
    (f) 配列番号:17で示される配列のオリゴヌクレオチド。
  10. 請求項8に記載のオリゴヌクレオチドを、ヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子の多型検出用プライマーまたはヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子の多型検出用プローブとして含む薬剤起因性顆粒球減少症発症リスク判定用キット。
  11. 請求項9に記載のプライマーを含む請求項10に記載のキット。
  12. 請求項8の(e)に記載のオリゴヌクレオチドと、制限酵素Afa Iとを含むヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから29793番目のAからGへの変異を検出するための請求項10に記載のキット。
  13. 請求項8に記載のオリゴヌクレオチドまたは9に記載のプライマーを用いてベスナリノン投与による薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクを判定する請求項1に記載の方法。
  14. 請求項8の(e)に記載のオリゴヌクレオチドと、制限酵素Afa Iとを用いてベスナリノン投与による薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクを判定する請求項1に記載の方法。
  15. 請求項8に記載のオリゴヌクレオチドを、ヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子の多型検出用プライマーまたはヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子の多型検出用プローブとして含む薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクの存在を判定するための当該遺伝子の遺伝子多型検出用キット。
  16. 請求項9に記載のプライマーを含む請求項15に記載のキット。
  17. 請求項8の(e)に記載のオリゴヌクレオチドと、制限酵素Afa Iとを含むヒト・インスリン受容体基質-2遺伝子のコード領域の翻訳開始コドンから29793番目のAからGへの変異を検出するための請求項15に記載のキット。
  18. 請求項8に記載のオリゴヌクレオチドまたは9に記載のプライマーを用いてベスナリノン投与による薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクを判定するための遺伝子多型を検出する請求項2に記載の方法。
  19. 請求項8の(e)に記載のオリゴヌクレオチドと、制限酵素Afa Iとを用いてベスナリノン投与による薬剤起因性顆粒球減少症発症リスクを判定するための遺伝子多型を検出する請求項2に記載の方法。
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