JP2005058113A - 肝癌術後に再発するリスクを予測するためのデータを収集するための方法およびキット - Google Patents

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Abstract

【課題】肝癌術後に再発するリスクを予測するためのデータを収集するための方法およびキットを提供する。
【解決手段】 被験者が肝癌術後に再発するリスクを予測するためのデータを収集する方法であって、(1)被験者から採取された肝癌標本から、RNAを調製することと、(2)前記RNA中に含まれる以下のGenBankアクセッション番号の遺伝子からなる遺伝子群より選択される少なくとも20遺伝子の発現量を測定することと:NM_001627、AK095284、NM_004883、NM_004360、NM_003617、NM_005345、NM_004938、AI581068、NM_014281、Y00285、AW978041、NM_018206、NM_004640、NM_002273、NM_005514、M15400、NM_021079、NM_002116、NM_006590、NM_000476、NM_001412、NM_024743、X87838、AA610496、AK025651、NM_006471等、(3)前記遺伝子群の発現量から、肝癌を再発するリスクを予測するためのデータを得ることとを具備する方法を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、肝癌術後の再発リスクを予測するためのデータの収集方法に関する。また、本発明は、上記方法を実施するためのキットを提供する。
肝癌は、その9割以上が肝炎ウイルス(C型、B型)の感染による慢性肝炎や肝硬変を発生母地としている。特に、肝炎ウイルスの罹患率の高い本邦では、発生率が高い。また、肝癌は、予後不良の癌であり、切除後も高率に再発する(術後2年間で約半数が再発する)。従来から用いられている臨床病理学的な指標(非特許文献1)。を持ってしても、その再発を予測するのは非常に困難な癌である。現在のところ、術後に補助療法を行うべき症例の選択が不可能であり、したがって、もっと的確に再発高危険群を選別する方法の開発が強く待ち望まれている。
一方、肝癌に関連している遺伝子がこれまでにもいくつか報告されている(非特許文献2-4)。しかし、このような遺伝子の発現の有無を測定するだけで再発高危険群を選別できる方法に関する報告は非常に稀である。最近では、DNAマイクロアレイを用いた同様の報告がなされたが(非特許文献5)、これはあくまでも術後1年以内の再発を予測するものであり、術後1〜2年の間の再発も多く認められる肝癌に対しては、臨床上の有用性は低いと考えられる。
Sobin LH, Wikkekind C (ed): TNM classification of malignant tumours. 5th Edition. New York, Wiley-Liss, INC. Publication, 1997 Huang GT, Lee HS, Chen CH, et al: Correlation of E-cadherin expression and recurrence of hepatocellular carcinoma. Hepato-Gastroenterol 46:1923-1927, 1999 Oka Y, Waterland RA, Killian JK, et al: M6P/IGF2R tumor suppressor gene mutated in hepatocellular carcinomas in Japan. Hepatology 35:1153-1163, 2002 Naka T, Toyota N, Kaneko T, et al: Protein expression of p53, p21WAF1, and Rb as prognostic indicators in patients with surgically treated hepatocellular carcinoma. Anticancer Res 18:555-564, 1998 Iizuka N, Oka M, Yamada-Okabe H, et al: Oligonucleotide microarray for prediction of early intrahepatic recurrence of hepatocellular carcinoma after curative resection. Lancet 361:923-929, 2003
上記事情に鑑み、本発明は、肝癌術後に再発するリスクを予測するためのデータを収集するための方法およびキットを提供することを目的とする。
本発明は、約60症例の肝癌手術標本より得られたRNAをもとに、PCR−arrayという独自に開発した遺伝子発現解析のツールを使用して、術後2年以内の早期再発を予測しうる遺伝子群を抽出することができたことにより、完成されるに至った。
すなわち、本発明は、被験者が肝癌術後に再発するリスクを予測するためのデータを収集する方法であって、
(1)被験者から採取された肝癌標本から、RNAを調製することと、
(2)前記RNA中に含まれる以下のGenBankアクセッション番号の遺伝子からなる遺伝子群より選択される少なくとも20遺伝子の発現量を測定することと:
NM_001627、AK095284、NM_004883、NM_004360、NM_003617、NM_005345、NM_004938、AI581068、NM_014281、Y00285、AW978041、NM_018206、NM_004640、NM_002273、NM_005514、M15400、NM_021079、NM_002116、NM_006590、NM_000476、NM_001412、NM_024743、X87838、AA610496、AK025651、NM_006471、NM_000157、NM_173795、BC041343、D12614、AK093978、NM_024836、NM_004145、AK025409、NM_020918、NM_016215、NM_020456、AA527967、NM_000971、NM_005765、X02744、NM_138340、NM_003589、NM_001482、NM_005088、XM_209723、C21130、NM_004501、NM_024617、NM_005252、NM_002810、NM_003932、BF593439、NM_007178、NM_000689、NM_018950、NM_000431、NM_002156、AI678179、NM_001685、AK024607、NM_018976、NM_016546、XM_037317、NM_016030、NM_021009、XM_211183、NM_006601、BM973137、BF357005、NM_021126、BC039102、NM_021999、NM_032177、NM_006755、NM_007158、X57809、NM_032828、AL043718、NM_004627、NM_006016、NM_001834、NM_006791、U14680、NM_000761、NM_005998、NM_004718、NM_002130、J02854、NM_006936、NM_018381およびNM_007106、
(3)前記遺伝子群の発現量から、肝癌を再発するリスクを予測するためのデータを得ることと、
を具備する方法を提供する。特に、上記方法であって、前記遺伝子の発現量は、前記遺伝子群のうちの20遺伝子の発現量であり、該20遺伝子は、NM_001627、AK095284、NM_004883、NM_004360、NM_003617、NM_005345、NM_004938、AI581068、NM_014281、Y00285、AW978041、NM_018206、NM_004640、NM_002273、NM_005514、M15400、NM_021079、NM_002116、NM_006590およびNM_000476である方法が好ましい。
また、本発明は、上記記載の方法であって、前記遺伝子の発現量は、PCRに基づく方法によって定量される方法を提供する。
さらに、本発明は、上記方法であって、前記肝癌を再発するリスクは、Weighted Votingアルゴリズムでの計算式を使用して予測される方法を提供する。
また、本発明は、被験者が肝癌術後に再発するリスクを予測するためのデータを収集するするためのキットであって、上記遺伝子群から選択される少なくとも20遺伝子を増幅可能であり、かつ定量可能なプライマーを含むことを特徴とするキットを提供する。
さらに、本発明は、被験者が肝癌術後に再発するリスクを予測するためのデータを収集するためのキットであって、上記遺伝子群から選択される少なくとも20遺伝子を検出可能なプローブが固定化されたアレイを含むことを特徴とするキットを提供する。
本発明により、上記予測遺伝子群の発現量のみをPCR-arrayによって測定し、その値をWeighted Votingアルゴリズムでの計算式(*)に当てはめるだけで、肝癌の再発の有無を予測するためのデータを即座に得ることができる。
上記92個の予測遺伝子を用いて、肝癌術後早期再発を予測し、臨床に応用するまでの手順は以下の通りである。
1.被検患者から採取された肝癌標本からRNAを調整する。具体的には、予め採取された肝癌組織の一部(肝細胞癌と診断され肝切除術を受ける患者さんから手術で切除されたもの、もしくは生検により採取されたもの)から、通常のプロトコールにてRNAを抽出する。たとえば、市販のRNA抽出用キット等を使用すればよい。
2.上記抽出したRNAに含まれる上記遺伝子群のRNA発現量を定量する。ここで、抽出したRNAは、RNAを一旦cDNAに変換してから以下の工程を行えばよい。RNAの抽出からcDNAの取得までは、市販のキット等を使用して行うことができる。
上記予測遺伝子群の発現量は、たとえばPCRアレイ、DNAマイクロアレイ、リアルタイムPCR(LightCycler)などの各種遺伝子発現定量法などを用いて定量することができる。
PCRアレイとしては、たとえばATAC−PCRを使用することができる(Kato K: Adaptor-tagged competitive PCR: a novel method for measuring relative gene expression. Nucleic Acids Res 25:4694-4696,1997を参照されたい)。ATAC-PCRは、一度に多種の標的核酸を定量することが可能な競合的PCRに基づく方法であり、本発明のように92遺伝子という多数の遺伝子の発現を解析するために有用である。
たとえば、PCRアレイを使用して発現量を定量する場合、上記遺伝子群を増幅可能なプライマーを使用して、以下の実施例において示したような手順で行うことができる。この時、プライマーには標識(蛍光標識など)を行っておけば、蛍光に基づいて容易に定量することができる。特に、ATAC-PCRによって定量する場合は、さらにビオチン標識およびアダプターが付加されたcDNAサンプルを使用しなくてはならない。また、上記遺伝子群のそれぞれの遺伝子配列は既に明らかにされており、該遺伝子を増幅可能なプライマーは、当業者であれば容易に作成することができる。
DNAマイクロアレイを使用する場合は、上記予測遺伝子群を検出可能なプローブが固定化されたアレイを使用して、通常のプロトコールに従って各遺伝子の発現量を定量することができる。
リアルタイムPCRを使用する場合は、上記予測遺伝子群を検出可能なプライマーを使用して、通常のプロトコールに従って各遺伝子の発現量を定量することができる。
また、上記発現量の定量において、定量のための対照(標準)サンプルとしては、肝癌の癌部および非癌部より採取した混合サンプルを使用すればよい。
3.上記遺伝子群の発現量から、肝癌を再発するリスクを予測する。肝癌を再発するリスクを予測するためのデータは、各種判別関数に測定した発現量を代入することにより、即座に得ることが出来る。判別関数は、たとえば、Weighted Voting (WV)法(Golub TR, Slonim DK, Tamayo P, et al: Molecular classification of cancer: class discovery and class prediction by gene expression monitoring. Science 286:531-537,1999を参照されたい)、k nearest neighbor (k-NN)法、support vector machine (SVM)、Artificial Neural Network (ANN)、Fisher linear classifier、階層的クラスタリング、主成分分析(PCA)などを使用して導き出すことができるが、好ましくはWV法である。
上記判別関数は、上記判別方法を使用して、実施例に示した60症例および40症例から得られた上記遺伝子群の各遺伝子の発現量(表1〜100)と肝癌再発の有無に基づいて導き出すことができるであろう。
また、92個すべての遺伝子を使用せずに、このうちの幾つかの遺伝子を選択して判定することによっても、高い予測能が期待できる。たとえば、判別関数としてWeighted Voting(WV)法を用いた場合、予測に使用する遺伝子数をp値によるランキングの上位から10個、20個、40個、60個、80個、92個と変動させた上で、それぞれの予測的中率をleave-one-out法により算出すると、20個、40個、60個、92個では、いずれも83.3%の最高値を示した(図2)。そこで、効率化のために最も少ない上位20個のみを使用し、新しい追加40症例について早期再発を予測してみたところ、全体で72.5%の的中率を示した(下記の実施例を参照されたい)。したがって、本発明の好ましい態様において、予測に使用する最少遺伝子数は、20個であり、この場合は、該20遺伝子のみの発現量を定量するだけで再発リスクを予測するデータが得られる。
具体的には、Weighted Voting (WV)法において、p値によるランキングの上位から20個の遺伝子を使用する場合、以下の式に得られた発現量を代入する。
(G1-0.011)*0.466-(G2-2.063)*0.481+(G3+0.876)*0.458+(G4+0.020)*0.513+(G5-0.775)*0.441+(G6+0.1268)*0.465+(G7+0.303*0.458-(G8-0.022)*0.395+(9-0.217)*0.455-(G10+0.005)*0.392-(G11+1.053)*0.419-(G12+0.327)*0.435+(G13+0.144)*0.371+(G14+1.027)*0.397)-(G15+1.172)*0.414-(G16+0.312)*0.399+(G17+0.215)*0.384-(G18+0.496)*0.357+(G19-0.474)*0.398+(G20+0.183)*0.401
式中、G1〜G20の値は、下記表に示した遺伝子群の遺伝子の発現量(対照サンプルに対する発現量比を常用対数変換した値)を示す。得られたPSの結果が、PS>0の場合に再発ありと予測され、PS<0の場合に再発なしと予測される。
ここで再発ありと予測された症例に対しては術後すぐに補助化学療法を行った上で、再発の早期発見に努めるといったようなテーラーメード医療の実現が可能になると想定される。
判別関数は、上記記載のもの以外にも、種々の関数を使用することができる。上記のように遺伝子の発現量と肝癌再発の有無との関係から、当業者であれば容易にこのような関数を適用することができるであろう。
次に、本発明のキットについて説明する。本発明のキットは、被験者が肝癌術後に再発するリスクを予測するためのデータを収集するするためのキットであり、上記遺伝子群から選択される少なくとも20遺伝子を増幅可能かつ定量可能なプライマーを含むことを特徴とする。増幅可能なプライマーは、通常、増幅したい遺伝子に相補的な配列を有する。このような配列は当業者であれば容易に得ることができるであろう。また、各遺伝子の発現量を定量可能とするために、そのプライマーには、たとえば種々の標識がなされていてもよい。たとえば、ATAC-PCRに使用するためのキットとして、プライマーは、上記遺伝子を増幅するための配列の他にアダプター配列などを有し、蛍光標識がなされていてもよい。このようなプライマーの作製は、定法に従って合成して作製することができる。
その他、本発明のキットには、PCRのための酵素、溶液、反応容器、対照として使用するための遺伝子などが含まれていてもよい。また、肝癌標本からRNAを調整するための試薬や、cDNAを得るための試薬が含まれていてもよい。
本発明のキットを使用することにより、上記の肝癌術後に再発するリスクを予測するデータを収集する方法を容易に実施することができる。すなわち、被験者から採取された肝癌標本からRNAを調整し、本キットを使用して肝癌再発の予測のための20遺伝子を増幅および定量し、得られた発現量から肝癌を再発するリスクを予測するためのデータを容易に得ることができる。
また、本発明のキットは、上記遺伝子群から選択される少なくとも20遺伝子を検出可能なプローブが固定化されたアレイを含むことを特徴とするキットであってもよい。この場合、アレイによって予測のための20遺伝子の発現量を定量し、その値を各種関数に代入することによってデータを得ることができる。
本発明の方法を使用して肝癌の再発リスクを予測し、従来からもっとも臨床の場に普及しているTNM病期分類にて症例の層別化を行ったところ、比較的早期であるTNM病期I,II期の症例においては77.8%、比較的進行したTNM病期III,IV期の症例においては68.2%の的中率であった(下記実施例を参照されたい)。さらに、この新しい予測方法と従来の臨床病理学的因子との関連性を調べるため、多変量解析を行ってみると、この診断法は他の因子と独立し(p=0.007)、もっとも高いハザード比を示した(3.82)。これらの結果から、この再発予測システムは従来の予後因子と全く独立した強力な指標であり、特にTNM病期I,II期のような比較的早期の肝癌症例に対して、より高い能力を発揮することが確認された。
本発明によって得られたデータを利用することにより、今後臨床の現場においては、肝癌の外科的切除時に採取した肝癌標本の一部よりRNAを抽出し、PCRアレイ等による発現量の定量をわずか20個の遺伝子に対してのみ行うだけで術後2年以内の残肝再発の有無を高率に予測することができる。ここで、再発があると予測された症例に対しては、術後すぐに補助化学療法を行った上で、再発の早期発見につとめるといったようなテーラーメード医療の実現が可能になる。
本発明は、特に、上記肝癌を再発するリスクを予測するためのデータを得る方法であって、前記遺伝子の発現量は、前記遺伝子群のうちの20遺伝子の発現量であり、該20遺伝子は、NM_001627、AK095284、NM_004883、NM_004360、NM_003617、NM_005345、NM_004938、AI581068、NM_014281、Y00285、AW978041、NM_018206、NM_004640、NM_002273、NM_005514、M15400、NM_021079、NM_002116、NM_006590およびNM_000476であり、肝癌を再発するリスクを予測するためのデータは、Weighted Votingアルゴリズムでの計算式を使用する方法が好ましい。
以下、肝癌術後2年以内に肝内再発を認めた群と認めなかった群の間で、有意に発現量の相違を認める92遺伝子を抽出した過程を説明する。
(検索遺伝子の設定)
肝細胞癌(HCC)+肝炎由来cDNAライブラリー、正常肝由来cDNAライブラリーおよび転移性肝癌由来cDNAライブラリの計24572クローンのシーケンスにより得られた発現頻度の高い2774遺伝子と、文献より選択した消化器癌関連の298遺伝子とを合わせた3072遺伝子を候補遺伝子とした。
(発現量解析の対象および方法)
HCC切除後再発は、術後2年以内の再発が主であり、2年以内に生じる再発は、肝内転移と多中心性発癌のうち、肝内転移再発が主であることが知られている。
1997年1月以降にHCC根治切除を行った症例のうち、術後2年以上の観察期間の得られた100症例を対象とした。これを手術日により前半60症例と後半40症例とに分け、前半をトレーニングデータセットとし、後半をバリデーションデータセットとした。
(解析方法)
トレーニングデータセットの中で術後2年以内の残肝再発群(n=32)と残肝無再発群(n=28)の両群間で大きく発現量の異なる遺伝子群を、5万回の無作為並べ替え検定(random permutation test)(図1)(Churchill GA, Doerge RW: Empirical threshold values for quantitative trait mapping. Genetics 138:963-971,1994を参照されたい)にて選択し、そのp値による上位遺伝子(p<0.05の遺伝子)のみを使用することとした。
無作為並べ替え検定では、各症例のラベル(再発したか、していないかの2種類)を無作為に並べ替えることによってできた新たな再発群と無再発群との間での発現量の平均値の差を計算する。この作業を5万回繰り替えし、元々の正しいラベルの際の平均値の差よりも大きくなった回数(N)からp値を求める(p=N/50,000)。
(384遺伝子の一括測定)
遺伝子の発現量の測定は、以下の手順に従って384遺伝子を一括測定した(384遺伝子一括測定法)。
1. 5μgのtotal RNAと15pmolの5’ビオチン化oligo dT primerを混合し、全体で11μlの溶液とする。
2. 70℃で5分間熱変性させ、氷上で急冷する。
3. 以下の試薬を加えて全体で20μlとし、42℃で1時間反応させる。
5×1st strand Buffer、4μl
0.1M DTT、2μl
10mM dNTP、1μl
RNase inhibitor、1μl(26U)
Superscript II、1μl(200U)
4. 以下の試薬を加えて全体で123μlとし、16℃で2時間反応させる。
10×E.coli ligase Buffer、10μl
10mM dNTP、4μl
0.1M DTT、2μl
E.coli Ligase、2μl(20U)
E.coli Polymerase、4μl(40U)
E.coli RNase H、1μl(2U)
DW、80μl
5. 70℃で20分間反応させ、酵素を失活させる。
6. 以下の試薬を加えて全体で350μlとし、37℃で1時間反応させる。
10×K Buffer 、35μl
MboI、5μl(50U)
DW、187μl
7. フェノールクロロホルム処理およびエタノール沈後、ペレットを0.1×TE Buffer 600μlにて溶解する。
8. 以下の7種類のadaptor primerを用意し、それぞれを384 ウェルプレート1枚当たり以下の比率にて混合し、16℃で一晩反応させる。
MB-1 5’-GTACATATTGTCGTTAGAACGCG- 3’(配列番号1)
5’-GATCCGCGTTCTAACGACAATATGTAC- 3’(配列番号2)
MB-2 5’-GTACATATTGTCGTTAGAACGCGACT- 3’(配列番号3)
5’-GATCAGTCGCGTTCTAACGACAATATGTAC- 3’(配列番号4)
MB-3 5’-GTACATATTGTCGTTAGAACGCGCATACT- 3’(配列番号5)
5’-GATCAGTATGCGCGTTCTAACGACAATATGTAC- 3’(配列番号6)
MB-4 5’-GTACATATTGTCGTTAGAACGCGATCCATACT- 3’(配列番号7)
5’-GATCAGTATGGATCGCGTTCTAACGACAATATGTAC- 3’(配列番号8)
MB-5 5’-GTACATATTGTCGTTAGAACGCGTCAATCCATACT- 3’(配列番号9)
5’-GATCAGTATGGATTGACGCGTTCTAACGACAATATGTAC- 3’(配列番号10)
MB-6 5’-GTACATATTGTCGTTAGAACGCGTACTCAATCCATACT- 3’(配列番号11)
5’-GATCAGTATGGATTGAGTACGCGTTCTAACGACAATATGTAC- 3’(配列番号12)
MB-7 5’-GTACATATTGTCGTTAGAACGCGCTATACTCAATCCATACT- 3’(配列番号13)
5’-GATCAGTATGGATTGAGTATAGCGCGTTCTAACGACAATATGTAC- 3’(配列番号14)
MB-1、MB-2、MB-3〜7
MboI cDNA 80μl、20μl、40μl
10×T4 ligation Buffer 12μl、3μl、6μl
adaptor primer(5pmol/μl) 24μl、6μl、12μl
T4 Ligase(3U/μl) 4μl、1μl、2μl
9. 5M NaClをMB-1サンプルに48μl、MB-2サンプルに12μl、MB-3〜7サンプルにはそれぞれ24μlずつ加え、よく混合する。
10. 以下の組成で各サンプルを混合する。
MB-1、160μl
MB-2、32μl
MB-3〜7、80μl×5
11. ストレプトアビジンでコートされたビーズを148μl加えてよく混合したのち、20分間氷上に静置する。
12. マグネットを用いて混合液中のビーズを回収し、600μlのDWで2回洗浄する。
13. 回収したビーズにDW 840μlを加えて混合する。
14. 以下の試薬を加え、混合する。
10×PCR Buffer 216μl
20mM dNTP 24μl
FAM-C1S primer(100pmol/μl) 24μl
AmpliTaq Gold 40μl(200U)
DW 776μl
15. 384 ウェル PCRプレートに、サンプルを4.5μlずつ分注する。
16. 384種類の遺伝子特異的primerを各ウェルに0.5μlずつ加えてよく混合し、以下の条件でPCRを行う。
17. 95℃,10分 →(94℃,30秒 → 50℃,30秒 → 72℃,1分)×40サイクル → 72℃,20PCR産物2μlを新しい384 ウェル PCRプレートに移し、DW 58μlを加えて30倍希釈する。
18. さらにsize standard markerである500-Roxを加えて8倍希釈する。
19. 95℃で7分間反応させる。
20. DNAアナライザ3100を用いて、発現量の測定を行う。
(結果)
測定遺伝子3072個のうち欠測値が25%以下の遺伝子を解析対象から除くと、1546個の遺伝子が残った。
次に、5万回の無作為並べ替え検定を行い、p<0.05のものを再発予測遺伝子候補とすると、表1の92個の遺伝子が残った。
Figure 2005058113
Figure 2005058113
Figure 2005058113
上記表1において、Rankの欄は、無作為並べ替え検定のp値が低い順にG1〜G92とし、次いで対応するUniGene ID、GenBankアクセッション番号、遺伝子のSymbol、および遺伝子名を記載した。
また、上記92遺伝子について発現量を測定した結果を以下の表1〜26に記載する。数値は、対照サンプルに対する発現量比を常用対数変換した値として示した。表中、欠側値は999.000と示した。
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これら60症例についての遺伝子発現量(表1〜60)を使用して、Weighted Voting方式によって判別関数を導き出した。該判別関数による残肝再発予測能をバリデーションデータセットを使用して検証した。このとき、発現量を定量するための対照(標準)サンプルとしては、肝癌の癌部および非癌部より採取した混合サンプルを使用した。
Weighted Voting(WV)アルゴリズムでは、
シグナル対ノイズ比(S2N)=μrecnone/σrecnone
Weighted Vote(v)=S2N×(x-(μrecnone)/2)
prediction strength(PS)=(V-|V|)/(V+|V|)
(V:vが正であったものの総和、V:vが負であったものの総和)
において、PS>0の場合に再発ありと予測され、PS<0の場合に再発なしと予測される。
予測に使用する遺伝子数をp値によるランキングの上位から10個、20個、40個、60個、80個、92個と変動させた上で、それぞれの予測的中率をleave-one-out法により算出すると、20個、40個、60個、92個ではいずれも83.3%の最高値を示した(図2)。したがって、92遺伝子のうち少なくとも20遺伝子を使用すれば、それ以上の遺伝子を使用した場合と同様の結果が得られることがわかる。
また、ランキングの上位20遺伝子のうち、4、10、16位の遺伝子は、従来より肝癌に関与することが明らかとなっている遺伝子であり、この抽出方法により、肝癌に関与する遺伝子の抽出がなされていることが示唆される。
(データの解析)
さらに、本発明の新規予測方法と従来の臨床病理学的因子との関連性を調べるために、多変量解析を行ってみると、この診断法は、他の因子と独立し(p=0.007)、最も高いハザード比を示した(3.82)。これらの結果から、この方法によって得られたデータは、従来の予後因子と全く独立した強力な指標である。また、従来からもっとも臨床の場に普及しているTNM病期分類にて症例の層別化を行ったところ、比較的早期であるTNM病期I,II期の症例においては77.8%、比較的進行したTNM病期III,IV期の症例においては68.2%の的中率であった(図3)。本発明は、特に、TNM病期I、II期のような比較的早期の肝癌症例に対して、より高い能力を発揮することが確認された。
本発明により、患者個々の分子生物学的個性を用いた新しい遺伝子診断が可能となり、従来の病理組織診断法に組み合わせることで、より効果的なテーラーメード医療の実現が可能となりうる。
random permutation testの概略図。 本発明の1態様によって得られたデータから肝癌の再発予測した場合の予測精度を示す図。 本発明による予測精度を、TNM病期分類で症例を層別化して示した図。

Claims (6)

  1. 被験者が肝癌術後に再発するリスクを予測するためのデータを収集する方法であって、
    (1)被験者から採取された肝癌標本から、RNAを調製することと、
    (2)前記RNA中に含まれる以下のGenBankアクセッション番号の遺伝子からなる遺伝子群より選択される少なくとも20遺伝子の発現量を測定することと:
    NM_001627、AK095284、NM_004883、NM_004360、NM_003617、NM_005345、NM_004938、AI581068、NM_014281、Y00285、AW978041、NM_018206、NM_004640、NM_002273、NM_005514、M15400、NM_021079、NM_002116、NM_006590、NM_000476、NM_001412、NM_024743、X87838、AA610496、AK025651、NM_006471、NM_000157、NM_173795、BC041343、D12614、AK093978、NM_024836、NM_004145、AK025409、NM_020918、NM_016215、NM_020456、AA527967、NM_000971、NM_005765、X02744、NM_138340、NM_003589、NM_001482、NM_005088、XM_209723、C21130、NM_004501、NM_024617、NM_005252、NM_002810、NM_003932、BF593439、NM_007178、NM_000689、NM_018950、NM_000431、NM_002156、AI678179、NM_001685、AK024607、NM_018976、NM_016546、XM_037317、NM_016030、NM_021009、XM_211183、NM_006601、BM973137、BF357005、NM_021126、BC039102、NM_021999、NM_032177、NM_006755、NM_007158、X57809、NM_032828、AL043718、NM_004627、NM_006016、NM_001834、NM_006791、U14680、NM_000761、NM_005998、NM_004718、NM_002130、J02854、NM_006936、NM_018381およびNM_007106、
    (3)前記遺伝子群の発現量から、肝癌を再発するリスクを予測するためのデータを得ることと、
    を具備する方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記遺伝子の発現量は、前記遺伝子群のうちの20遺伝子の発現量であり、該20遺伝子は、NM_001627、AK095284、NM_004883、NM_004360、NM_003617、NM_005345、NM_004938、AI581068、NM_014281、Y00285、AW978041、NM_018206、NM_004640、NM_002273、NM_005514、M15400、NM_021079、NM_002116、NM_006590およびNM_000476である方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法であって、前記遺伝子の発現量は、PCRに基づく方法によって定量される方法。
  4. 請求項1または2に記載の方法であって、前記肝癌を再発するリスクを予測するためのデータは、Weighted Votingアルゴリズムでの計算式を使用して予測される方法。
  5. 被験者が肝癌術後に再発するリスクを予測するためのデータを収集するするためのキットであって、請求項1に記載の遺伝子群から選択される少なくとも20遺伝子を増幅可能であり、かつ定量可能なプライマーを含むことを特徴とするキット。
  6. 被験者が肝癌術後に再発するリスクを予測するためのデータを収集するためのキットであって、請求項1に記載の遺伝子群から選択される少なくとも20遺伝子を検出可能なプローブが固定化されたアレイを含むことを特徴とするキット。
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