複数の通信端末が、回線の一部を共用して特定の1つの通信端末と時分割でパケットの通信を行うような通信システムの1つに、E−PON(Ethernet(登録商標) - Passive Optical Network)システムがある。E−PONシステムでは、大容量データにも対応可能な高速通信を実現する光ファイバ網によって可変長のパケットの送受信を行う。
図10は、E−PONシステムを使用したパケット通信システムの一例を表わしたものである。このパケット通信システム101では、インターネットプロバイダ102のアクセスサーバ103を介してインターネット網104と各家庭1051〜105Nのパーソナルコンピュータ1061〜106Nとが結ばれている。アクセスサーバ103に接続されるプロバイダ側通信端末107と各パーソナルコンピュータ1061〜106Nに接続される各家庭側通信端末1081〜108Nの間には、パケット信号の分岐や合流を行うための光カプラ109が配置されている。プロバイダ側通信端末107と光カプラ109の一端側とは、光ファイバからなる1本のプロバイダ側回線110により接続されている。光カプラ109の他端側には、光ファイバからなるN本の各家庭側回線1111〜111Nのそれぞれの一端が接続されており、これらの他端は各家庭1051〜105Nの各家庭側通信端末1081〜108Nに1つずつ対応して接続されている。
このように、E−PONシステムでは各家庭側回線1111〜111Nを個別にプロバイダ側通信端末107に直接接続せず、各家庭側通信端末1081〜108Nは光カプラ109により1本にまとめられ、プロバイダ側回線110を共用してプロバイダ側通信端末107と通信を行う。したがって、各家庭側回線1111〜111Nに対し共用回線であるプロバイダ側回線110を相対的に長くとることにより、パケットシステム全体の回線の敷設距離を短くすることができる。また、光カプラ109は受動的な分岐装置で構造が簡単である。更に、プロバイダ側通信端末107と各家庭側通信端末1081〜108NはATM−PDS(Asynchronous Transfer Mode - Passive Double Star)方式等の固定長パケットを送受信するような通信方式に用いられる通信端末よりも構造が簡単である。すなわち、E−PONシステムには、一般的に高いとされる光通信回線の敷設コストを大幅に節減できるという長所がある。また、可変長のパケットの送受信が可能なため多様なデータを取り扱うことができ、さまざまな分野での普及が進んでいる。
複数の通信端末が回線の一部を共用して特定の1つの通信端末とパケットの通信を行うネットワーク形態は、以上説明したE−PONシステム以外のパケット通信システムでも幅広く取り入れられている。しかし、このような共用回線を有するネットワーク形態によるパケット通信システムでは、複数の送信端末が送信したパケット同士が共用回線で衝突する恐れがある。そこで、各送信端末に互いに重複しない時間帯を予め割り当て、その時間帯にのみ送信を許可することによりそのような衝突を防止することが従来より行われている。
図11は共用回線での衝突防止のために、複数の送信端末が互いに重複しない送信許可時間帯を使用して特定の1つの受信端末にパケットの送信を行う状態を模式的に表わしたものである。このパケット通信システム201では、第1の送信端末2021、第2の送信端末2022および第3の送信端末2023と、受信端末203とが、分岐装置204を介して接続されている。分岐装置204と第1〜第3の送信端末2021〜2023は、それぞれ送信端末側回線2051〜2053によって接続されている。また、分岐装置204と受信端末203は受信端末側回線206によって接続されている。第1〜第3の送信端末2021〜2023の内部には、送信しようとするパケットを一時的に格納するバッファメモリ2071〜2073が設けられている。分岐装置204は、第1〜第3の送信端末2021〜2023から受け取ったパケットをそのまま受信端末203に転送する受動的な分岐装置である。図10に当てはめると、送信端末202は家庭側通信端末108、受信端末203はプロバイダ側通信端末107、送信端末側回線205は家庭側回線111、受信端末側回線206はプロバイダ側回線110、分岐装置204は光カプラ109にそれぞれ対応する。
第1〜第3の送信端末2021〜2023の内部に設けられた各バッファメモリ2071〜2073は、それぞれの送信端末202が送信しようとする複数のパケット208を一時的に格納するようになっている。第1〜第3の送信端末2021〜2023には、送信を許可された時間帯としての送信許可時間帯が予め割り当てられている。それぞれの送信許可時間帯が到来すると、割り当てられた送信許可時間帯の範囲内で第1〜第3の送信端末2021〜2023はそれぞれのバッファメモリ2071〜2073からパケット208を順に取り出して連結する。そして、それぞれ連続通信パケット20911〜20913として送出する。このうち第1の送信端末2021から送り出される連続通信パケット20911は、パケット20811〜20813を連結したものである。第2の送信端末2022から送り出される連続通信パケット20912はパケット20821および20822を連結したものである。第3の送信端末2023から送り出される連続通信パケット20913は、パケット20831〜20833を連結したものである。
第1〜第3の送信端末2021〜2023からそれぞれ送出された連続通信パケット20911〜20913は、中継装置204にて1本の受信端末側回線206に合流する。第1〜第3の送信端末2021〜2023には互いに重複しない送信許可時間帯が予め設定されているため、これらの連続通信パケット20911〜20913は衝突することなく受信端末側回線206を伝送される。このように予め各送信端末に送信許可時間帯を設定する場合、無駄なく各送信端末から受信端末への上りの送信許可時間を決定することは特に重要な課題の1つである。
図12は第1の送信端末2021における連続通信パケットの送出の様子を表わしたものである。図11に示した第2の送信端末2022および第3の送信端末2023は第1の送信端末2021と構成が同一なので、これらについての連続通信パケットの送出の図示および説明は省略する。各連続通信パケットの時間軸方向の長さはデータ量の大きさに対応した送信に要する時間の長さを模式的に表わしている。
第1の送信端末2021に割り当てられた送信許可時間帯をT11とする。送信許可時間帯T11は時刻t11から開始し、時刻t12に終了する時間帯である。図12(a)に示すように蓄積データとしてのパケット20811、20812、……が第1の送信端末2021のバッファメモリ2071に蓄積されているものとする。第1の送信端末2021は時刻t11にパケット20811を最初のデータとして送信を開始し、これ以後、後続のパケット20812、……の送出を行う。この例では、パケット20813までは送信許可時間帯T11の中で送信を行うことができるが、次のパケット20814はその途中で時刻t12となり、送信を完了することができない。したがって、20814は送信を行うことができず、同図(b)に示すようにこの送信許可時間帯T11に送信する連続通信パケット20911はパケット20811〜20813を連結したものとなる。これにより、パケット20813の送信が終了する時刻t1113から送信許可時間帯T11の終了する時刻t12までの時間に相当する無駄時間210が発生する。
例えばE−PONシステムでは、パケット20811、20812、……の長さが可変となっている。このため、パケット20811、20812、……をそれぞれ任意の長さで連結して連続通信パケット20911として送出すると、たとえば図10に示した例で第1の送信端末2021が送信許可時間帯T11と完全に一致する時間だけ送信データ20811、20812、……を送信することは実際上まれにしか発生しない。多くの場合には、送信許可時間帯Tの終了時刻に送信を終了できないパケットが存在する。つまり、多くの場合には送信許可時間帯Tごとにこの無駄時間210が発生することになる。
ところで、最近のパケット通信では例えばIP(Internet Protocol)ネットワーク経由で行う音声情報通信であるVoIP(Voice over Internet Protocol)等の送信端末により短い遅延時間が要求される通信サービスが多くなっている。ここで遅延時間とは、ある信号を送信端末が相手先に信号を送出してから後続の信号を送出するまでの時間をいう。送信端末が一度に送出するデータ量を大きくすればするほど、次にデータを送出するまでの時間が長くなり、遅延時間は増大する。そこで、遅延時間を短くする方法の1つとして、例えば1つの周期の中に各送信端末の送信許可時間帯を細かく分割し分散して配置することが従来より提案されている。
図13は第1〜第3の送信端末に割り当てられる送信許可時間帯の配置例を模式的に表わしたものである。同図(a)はある周期2511に送信端末2021〜2023にそれぞれ1つずつの送信許可時間帯T11〜T13を割り当てる第1の配置例を表わしている。同図(b)は同じ周期2511内で3つの送信端末にそれぞれ3つずつ各送信許可時間帯T111〜T113、T121〜T123、T131〜T133を割り当てる第2の配置例を表わしている。第2の配置例(同図(b))では同じ送信端末に割り当てた3つの各送信許可時間帯を分散させて配置する。図から明らかなように、同図(b)における遅延時間252Bは、同図(a)における時間遅延252Aよりも短くなっている。ここで、第1〜第3の送信端末2021〜2023がそれぞれ割り当てられた時間で送信する各パケットのサイズは同一のものであるとする。
すると、同図(b)の場合には3つに分割されたそれぞれの送信許可時間帯T111〜T113、T121〜T123、T131〜T133の末端部分で図12で示したような無駄時間210が発生する。このため、遅延時間を短くしようとして送信周期を短くするほど、送信許可時間帯における図12に示した無駄時間210の存在によるデータ伝送効率の低下が目立つようになってしまう。
送信許可時間帯の無駄を減らしデータの伝送効率を高めるために、複数の各送信端末が予め送信したいパケットのデータ量の総計を受信端末に通知し、受信端末が各送信端末へ割り当てる送信許可時間帯を調整するという提案が従来より行われている。(例えば特許文献1)。また、E−PONシステムを規定しているIEEE(米国電気電子学会)でも同様の技術を採用している。しかし、仮にそれぞれの送信端末に要求通りの送信許可時間帯を与えられるような充分な長さの周期を設定してしまうと、送信許可時間帯の終了から次の周期における送信許可時間帯の開始までの間隔が長くなる。すると、送信許可時間帯の無駄を減らすことはできても、VoIP等のより短い遅延時間が送信端末に要求されるような通信サービスを実現することは難しくなる。また、最低保障伝送容量等の帯域に関する契約が予め受信端末側と各送信端末側で結ばれている場合には、単に各送信端末からの要求を基に動的に帯域割り当てを行うだけではその契約内容に対応することが難しい。
そこで、送信端末は契約上の最低保障伝送容量に比例した連続データ送信量を送信し終えるまで共用帯域の連続送信許可の要求を1送信サイクルごとに繰り返して送信し、受信端末はその連続送信許可要求の終了を通知されるまで1送信サイクルごとに連続して送信許可を送信するという第2の提案が従来より行われている(例えば特許文献2)。この第2の提案では、次の送信サイクルの共用帯域に空きがある場合には、割り当てられた連続データ送信量では送信し終えないデータの残りが存在している送信端末がその空き共用帯域を使用する。また、連続データ送信量が共用帯域の容量及びその倍数と一致せず共用帯域に無駄な空き領域が出る場合には、その連続データ送信量を超えてもその空き領域にデータを詰め込む。すなわち、契約に基づく帯域の保障と共用帯域の無駄領域を減らすこととを両立している。
特開平11-341037号公報(第0014段落、図1)
特開平2002−152239号公報(第0021段落、第0035段落、図1、図12、図15)
図1は本発明の実施例におけるパケット通信システムとしてのE−PONシステムの構成を表わしたものである。このE−PONシステム301のセンタ装置302は通信サービスにおけるサービス提供側装置であり、第1〜第Nのユーザ装置3031〜303Nはサービス利用者側装置である。本実施例では通信サービスとしてインターネット接続サービスを例にとって説明する。この例の場合、センタ装置302はプロバイダのアクセスサーバであり、第1〜第Nのユーザ装置3031〜303Nはそのインターネットプロバイダと契約した家庭のパーソナルコンピュータである。これらのセンタ装置302および第1〜第Nのユーザ装置3031〜303Nはイーサネット(登録商標)環境下の装置であり、長さ64バイト〜1518バイトの可変長パケットを送受信の基本単位としている。また、第1〜第Nのユーザ装置3031〜303Nは1つのエリア内に存在しており、そのエリアとセンタ装置302とは比較的離れた位置に存在している。
サービスセンタ装置302に接続されたセンタ側通信端末304と第1〜第Nのユーザ装置3031〜303Nにそれぞれ接続された第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nとは、パケット信号の分岐や合流を行うための光カプラ306を介して接続されている。センタ側通信端末304と光カプラ306の一端側とは、光ファイバからなる1本のセンタ側回線307により接続されている。光カプラ306の他端側には光ファイバからなる第1〜第Nのユーザ側回線3081〜308Nのそれぞれ一端が接続されており、これらの他端は第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nに1つずつ対応して接続されている。光カプラ306は、センタ側回線307から受け取ったパケットを第1〜第Nのユーザ側回線3081〜308Nに転送するとともに、第1〜第Nのユーザ側回線3081〜308Nから受け取ったパケットをセンタ側回線307に転送する受動的な分岐装置である。センタ側通信端末304と第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nとの間で行われる通信は、1本のセンタ側回線307を共用する。このような、光カプラを設けて一部の回線を共用することにより1個対N個の通信端末を結ぶ光通信システムは、PON(Passive Optical Network)システムと呼ばれる。
第1のユーザ側通信端末3051には、図示しないCPU(中央処理装置)と制御プログラムを格納したROM(リード・オンリ・メモリ)およびRAM(ランダム・アクセス・メモリ)等からなる作業用メモリにより動作するユーザ側制御部3091が設けられている。また、図示しない外部インターフェースを通してユーザ装置3031から受け取った可変長パケットを一時的に格納する上り方向バッファメモリ3101と、上り方向バッファメモリ3101が出力する可変長パケットを必要に応じて分割する可変長パケット分割部3111が設けられている。更に、下り方向バッファメモリ3121が設けられている。これらの上り方向バッファメモリ3101、可変長パケット分割部3111および下り方向バッファメモリ3121は、ユーザ側制御部3091によりその動作を制御されている。なお、他のユーザ側端末装置3052〜305Nについても同様の構成となっているので、これらについての説明および図示を省略する。
また、センタ側通信端末304には、図示しないCPU、制御プログラムを格納したROMおよびRAM等からなる作業用メモリにより動作するセンタ側制御部313が設けられている。更に、必要に応じて図示しない光対電気変換部を通してユーザ側通信端末305から受信した2つの通信パケットから1つの可変長パケットを復元する可変長パケット復元部314が設けられている。この可変長パケット復元部314はセンタ側制御部313によりその動作を制御されている。
第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nでは、それぞれが接続する第1〜第Nのユーザ装置3031〜303Nから図示しない外部インターフェースを通して長さ64バイト〜1518バイトの可変長パケットを受信し、上り方向バッファメモリ310に一時格納する。ユーザ側制御部309は、所定の時間帯にこの上り方向バッファメモリ310に一時格納されている可変長パケットを順に取り出し、8バイトのPONシステム特有のヘッダ(以下、PONヘッダという)を付加してPONシステムにおける送受信の単位であるパケット(以下、通信パケットという。)を生成する。そして、生成した通信パケットを所定のデータ量の範囲内で連結し、連続通信パケットとして図示しない光対電気変換部を通してユーザ側回線308に送出する。図示しない光対電気変換部では、受け取った電気信号を光信号に変換する。ユーザ側回線308に送出された連続通信パケットは、光カプラ306によりセンタ側回線307に転送される。
一方、センタ側通信端末304では、センタ側制御部313はセンタ側回線307から図示しない光対電気変換部を通して第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nの送信した連続通信パケットを受信する。図示しない光対電気変換部では、受け取った光信号を電気信号に変換する。センタ側制御部313は受信した通信パケットからPONヘッダを取り除く形で元の可変長パケットを復元し、接続するセンタ装置302に図示しない外部インターフェースを通して送信する。このデータの流れの方向を通信の上り方向といい、この上り方向の通信に使用される帯域を上り帯域という。
また、センタ側通信端末304は接続するセンタ装置302から長さ64バイト〜1518バイトの可変長パケットを受信し、8バイトのPONヘッダを付加して通信パケットを生成しセンタ側回線307へ送出する。また、第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nはそれぞれ接続する第1〜第Nのユーザ側回線3081〜308Nから受信した通信パケットから元の可変長パケットを復元する。そして、下り方向バッファメモリ312に一時的に格納してから、それぞれ接続する第1〜第Nのユーザ装置3031〜303Nに送信する。このデータの流れの方向を通信の下り方向といい、この下り方向の通信に使用される帯域を下り帯域という。この通信の方向に係わる装置部についての説明および図示は省略する。
このように、E−PONシステムはイーサネット(登録商標)技術と光通信システムの1つであるPONシステムを融合したものである。イーサネット(登録商標)環境下の装置あるいはネットワーク同士が互いに遠距離に位置していても、PONシステムで接続することにより、それらの装置あるいはネットワーク間での大容量かつ高速なパケット通信を可能にする。
ところで、センタ側通信端末304がセンタ側回線307に送出した下り回線の通信パケットは宛先に関係なく第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nに送出されるため、第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nには自端末宛の通信パケットかどうかを識別する仕組みが必要である。また、複数のユーザ側通信端末305がそれぞれ接続するユーザ側回線308に送出した上り回線の通信パケット同士がセンタ側回線307で衝突する恐れがあるため、回線使用の調停をする仕組みが必要である。この識別と調停の仕組みとして、一般的にTDM/TDMAと呼ばれる方式が採用されている。下り帯域は放送形式で通信パケットを全てのユーザ側通信端末305に送信し、第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nで自端末に割り当てられた時間帯の通信パケットのみが取り出されるTDM(Time Division Multiplexing:時分割多重)方式である。また、上り帯域は第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nが自端末に割り当てられた時間帯にのみ通信パケットを送信するTDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)方式である。
上り帯域において第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nに割り当てられるこれらの送信許可時間帯は、センタ側通信端末304内部の図示しない装置部が管理している。この図示しない装置部は、その動作をセンタ側制御部313により制御されている。通常、上り帯域の送信許可時間帯をどのように割り当てるかということは、サービス提供者とサービス加入者との間で結ばれる最低保障帯域などの契約内容や要求される通信品質等により決定される。この図示しない装置部は第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nに対し割り当てた送信許可時間帯を通知するパケットを生成し、センタ側通信端末304内部の図示しない回路により図示しない光対電気変換部を通してセンタ側回線307に送出する。第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nのユーザ側制御部3091〜309Nは、受信したこれらの通知に従って通信パケットの送出を行う。よって、第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nから送出される通信パケットは互いに衝突することなく時分割的にセンタ側回線307の上り帯域を使用する。
図2は本実施例における第1〜第Nのユーザ側通信端末が時分割的にセンタ側回線307の上り帯域を使用する状態を表わしたものである。周期4011は上り帯域4021Uと下り帯域4021Dから成り、上り帯域4021Uは第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nに対し割り当てられた送信許可時間帯T11〜T1Nから成っている。これらの送信許可時間帯T11〜T1Nはそれぞれ時刻t11〜t1Nに開始する。第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nはそれぞれの送信許可時間帯T11〜T1Nに相当するデータ量の範囲内で通信パケットを連結し、それぞれ連続通信パケット40311〜4031Nとして時刻t11〜t1Nにそれぞれ送信を開始する。次の周期4012でも、同様に第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nは割り当てられた送信許可時間帯T21〜T2Nに従ってそれぞれ連続通信パケット40321〜4032Nを送信する。
このように周期401が繰り返されることにより第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nとセンタ側通信端末304は間欠的に(バースト的に)パケットの送受信を行うため、周期401はバースト周期と呼ばれる。なお、実際のネットワークでは温度等の条件の変化により微妙に各通信端末間の通信パケットの伝送時間が揺らぐため、送信許可時間帯T11〜T1Nの間に適当な間隔が設けられるが、説明の簡略化のためにそれらの間隔は無視している。また、下り帯域4021Dの通信パケットについても説明の簡略化のために省略している。
しかし、第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nがそれぞれユーザ装置3031〜303Nより受け取るパケットは可変長パケットであるため、その可変長パケットに固定長のPONヘッダを付加して生成した通信パケットも可変長である。したがって、送信許可時間帯Tにできるだけ多くの通信パケットを送信順に詰め込む形で送信したときに、その通信パケットのデータ量の累計はその送信許可時間帯Tに対応する送信許可量に必ずしも一致しない。
図3は本実施例におけるユーザ側通信端末3051における連続通信パケットの送出の様子を表わしたものである。ユーザ側通信端末3052〜305Nはユーザ側通信端末3051と構成が同一なので、これらについての連続通信パケットの送出の説明は省略する。各連続通信パケットの時間軸方向の長さは各データのデータ量を模式的に表わしている。ただし、説明の簡略化のためPONヘッダのデータ量を無視し、仮想的に通信パケットと可変長パケットのデータ量および構成が同じとして扱い説明する。また、ユーザ側通信端末3051のみについての説明であるため、ある送信許可時間帯の終了時刻と次の送信許可時間帯の開始時刻を重ねて図示する。
図3(a)に示すように、蓄積データとしての可変長パケット41111、41112、……がユーザ側通信端末3051の上り方向バッファメモリ3101に蓄積されているものとする。ある周期において、ユーザ側通信端末3051に送信許可時間帯T11が割り当てられたとする。可変長パケット411は、送信許可時間帯T11の開始する時刻t11からパケット41111を最初のデータとして順に取り出され、ユーザ側制御部309によりそれぞれ通信パケット412として送信される。すると通信パケット41213までは送信許可時間帯T11の中で送信を行うことができるが、次の通信パケット41114はそのままではその途中までしか送信を行うことができない。ここで、通信パケット41211〜41213のみを時刻t11から送信すべき連続通信パケット40311とすると、通信パケット41213の送信が終了する時刻t1113から送信許可時間帯T11の終了する時刻t12までの時間41311が無駄になる。
可変長パケットの長さが64バイト〜1518バイトであり、PONヘッダが8バイトであることから、このような時間413は、最大で1525バイトとなり得る。また、このような連続通信パケット403に加えることによりその連続通信パケット403のデータ量が送信許可時間帯Tに対応するデータ量を超過してしまう通信パケット(以下、超過パケットという。)は、送信許可時間帯ごとに発生し得る。そこで、本実施例ではこのような超過パケットの基となる可変長パケットを予め可変長パケット分割部3111が分割することにより、前記のような時間413を有効に活用する。すなわち、送信許可時間帯Tに対応する送信許可量と超過パケットの1つ手前までの通信パケットによる連続通信パケットのデータ量との差に相当するデータ量(以下、残データ量という。)を有効に活用する。
ユーザ側制御部3091は超過パケットが発生すると予測すると、同図(b)に示すように、可変長パケット分割部3111(図1)に超過パケットの基となる可変長パケット41114を分割させる。そして、その分割した可変長パケット41114の前半部分のデータにより1つの通信パケット412141を組み立てるとともに、その通信パケット412141にある可変長パケットを分割したデータを基に組み立てた通信パケットであることを示す分割情報414を挿入する。ただし、この分割情報414を挿入した通信パケット412141のサイズは時間41311に対応する残データ量以下になるように、可変長パケット41114の分割位置を設定する。そして、通信パケット41211〜412141が送信許可時間帯T11における連続通信パケット40311となる。
同図(c)に示すように、可変長パケット41114を分割した後半部分のデータは、次に到来する送信機会に送信するため後続する可変長パケット41115、41116、……とともにバッファに残される。そして、同図(d)に示すように次の送信許可時間帯T21が到来すると可変長パケット41114を分割した後半部分のデータにPONヘッダを付加した通信パケット412142が最初に組み立てられ、次の連続通信パケット40321の先頭に位置する通信パケットとして送信される。その際に、通信パケット411141と同様に分割情報414が挿入される。また、次の送信許可時間帯T21では可変長パケット41117はそのまま通信パケットを生成してしまうと超過パケットとなるため、同様に分割し、前半部分のデータにより組み立てられ分割情報414を挿入された通信パケット412171を生成する。そして、通信パケット412142〜412171が次の送信許可時間帯T21における連続通信パケット40321となる。このようなパケットの分割を送信許可時間帯ごとに行うことにより、それぞれの送信許可時間帯を有効に活用することができる。
ただし、説明の簡略化のため無視したが、実際には通信パケットには8バイトのPONシステム特有のヘッダ(以下、PONヘッダという)が付けられる。したがって、例えば送信許可時間帯の残データ量が8バイトに挿入する分割情報414のデータ量を加えた値以下の場合には、分割処理の意味が無い。分割により通信パケットの個数が1つ増えることから、残データ量が8バイトに挿入する分割情報414の2個のデータ量を加えた値以下の場合の分割処理についても同様である。また、可変長パケット411のデータ量に比べて残データ量が相対的に非常に少ない場合には、可変長パケットの分割をしても効果が少ない。そこで、適当なしきい値を設定し、ユーザ側制御部309はそのしきい値と残データ量との比較により次の可変長パケットの分割を行うかどうかを判断する。
図4は本実施例におけるユーザ側通信端末の通信パケット送信の流れを示したものである。第1〜第Nのユーザ側通信端末3051〜305Nでは、それぞれが接続するユーザ装置3031〜303Nから図示しない外部インターフェースを通して長さ64バイト〜1518バイトの可変長パケットを受信し、上り方向バッファメモリ310に一時的に格納している。ユーザ側制御部309はセンタ側通信端末304より次の送信許可時間帯を通知されると、まずその送信許可時間帯に送信できる送信許可量の残量を示す変数Rに、初期値としてセンタ側通信端末304より与えられた送信許可量を設定する(ステップS501)。ユーザ側制御部309は、上り方向バッファメモリ310に蓄積された可変長パケットを基に生成する通信パケットのうち次に送信すべき通信パケットのデータ量を算出し(ステップS502)、その通信パケットのデータ量Dが送信許可量の残量R以下であり(ステップS503:Y)、なおかつその基となる可変長パケットは前回の送信許可時間帯に可変長パケットを分割したデータの後半部分ではない場合には(ステップS504:N)、その基となる可変長パケットにPONヘッダを付加して通信パケットを生成し(ステップS505)、通知された送信許可時間帯が到来すると図示しない光対電気変換部を通してセンタ側通信端末304に送信する(ステップS506)。次に送信すべき通信パケットが前回の送信許可時間帯に可変長パケットを分割したデータの後半部分を元に生成されるものである場合には(ステップS504:Y)、そのデータにPONヘッダを付加しなおかつ分割情報を挿入して通信パケットを生成し(ステップS507)、同様に送信する(ステップS506)。そして、送信許可量の残量RからステップS506にて送信した通信パケットのデータ量Dをマイナスし(ステップS508)、ステップS502に戻る。
このように、ユーザ側制御部309がステップS502からステップS508の処理を繰り返すうちに割り当てられた送信許可量の残りRは減少していき、次に送信すべき通信パケットのデータ量Dが送信許可量の残りRを超えた場合には(ステップS503:N)、送信許可量の残りRが所定のしきい値以上であれば(ステップS509:Y)、可変長パケット分割部311は可変長パケットを分割し前半部分のデータをユーザ側制御部309に送り(ステップS510)、ユーザ側制御部309はそのデータにPONヘッダを付加し、なおかつ分割情報を挿入して通信パケットを生成し(ステップS511)、図示しない光対電気変換部を通してセンタ側通信端末304に送信する(ステップS512)。そして、このバースト周期における通信パケット送信は終了する。また、送信許可量の残りRが所定のしきい値以下であれば(ステップS509:N)、可変長パケットの分割は行わずにこのバースト周期における通信パケット送信は終了する(リターン)。
図1に戻って説明を続ける。センタ側通信端末304では受信した連続通信パケットの先頭と末尾に位置する通信パケットに分割情報が挿入されているかどうかをセンタ側制御部313が監視する。分割情報が挿入されていない通信パケットはPONヘッダを取り除いた形にしそのまま可変長パケットとしてセンタ装置302に送信される。連続通信パケットの末尾に位置する通信パケットに分割情報が挿入されていた場合には、その通信パケットを可変長パケット復元部314に一時的に保持する。そして次の送信許可時間帯で同じユーザ側通信端末305から受信した連続通信パケットの先頭に位置する通信パケットにも分割情報が挿入されていた場合には、可変長パケット復元部314はその通信パケットと前回の送信許可時間帯で保持した通信パケットから分割情報とPONヘッダを取り除いて連結させて元の1つの可変長パケットに復元する。そして、他の分割されなかった可変長パケットと同様にセンタ側制御部313によりセンタ装置302に送信される。
図5は本実施例におけるセンタ側通信端末の通信パケット受信の流れを示した流れ図である。センタ側通信端末304に設けられたセンタ側制御部314は、接続するセンタ側回線307より図示しない光対電気変換部を通してユーザ側通信端末305が送信した連続通信パケットを受信する。そして、受信した連続通信パケットの先頭に位置する通信パケットに分割情報が挿入されていない場合には(ステップS551:N)、センタ側制御部314はPONヘッダを除去してその通信パケットの基である可変長パケットに復元し(ステップS552)、図示しない外部インターフェースを通してセンタ装置302へ送信する(ステップS553)。一方、受信した連続通信パケットの先頭に位置する通信パケットに分割情報が挿入されている場合には(ステップS551:Y)、その通信パケットと共に復元されるべき通信パケットが前回の同じユーザ側通信端末305からの連続通信パケット受信のときに可変長パケット復元部314に一時的に格納されているので、可変長パケット復元部314はその通信パケットと可変長パケット復元部314に一時的に格納された通信パケットの両方からPONヘッダと分割情報を除去し(ステップS554)、両方のデータを受信順序で結合して基の可変長パケットに復元し、センタ側制御部314は図示しない外部インターフェースを通してセンタ装置302へ送信する(ステップS555)。
センタ側制御部314が次に受信した通信パケットが連続通信パケットの末尾に位置しているものではない場合には(ステップS556:N)、センタ側制御部314はその通信パケットからPONヘッダを除去してその通信パケットの基である可変長パケットに復元し(ステップS557)、センタ装置302へ送信する(ステップS558)。そして、次の通信パケットがまだ存在するため、ステップS556へ戻る。
一方ステップS556で次に受信した通信パケットが連続通信パケットの末尾に位置しているものであり(Y)、なおかつ分割情報が挿入されていない場合には(ステップS559:N)、センタ側制御部314はPONヘッダを除去してその通信パケットの基である可変長パケットに復元し(ステップS560)、センタ装置302へ送信し(ステップS561)、処理を終了する(リターン)。一方、分割情報が挿入されている場合には(ステップS559:Y)、その通信パケットと共に復元されるべき通信パケットが次の送信許可時間帯に送信されることになるので、センタ側制御部314は次の送信許可時間帯に同じユーザ側通信端末305が送信する連続通信パケットを受信するまでこれを可変長パケット復元部314に一時的に格納する(ステップS562)。
このように本実施例では、第1〜第Nのユーザ側通信端末に設けた可変長パケット分割部が可変長パケットの分割を行い、センタ側通信端末に設けた可変長パケット復元部がその分割された可変長パケットのデータを基にした2つの通信パケットにより元の1つの可変長パケットの復元を行う。したがって、第1〜第Nのユーザ側通信端末は与えられた送信許可量に詰め込むのに都合がいいように通信パケットのデータ量を調節することができ、上り帯域を有効に活用して通信パケットを送信することができる。
<変形例1>
E−PONシステムでは回線を複数のユーザ側通信端末で共用しているにもかかわらず、前記のようにTDM/TDMA等の技術によりあたかも第1〜第Nのユーザ側通信端末とセンタ側端末が専用線で接続されているかのように1対1での通信を可能としている。しかし、実際にはさまざまな要因で第1〜第Nのユーザ側通信端末の送出したパケットがセンタ側通信端末に正しく届かないことがあり得る。以上説明した実施例では、可変長パケット分割部によって可変長パケットを分割したデータを基に2つの通信パケットを生成し、それぞれに分割情報を挿入している。しかし、これらの通信パケットのどちらかが正しくセンタ側通信端末に受信されなった場合には、間違った組み合わせの通信パケットによって可変長パケット復元部にて不適切なデータ結合を行ってしまう可能性がある。そこで、変形例1として、分割情報の挿入された通信パケットはある通信データの末尾と次の送信許可時間帯に同じユーザ側通信端末から送信された通信データの先頭とに位置するという前提条件で、センタ側制御部313の機能にチェック処理および後処理の機能を加える。
図6および図7は本発明の変形例1におけるセンタ側通信端末の通信パケット受信の流れを示したものである。ユーザ側通信端末305より受信した通信データの先頭に位置する通信パケットに分割情報が挿入されておらず(図6ステップS601:N)、なおかつ前回同じユーザ側通信端末305から受信した分割情報の挿入された通信パケットが可変長パケット復元部314に一時的に格納されていない場合には(ステップS602:N)、センタ側制御部313はPONヘッダを除去してその通信パケットの基である可変長パケットに復元し(ステップS603)、センタ装置302へ送信する(ステップS604)。しかし、その通信データの先頭に位置する通信パケットに分割情報が挿入されていないにもかかわらず(ステップS601:N)、前回同じユーザ側通信端末305から受信し分割情報の挿入された通信パケットが可変長パケット復元部314に一時的に格納されている場合には(ステップS602:Y)、その一時的に格納された通信パケットと共に基となる1つの可変長パケットに復元されるべき通信パケットにエラーが発生したか、あるいは一時的に格納された分割情報の挿入された通信パケット自体がエラーであるということになる。よって、その一時的に格納されたままの通信パケットに対しては復元処理ができないため、センタ側制御部313は可変長パケット復元部314に一時的に格納された通信パケットを廃棄する(ステップS605)。
通信データの先頭に位置する通信パケットに分割情報が挿入されており(ステップS601:Y)、なおかつ前回同じユーザ側通信端末305から受信した分割情報の挿入された通信パケットが可変長パケット復元部314に一時的に格納されている場合には(ステップS606:Y)、可変長パケット復元部314はその通信パケットと一時的に格納された通信パケットの両方からPONヘッダと分割情報を除去し(ステップS607)、センタ側制御部313は両方のデータを受信順序で結合してセンタ装置302に送信する(ステップS608)。しかし、その通信データの先頭に位置する通信パケットに分割情報が挿入されているにもかかわらず(ステップS601:Y)、前回同じユーザ側通信端末305から受信し分割情報の挿入された通信パケットが可変長パケット復元部314に一時的に格納されていない場合には(ステップS606:N)、その受信した通信パケットと共に基となる1つの可変長パケットに復元されるべき通信パケットにエラーが発生したか、あるいはその受信した通信パケット自体がエラーであるということになり、その受信した通信パケットに対しては復元処理ができないため、センタ側制御部313はその受信した通信パケットを廃棄する(ステップS609)。
次の通信パケットが無い場合には(図7ステップS610:N)、センタ側制御部313のその通信データにおける通信パケット受信処理は終了する(リターン)。次の通信パケットが存在し(ステップS610:Y)、その通信パケットが受信した連続通信パケットの末尾に位置しているものではなく(ステップS611:N)、なおかつ分割情報が挿入されていない場合には(ステップS612:N)、センタ側制御部313はPONヘッダを除去してその通信パケットの基である可変長パケットに復元し(ステップS613)、センタ装置302へ送信する(ステップS614)。そして、次の通信パケットがまだ存在するためステップS611へ戻る。その通信パケットが受信した連続通信パケットの末尾に位置しているものではないにもかかわらず(ステップS611:N)、分割情報が挿入されている場合には(ステップS612:Y)、その受信した通信パケットはエラーであるということになり、センタ側制御部313はその通信パケットを廃棄し(ステップS615)、次の通信パケットがまだ存在するため、ステップS611へ戻る。
一方、次に受信した通信パケットが連続通信パケットの末尾に位置しているものであり(ステップS611:Y)、なおかつ分割情報が挿入されていない場合には(ステップS616:N)、センタ側制御部313はPONヘッダを除去してその通信パケットの基である可変長パケットに復元し(ステップS617)、センタ装置302へ送信し(ステップS618)、その通信データにおける通信パケット受信処理は終了する(リターン)。分割情報が挿入されている場合には(ステップS616:Y)、その通信パケットと共に復元されるべき通信パケットが次回の連続通信パケットで送信されるはずなので、次回同じユーザ側通信端末305が送信する連続通信パケットを受信するまでその通信パケットは可変長パケット復元部314に一時的に格納され(ステップS619)、その通信データにおける通信パケット受信処理は終了する(リターン)。
このように変形例1では、分割情報の挿入された通信パケットはある通信データの末尾と次に同じユーザ側通信端末から送信された通信データの先頭とに位置するという前提条件で、センタ側制御部313の機能にチェック処理および後処理の機能を加えている。よって、可変長パケット復元部にて不適切なデータ結合を行ってしまう可能性を低減することができる。
<変形例2>
以上説明した実施例および変形例1では、ある可変長パケットを分割したデータを基に組み立てた通信パケットであることを示す分割情報を、データを追加する形で通信パケットに挿入するものとしている。つまり、分割情報のデータ量の分だけ通信パケットのデータ量が増えてしまう。しかしながら、E−PONシステムにおいてはセンタ側通信端末と第1〜第Nのユーザ側通信端末との間で送受信するデータは前記の通りPONヘッダを付加された通信パケットという形を取っているが、通常このPONヘッダには未使用領域が存在している。そこで変形例2として、通信パケットの最後に分割情報を挿入するのではなく、このPONヘッダの未使用領域の一部を分割情報に使用する。
図8は、本発明の変形例2におけるE−PONシステムの通信パケット状態を表わしたものである。この変形例2のE−PONシステム301において、ユーザ側通信端末3051は、可変長パケット7011〜7013を蓄積データ7021として一時的に格納している。送信許可時間帯が到来すると、前記の通りそれぞれの可変長パケット7011〜7013に対しPONヘッダ7031〜7033を付加して通信パケット7041〜7043を生成し、それらを連結して連続通信パケット7051としてセンタ側通信端末304へ向けてユーザ側回線3081に送出する。そして連続通信パケット7051は光カプラ306とセンタ側回線307を経てセンタ側通信端末304に到着すると、PONヘッダ7031〜7033が取り除かれ、もとの可変長パケット7011〜7013のみのデータに復元される。ただし、ここでは連続通信パケット7051のデータ量はユーザ側通信端末3051に与えられた送信許可時間帯に対応するデータ量以下とする。また、各パケットの横軸の幅はデータのサイズを模式的に表わしている。通信パケットにデータを追加する形で分割情報を挿入すると、例えば通信パケット7041のデータ長は可変長パケット7011のデータ長にPONヘッダ7031のデータ長を加算したデータ長よりも長くなってしまう。しかし、PONヘッダ7031の未使用領域を分割情報に使用すればそのようなことにはならず、連続通信パケット7051のデータ長は分割情報を付加しても増加しない。
図9は、本変形例におけるPONヘッダの各領域の使用状態を表わしたものである。PONヘッダ703は64ビットからなっており、このうち63〜55ビットの領域はSPD(通信パケット同期の判定信号)、23〜16ビットの領域はLLID(ユーザ側通信端末の識別番号)、15〜0ビットの領域はCRC(伝送チェックパターン)として使用されている。しかし、54〜24ビットの領域は従来ではどの機能のためにも使用されていない未使用領域であり、この一部、例えば26〜24ビットの領域を分割情報に使用する。
このように変形例2では通信パケットのデータ量を増加させる形で通信パケットに分割情報を挿入するのではなく、PONヘッダの未使用領域の一部を分割情報に使用する。したがって、上り帯域を更に有効に活用して通信パケットを送信することができる。