JP2005055569A - 反射防止膜 - Google Patents

反射防止膜 Download PDF

Info

Publication number
JP2005055569A
JP2005055569A JP2003284723A JP2003284723A JP2005055569A JP 2005055569 A JP2005055569 A JP 2005055569A JP 2003284723 A JP2003284723 A JP 2003284723A JP 2003284723 A JP2003284723 A JP 2003284723A JP 2005055569 A JP2005055569 A JP 2005055569A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
curved surface
transmittance
lens
refractive index
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003284723A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomokazu Taguchi
智一 田口
Kazuyuki Nishi
和幸 西
Naoyuki Fukumoto
直之 福本
Kazuhiko Ishimaru
和彦 石丸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Minolta Co Ltd filed Critical Minolta Co Ltd
Priority to JP2003284723A priority Critical patent/JP2005055569A/ja
Publication of JP2005055569A publication Critical patent/JP2005055569A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)

Abstract

【課題】 曲面を有するとともにその周辺部まで有効径が必要とされる光学部品に適した、広帯域・広角度で高い反射防止効果の得られる反射防止膜を提供する。
【解決手段】 光学部品の曲面に対して設けられる反射防止膜であって、屈折率1.8〜2.5の高屈折率層と屈折率1.3〜1.5の低屈折率層とが交互に積層された構成を有する。設計基準波長λ0の光に対して条件式:0.999≦T(0)/T(30)≦1.002を満足し、0.84×λ0で定義される波長λ1の光に対しても条件式:0.999≦T(0)/T(30)≦1.002を満足する。ただし、T(0):入射角度0°での透過率、T(30):入射角度30°での透過率、である。
【選択図】 図1

Description

本発明は反射防止膜に関するものであり、例えば、通信用ファイバーレンズ,NA(numerical aperture)の高いレンズ(例えば、光ピックアップレンズ)等に適した高性能の球面レンズ用広帯域反射防止膜に関するものである。
光通信分野では、使用される光ファイバーの透過率との関係から、2つの波長帯(例えば、波長:1300nm,1550nm)が使用される。また光ピックアップレンズの分野では、複数の波長(例えば、波長:780nm,650nm,405nm)に対する互換性が必要とされる。したがって、これらの分野で使用される光学部品には、複数の波長帯を同時に反射防止するための広帯域反射防止膜が必要になる。広帯域反射防止膜としては、従来より様々なタイプのものが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
特開2001−235602号公報 特開2002−14203号公報 特開平10−20102号公報 特開2001−100002号公報
しかし、光学部品の曲面上(例えばレンズ面上)に反射防止膜を形成すると、その周辺部では中心部よりも分光特性が短波長側へシフトしてしまい、その結果、曲面の曲率が大きくなればなるほど周辺部で所望の反射防止帯域が得られなくなる。例えば特許文献2記載の反射防止膜は、14〜17層の可視域用多層膜から成っているが、曲面を有する光学部品への成膜は想定されていない。このため、曲面に対して成膜を行った場合には、反射防止膜の入射角依存性により周辺部の反射率が大きく増加してしまう。
特許文献1,3,4に記載されてる反射防止膜も上記と同様である。いずれも入射角度0°での入射時に広帯域を確保しておけば、曲面の周辺部でも問題がないというアプローチで設計されている。そして、曲面を有する光学部品への適用においては、その中心部のみの分光特性を極力上質なものにすることに終始している。このため、曲面の周辺部での透過率減少(言い換えれば反射率増加)の抑制は不十分なものとなっている。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、曲面を有するとともにその周辺部まで有効径が必要とされる光学部品(例えば、通信用ファイバーレンズ,NAの高いレンズ等)に適した、広帯域・広角度で高い反射防止効果の得られる反射防止膜を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1の発明の反射防止膜は、光学部品の曲面に対して設けられる反射防止膜であって、屈折率1.8〜2.5の高屈折率層と屈折率1.3〜1.5の低屈折率層とが交互に積層された構成を有し、設計基準波長λ0の光に対して以下の条件式(1)を満足し、0.84×λ0で定義される波長λ1の光に対しても以下の条件式(1)を満足することを特徴とする。
0.999≦T(0)/T(30)≦1.002 …(1)
ただし、
T(0):入射角度0°での透過率、
T(30):入射角度30°での透過率、
である。
第2の発明の反射防止膜は、上記第1の発明において、各層において以下の条件式(2)を満足することを特徴とする。
1<|ln(4・n・d/λ0)|<2 …(2)
ただし、
n:屈折率、
d:物理膜厚、
であり、4・n・d/λ0が整数でない。
第3の発明の反射防止膜は、上記第1又は第2の発明において、曲面の周辺部の膜厚がほぼcos則にしたがって薄くなっており、かつ、曲面の中心部に比べて曲面の周辺部での入射角度が大きくなることを特徴とする。
本発明によれば、曲面を有するとともにその周辺部まで有効径が必要とされる光学部品(例えば、通信用ファイバーレンズ,NAの高いレンズ等)に適した、広帯域・広角度で高い反射防止効果の得られる反射防止膜を実現することができる。そして、本発明に係る反射防止膜を光ピックアップレンズ等のNAの高いレンズや通信用ファイバーレンズに用いれば、その光学性能を飛躍的に向上させることができる。
以下、本発明を実施した反射防止膜を、図面を参照しつつ説明する。表1〜表8に、本発明に係る反射防止膜として、実施例1〜8の多層膜構成(QWOT=4・n・d/λ0,d:物理膜厚,n:屈折率,λ0:設計基準波長)をそれぞれ示す。設計基準波長λ0=1550nmであり、反射防止膜の基板は球面レンズ(設計基準波長λ0に対する屈折率:1.79)である。なお、実施例1〜5に用いられている膜材料の屈折率は設計基準波長λ0に対するものであり、実施例6〜8に用いられている膜材料の屈折率は波長1500nmに対するものである。
実施例1〜5は、(TiO2-SiO2)系の材料から成る球面レンズ用広帯域反射防止膜であり、TiO2(酸化チタン)から成る高屈折率層と、SiO2(酸化ケイ素)から成る低屈折率層と、が交互に層ナンバー順で球面レンズ上に積層された構成になっている。層数は、実施例1では6層、実施例2では7層、実施例3では10層、実施例4では13層、実施例5では16層である。
実施例6〜8は、(TiO2-SiO2)系以外の材料から成る球面レンズ用広帯域反射防止膜である。実施例6では、Ta2O5(五酸化タンタル)から成る高屈折率層と、SiO2(酸化ケイ素)から成る低屈折率層と、が交互に10層、層ナンバー順で球面レンズ上に積層された構成になっている。実施例7では、Al2O3(酸化アルミニウム)を含む混合物AXから成る高屈折率層と、MgF2(フッ化マグネシウム)から成る低屈折率層と、が交互に11層、層ナンバー順で球面レンズ上に積層された構成になっている。実施例8では、TiO2(酸化チタン)を含む混合物TXから成る高屈折率層と、SiO2(酸化ケイ素)から成る低屈折率層と、が交互に14層、層ナンバー順で球面レンズ上に積層された構成になっている。
実施例1〜8のように屈折率1.8〜2.5の高屈折率層と屈折率1.3〜1.5の低屈折率層とが交互に積層された構成を有し、光学部品(例えばレンズ)の曲面に対して設けられる反射防止膜においては、設計基準波長λ0の光に対して以下の条件式(1)を満足し、0.84×λ0で定義される波長λ1の光に対しても以下の条件式(1)を満足することが好ましい。
0.999≦T(0)/T(30)≦1.002 …(1)
ただし、
T(0):入射角度0°での透過率、
T(30):入射角度30°での透過率、
である。
条件式(1)規定の透過率比に関する波長λ0,λ1は、反射防止膜の波長依存性を低減して通信波長帯を広帯域でカバーする上で有効な2波長である。本発明に係る反射防止膜は、この点において従来の2波長反射防止膜とは根本的に異なっている。従来の反射防止膜では、光学部品の曲面上に反射防止膜を形成すると、その周辺部では中心部よりも分光特性が短波長側へシフトしてしまい、その結果、曲面の曲率が大きくなればなるほど周辺部で所望の反射防止帯域が得られなくなる。そこで、上記のように波長λ0,λ1の光に対して条件式(1)を満たせば、通信波長帯を広帯域でカバーすることにより曲面の周辺部までを反射防止することが可能となる。
条件式(1)規定の透過率比に関する入射角度0°,30°は、反射防止膜の入射角依存性を低減して曲面の周辺部においても反射率を抑える上で有効な入射角度であり、T(0)/T(30)の値が1に近いほど分光透過率特性の入射角依存性が小さくなる。本発明に係る反射防止膜は、曲面を有する光学部品への成膜を想定しているため、曲面の周辺部の膜厚がほぼcos則にしたがって薄くなり、かつ、曲面の中心部に比べて曲面の周辺部での入射角が大きくなることまで想定している。つまり、従来の広帯域反射防止膜よりも更に広帯域であって、入射角・膜厚の変化に対して反射率が増大しないように、入射角度:0°,30°の観点から入射角依存性を低減する設計となっている。
上記のように波長λ0,λ1の光に対して条件式(1)を満たすことにより波長依存性と入射角依存性を改善すれば、非常に広い波長帯域において、レンズ中心部を反射防止しながらレンズ周辺部の入射角や膜厚の変化に対しても十分に反射防止することが可能となる。したがって、広帯域・広角度で高い反射防止効果を1枚の反射防止膜で得ることが可能となる。このような反射防止膜は、曲面を有するとともにその周辺部まで有効径が必要とされる光学部品(例えば、通信用ファイバーレンズ,NAの高いレンズ等)に好適であり、その反射防止機能により光学性能の飛躍的な向上を可能にする。
表9に、波長λ0=1550nm,λ1=1300nmにおける条件式(1)の対応値及び関連データを各実施例について示す。表9から分かるように、実施例1〜8は波長λ0,λ1の光に対して条件式(1)を満足している。
上記のように波長λ0,λ1の光に対して条件式(1)を満たすためには、各層において以下の条件式(2)を満足することが好ましい。
1<|ln(4・n・d/λ0)|<2 …(2)
ただし、
n:屈折率、
d:物理膜厚、
であり、4・n・d/λ0が整数でない。
条件式(2)は、各層の膜厚が解析的には求められないものであること(つまり光学膜厚の範囲が自動設計上の値であること)を表現している。そして、この条件を入射角度(0°,30°)と波長(λ0,λ1)の両方の観点から自動設計に加えることで、反射防止効果の最適化が可能となる。条件式(2)の下限を越えると膜厚がゼロになるので製造不可能となり、条件式(2)の上限を越えると膜厚が厚くなりすぎて製造困難になる。
図1〜図8に、実施例1〜実施例8の分光特性を透過率T(%)で示す。図1〜図8は、レンズ曲面の中心部での透過率T(0)を細線で示しており、レンズ曲面の周辺部での透過率T(30)を太線で示している。レンズ曲面の中心部では膜面に対する入射角度が0°であるため、入射角度0°での透過率T(0)をレンズ曲面の中心部での透過率としている。レンズ曲面の周辺部では中心部よりも膜面に対する入射角度が大きくなることを考慮して、膜面に対する入射角度30°での透過率T(30)をレンズ曲面の周辺部での透過率としている。また一般的な成膜によれば、レンズ曲面の周辺部の膜厚は、ほぼcos則にしたがって薄くなる。したがって、レンズ曲面の周辺部での膜厚がcos則にしたがって薄くなることをも考慮して、レンズ曲面の中心部での膜厚を表1〜表8中の物理膜厚とし、その0.866倍の値をレンズ曲面の周辺部での膜厚としている。
図1〜図8から分かるように、いずれの実施例も球面レンズ用広帯域反射防止膜として好適な分光透過率特性を有している。また、(TiO2-SiO2)系以外の材料を使用した実施例6〜8の場合、(TiO2-SiO2)系の材料を使用した実施例1〜5の場合ほど透過率を増加させることはできないものの、ある程度の広帯域反射防止機能は実現可能である。
次に、従来より知られている反射防止膜と同様の構成を有する比較例、それを改善した実施例等を挙げて、本発明に係る反射防止膜との差異を明確にする。なお表15に、2波長λ0,λ1における条件式(1)の対応値及び関連データを各比較例等について示す。
表10に、特許文献1記載の2波長反射防止膜に相当する比較例1の多層膜構成(QWOT=4・n・d/λ0,d:物理膜厚,n:屈折率,λ0:設計基準波長)を示す。設計基準波長λ0=1550nmであり(膜材料の屈折率は設計基準波長λ0に対するもの)、反射防止膜の基板は球面レンズ(設計基準波長λ0に対する屈折率:1.7)である。比較例1は、(TiO2-SiO2)系の材料から成る球面レンズ用2波長反射防止膜であり、TiO2(酸化チタン)から成る高屈折率層と、SiO2(酸化ケイ素)から成る低屈折率層と、が交互に層ナンバー順で球面レンズ上に積層された4層構成になっている。なお、条件式(1)の対応値等(λ0=1550nm,λ1=1300nm)は、表15中に示すようになる。
図9に、比較例1の分光特性を透過率T(%)で示す。図9は、レンズ曲面の中心部での透過率T(0)を細線で示しており、レンズ曲面の周辺部での透過率T(30)を太線で示している。レンズ曲面の中心部では膜面に対する入射角度が0°であるため、入射角度0°での透過率T(0)をレンズ曲面の中心部での透過率としている。レンズ曲面の周辺部では中心部よりも膜面に対する入射角度が大きくなることを考慮して、膜面に対する入射角度30°での透過率T(30)をレンズ曲面の周辺部での透過率としている。また一般的な成膜によれば、レンズ曲面の周辺部の膜厚は、ほぼcos則にしたがって薄くなる。したがって、レンズ曲面の周辺部での膜厚がcos則にしたがって薄くなることをも考慮して、レンズ曲面の中心部での膜厚を表10中の物理膜厚とし、その0.866倍の値をレンズ曲面の周辺部での膜厚としている。比較例1のように、波長1300nm帯と波長1550nm帯を2波長反射防止することを想定して設計した場合、レンズ中心部では高透過率を実現できるが、レンズ周辺部では透過率が大きく減少してしまう(特に波長1550nm帯)。
表11に、特許文献2記載の広帯域反射防止膜に相当する比較例2(可視域の例)の多層膜構成(QWOT=4・n・d/λ0,d:物理膜厚,n:屈折率,λ0:設計基準波長)を示す。設計基準波長λ0=550nmであり(膜材料の屈折率は設計基準波長λ0に対するもの)、反射防止膜の基板は平板(設計基準波長λ0に対する屈折率:1.85)である。比較例2は、(TiO2-SiO2)系の材料から成る広帯域反射防止膜であり、TiO2(酸化チタン)から成る高屈折率層と、SiO2(酸化ケイ素)から成る低屈折率層と、が交互に層ナンバー順で球面レンズ上に積層された16層構成になっている(ただし、第6層と第14層は最適化の結果省かれ、実質層数は14層となっている。)。
図10に、比較例2の分光特性を透過率T{すなわち入射角度0°での透過率T(0);%}で示す。また、比較例2の多層膜構成(表11)を球面レンズから成る基板上に成膜した場合、その周辺部分光透過率特性は図11に示すようになり、条件式(1)の対応値等(λ0=550nm,λ1=461nm)は表15中の比較例2(球面上成膜)に示すようになる。図11は、レンズ曲面の中心部での透過率T(0)を細線で示しており、レンズ曲面の周辺部での透過率T(30)を太線で示している。レンズ曲面の中心部では膜面に対する入射角度が0°であるため、入射角度0°での透過率T(0)をレンズ曲面の中心部での透過率としている。レンズ曲面の周辺部では中心部よりも膜面に対する入射角度が大きくなることを考慮して、膜面に対する入射角度30°での透過率T(30)をレンズ曲面の周辺部での透過率としている。また一般的な成膜によれば、レンズ曲面の周辺部の膜厚は、ほぼcos則にしたがって薄くなる。したがって、レンズ曲面の周辺部での膜厚がcos則にしたがって薄くなることをも考慮して、レンズ曲面の中心部での膜厚を表11中の物理膜厚とし、その0.866倍の値をレンズ曲面の周辺部での膜厚としている。
図11から分かるように、レンズ曲面の周辺部の分光特性を考慮していない広帯域反射防止膜を、レンズのような曲面を有する光学部品に成膜した場合、レンズ中心部においては透過率を高く得ていても、レンズ周辺部での分光特性は大きく崩れてしまう。これは、曲面を有するレンズへの成膜を想定していないためである。
比較例2(表11)と同じ層数の12層で、周辺部の透過率減少も抑制することを想定した本発明に係る反射防止膜の多層膜構成(QWOT=4・n・d/λ0,d:物理膜厚,n:屈折率,λ0:設計基準波長)を、実施例9として表12に示す。また図12に、実施例9の分光特性を透過率T(%)で示す。図12は、レンズ曲面の中心部での透過率T(0)を細線で示しており、レンズ曲面の周辺部での透過率T(30)を太線で示している。レンズ曲面の中心部では膜面に対する入射角度が0°であるため、入射角度0°での透過率T(0)をレンズ曲面の中心部での透過率としている。レンズ曲面の周辺部では中心部よりも膜面に対する入射角度が大きくなることを考慮して、膜面に対する入射角度30°での透過率T(30)をレンズ曲面の周辺部での透過率としている。また一般的な成膜によれば、レンズ曲面の周辺部の膜厚は、ほぼcos則にしたがって薄くなる。したがって、レンズ曲面の周辺部での膜厚がcos則にしたがって薄くなることをも考慮して、レンズ曲面の中心部での膜厚を表12中の物理膜厚とし、その0.866倍の値をレンズ曲面の周辺部での膜厚としている。
表15から分かるように、実施例9は波長λ0,λ1の光に対して条件式(1)を満足している。以上の結果から、球面レンズの中心部から周辺部にかけてバランス良く反射率を低減したい場合、従来の広帯域反射防止膜ではレンズ中心部の反射率低減にしか効果がないため、レンズ周辺部の特性をも考慮した設計が必要であるといえる。
表13に、特許文献2記載の広帯域反射防止膜に相当する比較例3(赤外域に波長帯を移動して最適化した例)の多層膜構成(QWOT=4・n・d/λ0,d:物理膜厚,n:屈折率,λ0:設計基準波長)を示す。設計基準波長λ0=1550nmであり(膜材料の屈折率は波長1500nmに対するもの)、反射防止膜の基板は球面レンズ(設計基準波長λ0に対する屈折率:1.79)である。比較例3は、(TiO2-SiO2)系の材料から成る球面レンズ用広帯域反射防止膜であり、TiO2(酸化チタン)から成る高屈折率層と、SiO2(酸化ケイ素)から成る低屈折率層と、が交互に層ナンバー順で球面レンズ上に積層された16層構成になっている(ただし、第6層と第14層は最適化の結果省かれ、実質層数は14層となっている。)。なお、条件式(1)の対応値等(λ0=1550nm,λ1=1300nm)は、表15中の比較例3に示すようになる。
図13に、比較例3の分光特性を透過率T(%)で示す。図13は、レンズ曲面の中心部での透過率T(0)を細線で示しており、レンズ曲面の周辺部での透過率T(30)を太線で示している。レンズ曲面の中心部では膜面に対する入射角度が0°であるため、入射角度0°での透過率T(0)をレンズ曲面の中心部での透過率としている。レンズ曲面の周辺部では中心部よりも膜面に対する入射角度が大きくなることを考慮して、膜面に対する入射角度30°での透過率T(30)をレンズ曲面の周辺部での透過率としている。また一般的な成膜によれば、レンズ曲面の周辺部の膜厚は、ほぼcos則にしたがって薄くなる。したがって、レンズ曲面の周辺部での膜厚がcos則にしたがって薄くなることをも考慮して、レンズ曲面の中心部での膜厚を表13中の物理膜厚とし、その0.866倍の値をレンズ曲面の周辺部での膜厚としている。
図13から、レンズ中心部の特性は透過率約99.9%に抑えているものの、レンズ周辺部の分光反射率特性は波長1550nm帯の透過率が99.6%近くまで減少してしまっていることが分かる。そこで、レンズ周辺部における波長1550nm帯の透過率が減少しないように、上記分光特性(図13)を波長移動させた場合を比較例3(波長移動)として、その分光特性を図14に示す。このときの条件式(1)の対応値等(λ0=1550nm,λ1=1300nm)は、表15中の比較例3(波長移動)に示すようになる。波長移動させた場合、波長1300nm帯の透過率が大きく減少してしまうことが図14から分かる。このように0°での分光特性が十分と思われる広帯域反射防止膜を球面レンズに応用した場合には、通信波長帯である波長1300nm帯と波長1550nm帯とを同時に反射防止することができない。
比較例3(表13)と同じ条件(基板材料,膜材料等)で、レンズ中心部,レンズ周辺部両方の分光反射率の低減を考慮した本発明に係る反射防止膜の多層膜構成(QWOT=4・n・d/λ0,d:物理膜厚,n:屈折率,λ0:設計基準波長)を、実施例10として表14に示す。実施例10の分光特性は図15に示す透過率T(%)のようになり、条件式(1)の対応値等(λ0=1550nm,λ1=1300nm)は表15中の実施例10に示すようになる。図15は、レンズ曲面の中心部での透過率T(0)を細線で示しており、レンズ曲面の周辺部での透過率T(30)を太線で示している。レンズ曲面の中心部では膜面に対する入射角度が0°であるため、入射角度0°での透過率T(0)をレンズ曲面の中心部での透過率としている。レンズ曲面の周辺部では中心部よりも膜面に対する入射角度が大きくなることを考慮して、膜面に対する入射角度30°での透過率T(30)をレンズ曲面の周辺部での透過率としている。また一般的な成膜によれば、レンズ曲面の周辺部の膜厚は、ほぼcos則にしたがって薄くなる。したがって、レンズ曲面の周辺部での膜厚がcos則にしたがって薄くなることをも考慮して、レンズ曲面の中心部での膜厚を表14中の物理膜厚とし、その0.866倍の値をレンズ曲面の周辺部での膜厚としている。
Figure 2005055569
Figure 2005055569
Figure 2005055569
Figure 2005055569
Figure 2005055569
Figure 2005055569
Figure 2005055569
Figure 2005055569
Figure 2005055569
Figure 2005055569
Figure 2005055569
Figure 2005055569
Figure 2005055569
Figure 2005055569
Figure 2005055569
実施例1の対波長分光特性を示すグラフ。 実施例2の対波長分光特性を示すグラフ。 実施例3の対波長分光特性を示すグラフ。 実施例4の対波長分光特性を示すグラフ。 実施例5の対波長分光特性を示すグラフ。 実施例6の対波長分光特性を示すグラフ。 実施例7の対波長分光特性を示すグラフ。 実施例8の対波長分光特性を示すグラフ。 比較例1の対波長分光特性を示すグラフ。 比較例2の対波長分光特性を示すグラフ。 球面上に成膜された比較例2の対波長分光特性を示すグラフ。 実施例9の対波長分光特性を示すグラフ。 比較例3の対波長分光特性を示すグラフ。 波長移動させた比較例3の対波長分光特性を示すグラフ。 実施例10の対波長分光特性を示すグラフ。
符号の説明
T(0) 入射角度0°での透過率
T(30) 入射角度30°での透過率

Claims (3)

  1. 光学部品の曲面に対して設けられる反射防止膜であって、屈折率1.8〜2.5の高屈折率層と屈折率1.3〜1.5の低屈折率層とが交互に積層された構成を有し、設計基準波長λ0の光に対して以下の条件式(1)を満足し、0.84×λ0で定義される波長λ1の光に対しても以下の条件式(1)を満足することを特徴とする反射防止膜;
    0.999≦T(0)/T(30)≦1.002 …(1)
    ただし、
    T(0):入射角度0°での透過率、
    T(30):入射角度30°での透過率、
    である。
  2. 各層において以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1記載の反射防止膜;
    1<|ln(4・n・d/λ0)|<2 …(2)
    ただし、
    n:屈折率、
    d:物理膜厚、
    であり、4・n・d/λ0が整数でない。
  3. 曲面の周辺部の膜厚がほぼcos則にしたがって薄くなっており、かつ、曲面の中心部に比べて曲面の周辺部での入射角度が大きくなることを特徴とする請求項1又は2記載の反射防止膜。
JP2003284723A 2003-08-01 2003-08-01 反射防止膜 Pending JP2005055569A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003284723A JP2005055569A (ja) 2003-08-01 2003-08-01 反射防止膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003284723A JP2005055569A (ja) 2003-08-01 2003-08-01 反射防止膜

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005055569A true JP2005055569A (ja) 2005-03-03

Family

ID=34364568

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003284723A Pending JP2005055569A (ja) 2003-08-01 2003-08-01 反射防止膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005055569A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9201172B2 (en) 2012-09-14 2015-12-01 Ricoh Imaging Company, Ltd. Anti-reflection coating, optical member having it, and optical equipment comprising such optical member

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9201172B2 (en) 2012-09-14 2015-12-01 Ricoh Imaging Company, Ltd. Anti-reflection coating, optical member having it, and optical equipment comprising such optical member

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI554779B (zh) 防反射膜及光學元件
US20100188737A1 (en) Dielectric multilayer filter
TWI509292B (zh) 鏡片及具有該鏡片的鏡頭模組
US6310729B1 (en) Dichroic mirror
JP6051710B2 (ja) 反射防止膜、それを用いた光学部材、及び光学機器
JP2007206172A (ja) 撮像系光学素子
JP6362105B2 (ja) 反射防止膜を有する光学素子、光学系、光学機器
WO2005116696A1 (ja) 反射防止膜
JP5885649B2 (ja) 反射防止膜を有する光学素子、光学系および光学機器
JP2015004919A (ja) 反射防止膜及びそれを有する光学素子
JP6760304B2 (ja) 金色調多層コートおよびこれを備える反射体
JP6795031B2 (ja) 投影レンズ
JP2006119525A (ja) 反射防止膜
JP2007333806A (ja) 反射防止膜および光学部材
JP2006259124A (ja) コールドミラー
US6280848B1 (en) Antireflection coating
JP2001100002A (ja) 反射防止膜及びそれを用いた光学部材
JP2005055569A (ja) 反射防止膜
TWI545354B (zh) 紫外截止濾光片及鏡頭模組
JP2004258494A (ja) Ndフィルタ
JP2000347002A (ja) 反射防止膜
KR20090077489A (ko) 반사 방지 코팅
JP2015084024A (ja) 反射防止膜、光学素子および光学機器
JP3550894B2 (ja) 反射防止膜
JPH03215803A (ja) 帯域フィルター

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20050615

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050622

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060323

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20080220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081111

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090331