JP2005054388A - スクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法及び鋼管杭 - Google Patents
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Abstract
【課題】大型のプレス等や複数の金型を用いることなく、比較的小さな力で安価にスクリュー羽根備えた鋼管杭を製造する方法及び鋼管杭を提供する。
【解決手段】半径方向に切断されて対向する切断端部13、14が形成されたドーナツ状の鋼板11の一方及び他方の切断端部13、14をそれぞれ把持する第1及び第2の挟持手段15、16と、固定架台25に取付けられ、第2の挟持手段16を鋼板11の軸心に対して実質平行な方向に移動させる進退駆動手段22とを備えたスクリュー羽根成形装置10を用意し、進退駆動手段22を作動させて、第1の挟持手段15に対して第2の挟持手段16を移動させて、鋼板11に所定ピッチの螺旋を成形し、螺旋状に成形された鋼板11の第1及び第2の挟持手段15、16で挟持された挟持部分を切断してスクリュー羽根12を製造し、スクリュー羽根12を鋼管杭本体61下部の外周面に溶接する。
【選択図】 図1
【解決手段】半径方向に切断されて対向する切断端部13、14が形成されたドーナツ状の鋼板11の一方及び他方の切断端部13、14をそれぞれ把持する第1及び第2の挟持手段15、16と、固定架台25に取付けられ、第2の挟持手段16を鋼板11の軸心に対して実質平行な方向に移動させる進退駆動手段22とを備えたスクリュー羽根成形装置10を用意し、進退駆動手段22を作動させて、第1の挟持手段15に対して第2の挟持手段16を移動させて、鋼板11に所定ピッチの螺旋を成形し、螺旋状に成形された鋼板11の第1及び第2の挟持手段15、16で挟持された挟持部分を切断してスクリュー羽根12を製造し、スクリュー羽根12を鋼管杭本体61下部の外周面に溶接する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼管の下部にスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法及び鋼管杭に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基礎杭には、打撃杭やコンクリート杭が用いられていたが、打撃杭の施工時には、騒音や振動の問題があり、また、コンクリート杭の施工時には、産業廃棄物となる残土の処理や耐震性などの問題があった。
これらの問題を解決するために、例えば、特許文献1では、鋼管製の杭本体の下端に底板を固設し、該底板に掘削刃を設けると共に、杭本体の下端部外周面にスクリュー羽根を突設した鋼管杭が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、鋼管の先端にスクリュー羽根を備え、鋼管内部に土砂を閉塞させる鋼管杭が開示されている。特許文献1及び特許文献2に記載の鋼管杭では、施工時に、騒音や振動の問題はないが、鋼管杭に取付けるスクリュー羽根は、ドーナツ状に切り出した鋼板を金型によるプレスで螺旋状に形成していた。
【0004】
【特許文献1】
特公平2−62648号公報
【特許文献2】
特開平8−226124号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1及び特許文献2の鋼管杭によって、基礎杭の騒音、振動等の問題が解決された。しかしながら、前記従来のスクリュー羽根の成形方法は未だ解決すべき以下のような問題があった。
プレスによる螺旋の形成では、ドーナツ状の鋼板の大きさ、螺旋の角度、螺旋のピッチ、及び鋼管杭本体の外径等の違いによって、いろいろな金型を作らなければならなかった。また、鋼板をプレスした際に起こるスプリングバックのため、所定ピッチとなるまで、通常は4、5回の試験を繰り返すことがあり、その都度金型を作っていた。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、大型のプレス等や複数の金型を用いることなく、比較的小さな力で安価にスクリュー羽根を備えた鋼管杭を製造する方法及び鋼管杭を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係るスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法は、基台に固定されて、半径方向に切断されて対向する切断端部が形成されたドーナツ状の鋼板の一方の切断端部を把持する第1の挟持手段と、前記鋼板の他方の切断端部を把持する第2の挟持手段と、前記基台に固定架台を介して取付けられ、前記第2の挟持手段を前記ドーナツ状の鋼板の軸心に対して実質平行な方向に移動させる進退駆動手段とを備えたスクリュー羽根成形装置を用意し、
前記進退駆動手段を作動させて、前記第1の挟持手段に対して前記第2の挟持手段を移動させて、前記鋼板に所定ピッチの螺旋を成形し、
次に、前記螺旋状に成形された鋼板の前記第1及び第2の挟持手段で挟持された挟持部分を切断してスクリュー羽根を製造し、
前記スクリュー羽根を所定直径の鋼管杭本体下部の外周面に固着している。
【0008】
これによって、鋼板の大きさに関わらず、鋼板に形成された対となる切断端部を所定距離相対移動させるだけで、容易に螺旋を形成することができる。また、所定ピッチの螺旋とするには、切断端部の移動距離を変えて試験することにより、最適な移動距離を決定すればよく、従来のように試験毎に金型を作らなくてよい。更に、プレス加工に比べて、加える力のロスが少なく、より小さい荷重で変形させることが可能となる。
【0009】
また、第2の発明に係るスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法は、第1の発明方法において、前記固定架台の他に、該固定架台と対となって、前記進退駆動手段の先部をガイドするガイド手段が取付けられた補助架台が前記基台に設けられ、前記第2の挟持手段は前記進退駆動手段の先部に該進退駆動手段の軸心を中心にして回動可能に設けられている。
これによって、進退駆動手段の先部は、移動中に鋼板のスプリングバックによる進退駆動手段の軸心からのぶれが生じ難くなる。また、第2の挟持手段が、回動可能に設けられるので、鋼板が螺旋状となる際に、その螺旋の螺旋角に第2の挟持手段が追従することができる。
【0010】
第3の発明に係るスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法は、第1及び第2の発明方法において、前記進退駆動手段の軸心は、前記ドーナツ状の鋼板の軸心と一致している。これによって進退駆動手段の先部が、進退駆動手段(本体)の軸心に沿って移動し易くなり、進退駆動手段の先部の直進性が増す。また、鋼板の対となる切断端部にかかる力が均一となり、撓みのないスクリュー羽根を成形することができる。
【0011】
そして、第4の発明に係るスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法は、第1〜第3の発明方法において、前記鋼板の前記切断端部を基準にしてその反対側端部を挟持して吊り下げる吊具を有する。これによって、鋼板を吊り上げて、鋼板をスクリュー羽根成形装置に装着できるので、鋼板の装着が簡単になる。
第5の発明に係る鋼管杭は、半径方向に切断されて対向する切断端部が形成されたドーナツ状の鋼板の一方の切断端部を把持する第1の挟持手段と、前記鋼板の他方の切断端部を把持する第2の挟持手段とを用い、前記第1の挟持手段と前記第2の挟持手段を前記鋼板の軸心に対して平行方向に移動させて形成されたスクリュー羽根を鋼管杭本体に備えている。これによって、鋼管杭本体の長さや直径に応じたスクリュー羽根の形成が容易であり、施工規模に応じた鋼管杭を製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係るスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法に適用されるスクリュー羽根成形装置の斜視図、図2は同装置に用いるドーナツ状の鋼板の説明図、図3は同装置での鋼板の把持状態を示す説明図、図4(A)は同装置の第1及び第2の挟持手段の説明図、(B)は第1及び第2の挟持手段の変形例の説明図、図5は同装置に鋼板を設置した状態を示す説明図、図6は同装置による鋼板の螺旋成形時の状態を示す説明図、図7はスクリュー羽根を備えた鋼管杭の説明図、図8はスクリュー羽根を備えた鋼管杭の変形例の説明図である。
【0013】
図1〜図4を参照して、本発明の一実施の形態に係るスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法に用いられるスクリュー羽根成形装置10について説明する。
図1、図2に示すように、スクリュー羽根成形装置10は、ドーナツ状の鋼板11を螺旋状に成形し、スクリュー羽根12とする装置である。ドーナツ状の鋼板11は、所定の内径a(例えば、1200mm)、外径b(例えば、1800mm)及び板厚c(例えば、75mm)を有し、更に、半径方向に切断され、対向する第1及び第2の切断端部13、14が形成されている。
【0014】
また、図1、図3及び図4(A)に示すように、スクリュー羽根成形装置10は、鋼板11の第1の切断端部13を把持する第1の挟持手段の一例である第1のクランプ15を有し、第2の切断端部14を把持する第2の挟持手段の一例である第2のクランプ16を有している。第1及び第2のクランプ15、16は、U字型に形成され、第1のクランプ15は、鋼板11の外周側から第1の切断端部13を把持し、第2のクランプ16は、鋼板11の内周側から第2の切断端部14を把持している。また、第1及び第2のクランプ15、16には、第1及び第2の切断端部13、14の挟持部分にボルト17が設けられている。第1及び第2のクランプ15、16は、ボルト17によって、鋼板11の第1及び第2の切断端部13、14をそれぞれ固定することができる。
【0015】
また、図4(B)に示すように、第2の挟持部材を、第2の切断端部14の外径側を把持するC型クランプ18で形成し、C型クランプ18に鋼板11の第2の切断端部14を配置してもよい。
ここで、第1のクランプ15は、基台20上に取付けられた固定台21に高さ調節可能に設置され、鋼板11の大きさによって、第1のクランプ15の高さを調節し、第1の切断端部13をしっかりと挟持することができる。
【0016】
また、スクリュー羽根成形装置10は、進退駆動手段の一例である油圧式のシリンダ22を有している。シリンダ22は、棒状のピストンロッド23と、ピストンロッド23を油圧によって水平方向に移動させる駆動部24を有している。また、ピストンロッド23は、ピストンロッド23の軸心を中心にして回転可能となっている。ここで、第2のクランプ16は、ピストンロッド23の先部に取付けられ、駆動部24の駆動によりピストンロッド23と共に、ピストンロッド23の軸心方向に移動する。
【0017】
また、第2のクランプ16は、ピストンロッド23の軸心を中心にして回動可能である。シリンダ22の駆動部24は、基台20に取付けられた固定架台25に設けられている。また、駆動部24は、高さ調節可能な昇降機26を介して、固定架台25に取付けられ、内部の駆動源(構造)を図示しない昇降機26により、ピストンロッド23の高さを調節し、鋼板11の軸心とピストンロッド23の軸心とを一致させることができる。なお、昇降機26の駆動源としては、スクリュージャッキ、油圧シリンダ、電動シリンダ等が好適に用いられる。
【0018】
更に、基台20には、下部にジャッキ31が設けられ、昇降可能な補助架台32が、固定架台25と対となって固設されている。補助架台32には、シリンダ22のピストンロッド23をガイドするガイド手段30が取付けられ、ガイド手段30は、実質的にシリンダ22のピストンロッド23の軸心と同一の軸心を有し、第2のクランプ16が先部に取付けられているピストンロッド23の先端に向かい合って配置されるガイドロッド33を有している。なお、ガイドロッド33の先部33aは、円錐状に突出している。また、第2のクランプ16のガイドロッド33側には、円錐状の先部33aが係合するように形成された凹部33bが形成されている(図4(A)参照)。先部33aが、凹部33bにはめ込まれ、ガイドロッド33の軸心とピストンロッド23の軸心とを一致させることができる。
【0019】
また、ガイド手段30は、ピストンロッド23が、ガイドロッド33側に移動する際にガイドロッド33が受ける衝撃を吸収するスプリング34を有している。スプリング34の基部には、ガイドロッド33を軸心方向に移動させ、ガイドロッド33を第2のクランプ16を介して、ピストンロッド23に係合させるハンドル付スクリューシャフト35が備えられている。ハンドル付スクリューシャフト35のハンドルを操作して、スプリング34を軸心方向に移動させ、ガイドロッド33をピストンロッド23に係合させることができる。
【0020】
また、補助架台32には、鋼板11の第2の切断端部14が、補助架台32方向に移動する際に、ピストンロッド23が補助架台32方向に急激に押し出され、第2の切断端部14が、補助架台32に接触するのを防ぎ、更に、補助架台32が受ける力を緩和するショックアブソーバー37が取付けられている。
更に、鋼板11の第1及び第2の切断端部13、14を基準にしてその反対側端部40を挟持して吊り下げる吊具41を有している。吊具41は、吊金具42及びチェーン43で構成され、鋼板11は、吊具41によって昇降及び移動可能となっている。
【0021】
次に、図1〜図6を参照して、スクリュー羽根成形装置10を使用したスクリュー羽根12の成形方法について説明する。
まず、成形するスクリュー羽根12の内径、外径、及び螺旋のピッチから計算された内径a、外径b、及び板厚cの鋼板11を、鋼板11の半径方向に切断して、対となる切断端部13、14を形成する。
図5に示すように、予めスクリュー羽根成形装置10は、鋼板11の第1及び第2の切断端部13、14をそれぞれ第1及び第2のクランプ15、16に把持するために、ピストンロッド23を固定架台25側に引き込んでおく。
【0022】
更に、スクリュー羽根成形装置10に鋼板11を配置した際に、ピストンロッド23の軸心が、鋼板11の軸心と同一となるように、第1及び第2のクランプ15、16と、ガイドロッド33の高さを調整しておく。
鋼板11の反対側端部40を吊具41で挟持して、鋼板11を吊り上げ、第1及び第2の切断端部13、14を、それぞれ第1及び第2のクランプ15、16の挟持位置まで移動し、図4(A)に示すように、ボルト17によって、それぞれ第1及び第2の切断端部13、14を固定する。
更に、ガイド手段30のガイドロッド33の先部33aを、第2のクランプ16の凹部33bに係合させ、ピストンロッド23とガイドロッド33の軸心を実質的に一致させる。
【0023】
次に、鋼板11に螺旋を形成するために、駆動部24を駆動させ、ピストンロッド23を所定の距離Po、例えば、1500mm移動する。この際、ピストンロッド23は、ガイドロッド33によってガイドされ、ピストンロッド23の軸心方向に移動する。従って、ピストンロッド23の先端に取付けられた第2のクランプ16は、ピストンロッド23の軸心方向に移動する。
また、図6に示すように、第2のクランプ16は、ピストンロッド23の軸心を中心にして回動可能であるので、鋼板11の螺旋成形時に、スクリュー羽根12の螺旋角θが、例えば、5°〜30°となる所定の角度となるように、自在に回動する。
【0024】
スクリュー羽根12の成形後、第1及び第2のクランプ15、16のボルト17を取り外し、成形したスクリュー羽根12を第1及び第2のクランプ15、16から取り外す。この際に、スクリュー羽根12の螺旋のピッチが所定値p、例えば、1400mmとなった場合には、第1及び第2のクランプ15、16及びボルト17によって、把持した第1及び第2の切断端部13、14の挟持部分を切断し、挟持部分を切断したスクリュー羽根12を製造する。
なお、螺旋のピッチpは、移動距離からスクリュー羽根12のスプリングバックを引いた長さとなる。従って、最終目標値の所定のピッチpよりも、第2のクランプ16の移動距離Poの方を長くしなければならない。
【0025】
また、スクリュー羽根12の螺旋のピッチが所定値pとならなかった場合には、再度、第1及び第2のクランプ15、16によって、第1及び第2の切断端部13、14を把持し、第2のクランプ16を移動させ、同様の操作を行い、スクリュー羽根12の螺旋のピッチが所定値pとなるまで繰り返す。
なお、鋼板11は、第2のクランプ16を同一の距離Po移動すると、所定ピッチpのスクリュー羽根12を成形することができる。所定ピッチpとなったスクリュー羽根12は、第1及び第2の切断端部13、14の挟持部分が切断され、挟持部分を切断したスクリュー羽根12が製造される。
【0026】
このように、ピストンロッド23の移動距離を変えるだけで所定ピッチpのスクリュー羽根12を成形することができるので、従来の金型のように、所定のピッチとするために、試験毎に金型を作る必要がなくなった。
また、従来の金型の両面から鋼板を押して、スクリュー羽根を成形する方法では、鋼板11を用いてスクリュー羽根12を成形する場合、およそ1000トンの力を鋼板11にかける必要があったが、スクリュー羽根成形装置10では、1000トン/π、即ち300トン程度の力でスクリュー羽根12を形成することができ、必要とする力は約3分の1となった。
【0027】
図7を参照して、以上の方法によって製造したスクリュー羽根12を備えた本発明の一実施の形態に係る鋼管杭50の製造方法について説明する。
挟持部分を切断したスクリュー羽根12は、スクリュー羽根12の内周部分と実質的に同じ外径(例えば、1〜3m)を有する鋼管杭本体51下部の外周面に溶接によって固着し、鋼管杭50を製造する。更に、スクリュー羽根12は、その先部を中央が突出するように切断し、掘削刃52として形成している。鋼管杭50が、短い場合には、更に、鋼管杭本体51の上部に鋼管杭本体51と実質的に内径及び外径の同じ図示しない鋼管を溶接等により固着するための接続部53を設け、接続部53に鋼管を接続してもよい。更に、鋼管にも接続部を設けてもよい。また、接続部53を省いて、鋼管杭本体51のプレートエンドを接続部としてもよい。
【0028】
鋼管杭50は、鋼管杭本体51の軸心を中心として、回転させることにより、地中内を掘進し、埋設される。また、スクリュー羽根12先部が、掘削刃52となっているので、鋼管杭50を地中に掘進させ易い。
【0029】
図8を参照して、スクリュー羽根12を備えた鋼管杭50の変形例である鋼管杭60について説明する。
鋼管杭60は、挟持部分を切断したスクリュー羽根12の軸心に対する内径と外径との中間の外径を有する鋼管杭本体61を備えている。更に、鋼管杭本体61の下部は、鋼管杭本体61の軸心と挟持部分を切断したスクリュー羽根12の軸心を実質的に一致させた際の切断したスクリュー羽根12の螺旋角と一致するように螺旋状に切断されている。鋼管杭60は、鋼管杭本体61の下部と挟持部分を切断したスクリュー羽根12を、鋼管杭本体61の軸心と挟持部分を切断したスクリュー羽根12の軸心を実質的に一致させて、溶接によって固着して製造される。
【0030】
更に、スクリュー羽根12は、その先部を下側が突出するように切断し、掘削刃62として形成している。また、鋼管杭本体61の上部には、鋼管杭本体61と実質的に内径及び外径の同じ図示しない鋼管を溶接等により固着するための接続部63を設け、接続部63に鋼管を接続し、長い鋼管杭を形成してもよい。
なお、鋼管杭60は、鋼管杭本体61の軸心を中心として、回転させることにより、地中内を掘進し、地中に埋設される。また、スクリュー羽根12先部が、掘削刃62となっているので、鋼管杭60を地中に掘進させ易い。
【0031】
本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記した実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせてスクリュー羽根を備えた鋼管杭を製造する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、前記スクリュー羽根成形装置において、第1の挟持部材を固定し、第2の挟持部材を軸心方向に移動したが、第1及び第2の挟持部材を所定距離移動してもよい。
【0032】
また、前記スクリュー羽根成形装置では様々な大きさの鋼板からスクリュー羽根を成形するために、第1及び第2のクランプ15、16と、ガイドロッド33の高さを調整する機構を有しているが、同一、若しくはあまり変わらない大きさの鋼板を用いる場合には、高さを調整する機構は備えなくてもよい。また、第1、第2の挟持手段及び固定架台、及び補助架台には、大きな力がかかるので、それぞれリブ等で補強するのが好ましい。
【0033】
【発明の効果】
請求項1〜4記載のスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法においては、スクリュー羽根の製造に当たって、ドーナツ状の鋼板を半径方向に切断して、対となる切断端部を形成し、対となる切断端部の一方及び他方をそれぞれ第1及び第2の挟持手段で把持し、第1の挟持手段に対して第2の挟持手段をドーナツ状の鋼板の軸心方向に相対移動させて、鋼板に所定ピッチの螺旋を成形し、次に、螺旋状に成形された鋼板の第1及び第2の挟持手段で挟持された挟持部分を切断するので、鋼板の大きさに関わらず、鋼板に形成された対となる切断端部を所定距離相対移動させるだけで、容易に螺旋を形成することができる。また、切断端部の移動距離を変えて試験することにより、所定ピッチの螺旋を形成する移動距離を決定することができる。更に、鋼板の端部を軸心方向に移動させることによりスクリュー羽根を成形するので、金型で鋼板の全面に力を加える従来の方法よりも、小さい力で螺旋を形成することができる。
【0034】
特に、請求項2記載のスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法においては、固定架台の他に、固定架台と対となって、進退駆動手段の先部をガイドするガイド手段が取付けられた補助架台が基台に設けられ、第2の挟持手段は進退駆動手段の先部に進退駆動手段の軸心を中心にして回動可能に設けられているので、進退駆動手段の先部は、軸心からのぶれが生じ難くなる。また、回動可能に設けられた第2の挟持手段は、鋼板が螺旋状となる際に、その螺旋の螺旋角に追従することができ、スクリュー羽根を容易に形成することができる。
【0035】
請求項3記載のスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法においては、進退駆動手段の軸心は、ドーナツ状の鋼板の軸心と一致するので、進退駆動手段の軸心に沿っての移動が容易となり、進退駆動手段の先部の直進性が保持されるため、スクリュー羽根の軸心が撓まない。特に、進退駆動手段の先部を回動可能にすることによって、所定の螺旋角を有したスクリュー羽根を形成することができる。
【0036】
請求項4記載のスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法においては、鋼板の切断端部を基準にしてその反対側端部を挟持して吊り下げる吊具を有するので、鋼板を吊り上げて、鋼板をスクリュー羽根成形装置に装着でき、鋼板の装着が簡単になり、作業性が向上する。
請求項5記載の鋼管杭においては、鋼管杭本体の長さや直径に応じたスクリュー羽根の形成が容易であり、施工規模に応じた鋼管杭を製造することができるので、鋼管杭の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法に適用されるスクリュー羽根成形装置の斜視図である。
【図2】同装置に用いるドーナツ状の鋼板の説明図である。
【図3】同装置での鋼板の把持状態を示す説明図である。
【図4】(A)は同装置の第1及び第2の挟持手段の説明図、(B)は第1及び第2の挟持手段の変形例の説明図である。
【図5】同装置に鋼板を設置した状態を示す説明図である。
【図6】同装置による鋼板の螺旋成形時の状態を示す説明図である。
【図7】スクリュー羽根を備えた鋼管杭の説明図である。
【図8】スクリュー羽根を備えた鋼管杭の変形例の説明図である。
【符号の説明】
10:スクリュー羽根成形装置、11:鋼板、12:スクリュー羽根、13:第1の切断端部、14:第2の切断端部、15:第1のクランプ、16:第2のクランプ、17:ボルト、18:C型クランプ、20:基台、21:固定台、22:シリンダ、23:ピストンロッド、24:駆動部、25:固定架台、26:昇降機、30:ガイド手段、31:ジャッキ、32:補助架台、33:ガイドロッド、33a:先部、33b:凹部、34:スプリング、35:ハンドル付スクリューシャフト、37:ショックアブソーバー、40:反対側端部、41:吊具、42:吊金具、43:チェーン、50:鋼管杭、51:鋼管杭本体、52:掘削刃、53:接続部、60:鋼管杭、61:鋼管杭本体、62:掘削刃、63:接続部
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼管の下部にスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法及び鋼管杭に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基礎杭には、打撃杭やコンクリート杭が用いられていたが、打撃杭の施工時には、騒音や振動の問題があり、また、コンクリート杭の施工時には、産業廃棄物となる残土の処理や耐震性などの問題があった。
これらの問題を解決するために、例えば、特許文献1では、鋼管製の杭本体の下端に底板を固設し、該底板に掘削刃を設けると共に、杭本体の下端部外周面にスクリュー羽根を突設した鋼管杭が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、鋼管の先端にスクリュー羽根を備え、鋼管内部に土砂を閉塞させる鋼管杭が開示されている。特許文献1及び特許文献2に記載の鋼管杭では、施工時に、騒音や振動の問題はないが、鋼管杭に取付けるスクリュー羽根は、ドーナツ状に切り出した鋼板を金型によるプレスで螺旋状に形成していた。
【0004】
【特許文献1】
特公平2−62648号公報
【特許文献2】
特開平8−226124号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1及び特許文献2の鋼管杭によって、基礎杭の騒音、振動等の問題が解決された。しかしながら、前記従来のスクリュー羽根の成形方法は未だ解決すべき以下のような問題があった。
プレスによる螺旋の形成では、ドーナツ状の鋼板の大きさ、螺旋の角度、螺旋のピッチ、及び鋼管杭本体の外径等の違いによって、いろいろな金型を作らなければならなかった。また、鋼板をプレスした際に起こるスプリングバックのため、所定ピッチとなるまで、通常は4、5回の試験を繰り返すことがあり、その都度金型を作っていた。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、大型のプレス等や複数の金型を用いることなく、比較的小さな力で安価にスクリュー羽根を備えた鋼管杭を製造する方法及び鋼管杭を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係るスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法は、基台に固定されて、半径方向に切断されて対向する切断端部が形成されたドーナツ状の鋼板の一方の切断端部を把持する第1の挟持手段と、前記鋼板の他方の切断端部を把持する第2の挟持手段と、前記基台に固定架台を介して取付けられ、前記第2の挟持手段を前記ドーナツ状の鋼板の軸心に対して実質平行な方向に移動させる進退駆動手段とを備えたスクリュー羽根成形装置を用意し、
前記進退駆動手段を作動させて、前記第1の挟持手段に対して前記第2の挟持手段を移動させて、前記鋼板に所定ピッチの螺旋を成形し、
次に、前記螺旋状に成形された鋼板の前記第1及び第2の挟持手段で挟持された挟持部分を切断してスクリュー羽根を製造し、
前記スクリュー羽根を所定直径の鋼管杭本体下部の外周面に固着している。
【0008】
これによって、鋼板の大きさに関わらず、鋼板に形成された対となる切断端部を所定距離相対移動させるだけで、容易に螺旋を形成することができる。また、所定ピッチの螺旋とするには、切断端部の移動距離を変えて試験することにより、最適な移動距離を決定すればよく、従来のように試験毎に金型を作らなくてよい。更に、プレス加工に比べて、加える力のロスが少なく、より小さい荷重で変形させることが可能となる。
【0009】
また、第2の発明に係るスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法は、第1の発明方法において、前記固定架台の他に、該固定架台と対となって、前記進退駆動手段の先部をガイドするガイド手段が取付けられた補助架台が前記基台に設けられ、前記第2の挟持手段は前記進退駆動手段の先部に該進退駆動手段の軸心を中心にして回動可能に設けられている。
これによって、進退駆動手段の先部は、移動中に鋼板のスプリングバックによる進退駆動手段の軸心からのぶれが生じ難くなる。また、第2の挟持手段が、回動可能に設けられるので、鋼板が螺旋状となる際に、その螺旋の螺旋角に第2の挟持手段が追従することができる。
【0010】
第3の発明に係るスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法は、第1及び第2の発明方法において、前記進退駆動手段の軸心は、前記ドーナツ状の鋼板の軸心と一致している。これによって進退駆動手段の先部が、進退駆動手段(本体)の軸心に沿って移動し易くなり、進退駆動手段の先部の直進性が増す。また、鋼板の対となる切断端部にかかる力が均一となり、撓みのないスクリュー羽根を成形することができる。
【0011】
そして、第4の発明に係るスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法は、第1〜第3の発明方法において、前記鋼板の前記切断端部を基準にしてその反対側端部を挟持して吊り下げる吊具を有する。これによって、鋼板を吊り上げて、鋼板をスクリュー羽根成形装置に装着できるので、鋼板の装着が簡単になる。
第5の発明に係る鋼管杭は、半径方向に切断されて対向する切断端部が形成されたドーナツ状の鋼板の一方の切断端部を把持する第1の挟持手段と、前記鋼板の他方の切断端部を把持する第2の挟持手段とを用い、前記第1の挟持手段と前記第2の挟持手段を前記鋼板の軸心に対して平行方向に移動させて形成されたスクリュー羽根を鋼管杭本体に備えている。これによって、鋼管杭本体の長さや直径に応じたスクリュー羽根の形成が容易であり、施工規模に応じた鋼管杭を製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係るスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法に適用されるスクリュー羽根成形装置の斜視図、図2は同装置に用いるドーナツ状の鋼板の説明図、図3は同装置での鋼板の把持状態を示す説明図、図4(A)は同装置の第1及び第2の挟持手段の説明図、(B)は第1及び第2の挟持手段の変形例の説明図、図5は同装置に鋼板を設置した状態を示す説明図、図6は同装置による鋼板の螺旋成形時の状態を示す説明図、図7はスクリュー羽根を備えた鋼管杭の説明図、図8はスクリュー羽根を備えた鋼管杭の変形例の説明図である。
【0013】
図1〜図4を参照して、本発明の一実施の形態に係るスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法に用いられるスクリュー羽根成形装置10について説明する。
図1、図2に示すように、スクリュー羽根成形装置10は、ドーナツ状の鋼板11を螺旋状に成形し、スクリュー羽根12とする装置である。ドーナツ状の鋼板11は、所定の内径a(例えば、1200mm)、外径b(例えば、1800mm)及び板厚c(例えば、75mm)を有し、更に、半径方向に切断され、対向する第1及び第2の切断端部13、14が形成されている。
【0014】
また、図1、図3及び図4(A)に示すように、スクリュー羽根成形装置10は、鋼板11の第1の切断端部13を把持する第1の挟持手段の一例である第1のクランプ15を有し、第2の切断端部14を把持する第2の挟持手段の一例である第2のクランプ16を有している。第1及び第2のクランプ15、16は、U字型に形成され、第1のクランプ15は、鋼板11の外周側から第1の切断端部13を把持し、第2のクランプ16は、鋼板11の内周側から第2の切断端部14を把持している。また、第1及び第2のクランプ15、16には、第1及び第2の切断端部13、14の挟持部分にボルト17が設けられている。第1及び第2のクランプ15、16は、ボルト17によって、鋼板11の第1及び第2の切断端部13、14をそれぞれ固定することができる。
【0015】
また、図4(B)に示すように、第2の挟持部材を、第2の切断端部14の外径側を把持するC型クランプ18で形成し、C型クランプ18に鋼板11の第2の切断端部14を配置してもよい。
ここで、第1のクランプ15は、基台20上に取付けられた固定台21に高さ調節可能に設置され、鋼板11の大きさによって、第1のクランプ15の高さを調節し、第1の切断端部13をしっかりと挟持することができる。
【0016】
また、スクリュー羽根成形装置10は、進退駆動手段の一例である油圧式のシリンダ22を有している。シリンダ22は、棒状のピストンロッド23と、ピストンロッド23を油圧によって水平方向に移動させる駆動部24を有している。また、ピストンロッド23は、ピストンロッド23の軸心を中心にして回転可能となっている。ここで、第2のクランプ16は、ピストンロッド23の先部に取付けられ、駆動部24の駆動によりピストンロッド23と共に、ピストンロッド23の軸心方向に移動する。
【0017】
また、第2のクランプ16は、ピストンロッド23の軸心を中心にして回動可能である。シリンダ22の駆動部24は、基台20に取付けられた固定架台25に設けられている。また、駆動部24は、高さ調節可能な昇降機26を介して、固定架台25に取付けられ、内部の駆動源(構造)を図示しない昇降機26により、ピストンロッド23の高さを調節し、鋼板11の軸心とピストンロッド23の軸心とを一致させることができる。なお、昇降機26の駆動源としては、スクリュージャッキ、油圧シリンダ、電動シリンダ等が好適に用いられる。
【0018】
更に、基台20には、下部にジャッキ31が設けられ、昇降可能な補助架台32が、固定架台25と対となって固設されている。補助架台32には、シリンダ22のピストンロッド23をガイドするガイド手段30が取付けられ、ガイド手段30は、実質的にシリンダ22のピストンロッド23の軸心と同一の軸心を有し、第2のクランプ16が先部に取付けられているピストンロッド23の先端に向かい合って配置されるガイドロッド33を有している。なお、ガイドロッド33の先部33aは、円錐状に突出している。また、第2のクランプ16のガイドロッド33側には、円錐状の先部33aが係合するように形成された凹部33bが形成されている(図4(A)参照)。先部33aが、凹部33bにはめ込まれ、ガイドロッド33の軸心とピストンロッド23の軸心とを一致させることができる。
【0019】
また、ガイド手段30は、ピストンロッド23が、ガイドロッド33側に移動する際にガイドロッド33が受ける衝撃を吸収するスプリング34を有している。スプリング34の基部には、ガイドロッド33を軸心方向に移動させ、ガイドロッド33を第2のクランプ16を介して、ピストンロッド23に係合させるハンドル付スクリューシャフト35が備えられている。ハンドル付スクリューシャフト35のハンドルを操作して、スプリング34を軸心方向に移動させ、ガイドロッド33をピストンロッド23に係合させることができる。
【0020】
また、補助架台32には、鋼板11の第2の切断端部14が、補助架台32方向に移動する際に、ピストンロッド23が補助架台32方向に急激に押し出され、第2の切断端部14が、補助架台32に接触するのを防ぎ、更に、補助架台32が受ける力を緩和するショックアブソーバー37が取付けられている。
更に、鋼板11の第1及び第2の切断端部13、14を基準にしてその反対側端部40を挟持して吊り下げる吊具41を有している。吊具41は、吊金具42及びチェーン43で構成され、鋼板11は、吊具41によって昇降及び移動可能となっている。
【0021】
次に、図1〜図6を参照して、スクリュー羽根成形装置10を使用したスクリュー羽根12の成形方法について説明する。
まず、成形するスクリュー羽根12の内径、外径、及び螺旋のピッチから計算された内径a、外径b、及び板厚cの鋼板11を、鋼板11の半径方向に切断して、対となる切断端部13、14を形成する。
図5に示すように、予めスクリュー羽根成形装置10は、鋼板11の第1及び第2の切断端部13、14をそれぞれ第1及び第2のクランプ15、16に把持するために、ピストンロッド23を固定架台25側に引き込んでおく。
【0022】
更に、スクリュー羽根成形装置10に鋼板11を配置した際に、ピストンロッド23の軸心が、鋼板11の軸心と同一となるように、第1及び第2のクランプ15、16と、ガイドロッド33の高さを調整しておく。
鋼板11の反対側端部40を吊具41で挟持して、鋼板11を吊り上げ、第1及び第2の切断端部13、14を、それぞれ第1及び第2のクランプ15、16の挟持位置まで移動し、図4(A)に示すように、ボルト17によって、それぞれ第1及び第2の切断端部13、14を固定する。
更に、ガイド手段30のガイドロッド33の先部33aを、第2のクランプ16の凹部33bに係合させ、ピストンロッド23とガイドロッド33の軸心を実質的に一致させる。
【0023】
次に、鋼板11に螺旋を形成するために、駆動部24を駆動させ、ピストンロッド23を所定の距離Po、例えば、1500mm移動する。この際、ピストンロッド23は、ガイドロッド33によってガイドされ、ピストンロッド23の軸心方向に移動する。従って、ピストンロッド23の先端に取付けられた第2のクランプ16は、ピストンロッド23の軸心方向に移動する。
また、図6に示すように、第2のクランプ16は、ピストンロッド23の軸心を中心にして回動可能であるので、鋼板11の螺旋成形時に、スクリュー羽根12の螺旋角θが、例えば、5°〜30°となる所定の角度となるように、自在に回動する。
【0024】
スクリュー羽根12の成形後、第1及び第2のクランプ15、16のボルト17を取り外し、成形したスクリュー羽根12を第1及び第2のクランプ15、16から取り外す。この際に、スクリュー羽根12の螺旋のピッチが所定値p、例えば、1400mmとなった場合には、第1及び第2のクランプ15、16及びボルト17によって、把持した第1及び第2の切断端部13、14の挟持部分を切断し、挟持部分を切断したスクリュー羽根12を製造する。
なお、螺旋のピッチpは、移動距離からスクリュー羽根12のスプリングバックを引いた長さとなる。従って、最終目標値の所定のピッチpよりも、第2のクランプ16の移動距離Poの方を長くしなければならない。
【0025】
また、スクリュー羽根12の螺旋のピッチが所定値pとならなかった場合には、再度、第1及び第2のクランプ15、16によって、第1及び第2の切断端部13、14を把持し、第2のクランプ16を移動させ、同様の操作を行い、スクリュー羽根12の螺旋のピッチが所定値pとなるまで繰り返す。
なお、鋼板11は、第2のクランプ16を同一の距離Po移動すると、所定ピッチpのスクリュー羽根12を成形することができる。所定ピッチpとなったスクリュー羽根12は、第1及び第2の切断端部13、14の挟持部分が切断され、挟持部分を切断したスクリュー羽根12が製造される。
【0026】
このように、ピストンロッド23の移動距離を変えるだけで所定ピッチpのスクリュー羽根12を成形することができるので、従来の金型のように、所定のピッチとするために、試験毎に金型を作る必要がなくなった。
また、従来の金型の両面から鋼板を押して、スクリュー羽根を成形する方法では、鋼板11を用いてスクリュー羽根12を成形する場合、およそ1000トンの力を鋼板11にかける必要があったが、スクリュー羽根成形装置10では、1000トン/π、即ち300トン程度の力でスクリュー羽根12を形成することができ、必要とする力は約3分の1となった。
【0027】
図7を参照して、以上の方法によって製造したスクリュー羽根12を備えた本発明の一実施の形態に係る鋼管杭50の製造方法について説明する。
挟持部分を切断したスクリュー羽根12は、スクリュー羽根12の内周部分と実質的に同じ外径(例えば、1〜3m)を有する鋼管杭本体51下部の外周面に溶接によって固着し、鋼管杭50を製造する。更に、スクリュー羽根12は、その先部を中央が突出するように切断し、掘削刃52として形成している。鋼管杭50が、短い場合には、更に、鋼管杭本体51の上部に鋼管杭本体51と実質的に内径及び外径の同じ図示しない鋼管を溶接等により固着するための接続部53を設け、接続部53に鋼管を接続してもよい。更に、鋼管にも接続部を設けてもよい。また、接続部53を省いて、鋼管杭本体51のプレートエンドを接続部としてもよい。
【0028】
鋼管杭50は、鋼管杭本体51の軸心を中心として、回転させることにより、地中内を掘進し、埋設される。また、スクリュー羽根12先部が、掘削刃52となっているので、鋼管杭50を地中に掘進させ易い。
【0029】
図8を参照して、スクリュー羽根12を備えた鋼管杭50の変形例である鋼管杭60について説明する。
鋼管杭60は、挟持部分を切断したスクリュー羽根12の軸心に対する内径と外径との中間の外径を有する鋼管杭本体61を備えている。更に、鋼管杭本体61の下部は、鋼管杭本体61の軸心と挟持部分を切断したスクリュー羽根12の軸心を実質的に一致させた際の切断したスクリュー羽根12の螺旋角と一致するように螺旋状に切断されている。鋼管杭60は、鋼管杭本体61の下部と挟持部分を切断したスクリュー羽根12を、鋼管杭本体61の軸心と挟持部分を切断したスクリュー羽根12の軸心を実質的に一致させて、溶接によって固着して製造される。
【0030】
更に、スクリュー羽根12は、その先部を下側が突出するように切断し、掘削刃62として形成している。また、鋼管杭本体61の上部には、鋼管杭本体61と実質的に内径及び外径の同じ図示しない鋼管を溶接等により固着するための接続部63を設け、接続部63に鋼管を接続し、長い鋼管杭を形成してもよい。
なお、鋼管杭60は、鋼管杭本体61の軸心を中心として、回転させることにより、地中内を掘進し、地中に埋設される。また、スクリュー羽根12先部が、掘削刃62となっているので、鋼管杭60を地中に掘進させ易い。
【0031】
本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記した実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせてスクリュー羽根を備えた鋼管杭を製造する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、前記スクリュー羽根成形装置において、第1の挟持部材を固定し、第2の挟持部材を軸心方向に移動したが、第1及び第2の挟持部材を所定距離移動してもよい。
【0032】
また、前記スクリュー羽根成形装置では様々な大きさの鋼板からスクリュー羽根を成形するために、第1及び第2のクランプ15、16と、ガイドロッド33の高さを調整する機構を有しているが、同一、若しくはあまり変わらない大きさの鋼板を用いる場合には、高さを調整する機構は備えなくてもよい。また、第1、第2の挟持手段及び固定架台、及び補助架台には、大きな力がかかるので、それぞれリブ等で補強するのが好ましい。
【0033】
【発明の効果】
請求項1〜4記載のスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法においては、スクリュー羽根の製造に当たって、ドーナツ状の鋼板を半径方向に切断して、対となる切断端部を形成し、対となる切断端部の一方及び他方をそれぞれ第1及び第2の挟持手段で把持し、第1の挟持手段に対して第2の挟持手段をドーナツ状の鋼板の軸心方向に相対移動させて、鋼板に所定ピッチの螺旋を成形し、次に、螺旋状に成形された鋼板の第1及び第2の挟持手段で挟持された挟持部分を切断するので、鋼板の大きさに関わらず、鋼板に形成された対となる切断端部を所定距離相対移動させるだけで、容易に螺旋を形成することができる。また、切断端部の移動距離を変えて試験することにより、所定ピッチの螺旋を形成する移動距離を決定することができる。更に、鋼板の端部を軸心方向に移動させることによりスクリュー羽根を成形するので、金型で鋼板の全面に力を加える従来の方法よりも、小さい力で螺旋を形成することができる。
【0034】
特に、請求項2記載のスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法においては、固定架台の他に、固定架台と対となって、進退駆動手段の先部をガイドするガイド手段が取付けられた補助架台が基台に設けられ、第2の挟持手段は進退駆動手段の先部に進退駆動手段の軸心を中心にして回動可能に設けられているので、進退駆動手段の先部は、軸心からのぶれが生じ難くなる。また、回動可能に設けられた第2の挟持手段は、鋼板が螺旋状となる際に、その螺旋の螺旋角に追従することができ、スクリュー羽根を容易に形成することができる。
【0035】
請求項3記載のスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法においては、進退駆動手段の軸心は、ドーナツ状の鋼板の軸心と一致するので、進退駆動手段の軸心に沿っての移動が容易となり、進退駆動手段の先部の直進性が保持されるため、スクリュー羽根の軸心が撓まない。特に、進退駆動手段の先部を回動可能にすることによって、所定の螺旋角を有したスクリュー羽根を形成することができる。
【0036】
請求項4記載のスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法においては、鋼板の切断端部を基準にしてその反対側端部を挟持して吊り下げる吊具を有するので、鋼板を吊り上げて、鋼板をスクリュー羽根成形装置に装着でき、鋼板の装着が簡単になり、作業性が向上する。
請求項5記載の鋼管杭においては、鋼管杭本体の長さや直径に応じたスクリュー羽根の形成が容易であり、施工規模に応じた鋼管杭を製造することができるので、鋼管杭の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法に適用されるスクリュー羽根成形装置の斜視図である。
【図2】同装置に用いるドーナツ状の鋼板の説明図である。
【図3】同装置での鋼板の把持状態を示す説明図である。
【図4】(A)は同装置の第1及び第2の挟持手段の説明図、(B)は第1及び第2の挟持手段の変形例の説明図である。
【図5】同装置に鋼板を設置した状態を示す説明図である。
【図6】同装置による鋼板の螺旋成形時の状態を示す説明図である。
【図7】スクリュー羽根を備えた鋼管杭の説明図である。
【図8】スクリュー羽根を備えた鋼管杭の変形例の説明図である。
【符号の説明】
10:スクリュー羽根成形装置、11:鋼板、12:スクリュー羽根、13:第1の切断端部、14:第2の切断端部、15:第1のクランプ、16:第2のクランプ、17:ボルト、18:C型クランプ、20:基台、21:固定台、22:シリンダ、23:ピストンロッド、24:駆動部、25:固定架台、26:昇降機、30:ガイド手段、31:ジャッキ、32:補助架台、33:ガイドロッド、33a:先部、33b:凹部、34:スプリング、35:ハンドル付スクリューシャフト、37:ショックアブソーバー、40:反対側端部、41:吊具、42:吊金具、43:チェーン、50:鋼管杭、51:鋼管杭本体、52:掘削刃、53:接続部、60:鋼管杭、61:鋼管杭本体、62:掘削刃、63:接続部
Claims (5)
- 基台に固定されて、半径方向に切断されて対向する切断端部が形成されたドーナツ状の鋼板の一方の切断端部を把持する第1の挟持手段と、前記鋼板の他方の切断端部を把持する第2の挟持手段と、前記基台に固定架台を介して取付けられ、前記第2の挟持手段を前記ドーナツ状の鋼板の軸心に対して実質平行な方向に移動させる進退駆動手段とを備えたスクリュー羽根成形装置を用意し、
前記進退駆動手段を作動させて、前記第1の挟持手段に対して前記第2の挟持手段を移動させて、前記鋼板に所定ピッチの螺旋を成形し、
次に、前記螺旋状に成形された鋼板の前記第1及び第2の挟持手段で挟持された挟持部分を切断してスクリュー羽根を製造し、
前記スクリュー羽根を所定直径の鋼管杭本体下部の外周面に固着することを特徴とするスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法。 - 請求項1記載のスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法において、前記固定架台の他に、該固定架台と対となって、前記進退駆動手段の先部をガイドするガイド手段が取付けられた補助架台が前記基台に設けられ、前記第2の挟持手段は前記進退駆動手段の先部に該進退駆動手段の軸心を中心にして回動可能に設けられていることを特徴とするスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載のスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法において、前記進退駆動手段の軸心は、前記ドーナツ状の鋼板の軸心と一致することを特徴とするスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法において、前記鋼板の前記切断端部を基準にしてその反対側端部を挟持して吊り下げる吊具を有することを特徴とするスクリュー羽根を備えた鋼管杭の製造方法。
- 半径方向に切断されて対向する切断端部が形成されたドーナツ状の鋼板の一方の切断端部を把持する第1の挟持手段と、前記鋼板の他方の切断端部を把持する第2の挟持手段とを用い、前記第1の挟持手段と前記第2の挟持手段を前記鋼板の軸心に対して平行方向に移動させて形成されたスクリュー羽根を鋼管杭本体に備えたことを特徴とする鋼管杭。
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