JP2005052025A - 屋上の緑化システム及び植物栽培管 - Google Patents

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汎 内藤
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Abstract

【課題】屋上を緑化するシステムであって、建物に大きな負担を与えることなく、従来構造の建物であっても屋上緑化が可能で、しかも潅水が容易で植物の生育管理も簡単な緑化システムの提供。
【解決手段】上部に開口部11を設けると共に側部近傍には水抜き穴12を形成した植物栽培管2を屋上に設置し、該植物栽培管2の底には細かい穴を形成して水を流出する給水管16を配置している。そして上記植物栽培管2の内部にはパーライト6を充填すると共に開口部11から植物をパーライト6に植付けることが出来る。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は建物の屋上を緑化する為の緑化システム、及び緑化システムを構成する植物栽培管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建物の屋上を緑化するには、植物の生育可能な基盤を造成することが必要である。従来の工法では防水層の上に排水層を設け、その上に培養土を敷き込み栽培する方法が一般的である。しかし、この方法では建物にかなりの荷重がかかり、建築時に屋上緑化に耐えられる構造として設計されていない場合には不可能なことが多い。
【0003】
又、従来の工法では多額の費用がかかると共に、天候により潅水の必要があり、その設備費及び維持費に多額のコストが必要である。都市部ではヒートアイランド現象などの環境問題があり、高層ビルが立ち並ぶこれらビルの屋上を緑化することでヒートアイランド現象を少しでも緩和する狙いがある。東京都などの大都市圏では自然保護条例を改正して、一定規模以上のビル屋上の緑化を義務付けている。
【0004】
特開2003−74089号に係る「屋上における貯水装置」は、潅水用貯留空間が満水の場合でも、確実に雨水貯水の出来る装置であり、「容器の上面に植物が植えられ植栽ユニットが密接して貯水トレーに敷き詰められ、該貯水トレーの周壁が植栽ユニットよりも高くなって植栽ユニットの上側に貯水部が形成され、貯水トレーの下部には潅水パイプが配置された潅水部が形成され、潅水部の最上部における周壁に排水口が形成されている。」
【0005】
又、特開2003−143940号に係る「屋上緑化システム」は、雨水を有効利用して節水を図ると同時に、ポンプなどの動力を必要とすることなく、常時育成基盤内を植栽の生育に適した湿潤条件に保つと共に、根張りが貯水タンク内に侵入することなく、これによるタンク内の汚れや、機能不全等の不具合を防止することができるもので、「植栽の生育用基盤の底面部に導水シートを敷設し、導水シートを通じて土壌内に水分供給を行うようにした屋上緑化システムであり、排水シート及び導水シートの端部は延長され、貯水タンク内に浸積されている。又、生育基盤の側面と貯水タンクとの間には僅かな隙間が形成され、各端部の中間位置は、防根用の 板を押込み配置することでこの隙間内にてU字形に折り曲げられ、かつ当該隙間間に密に固定されていると共に、その外端部が再度L字状に折り曲げた状態で貯水タンク内に侵積されている。」
【0006】
これら従来の緑化方法では、排水層及び植栽用土層は緑化区域全面に施工され、地被植物等比較的生育基盤が薄くても生育可能な植物を使用しても全体ではかなりの重量となり、建造物の構造によって制約を受ける場合が多い。従って、屋上緑化を前以て計画した近年の建物しか実現することが出来なくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の屋上緑化には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこれら問題点であり、建物に大きな負担を与えることなく、従来構造の建物であっても屋上緑化が可能となり、又潅水が容易で植物の生育管理も容易な緑化システムを提供する。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明に係る屋上の緑化システムは、屋上に植物栽培管を適度な間隔に設置し、その間に軽量骨材を必要に応じて敷き込み、主として蔓植物を対象として緑化を行う。植物栽培管は筒状に成形され、そして植物栽培管の内部底には給水管が配置され、内部は不織布等に包まれた培養土が充填されている。この為に、全面的に培養土を敷き込む場合に比較して重量上の負担は小さい。
【0009】
そして、上記植物栽培管の上部には、植物を植え込む為の開口部が所々に設けられ、側面には小さな水抜き穴が形成されていて、該水抜き穴の位置により給水された水を一時的に貯めることが出来る。ここで、植物栽培管は一定断面のストレート管が使用される場合、又は断面形状が一定間隔で変化するジャバラ状の管を使用することもある。ジャバラ状の管を用いるならば、湾曲して設置することが出来ると共に外形を大きくした下部に水を貯めることで、給水回数を減らすことが出来る。以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
【実施例】
図1はビルの屋上に植物栽培管を配管した平面図を示している。屋上の一部にレンガ1を配列して仕切りを作り、ここに植物栽培管2,2・・を一定ピッチPを隔てて配管し、各植物栽培管2,2・・の一方端には送水管3が接続されている。該送水管3は貯水タンク4に接続していて、貯水タンク4の水は送水管3を流れて植物栽培管2,2・・へ供給される。
【0011】
ここで、貯水タンク4には雨水を溜めることが可能である。例えば、屋上の側縁に側溝5を形成し、屋上に降った雨水を該側溝5に流して貯水タンク4に集めることが出来、貯水タンク4が一杯になれば、オバーフロー管から流出させる。
ただし、貯水タンク4の水が不足した場合には水道水を供給しなくてはならない。そして、貯水タンク4の水はポンプにて送水管3へ送り出され、植物栽培管2へ供給される。水道水を利用する場合には、貯水タンク4を用いないで直接植物栽培管2へ供給することが出来る。何れの場合であっても、植物栽培管2内の湿潤状態をセンサーで感知し、必要な時に給水するように構成することが出来る。
【0012】
図2は植物栽培管2の断面を示しているが、底には給水管16が配置され、そして内部には培養土となるパーライト6が充填されている。パーライト6は植物栽培管2に直接収容されることなく、不織布7に包まれた状態で充填され、そして上部開口部から植物8が植栽されている。該植物栽培管2の上部には一定間隔で開口部が設けられ、この開口部から不織布7を破ってパーライト6に植物8が植付けられている。
【0013】
給水管16は同図に示すように細くて植物栽培管の底に配置され、該給水管16の周囲に形成されている小さな穴から水が流出し、培養土であるパーライト6を湿潤状態として植栽される植物に水を与えることが出来る。そして、植物栽培管2の側面には小さな穴が貫通して設けられ、該穴から余分な水が排出される。
同図では、植物栽培管2の周りに軽量骨材9を敷き詰めているが、必ずしも必要ではない。しかし軽量骨材9を敷詰めることで、植物栽培管2の露出を防止して管の温度上昇を抑制する。又、紫外線による植物栽培管2の劣化を防止することが出来る。一方、蔓植物が生育して骨材面を被覆するようになれば、骨材層は湿潤状態となって発根が可能となり、雨水が利用されて潅水量を減らすことが可能となる。
【0014】
同図の緑化システムは屋上のコンクリート面に防根シート10が敷かれ、該防根シート上には断熱材11が敷詰められている。そして、植物栽培管2,2・・が一定ピッチPにて配管され、該植物栽培管2,2・・の間には軽量骨材9が充填され、上記レンガ1,1・・にて区画された領域は軽量骨材9が敷かれた面と成って、植物栽培管2,2・・が表面化しないように埋められている。
【0015】
図3は上記植物栽培管2を示している具体例である。この植物栽培管2の上部には円形の開口部11,11・・が貫通して設けられ、そして側部下方には小さな水抜き穴12,12・・が貫通している。又、両端はキャップ13,13が嵌って閉じられ、一方のキャップ13からは給水管16が挿入され、植物栽培管2の底に配置されている。そして、この給水管16は貯水タンク4から延びる送水管3と接続している。上記水抜き穴12の位置により供給される水を一時的に貯めることが出来る。
【0016】
植物栽培管2の内部には不織布に入れられたパーライト6が充填され、植物を植栽する場合には、該不織布を開口部11から破って植栽穴14を形成する。同図は植栽穴14を形成した状態を示しているが、この植栽穴14にある程度の大きさに生育した植物が植付けされる。又、植物栽培管2の上部には肥料投入口15,15・・が形成され、該肥料投入口15,15・・から適当な肥料が投入される。
【0017】
ところで、該植物栽培管2は所定の長さを有し、必要に応じて繋ぐことが出来る。そして一方端からは給水管16が延びている状態で販売することが出来、両端のキャップ13,13を外してパーライト6を内部に充填する。植物栽培管2に充填されるパーライトは不織布7に収容された状態である為に、運搬時や据付作業時に開口部11や肥料投入口15から毀れ出ることはない。屋上に設置して植物を植栽する際に、不織布7を破って植栽穴14を形成する。
【0018】
図4は本発明の植物栽培管2の別形態を示す実施例である。該植物栽培管2はジャバラ状を成していて、その外形は凹凸化している。上部には植栽する為の開口部11,11・・及び肥料投入口15,15・・が設けられ、内部には不織布7に収容されたパーライトが充填されている。そして、植物栽培管2の底には細い給水管16が配置されている。該給水管16は配管時にセットしてもよいが、植物栽培管2の底に前以て取付けて置くと便利である。
【0019】
同図に示すジャバラ状の植物栽培管2は凹凸化している為に、給水管16から流出する水は底の凹部に溜まることが出来、常に給水しなくても植物が枯れることはなく、給水回数を減らすことが出来る。又、ジャバラ状である為に、湾曲して配管することが可能となる。以上述べたように、本発明の緑化システムは植物栽培管に培養土を充填すると共に、底には給水管を配置し、そして上部の開口部から植物を植栽したものであり、次のような効果を得ることが出来る。
【0020】
【発明の効果】
本発明の緑化システムは植物栽培管に培養土を充填し、底には給水管を配置し、そして上部に形成した開口部から植物を植え付けることが出来る。従って、屋上の仕切られた区画全面に培養土を造成する必要はなく、屋上にかかる荷重は小さく、本発明のシステムを用いることで従来の建築物であっても何ら問題なく緑化することが可能である。
【0021】
又、植物栽培管の底には給水管が配置され、該給水管から植物に水が供給されて水抜き穴の位置まで一時的に貯められる為に水の管理は容易であり、しかも余分な水を供給する必要もなく、必要最小限の水で植物栽培管内に植えつけられた植物は生育できる。すなわち、植物栽培管内の培養土を湿潤状態に保つに必要な水分を供給すればよく、又植物栽培管内の培養土からの水分蒸発は抑制される為に、雨水を利用するだけでも水の供給が可能となる。
【0022】
特に、軽量骨材にて植物栽培管を覆うならば、管内の温度上昇が抑制される。一方、植物栽培管に充填される培養土が不織布に収容されるならば、運搬時や据付け・配管字に開口部から培養土が毀れ出ることはなく、作業上便利であると共に、風による飛散を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】屋上に配管された植物栽培管及び送水管。
【図2】緑化システムの一部断面図。
【図3】植物栽培管の具体例。
【図4】ジャバラ状の植物栽培管の具体例。
【符号の説明】
1 レンガ
2 植物栽培管
3 送水管
4 貯水タンク
5 側溝
6 パーライト
7 不織布
8 植物
9 軽量骨材
10 防根シート
11 開口部
12 水抜き穴
13 キャップ
14 植栽穴
15 肥料投入口
16 給水管

Claims (7)

  1. 屋上を緑化するシステムにおいて、上部に開口部を設けると共に側部近傍には水抜き穴を形成した植物栽培管を屋上に設置し、該植物栽培管の底には細かい穴を形成して水を流出する給水管を配置し、そして上記植物栽培管の内部には培養土を充填すると共に開口部から植物を培養土に植付けたことを特徴とする屋上の緑化システム。
  2. 上記培養土を不織布又は網状の袋に収容した状態で植物栽培管に充填した請求項1記載の屋上の緑化システム。
  3. 上記植物栽培管の内部に湿潤状態を感知するセンサーを設けた請求項1、又は請求項2記載の屋上の緑化システム。
  4. 屋上を緑化する為に植物を植付けるための管であって、管の上部には開口部を設けると共に側部近傍には水抜き穴を形成したことを特徴とする植物栽培管。
  5. 上記管の底には送られる水を流出する給水管を取付けた請求項4記載の植物栽培管。
  6. 上記管の上部には肥料投入口を形成した請求項4、又は請求項5記載の植物栽培管。
  7. 上記管としてジャバラ状の管とした請求項4、請求項5、又は請求項6記載の植物栽培管。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013005745A (ja) * 2011-06-23 2013-01-10 Kubota-Ci Co 地下灌漑システム

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