JP2005051826A - 回転電機のロータにおける永久磁石の固定構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転電機のロータコアに支持した永久磁石と、永久磁石を保持するロータコアの外周部とに対する応力集中を緩和する。
【解決手段】モータのロータ11は、ロータコア13に形成した永久磁石支持孔13cに永久磁石14を嵌合させ、その両側面を一対の端板16,17で支持してなる。永久磁石14の両端面14aは径方向外側に向かって先細にテーパーしており、そこに当接する端板16,17も径方向外側に向かって先細にテーパーしている。ロータ11の回転に伴って永久磁石14に遠心力が作用したときに、永久磁石14の端面14aおよび端板16,17の傾斜面16a,17aを楔効果で密着させて均一に面接触させ、永久磁石14およびロータコア13に形成した永久磁石支持孔13cに応力集中が発生するのを防止して耐久性を高めることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】モータのロータ11は、ロータコア13に形成した永久磁石支持孔13cに永久磁石14を嵌合させ、その両側面を一対の端板16,17で支持してなる。永久磁石14の両端面14aは径方向外側に向かって先細にテーパーしており、そこに当接する端板16,17も径方向外側に向かって先細にテーパーしている。ロータ11の回転に伴って永久磁石14に遠心力が作用したときに、永久磁石14の端面14aおよび端板16,17の傾斜面16a,17aを楔効果で密着させて均一に面接触させ、永久磁石14およびロータコア13に形成した永久磁石支持孔13cに応力集中が発生するのを防止して耐久性を高めることができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸線まわりに回転するロータコアの外周部に複数個の永久磁石を配置するとともに、ロータコアの軸線方向両端部に一対の端板を固定した回転電機のロータに関し、特にその永久磁石の固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石式回転子の鉄心積層体に形成した磁石用開口部に永久磁石を挿入し、永久磁石式回転子の両側面を覆う一対の端板に設けた切り起し片を永久磁石の端面に形成した面取り部に当接させて固定するものが、下記特許文献1により公知である。
【0003】
また同期電動機のロータのコアの外周に配置した磁石を複数の分割バインドで径方向外側から固定し、ロータの両側面を覆う一対のキャップ状のプレートで分割バインドの端部を押圧することで、ロータのコアに磁石および分割バインドを固定するものが、下記特許文献2により公知である。
【0004】
また永久磁石式回転子の鉄心積層体に形成した磁石挿入用開口部に永久磁石を挿入し、永久磁石式回転子の両側面を覆う一対の端板をリベットで鉄心積層体に固定する際に、リベットのかしめ時の径方向の膨らみで永久磁石を押圧し、磁石挿入用開口部の内周壁面に押し付けて固定するものが、下記特許文献3により公知である。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−269140号公報
【特許文献2】
特開平9−56095号公報
【特許文献3】
特開平5−260686号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のものは、ロータが高速回転すると永久磁石が遠心力で径方向外側に付勢されるため、永久磁石の外周面が磁石用開口部、分割バインドあるいは磁石挿入用開口部の内面に強く押し付けられることなる。このとき、永久磁石の外周面を磁石用開口部、分割バインドあるいは磁石挿入用開口部の内面に均一に面接触させることが困難であり、特に永久磁石の角部等において点接触することが避けられず、その部分に大きな応力が集中して脆い材質の永久磁石が割れる可能性があった。
【0007】
またロータが高速回転すると磁石挿入用開口部に保持した永久磁石に強い遠心力が作用するため、磁石挿入用開口部の径方向外側部分、特に磁石挿入用開口部の角部に大きな応力集中が発生し、その部分が破損する可能性があった。これを回避するためにロータの強度を増加させると、今度は重量が増加するという新たな問題が発生してしまう。
【0008】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、回転電機のロータコアに支持した永久磁石と、永久磁石を保持するロータコアの外周部とに対する応力集中を緩和することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、軸線まわりに回転するロータコアの外周部に複数個の永久磁石を配置するとともに、ロータコアの軸線方向両端部に一対の端板を固定した回転電機のロータにおいて、永久磁石の軸線方向両端面間の幅を径方向外側に向かって縮小させ、一対の端板の相対向する内面に永久磁石の端面に当接する傾斜面を設けたことを特徴とする、回転電機のロータにおける永久磁石の固定構造が提案される。
【0010】
上記構成によれば、ロータコアの外周部に配置した永久磁石の軸線方向両端面間の幅を径方向外側に向かって縮小させ、ロータコアに固定した一対の端板の相対向する内面に永久磁石の端面に当接する傾斜面を設けたので、ロータコアの回転に伴って永久磁石に遠心力が作用したときに、永久磁石の端面および端板の傾斜面を楔効果で密着させて面接触あるいは線接触させ、永久磁石に応力集中が発生するのを防止して耐久性を高めることができる。しかもロータコアには永久磁石の遠心力が直接伝達されないので、ロータコアの永久磁石を支持する部分に応力集中が発生するのを防止し、ロータコアを軽量化、高回転化、大径化しても耐久性を確保することができる。
【0011】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、永久磁石の両端面と端板の傾斜面との間に樹脂層を設けたことを特徴とする、回転電機のロータにおける永久磁石の固定構造が提案される。
【0012】
上記構成によれば、永久磁石の両端面と端板の傾斜面との間に樹脂層を設けたので、永久磁石の端面および端板の傾斜面を一層精度良く密着させ、永久磁石およびロータコアへの応力集中を軽減し、かつ永久磁石の保持精度を高めることができる。
【0013】
尚、実施例の第1、第2端板16,17は本発明の端板に対応し、実施例の樹脂コーティングは本発明の樹脂層に対応する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0015】
図1および図2は本発明の第1実施例を示すもので、図1はロータの斜視図、図2は図1の2−2線拡大断面図である。
【0016】
図1および図2に示すように、モータのステータの内部に軸線Lまわりに回転自在に配置されるロータ11は、ロータハブ12と、ロータコア13と、複数(実施例では16個)の永久磁石14…と、第1端板16と、第2端板17とで構成される。第1、第2端板16,17の材質はステンレスのような非磁性材が望ましく、プレス品、焼結品、鋳造品、鍛造品の何れであっても良い。
【0017】
ロータハブ12は、モータの回転軸が貫通するハブ本体部12aと、ハブ本体部12aから放射方向に延びる複数個(実施例では8個)のスポーク部12b…と、スポーク部12b…の先端を一体に連結する環状のロータコア支持部12cとを備えており、ロータコア支持部12cの軸線L方向一端面から径方向外向きにフランジ12dが突出する。環状のロータコア13は複数の鋼板を積層したもので、その外周面13aに沿うように等間隔で16個の永久磁石支持孔13c…が形成される。各々の永久磁石支持孔13cはロータコア13の軸線L方向両端面に開口しており、そこに永久磁石14が嵌合する。
【0018】
このようにして、永久磁石支持孔13c…に永久磁石14…を固定したロータコア13は、その内周面13bがロータコア支持部12cの外周面に嵌合して固定される。その際に、ロータハブ12のフランジ12dとロータコア13の一方の端面との間に第1端板16を挟み、ロータハブ12のロータコア支持部12cに圧入した第2端板17でロータコア13の他方の端面を押さえることで、ロータハブ12にロータコア13を固定することができる。
【0019】
各永久磁石14の軸線L方向の両端面14a,14aは径方向外側に向かってテーパーしており、従って前記両端面14a,14a間の幅Wは径方向外側ほど狭くなる。また第1、第2端板16,17の内面、つまり永久磁石14に対向する面に、径方向外側に向かって相互に接近する傾斜面16a,17aが設けられており、これらの傾斜面16a,17aは永久磁石14の両端面14a,14aにそれぞれ面接触する。
【0020】
永久磁石14の両端面14a,14aと第1、第2端板16,17の傾斜面16a,17aとが密着し、かつ永久磁石14の内周面14cと永久磁石支持孔13cの内周面とが密着するように、第1、第2端板16,17の弾性によって所定の初期荷重が加えられる。その結果、永久磁石14の外周面14bと永久磁石支持孔13cの外周面とは密着せず、スリット状の隙間α(図2参照)が形成される。
【0021】
しかして、ロータ11が高速回転して永久磁石14に大きな遠心力が作用したとき、その遠心力はロータコア13の永久磁石支持孔13cによって支持されることはなく、第1、第2端板16,17の傾斜面16a,17aによって支持されるので、ロータコア13を軽量化しても耐久性を確保することができる。また遠心力で付勢された永久磁石14の両端面14a,14aと第1、第2端板16,17の傾斜面16a,17aとは楔効果で密に面接触するため、その接触部の応力集中を緩和して脆い永久磁石14の破損を未然に防止することができるだけでなく、永久磁石支持孔13cへの応力集中を回避してロータコア13の耐久性を高めることができる。しかも第1、第2端板16,17から永久磁石14に初期荷重が加えられているので、遠心力が作用しても永久磁石14の内周面14cが永久磁石支持孔13cの内周面から浮き上がらないようにし、永久磁石14のがたつきを防止することができる。更に、ロータコア13には永久磁石14の遠心力が作用しないために強度を特別に高める必要がなくなり、ロータコア13の軽量化を図ることができる。
【0022】
尚、本実施例の第1、第2端板16,17の径方向外端部はロータコアの径方向外端部まで延びているが、永久磁石14よりも径方向外側部分は省略することもできる。
【0023】
次に、図3に基づいて本発明の第2実施例を説明する。
【0024】
第1実施例では永久磁石14…がロータコア13の永久磁石支持孔13c…に収納されていたが、第2実施例ではロータコア13に径方向外側に開放する永久磁石支持溝13d…を形成し、これらの永久磁石支持溝13d…に永久磁石14…を収納している。永久磁石14…を第1、第2端板16,17で固定する構造は第1実施例と同じであり、この第2実施例によっても第1実施例と同じ作用効果を達成することができる。
【0025】
次に、図4に基づいて本発明の第3実施例を説明する。
【0026】
第3実施例は第1実施例の変形であって、各永久磁石14の両端面14a,14aに絶縁性を有する合成樹脂コーティング18を施したものである。この合成樹脂コーティング18は柔軟性を有するため、永久磁石14の両端面14a,14aと第1、第2端板16,17の傾斜面16a,17aとの間の距離が多少不均一であっても、面圧が強い部分の合成樹脂コーティング18が潰れることで、永久磁石14の両端面14a,14aと第1、第2端板16,17の傾斜面16a,17aとの接触部の面圧を均一化し、前記接触部の応力集中を一層効果的に緩和するとともに、永久磁石14の保持精度を高めることができる。また絶縁性のある合成樹脂が各永久磁石14と第1、第2端板16,17との間に介在することで、永久磁石14の磁束の漏れを少なくしてロータ11の磁気特性を向上させることができる。
【0027】
尚、永久磁石14側に合成樹脂コーティング18を施す代わりに、第1、第2端板16,17側に合成樹脂コーティングを施しても良く、フィルム状の合成樹脂を各永久磁石14と第1、第2端板16,17との間に挟み込んでも良い。
【0028】
次に、図5に基づいて本発明の第4実施例を説明する。
【0029】
第4実施例は第3実施例の変形であって、第3実施例では図4における永久磁石14の両端面14a,14aが直線であるのに対し、第4実施例では図5における永久磁石14の両端面14a,14aが外側に凸な曲線で構成されている。このように、永久磁石14の両端面14a,14aを曲面で構成しても、第1〜第3実施例と同様に、その軸線L方向の幅Wは、径方向内側から外側に向かって次第に減少している。
【0030】
上記第1〜第3実施例では、永久磁石14の両端面14a,14aと第1、第2端板16,17の傾斜面16a,17aとが面接触するのに対し、この第4実施例では永久磁石14の両端面14a,14aと第1、第2端板16,17の傾斜面16a,17aとが線接触することになるが、従来の点接触するものに比べれば接触部の応力集中が緩和され、脆い永久磁石14の破損が未然に防止される。
【0031】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0032】
例えば、第1、第2端板16,17をボルトやリベットで相互に接近する方向に締め付ければ、永久磁石14の両端面14a,14aと第1、第2端板16,17の傾斜面16a,17aとを密着させ、かつ永久磁石14の内周面14cと永久磁石支持孔13cの内周面とを密着させる初期荷重を容易に付与することができる。
【0033】
また実施例ではモータのロータ11を例示したが、本発明は発電機のロータに対しても適用することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、ロータコアの外周部に配置した永久磁石の軸線方向両端面間の幅を径方向外側に向かって縮小させ、ロータコアに固定した一対の端板の相対向する内面に永久磁石の端面に当接する傾斜面を設けたので、ロータコアの回転に伴って永久磁石に遠心力が作用したときに、永久磁石の端面および端板の傾斜面を楔効果で密着させて面接触あるいは線接触させ、永久磁石に応力集中が発生するのを防止して耐久性を高めることができる。しかもロータコアには永久磁石の遠心力が直接伝達されないので、ロータコアの永久磁石を支持する部分に応力集中が発生するのを防止し、ロータコアを軽量化、高回転化、大径化しても耐久性を確保することができる。
【0035】
また請求項2に記載された発明によれば、永久磁石の両端面と端板の傾斜面との間に樹脂層を設けたので、永久磁石の端面および端板の傾斜面を一層精度良く密着させ、永久磁石およびロータコアへの応力集中を軽減し、かつ永久磁石の保持精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロータの斜視図
【図2】図1の2−2線拡大断面図
【図3】本発明の第2実施例に係る、前記図2に対応する図
【図4】本発明の第3実施例に係る、前記図2に対応する図
【図5】本発明の第4実施例に係る、前記図2に対応する図
【符号の説明】
13 ロータコア
14 永久磁石
14a 端面
16 第1端板(端板)
16a 傾斜面
17 第2端板(端板)
17a 傾斜面
18 樹脂コーティング(樹脂層)
L 軸線
W 幅
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸線まわりに回転するロータコアの外周部に複数個の永久磁石を配置するとともに、ロータコアの軸線方向両端部に一対の端板を固定した回転電機のロータに関し、特にその永久磁石の固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石式回転子の鉄心積層体に形成した磁石用開口部に永久磁石を挿入し、永久磁石式回転子の両側面を覆う一対の端板に設けた切り起し片を永久磁石の端面に形成した面取り部に当接させて固定するものが、下記特許文献1により公知である。
【0003】
また同期電動機のロータのコアの外周に配置した磁石を複数の分割バインドで径方向外側から固定し、ロータの両側面を覆う一対のキャップ状のプレートで分割バインドの端部を押圧することで、ロータのコアに磁石および分割バインドを固定するものが、下記特許文献2により公知である。
【0004】
また永久磁石式回転子の鉄心積層体に形成した磁石挿入用開口部に永久磁石を挿入し、永久磁石式回転子の両側面を覆う一対の端板をリベットで鉄心積層体に固定する際に、リベットのかしめ時の径方向の膨らみで永久磁石を押圧し、磁石挿入用開口部の内周壁面に押し付けて固定するものが、下記特許文献3により公知である。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−269140号公報
【特許文献2】
特開平9−56095号公報
【特許文献3】
特開平5−260686号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のものは、ロータが高速回転すると永久磁石が遠心力で径方向外側に付勢されるため、永久磁石の外周面が磁石用開口部、分割バインドあるいは磁石挿入用開口部の内面に強く押し付けられることなる。このとき、永久磁石の外周面を磁石用開口部、分割バインドあるいは磁石挿入用開口部の内面に均一に面接触させることが困難であり、特に永久磁石の角部等において点接触することが避けられず、その部分に大きな応力が集中して脆い材質の永久磁石が割れる可能性があった。
【0007】
またロータが高速回転すると磁石挿入用開口部に保持した永久磁石に強い遠心力が作用するため、磁石挿入用開口部の径方向外側部分、特に磁石挿入用開口部の角部に大きな応力集中が発生し、その部分が破損する可能性があった。これを回避するためにロータの強度を増加させると、今度は重量が増加するという新たな問題が発生してしまう。
【0008】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、回転電機のロータコアに支持した永久磁石と、永久磁石を保持するロータコアの外周部とに対する応力集中を緩和することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、軸線まわりに回転するロータコアの外周部に複数個の永久磁石を配置するとともに、ロータコアの軸線方向両端部に一対の端板を固定した回転電機のロータにおいて、永久磁石の軸線方向両端面間の幅を径方向外側に向かって縮小させ、一対の端板の相対向する内面に永久磁石の端面に当接する傾斜面を設けたことを特徴とする、回転電機のロータにおける永久磁石の固定構造が提案される。
【0010】
上記構成によれば、ロータコアの外周部に配置した永久磁石の軸線方向両端面間の幅を径方向外側に向かって縮小させ、ロータコアに固定した一対の端板の相対向する内面に永久磁石の端面に当接する傾斜面を設けたので、ロータコアの回転に伴って永久磁石に遠心力が作用したときに、永久磁石の端面および端板の傾斜面を楔効果で密着させて面接触あるいは線接触させ、永久磁石に応力集中が発生するのを防止して耐久性を高めることができる。しかもロータコアには永久磁石の遠心力が直接伝達されないので、ロータコアの永久磁石を支持する部分に応力集中が発生するのを防止し、ロータコアを軽量化、高回転化、大径化しても耐久性を確保することができる。
【0011】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、永久磁石の両端面と端板の傾斜面との間に樹脂層を設けたことを特徴とする、回転電機のロータにおける永久磁石の固定構造が提案される。
【0012】
上記構成によれば、永久磁石の両端面と端板の傾斜面との間に樹脂層を設けたので、永久磁石の端面および端板の傾斜面を一層精度良く密着させ、永久磁石およびロータコアへの応力集中を軽減し、かつ永久磁石の保持精度を高めることができる。
【0013】
尚、実施例の第1、第2端板16,17は本発明の端板に対応し、実施例の樹脂コーティングは本発明の樹脂層に対応する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0015】
図1および図2は本発明の第1実施例を示すもので、図1はロータの斜視図、図2は図1の2−2線拡大断面図である。
【0016】
図1および図2に示すように、モータのステータの内部に軸線Lまわりに回転自在に配置されるロータ11は、ロータハブ12と、ロータコア13と、複数(実施例では16個)の永久磁石14…と、第1端板16と、第2端板17とで構成される。第1、第2端板16,17の材質はステンレスのような非磁性材が望ましく、プレス品、焼結品、鋳造品、鍛造品の何れであっても良い。
【0017】
ロータハブ12は、モータの回転軸が貫通するハブ本体部12aと、ハブ本体部12aから放射方向に延びる複数個(実施例では8個)のスポーク部12b…と、スポーク部12b…の先端を一体に連結する環状のロータコア支持部12cとを備えており、ロータコア支持部12cの軸線L方向一端面から径方向外向きにフランジ12dが突出する。環状のロータコア13は複数の鋼板を積層したもので、その外周面13aに沿うように等間隔で16個の永久磁石支持孔13c…が形成される。各々の永久磁石支持孔13cはロータコア13の軸線L方向両端面に開口しており、そこに永久磁石14が嵌合する。
【0018】
このようにして、永久磁石支持孔13c…に永久磁石14…を固定したロータコア13は、その内周面13bがロータコア支持部12cの外周面に嵌合して固定される。その際に、ロータハブ12のフランジ12dとロータコア13の一方の端面との間に第1端板16を挟み、ロータハブ12のロータコア支持部12cに圧入した第2端板17でロータコア13の他方の端面を押さえることで、ロータハブ12にロータコア13を固定することができる。
【0019】
各永久磁石14の軸線L方向の両端面14a,14aは径方向外側に向かってテーパーしており、従って前記両端面14a,14a間の幅Wは径方向外側ほど狭くなる。また第1、第2端板16,17の内面、つまり永久磁石14に対向する面に、径方向外側に向かって相互に接近する傾斜面16a,17aが設けられており、これらの傾斜面16a,17aは永久磁石14の両端面14a,14aにそれぞれ面接触する。
【0020】
永久磁石14の両端面14a,14aと第1、第2端板16,17の傾斜面16a,17aとが密着し、かつ永久磁石14の内周面14cと永久磁石支持孔13cの内周面とが密着するように、第1、第2端板16,17の弾性によって所定の初期荷重が加えられる。その結果、永久磁石14の外周面14bと永久磁石支持孔13cの外周面とは密着せず、スリット状の隙間α(図2参照)が形成される。
【0021】
しかして、ロータ11が高速回転して永久磁石14に大きな遠心力が作用したとき、その遠心力はロータコア13の永久磁石支持孔13cによって支持されることはなく、第1、第2端板16,17の傾斜面16a,17aによって支持されるので、ロータコア13を軽量化しても耐久性を確保することができる。また遠心力で付勢された永久磁石14の両端面14a,14aと第1、第2端板16,17の傾斜面16a,17aとは楔効果で密に面接触するため、その接触部の応力集中を緩和して脆い永久磁石14の破損を未然に防止することができるだけでなく、永久磁石支持孔13cへの応力集中を回避してロータコア13の耐久性を高めることができる。しかも第1、第2端板16,17から永久磁石14に初期荷重が加えられているので、遠心力が作用しても永久磁石14の内周面14cが永久磁石支持孔13cの内周面から浮き上がらないようにし、永久磁石14のがたつきを防止することができる。更に、ロータコア13には永久磁石14の遠心力が作用しないために強度を特別に高める必要がなくなり、ロータコア13の軽量化を図ることができる。
【0022】
尚、本実施例の第1、第2端板16,17の径方向外端部はロータコアの径方向外端部まで延びているが、永久磁石14よりも径方向外側部分は省略することもできる。
【0023】
次に、図3に基づいて本発明の第2実施例を説明する。
【0024】
第1実施例では永久磁石14…がロータコア13の永久磁石支持孔13c…に収納されていたが、第2実施例ではロータコア13に径方向外側に開放する永久磁石支持溝13d…を形成し、これらの永久磁石支持溝13d…に永久磁石14…を収納している。永久磁石14…を第1、第2端板16,17で固定する構造は第1実施例と同じであり、この第2実施例によっても第1実施例と同じ作用効果を達成することができる。
【0025】
次に、図4に基づいて本発明の第3実施例を説明する。
【0026】
第3実施例は第1実施例の変形であって、各永久磁石14の両端面14a,14aに絶縁性を有する合成樹脂コーティング18を施したものである。この合成樹脂コーティング18は柔軟性を有するため、永久磁石14の両端面14a,14aと第1、第2端板16,17の傾斜面16a,17aとの間の距離が多少不均一であっても、面圧が強い部分の合成樹脂コーティング18が潰れることで、永久磁石14の両端面14a,14aと第1、第2端板16,17の傾斜面16a,17aとの接触部の面圧を均一化し、前記接触部の応力集中を一層効果的に緩和するとともに、永久磁石14の保持精度を高めることができる。また絶縁性のある合成樹脂が各永久磁石14と第1、第2端板16,17との間に介在することで、永久磁石14の磁束の漏れを少なくしてロータ11の磁気特性を向上させることができる。
【0027】
尚、永久磁石14側に合成樹脂コーティング18を施す代わりに、第1、第2端板16,17側に合成樹脂コーティングを施しても良く、フィルム状の合成樹脂を各永久磁石14と第1、第2端板16,17との間に挟み込んでも良い。
【0028】
次に、図5に基づいて本発明の第4実施例を説明する。
【0029】
第4実施例は第3実施例の変形であって、第3実施例では図4における永久磁石14の両端面14a,14aが直線であるのに対し、第4実施例では図5における永久磁石14の両端面14a,14aが外側に凸な曲線で構成されている。このように、永久磁石14の両端面14a,14aを曲面で構成しても、第1〜第3実施例と同様に、その軸線L方向の幅Wは、径方向内側から外側に向かって次第に減少している。
【0030】
上記第1〜第3実施例では、永久磁石14の両端面14a,14aと第1、第2端板16,17の傾斜面16a,17aとが面接触するのに対し、この第4実施例では永久磁石14の両端面14a,14aと第1、第2端板16,17の傾斜面16a,17aとが線接触することになるが、従来の点接触するものに比べれば接触部の応力集中が緩和され、脆い永久磁石14の破損が未然に防止される。
【0031】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0032】
例えば、第1、第2端板16,17をボルトやリベットで相互に接近する方向に締め付ければ、永久磁石14の両端面14a,14aと第1、第2端板16,17の傾斜面16a,17aとを密着させ、かつ永久磁石14の内周面14cと永久磁石支持孔13cの内周面とを密着させる初期荷重を容易に付与することができる。
【0033】
また実施例ではモータのロータ11を例示したが、本発明は発電機のロータに対しても適用することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、ロータコアの外周部に配置した永久磁石の軸線方向両端面間の幅を径方向外側に向かって縮小させ、ロータコアに固定した一対の端板の相対向する内面に永久磁石の端面に当接する傾斜面を設けたので、ロータコアの回転に伴って永久磁石に遠心力が作用したときに、永久磁石の端面および端板の傾斜面を楔効果で密着させて面接触あるいは線接触させ、永久磁石に応力集中が発生するのを防止して耐久性を高めることができる。しかもロータコアには永久磁石の遠心力が直接伝達されないので、ロータコアの永久磁石を支持する部分に応力集中が発生するのを防止し、ロータコアを軽量化、高回転化、大径化しても耐久性を確保することができる。
【0035】
また請求項2に記載された発明によれば、永久磁石の両端面と端板の傾斜面との間に樹脂層を設けたので、永久磁石の端面および端板の傾斜面を一層精度良く密着させ、永久磁石およびロータコアへの応力集中を軽減し、かつ永久磁石の保持精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロータの斜視図
【図2】図1の2−2線拡大断面図
【図3】本発明の第2実施例に係る、前記図2に対応する図
【図4】本発明の第3実施例に係る、前記図2に対応する図
【図5】本発明の第4実施例に係る、前記図2に対応する図
【符号の説明】
13 ロータコア
14 永久磁石
14a 端面
16 第1端板(端板)
16a 傾斜面
17 第2端板(端板)
17a 傾斜面
18 樹脂コーティング(樹脂層)
L 軸線
W 幅
Claims (2)
- 軸線(L)まわりに回転するロータコア(13)の外周部に複数個の永久磁石(14)を配置するとともに、ロータコア(13)の軸線(L)方向両端部に一対の端板(16,17)を固定した回転電機のロータにおいて、
永久磁石(14)の軸線(L)方向両端面(14a)間の幅(W)を径方向外側に向かって縮小させ、一対の端板(16,17)の相対向する内面に永久磁石(14)の端面(14a)に当接する傾斜面(16a,17a)を設けたことを特徴とする、回転電機のロータにおける永久磁石の固定構造。 - 永久磁石(14)の両端面(14a)と端板(16,17)の傾斜面(16a,17a)との間に樹脂層(18)を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の回転電機のロータにおける永久磁石の固定構造。
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