JP2005050322A - 電子捺印装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 捺印プログラムと捺印履歴を記憶する機能を有する電子捺印装置を提供することである。
【解決手段】 電子捺印装置1は、ディスプレイ14を備えたコンピュータ2と通信可能にするとともに、特定の印影データと、上記ディスプレイ14上の電子文書15に上記印影データを付加して表示させる電子捺印プログラムとを記憶した記憶部4を備え、上記電子捺印プログラムが、捺印時に、捺印毎に個性化した捺印特定情報を生成する機能と、生成した捺印特定情報および上記記憶部4を特定する記憶部特定情報を当該電子文書15に付加してコンピュータ2側の記憶媒体11に記憶させる機能と、上記記憶部4に上記捺印特定情報に対応した捺印照合情報を記憶させる機能とをコンピュータ2に実現させる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、印影データと捺印プログラムと捺印履歴を記憶する機能を有する電子捺印装置に関するものである。
コンピュータ上で作成する電子文書に対し、当該文書の作成者や承認者が、自分が作成した文書であることを証明したり、自分が認証したことを証明したりするために、当該文書に画像情報を付加する電子的な捺印装置が従来から知られている。
このような電子的な捺印の機能は、コンピュータとは独立したハードウェアをコンピュータと通信可能な状態にして実現するものと、コンピュータにインストールされているソフトウェアで実現するものとがある。
前者のようにコンピュータとは独立したハードウェアを用いて電子的に捺印を行うものとして、例えば、特許文献1に記載された発明が従来から知られている。
この従来の電子捺印装置では、コンピュータと独立した捺印用ハードウェアに印影データを記憶させ、この捺印用ハードウェアとコンピュータとを接続する。そして、コンピュータ側は当該捺印用ハードウェアのメモリにある印影データを取り出し、所定の電子文書に挿入する。
上記のような捺印機能を実現するために、コンピュータ側には、捺印処理を行うプログラムを保持させるとともに、このハードウェアのインターフェース部を挿入するための、専用のインターフェース部をコンピュータ側に備えている。
一方、後者のようにソフトウェアを用いて電子的に捺印を行うものとして、例えば、特許文献2に記載された発明が従来から知られている。
このタイプの従来の電子印鑑では、印鑑イメージからなる画像ファイルを予めコンピュータに登録しておき、指定された電子文書の捺印欄に、上記画像ファイルを貼り付けて捺印する。この捺印と同時に、シリアル番号を作成して電子文書に貼り付けられた画像ファイルに付加するとともに、そのシリアル番号を捺印履歴とともに、サーバーに記憶させておく。捺印が本物か否か判定する必要が生じたとき、電子文書の画像ファイルからシリアル番号を取り出すとともに、サーバーにある捺印履歴からシリアル番号を取り出し、これら2つのシリアル番号を対比させる。一致していれば本物、一致していなければ偽者と判定するわけである。
特開平6−328827号公報 特開平11−143969号公報
上記した従来の捺印用ハードウェアは、専ら印影データを記憶しているだけで、捺印機能そのものはコンピュータ側が持っている。そのため、コンピュータ側が捺印プログラムを持っていなければならない。言い換えると、専用の捺印プログラムを保持しているコンピュータだけにしか当該捺印用ハードウェアを使えず、その分、汎用性に欠けるという問題があった。
もし、上記従来例のような捺印用ハードウェアが、どのコンピュータと接続されても捺印機能が実現できるならば、非常に便利である。かかる捺印用ハードウェアを常時携帯していさえすれば、コンピュータのあるところでならば、何時でも何処でも、例えば出張先等でも捺印ができるからである。そこで、この発明は、コンピュータ側が捺印プログラムや特有なインターフェースを持っていなくても、たいていのコンピュータと接続でき、かつ、捺印機能を実現できる電子捺印装置を提供することを目的とする。
一方、上記した従来のソフトウェアで実現する電子印鑑では、サーバーに履歴が記録されているので、電子文書を管理する者は、電子文書に貼りつけられた印鑑画像が本物か否かの判別ができる。しかし、捺印履歴はサーバー側にあり、捺印者の手元にはないので、捺印者にとって、その捺印をしたのは自分であるという主張をする適切な手段がない。例えば、他人に成りすまして捺印したような場合であっても、サーバー側の捺印履歴にあるシリアル番号と、電子文書に貼りつけられたシリアル番号とが一致すれば、成りすまされた本人が、自分が捺印したのでないことを主張することは困難である。もし、捺印履歴が自分の手元にあれば、その履歴を根拠に自分が捺印したことを主張しうる。
また、捺印用ハードウェアに捺印履歴を記憶させておけば、つまり、捺印者の手元に捺印履歴があれば、後日捺印の真偽が問題にされるようなとき、捺印者は、この捺印履歴を根拠に、捺印の正当性を主張できる。
さらに、ネットワークに接続することなくスタンドアロンで利用されるコンピュータ側に捺印履歴が記憶される場合は、次のような不便がある。すなわち、当該コンピュータに保持されていた捺印済みの電子文書が他のコンピュータ上に転送されたような場合、その文書と捺印履歴とが別個のコンピュータ上にあるため、捺印の確認ができないことも起こりうる。このような場合、コンピュータとは別のハードウェアに捺印履歴を保存しておけば、手軽に捺印の正当性の確認ができる。
そこで、この発明は、利用者が電子捺印装置を携帯してさえいれば、コンピュータのあるところでならば、何時でも何処でも捺印の正当なことを主張できるようにすることも目的とした。
第1の発明は、ディスプレイを備えたコンピュータと通信可能にするとともに、特定の印影データと、上記ディスプレイ上の電子文書に上記印影データを付加して表示させる電子捺印プログラムとを記憶した記憶部を備え、上記電子捺印プログラムが、捺印時に、捺印毎に個性化した捺印特定情報を生成する機能と、生成した捺印特定情報および上記記憶部を特定する記憶部特定情報を当該電子文書に付加してコンピュータ側の記憶媒体に記憶させる機能と、上記記憶部に上記捺印特定情報に対応した捺印照合情報を記憶させる機能とをコンピュータに実現させる点に特徴を有する。
第2の発明は、第1の発明において、記憶部は、コンピュータ側の記憶媒体に記憶されている電子文書に付加された捺印特定情報および記憶部特定情報と、記憶部に記憶された捺印照合情報および記憶部特定情報とを対比して、両者が一致するかどうかを判定する機能をコンピュータに実現させる照合プログラムを記憶した点に特徴を有する。
第3の発明は、第1または第2の発明において、捺印毎に、捺印履歴情報を捺印照合情報とともに記憶部に記憶させ、上記捺印照合情報と上記捺印履歴情報を読み出す機能をコンピュータに実現させる捺印履歴閲覧プログラムを記憶した点に特徴を有する。
第4の発明は、第1〜第3のいずれか1の発明において、通信可能状態で記憶部からコンピュータのメモリにロードされたプログラムは、通信遮断状態でロードされた自らのプログラムを実行できないようにする機能を備えた点に特徴を有する。
第1の発明によれば、この電子捺印装置側でコンピュータを制御するプログラムを持ち、この装置を使用する際に、コンピュータのメモリにロードすればよいので、コンピュータ側は、捺印のためにこの電子捺印装置を制御するプログラムをインストールしている必要がない。したがって、同じOSをインストールしているコンピュータならば、どのコンピュータと接続しても捺印できる。
第2の発明によれば、捺印後に紛争が生じた場合、電子文書の捺印に付加された情報と電子捺印装置側の記憶部に記憶された情報とを照合プログラムによって対比し、その結果によって、自分が捺印したこと、あるいは捺印しなかったことを主張しうる。
第3の発明によれば、履歴情報ファイルには、捺印照合情報だけではなく、捺印履歴情報も記憶されているので、捺印の正当性を証明する際の補充的な根拠となる。特に、捺印された文書の印影画像部分を第三者によって複写され、別の文書に挿入されたような場合、電子捺印装置のみが保持している捺印履歴情報(5W1H等)を根拠に、複写された印影は自分が捺印したものではないと主張しうる。しかも、この履歴情報ファイルは、電子捺印装置に記憶されたプログラムを介して読み出すことができ、証拠としての信頼性が高まる。
第4の発明によれば、この電子捺印装置を用いて、捺印を行ったり、捺印履歴の照合をしたり、捺印履歴ファイルを閲覧したりするためのプログラムは、必要なときのみ、コンピュータ側のメモリに展開され、電子捺印装置が不要になったとき、すなわち、電子捺印装置がUSBポートから外されたときはもはや実行できなくなる。そのため、悪意ある第三者によりプログラムが悪用されることを防止できる。また、これらのプログラムを実行できなければ、この電子捺印装置は、単なる記憶装置にしか過ぎない。この記憶装置が、電子捺印装置として機能するのは、コンピュータと通信可能な状態にあるときに限られる。したがって、この利用者、すなわち電子捺印装置の所有者のみが、捺印できたり、捺印の正当性を主張できたりすることになる。
図1に、この発明の実施形態を示す。符号1で示すのが電子捺印装置であり、コンピュータ2と接続可能にしている。
なお、電子捺印装置1を使用して電子的に捺印を行おうとする者を、以下「利用者」という。この利用者は、通常、電子捺印装置1の所有者でもある。
電子捺印装置1は、コンピュータ2のUSBポートに挿入するためのコネクタ3と記憶部4を備えている。そして、記憶部4は、識別情報記憶部5、印影データ記憶部6、プログラム記憶部7、履歴情報記憶部8を備えているが、これらの各記憶部については、後に詳しく説明する。
コンピュータ2は、処理部9、メモリ10、記憶媒体11、USBポート12、マウスやキーボード等の入力部13、表示装置であるディスプレイ等の出力部14を備えている。記憶媒体11としては、内蔵ハードディスク等の記憶媒体があるが、外付けのハードディスクやフレキシブルディスク等でもよい。記憶媒体11には、ワープロソフトや表計算ソフト等のアプリケーションソフトで作成された文書類15が電子データとして記憶されている。メモリ10は、各種処理を実行するためのプログラムやデータを記憶するROMやRAM等から構成されている。
電子捺印装置1のコネクタ3を、コンピュータ2のUSBポート12に挿入することにより、電子捺印装置1とコンピュータ2間の通信が可能な状態となる。また、電子捺印装置を使用しないときは、それをUSBポートから取り外し、通信遮断状態にする。
なお、電子捺印装置1として、USBメモリのような小型軽量で記憶容量の大きい記憶媒体を使用することを想定している。USBメモリは、従来の印鑑とほぼ同様な大きさなので、鞄や財布等に入れて携帯することができる。
このように、電子捺印装置1としてUSBメモリを用いれば、携帯に便利であるが、この発明の電子捺印装置1は、USBメモリに限定する必要はない。電子捺印装置1とコンピュータ2との接続も、USBポート12以外のポートを用いてもかまわないし、無線通信可能にすることもできる。要するに、電子捺印装置1とコンピュータ2とが、それぞれ通信インターフェースを備え、両者の間で通信が確立できればよい。
この電子捺印装置1を使用する際には、すでに自分専用の印影データが印影データ記憶部6に記憶されていなければならないことは当然である。ただし、必ずしも、電子捺印装置1の工場出荷時に、印影データが記憶されていなくてもよい。このように工場出荷時に記憶されていない場合は、利用者が当該装置1を入手する販売店の店頭などにおいて、自分の名前などからなる印影データを記憶させてもよいし、あるいは、当該装置1を入手した後に、インターネットを介して、印影データを取得してもよい。
上記のようにインターネットを介して印影データを取得する場合には、電子捺印装置1のコネクタをコンピュータ2のUSBポートを介して当該コンピュータに接続し、コンピュータに備わっている外部装置との接続機能を利用する。
その場合、上記電子捺印装置1のプログラム記憶部7が、印影データダウンロードプログラムを記憶し、この印影データダウンロードプログラムによって、上記外部装置から印影データをダウンロードするようにする。
すなわち、電子捺印装置1をコンピュータ2に接続すればコンピュータ2は、その処理部9が、電子捺印装置1のプログラム記憶部7から、メモリ10上に印影データダウンロードプログラムをロードする。そして、コンピュータ2の処理部9が、このダウンロードプログラムを実行し、その結果、利用者は所定のWebサイトにアクセスできる。コンピュータ2の処理部9は、利用者により指定された印影データを、このWebサイトからダウンロードして、USBポート12およびコネクタ3を介して、電子捺印装置1の印影データ記憶部6に記憶させる。
なお、上記したのは、印影データの取得方法の一例であり、印影データの取得は、どのような方法によってもよい。
なお、上記プログラム記憶部7は、上記印影データダウンロードプログラムに限らず、電子捺印装置1を用いる電子的な捺印に伴う一切の処理を行うプログラムを記憶している。そして、コンピュータ2の処理部9がこの電子捺印装置1を利用して何らかの処理をするとき、処理部9は、電子捺印装置1のプログラム記憶部7から、所定のプログラムをメモリ10上にロードしてくる。このようなプログラムのロードは、上記処理部9が、自動的に行ってもよいし、利用者がそのたびに手動で行うようにしてもよい。
上記のように、捺印作業に必要なプログラムを電子印鑑装置1側に記憶させる構成をとることによって、コンピュータ2側には、この電子捺印装置1を利用するための一切のソフトウェアを保持しておく必要がない。
ただし、電子捺印装置1とコンピュータ2とが通信可能であること、プログラム記憶部7に記憶されたプログラムの動作を保証するOSがコンピュータ2側にインストールされていることは必須である。しかし、標準規格であるUSBポートや、一般的に普及しているOS等を前提にすれば、この電子捺印装置1は、たいていのコンピュータで使用することができる。
次に、電子捺印装置1を使って、どのように電子文書15に捺印するのかを説明する。
コンピュータ2の処理部9は、捺印対象の電子文書15をディスプレイ14上に表示させているものとする。この状態において、電子捺印装置1のコネクタ3をコンピュータ2のUSBポート12に挿入すると、電子捺印装置1はコンピュータ2と通信可能になる。そして、コンピュータ2の処理部9は、電子捺印装置1のプログラム記憶部7から、電子捺印プログラムをメモリ10上にロードする。
ここで、電子捺印プログラムとは、電子捺印装置1に記憶された印影データを読み出し、この印影データと後に説明する捺印特定情報等とをあわせ、これをディスプレイ14上の電子文書15に付加して表示する一連の処理を実行するプログラムのことをいう。
利用者が、マウスやキーボード等の入力部13を操作して、捺印処理開始の指令を入力すると、コンピュータ2の処理部9は、この指令に基づいて電子捺印プログラムを起動する。ただし、起動開始の際に、利用者に対してパスワードの入力を促してもよい。上記電子捺印プログラムが、入力されたパスワードと、電子捺印装置1の記憶部4に記憶させてあるパスワードとを照合して、一致しない場合は、電子捺印プログラムの実行を打ち切り、一致した場合は、捺印処理に移行できるようにする。
なお、所有者が自分の電子捺印装置1の保管を確実にしているならば、パスワード入力は必須ではない。
捺印処理に移行すると、利用者が、入力部13を介して、捺印しようとする印影データの読出しをコンピュータ2に指令する。コンピュータ2の処理部9は、電子捺印装置1の印影データ記憶部6から印影データを読み出す。
利用者が、マウス等の入力部13によって、電子文書15の捺印したい箇所を指定すると、電子捺印プログラムは、印影データを電子文書15の指定箇所に挿入する。挿入の仕方は、当該電子文書15を作成したアプリケーションソフトに依存する。例えば、ワープロソフトのMicrosoft(R)Word(マイクロソフト社の製品名)の場合、印影データは、図形オブジェクトとして文書の指定箇所に挿入される。
印影データを電子文書15に挿入するとき、コンピュータ2の処理部9は、捺印特定情報を生成する。生成の仕方は後で説明する。この捺印特定情報と利用者の電子捺印装置1を識別しうる記憶部特定情報を印影データに付加し、これらの情報が付加された印影データを電子文書15に挿入することで、電子的に捺印をすることになる。この捺印時、コンピュータ2の処理部9は、電子捺印装置1の履歴情報記憶部8に捺印照合情報を記憶させる。この捺印照合情報についても後で詳しく説明する。
上記した捺印特定情報とは、多数回行われる捺印行為のうち、どの捺印行為かを特定するための情報である。捺印特定情報として適当なものは、他の捺印行為との識別を可能としうるものであるが、その点、捺印時を分秒の単位まで特定した情報は、捺印を特定するための情報として最適である。複数の捺印行為を、それぞれ秒単位まで特定させておけば、たいていは、一の捺印行為を他の捺印行為と識別することが可能だからである。
なお、捺印特定情報を、乱数発生等の方法で生成したり、捺印の回数を表すシリアルナンバーを用いたりすることも考えられるが、これら、乱数やシリアルナンバーを用いる方法は、捺印の識別を目的とする捺印特定情報としては適切でない。なぜならば、異なる印鑑を使った捺印に、偶然同じ捺印特定情報が付加される場合を防げないからである。ただし、乱数やシリアルナンバーに捺印の日時や利用者名を付加する等の加工をして捺印特定情報を生成すれば、捺印を識別するための情報としての信頼性が向上する。
一方、上記した記憶部特定情報とは、この電子捺印装置1の記憶部4を特定する情報であり、工場出荷時に付与される製品ID等である。例えば、電子捺印装置1の製品IDであっても、記憶部4を構成するメモリのIDであってもよい。また、上記記憶部特定情報を、ユーザーが任意に設定するようにしてもかまわない。
この記憶部特定情報は、電子捺印装置1の識別情報記憶部5に記憶され、捺印毎に電子捺印プログラムによってコンピュータ2のメモリ10上に読み出される。
この記憶部特定情報も捺印特定情報とともに、印影データに付加して電子文書15に挿入すれば、捺印行為の識別をより確実にするためである。
なお、電子文書15へ捺印特定情報と記憶部特定情報とをあわせたものを付加する方法として、電子透かし的技術を利用して印影データに埋め込む方法、電子文書の末尾にこの情報を含むレコードを追加する方法等がある。電子文書に付加できる方法ならば、どのような方法でもよい。
さらに、捺印照合情報とは、電子捺印装置1の履歴情報記憶部8に記憶させる情報であり、後日、電子文書15の捺印特定情報と照合するために使用されるものである。このように照合のために使用されるという性質上、捺印照合情報として、捺印特定情報と対応するものを採用する必要がある。
例えば、押印時分秒を文字列で表した場合、この文字列を所定の関数に代入し、その関数値を捺印特定情報とし、元の文字列を捺印照合情報としてもよい。要するに、捺印照合情報と捺印特定情報とは一対一に対応していればよい。対応がとれていれば、両者の照合ができるので、必ずしも、捺印照合情報と捺印特定情報とを一致させる必要はない。
そして、上記対応を表す関数を、電子捺印装置1の記憶部4に記憶しておかなくてはならないことは当然である。
この捺印照合情報は、捺印毎に電子捺印装置1の履歴情報記憶部8に記憶させる。この履歴情報記憶部8には履歴情報ファイルを記憶しておき、捺印毎に、その捺印に対応した1レコードを追加する。そして、このレコードの1つのフィールドに捺印照合情報を書き込むわけである。なお、他のフィールドには、後で説明する捺印履歴情報を書き込む。
上記のように、コンピュータ2側の電子文書15に捺印特定情報を記憶させ、電子捺印装置1側に捺印照合情報を記憶させるのは、後日、捺印したという事実を主張する場合に証拠として利用するためである。
ただし、絶対確実に他と識別できる捺印特定情報というものはない。例えば、捺印時を秒単位まで特定したとしても、捺印行為を特定できないことがある。複数の捺印行為が秒単位まで一致する時に行われる可能性は皆無ではないからである。そこで、補充的な証拠となるように、記憶部特定情報も電子文書15に記憶させるようにしてもよい。
この記憶部特定情報によって、電子文書15の特定の捺印が、どの記憶部の捺印プログラムによってなされたものか、すなわち、どの電子捺印装置1によって捺印されたのかを特定することができる。
このように、捺印特定情報と捺印照合情報との対比だけでなく、文書15側の記憶部特定情報と電子捺印装置1側の記憶部特定情報との一致の有無の判定をも併用することで、同一の電子捺印装置1を用いて捺印が行われたことがわかり、捺印行為を識別する機能がより向上するが、この記憶部特定情報を用いることは必須ではない。
識別機能を補充するという観点から、以下に述べるように、電子捺印装置1側に捺印履歴情報をも記憶させておくとよい。捺印当時の状況を示す情報の種類が多ければ、利用者が後日自分の捺印の正当性を主張する時に、いつ、どんなときに捺印したのか思い起こす助けとなるからである。先に、電子捺印装置1の履歴情報記憶部8には履歴情報ファイルを記憶しておき、捺印毎に、その捺印に対応した1レコードを追加する旨を説明した。上記した捺印履歴情報は、このレコードに捺印照合情報とともに、書き込むわけである。
捺印履歴情報として、いわゆる5W1Hに関連するものが考えられる。例えば、捺印日時等のwhenに相当する情報、捺印場所等のwhereに相当する情報、捺印主体等のwhoに相当する情報、その捺印で使用した印影データ等のwhatに相当する情報、捺印の理由等のwhyに相当する情報、捺印時のパスワード等のhowに相当する情報等がある。これらは、いずれも捺印特定情報として利用しうるものである。そこで、捺印特定情報に使用するものは、等価な内容が捺印照合情報としても記憶されるので、重ねて捺印履歴情報としても記憶する必要はない。
捺印日時としては、コンピュータ2のシステムタイマ時刻を引用すればよい。
捺印場所としては、コンピュータ2のハードウェア等のIDが使用できる。具体的には、電子文書15が記憶されているハードディスクのIDやCPUボードのIDやOSのID等がある。ただし、ハードウェアを取り替えたり、OSのバージョンをアップしたりすると、これらのIDは意味を持たなくなるが、止むを得ない。かかる限界を承知したうえで、上記ハードウェア等のIDを、あくまで補充的な情報として利用すればよい。
あるいは、文書データの捺印したページを記憶させてもよい。例えば、電子文書15の3ページ目に捺印した場合は、3を記憶する等である。
捺印主体としては、利用者名等がある。
使用した印影データとしては、印影データ記憶部6に記憶された1以上の印影データのうち、どのデータかを識別できるID等が利用できる。例えば、利用者の名前に合致した印影データは1、日付印の印影データは2等である。
また、捺印履歴データとして、捺印対象の文書が記憶された文書ファイル名を記憶させてもよい。捺印後、文書ファイル名が変更されている場合があるので、証拠とするには限界があるが、捺印時点での文書ファイル名から、後日どのような文書だったのか容易に思い出せるからである。さらに、Word98やWord2000等(「Word」はマイクロソフト社の製品名)の捺印対象となった電子文書15を作成した市販アプリケーションソフト名とそのバージョン番号を記憶させてもよい。
上記した種々の捺印履歴情報(5W1H等)を、履歴情報ファイルに記憶させておくことによって、次のような利点がある。例えば、捺印された文書15の印影画像部分を第三者によって複写され、別の文書に挿入されるようなことが起こった場合、もし、印影画像に捺印特定情報と記憶部特定情報が含まれているならば、これらの情報は複写されてしまう。しかし、捺印履歴情報(5W1H等)は、電子捺印装置1のみが保持している情報である。従って、正当な捺印者が利用した電子捺印装置1が記憶している捺印履歴情報を根拠に、複写された印影は自分が捺印したものではないと主張することができる。
捺印履歴情報は、このような意義をも有しているので、電子捺印装置1側にのみ記憶させ、電子文書15側には付加しない。
この点、捺印照合情報と一対一に対応する捺印特定情報が電子文書15側にも付加されるのとは相違する。これは、捺印照合情報が、電子文書15側の捺印との照合のために利用されるものであるのに対し、捺印履歴情報は、照合用に利用される情報ではないからである。
そして、1回の捺印が行われる毎に、電子捺印プログラムは、電子捺印装置1の履歴情報記憶部8にある履歴情報ファイルに捺印履歴レコードを1レコード分追加する。このレコードには、捺印照合情報と捺印履歴情報を含み、1レコードが1回の捺印に対応するものである。このレコードには、記憶部特定情報や利用者名等を含めてもよいが、電子捺印装置1の記憶部4に記憶させることができるデータ量には限界があるので、上記記憶部特定情報や利用者名等、変更の可能性がないデータを、捺印ごとに記憶させる必要なない。上記履歴情報ファイルには、捺印毎に変更する情報のみを記憶させればよく、変更の可能性のないデータは、電子捺印装置1の識別情報記憶部5に記憶させておくことができる。
この履歴情報ファイルは、後日、証拠として使用されうるので、セキュリティに注意しなければならない。そのため、原則として、一旦記憶したデータは修正できないようにしている。もしも、履歴情報ファイルのデータの修正が可能であれば、ファイル内容の書き換えが容易にできるので、ファイルの内容を後から改ざんできてしまう。これでは証拠としての信頼性を欠くことになる。そこで、履歴情報ファイルのデータを修正できないようにしておいた方が、上記データの証拠としての価値が高くなるので好ましい。
なお、このようにきめこまかくファイルを操作する手段はいくつか考えられる。例えば、電子捺印装置1側に、専用ICなどのハードウェアを備え、ファイルのオープンや書き込み、読み込み等のファイル操作をコントロールさせることも一つの方法である。
捺印し終わると、利用者は、USBポートから電子捺印装置1を取り外す。コンピュータ2の処理部9は、電子捺印装置1がUSBポートから外れたことを認識する。そして、外れたと認識すると、処理部9は、その旨を電子捺印プログラムに通知する。通知を受けたプログラムは、自己のプログラムがもはや実行されないようにする。このプログラムは、電子捺印装置1をコンピュータ2側で制御するために使用されるので、電子捺印装置1がコンピュータ2と通信可能であるときのみ実行されるべきものだからである。
ここで、プログラムの実行をできないようにする方法はいくつか考えられる。例えば、USBポート12から、電子捺印装置1のコネクタ3が取り外されたことを認識すると、プログラムの実行を終了する命令を呼び出すような命令コードを用意しておくのも一つの方法である。この方法ならば、メモリの書き替えが必要なく、コンピュータ2のシステムをダウンさせるといった副作用を生じさせることがない。また、プログラムの実行に必須なデータの記憶されたメモリ10上のデータ領域やプログラムを、OSを使って消去させるようにしてもよい。要するに、USBポートから取り外されているときは、プログラムの実行がもはやできなくなれば、その実装はどのようなものであってもよい。
また、USBポート12から電子捺印装置1が取り外されたときには、電子捺印プログラムだけでなく、後で説明する照合プログラムや捺印履歴閲覧プログラムも実行できないようにしている。
次に、図2に従い、捺印後において、捺印の正当性をどのように証明するかを説明する。
対象となる電子文書15がその記憶媒体11に記憶されているコンピュータ2のUSBポートに電子捺印装置1のコネクタ3を挿入し、コンピュータ2と電子捺印装置1とを通信可能にする。コンピュータ2の処理部9は、電子捺印装置1のプログラム記憶部7から照合プログラムをメモリ10上にロードし、これを実行させる。図2のステップS101において、ディスプレイ14に表示されている電子文書15から印影画像部分をマウス13等で特定すると、照合プログラムは、その印影画像に対応した捺印特定情報Aと記憶部特定情報Bとを抽出する。印影画像に電子透かし的方法で捺印特定情報等が付加されている場合は、印影画像から付加された情報を取り出さなければならない。そのため、照合プログラムは、印影画像への情報の埋め込み規則等を持っていなければならないことは当然である。
照合プログラムは、ステップS102において、電子捺印装置1の識別情報記憶部5から記憶部特定情報Cを読み出し、ステップS103で、電子文書15側から抽出した記憶部特定情報Bと一致するか否かを判定する。一致しなければ、その電子捺印装置1で捺印したのではないことがわかり、照合プログラムはその結果を出力する。
もし、記憶部特定情報同士が一致すれば、その電子捺印装置1で捺印したと判断できる。そこで、照合プログラムは、ステップS104に移り、電子捺印装置1の履歴情報記憶部8にある履歴情報ファイルをオープンする。ステップS105で、捺印履歴レコードがあれば、ステップS106へ進み、そのレコードを読み出し、捺印照合情報Dを抽出し、この捺印照合情報Dと電子文書から抽出した捺印特定情報Aとを対比させる。
ステップS107で、捺印照合情報Dと電子文書15側からすでに抽出してあった捺印特定情報Aが、一致すれば、当該レコードのレコード内容をディスプレイやプリンタに出力する(ステップS108)。このレコード内容には、捺印照合情報の他に、捺印履歴情報が含まれる。そこで、これらの情報を根拠として、自分が捺印したことを主張できる。
ところで、捺印特定情報と捺印照合情報とは一対一に対応しているが、同一ではない場合もある。例えば、捺印照合情報を所定の関数に代入し、その関数値を捺印特定情報として電子文書15に付加したような場合である。この場合は、捺印照合情報を、当該所定の関数に代入し、その関数値を求め、これを電子文書15から抽出した捺印特定情報と比較しなければならない。
ステップS107の判定処理の結果、捺印特定情報Aと捺印照合情報Dとが一致しなければ、ステップS105へ戻り、次の捺印履歴レコードが存在すれば、ステップS106に移る。一致するレコードが見つかるまで、ステップS105からステップS107までの間の処理を繰り返す。一致するレコードが見つかった場合、あるいは、捺印履歴レコードが存在しなくなった場合は、照合処理は終了する。
なお、記憶部特定情報を付加していない場合には、上記ステップS101〜S104までのステップは省略される。
このような照合処理の結果、一致する捺印履歴レコードが見つかれば、ある電子文書15のある捺印が、正当なものであることを確認できる。
このように、自分が捺印した印影を確認することはできるが、自分が捺印したのではないことの証明は原理的にできない。しかし、全捺印履歴レコードについて照合処理を終えても一致するものが見つからなかった場合は、少なくとも、自分の所有している特定の電子捺印装置1によって捺印したものではないことはわかる。
履歴情報ファイルは、このように捺印が正当であることを主張する証拠となりうるものなので、セキュリティ保護に注意する必要がある。そのため、修正はできないようにし、捺印直後に限り、捺印履歴レコードの追加を認める実装にするべきことは先に述べた。
さらに、原則として、履歴情報ファイルは利用者のみが読み出せるようにしておけば、よりセキュリティを向上させることができる。
そして、利用者が履歴情報ファイルを読み出すときには、電子捺印装置1のプログラム記憶部7に記憶された捺印履歴閲覧プログラムによらなければ、履歴情報ファイルの読出しができないようにしておく。
具体的には、履歴情報ファイルを読み出したい利用者が、マウス等の入力部13を操作して、コンピュータ2の処理部9に対し、履歴情報ファイルの読出しを指令する。この指令に対し、処理部9は、電子捺印装置1のプログラム記憶部7から捺印履歴閲覧プログラムをメモリ10上にロードし、このプログラムを実行させる。さらに、この閲覧プログラムをロードさせる際に、パスワードの入力を必要とするようにすれば、電子捺印装置1の所有者以外が、捺印履歴を知ることができないことになる。
ところで、この電子捺印装置1として市販のUSBメモリのような記憶媒体を用いるが、一般に、この記憶媒体に格納されたファイル類には何人もアクセスすることができ、他人によってファイルを複写されるおそれがある。そのため、電子捺印プログラムが捺印毎に履歴情報ファイルにレコードを追加する際、当該ファイルの暗号化をしておけば、仮に、他人に当該ファイルを複写されても、内容まで知られることはない。そして、パスワードの入力によって履歴情報ファイルが復号化されるようにしておくとよい。
さらに、この捺印履歴閲覧プログラムの起動直後に、パスワード入力を要求し、パスワードがすでに電子捺印装置1側に記憶させていたパスワードと一致した場合のみ、ファイル読出しができるようにしておくようにしてもよい。なお、暗号化・復号化の方式は特に問わない。
なお、上記の実施形態では、USBポート12に挿入するタイプの電子捺印装置について説明をしたが、このようなタイプに限らず、利用者が携帯可能な外付けメモリタイプでも差し支えない。例えば、光磁気ディスクを用いてもよい。ただし、フレキシブルディスクのような記憶容量の小さい記憶媒体は適当ではない。
さらに、電子捺印装置1とコンピュータ2との間の通信を無線で行うようにすることもできる。
また、上記実施形態では、印影データは、インターネット等を介して取得したが、当該電子捺印装置1の工場出荷時にすでに印影データが組み込まれていてもよい。通常の印鑑を購入する場合、自分の名前にあったものを選択して購入する。これと同様に、自分の名前に合致した印影データを記憶済みのものを購入すればよいわけである。
なお、上記実施形態では、捺印特定情報と捺印照合情報とを照合するための照合プログラムを、電子捺印装置1に組み込んでいるが、電子捺印装置1に照合プログラムを組み込まないで、人が照合を行うようにしてもかまわない。
実施形態のブロック図である。 実施形態の照合処理の手順を示す流れ図である。
符号の説明
1 電子捺印装置
2 コンピュータ
4 (電子捺印装置の)記憶部
10 (コンピュータの)メモリ
11 (コンピュータの)記憶媒体
14 ディスプレイ
15 電子文書

Claims (4)

  1. ディスプレイを備えたコンピュータと通信可能にするとともに、特定の印影データと、上記ディスプレイ上の電子文書に上記印影データを付加して表示させる電子捺印プログラムとを記憶した記憶部を備え、上記電子捺印プログラムが、捺印時に、捺印毎に個性化した捺印特定情報を生成する機能と、生成した捺印特定情報および上記記憶部を特定する記憶部特定情報を当該電子文書に付加してコンピュータ側の記憶媒体に記憶させる機能と、上記記憶部に上記捺印特定情報に対応した捺印照合情報を記憶させる機能とをコンピュータに実現させることを特徴とする電子捺印装置。
  2. 記憶部は、コンピュータ側の記憶媒体に記憶されている電子文書に付加された捺印特定情報および記憶部特定情報と、記憶部に記憶された捺印照合情報および記憶部特定情報とを対比して、両者が一致するかどうかを判定する機能をコンピュータに実現させる照合プログラムを記憶した請求項1に記載の電子捺印装置。
  3. 捺印毎に、捺印履歴情報を捺印照合情報とともに記憶部に記憶させ、上記捺印照合情報と上記捺印履歴情報を読み出す機能をコンピュータに実現させる捺印履歴閲覧プログラムを記憶した請求項1または2に記載の電子捺印装置。
  4. 通信可能状態で記憶部からコンピュータのメモリにロードされたプログラムは、通信遮断状態でロードされた自らのプログラムを実行できないようにする機能を備えた請求項1〜3のいずれか1に記載の電子捺印装置。
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