JP2005050065A - Cadデータ変換方法、cadデータ変換システムおよびcadデータ変換プログラム、ならびに電子回路基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】異機種のCADシステム間にデータの互換性を持たせる。
【解決手段】第1CADシステム100および第2CADシステム200には、各システムに固有のフォーマットの図面データファイル63a,63bに直接アクセスするためのアクセスライブラリが提供されている。データ変換モジュール62eは、第1アクセスライブラリ62bを用いて読み出されたエレメントの属性データの書式を、該エレメントの作図操作を行なうために第2アクセスライブラリ62dが要求する属性データの書式に変換する。さらに、変換された属性データを第2アクセスライブラリ62dの作図関数に引数として渡す。該作図関数を用いた作図プログラムの実行により、エレメントをレイヤに書き込み、第2図面データファイル63bを得る。
【選択図】 図16
【解決手段】第1CADシステム100および第2CADシステム200には、各システムに固有のフォーマットの図面データファイル63a,63bに直接アクセスするためのアクセスライブラリが提供されている。データ変換モジュール62eは、第1アクセスライブラリ62bを用いて読み出されたエレメントの属性データの書式を、該エレメントの作図操作を行なうために第2アクセスライブラリ62dが要求する属性データの書式に変換する。さらに、変換された属性データを第2アクセスライブラリ62dの作図関数に引数として渡す。該作図関数を用いた作図プログラムの実行により、エレメントをレイヤに書き込み、第2図面データファイル63bを得る。
【選択図】 図16
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、異機種のCAD同士にデータの互換性を持たせるためのCADデータ変換方法、CADデータ変換システムおよびCADデータ変換プログラムに関する。また、そのデータ変換方法によって加工されたCADデータを用いて電子回路基板を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ICやマイクロプロセッサ等の半導体チップは、近年高集積化が急速に進んでいることから、チップの入出力部の端子数も大幅に増大しつつある。これを受けて、そのようなチップを接続するための電子回路基板も配線部の数が急増しており、高分子材料やセラミック等の絶縁層を介して多層の配線部を作り込んだ積層型のパッケージ基板が増えてきている。最近では、このような電子回路基板の設計を効率よく行なうために、コンピュータ作図処理を用いた設計システム、いわゆるCAD(Computer Aided Design)システムが使用されている(下記特許文献1)。これは、表示装置上に作図画面を開き、配線部、接地用あるいは電源用の面導体パターン、異なる配線層同士を接続するビア、あるいは配線端子部をなすパッドやランドなどの基板要素(エレメント)を、CADデータとして、マウス等の入力装置を用いて作図レイヤ上に描くことにより基板設計図を得るものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−276505号公報
【0004】
昨今、上記のようなCADシステムは非常に多くの種類のものが提供されている。異機種間でのデータの互換についていえば、オートデスク社のデファクトスタンダードであるDXFや、ANSI(American National Standard Institute)規格であるIGESなどのフォーマットを利用することが一般的である。多くのCADシステムは、DXFやIGESフォーマットをサポートしている。100%互換とまでは言えないものの、DXFやIGESフォーマットを経由することにより、1つのCADシステムで作成した図面データファイルを別のCADシステムで読み取れる図面データファイルに変換できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、DXFやIGESを経由する場合でも、それらのフォーマットで定義されていない属性データが変換されずに欠落することがしばしばある。たとえば、電子回路基板用CADシステムを例にすると、電子回路基板の設計図を構成するエレメントに特有の属性として、たとえば配線ネットと呼ばれる論理接続データ、抵抗、インダクタンス、キャパシタンスなどが定義されているが、これらの属性データは、変換の対象とならなかったり、正確に変換できなかったりする。たとえば、機械系CADシステム等で作成される図面データに関していえば、図形・絵柄さえ正確に変換されれば問題無いという場合もある。しかしながら、電子回路基板用のCADシステムのような電気系CADシステムで作成される図面データにおいて、電気特性や回路のつながりを表す属性データが欠落することは、電気回路の設計図としての価値を失うことに等しい。このように、異機種のCADシステム間のデータ互換性は、未だ不十分であるといえる。
【0006】
本発明の課題は、異機種のCADシステム間にデータの互換性を持たせるためのCADデータ変換方法、CADデータ変換システムおよびCADデータ変換プログラムを提供することにある。併せて、得られたCADデータに基づいて電子回路基板を製造する方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
上記課題を解決するために本発明は、第1CADシステムのフォーマットで記述された第1図面データファイルを、第2CADシステムのフォーマットで記述された第2図面データファイルに変換するCADデータ変換方法において、第1図面データファイルにアクセスしてバイナリ形式の第1図面データを操作するために用いられる第1データ操作モジュールと、第2図面データファイルにアクセスしてバイナリ形式の第2図面データを操作するために用いられる第2データ操作モジュールとが提供されているとき、第1データ操作モジュールを用いて読み出される第1図面データにおけるエレメントの属性データの書式と、エレメントの作図操作を行なうために第2データ操作モジュールが要求する属性データの書式との対応関係を予め調べ、見出した対応関係に基づいて一方の書式を他方の書式に変換するデータ変換モジュールを作成する一方、第1データ操作モジュールを用いて第1図面データファイルから第1図面データを読み出し、該第1図面データを構成するエレメントの属性データを表すリストを生成し、データ変換モジュールを起動することにより、リストに挙げられたエレメントの属性データを、第2データ操作モジュールを用いた作図操作のための書式に変換した形で、該第2データ操作モジュールに定義された命令に渡すとともに、リストに挙げられたエレメントを、第2データ操作モジュールを用いてレイヤに書き込むことにより、第2図面データファイルを得ることを特徴とする。
【0008】
上記の第1データ操作モジュールおよび第2データ操作モジュールは、本来、バイナリ形式の図面データを操作するために提供されるものである。各データ操作モジュールを用いることにより、既に存在する図面データファイル(図面データベース)にアクセスして、図面データを参照すること、図面データの一部または全部を削除すること、図面データを作成することなどが可能である。ファイルから読み出された図面データは、メモリ内において、エレメントの属性データがバイナリで表されたものとなる。そして、このバイナリデータを操作することにより、図面データを加工したり作成したりすることができる。ただし、第1データ操作モジュールと第2データ操作モジュールとでは、同一のエレメントを記述するための属性データの書式が異なる。
【0009】
したがって、第1データ操作モジュールを用いて読み出した属性データを、第2データ操作モジュールを用いた操作用に変換した形で、該第2データ操作モジュールに渡さなければならない。このような処理にかかるデータ変換モジュール(変換プログラムモジュール)は、第1データ操作モジュールを用いて図面データを読んだときに返される属性データの書式と、第2データ操作モジュールを用いて作図を行なう際に必要とされる属性データの書式との対応関係を照合し、該照合結果に基づいて作成することができる。データ変換モジュールにかかる変換処理によれば、第1データ操作モジュールを用いて読み出した属性データを、第2データ操作モジュールを含む作図プログラム用に変換できる。変換後の属性データを第2データ操作モジュールに定義された命令に渡すとともに、該命令を含む作図プログラムを実行してエレメントをレイヤに書き込めば、該第1図面データファイルとはフォーマットの異なる第2図面データファイルを得ることができる。要するに、バイナリデータからバイナリデータへの直接変換を行なっていることになる。これによれば、DXF等の第3のフォーマットを経由させたりしないので、データの欠落を生じさせることなく、高速かつ高効率な変換処理を実現することができる。
【0010】
具体的に、第1データ操作モジュールおよび第2データ操作モジュールは、バイナリ形式の図面データを操作するためのコンピュータ言語ライブラリを提供する第1アクセスライブラリおよび第2アクセスライブラリをそれぞれ含む。それらアクセスライブラリに定義された関数を用いた図面操作プログラムの実行により、バイナリ形式の第1図面データまたは第2図面データの操作が可能とされる。この場合において、第1アクセスライブラリと第2アクセスライブラリとの間の、属性データの書式の対応関係を調べ、見出した対応関係に基づいてデータ変換モジュールを構成し、このデータ変換モジュールを起動することにより、第1アクセスライブラリを用いて読み出したエレメントの属性データを、該エレメントの作図を行なうために必要とされる書式に変換することと、第2アクセスライブラリの関数に引数として渡すこととを行い、第2アクセスライブラリを用いた作図処理の実行により、作図レイヤへのエレメントの書き込みを進め、第2図面データファイルを作成することができる。
【0011】
アクセスライブラリは、バイナリ形式の図面データを直接加工する、または図面データを作成するためのコンピュータ言語ライブラリ(C言語ライブラリ,C++言語ライブラリなど)を提供するものである。つまり、アクセスライブラリが提供する関数を用いてプログラムを作成し、作図インターフェース(キーボードやマウス)よりオペレータが理解可能なコマンドおよび/またはパラメータ(引数)を入力することにより、図面データベースに直接アクセスでき、データの参照、作成、削除、変更などの緻密な操作を行なえる。たとえば、特定のエレメントのみを抽出して属性データを参照する、といった操作も可能である。アクセスライブラリは、高度な設計が要求される電子回路基板用CADシステムなどの電気系CADシステムや、3次元CADシステムにオプションで提供されるのが通常である。たとえば、図研社より入手可能な「CR−5000(登録商標)」や、ケイデンス・デザイン・システムズ社より入手可能な「Allegro(登録商標)」には、それぞれ独自の仕様のアクセスライブラリが提供されていることはよく知られている。
【0012】
上記のようなアクセスライブラリが予め提供されているときに、エレメントの属性データの書式について、第1アクセスライブラリと第2アクセスライブラリとの相違を是正するプログラムをデータ変換モジュールに組み込む。そして、第1アクセスライブラリを用いて読み出したエレメントの属性データを、第2アクセスライブラリに定義された関数(作図関数)に、引数として渡すための書式に変換する。あとは、作図処理を実行してレイヤに図面データを書き込み、ファイルを保存すれば、第2図面データファイルを得ることができる。この場合には、第2アクセスライブラリを用いた作図処理のためのプログラムが必要となる。
【0013】
また、第1データ操作モジュールを用いて第1図面データファイルにアクセスし、メモリ内にエレメントの属性データを表すリストを生成したのち、属性データの書式の変換に先立ち、該属性データについて、第1CADシステムが扱う単位から第2CADシステムが扱う単位への変換を行なうようにするとよい。これによれば、一方のCADシステムでは、寸法がミリメートルで表されるが、他方のCADシステムでは、寸法がマイクロメートルで表される、といった場合に対処することができる。
【0014】
また、上記した第1CADシステムおよび第2CADシステムが、電子回路基板用CADシステムである場合には、以下のような操作を行なうことができる。
すなわち、第1図面データファイルからのエレメントの属性データの読み込みに先立ち、第1図面データファイルが有する、ファイル所有者等のコメント情報と、設計されるべき電子回路基板に禁止される設計事項を記述したデザインルール情報とを複写した予備ファイルを作成し、第2アクセスライブラリを用いた作図処理の実行により、予備ファイルに設定されたレイヤにエレメントを書き込んでいくことにより、第2図面データファイルを作成することができる。このようにすれば、第2CADシステム上でもデザインルールチェックを容易に行なえるようになる。
【0015】
また、課題を解決するために本発明のCADデータ変換システムは、第1CADシステムのフォーマットで記述された第1図面データファイルを、第2CADシステムのフォーマットで記述された第2図面データファイルに変換するためのCADデータ変換システムであって、第1図面データファイルにアクセスしてバイナリ形式の第1図面データを操作するために用いられる第1データ操作モジュールと、第2図面データファイルにアクセスしてバイナリ形式の第2図面データを操作するために用いられる第2データ操作モジュールと、第1データ操作モジュールを用いて第1図面データファイルから第1図面データを読み出し、該第1図面データを構成するエレメントの属性データを表すリストを生成するリスト生成手段と、リストにおけるエレメントの属性データを、第2データ操作モジュールによりエレメントの作図操作を行なう場合に必要とされる書式に変換することと、該第2データ操作モジュールに定義された命令に渡すこととを行なうデータ変換手段と、データ変換手段から属性データを受け取って、第2データ操作モジュールを用いてエレメントをレイヤに書き込むことにより、第2図面データファイルを作成する第2図面データファイル作成手段と、を備えたこと特徴とする。
【0016】
好適な態様において、第1データ操作モジュールおよび第2データ操作モジュールは、バイナリ形式の図面データを操作するためのコンピュータ言語ライブラリを提供する第1アクセスライブラリおよび第2アクセスライブラリをそれぞれ含み、それらアクセスライブラリに定義された関数を用いた図面操作プログラムの実行により、バイナリ形式の第1図面データまたは第2図面データの操作が可能とされており、データ変換手段は、第1アクセスライブラリと第2アクセスライブラリとの間の、属性データの書式の対応関係に基づいて構成されており、リスト生成手段によって第1アクセスライブラリが起動されてエレメントの属性データが読み出され、データ変換手段によって、該エレメントの作図を行なうために必要とされる書式に変換すること、属性データを第2アクセスライブラリの関数に引数として渡すこととが行なわれ、第2図面データファイル作成手段によって第2アクセスライブラリが起動されて作図処理が実行されるとともに、作図レイヤへのエレメントの書き込みが進められ、第2図面データファイルが作成される。
【0017】
また、第1アクセスライブラリを用いて第1図面データファイルがアクセスされることにより、リスト生成手段によりメモリ内にエレメントの属性データを表すリストが生成される。データ変換手段は、属性データの書式の変換に先立ち、該属性データについて、第1CADシステムが扱う単位から第2CADシステムが扱う単位への変換を行なう単位変換手段を含む。
【0018】
また、上記した第1CADシステムおよび第2CADシステムは、電子回路基板用CADシステムとされる。データ変換手段は、リスト生成手段による第1図面データファイルからのエレメントの属性データの読み込みに先立ち、第1図面データファイルが有する、ファイル所有者等のコメント情報と、設計されるべき電子回路基板に禁止される設計事項を記述したデザインルール情報とを複写した予備ファイルを作成する予備ファイル作成手段を含み、第2図面データファイル作成手段によって第2アクセスライブラリが起動されて作図処理が実行されるとともに、予備ファイルに設定されたレイヤにエレメントが書き込まれていくことにより、第2図面データファイルが作成される。
【0019】
上記した各態様のCADデータ変換システムは、前述したCADデータ変換方法の対応箇所における有意な効果を援用できるものである。したがって、上記CADデータ変換システムによれば、データの欠落を生じさせず、第1図面データファイルを、該第1図面データファイルとはフォーマットの異なる第2図面データファイルに直接変換することができる。また、データをテキストに落としたり、DXF等のフォーマットを経由させたりしないので、高速な変換処理を実現することができる。
【0020】
また、課題を解決するために本発明のCADデータ変換プログラムは、コンピュータにインストールすることにより、上記したCADデータ変換システムを構成する各手段として当該コンピュータを機能させることを特徴とする。
【0021】
また、課題を解決するために本発明の電子回路基板の製造方法は、上記したCADデータ変換方法を用いて、第1CADシステムで作成された電子回路基板の設計情報ファイルを、第2CADシステムで読取り可能な設計情報ファイルに変換する工程と、該変換後に得られた設計情報ファイルの出力に基づいてCAMデータを作成し、そのCAMデータに基づいて電気回路製造用機器を制御し、電子回路基板を製造する電子回路基板製造工程と、を含むことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。まず、電子回路基板用CADシステムの概要について説明する。図2は、第1の電子回路基板用CADシステム100(以下、第1CADシステム100と記載する)の全体構成を示すブロック図である同時に、第2の電子回路基板用CADシステム200(以下、第2CADシステム200と記載する)、さらにはCADデータ変換システム300の全体構成を示すブロック図でもある。つまり、第1CADシステム100、第2CADシステム200およびCADデータ変換システム300は、互いにハードウェアを共有している。ただし、第1CADシステム100と第2CADシステムとはデータフォーマットが相違し、データの互換性を有さない。要するに、第1CADシステム100のフォーマットにより作成された第1図面データファイル63a(第1図面データベース)は、その記述内容を第2CADシステム200で直接読取ることはできない。データ変換システム300は、第1CADシステム100のフォーマットで作成された第1図面データファイル63aを、第2CADシステム200で読取可能な第2図面データファイル63b(第2図面データベース)に変換する。この詳細は後述する。
【0023】
以下、第1CADシステム100、第2CADシステム200およびデータ変換システム300に共通のハードウェアに関する説明は、第1CADシステム100についてのみ記載する。第1CADシステム100は、CPU103と、ROM104、RAM105、入出力インターフェース102等からなるコンピュータ本体112を備え、これに周辺機器として、キーボード106あるいはマウス107等の入力手段、CD−ROMドライブ108あるいはフレキシブルディスクドライブ109等の記録媒体読取手段、ハードディスクドライブ110、モニタ制御部111を介して接続されるモニタ113、プリンタ114等が接続されたコンピュータシステムとして、全体が構築されている。
【0024】
第1CADシステム100および第2CADシステム200において、CPU103は、作図レイヤ設定手段、CADデータ入力手段、CAMデータ変換手段、CAMデータ出力手段等の主体をなすものである。また、キーボード106あるいはマウス107は、CPU103とともにCADデータ入力手段の主体をなすものである。さらに入出力インターフェース102は、作図が終了した電子回路基板の設計図面を印刷出力する図面出力手段の他、CAMデータ変換手段がCADデータに基づいて変換・作成したCAMデータを出力するCAMデータ出力手段として機能する。
【0025】
HDD110には、オペレーティングシステムプログラム(以下、OSという)61およびアプリケーションプログラム(以下、アプリケーションという)62が格納されている。アプリケーション62は、第1CADシステム100、第2CADシステム200およびデータ変換システム300の機能を実現するためのコンピュータプログラムであり、OS61上にてアプリケーションワークメモリ52を作業領域とする形で作動するものである。これは、たとえばCD−ROM120等にコンピュータ読取り可能な状態で記憶され、HDD110上の所定の記憶領域にインストールされるものである。図12に示すように、アプリケーションプログラム62は、第1CADシステムプログラム本体62a、第2CADシステムプログラム本体62cおよびデータ変換モジュール62e(データ変換プログラムモジュール)を含む。また、第1CADシステム100および第2CADシステム200は、C/C++コンパイラ等のアプリケーションを備え、コンピュータ言語開発環境を有するCADシステムとして構成されている。
【0026】
また、HDD110には、第1CADシステム100のフォーマットで作成された第1図面データファイル63aと、第1図面データファイル63aをデータ変換システム300により第2CADシステム200のフォーマットに変換した第2図面データファイル63bが記憶されている。また、HDD110には、第1図面データファイル63aまたは第2図面データファイル63bに基づいて変換・生成されたCAMデータファイル64が記憶されている。一方、RAM105には、OS61のワークメモリ51、およびアプリケーションのワークメモリ52がそれぞれ形成される。
【0027】
図1は、上記第1CADシステム100および第2CADシステム200の適用対象となる電子回路基板の一例を断面構造にて示している(この電子回路基板1はオーガニック基板として構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、セラミック基板への適用も可能である)。すなわち、電子回路基板1は、耐熱性樹脂板(たとえばビスマレイミド−トリアジン樹脂板)や、繊維強化樹脂板(たとえばガラス繊維強化エポキシ樹脂)等で構成された板状のコア材2の両表面に、所定のパターンにコア導体層M1,M11がそれぞれ形成される。
これらコア導体層M1,M11はコア材2の表面の大部分を被覆する面導体パターンとして形成され、電源層または接地層として用いられるものである。他方、コア材2には、ドリル等により穿設されたスルーホール12が形成され、その内壁面にはコア導体層M1,M11を互いに導通させるスルーホール導体30が形成されている。また、スルーホール12は、エポキシ樹脂等の樹脂製穴埋め材31により充填されている。
【0028】
また、コア導体層M1,M11の上層には、感光性樹脂組成物6にて構成された第一ビア層(絶縁層あるいはビルドアップ層)V1,V11がそれぞれ形成されている。さらに、その表面にはそれぞれ配線部7を有する第一配線導体層M2,M12がCuメッキにより形成されている。なお、コア導体層M1,M11と第一配線導体層M2,M12とは、それぞれビア34により層間接続がなされている。同様に、第一配線導体層M2,M12の上層には、感光性樹脂組成物6を用いた第二ビア層(絶縁層あるいはビルドアップ層)V2,V12がそれぞれ形成されている。その表面にはそれぞれ第二配線導体層M3,M13がCuメッキにより形成されている。これら第一配線導体層M2,M12と第二配線導体層M3,M13とも、それぞれビア34により層間接続がなされている。第一配線導体層M2,M12は、シグナル配線層として用いられる。他方、第二配線導体層M3,M13は、コア導体層M1,M11と同様の形態を有する電源層または接地層として用いられる。特に、高周波用の配線基板においては、シグナル配線層の上下を電源層で挟んだストリップラインが採用される。
【0029】
また、ビア34は、ビアホール34hとその内周面に設けられたビア導体34sと、底面側にてビア導体34sと導通するように設けられたビアパッド34pと、ビアパッド34pと反対側にてビア導体34hの開口周縁から外向きに張り出すビアランド34lとを有している。
【0030】
次に、図1に戻り、コア材2の第一主表面側の第二ビア層V2上には配線導体層M3が形成され、ここに複数の半田ランド10や、その一部と導通する配線部7が設けられている。これら半田ランド10は、無電解Ni−PメッキおよびAuメッキにより基板のほぼ中央部分に正方形状に配列し、各々その上に形成された半田バンプ11とともにチップ搭載部40(図4)を形成している。
【0031】
他方、コア材2の第二主表面側の第二ビア層V12上には、裏面配線導体層M13が形成されている。裏面配線導体層M13には、ボールグリッドアレイ(BGA)やピングリッドアレイ(PGA)などの周知の接続形態にて、基板1をマザーボードなどの主基板に接続するための複数のランド17が形成されている。そして、表面配線導体層M3および裏面配線導体層M13上に、それぞれ、感光性樹脂組成物よりなるソルダーレジスト層8,18(SR1,SR11)が形成されている。表面側のソルダーレジスト層8には、半田ランド10を露出させるために、これら半田ランド10に一対一に対応する形で開口部8aが形成されてなり、その内側に半田ランド10と導通する形で半田バンプ11が配置されている。
【0032】
以下、第1CADシステム100の作動について詳細に説明する。第2CADシステム200の作動については、第1CADシステム100の説明を援用する。まず、図2のアプリケーションプログラム62を起動させると、モニタ113(図2)には、図4に示すように、作図画面40が表示される。本実施例のアプリケーションプログラム62は、公知のCADシステムと同様にドロー系グラフィックソフトウェアとして構築されており、作図画面40上にて、マウス107の操作により、電子回路基板1の基板要素(以下、エレメントともいう)の図形を、CADデータとして個別に入力しながら作図作業を進めるものである。本実施例では、新規図面の作図画面40を立ち上げると、別途HDD110等に記憶された表示データに基づき、該作図画面40内には、設計・作図すべき基板の主面外形線に対応した四辺形状の基準領域51と、デフォルトエレメント図形として、基板表面に標準的に形成される基板要素(本実施形態では、パッド53,55)の図形が表示されるようになっている。この場合、デフォルトエレメントデータを品番と対応付けて記憶するデフォルトエレメントデータ記憶部をたとえばHDD110に設けておき、品番をキーボード106(あるいはマウス107による画面上のソフトボタンクリック)により入力することで、対応するデフォルトエレメントデータを読み出し、これを作図画面に表示するようにしておけば、標準的に形成される基板要素上に配線部54等の図形を直ちに作図・入力できるので便利である。
【0033】
ここで、設計の対象となる基板は、複数の配線層(導体層)が絶縁層を介して積層されるパッケージ基板等である。そして、形成すべき配線層に対応する複数の作図レイヤが作図画面40に対して設定される。これら作図レイヤ(以下、単にレイヤともいう)は、図4においては重なっているため視覚的には判定できない。また、各レイヤに書き込まれた図形は作図画面40上では重ね表示されるが、特定のレイヤ上の図形のみを表示させたり、あるいは色彩、明るさ、濃淡、塗りつぶしパターンの変更等により、他のレイヤ上の図形とは表示状態を異ならせたりすることが可能である。
【0034】
図11は、作図処理の流れを示すフローチャートである。まずS1では、エレメントを書き込みたいレイヤを選択する。このレイヤ選択は、たとえばマウス107(図2)により、画面上に表示されたレイヤ選択のためのソフトボタン(図示せず)をクリックすることで行なうことができる。そして、図形として入力できるのは上記したエレメントと、異レイヤ間のエレメント同士を接続するためのビアの図形であり、S2およびS8では、そのどちらを選択するかがコマンド入力により決定される。このコマンド入力も、エレメント入力あるいはビア入力を選択するソフトボタン(図示せず)のマウスクリックにより行なうことができる。
【0035】
エレメント入力が選択されたらS2からS3に進み、エレメント描画を行なう。エレメントの描画に際しては、公知のCADシステムソフトウェアと同様に、配線描画、パッドやランドあるいは面導体パターンの描画など、描きたいエレメントの種別毎に描画ツールが用意されている。描画ツールも、画面上にソフトボタンとして形成された描画ツール選択ボタン(図示せず)のマウスクリックにより選択できる。そして、所望の描画ツールを選択したら、図4に示すように、作図位置を示すポインタPをマウス操作により移動させつつ、マウスクリックあるいはドラッグ(マウスボタンを押したままマウスを移動させること)等の操作を組み合せながらエレメントを描いてゆく。図4では、各パッド53と55とをつなぐ配線部の図形をエレメントとして描き終わった状態を示している。
【0036】
図6に示すように、エレメントは1つ描き終わる毎に、その図形データであるエレメント記述データが、エレメント特定データ(たとえばエレメントコード)およびレイヤ特定データ(たとえばレイヤ番号)と対応付けた形で、図2の図面データメモリ52gに記憶されてゆく。エレメント記述データは、たとえば図5に示すように、エレメントOB11,OB12,OB13,OB14等の形状、大きさおよび描画位置を、画面40(図4)上に設定される座標平面上で規定するためのベクトルデータ、関数式データあるいは特定の基準点の座標および半径や長さ等の寸法規定データの組として表される。たとえば、エレメントOB11は、基準点A11(x0,y0)を起点として所定の向き(たとえば右回り)に周回しながら、A11(x1,y1)、A11(x2,y2)、A11(x3,y3)、A11(x0,y0)の順でベクトルを連ねることによりエレメントの外形輪郭を描いた場合の、各ベクトルの終点位置の座標のデータ組として表わされている。エレメントOB12も同じである。また、パッドやランド等を表す円形のエレメントOB13は、その中心座標C13と半径r13とのデータ組として表わされている。さらに、たとえば幅Wが一定した配線部の図形であるエレメントOB14などは、その起点位置B14(X0,Y0)および終点位置B14(X1,Y1)の座標と線幅W14のデータ組として表わすことができる。なお、図5では、4つのエレメントOB11,OB12,OB13,OB14が全て同じレイヤ(M1)に描かれている。エレメント記述データはエレメントの属性データの1つである。
【0037】
一方、図11のS8においてビア入力が選択された場合には、S9に進んでビア入力処理となる。ビア34は、異配線層の配線同士を接続するものであるが、本実施例ではそのビア34の図形の入力は、ビア層単位で行なわれ、複数のビア層にまたがるビアは、複数のビアが重ねられたスタックドビアの形で入力される。従って、ビアを入力すべきビア層を指定することにより、単位となるビアを一つ入力することができる。なお、3つ以上のビア層が設けられ、3つ以上のビア層にまたがるビアを入力する場合は、ビア開始層とビア終了層とを指定することにより、中間層のビアを自動発生させるようにしてもよい。そして、このビア図形(これも基板要素の一つである)のデータは、図7に示すように、ビア位置データと、ビア層に対応したレイヤの特定情報(ビア形成レイヤVLY##)との組として、ビア特定データ(たとえばビアコード)と対応付けた形で図面データメモリ52gに記憶される。なお、ビアをエレメントの1種とする場合、ビア位置データはエレメントの属性データとなる。
【0038】
図11に戻り、エレメントの描画を行った場合はS4に進み、図9に示すように、同一レイヤ内にその入力したエレメントOB12に部分的に重なる(すなわち、接続されている)入力済のエレメントOB11が存在するか否かを判定する。NoであればさらにS5に進み、図10に示すように、ビアVA11を介した異レイヤ間接続により別のエレメントOB31に接続していないかどうかを判定する。これもNoであればS6に進み、そのエレメントOB12を配線ネット図形として、たとえばエレメント特定情報のみを、図面データメモリ52g内の配線ネットデータ登録メモリ52i(図3)に、ネット特定情報(たとえばネット番号)を付与して新ネットデータとして書き込み、これを登録する。なお、ネット特定情報は、各エレメントの属性データに含まれる。
【0039】
また、図11のS4(図8参照)あるいはS5(図10参照)においてYesの場合はともにS7へ進み、そのエレメントを接続先となるエレメントが属する登録済の配線ネット図形に組み込む処理、すなわち新たに描いたエレメントのエレメント特定データを、配線ネットデータ登録メモリ52i内の対応するネットデータに付加する処理を行なう(S4→S7)。また、ビアによる接続の場合は、そのビア特定データもネット特定情報に付加する(S5→S7)。こうして、図3に示すように、配線ネットデータ登録メモリ52i内には、各ネット特定情報net1,net2,・・と、その配線ネットに属するエレメントの特定データOB11,OB12,・・あるいはビアの特定データVA11,VA12,・・とが互いに対応付けられたネットデータが記憶されてゆくこととなる。
【0040】
他方、図9に示すように、異レイヤ間で重なるエレメントが発生した場合は、それらエレメント特定データの重なり先のネットデータへの付加は行われない。しかしながら、図11のS10において、新たに入力されたビア図形により互いに接続される配線ネット図形が発生した場合はS11に進み、それらの配線ネット図形のネットデータ同士を統合(マージ)して、それを1つの配線ネット図形のネットデータとして再登録する処理が行われる。この場合、ネット特定情報は、統合前の配線ネット図形の一方に対応するものを残し、他方を削除してこれを欠番として扱うようにしてもよいし、両方のネット特定情報を消して新たなネット特定情報を付与するようにしてもよい。
【0041】
上記のようなエレメントやビアの入力の作図入力を繰り返した後、作図作業を終了する場合は、S12からS13へ進み、図面データメモリ52g内に蓄積されている図形のデータ、すなわち図面データを、配線ネットデータ登録メモリ52i内のネットデータとともにファイル名を付与して、HDD110(図2)の第1図面データファイル63aに書き込み、保存する。
【0042】
上記のようにして作成された、各エレメント(作図対象要素)のCADデータは、CAMデータに変換される。CAMデータは、エレメントまたは該エレメントと関連付けた形で電子回路基板1に形成される付加要素(たとえばエレメントをなす半田ランド上に形成される半田バンプ)からなる製造対象要素の、製造途上での寸法、形状および配置位置、あるいは製造対象要素を製造するための治具(たとえば、ビアパターン、配線パターンを露光するためのマスクや、半田バンプ形成に使用する半田ペースト塗布用マスクなど)の、該製造対象要素に対応した部分の寸法、形状および配置位置を特定する図形データである。また、レーザ加工を行なう場合には、ワーク(電子回路基板)を固定するXYステージや、レーザの照射位置を設定するガルバノスキャナの制御等にCAMデータを使用することができる。
【0043】
次に、上記の第1CADシステム100のフォーマットで作成した第1図面データファイル63aを、第2CADシステム200のフォーマットの第2図面データファイル63bに変換する手順について説明する。まず、図12に示すように、HDD110に格納されたアプリケーションプログラム62は、第1CADシステムプログラム本体62a、第1アクセスライブラリ62b、第2CADシステムプログラム本体62c、第2アクセスライブラリ62dおよびデータ変換モジュール62e等により構成されている。各プログラム本体62a,62cは、それぞれ第1CADシステム100、第2CADシステム200の主要な機能を実現するものである。データ変換モジュール62eは、データ変換システム300の要部をなす。
【0044】
上記した第1アクセスライブラリ62bおよび第2アクセスライブラリ62dは、バイナリ形式の図面データを操作するためのコンピュータ言語ライブラリ(たとえばC/C++言語ライブラリ)を提供するものである。通常、図面データベース(図面データファイル)のデータ構造は非公開であり、直接アクセスすることはできない。ただし、上記のようなアクセスライブラリ62b,62dを使用してC言語やC++言語で適切なプログラム(図面操作プログラム)を作成し、作図インターフェース(キーボードやマウス)よりオペレータが理解可能なコマンドおよび/またはパラメータ(引数)を入力することにより図面操作プログラムを実行することができる。これにより、図面データベース(図面データファイル)に直接アクセスして図面データを参照する、図面データを削除する、図面データを作成する、エレメントの属性を変更する(例:実線を破線に変更する)などの、図面データの操作を行なえる。また、「printf」コマンド等により、参照したデータをモニタに出力させることも可能である。このように、各アクセスライブラリ62b,62dに定義されている関数を用いれば、通常コマンドで提供されるほとんどの操作、図面データの緻密加工、さらには自動設計を行なうことが可能となっている。なお、第1アクセスライブラリ62bは第1CADシステム100に、第2アクセスライブラリ62dは第2CADシステム200にそれぞれ固有であり、これらのライブラリに互換性はない。また、各アクセスライブラリ62b,62dのソースコードは、通常は非公開である。
【0045】
アクセスライブラリ62b,62dを用いて図面データにアクセスすることにより、該図面データを構成するエレメントの1つ1つについて、属性データを読み出し、RAM105内に属性データのリストを作成することができる。この点に着目して、以下に示す方法によりフォーマットの変換を行なう。図13は、本発明にかかるデータ変換方法の全体概要を示す概念図である。この概念図に示すように、第1アクセスライブラリ62bを用いて第1図面データファイル63aにアクセスし、メモリ(RAM105)に第1図面データを読み出す。そして、RAM105に読み出した第1図面データに基づいて、第2アクセスライブラリ62dを用いた作図操作を行い、第2図面データを作成し、これを保存して第2図面データファイル63bを得る。以下、順を追って詳しく説明する。
【0046】
なお、データ変換システム300において、CPU103は、後述するリスト生成手段、データ変換手段(単位変換手段および予備ファイル作成手段を含む)および第2図面データファイル作成手段等の主体をなすものである。
【0047】
前述したように、第1アクセスライブラリ62bと第2アクセスライブラリ62dとの間に直接の互換性は無い。ただし、各アクセスライブラリ62b,62dの関数一覧および使用方法は、予め知ることができる。たとえば、図14に示すような関数リスト80,81が配布される。これらの関数リスト80,81に記されているように、各アクセスライブラリ62b,62dには、ファイルをオープンする関数(コマンドともいう)、ファイルをクローズする関数、図面データを参照する関数、作図を行なう関数など、さまざまな関数が定義されている。
このような関数リスト80,81は、各アクセスライブラリ62b,62dが提供する関数の意義を明らかにする。また、関数に渡すべきパラメータ(引数)や、関数が返す値(戻り値)の意味を明らかにする。
【0048】
まず、第1アクセスライブラリ62bを使用し、第1図面データファイル63aをオープンして、レイヤを指示し、指示したレイヤに属するエレメントの属性データを参照する(RAM105内に読み出す)。これにより、RAM105の所定エリアには、図15に示すように、エレメントの種類(ライン、パッド、電源プレーン、ビア、アライメントマークなど)、始点および終点等の座標を示すXYプロパティ(x,y)、線幅(W)、配線ネット(net)、インダクタンス(L)、コンダクタンス(C)、抵抗(R)などの属性データが読み出される。このようにして全エレメントの属性データを読み出し、該属性データに基づいて第2アクセスライブラリ62dを使用した作図操作が実行できればよい。この作図操作のためのプログラム(以下、作図プログラムともいう)の実行により、第2図面データファイル63bが作成される。なお、属性データとしては図15中に記載したもの以外にも、レイヤ情報、配線長、ディファレンシャルプレーン、ビア配線など様々なものがあるが、本明細書中では簡単ため省略してある。
【0049】
上記した作図プログラムは、予めコンパイルされたものとしているので、第2アクセスライブラリ62dに定義される作図用の関数に対しては、バイナリの属性データのインポートを行なえばよい。ただし、両アクセスライブラリ62b,62d間で、属性データの書式、具体的にはエレメントの種類、線種といった属性データのバイナリ表現の相違、さらには各属性データの配列(構造体変数の構造)の相違が存在する。RAM105内のバイナリの属性データを、そのまま第2アクセスライブラリ62dの関数に渡すことは不可である。したがって、作図プログラムへの属性データのインポート、具体的には第2アクセスライブラリ62dの作図関数に属性データを渡すことは、属性データの書式の変換をしつつ、あるいは属性データの書式の変換を終えたあとで行なうようにする。このような変換は、データ変換モジュール62eの実行により実現されるものである(データ変換手段)。
【0050】
具体的にデータ変換モジュール62eは、以下の手順にて作成することができる。まず、第1アクセスライブラリ62bを用いて、RAM105に読み出される第1図面データにおけるエレメントの属性データの書式と、RAM105に読み出されたエレメントの作図操作を行なうために第2アクセスライブラリ62dに必要とされる属性データの書式との対応関係を予め調べる。第1アクセスライブラリ62bを用いてRAM105に読み出される第1図面データにおけるエレメントの各属性データがどのような配列によって記述されているかは、第1アクセスライブラリ62bの仕様から予め知ることができる。各属性データが構造体変数によって記述されていれば、通常の変数のように、構造体ポインタを用いて特定の属性データを参照することができる。
【0051】
図16に示すのは、1つのエレメントにかかるデータ変換の手順を示す概念図である。まず、本図の上段に示すように、1本のラインがレイヤM1に描かれているとする。このラインの属性データを、第1アクセスライブラリ62bを用いてRAM105に読み出す。読み出されたエレメントの種類を表す属性データは「line」であり、第2アクセスライブラリ62bに用意された作図関数である「write」関数の引数として、RAM105に読み出された属性データをインポートする。ここで、第2アクセスライブラリ62bの作図関数が引数として要求する属性データの書式と、RAM105にリストアップされている属性データの書式(配列)が相違する。したがって、配列を変換した形で、あるいは配列を変更しつつ引数渡しを行なう。この引数渡しは、データ変換モジュール62eが行なうべき処理に含まれる。なお、属性データの構造体は、通常の変数のように「値渡し」と「アドレス渡し」との2つの方法で引数に指定することができ、本明細書では両方の概念を包含する。
【0052】
属性データの書式の変換は、エレメントの種類に応じて行なうことができる。そのため、データ変換モジュール62eは、全エレメントについて、属性データを渡す側と渡される側(第2アクセスライブラリの関数)との相違を見出し、見出した対応関係にて変換が行なわれるように作成されることとなる。第1アクセスライブラリ62bを用いて読み出した特定のエレメントの属性データを、第2アクセスライブラリ62dの関数に適切に渡すための変換テーブルがデータ変換モジュール62eに設けられる。
【0053】
他の例としては、たとえば第1CADシステム100および第2CADシステム200のエレメント属性の1つとして、「線種」という属性があるとする。たとえば「実線」「破線」「一点鎖線」等の属性が設定されるとする。第1CADシステム100において、「実線」を表すバイナリデータは「AAh」の1バイトで表されるとする。ところが、第2CADシステム200では、「実線」は「BBh」という1バイトのバイナリデータで表されるとする。このような書式の差異を、上記した引数渡しの際に行なう必要がある。データ変換モジュール62eが持つ変換テーブルは、両CADシステム100,200間におけるエレメント属性データの書式の対応関係が記述されたものとなる。このように、属性データの書式という意味には、ある同一の属性がどのようなバイナリデータで表されているか、という意味と、複数の属性データ同士がどのようなデータ構造をもつか、という意味とが含まれている。
【0054】
また、「線幅」など、数値によって表される属性もあり、第1CADシステム100と第2CADシステム200とで共通の表現形式が採用されることが考えられる。つまり、第1CADシステム100と第2CADシステム200とにおける属性のバイナリ表現の共通点と相違点とを見出して、該相違点についてデータ変換モジュール62eが有する変換テーブルが作成されることになる。なお、実際の属性データは、たとえばC言語を例にするとchar、int、doubleなどの変数型を持つ。本実施形態においては、このような変数型の変換を行なわないこととしているが、たとえばint型からdouble型への変換など、変数型を変換する場合も考え得る。
【0055】
以上に説明したように、第1アクセスライブラリ62bを用いて第1図面データファイル63aから第1図面データを読み出し、該第1図面データを構成するエレメントの属性データをバイナリで表したリストを生成する(リスト生成手段)。エレメントの属性データのリストアップは、レイヤ別に行なうようにすると効率がよい。そして、データ変換モジュール62eを起動することにより、リストに列挙されたエレメントの属性データを、第2アクセスライブラリ62dを用いた作図操作のための書式に変換した形で、該第2アクセスライブラリ62dの作図関数に引数渡しする。そして、その作図関数を含む作図操作プログラムの実行により、リストに列挙されたエレメントがレイヤに書き込まれ、ファイルが保存される。これにより、第2CADシステム200のフォーマットで記述された第2図面データファイル63bが得られる。
【0056】
なお、線幅等の同一の属性データであっても、ファイルの変換元のCADシステム(本実施形態では第1CADシステム100)と、変換先のCADシステム(本実施形態では第2CADシステム200)とが、値(設計値)を異なる単位で表わす場合がある。たとえば、第1CADシステム100はミリメートル表記、第2CADシステム200はマイクロメートル表記を採用する、といった場合が考えられる。このような場合、第1アクセスライブラリ62bを用いて第1図面データファイル63aにアクセスし、メモリ内にエレメントの属性データをバイナリで表したリストを生成したのち、属性データの書式の変換に先立ち、該属性データについて、第1CADシステム100が扱う単位から第2CADシステム200が扱う単位への変換を行なうようにするとよい。この単位変換にかかる処理は、データ変換モジュール62eが担うこととなる。(CPU103:単位変換手段)。
【0057】
また、図面データのサイズが非常に大きい場合には、第1図面データファイル63aと、後述する第2図面データファイル63bとなるべき予備ファイルとをオープンの状態に保ちつつ、該予備ファイルへの第2図面データの書き込みにかかる処理と、第1図面データファイル63aからの図面データの読み込みにかかる処理とを並列して交互に行なうようにすればよい。このようにすれば、リソース不足を回避できる。
【0058】
以上の説明をまとめたフローチャートを、図17に示す。まず、S1に示すように、変換元のファイルである第1図面データファイル63aを、第1アクセスライブラリ62bのファイルオープンコマンドを使用してオープンにする。次に、第1図面データファイル63aからエレメントの属性データをRAM105に読み込む処理に先立ち、第1図面データファイル63aの図面データ本体を除いた部分を複写した予備ファイルを作成する。この予備ファイルは、第2図面データが記述されることにより第2図面データファイル63bとなるものである。第1図面データファイル63aの図面データ本体を除いた部分は、第1図面データファイル63aのコメント情報と、設計されるべき電子回路基板1に禁止される設計事項を記述したデザインルールとを含む。上記のコメント情報は、総レイヤ数、ファイルの所有者などの情報を含む。すなわち、第1図面データファイル63aと同数のレイヤが予備ファイルに設定され、各レイヤに対して順番にエレメントが記述されていく。また、デザインルールは、最小配線−配線間隔、最大トータル配線長など、禁止される設計事項に関する情報を示す。予備ファイルの作成は、データ変換モジュール62eに行なわせることができる(CPU103:予備ファイル作成手段)。
【0059】
次に、S3およびS4に示すように、指定したレイヤに存在するエレメントの属性データをRAM105内に読み出し、属性データをバイナリで表したリストを生成する(リスト生成手段)。次に、該リストにおけるエレメントの属性データを、第2アクセスライブラリ62dを用いて作図操作を行なう場合に必要とされる書式に変換することと、該第2アクセスライブラリ62dに引数としてインポートすることとを行なう(データ変換手段)。次に、第2アクセスライブラリ62dを用いてエレメントをレイヤに書き込むための作図プログラムを実行する(S6)。次に、S7において、全レイヤについて変換が終了を確認したら、第1図面データファイル63aおよび第2図面データファイル63bを、各アクセスライブラリ62b,62dを用いてクローズする(S8)。これにより、第2図面データファイル63bが作成されたこととなる(第2図面データファイル作成手段)。本実施形態に記載したデータ変換方法によれば、変換元のファイルは削除コマンドを実行しない限り、そのまま残る。したがって、第1図面データファイル63aをクローズすることが必要である。
【0060】
以上、本発明の方法によれば、あるCADシステムにおいて作成した図面データを別のCADシステムで運用可能なデータに変換できる。なお、本実施形態は、第1CADシステム100、第2CADシステム200およびCADデータ変換システム300の3者を、ハードウェアを共有する形で構築した例であるが、これに限らず、たとえば第1CADシステム100と第2CADシステム200とを別々のハードウェアにて構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子回路基板の一例を示す断面図。
【図2】電子回路基板用CADシステムの電気的構成を示すブロック図。
【図3】配線ネットデータ登録メモリの内容を示すマップ。
【図4】電子回路基板用CADシステムにおける作図画面上での操作過程の説明図。
【図5】エレメントの概念図。
【図6】エレメントのCADデータの概念図。
【図7】ビア図形のCADデータの概念図。
【図8】エレメントの重なり接続状態の第一説明図。
【図9】エレメントの重なり接続状態の第二説明図。
【図10】エレメントのビア接続状態の説明図。
【図11】作図処理の流れを示すフローチャート。
【図12】アプリケーションプログラムの構成を示す概念図。
【図13】本発明にかかるCADデータ変換方法の全体を示す概念図。
【図14】アクセスライブラリに定義される関数リストの概念図。
【図15】メモリに読み出されたエレメントの属性データの概念図。
【図16】データ変換の手順を示す概念図。
【図17】データ変換処理のフローチャート。
【符号の説明】
1 電子回路基板
62 アプリケーションプログラム
62b 第1アクセスライブラリ(第1データ操作モジュール)
62d 第2アクセスライブラリ(第2データ操作モジュール)
62e データ変換モジュール
63a 第1図面データファイル
63b 第2図面データファイル
100 第1CADシステム
103 CPU(リスト生成手段、データ変換手段、単位変換手段、予備ファイル作成手段、第2図面データファイル作成手段)
105 RAM
200 第2CADシステム
300 CADデータ変換システム
【発明の属する技術分野】
本発明は、異機種のCAD同士にデータの互換性を持たせるためのCADデータ変換方法、CADデータ変換システムおよびCADデータ変換プログラムに関する。また、そのデータ変換方法によって加工されたCADデータを用いて電子回路基板を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ICやマイクロプロセッサ等の半導体チップは、近年高集積化が急速に進んでいることから、チップの入出力部の端子数も大幅に増大しつつある。これを受けて、そのようなチップを接続するための電子回路基板も配線部の数が急増しており、高分子材料やセラミック等の絶縁層を介して多層の配線部を作り込んだ積層型のパッケージ基板が増えてきている。最近では、このような電子回路基板の設計を効率よく行なうために、コンピュータ作図処理を用いた設計システム、いわゆるCAD(Computer Aided Design)システムが使用されている(下記特許文献1)。これは、表示装置上に作図画面を開き、配線部、接地用あるいは電源用の面導体パターン、異なる配線層同士を接続するビア、あるいは配線端子部をなすパッドやランドなどの基板要素(エレメント)を、CADデータとして、マウス等の入力装置を用いて作図レイヤ上に描くことにより基板設計図を得るものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−276505号公報
【0004】
昨今、上記のようなCADシステムは非常に多くの種類のものが提供されている。異機種間でのデータの互換についていえば、オートデスク社のデファクトスタンダードであるDXFや、ANSI(American National Standard Institute)規格であるIGESなどのフォーマットを利用することが一般的である。多くのCADシステムは、DXFやIGESフォーマットをサポートしている。100%互換とまでは言えないものの、DXFやIGESフォーマットを経由することにより、1つのCADシステムで作成した図面データファイルを別のCADシステムで読み取れる図面データファイルに変換できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、DXFやIGESを経由する場合でも、それらのフォーマットで定義されていない属性データが変換されずに欠落することがしばしばある。たとえば、電子回路基板用CADシステムを例にすると、電子回路基板の設計図を構成するエレメントに特有の属性として、たとえば配線ネットと呼ばれる論理接続データ、抵抗、インダクタンス、キャパシタンスなどが定義されているが、これらの属性データは、変換の対象とならなかったり、正確に変換できなかったりする。たとえば、機械系CADシステム等で作成される図面データに関していえば、図形・絵柄さえ正確に変換されれば問題無いという場合もある。しかしながら、電子回路基板用のCADシステムのような電気系CADシステムで作成される図面データにおいて、電気特性や回路のつながりを表す属性データが欠落することは、電気回路の設計図としての価値を失うことに等しい。このように、異機種のCADシステム間のデータ互換性は、未だ不十分であるといえる。
【0006】
本発明の課題は、異機種のCADシステム間にデータの互換性を持たせるためのCADデータ変換方法、CADデータ変換システムおよびCADデータ変換プログラムを提供することにある。併せて、得られたCADデータに基づいて電子回路基板を製造する方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
上記課題を解決するために本発明は、第1CADシステムのフォーマットで記述された第1図面データファイルを、第2CADシステムのフォーマットで記述された第2図面データファイルに変換するCADデータ変換方法において、第1図面データファイルにアクセスしてバイナリ形式の第1図面データを操作するために用いられる第1データ操作モジュールと、第2図面データファイルにアクセスしてバイナリ形式の第2図面データを操作するために用いられる第2データ操作モジュールとが提供されているとき、第1データ操作モジュールを用いて読み出される第1図面データにおけるエレメントの属性データの書式と、エレメントの作図操作を行なうために第2データ操作モジュールが要求する属性データの書式との対応関係を予め調べ、見出した対応関係に基づいて一方の書式を他方の書式に変換するデータ変換モジュールを作成する一方、第1データ操作モジュールを用いて第1図面データファイルから第1図面データを読み出し、該第1図面データを構成するエレメントの属性データを表すリストを生成し、データ変換モジュールを起動することにより、リストに挙げられたエレメントの属性データを、第2データ操作モジュールを用いた作図操作のための書式に変換した形で、該第2データ操作モジュールに定義された命令に渡すとともに、リストに挙げられたエレメントを、第2データ操作モジュールを用いてレイヤに書き込むことにより、第2図面データファイルを得ることを特徴とする。
【0008】
上記の第1データ操作モジュールおよび第2データ操作モジュールは、本来、バイナリ形式の図面データを操作するために提供されるものである。各データ操作モジュールを用いることにより、既に存在する図面データファイル(図面データベース)にアクセスして、図面データを参照すること、図面データの一部または全部を削除すること、図面データを作成することなどが可能である。ファイルから読み出された図面データは、メモリ内において、エレメントの属性データがバイナリで表されたものとなる。そして、このバイナリデータを操作することにより、図面データを加工したり作成したりすることができる。ただし、第1データ操作モジュールと第2データ操作モジュールとでは、同一のエレメントを記述するための属性データの書式が異なる。
【0009】
したがって、第1データ操作モジュールを用いて読み出した属性データを、第2データ操作モジュールを用いた操作用に変換した形で、該第2データ操作モジュールに渡さなければならない。このような処理にかかるデータ変換モジュール(変換プログラムモジュール)は、第1データ操作モジュールを用いて図面データを読んだときに返される属性データの書式と、第2データ操作モジュールを用いて作図を行なう際に必要とされる属性データの書式との対応関係を照合し、該照合結果に基づいて作成することができる。データ変換モジュールにかかる変換処理によれば、第1データ操作モジュールを用いて読み出した属性データを、第2データ操作モジュールを含む作図プログラム用に変換できる。変換後の属性データを第2データ操作モジュールに定義された命令に渡すとともに、該命令を含む作図プログラムを実行してエレメントをレイヤに書き込めば、該第1図面データファイルとはフォーマットの異なる第2図面データファイルを得ることができる。要するに、バイナリデータからバイナリデータへの直接変換を行なっていることになる。これによれば、DXF等の第3のフォーマットを経由させたりしないので、データの欠落を生じさせることなく、高速かつ高効率な変換処理を実現することができる。
【0010】
具体的に、第1データ操作モジュールおよび第2データ操作モジュールは、バイナリ形式の図面データを操作するためのコンピュータ言語ライブラリを提供する第1アクセスライブラリおよび第2アクセスライブラリをそれぞれ含む。それらアクセスライブラリに定義された関数を用いた図面操作プログラムの実行により、バイナリ形式の第1図面データまたは第2図面データの操作が可能とされる。この場合において、第1アクセスライブラリと第2アクセスライブラリとの間の、属性データの書式の対応関係を調べ、見出した対応関係に基づいてデータ変換モジュールを構成し、このデータ変換モジュールを起動することにより、第1アクセスライブラリを用いて読み出したエレメントの属性データを、該エレメントの作図を行なうために必要とされる書式に変換することと、第2アクセスライブラリの関数に引数として渡すこととを行い、第2アクセスライブラリを用いた作図処理の実行により、作図レイヤへのエレメントの書き込みを進め、第2図面データファイルを作成することができる。
【0011】
アクセスライブラリは、バイナリ形式の図面データを直接加工する、または図面データを作成するためのコンピュータ言語ライブラリ(C言語ライブラリ,C++言語ライブラリなど)を提供するものである。つまり、アクセスライブラリが提供する関数を用いてプログラムを作成し、作図インターフェース(キーボードやマウス)よりオペレータが理解可能なコマンドおよび/またはパラメータ(引数)を入力することにより、図面データベースに直接アクセスでき、データの参照、作成、削除、変更などの緻密な操作を行なえる。たとえば、特定のエレメントのみを抽出して属性データを参照する、といった操作も可能である。アクセスライブラリは、高度な設計が要求される電子回路基板用CADシステムなどの電気系CADシステムや、3次元CADシステムにオプションで提供されるのが通常である。たとえば、図研社より入手可能な「CR−5000(登録商標)」や、ケイデンス・デザイン・システムズ社より入手可能な「Allegro(登録商標)」には、それぞれ独自の仕様のアクセスライブラリが提供されていることはよく知られている。
【0012】
上記のようなアクセスライブラリが予め提供されているときに、エレメントの属性データの書式について、第1アクセスライブラリと第2アクセスライブラリとの相違を是正するプログラムをデータ変換モジュールに組み込む。そして、第1アクセスライブラリを用いて読み出したエレメントの属性データを、第2アクセスライブラリに定義された関数(作図関数)に、引数として渡すための書式に変換する。あとは、作図処理を実行してレイヤに図面データを書き込み、ファイルを保存すれば、第2図面データファイルを得ることができる。この場合には、第2アクセスライブラリを用いた作図処理のためのプログラムが必要となる。
【0013】
また、第1データ操作モジュールを用いて第1図面データファイルにアクセスし、メモリ内にエレメントの属性データを表すリストを生成したのち、属性データの書式の変換に先立ち、該属性データについて、第1CADシステムが扱う単位から第2CADシステムが扱う単位への変換を行なうようにするとよい。これによれば、一方のCADシステムでは、寸法がミリメートルで表されるが、他方のCADシステムでは、寸法がマイクロメートルで表される、といった場合に対処することができる。
【0014】
また、上記した第1CADシステムおよび第2CADシステムが、電子回路基板用CADシステムである場合には、以下のような操作を行なうことができる。
すなわち、第1図面データファイルからのエレメントの属性データの読み込みに先立ち、第1図面データファイルが有する、ファイル所有者等のコメント情報と、設計されるべき電子回路基板に禁止される設計事項を記述したデザインルール情報とを複写した予備ファイルを作成し、第2アクセスライブラリを用いた作図処理の実行により、予備ファイルに設定されたレイヤにエレメントを書き込んでいくことにより、第2図面データファイルを作成することができる。このようにすれば、第2CADシステム上でもデザインルールチェックを容易に行なえるようになる。
【0015】
また、課題を解決するために本発明のCADデータ変換システムは、第1CADシステムのフォーマットで記述された第1図面データファイルを、第2CADシステムのフォーマットで記述された第2図面データファイルに変換するためのCADデータ変換システムであって、第1図面データファイルにアクセスしてバイナリ形式の第1図面データを操作するために用いられる第1データ操作モジュールと、第2図面データファイルにアクセスしてバイナリ形式の第2図面データを操作するために用いられる第2データ操作モジュールと、第1データ操作モジュールを用いて第1図面データファイルから第1図面データを読み出し、該第1図面データを構成するエレメントの属性データを表すリストを生成するリスト生成手段と、リストにおけるエレメントの属性データを、第2データ操作モジュールによりエレメントの作図操作を行なう場合に必要とされる書式に変換することと、該第2データ操作モジュールに定義された命令に渡すこととを行なうデータ変換手段と、データ変換手段から属性データを受け取って、第2データ操作モジュールを用いてエレメントをレイヤに書き込むことにより、第2図面データファイルを作成する第2図面データファイル作成手段と、を備えたこと特徴とする。
【0016】
好適な態様において、第1データ操作モジュールおよび第2データ操作モジュールは、バイナリ形式の図面データを操作するためのコンピュータ言語ライブラリを提供する第1アクセスライブラリおよび第2アクセスライブラリをそれぞれ含み、それらアクセスライブラリに定義された関数を用いた図面操作プログラムの実行により、バイナリ形式の第1図面データまたは第2図面データの操作が可能とされており、データ変換手段は、第1アクセスライブラリと第2アクセスライブラリとの間の、属性データの書式の対応関係に基づいて構成されており、リスト生成手段によって第1アクセスライブラリが起動されてエレメントの属性データが読み出され、データ変換手段によって、該エレメントの作図を行なうために必要とされる書式に変換すること、属性データを第2アクセスライブラリの関数に引数として渡すこととが行なわれ、第2図面データファイル作成手段によって第2アクセスライブラリが起動されて作図処理が実行されるとともに、作図レイヤへのエレメントの書き込みが進められ、第2図面データファイルが作成される。
【0017】
また、第1アクセスライブラリを用いて第1図面データファイルがアクセスされることにより、リスト生成手段によりメモリ内にエレメントの属性データを表すリストが生成される。データ変換手段は、属性データの書式の変換に先立ち、該属性データについて、第1CADシステムが扱う単位から第2CADシステムが扱う単位への変換を行なう単位変換手段を含む。
【0018】
また、上記した第1CADシステムおよび第2CADシステムは、電子回路基板用CADシステムとされる。データ変換手段は、リスト生成手段による第1図面データファイルからのエレメントの属性データの読み込みに先立ち、第1図面データファイルが有する、ファイル所有者等のコメント情報と、設計されるべき電子回路基板に禁止される設計事項を記述したデザインルール情報とを複写した予備ファイルを作成する予備ファイル作成手段を含み、第2図面データファイル作成手段によって第2アクセスライブラリが起動されて作図処理が実行されるとともに、予備ファイルに設定されたレイヤにエレメントが書き込まれていくことにより、第2図面データファイルが作成される。
【0019】
上記した各態様のCADデータ変換システムは、前述したCADデータ変換方法の対応箇所における有意な効果を援用できるものである。したがって、上記CADデータ変換システムによれば、データの欠落を生じさせず、第1図面データファイルを、該第1図面データファイルとはフォーマットの異なる第2図面データファイルに直接変換することができる。また、データをテキストに落としたり、DXF等のフォーマットを経由させたりしないので、高速な変換処理を実現することができる。
【0020】
また、課題を解決するために本発明のCADデータ変換プログラムは、コンピュータにインストールすることにより、上記したCADデータ変換システムを構成する各手段として当該コンピュータを機能させることを特徴とする。
【0021】
また、課題を解決するために本発明の電子回路基板の製造方法は、上記したCADデータ変換方法を用いて、第1CADシステムで作成された電子回路基板の設計情報ファイルを、第2CADシステムで読取り可能な設計情報ファイルに変換する工程と、該変換後に得られた設計情報ファイルの出力に基づいてCAMデータを作成し、そのCAMデータに基づいて電気回路製造用機器を制御し、電子回路基板を製造する電子回路基板製造工程と、を含むことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。まず、電子回路基板用CADシステムの概要について説明する。図2は、第1の電子回路基板用CADシステム100(以下、第1CADシステム100と記載する)の全体構成を示すブロック図である同時に、第2の電子回路基板用CADシステム200(以下、第2CADシステム200と記載する)、さらにはCADデータ変換システム300の全体構成を示すブロック図でもある。つまり、第1CADシステム100、第2CADシステム200およびCADデータ変換システム300は、互いにハードウェアを共有している。ただし、第1CADシステム100と第2CADシステムとはデータフォーマットが相違し、データの互換性を有さない。要するに、第1CADシステム100のフォーマットにより作成された第1図面データファイル63a(第1図面データベース)は、その記述内容を第2CADシステム200で直接読取ることはできない。データ変換システム300は、第1CADシステム100のフォーマットで作成された第1図面データファイル63aを、第2CADシステム200で読取可能な第2図面データファイル63b(第2図面データベース)に変換する。この詳細は後述する。
【0023】
以下、第1CADシステム100、第2CADシステム200およびデータ変換システム300に共通のハードウェアに関する説明は、第1CADシステム100についてのみ記載する。第1CADシステム100は、CPU103と、ROM104、RAM105、入出力インターフェース102等からなるコンピュータ本体112を備え、これに周辺機器として、キーボード106あるいはマウス107等の入力手段、CD−ROMドライブ108あるいはフレキシブルディスクドライブ109等の記録媒体読取手段、ハードディスクドライブ110、モニタ制御部111を介して接続されるモニタ113、プリンタ114等が接続されたコンピュータシステムとして、全体が構築されている。
【0024】
第1CADシステム100および第2CADシステム200において、CPU103は、作図レイヤ設定手段、CADデータ入力手段、CAMデータ変換手段、CAMデータ出力手段等の主体をなすものである。また、キーボード106あるいはマウス107は、CPU103とともにCADデータ入力手段の主体をなすものである。さらに入出力インターフェース102は、作図が終了した電子回路基板の設計図面を印刷出力する図面出力手段の他、CAMデータ変換手段がCADデータに基づいて変換・作成したCAMデータを出力するCAMデータ出力手段として機能する。
【0025】
HDD110には、オペレーティングシステムプログラム(以下、OSという)61およびアプリケーションプログラム(以下、アプリケーションという)62が格納されている。アプリケーション62は、第1CADシステム100、第2CADシステム200およびデータ変換システム300の機能を実現するためのコンピュータプログラムであり、OS61上にてアプリケーションワークメモリ52を作業領域とする形で作動するものである。これは、たとえばCD−ROM120等にコンピュータ読取り可能な状態で記憶され、HDD110上の所定の記憶領域にインストールされるものである。図12に示すように、アプリケーションプログラム62は、第1CADシステムプログラム本体62a、第2CADシステムプログラム本体62cおよびデータ変換モジュール62e(データ変換プログラムモジュール)を含む。また、第1CADシステム100および第2CADシステム200は、C/C++コンパイラ等のアプリケーションを備え、コンピュータ言語開発環境を有するCADシステムとして構成されている。
【0026】
また、HDD110には、第1CADシステム100のフォーマットで作成された第1図面データファイル63aと、第1図面データファイル63aをデータ変換システム300により第2CADシステム200のフォーマットに変換した第2図面データファイル63bが記憶されている。また、HDD110には、第1図面データファイル63aまたは第2図面データファイル63bに基づいて変換・生成されたCAMデータファイル64が記憶されている。一方、RAM105には、OS61のワークメモリ51、およびアプリケーションのワークメモリ52がそれぞれ形成される。
【0027】
図1は、上記第1CADシステム100および第2CADシステム200の適用対象となる電子回路基板の一例を断面構造にて示している(この電子回路基板1はオーガニック基板として構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、セラミック基板への適用も可能である)。すなわち、電子回路基板1は、耐熱性樹脂板(たとえばビスマレイミド−トリアジン樹脂板)や、繊維強化樹脂板(たとえばガラス繊維強化エポキシ樹脂)等で構成された板状のコア材2の両表面に、所定のパターンにコア導体層M1,M11がそれぞれ形成される。
これらコア導体層M1,M11はコア材2の表面の大部分を被覆する面導体パターンとして形成され、電源層または接地層として用いられるものである。他方、コア材2には、ドリル等により穿設されたスルーホール12が形成され、その内壁面にはコア導体層M1,M11を互いに導通させるスルーホール導体30が形成されている。また、スルーホール12は、エポキシ樹脂等の樹脂製穴埋め材31により充填されている。
【0028】
また、コア導体層M1,M11の上層には、感光性樹脂組成物6にて構成された第一ビア層(絶縁層あるいはビルドアップ層)V1,V11がそれぞれ形成されている。さらに、その表面にはそれぞれ配線部7を有する第一配線導体層M2,M12がCuメッキにより形成されている。なお、コア導体層M1,M11と第一配線導体層M2,M12とは、それぞれビア34により層間接続がなされている。同様に、第一配線導体層M2,M12の上層には、感光性樹脂組成物6を用いた第二ビア層(絶縁層あるいはビルドアップ層)V2,V12がそれぞれ形成されている。その表面にはそれぞれ第二配線導体層M3,M13がCuメッキにより形成されている。これら第一配線導体層M2,M12と第二配線導体層M3,M13とも、それぞれビア34により層間接続がなされている。第一配線導体層M2,M12は、シグナル配線層として用いられる。他方、第二配線導体層M3,M13は、コア導体層M1,M11と同様の形態を有する電源層または接地層として用いられる。特に、高周波用の配線基板においては、シグナル配線層の上下を電源層で挟んだストリップラインが採用される。
【0029】
また、ビア34は、ビアホール34hとその内周面に設けられたビア導体34sと、底面側にてビア導体34sと導通するように設けられたビアパッド34pと、ビアパッド34pと反対側にてビア導体34hの開口周縁から外向きに張り出すビアランド34lとを有している。
【0030】
次に、図1に戻り、コア材2の第一主表面側の第二ビア層V2上には配線導体層M3が形成され、ここに複数の半田ランド10や、その一部と導通する配線部7が設けられている。これら半田ランド10は、無電解Ni−PメッキおよびAuメッキにより基板のほぼ中央部分に正方形状に配列し、各々その上に形成された半田バンプ11とともにチップ搭載部40(図4)を形成している。
【0031】
他方、コア材2の第二主表面側の第二ビア層V12上には、裏面配線導体層M13が形成されている。裏面配線導体層M13には、ボールグリッドアレイ(BGA)やピングリッドアレイ(PGA)などの周知の接続形態にて、基板1をマザーボードなどの主基板に接続するための複数のランド17が形成されている。そして、表面配線導体層M3および裏面配線導体層M13上に、それぞれ、感光性樹脂組成物よりなるソルダーレジスト層8,18(SR1,SR11)が形成されている。表面側のソルダーレジスト層8には、半田ランド10を露出させるために、これら半田ランド10に一対一に対応する形で開口部8aが形成されてなり、その内側に半田ランド10と導通する形で半田バンプ11が配置されている。
【0032】
以下、第1CADシステム100の作動について詳細に説明する。第2CADシステム200の作動については、第1CADシステム100の説明を援用する。まず、図2のアプリケーションプログラム62を起動させると、モニタ113(図2)には、図4に示すように、作図画面40が表示される。本実施例のアプリケーションプログラム62は、公知のCADシステムと同様にドロー系グラフィックソフトウェアとして構築されており、作図画面40上にて、マウス107の操作により、電子回路基板1の基板要素(以下、エレメントともいう)の図形を、CADデータとして個別に入力しながら作図作業を進めるものである。本実施例では、新規図面の作図画面40を立ち上げると、別途HDD110等に記憶された表示データに基づき、該作図画面40内には、設計・作図すべき基板の主面外形線に対応した四辺形状の基準領域51と、デフォルトエレメント図形として、基板表面に標準的に形成される基板要素(本実施形態では、パッド53,55)の図形が表示されるようになっている。この場合、デフォルトエレメントデータを品番と対応付けて記憶するデフォルトエレメントデータ記憶部をたとえばHDD110に設けておき、品番をキーボード106(あるいはマウス107による画面上のソフトボタンクリック)により入力することで、対応するデフォルトエレメントデータを読み出し、これを作図画面に表示するようにしておけば、標準的に形成される基板要素上に配線部54等の図形を直ちに作図・入力できるので便利である。
【0033】
ここで、設計の対象となる基板は、複数の配線層(導体層)が絶縁層を介して積層されるパッケージ基板等である。そして、形成すべき配線層に対応する複数の作図レイヤが作図画面40に対して設定される。これら作図レイヤ(以下、単にレイヤともいう)は、図4においては重なっているため視覚的には判定できない。また、各レイヤに書き込まれた図形は作図画面40上では重ね表示されるが、特定のレイヤ上の図形のみを表示させたり、あるいは色彩、明るさ、濃淡、塗りつぶしパターンの変更等により、他のレイヤ上の図形とは表示状態を異ならせたりすることが可能である。
【0034】
図11は、作図処理の流れを示すフローチャートである。まずS1では、エレメントを書き込みたいレイヤを選択する。このレイヤ選択は、たとえばマウス107(図2)により、画面上に表示されたレイヤ選択のためのソフトボタン(図示せず)をクリックすることで行なうことができる。そして、図形として入力できるのは上記したエレメントと、異レイヤ間のエレメント同士を接続するためのビアの図形であり、S2およびS8では、そのどちらを選択するかがコマンド入力により決定される。このコマンド入力も、エレメント入力あるいはビア入力を選択するソフトボタン(図示せず)のマウスクリックにより行なうことができる。
【0035】
エレメント入力が選択されたらS2からS3に進み、エレメント描画を行なう。エレメントの描画に際しては、公知のCADシステムソフトウェアと同様に、配線描画、パッドやランドあるいは面導体パターンの描画など、描きたいエレメントの種別毎に描画ツールが用意されている。描画ツールも、画面上にソフトボタンとして形成された描画ツール選択ボタン(図示せず)のマウスクリックにより選択できる。そして、所望の描画ツールを選択したら、図4に示すように、作図位置を示すポインタPをマウス操作により移動させつつ、マウスクリックあるいはドラッグ(マウスボタンを押したままマウスを移動させること)等の操作を組み合せながらエレメントを描いてゆく。図4では、各パッド53と55とをつなぐ配線部の図形をエレメントとして描き終わった状態を示している。
【0036】
図6に示すように、エレメントは1つ描き終わる毎に、その図形データであるエレメント記述データが、エレメント特定データ(たとえばエレメントコード)およびレイヤ特定データ(たとえばレイヤ番号)と対応付けた形で、図2の図面データメモリ52gに記憶されてゆく。エレメント記述データは、たとえば図5に示すように、エレメントOB11,OB12,OB13,OB14等の形状、大きさおよび描画位置を、画面40(図4)上に設定される座標平面上で規定するためのベクトルデータ、関数式データあるいは特定の基準点の座標および半径や長さ等の寸法規定データの組として表される。たとえば、エレメントOB11は、基準点A11(x0,y0)を起点として所定の向き(たとえば右回り)に周回しながら、A11(x1,y1)、A11(x2,y2)、A11(x3,y3)、A11(x0,y0)の順でベクトルを連ねることによりエレメントの外形輪郭を描いた場合の、各ベクトルの終点位置の座標のデータ組として表わされている。エレメントOB12も同じである。また、パッドやランド等を表す円形のエレメントOB13は、その中心座標C13と半径r13とのデータ組として表わされている。さらに、たとえば幅Wが一定した配線部の図形であるエレメントOB14などは、その起点位置B14(X0,Y0)および終点位置B14(X1,Y1)の座標と線幅W14のデータ組として表わすことができる。なお、図5では、4つのエレメントOB11,OB12,OB13,OB14が全て同じレイヤ(M1)に描かれている。エレメント記述データはエレメントの属性データの1つである。
【0037】
一方、図11のS8においてビア入力が選択された場合には、S9に進んでビア入力処理となる。ビア34は、異配線層の配線同士を接続するものであるが、本実施例ではそのビア34の図形の入力は、ビア層単位で行なわれ、複数のビア層にまたがるビアは、複数のビアが重ねられたスタックドビアの形で入力される。従って、ビアを入力すべきビア層を指定することにより、単位となるビアを一つ入力することができる。なお、3つ以上のビア層が設けられ、3つ以上のビア層にまたがるビアを入力する場合は、ビア開始層とビア終了層とを指定することにより、中間層のビアを自動発生させるようにしてもよい。そして、このビア図形(これも基板要素の一つである)のデータは、図7に示すように、ビア位置データと、ビア層に対応したレイヤの特定情報(ビア形成レイヤVLY##)との組として、ビア特定データ(たとえばビアコード)と対応付けた形で図面データメモリ52gに記憶される。なお、ビアをエレメントの1種とする場合、ビア位置データはエレメントの属性データとなる。
【0038】
図11に戻り、エレメントの描画を行った場合はS4に進み、図9に示すように、同一レイヤ内にその入力したエレメントOB12に部分的に重なる(すなわち、接続されている)入力済のエレメントOB11が存在するか否かを判定する。NoであればさらにS5に進み、図10に示すように、ビアVA11を介した異レイヤ間接続により別のエレメントOB31に接続していないかどうかを判定する。これもNoであればS6に進み、そのエレメントOB12を配線ネット図形として、たとえばエレメント特定情報のみを、図面データメモリ52g内の配線ネットデータ登録メモリ52i(図3)に、ネット特定情報(たとえばネット番号)を付与して新ネットデータとして書き込み、これを登録する。なお、ネット特定情報は、各エレメントの属性データに含まれる。
【0039】
また、図11のS4(図8参照)あるいはS5(図10参照)においてYesの場合はともにS7へ進み、そのエレメントを接続先となるエレメントが属する登録済の配線ネット図形に組み込む処理、すなわち新たに描いたエレメントのエレメント特定データを、配線ネットデータ登録メモリ52i内の対応するネットデータに付加する処理を行なう(S4→S7)。また、ビアによる接続の場合は、そのビア特定データもネット特定情報に付加する(S5→S7)。こうして、図3に示すように、配線ネットデータ登録メモリ52i内には、各ネット特定情報net1,net2,・・と、その配線ネットに属するエレメントの特定データOB11,OB12,・・あるいはビアの特定データVA11,VA12,・・とが互いに対応付けられたネットデータが記憶されてゆくこととなる。
【0040】
他方、図9に示すように、異レイヤ間で重なるエレメントが発生した場合は、それらエレメント特定データの重なり先のネットデータへの付加は行われない。しかしながら、図11のS10において、新たに入力されたビア図形により互いに接続される配線ネット図形が発生した場合はS11に進み、それらの配線ネット図形のネットデータ同士を統合(マージ)して、それを1つの配線ネット図形のネットデータとして再登録する処理が行われる。この場合、ネット特定情報は、統合前の配線ネット図形の一方に対応するものを残し、他方を削除してこれを欠番として扱うようにしてもよいし、両方のネット特定情報を消して新たなネット特定情報を付与するようにしてもよい。
【0041】
上記のようなエレメントやビアの入力の作図入力を繰り返した後、作図作業を終了する場合は、S12からS13へ進み、図面データメモリ52g内に蓄積されている図形のデータ、すなわち図面データを、配線ネットデータ登録メモリ52i内のネットデータとともにファイル名を付与して、HDD110(図2)の第1図面データファイル63aに書き込み、保存する。
【0042】
上記のようにして作成された、各エレメント(作図対象要素)のCADデータは、CAMデータに変換される。CAMデータは、エレメントまたは該エレメントと関連付けた形で電子回路基板1に形成される付加要素(たとえばエレメントをなす半田ランド上に形成される半田バンプ)からなる製造対象要素の、製造途上での寸法、形状および配置位置、あるいは製造対象要素を製造するための治具(たとえば、ビアパターン、配線パターンを露光するためのマスクや、半田バンプ形成に使用する半田ペースト塗布用マスクなど)の、該製造対象要素に対応した部分の寸法、形状および配置位置を特定する図形データである。また、レーザ加工を行なう場合には、ワーク(電子回路基板)を固定するXYステージや、レーザの照射位置を設定するガルバノスキャナの制御等にCAMデータを使用することができる。
【0043】
次に、上記の第1CADシステム100のフォーマットで作成した第1図面データファイル63aを、第2CADシステム200のフォーマットの第2図面データファイル63bに変換する手順について説明する。まず、図12に示すように、HDD110に格納されたアプリケーションプログラム62は、第1CADシステムプログラム本体62a、第1アクセスライブラリ62b、第2CADシステムプログラム本体62c、第2アクセスライブラリ62dおよびデータ変換モジュール62e等により構成されている。各プログラム本体62a,62cは、それぞれ第1CADシステム100、第2CADシステム200の主要な機能を実現するものである。データ変換モジュール62eは、データ変換システム300の要部をなす。
【0044】
上記した第1アクセスライブラリ62bおよび第2アクセスライブラリ62dは、バイナリ形式の図面データを操作するためのコンピュータ言語ライブラリ(たとえばC/C++言語ライブラリ)を提供するものである。通常、図面データベース(図面データファイル)のデータ構造は非公開であり、直接アクセスすることはできない。ただし、上記のようなアクセスライブラリ62b,62dを使用してC言語やC++言語で適切なプログラム(図面操作プログラム)を作成し、作図インターフェース(キーボードやマウス)よりオペレータが理解可能なコマンドおよび/またはパラメータ(引数)を入力することにより図面操作プログラムを実行することができる。これにより、図面データベース(図面データファイル)に直接アクセスして図面データを参照する、図面データを削除する、図面データを作成する、エレメントの属性を変更する(例:実線を破線に変更する)などの、図面データの操作を行なえる。また、「printf」コマンド等により、参照したデータをモニタに出力させることも可能である。このように、各アクセスライブラリ62b,62dに定義されている関数を用いれば、通常コマンドで提供されるほとんどの操作、図面データの緻密加工、さらには自動設計を行なうことが可能となっている。なお、第1アクセスライブラリ62bは第1CADシステム100に、第2アクセスライブラリ62dは第2CADシステム200にそれぞれ固有であり、これらのライブラリに互換性はない。また、各アクセスライブラリ62b,62dのソースコードは、通常は非公開である。
【0045】
アクセスライブラリ62b,62dを用いて図面データにアクセスすることにより、該図面データを構成するエレメントの1つ1つについて、属性データを読み出し、RAM105内に属性データのリストを作成することができる。この点に着目して、以下に示す方法によりフォーマットの変換を行なう。図13は、本発明にかかるデータ変換方法の全体概要を示す概念図である。この概念図に示すように、第1アクセスライブラリ62bを用いて第1図面データファイル63aにアクセスし、メモリ(RAM105)に第1図面データを読み出す。そして、RAM105に読み出した第1図面データに基づいて、第2アクセスライブラリ62dを用いた作図操作を行い、第2図面データを作成し、これを保存して第2図面データファイル63bを得る。以下、順を追って詳しく説明する。
【0046】
なお、データ変換システム300において、CPU103は、後述するリスト生成手段、データ変換手段(単位変換手段および予備ファイル作成手段を含む)および第2図面データファイル作成手段等の主体をなすものである。
【0047】
前述したように、第1アクセスライブラリ62bと第2アクセスライブラリ62dとの間に直接の互換性は無い。ただし、各アクセスライブラリ62b,62dの関数一覧および使用方法は、予め知ることができる。たとえば、図14に示すような関数リスト80,81が配布される。これらの関数リスト80,81に記されているように、各アクセスライブラリ62b,62dには、ファイルをオープンする関数(コマンドともいう)、ファイルをクローズする関数、図面データを参照する関数、作図を行なう関数など、さまざまな関数が定義されている。
このような関数リスト80,81は、各アクセスライブラリ62b,62dが提供する関数の意義を明らかにする。また、関数に渡すべきパラメータ(引数)や、関数が返す値(戻り値)の意味を明らかにする。
【0048】
まず、第1アクセスライブラリ62bを使用し、第1図面データファイル63aをオープンして、レイヤを指示し、指示したレイヤに属するエレメントの属性データを参照する(RAM105内に読み出す)。これにより、RAM105の所定エリアには、図15に示すように、エレメントの種類(ライン、パッド、電源プレーン、ビア、アライメントマークなど)、始点および終点等の座標を示すXYプロパティ(x,y)、線幅(W)、配線ネット(net)、インダクタンス(L)、コンダクタンス(C)、抵抗(R)などの属性データが読み出される。このようにして全エレメントの属性データを読み出し、該属性データに基づいて第2アクセスライブラリ62dを使用した作図操作が実行できればよい。この作図操作のためのプログラム(以下、作図プログラムともいう)の実行により、第2図面データファイル63bが作成される。なお、属性データとしては図15中に記載したもの以外にも、レイヤ情報、配線長、ディファレンシャルプレーン、ビア配線など様々なものがあるが、本明細書中では簡単ため省略してある。
【0049】
上記した作図プログラムは、予めコンパイルされたものとしているので、第2アクセスライブラリ62dに定義される作図用の関数に対しては、バイナリの属性データのインポートを行なえばよい。ただし、両アクセスライブラリ62b,62d間で、属性データの書式、具体的にはエレメントの種類、線種といった属性データのバイナリ表現の相違、さらには各属性データの配列(構造体変数の構造)の相違が存在する。RAM105内のバイナリの属性データを、そのまま第2アクセスライブラリ62dの関数に渡すことは不可である。したがって、作図プログラムへの属性データのインポート、具体的には第2アクセスライブラリ62dの作図関数に属性データを渡すことは、属性データの書式の変換をしつつ、あるいは属性データの書式の変換を終えたあとで行なうようにする。このような変換は、データ変換モジュール62eの実行により実現されるものである(データ変換手段)。
【0050】
具体的にデータ変換モジュール62eは、以下の手順にて作成することができる。まず、第1アクセスライブラリ62bを用いて、RAM105に読み出される第1図面データにおけるエレメントの属性データの書式と、RAM105に読み出されたエレメントの作図操作を行なうために第2アクセスライブラリ62dに必要とされる属性データの書式との対応関係を予め調べる。第1アクセスライブラリ62bを用いてRAM105に読み出される第1図面データにおけるエレメントの各属性データがどのような配列によって記述されているかは、第1アクセスライブラリ62bの仕様から予め知ることができる。各属性データが構造体変数によって記述されていれば、通常の変数のように、構造体ポインタを用いて特定の属性データを参照することができる。
【0051】
図16に示すのは、1つのエレメントにかかるデータ変換の手順を示す概念図である。まず、本図の上段に示すように、1本のラインがレイヤM1に描かれているとする。このラインの属性データを、第1アクセスライブラリ62bを用いてRAM105に読み出す。読み出されたエレメントの種類を表す属性データは「line」であり、第2アクセスライブラリ62bに用意された作図関数である「write」関数の引数として、RAM105に読み出された属性データをインポートする。ここで、第2アクセスライブラリ62bの作図関数が引数として要求する属性データの書式と、RAM105にリストアップされている属性データの書式(配列)が相違する。したがって、配列を変換した形で、あるいは配列を変更しつつ引数渡しを行なう。この引数渡しは、データ変換モジュール62eが行なうべき処理に含まれる。なお、属性データの構造体は、通常の変数のように「値渡し」と「アドレス渡し」との2つの方法で引数に指定することができ、本明細書では両方の概念を包含する。
【0052】
属性データの書式の変換は、エレメントの種類に応じて行なうことができる。そのため、データ変換モジュール62eは、全エレメントについて、属性データを渡す側と渡される側(第2アクセスライブラリの関数)との相違を見出し、見出した対応関係にて変換が行なわれるように作成されることとなる。第1アクセスライブラリ62bを用いて読み出した特定のエレメントの属性データを、第2アクセスライブラリ62dの関数に適切に渡すための変換テーブルがデータ変換モジュール62eに設けられる。
【0053】
他の例としては、たとえば第1CADシステム100および第2CADシステム200のエレメント属性の1つとして、「線種」という属性があるとする。たとえば「実線」「破線」「一点鎖線」等の属性が設定されるとする。第1CADシステム100において、「実線」を表すバイナリデータは「AAh」の1バイトで表されるとする。ところが、第2CADシステム200では、「実線」は「BBh」という1バイトのバイナリデータで表されるとする。このような書式の差異を、上記した引数渡しの際に行なう必要がある。データ変換モジュール62eが持つ変換テーブルは、両CADシステム100,200間におけるエレメント属性データの書式の対応関係が記述されたものとなる。このように、属性データの書式という意味には、ある同一の属性がどのようなバイナリデータで表されているか、という意味と、複数の属性データ同士がどのようなデータ構造をもつか、という意味とが含まれている。
【0054】
また、「線幅」など、数値によって表される属性もあり、第1CADシステム100と第2CADシステム200とで共通の表現形式が採用されることが考えられる。つまり、第1CADシステム100と第2CADシステム200とにおける属性のバイナリ表現の共通点と相違点とを見出して、該相違点についてデータ変換モジュール62eが有する変換テーブルが作成されることになる。なお、実際の属性データは、たとえばC言語を例にするとchar、int、doubleなどの変数型を持つ。本実施形態においては、このような変数型の変換を行なわないこととしているが、たとえばint型からdouble型への変換など、変数型を変換する場合も考え得る。
【0055】
以上に説明したように、第1アクセスライブラリ62bを用いて第1図面データファイル63aから第1図面データを読み出し、該第1図面データを構成するエレメントの属性データをバイナリで表したリストを生成する(リスト生成手段)。エレメントの属性データのリストアップは、レイヤ別に行なうようにすると効率がよい。そして、データ変換モジュール62eを起動することにより、リストに列挙されたエレメントの属性データを、第2アクセスライブラリ62dを用いた作図操作のための書式に変換した形で、該第2アクセスライブラリ62dの作図関数に引数渡しする。そして、その作図関数を含む作図操作プログラムの実行により、リストに列挙されたエレメントがレイヤに書き込まれ、ファイルが保存される。これにより、第2CADシステム200のフォーマットで記述された第2図面データファイル63bが得られる。
【0056】
なお、線幅等の同一の属性データであっても、ファイルの変換元のCADシステム(本実施形態では第1CADシステム100)と、変換先のCADシステム(本実施形態では第2CADシステム200)とが、値(設計値)を異なる単位で表わす場合がある。たとえば、第1CADシステム100はミリメートル表記、第2CADシステム200はマイクロメートル表記を採用する、といった場合が考えられる。このような場合、第1アクセスライブラリ62bを用いて第1図面データファイル63aにアクセスし、メモリ内にエレメントの属性データをバイナリで表したリストを生成したのち、属性データの書式の変換に先立ち、該属性データについて、第1CADシステム100が扱う単位から第2CADシステム200が扱う単位への変換を行なうようにするとよい。この単位変換にかかる処理は、データ変換モジュール62eが担うこととなる。(CPU103:単位変換手段)。
【0057】
また、図面データのサイズが非常に大きい場合には、第1図面データファイル63aと、後述する第2図面データファイル63bとなるべき予備ファイルとをオープンの状態に保ちつつ、該予備ファイルへの第2図面データの書き込みにかかる処理と、第1図面データファイル63aからの図面データの読み込みにかかる処理とを並列して交互に行なうようにすればよい。このようにすれば、リソース不足を回避できる。
【0058】
以上の説明をまとめたフローチャートを、図17に示す。まず、S1に示すように、変換元のファイルである第1図面データファイル63aを、第1アクセスライブラリ62bのファイルオープンコマンドを使用してオープンにする。次に、第1図面データファイル63aからエレメントの属性データをRAM105に読み込む処理に先立ち、第1図面データファイル63aの図面データ本体を除いた部分を複写した予備ファイルを作成する。この予備ファイルは、第2図面データが記述されることにより第2図面データファイル63bとなるものである。第1図面データファイル63aの図面データ本体を除いた部分は、第1図面データファイル63aのコメント情報と、設計されるべき電子回路基板1に禁止される設計事項を記述したデザインルールとを含む。上記のコメント情報は、総レイヤ数、ファイルの所有者などの情報を含む。すなわち、第1図面データファイル63aと同数のレイヤが予備ファイルに設定され、各レイヤに対して順番にエレメントが記述されていく。また、デザインルールは、最小配線−配線間隔、最大トータル配線長など、禁止される設計事項に関する情報を示す。予備ファイルの作成は、データ変換モジュール62eに行なわせることができる(CPU103:予備ファイル作成手段)。
【0059】
次に、S3およびS4に示すように、指定したレイヤに存在するエレメントの属性データをRAM105内に読み出し、属性データをバイナリで表したリストを生成する(リスト生成手段)。次に、該リストにおけるエレメントの属性データを、第2アクセスライブラリ62dを用いて作図操作を行なう場合に必要とされる書式に変換することと、該第2アクセスライブラリ62dに引数としてインポートすることとを行なう(データ変換手段)。次に、第2アクセスライブラリ62dを用いてエレメントをレイヤに書き込むための作図プログラムを実行する(S6)。次に、S7において、全レイヤについて変換が終了を確認したら、第1図面データファイル63aおよび第2図面データファイル63bを、各アクセスライブラリ62b,62dを用いてクローズする(S8)。これにより、第2図面データファイル63bが作成されたこととなる(第2図面データファイル作成手段)。本実施形態に記載したデータ変換方法によれば、変換元のファイルは削除コマンドを実行しない限り、そのまま残る。したがって、第1図面データファイル63aをクローズすることが必要である。
【0060】
以上、本発明の方法によれば、あるCADシステムにおいて作成した図面データを別のCADシステムで運用可能なデータに変換できる。なお、本実施形態は、第1CADシステム100、第2CADシステム200およびCADデータ変換システム300の3者を、ハードウェアを共有する形で構築した例であるが、これに限らず、たとえば第1CADシステム100と第2CADシステム200とを別々のハードウェアにて構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子回路基板の一例を示す断面図。
【図2】電子回路基板用CADシステムの電気的構成を示すブロック図。
【図3】配線ネットデータ登録メモリの内容を示すマップ。
【図4】電子回路基板用CADシステムにおける作図画面上での操作過程の説明図。
【図5】エレメントの概念図。
【図6】エレメントのCADデータの概念図。
【図7】ビア図形のCADデータの概念図。
【図8】エレメントの重なり接続状態の第一説明図。
【図9】エレメントの重なり接続状態の第二説明図。
【図10】エレメントのビア接続状態の説明図。
【図11】作図処理の流れを示すフローチャート。
【図12】アプリケーションプログラムの構成を示す概念図。
【図13】本発明にかかるCADデータ変換方法の全体を示す概念図。
【図14】アクセスライブラリに定義される関数リストの概念図。
【図15】メモリに読み出されたエレメントの属性データの概念図。
【図16】データ変換の手順を示す概念図。
【図17】データ変換処理のフローチャート。
【符号の説明】
1 電子回路基板
62 アプリケーションプログラム
62b 第1アクセスライブラリ(第1データ操作モジュール)
62d 第2アクセスライブラリ(第2データ操作モジュール)
62e データ変換モジュール
63a 第1図面データファイル
63b 第2図面データファイル
100 第1CADシステム
103 CPU(リスト生成手段、データ変換手段、単位変換手段、予備ファイル作成手段、第2図面データファイル作成手段)
105 RAM
200 第2CADシステム
300 CADデータ変換システム
Claims (4)
- 第1CADシステムのフォーマットで記述された第1図面データファイルを、第2CADシステムのフォーマットで記述された第2図面データファイルに変換するCADデータ変換方法において、
前記第1図面データファイルにアクセスしてバイナリ形式の第1図面データを操作するために用いられる第1データ操作モジュールと、
前記第2図面データファイルにアクセスしてバイナリ形式の第2図面データを操作するために用いられる第2データ操作モジュールとが提供されているとき、
前記第1データ操作モジュールを用いて読み出される前記第1図面データにおけるエレメントの属性データの書式と、該エレメントの作図操作を行なうために前記第2データ操作モジュールが要求する属性データの書式との対応関係を予め調べ、見出した対応関係に基づいて一方の書式を他方の書式に変換するデータ変換モジュールを作成する一方、
前記第1データ操作モジュールを用いて前記第1図面データファイルから前記第1図面データを読み出し、該第1図面データを構成する前記エレメントの属性データを表すリストを生成し、
前記データ変換モジュールを起動することにより、前記リストに挙げられたエレメントの属性データを、前記第2データ操作モジュールを用いた作図操作のための書式に変換した形で、該第2データ操作モジュールに定義された命令に渡すとともに、
前記リストに挙げられた前記エレメントを、前記第2データ操作モジュールを用いてレイヤに書き込むことにより、前記第2図面データファイルを得ることを特徴とするCADデータ変換方法。 - 第1CADシステムのフォーマットで記述された第1図面データファイルを、第2CADシステムのフォーマットで記述された第2図面データファイルに変換するためのCADデータ変換システムであって、
前記第1図面データファイルにアクセスしてバイナリ形式の第1図面データを操作するために用いられる第1データ操作モジュールと、
前記第2図面データファイルにアクセスしてバイナリ形式の第2図面データを操作するために用いられる第2データ操作モジュールと、
前記第1データ操作モジュールを用いて前記第1図面データファイルから前記第1図面データを読み出し、該第1図面データを構成する前記エレメントの属性データを表すリストを生成するリスト生成手段と、
前記リストにおける前記エレメントの属性データを、前記第2データ操作モジュールにより前記エレメントの作図操作を行なう場合に必要とされる書式に変換することと、該第2データ操作モジュールに定義された命令に渡すこととを行なうデータ変換手段と、
前記データ変換手段から前記属性データを受け取って、前記第2データ操作モジュールを用いて前記エレメントをレイヤに書き込むことにより、前記第2図面データファイルを作成する第2図面データファイル作成手段と、を備えたこと特徴とするCADデータ変換システム。 - コンピュータにインストールすることにより、請求項2記載のCADデータ変換システムを構成する各手段として当該コンピュータを機能させることを特徴とするCADデータ変換プログラム。
- 請求項1記載のCADデータ変換方法を用いて、第1CADシステムで作成された電子回路基板の図面データを、第2CADシステムで読取り可能な図面データに変換する工程と、
該変換後に得られた図面データの出力に基づいてCAMデータを作成し、そのCAMデータに基づいて電気回路製造用機器を制御し、前記電子回路基板を製造する電子回路基板製造工程と、を含むことを特徴とする電子回路基板の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2003205126A JP2005050065A (ja) | 2003-07-31 | 2003-07-31 | Cadデータ変換方法、cadデータ変換システムおよびcadデータ変換プログラム、ならびに電子回路基板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003205126A JP2005050065A (ja) | 2003-07-31 | 2003-07-31 | Cadデータ変換方法、cadデータ変換システムおよびcadデータ変換プログラム、ならびに電子回路基板の製造方法 |
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KR102658405B1 (ko) * | 2023-11-30 | 2024-04-17 | 주식회사 직스테크놀로지 | 다중 Plot 변환 시스템 |
-
2003
- 2003-07-31 JP JP2003205126A patent/JP2005050065A/ja active Pending
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