上記問題点に鑑み、本発明は、特別遊技の権利が発生してすぐに特別遊技の権利が消滅することを防止する機能を実現し、更に、特別遊技の権利を効率よく発生させることが可能な権利発生装置を備える遊技機の提供を目的とする。
この目的を達成するために、可動部材が変換して権利発生装置内へ複数の遊技球が招じ入れられても、その中の一つの遊技球のみを特別入賞検出器を設けた特別入賞領域へ案内し、残りの遊技球は非特別入賞球として処理される非特別入賞領域へ導くように、特別入賞領域へ案内するための遊技球を1個だけ貯留し、他の遊技球が非特別入賞領域へ導かれた後に、その遊技球の貯留を解いて特別入賞領域へ案内する遊技球貯留構造を採用する。
更に、権利発生装置の可動部材が遊技者にとって不利な第1状態から遊技者にとって有利な第2状態に変換された時には効率よく特別遊技の権利を発生させるように、最初の装置内へ入った遊技球が優先的に特別入賞球として検出されるように、可動部材の変換により受け入れられた遊技球が通過する球通過路の下端開口である球導入口に連通する空間である分別領域における球導入口の直下方に特別入賞通過領域を開口させておき、この特別入賞通過領域に遊技球貯留機構を設けることで、球通過路を通って真っ直ぐ落下した最先の遊技球が特別入賞通過領域で貯留されるようにし、後続の遊技球は非特別入賞通過領域を通過させて非特別入賞領域へ入賞させる構成を採用する。
そして、権利発生装置へ入って球通過路の入賞球検出器により検出された球数が所定数になることで可動部材復帰条件が達成され、権利発生装置の可動部材が第2状態から第1状態に再変換された後、分別領域に至った全ての球が非特別入賞通過領域へ分別されるに必要十分な時間が経過したところで、特別入賞通過領域に設けた遊技球貯留機構を作動させて貯留球を開放すると、この1個の貯留球のみが特別入賞領域へ至って特別入賞球として検出され、特別遊技の権利が発生する。すなわち、特別入賞検出器の二度検出により、特別遊技の権利発生直後に特別遊技の権利が消滅してしまうことを防止できる。
しかし、上記のような遊技球貯留機構を特別入賞通過領域に設けた場合、権利発生装置内へ入った最先の遊技球が特別入賞通過領域に貯留された後も、後続の遊技球が同じ落下経路で落ちてくるため、必然的に後続の遊技球は最先の貯留球の真上に落下することとなり、貯留球に当たって跳ね返った遊技球が球通過路へ逆戻りし、入賞球検出器に作用してしまう可能性が生ずる。すなわち、権利発生装置へ入った遊技球の数を適正にカウントできないという問題が生ずるのである。
この問題は、権利発生装置への球入賞(球通過路の入賞球検出器にて検出)に対する賞球を排出する賞球排出構成の違いにより、遊技者または遊技店に対して以下のような実害を及ぼすこととなる。
従来の賞球排出構成の一つは、権利発生装置等の遊技盤に設けられた入賞口に入賞した遊技球が集合するセーフ流路に設けられたセーフスイッチと、セーフスイッチからの検出信号が入力されると上記入賞球検出スイッチ等の入賞SW情報を参照して各入賞口毎に設定された賞球数を排出する排出装置と、セーフスイッチに入賞球を一時的に貯留して排出装置の排出が終了すると貯留した入賞球を1個宛排出するセーフ機構と、から構成されるもので、入賞口に実際に入賞した入賞球数に対する賞球数が排出されるのである。
このような賞球排出構成の遊技機において、権利発生装置内の分別領域から球通過路に跳ね返った球により入賞球検出器がオンした場合、この検出信号は、権利発生装置の可動部材を第2状態から第1状態へ戻す復帰条件の判定(上限カウント数の判定)に供されるため、権利発生装置へ入った実際の球数は上限カウント数に達していなくても、上限カウント数と判定されて可動部材が第1状態へ復帰することとなり、可動部材が状態変換した際に遊技者が当然獲得できるはずの上限カウント数に対応する数の賞球を獲得できず、遊技者にとっての不利益となる。
一方、他の賞球排出構成は、遊技盤に設けられた各入賞口毎に入賞SWを設け、入賞SWからの検出信号に基づいて賞球数を記憶し、記憶した賞球数に基づき排出装置が賞球排出を行うものである。この賞球排出構成は、セーフスイッチ及びセーフ機構が無く、各入賞口の入賞球検出器による検出数に応じた賞球数が排出されるので、権利発生装置内の分別領域から球通過路に跳ね返った球により入賞球検出器がオンして、これが権利発生装置の可動部材を第2状態から第1状態に戻す復帰条件の判定に供されたとしても、上限カウント数分の賞球は確保され、遊技者にとっての不利益は無い。
しかし、このような賞球排出構成の遊技機においては、権利発生装置の可動部材が第2状態に変換された時に、可動部材の復帰条件である上限カウント数を超えて、入賞球が検出される可能性が高くなってしまう。すなわち、可動部材が第2状態の時に受け入れた上限数N個に達するN番目の遊技球が球通過路の入賞球検出器に検出された後、このN番目の遊技球が特別入賞通過領域に貯留された待機球に当たって跳ね返り、N+1番目の遊技球として入賞球検出器をオンさせる可能性が高くなり、権利発生装置への入賞に基づく本来の賞球数よりも多い賞球を遊技者が獲得することで、遊技店の不利益が生ずる。
なお、可動部材の復帰条件である上限カウント数を超えた入賞球を無効として、可動部材が第2状態に変換された際に遊技者が獲得できる賞球数の上限を制限すれば、遊技店の不利益を解消できるものの、遊技者に見えないところでそのような制御を行うことは望ましくない。頻繁に起こる現象ではないが、可動部材の復帰条件となる上限カウント数N番目の遊技球とN+1番目の遊技球が続けて飛入することで、適正にN+1個の遊技球が球通過路の入賞球検出器に検出される場合もあり、このN+1番目の入賞球を賞球付与の対象から除外したのでは、当該遊技機に対する不信感を遊技者に与えてしまう。
以上のように、本発明は、特別遊技の権利を効率よく発生させると共に、特別遊技の権利発生直後に該権利が消滅してしまうことがなく、しかも、可動部材の状態変換によって内部へ受け入れた遊技球の数を適正にカウントできる権利発生装置を備える遊技機の提供を目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、遊技者にとって不利な第1状態と遊技者にとって有利な第2状態とに変換する可動部材と、上記可動部材により受け入れられた遊技球が通過し、この通過球を検出する球検出手段を設けた球通過路と、上記球通過路から受け入れた遊技球を、特別入賞球検出手段を設けた特別入賞領域もしくは特別入賞球検出手段を設けない非特別入賞領域の何れかに振り分けて、特別入賞球もしくは非特別入賞球に分別する分別領域と、を備える権利発生装置を遊技盤に設けるとともに、予め定めた変換開始条件の成立により、上記権利発生装置の可動部材を第1状態から第2状態に変換させて、上記球検出手段によって所定上限数の入賞球が検出されることで可動部材を第2状態から第1状態に変換させ、且つ、上記特別入賞球検出手段によって特別入賞球が検出されると特別遊技の権利を発生させて、該特別遊技の権利発生中に上記特別入賞球検出手段により特別入賞球が検出されると特別遊技の権利を消滅させるように遊技制御する制御装置を備える遊技機において、上記権利発生装置に、上記球通過路の下端開口の下方に位置する上端開口により分別領域と連通し、分別領域より受け入れた遊技球を特別入賞領域へ通過させる特別入賞通過領域と、上記分別領域から上記特別入賞通過領域に至らなかった遊技球を受け入れて非特別入賞領域へ通過させる非特別入賞通過領域と、遊技球を受け止める球受け面を形成した球貯留部材と、該球貯留部材を特別入賞通過領域へ突出させたり退避させたりする駆動手段を備え、上記特別入賞通過領域へ球貯留部材を突出させて分別領域から特別入賞通過領域に至った遊技球を貯留する貯留状態と、上記特別入賞通過領域から球貯留部材を退避させて遊技球を特別入賞領域へ通過させる通過状態とを、駆動手段の駆動により生ぜしめる貯留手段と、上記貯留手段が貯留状態の時に特別入賞通過領域に貯留される特別入賞用貯留球を1個に制限すると共に、特別入賞用貯留球の重心を通る仮想垂線が、球通過路から分別領域を経て特別入賞通過領域へ落下する遊技球の重心により描かれる仮想落下軌跡の想定範囲から外れる位置に保持する貯留球保持手段と、を設けたことを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の遊技機において、上記貯留球保持手段は、上記特別入賞用貯留球を上記特別入賞通過領域の上端開口より上方に突出させ、且つ、特別入賞用貯留球より後続の遊技球が特別入賞通過領域の上端開口と特別入賞用貯留球との間隙に停留することのない突出量となる状態で貯留するように上記球貯留部材を配置するとともに、上記特別入賞通過領域の上端開口を所定の上記非特別入賞通過領域が配設された側と反対側に拡張し、且つ、上記球貯留部材の球受け面を上端開口の拡張された側に向かって下り傾斜させるように構成したことを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、上記請求項1又は請求項2に記載の遊技機において、上記権利発生装置に設ける球貯留手段は、少なくとも球貯留部材の球受け面を含む部位を衝撃吸収性材料により形成したことを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、上記請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の遊技機において、上記権利発生装置に設ける貯留手段は、球貯留部材と駆動手段とを連結機構を介して連結するものとし、上記連結機構は、上記駆動手段における駆動力伝達部材の連結側端部の上面に立設した起立部と、上記球貯留部材の連結側端部に設けられた、上記起立部を遊嵌可能な遊嵌孔と、上記駆動力伝達部材の起立部に対して球貯留部材の遊嵌孔を遊嵌させた状態で、球貯留部材の上面よりも適宜上方に位置する起立部の上端より止着する抜け止め部材と、上記球貯留部材の連結側端部上面と上記抜け止め部材下面との間に挟装される衝撃吸収性材料より成る緩衝部材と、から構成したことを特徴とする。
請求項1に係る遊技機によれば、権利発生装置における球通過路の下端開口の直下方に上端開口を位置させた特別入賞通過領域を設けることで、権利発生装置内に受け入れられた遊技球が確実に特別入賞通過領域へ到達するものとし、且つ、この特別入賞通過領域に設けた貯留手段を貯留状態とすると、貯留球保持手段により特別入賞用貯留球が1個のみ貯留されることとなる。すなわち、可動部材が第2状態に変換されて第1状態に戻るまでに1個の遊技球しか装置内に入らなかった場合でも、この遊技球を特別入賞用遊技球として貯留できるし、2個以上の遊技球が入賞した場合でも、貯留球保持手段の機能により、残りの遊技球は非特別入賞通過領域から非特別入賞領域へ分別され、必ず1個の遊技球のみが貯留手段に保持されることとなる。
従って、貯留手段を通過状態に変換した際には、特別入賞用貯留球だけが通過を許容されて特別入賞領域へ至り、特別入賞球検出手段により検出されて特別遊技の権利が発生することとなる。これにより、従来の権利発生装置の如く、2個の遊技球が連続して特別入賞領域へ到達して特別入賞球検出手段が最初の特別入賞球を検出することで発生した特別遊技の権利が、後続の特別入賞球を検出することが特別遊技の権利を消滅させてしまうような不合理な遊技進行となることを確実に防止できる。
しかも、貯留球保持手段は、貯留手段に貯留されることとなった特別入賞用貯留球を保持するに際して、特別入賞用貯留球の重心を通る仮想垂線が、球通過路から分別領域を経て特別入賞通過領域へ落下する遊技球の重心により描かれる仮想落下軌跡の想定範囲から外れる位置に保持するので、特別入賞用貯留球の上に後続の遊技球が落ちてきた場合、その衝接点における接線方向は落下した遊技球の落下軌跡に直交することはない。すなわち、球通過路で球検出手段に検出されてそのまま自由落下した遊技球が特別入賞用貯留球に当たって跳ね返った時、落下時の軌跡を逆になぞりながら再び球通過路の球検出手段へ到達するための反発条件が満たされることはないので、一つの遊技球が球検出手段に2回検出される可能性を完全に排除できる。従って、権利発生装置の内部に受け入れられた遊技球の適正な数を球検出手段によって検出でき、誤検出に基づく賞球排出動作から遊技者もしくは遊技店の不利益が生ずることを防止できる。
また、請求項2に係る遊技機によれば、球貯留部材の配置により、特別入賞用貯留球より後続の遊技球が特別入賞通過領域の上端開口と特別入賞用貯留球との間隙に停留することのない突出量となるように、特別入賞用貯留球を上記特別入賞通過領域の上端開口より上方に突出させることで、球貯留部材により特別入賞球流下路に貯留される特別入賞用貯留球を1個に制限できる。更に、特別入賞通過領域の上端開口を所定の非特別入賞通過領域が配設された側と反対側に拡張し、且つ、球貯留部材の球受け面を上端開口の拡張された側に向かって下り傾斜させるように構成することにより、特別入賞用貯留球に当たる後続の遊技球を確実に所定の非特別入賞通過領域に向けて跳ねさせて案内することができる。
また、請求項3に係る遊技機によれば、球貯留部材の球受け面を含む部位を衝撃吸収性材料により形成したので、球貯留部材に特別入賞用貯留球が落下した時の衝撃緩衝作用を期せると共に、特別入賞用貯留球に後続の遊技球が落下して当たった場合にも、本来なら反発計数の高い遊技球同士の衝突における反発力を抑制でき、勢いよく跳ね返った遊技球が当たって装置内部が破損することも防止できる。
また、請求項4に係る遊技機によれば、連結機構を介して球貯留部材と駆動手段とを連結するものとしたので、特別入賞用貯留球が球貯留部材の球受け面上に落下したり、特別入賞用貯留球へ後続の遊技球が衝突したりして、特別入賞通過領域側に突出した球貯留部材の端部を押し下げる力が作用し、梃子の原理により、駆動力伝達部材に保持された球貯留部材の連結側端部が急激に押し上げられても、抜け止め部材により抜け止めされた緩衝部材がその衝撃を吸収し、更に、緩衝部材が球貯留部材の連結側端部を押し戻すことで、球貯留部材の球受け面を所定位置へ戻すことができる。従って、球貯留部材への遊技球の落下により生ずる衝撃を効果的に緩衝して、特別入賞用貯留球に衝突した後続の遊技球の反発初速を低くし、跳ね返った遊技球の到達する高さや飛距離を抑制できると共に、球貯留部材による特別入賞用貯留球の貯留位置が変わって貯留球保持手段の機能が損なわれることもない。
次に、本発明に係る遊技機の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
遊技媒体としての遊技球を弾発する弾球遊技を行える遊技機(所謂パチンコ機)は、図1に示す遊技盤1を備える。この遊技盤1は弾球遊技の主体となるもので、ガイドレール2で囲まれた遊技領域3に各種の入賞口や遊技装置を設けると共に、非遊技領域などには各種ランプやLED等からなる装飾表示器を設けたものである。
図示を省略したロータリーソレノイド等の電気的駆動源によって弾発された遊技球は上記ガイドレール2に沿って遊技領域3内へ到達すると、遊技釘や風車等に当たりつつ流下して行き、遊技領域3内に設けた入賞領域たる各種入賞口4…の何れかに入賞すると、各入賞口4…(例えば、第1入賞口〜第N入賞口)毎に設けた入賞口センサ(図示省略)によって当該入賞球が検出され、この検出信号に基づいて賞球が遊技者に与えられ、入賞口4…等の入賞領域に入賞しなかった球は、アウト口5より外れ球として回収される。
なお、入賞口への入賞に対して遊技者に付与するのは賞球に限定されるものではない。例えば、封入球式の遊技機(遊技者が実際の球を取り扱うことなく、機内に封入された球を循環させて弾球遊技を行えるようにした遊技機)においては、仮想的な球数データを追加するような形態で遊技価値を付与するようにしても良い。また、遊技者への付与対象となる遊技価値も、パチンコ球やメダル等の遊技媒体に限らず、種々の景品等を遊技者に与えるようにしても良い。
また、遊技領域3には、入賞口4…の他に始動入賞口6を設けてあり、この始動入賞口6に遊技球が入賞して、これを普図始動センサ(図示省略)が検出すると、遊技盤1の略中央に設けた大型の遊技装置(普通図柄表示装置)である変動表示装置7の画像表示面7a(複数の識別情報を変動表示可能な液晶表示器等により構成)を用いて、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームが開始される。
変動表示装置7の画像表示面7aを用いて行う変動表示ゲームとは、例えば、3桁の数字や各種記号等を高速で変換表示した後に、所定の順序で停止表示させてゆき、3桁の停止表示態様が予め定めた特別結果態様(例えば、「0,0,0」「2,2,2」「3,3,3」「7,7,7」等、3桁の数字や記号が全て一致するぞろ目の停止態様)になると、権利ゲーム開始条件が達成され、権利発生装置8を用いた権利ゲームが開始される。
次に、上記権利ゲームを行うための権利発生装置8の概略構成と権利ゲームの流れを説明する。権利発生装置8の上部中央に設けた一対の可動部材8a,8aは、起立することで遊技領域を通過する遊技球を内部へ受け入れ難い(遊技者にとって不利な)第1状態を、傾倒することで遊技球を内部へ受け入れ易い(遊技者にとって有利な)第2状態を生ぜしめるもので、上記の権利ゲーム開始条件が達成されることで、この可動部材8a,8aが第1状態から第2状態に変換され、権利発生装置8の内部へ遊技球が受け入れられるようになる。このように、権利ゲーム開始条件は、権利発生装置8における可動部材8a,8aの変換開始条件でもある。
なお、本構成例の権利発生装置8においては、可動部材8a,8aが第1状態の時にも遊技球が1個通過可能な空部が形成される構造としてあるが、空部の上方の遊技盤面上における障害釘の配置構成により、実質的に、可動部材8a,8aが第1状態の時には権利発生装置8の内部へ遊技球が入ることは不可能なものとしてある。すなわち、権利ゲームが開始されて可動部材8a,8aが第2状態に変換されるまで、権利発生装置8の内部に遊技球が入ることは無いのである。
権利発生装置8の可動部材8a,8aが第2状態となって受け入れられた遊技球は、先ず球通過路8bにより鉛直下向きに落下して行き、この球通過路8bを通過する際に、非接触型通過センサである権利発生装置カウントスイッチ9によって検出され、分別領域8cへ至る。この分別領域8cに連通する特別入賞通過領域8dは、更に、特別入賞領域8eに連通し、この特別入賞領域8eに設けた非接触型通過センサである特別入賞球検出スイッチ10に検出された遊技球は特別入賞球として処理される。一方、分別領域8cに連通する非特別入賞通過領域である第1一般入賞通過領域8fから第1一般入賞領域8gへ至った遊技球、もしくは、分別領域8cに連通する非特別入賞通過領域である第2一般入賞通過領域8hから第2一般入賞領域8iへ至った遊技球は、一般入賞球として処理される。
上記の分別領域8cから特別入賞通過領域8dを通過して特別入賞領域8eへ至った遊技球が特別入賞球検出スイッチ10に検出されると、特別遊技の権利が発生する。一方、特別入賞球が検出されないまま、権利発生装置カウントスイッチ9により検出された球数(権利発生装置8内に受け入れられて一般入賞もしくは特別入賞となる球数、すなわち、権利発生装置8への入賞球数)が8個に達するか、可動部材8a,8aの第2状態変換時間が5.8秒経過すると、可動部材8a,8aを第1状態に復帰させる復帰条件が達成され、可動部材8a,8aが第2状態から第1状態に変換され、その後、適宜な猶予時間であるウェイトタイムが経過するまでに特別入賞球検出スイッチ10が特別入賞球を検出しなければ、権利ゲームが終了となる。
上記権利発生装置8を用いた権利ゲームで特別入賞球が検出されることにより、特別遊技の権利が発生すると、第3種始動口11への球入賞に基づいて、変動入賞装置12の変動部材12a,12aを閉状態から開状態に変換して、大入賞口へ多くの球を入賞可能とする特別遊技が可能となる。特別遊技は、大入賞口への入賞球が10個に達するか、変動部材12a,12aの開放時間が9.5秒となるか、何れか最先の条件が満たされることで終了条件が達成され、変動入賞装置12の変動部材12a,12aを閉状態に戻って特別遊技が終了となる。なお、発生した特別遊技の権利が有効な間は、第3種始動口11への球入賞によって、同様の特別遊技を繰り返し行うことができる。
上記のような特別遊技を行える特別遊技の権利は、当該権利の有効な間に第3種始動口11に検出された始動入賞球が15個に達することで消滅する。なお、変動入賞装置12による特別遊技の実行中に第3種始動口11へ遊技球が入賞した場合、これは始動記憶として保持されないため、この始動入賞に基づく特別遊技は行われず、特別遊技の権利消滅条件である3種始動入賞球数にのみカウントされるので、特別遊技の実行中は第3種始動口11へ入賞しないように配慮して遊技を行わないと、折角発生した特別遊技の権利に基づいて15回の特別遊技を消化できず、獲得利益が減ぜられることとなる。
更に、特別遊技の権利消滅条件として、発生した特別遊技の権利が有効な間に、再度権利発生装置8の特別入賞球検出スイッチ10により特別入賞球が検出されること(いわゆるパンク)が設定されている。すなわち、特別遊技の権利が有効な間にも始動入賞口6への入賞に基づく変動表示ゲームが行われ、その結果、権利発生装置8による権利ゲームが実行され、この権利ゲームで権利発生装置8内の分別領域8cから特別入賞通過領域8dを経て特別入賞領域8eへ至り、特別入賞球検出スイッチ10により特別入賞球が検出されると、これが特別遊技の権利消滅条件となるのである。
上述した変動表示ゲーム、権利ゲーム、特別遊技の権利の発生・消滅、特別遊技など、パチンコ遊技を実現するための諸々の制御は、遊技機制御部が行う。この遊技機制御部は、遊技制御装置、表示制御装置、装飾制御装置、排出制御装置、音制御装置などの各種制御装置から構成される。
次に、上記権利発生装置8の詳細な構造を図2〜図5に基づいて説明する。
権利発生装置8は遊技盤1の盤面に取り付けるための取付基板20の適所から前面側に立ち上がる入賞室構成壁21を設け、その前面を前面装飾板22(図4および図5参照)にて閉止することで入賞室が形成される。この入賞室の空部により、上述した球通過路8b、分別領域8c、特別入賞通過領域8d、特別入賞領域8e、第1一般入賞通過領域8f、第1一般入賞領域8g、第2一般入賞通過領域8h、第2一般入賞領域8iが形成される。なお、本構成例では、非特別入賞領域として、特別入賞領域の左右両側に夫々一般入賞領域を設けるものとしたが、1つの非特別入賞領域だけ設けるようにしても良いし、3つ以上の非特別入賞領域を設けても良い。
上記球通過路8bから受け入れた遊技球が到達する分別領域8cは、その遊技球を、特別入賞球検出手段としての特別入賞球検出スイッチ10を設けた特別入賞領域8e、もしくは特別入賞球検出スイッチ10を設けない非特別入賞領域たる第1,第2一般入賞領域8g,8iの何れかに振り分けて、特別入賞球もしくは非特別入賞球に分別する領域である。なお、本構成例においては、分別領域8cと特別入賞通過領域8d,第1一般入賞通過領域8f、第2一般入賞通過領域8hを連通させ、これらの通過領域を介して、特別入賞領域8eもしくは第1,第2一般入賞領域8g,8iへ遊技球を案内するものとしてある。
上記特別入賞通過領域8dは、球通過路8bの下端開口の直下方に、上端開口が位置するように、特別入賞左区画壁21aと特別入賞右区画壁21bを形成し、権利発生装置8内に入って、球通過路8bおよび分別領域8cを経て落下する遊技球は、必ず特別入賞通過領域8dへ向かって落ちて来る構造とした。
上記特別入賞左区画壁21aと特別入賞右区画壁21bは、特別入賞通過領域8dにおける上端開口の左右開口縁となる内側端部より外側に向って下り傾斜する傾斜状と成し、特別入賞通過領域路8dに至らなかった遊技球を特別入賞領域8eの左側に位置する第1一般入賞領域8gや特別入賞領域8eの右側に位置する第2一般入賞領域8iへと誘導する機能がある。これら特別入賞左区画壁21a,特別入賞右区画壁21bの機能により、特別入賞通過領域8dの左側には第1一般入賞通過領域8fが、特別入賞通過領域8dの右側には第2一般入賞通過領域8hが各々形成される。
しかして、権利発生装置8の特別入賞通過領域8dには貯留手段を設け、特別入賞通過領域8dに到達した遊技球を貯留する貯留状態と、特別入賞通過領域8dから特別入賞領域8eへ遊技球を通過させる通過状態とに変換できるようにしてある。貯留手段の構成要素である球貯留部材31には、遊技球を受け止める球受け面31aを形成し、球貯留部材31の球受け面31aを形成した部位が特別入賞通過領域8dへ突出すると、分別領域8cから特別入賞通過領域8dに至った遊技球を貯留する貯留状態となり、球貯留部材31の球受け面31aを形成した部位が特別入賞通過領域8dから退避すると、遊技球を特別入賞領域8eへ通過させる通過状態となる。なお、球貯留部材31の左右両側には、各々スライドガイド部31b,31bを設けて、特別入賞通過領域8dへの突出・退避を円滑に行えるようにしてある。
上記のように、貯留状態の貯留手段における球貯留部材31の球受け面31a上に受け止められた遊技球は、貯留手段が通過状態になるとそのまま落下して特別入賞領域8eに至り、特別入賞球検出スイッチ10に検出されて特別入賞球となるので、これを特別入賞用貯留球P1とする。
そして、球受け面31aが右から左側(第2一般入賞領域8iから第1一般入賞領域8g側)に向けて下り傾斜させ、且つ、特別入賞左区画壁21aを特別入賞右区画壁21bよりも若干短くすることで、特別入賞左区画壁21aの内側端部の方が特別入賞右区画壁21bの内側端部よりも若干外側に位置する非対称構造とすることで、特別入賞用貯留球P1は特別入賞左区画壁21aの内側端部に当接した状態となる。この時、特別入賞用貯留球P1が、その重心Gを含む水平な平面上の端点で特別入賞左区画壁21aに当接させることで、特別入賞用貯留球P1の上部が特別入賞通過領域8dの上端開口から上方に突出し、且つ、特別入賞用貯留球P1より後続の遊技球が特別入賞通過領域8dの上端開口と特別入賞用貯留球P1との間隙に停留することのない突出量となるように、球貯留部材31の配設位置を調整してあるので、特別入賞用貯留球P1のみが特別入賞通過領域8dにて安定的に保持され、2個以上の遊技球が特別入賞用通過領域8dに保持されることはない。
上述したように、特別入賞用貯留球P1は、球通過路8bから落下した位置ではなく、若干左側(第1一般入賞領域8g側)に寄った位置で貯留させるので、特別入賞用貯留球P1の重心Gを通る仮想垂線L1は、球通過路8bから分別領域8cを経て特別入賞通過領域8dへ落下する後続の遊技球P2の重心Gにより描かれる仮想落下軌跡L2から外れることとなる。従って、特別入賞用貯留球P1と後続の遊技球P2との衝接点における接線Tは水平方向とはならず、鉛直下向きの落下軌跡となる遊技球P2の仮想落下軌跡L2に直交することはない(図3参照)。
よって、特別入賞通過領域8dで左側(第1一般入賞領域8g側)に寄せて特別入賞用貯留球P1を保持した場合、後続の遊技球P2が特別入賞用貯留球P1に当たると、右側(第2一般入賞領域8i側)へ跳ねることとなり、第2一般入賞通過領域8hを介して第2一般入賞領域8iへ至る。すなわち、球通過路8bで権利発生装置カウントスイッチ9に検出されてそのまま自由落下した遊技球P2が特別入賞用貯留球P1に当たって跳ね返った時、落下時の軌跡を逆になぞりながら再び球通過路8bの権利発生装置カウントスイッチ9へ到達するための反発条件が満たされることはないので、一つの遊技球が権利発生装置カウントスイッチ9に2回検出される可能性を完全に排除できる。
尚、上述の構成とは反対に、球受け面31aを左から右側(第1一般入賞領域8gから第2一般入賞領域8i側)に向けて下り傾斜させ、且つ、特別入賞右区画壁21bを特別入賞左区画壁21aよりも若干短くすることで、特別入賞右区画壁21bの内側端部の方が特別入賞左区画壁21aの内側端部よりも若干外側に位置する非対称構造としてもよい。そうすることで、特別入賞用貯留球P1は特別入賞右区画壁21bの内側端部に当接した状態となり、特別入賞通過領域8dで右側(第2一般入賞領域8i側)に寄せて特別入賞用貯留球P1を保持した場合、後続の遊技球P2が特別入賞用貯留球P1に当たると、左側(第1一般入賞領域8g側)へ跳ねることとなる。
即ち、特別入賞通過領域の上端開口を所定の非特別入賞通過領域(第1,2一般入賞通過領域8f、8hのいずれか)が配設された側と反対側に拡張し、且つ、球貯留部材の球受け面を上端開口の拡張された側に向かって下り傾斜させるように構成することにより、特別入賞用貯留球に当たる後続の遊技球を確実に所定の非特別入賞通過領域に向けて跳ねさせて案内することができる。同様に、分別領域の奥側に一般入賞通過領域を設ける場合には、特別入賞用貯留球P1を落下位置よりも手前側へ貯留できるような構造としておけば良い。
このように、本構成例の権利発生装置8においては、球貯留部材31の配設位置や球受け面31aの形状、特別入賞左区画壁21aと特別入賞右区画壁21bの構造により、「貯留手段が貯留状態の時に特別入賞通過領域に貯留される特別入賞用貯留球を1個に制限すると共に、特別入賞用貯留球の重心を通る仮想垂線が、球通過路から分別領域を経て特別入賞通過領域へ落下する遊技球の重心により描かれる仮想落下軌跡の想定範囲から外れる位置に保持する貯留球保持手段」としての機能を実現したのである。
上記のように特別入賞用貯留球を受け止めて貯留する貯留状態と、この特別入賞用貯留球を通過させる通過状態とを生ぜしめる貯留手段について、図4及び図5を参照して説明する。
本構成例における貯留手段は、球貯留部材31と、この球貯留部材31を特別入賞通過領域8dへ突出させたり退避させたりする駆動手段としての球貯留部材用ソレノイド32とからなり、球貯留部材用ソレノイド32におけるプランジャ32aの突出側端部に設けた係合片32bに球貯留部材31の係合部31cを係合させ、コイルスプリング33によりプランジャ32aが突出した状態に付勢することで、球貯留部材用ソレノイド32の非駆動時は球貯留部材31が特別入賞通過領域8dに突出した状態を保持する(図4参照)。
また、球貯留部材31には、上方に立ち上がる衝撃受片31dを設けてあり、球貯留部材31の球受け面31a上に遊技球が落下した時の衝撃力により、球貯留部材31が下方へ押し下げられる時には、この衝撃受片31dが入賞室背面壁20aに当たることで、衝撃受片31dの形成位置よりも前側の自由端が撓むだけとなり、球貯留部材用ソレノイド32との連結部にまで衝撃が及ぶことを阻止する。さらに、球貯留部材31自体を衝撃吸収性材料により形成しても良い。衝撃吸収性材料としては、反発弾性が低く且つ復元力を有する素材が望ましく、天然ゴムや合成樹脂などから必要な特性を有するものを選定すれば良い。なお、球貯留部材31全体ではなく、球受け面31aを含む部位のみを衝撃吸収性材料で作製しても良い。
上記のように構成した貯留手段において、球貯留部材用ソレノイド32を作動させると、プランジャ32aが引き込まれることで、球貯留部材31も引かれて、特別入賞通過領域8dから退避することとなる。この時、球貯留部材31の球受け面31a上に特別入賞用貯留球が貯留されていれば、そのまま特別入賞通過領域8dから落下して特別入賞領域8eに至るので、特別入賞球検出スイッチ10がこれを検出することとなる(図5参照)。
上述したように、本構成例の権利発生装置8では、球通過路8bの下端開口の直下方に上端開口を位置させた特別入賞通過領域8dを設けることで、権利発生装置8内に受け入れられた遊技球が確実に特別入賞通過領域8dへ到達するものとし、且つ、この特別入賞通過領域8dに設けた貯留手段を貯留状態とすると、貯留球保持手段により特別入賞用貯留球が1個のみ貯留されることとなる。すなわち、可動部材8a,8aが第2状態に変換されて第1状態に戻るまでに1個の遊技球しか装置内に入らなかった場合でも、この遊技球を特別入賞用遊技球として貯留できるし、2個以上の遊技球が入賞した場合でも、貯留球保持手段の機能により、残りの遊技球は第1,第2一般入賞通過領域8f,8hから第1,第2一般入賞領域8g,8iへ分別され、必ず1個の遊技球のみが貯留手段に保持されることとなる。
従って、貯留手段を通過状態に変換した際には、特別入賞用貯留球だけが通過を許容されて特別入賞領域8eへ至り、特別入賞球検出スイッチ10により検出されて特別遊技の権利が発生することとなる。これにより、従来の権利発生装置の如く、2個の遊技球が連続して特別入賞領域へ到達して特別入賞球検出手段が最初の特別入賞球を検出することで発生した特別遊技の権利が、後続の特別入賞球を検出することが特別遊技の権利を消滅させてしまうような不合理な遊技進行となることを確実に防止できる。
次に、上記の構成とは異なる貯留手段を設けた権利発生装置8′の構成例を、図6〜図9に基づいて説明する。なお、本構成例の貯留手段は、球貯留部材31′と球貯留部材用ソレノイド32とを、緩衝作用を期せる連結機構を介して連結したもので、上述した権利発生装置8と同様の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
上記球貯留部材用ソレノイド32のプランジャ32aに設けた係合片32bに、駆動力伝達部材34の係合部34aを係合させることで一体とし、球貯留部材用ソレノイド32の駆動力を駆動力伝達部材34を介して球貯留部材31′に伝達する駆動手段として機能させる。上記駆動力伝達部材34には、少なくとも上面が平坦な板状の連結用支持部34bを連結側に延設し、該連結用支持部34bの上面には円環状の起立部34cを立設してある。一方、球貯留部材31′における衝撃受片31dより連結側には、少なくとも下面が平坦な板状の連結部31eを延設し、該連結部31eには上記駆動力伝達部材34の起立部34cよりも径の大なる遊嵌孔31dを開設してある。
ここで、連結機構の構造を図8を参照しつつ説明する。駆動力伝達部材34における連結用支持部34bの起立部34cに、球貯留部材31′における連結部31eの遊嵌孔31fを遊嵌させた状態で、連結用支持部34bの上面に連結部31eの下面を載せる(図8(b)参照)。この時、起立部34cの高さが連結部31eの厚さよりも十分高いことで、起立部34cの上端は連結部31eの上面よりもさらに突出した状態である。また、遊嵌孔31fは、起立部34cに嵌めた状態で、例えば5゜程度傾けることができるサイズにしてある。
続いて、衝撃吸収性材料よりなる円環状の緩衝部材35を起立部34cに嵌め込み(図8(c)参照)、起立部34cの上端から抜け止め部材36を止着する(図8(d)参照)。抜け止め部材36は、円盤状のフランジ部36aとビス部36bを一体化したものを用い、起立部34cの中空部にビス部36bを螺合させると、フランジ部36aの下面が緩衝部材35の上面を押さえ込んだ状態となる。斯くして、球貯留部材31′の連結部31e上面と抜け止め部材36下面との間に緩衝部材35が挟装される。なお、緩衝部材35に用いる衝撃吸収材料としては、反発弾性が低く且つ強い復元力を有する素材が望ましく、天然ゴムや合成樹脂などから必要な特性を有するものを選定すれば良い。
上記構造の連結機構を有する貯留手段を設けた権利発生装置8′においても、球貯留部材用ソレノイド32の非駆動時は球貯留部材31′が特別入賞通過領域8dに突出した状態を保持し(図6参照)、球貯留部材用ソレノイド32を作動させると、プランジャ32aが引き込まれることで、駆動力伝達部材34を介して球貯留部材31′も引かれてゆき、特別入賞通過領域8dから退避することとなる。この時、球貯留部材31′の球受け面31a上に特別入賞用貯留球が貯留されていれば、そのまま特別入賞通過領域8dから落下して特別入賞領域8eに至るので、特別入賞球検出スイッチ10がこれを検出することとなる(図7参照)。
ここで、上記連結機構による衝撃緩衝作用を、図9を参照して説明する。図9の説明図では、既に球貯留部材31′の球受け面31a上に特別入賞用貯留球P1が貯留されているところへ後続の遊技球P2が落下して、その衝撃が球貯留部材31′に及ぶ時の作用を示したものであるが、権利発生装置8′へ最先に受け入れられた特別入賞用貯留球P1が球貯留部材31′の球受け面31aに落下する時の衝撃緩衝作用も同じである。
球貯留部材31′の球受け面31a上に特別入賞用貯留球P1が乗って安定した状態(図9(a)参照)においては、緩衝部材35がほぼ本来の形に戻り、その復元力により、球貯留部材31′における連結部31eの下面が駆動力伝達部材34における連結用支持部34bの上面に押しつけられた状態に保持されている。この時、球貯留部材31′の衝撃受片31dの前面上部は、入賞室背面壁20aに面接触した状態である。
特別入賞用貯留球P1の上に後続の遊技球P2が落下した状態(図9(b)参照)においては、その衝撃力により、球貯留部材31′の球受け面31aが下方へ押し下げられることで回転モーメントが生ずる。本構成例の貯留手段では、衝撃受片31dの前面上部が入賞室背面壁20aに当接しているため、衝撃受片31dの前面上縁部を支点として球貯留部材31′が回転することになるが、衝撃受片31dを設けない場合は、連結部31eが連結用支持部34bと接触している前縁部が支点となって球貯留部材31′が回転する。何れにしても、梃子の原理により、球貯留部材31′の連結側端部が起き上がる力が生ずる。
ここで、球貯留部材31′の連結部31eと抜け止め部材36との間には、緩衝部材35を設けてあるので、球貯留部材31′の連結側端部が急激に押し上げられても、抜け止め部材36により抜け止めされた緩衝部材35が弾性変形して、その衝撃を吸収する。この衝撃力は瞬時的なもので、遊技球P2が弾かれた後は、特別入賞用貯留球P1の重量負荷しか掛かっていないので、緩衝部材35の復元力により球貯留部材31′の連結側端部が押し戻され、球貯留部材31′の球受け面31aは所定位置へ戻ることとなる。従って、球貯留部材への遊技球の落下により生ずる衝撃を効果的に緩衝して、特別入賞用貯留球P1に衝突した後続の遊技球P2の反発初速を低くし、跳ね返った遊技球の到達する高さや飛距離を抑制できると共に、球貯留部材による特別入賞用貯留球の貯留位置が変わって貯留球保持手段の機能が損なわれることもない。
次に、上記のような権利発生装置8,8′を備える遊技機における遊技制御を行う遊技制御装置40の概略構成を図10に基づき説明する。
遊技制御装置40に、始動入賞口6への球入賞に基づく普図始動入賞ロスイッチ51からの入力信号を受けると、乱数記憶手段41が乱数生成手段42に対して乱数値要求信号を送信し、乱数生成手段42から送信された乱数値を記憶する。この記憶された乱数値は比較判定手段43により比較判定され、“外れ”もしくは“大当たり”の判定信号が可変表示管理手段44に出力される。
上記可変表示管理手段44は、判定信号に基づいて、複数の図柄を可変表示する変動表示ゲームの表示を制御する表示制御装置52へ変動表示ゲームの種類を示すコマンドと変動表示ゲームの停止図柄を出力することで変動表示ゲームを管理し、変動表示ゲームの結果が大当たりの場合は、その変動表示ゲームの終了に合わせて権利ゲーム開始信号を可動部材開閉制御手段45及び特別遊技権利状態制御手段46へ出力する。
上記可動部材開閉制御手段45は、権利ゲーム開始信号の入力に基づいて、権利発生装置8の可動部材8a,8aを所定時間(例えば5.8秒)だけ第2状態に変換(開放)するように、可動部材開放ソレノイド53を駆動させ、その駆動終了条件を判定する。そのために、可動部材開閉制御手段45は、球通過路8bに設けた権利発生装置カウントスイッチ9からの入力信号をカウントし、このカウント数が所定上限数(例えば8個)に達すると、可動部材8a,8aの開放が所定時間を経過していなくても可動部材開放ソレノイド53の駆動を停止して可動部材8a,8aを閉鎖し(第1状態に戻し)、この閉鎖タイミングで球貯留部材制御手段47に可動部材閉鎖信号を出力する。
上記球貯留部材制御手段47は、常態において閉塞している球貯留部材31を可動部材閉鎖信号が入力されてから所定時間(例えば1秒)遅延させた後に、球貯留部材用ソレノイド32へ駆動信号を出力して、所定時間(例えば1秒)だけ球貯留部材31を特別入賞通過領域8dから退避させ、球貯留部材31の球受け面31a上に貯留されていた特別入賞用貯留球を開放し、特別入賞領域8eの特別入賞球検出スイッチ10に検出させる。
上記特別遊技権利状態制御手段46は、可変表示管理手段44からの権利ゲーム開始信号に基づいて、特別入賞球検出スイッチ10の入力を所定時間(例えば10秒)有効とし(有効時間)、この有効時間内に特別入賞球検出スイッチ10からの入力があると、特別遊技の権利を発生させ、第3種始動口11に設けた第3種始動ロスイッチ54からの入力信号に基づいて、大入賞口開放ソレノイド55を所定時間(例えば9.5秒)駆動させることで変動入賞装置12の変動部材12a,12aを開放させ、変動入賞装置12への入賞球を検出する大入賞ロカウントスイッチ56からの検出信号を所定回数(例えば10回)受けると(10個の入賞球が検出されると)、所定時間に達する前に大入賞口開放ソレノイド55の駆動を停止させ、変動入賞装置12の変動部材12a,12aを閉じる特別遊技を行う。この特別遊技は、第3種始動口11に所定数(例えば15個)の入賞があるまで(第3種始動口スイッチ54から15個の検出信号を受けるまで)繰り返し実行する。また、特別遊技の権利発生中に特別入賞球検出スイッチ10からの入力があった場合は、現在発生している特別遊技の権利を消滅させる。
上記の構成により、遊技制御装置40は、「予め定めた変換開始条件の成立により、権利発生装置の可動部材を第1状態から第2状態に変換させて、球検出手段によって所定上限数の入賞球が検出されることで可動部材を第2状態から第1状態に変換させ、且つ、特別入賞球検出手段によって特別入賞球が検出されると特別遊技の権利を発生させて、該特別遊技の権利発生中に特別入賞球検出手段により特別入賞球が検出されると特別遊技の権利を消滅させるように遊技制御する制御装置」として機能するのである。
なお、上述した遊技制御装置40においては、変動表示ゲームのゲーム結果として特別結果態様にならなければ、権利ゲーム開始条件が達成されないものとしたが、権利ゲーム開始条件はこれに限らず、予め定めた入賞口へ遊技球が入賞することでも良い。図11に、権利ゲーム開始条件を異ならしめた遊技制御装置40′の概略構成を示す。すなわち、予め定めた可動部材作動口に遊技球が入賞することで、可動部材作動口スイッチ56からの入力信号を受けることで、可動部材開閉制御手段45を機能させ、可動部材開放ソレノイド53を駆動させることにより、権利発生装置8の可動部材8a,8aを第2状態に変換開始させる構成とすれば良い。なお、他の構成は、上記遊技制御装置40と同様なので、同一符号を付して説明を省略する。
以上本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態は全て例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、上記の実施形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものではなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内での全ての変更が含まれる。