JP2005046015A - 花卉の育苗方法及び栽培方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】温度管理と湿度管理を適切に行うことがなくても,挿し穂の組織内の水分の不足を確実に排除し,未経験の人でも,確実に発根させるために,挿し穂を冷蔵し,無培土のトレイ各室に挿入し,水揚げしないで,葉水で挿し穂の下部に高い湿度を与え,発根を促進し,朝日を採光し,挿し穂を萎らせ,根の生長を促すことにより育苗し、栽培する。
【選択図】 図1
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、花卉の育苗方法、花卉の栽培方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のキク栽培の育苗は親株から挿し穂を取り,挿し穂は茎長4〜5cm葉数2〜3枚に調整し,トレイ又は育苗床に育苗培土を入れその培土に挿し芽する。
特開平06−343341号(以下,特許文献1という)の,(第0002)に,「切り花用の菊は,親株から挿し穂を取り,これを育苗床に挿し,適度に発根した後これを抜取り,畑に定植する。」の記載があり,育苗方法は,特許文献1(第0004)に「底面に押出穴を設けた多数のポット状苗室を一定間隔に配してなる可撓性苗枠の各苗室に培土を入れ,各苗室に対し夫々1本づつ挿し発根させる。」の記載がある。
【0003】
培土には,自家製培土と市販の購入培土があり,自家製培土には川砂や鹿沼土,山土,ボラの単品や,これらに市販購入培土を自家で複数混合したもの等があり,挿し芽は地床やベンチ床,箱挿しで苗作りが行われ,数センチ四方に1本挿しである。挿し芽は水揚げして行う。農耕と園芸編集部,切り花栽培の新技術キク上巻(以下,非特許文献1という)の26頁に「穂冷蔵で萎れたものはピンとなるまで2〜3時間水揚げする。」と記載されている。
【0004】
購入培土はキク専用の培土があり,主にトレイ育苗に用いられ,キクの育苗トレイは128穴と又は200穴が用いられている。そのトレイの1穴即ち1室に1本挿し,育苗ベンチで管理する。
【0005】
挿し芽後の育苗管理は,挿し芽した床やトレイに,カンレイシャ等で被覆し直射光線を避け萎凋防止する。灌水は,培土の種類によって異なるが通常1日朝昼2回行われて,挿し芽後約2週間で定植苗になる。
【0006】
【特許文献1】
特開平06−343341号(第0002,0004)
【非特許文献1】
船越桂市,切り花栽培の新技術キク上巻,農耕と園芸編集部,平成11年2月,26頁。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,自家作成培土の川砂やボラ,鹿沼土,山土等は素材の入手困難や,培土の種類によって育苗管理が異なる問題がある。また,川砂やボラ,鹿沼土,山土等の素材を配合したものも用いられているが,素材の配合を等質にできないと,生育むらが生じたり,培土素材によって灌水方法が異なり失敗の問題がある。
【0008】
市販培土は,均一な苗が多量に生産できやすいが,生産コスト高の課題がある。
本発明は,この育苗培土が不要にでき,育苗期間が短縮でき,未経験の人でも,確実に発根させることができ,さらに花卉挿し穂の葉水育苗装置およびトレイ各室挿入方法による,花卉の定植苗を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願発明者は,鋭意研究の結果,温度管理と湿度管理を適切に行うことがなくても,挿し穂の組織内の水分の不足を確実に排除し,未経験の人でも,確実に発根させるために,挿し穂を冷蔵し,無培土のトレイ各室に挿入し,水揚げしないで,葉水で挿し穂の下部に高い湿度を与え,発根を促進し,朝日を採光し,挿し穂を萎らせ,根の生長を促すことにより発明を完成し,上記課題を解決した。すなわち,
【0010】
本発明にいう花卉は,キキョウ目であって,キキョウ目としてキク科でありキク属,キンセンカ属,ゴボウ属,ステビア属,セイダカアワダチソウ属,ベニバナ属,ヨモギ属が挙げられ,ナデシコ目としてオシロイバナ科,ナデシコ科であり,オシロイバナ,カーネーションなどが挙げられる。
【0011】
本発明の花卉の育苗方法は、採穂した穂を,穂冷蔵工程と,挿入工程と,葉水工程と,日除け工程と,朝日採光工程とからなる。この挿入工程が、底面給水工程を含む前記の花卉の育苗方法も本発明に含まれる。
本発明の花卉の栽培方法は、前記本発明の育苗方法で得られた成苗を,定植し、管理するものである。この成苗が、発根長2〜20mm、好ましくは3〜5mmである花卉の栽培方法であってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を本発明装置に基づいて説明する。
本発明の花卉の育苗方法である,穂冷蔵工程,挿入工程,葉水工程,日除け工程,朝日採光工程からなるキク育苗フローチャートを図1に示す。
【0013】
〔穂冷蔵工程〕
午後3時以後5時の間に採穂し、採穂後すぐ穂の調整を行い,調整は生頂点から4〜5cmの長さで,展開葉2〜3枚つける。
調整した挿し穂は冷蔵貯蔵する,冷蔵方法は挿し穂の水分を吸収できるように穂を新聞紙等でくるみ,更にポリ袋に入れ2℃の冷蔵庫で貯蔵する。冷蔵期間は1週間から4週間の期間で良い,なお,穂冷蔵は挿し穂の確保と低温処理による発根及び伸長性の向上になる。
【0014】
トレイに挿入する当日に冷蔵庫から出庫し,挿し穂の消毒と発根処理を行った,消毒はダコニール1000の1,000倍液と発根処理にオキシベロン200倍液を混合し1分間浸漬する。
【0015】
〔挿入工程〕
育苗ベンチとトレイを,図2の育苗トレイ平面図(a),ベンチと育苗斜視図(b)に示す。
本発明の実施例の葉水育苗断面図を図3で示す。
育苗施設は暖房と換気が出来る電照可能なハウスで,挿し床の土台になるベンチを設置して,ベンチ(11)の上に水平な育苗床を設置し,その上にプラスチックフイルム(12)を敷き保湿と水漏れを防ぎ,育苗トレイ(13)がシートに直接触れないようにするため,厚さ2cm程度の均一な木材等(14)の敷き材を敷く,シートの四方周囲は,直径4〜5cmのパイプ又は木材等(15)を置き,底面給水の水溜めや排水調節のために設置する。
【0016】
シートの上に育苗トレイを置くが,育苗トレイの底面をシートに直接触れさせないため,厚さ2cm程度の均一な木材等の敷き材を置き,この敷き材の上部をおおむね水平にする。水平でない場合は敷き材の下に木片等を入れ水平に調整する。
【0017】
水平に調整した敷き材の上に,底面の押出穴を設けた,多数のポット状苗室を一定間隔に配してなるトレイを置く。このトレイ形状は,1室の上部直径2〜4cm,深さ4cmがよく,これはキク育苗で一般的に用いられている128穴や200穴トレイになる。
【0018】
トレイの各苗室にキクの挿し穂を1〜数本挿入する。複数挿入の時は穂の基部を揃え一緒に挿入し,挿入する挿し穂の深さは穂の基部がトレイの底面に届くまで挿す。
【0019】
なお,トレイの各苗室に挿入する挿し穂数の決定は,トレイに挿入したとき穂が,斜めにならないようお互いに支えあって,ほぼ直立になるような本数にする。
したがって,128穴や200穴の場合,挿入本数は,葉の大きい輪ギクは1本,スプレーギク2〜3本が標準になる。なお,上記本数が挿し穂基部の湿度が保たれ発根促進される。1室に挿入する本数が多いと通風や採光が悪くなり腐敗しやすく,少ないと挿し穂間にすき間ができ保湿が難しい。また,穂が曲がりやすく曲がった苗は定植や定植後の灌水作業がしにくい。
【0020】
本発明で育苗トレイを用いるのは,大量生産に都合がよい,育苗トレイは使いやすく,価格が安い等があり,また,トレイ室の深さが4cmで穂がほぼ垂直に立ち,成苗になったとき苗の茎が曲がらず垂直で定植しやすい。
【0021】
〔葉水工程〕
育苗床の温度は10から35℃、好ましくは15℃以上25℃以下を保つ。
育苗期間中は電照と遮光を行う,電照は照度50から100lx以上,日長時間14.5から20 時間にする。
葉水の方法は,挿入直後はシートが濡れる程度行い,挿入2日目から4〜5日間は1日1〜2回午前中と午後,水量は穂の葉面から水が2〜3滴こぼれ落ちる程度ジョロで行う。その後,定植までの間は1日1回午前中,穂の葉面から水が落ちない程度の葉水を行う。
【0022】
葉水の期間は,穂が夕方は少し萎れているが,翌朝萎れが回復するような葉水を行う。夕方は穂が少々萎れてはいるが,翌朝穂の萎れが回復する葉水量が発根がよく,夕方に穂が全く萎れない葉水量は発根が遅れる。
【0023】
トレイ室へ穂の挿入直後や葉水工程で,穂が萎れている場合は底面から給水する,給水方法は,水溜めシートの四方を直径4〜5cmのパイプ又は木材等で囲い,水量はトレイの底面から約1cmにし,穂の萎れが回復する数時間給水させその後排水する。排水方法は水溜め用資材のパイプ又は木材の一部を取り除く,排水量はトレイの底に停滞した水が穂に触れない位置までにし,挿し穂の腐敗防止を行う。目安として敷き材の厚さの半分以下にする。
【0024】
〔日除け工程〕
遮光は黒カンレイシャの遮光率50%を,穂挿入直後から4〜5日間は終日行う。
【0025】
〔朝日採光工程〕
5〜6日目頃には挿し穂の基部に発根原基が発生するので,遮光は朝日が2〜3時間入るような採光にする。その後,7〜8日目すなわち定植1日前は遮光を取り除き定植の順化を行う。
【0026】
〔栽培方法〕
定植苗の発根長として,2〜20mmでよいが,好ましくは3〜5mmである。
発根が3〜5mmになる期間は,品種によって異なるが,おおむね夏期で6〜8日,冬期は8〜9日である。
定植の深さは1cm程度にして,2cmを超える深植えを避け,定植後十分灌水を行う。
【0027】
【実施例】
〔実施例1〕 ジェニーとプリンス
本発明の実施例をスプレーギクの葉水育苗で説明する。
ジェニーとプリンスの2品種。
採穂のための母株栽培管理は,キクの採穂3日前から母株の灌水を控え,採穂前日に病害防除にジネブ剤の500倍液と,害虫防除に有機燐剤1,000倍液の散布を行った。揃った良質の若い穂を手で折りとって採穂した。挿し穂に同化養分を蓄えさせるため,午後3時に行った。
【0028】
採穂後すぐ穂の調整を行い,調整は生頂点から4〜5cmの長さで,展開葉2〜3枚つけた。
調整した挿し穂は当日に冷蔵貯蔵した,冷蔵方法は挿し穂の水分を吸収できるように穂を新聞紙等でくるみ,更にポリ袋に入れ2℃の冷蔵庫で貯蔵した。冷蔵期間は2週間にした。なお,穂冷蔵は挿し穂の確保と低温処理による発根及び伸長性の向上になる。
【0029】
トレイ挿し当日に冷蔵庫から出庫し,挿し穂の消毒と発根処理を行った,消毒はダコニール1000の1,000倍液と発根処理にオキシベロン200倍液を混合し1分間浸漬した。
育苗施設は暖房と換気が出来る電照可能なハウスで,挿し床の土台になるベンチを設置して,ベンチの上に水平な育苗床を設置し,育苗床には保湿にプラスチックフイルムを敷き,育苗トレイがシートに直接触れないようにするため,厚さ2cm程度の均一な木材等の敷き材を置いた。
【0030】
底面に押出穴を設けた,多数のポット状苗室を一定間隔に配してなる128穴トレイを敷き材の上に置き,トレイの各苗室にキクの挿し穂を2本入れた。トレイ苗室に挿入する穂の深さは,挿し穂の基部がトレイの底面に届くまで挿して,挿入した穂がお互いに支えあってほぼ直立になるようになった。
挿入した穂が曲がった状態では,曲がったまま発根し定植時に植えにくく,また,定植後の灌水も難しい。
【0031】
挿し穂の消毒後,挿し穂がやや萎れていた状態であったが,水揚げしないで挿し穂をトレイの苗室に挿入した。
挿し穂挿入後、葉面散水を行った。葉面散水は、穂挿入直後に育苗シートが濡れる程度行った。挿入2日目から5日間は1日2回午前中と午後に行った。水量は挿し穂の葉面から水が2〜3滴トレイ内部に水滴が落ちる程度の葉水を行った。その後,5日目から定植までの間は,1日1回葉から水が落ちない程度の葉水を行った。夕方葉が少々萎れていても,翌朝挿し穂の萎れが回復する程度の葉水を行った。
【0032】
育苗期間中は電照を行った。照度は50lx以上,日長時間14、5時間以上にした。
発明者は黒カンレイシャの遮光率約50%を終日遮光し,5日目に挿し穂の基部に発根原基が発生した。発根原基を確認した後,朝日が2〜3時間当たる採光した。挿し穂が若干萎れはじめたので遮光した。7日目には穂の基部に根が2〜3mm伸びたので,定植前の順化に遮光は取り除いた。
【0033】
発根が3mm以上伸びたとき定植苗になった。実施例1では品種ジェニーで8日目,プリンスで9日目に定植苗ができた。
定植の深さを1cm程度にして,2cmを超える深植えは避け,定植後は灌水を十分行った。
検体個体50本について、発根調査及び管理の結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
〔実施例2〕 輪ギク。
輪ギクの穂の挿入工程時に,貯蔵期間が4週間以上で萎れが大きいもので実施した。実施例1と同様な工程である。この場合,最初の葉水工程で回復しなかったので,底面給水工程を施した。
底面給水は,プラスチックフイルムのシート四方を,直径4〜5cmの木材で給水の堰き止めをした。給水量はトレイの底面から約1cm,トレイに挿入した穂の下部から吸水させ,萎凋が回復するまで8時間実施し,その後,水溜めパイプの一部を取り除き,底面給水の大半を排水した。排水の量はトレイの底に停滞した水が,穂の基部に触れないように敷き材の厚さ半分以下にした。
【0036】
〔実施例3〕 小ギク。
実施例1と同様な工程であるが,葉水工程で,翌朝穂が萎れているときの回復措置を行った。
葉水工程で,翌朝萎れが回復しなかったので,底面給水を行った。プラスチックフイルムのシート四方を,直径4〜5cmの木材で給水の堰き止めをした,給水量はトレイの底面から約1cm,トレイに挿入した穂の下部から吸水させ,萎凋が回復するまで4時間実施し,その後,水溜めパイプの一部を取り除き,底面給水の大半を排水した,排水の量はトレイの底に停滞した水が,穂の基部に触れないように敷き材の厚さ半分以下にした。
【0037】
〔実施例4〕 ソリダゴ
キク科セイダカアワダチソウ属のソリダゴの葉水育苗を説明する。
ソリダゴの葉水育苗は,採穂のための母株管理と採穂及び穂の調整を除き,実施例1と同様な工程である。
採穂のための母株栽培管理は,前年の秋露地に定植し,冬期の低温を十分与えた株を利用した。春先に草丈が伸びてもそのままにして,採穂2週間前に地際から1〜2cmの位置で台刈りし,追肥を10アール当たり窒素成分で5kg施した。
台刈り後,地際から発生した芽が節間伸長する前に採穂した。穂は蒸れやすいので,採穂は涼しい時間帯に行い,採穂後直ちに調整した。
穂の調整は,穂長4、5cmにし葉先をカットした。
実施例4では10日目に発根長が3mm伸びた。また,一芽の発根数が3〜4本であった。
【0038】
〔実施例5〕 カーネーション
ナデシコ目ナデシコ科カーネーションを葉水育苗した。
カーネーションの葉水育苗は,採穂及び穂の調整を除き,実施例1と同様な工程である。
採穂は,切り花栽培中の株で,茎の中間から発生して充実した脇芽を取った。
穂の調整は,展開葉4〜5枚,穂長約12cmにした。
挿入後10日目に発根した。
【0039】
〔比較例1〕
アジサイを葉水育苗した。
アジサイの葉水育苗は,穂の調整を除き,実施例1と同様な工程である。
採穂は,昨年枝の充実した先端部を取り,展開葉を2〜3枚つけた,葉が大きいので,葉先の半分はカットした。
挿入後,穂の萎凋は回復せず,7日目にはほとんど黄変落葉し枯死した。
【0040】
〔比較例2〕
ツツジを葉水育苗した。
ツツジの葉水育苗は,穂の調整を除き,実施例1と同様な工程である。
採穂は,生長が止まり充実した枝の先端部を取り,茎長6〜7cmで展開葉を4〜5枚つけた。
挿入後,穂は萎凋しなかったが,10日目にはほとんど黄変し枯死した。
【0041】
〔比較例3〕
ツバキを葉水育苗した。
ツバキの葉水育苗は,穂の調整を除き,実施例1と同様な工程である。
挿入後,穂は萎凋しなかったが,10日目には枯死した。
【0042】
〔比較例4〕
ハイビスカスを葉水育苗した。
ハイビスカスの葉水育苗は,穂の調整を除き,実施例1と同様な工程である。
採穂は,春先伸びた新芽の生長が止まり充実した枝の先端部を取り,茎長5〜6cmで展開葉を1枚,未展開葉を1枚つけた。
挿入後,5日目には落葉し,14日目には茎が褐変し枯死した。
【0043】
〔実施例6〕 品種 プリンス
スプレーギク(品種 プリンス、検体個体 30本平均)定植苗の発根長を,2mm,3mm,10mm以上を本圃で比較栽培した。
スプレーギクの定植苗の発根長と生育は,表2のとおりである。
【0044】
【表2】
2mm区は定植後の活着が悪く,定植後30日の消灯時草丈も伸びず,生育不良だったが,3mm区以上はよかった。
スプレーギク出荷規格の上位等級は,切り花草丈85cmであり,85cm以上の収穫には本圃の立毛で90cm以上は必要で,2mm区90cmに達しなかった。
定植苗の発根長は,3mm以上でよいが,1cm以上の根長には育苗日数が伸び,また,定植作業に労力を要する,したがって,定植苗の根長は3〜5mmが望ましい。
【0045】
〔実施例7〕 品種 ユーロ
スプレーギク(品種 ユーロ、検体個体10本)の定植の深さを1cm区,2cm区で比較栽培した。
スプレーギクの定植深さの生育収穫調査は,表3のとおりである。
【0046】
【表3】
【0047】
定植後の初期生育,収穫時の草丈,葉数,着花数ともに1cm区が優った。また,収穫時の揃いは1cm区がよく,2cm区は草丈,着花数にバラツキが大きく不揃いであった。したがって,定植の植え付け深さは1cm程度が望ましい。
【0048】
【発明の効果】
本発明は,育苗培土が不要にでき,育苗期間が短縮でき,未経験の人でも確実に発根させることができ,さらに花卉挿し穂の葉水育苗装置およびトレイ各室挿入方法による花卉定植苗が大量に生産できる。
【0049】
培土を用いないので,培土の種類による育苗管理の相違がなく,本発明の育苗は水管理が簡単で,均一な定植苗が大量に生産できる。
従来の培土挿し育苗では約14日間の育苗日数を要するが,本発明は7〜9日間で定植苗ができ,無理なく年間3.5から4作になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】花卉の育苗フローチャートである。
【図2】(a)育苗トレイ平面図である。
(b)ベンチと育苗トレイ斜視図である。
【図3】葉水育苗断面図である。
【図4】本発明の葉水育苗と慣行トレイ育苗の拡大断面図である。
【図5】定植苗断面図である。
【符号の説明】
11 ベンチ
12 プラスチックフイルム
13 トレイ
14 敷き材,厚さ約2cmの木材等
15 直径4〜5cmのパイプ及び木材等,底面給水の水溜め
16 トレイ室
17 給水
Claims (4)
- 採穂した穂を出発物として,穂冷蔵工程と,挿入工程と,葉水工程と,日除け工程と,朝日採光工程とを主な構成とする工程からなる花卉の育苗方法。
- 挿入工程が、底面給水工程を含む請求項1記載の花卉の育苗方法。
- 請求項1または請求項2に記載の育苗方法で得られた成苗を,定植し、管理する花卉の栽培方法。
- 成苗が、発根長2〜20mm、好ましくは3〜5mmである請求項3に記載の花卉の栽培方法。
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