JP2005042578A - ピストンの尾部構成部品、ピストン及びピストンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】異なる材料の頭部構成部品と尾部構成部品とを摩擦圧接方法で接合するのに好適で、実用化に耐えうるピストンの製造方法を提供する。
【解決手段】尾部構成部品34に対し突当部41と嵌合壁部42とを予め形成しておき、頭部構成部品32の開口部周縁部位33と尾部構成部品34の突当部41とを摩擦圧接して、頭部構成部品32の開口部周縁部位33から発生したバリ45を頭部構成部品32の内周側及び外周側に溶け出させ、摩擦圧接によって加熱された頭部構成部品32及び尾部構成部品34を冷却する際に、頭部構成部品32と尾部構成部品34の線膨張係数が異なることを利用して、頭部構成部品32と尾部構成部品34との間に画成された空間43内に流入したバリ45をかかる空間43を画成する面と押圧させた後、開口部周縁部位33のうち頭部構成部品32の外側に溶け出したバリ45を除去して、ピストン14を製造する。
【選択図】 図5
【解決手段】尾部構成部品34に対し突当部41と嵌合壁部42とを予め形成しておき、頭部構成部品32の開口部周縁部位33と尾部構成部品34の突当部41とを摩擦圧接して、頭部構成部品32の開口部周縁部位33から発生したバリ45を頭部構成部品32の内周側及び外周側に溶け出させ、摩擦圧接によって加熱された頭部構成部品32及び尾部構成部品34を冷却する際に、頭部構成部品32と尾部構成部品34の線膨張係数が異なることを利用して、頭部構成部品32と尾部構成部品34との間に画成された空間43内に流入したバリ45をかかる空間43を画成する面と押圧させた後、開口部周縁部位33のうち頭部構成部品32の外側に溶け出したバリ45を除去して、ピストン14を製造する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷凍サイクル、特にCO2 (二酸化炭素)等の冷媒を作動流体とする超臨界冷凍サイクルに用いられる圧縮機用のピストンで複数の部品で構成されたものの構造、このピストンの製造方法、並びにこのピストンを構成する部品の1つである尾部構成部品の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧縮機のピストンの製造方法として、ピストンを異なる材料の円筒部と首部とで構成し、この円筒部と首部との接合固定にあたり、両者の接面部を突き合わせ、これらを相対回転させて発生する熱を利用する摩擦溶接方法を用いることについては既に公知である(特許文献1及び特許文献2を参照。)。また、この摩擦溶接方法によれば、円筒部と首部との接合固定部にバリが生ずることも知られている(特許文献3を参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−38987号公開公報
【特許文献2】
特開2001−304126号公開公報
【特許文献3】
特開2001−132626号公開公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1及び2で示すピストンの構成では、円筒部と頭部との接合部位の面積が非常に小さく、しかも、単純に摩擦溶接法で接合するのみではその接合部位の強度に対する信頼性が高くないことから、ピストンが使用中に当該円筒部と頭部との接合部位にて破損するおそれがあり、実用化には更なる工夫を必要とする。
【0005】
また、上記特許文献3では、摩擦溶接の際に生ずるバリについて、異物として除去することしか考えられていないが、このバリをも有効利用することができれば、材料を節約することになり、ピストンの製造時に生ずる廃棄物を減量し、更には、バリを除去するための工数も減少することからピストンの製造コストの低減を図ることも可能となる。
【0006】
そこで、この発明においては、異なる材料からなる頭部構成部品と尾部構成部品とを摩擦圧接法により接合するのに好適で、且つ摩擦圧接で生ずるバリの有効利用も図られて、実用化に耐えうるピストンの尾部構成部品、この尾部構成部品を用いたピストン及び当該ピストンの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
しかして、この発明に係るピストンの尾部構成部品は、有底筒状の頭部構成部品に対しその開口部を閉塞する蓋体部を備え、この蓋体部は、前記頭部構成部品の開口部周縁部位と突当する突当部と、この突当部の内周側又は外周側において前記蓋体部から軸方向に沿って延び、前記突当部よりも略軸方向に沿って突出していると共にその先端が径方向に沿って突出して成る嵌合壁部とを有することを特徴とする(請求項1)。前記嵌合壁部は、ピストンの軸方向に延びる部位を内部が空洞の筒状の延出部とすると共にその先端側部位を外側又は内側に曲折させることで略径方向に沿って突出するフランジ部としたことが挙げられる(請求項2)。また、前記嵌合壁部は、ピストンの軸方向に延びる部位を柱状の延出部とすると共にその先端の部位の径を前記ピストンの軸方向に延びる部位よりも大きくすることで径方向に沿って突出するフランジ部としたことが挙げられる(請求項3)。
【0008】
また、この発明に係るピストンは、シリンダボアに摺動可能に挿入される頭部を構成している有底筒状の頭部構成部品と、この頭部構成部品の開口部を閉塞する蓋体部を備えた尾部構成部品とを軸方向に接合して形成され、前記頭部構成部品と尾部構成部品とは異なる材料で成るピストンにおいて、前記尾部構成部品の蓋体部は、前記頭部構成部品の開口部周縁部位と突当する突当部と、この突当部の内周側又は外周側において前記蓋体部から軸方向に沿って延び前記突当部よりも軸方向に突出していると共にその先端が径方向に沿って突出して成る嵌合壁部とを有し、前記頭部構成部品と尾部構成部品との間に画成された空間内に前記開口部の周縁部位が嵌入されていることを特徴とする(請求項4)。
【0009】
また、この発明に係るピストンの製造方法は、シリンダボアに摺動可能に挿入される頭部を構成している有底筒状の頭部構成部品と、この頭部構成部品の開口部を閉塞する蓋体部を備えた尾部構成部品とを軸方向に接合して形成され、前記頭部構成部品と尾部構成部品とは異なる材料で成るピストンの製造方法であって、前記尾部構成部品の蓋体部に対し、前記頭部構成部品の開口部周縁部位と突当する突当部と、この突当部の内周側又は外周側において前記蓋体部から軸方向に沿って延び前記突当部よりも軸方向に突出していると共にその先端が径方向に沿って突出して成る嵌合壁部とを予め形成しておくと共に、前記頭部構成部品の開口部周縁部位と尾部構成部品の突当部とを摩擦圧接して、頭部構成部品の開口部周縁部位から発生したバリを当該頭部構成部品の内周側及び外周側に塑性流動させるかあるいは溶け出させる工程と、摩擦圧接によって加熱された頭部構成部品及び尾部構成部品を冷却する際に、頭部構成部品と尾部構成部品の線膨張係数が異なることを利用して、前記頭部構成部品と尾部構成部品との間に画成された空間内に流入したバリを、かかる空間を画成する少なくとも1つの面と押圧させる工程とを有することを特徴とする(請求項5)。尚、嵌合壁部が突起部に対し内側に位置する場合には、更に、前記開口部周縁部位のうち頭部構成部品の外側に溶け出したバリを除去する工程を有する(請求項6)。
【0010】
ここで、前記尾部構成部品の突当部の肉厚は、前記頭部構成部品の開口部周縁部位の肉厚よりも薄いものであっても良い(請求項7)。
【0011】
また、この発明に係るピストンは、有底筒状の頭部構成部品に対しその開口部を閉塞する蓋体部を備え、この蓋体部は、前記頭部構成部品の開口部周縁部位と突当する突当部と、この突当部の内周側又は外周側において前記蓋体部から軸方向に沿って延び、前記突当部よりも軸方向に突出していると共にその先端を径方向に沿って突出して成る嵌合壁部とを有するピストンの尾部構成部品に対し、前記突当部を摩擦圧接することにより、前記頭部構成部品の開口部周縁部位から外周側に発生したバリを、当該頭部構成部品の内周側及び外周側に塑性流動させるかあるいは溶け出させることで、前記頭部構成部品と尾部構成部品との間に画成された空間内に封入したことを特徴とする(請求項8)。
【0012】
しかも、この請求項8に記載のピストンは、摩擦圧接によって加熱された頭部構成部品及び尾部構成部品を冷却する際に、頭部構成部品と尾部構成部品の線膨張係数が異なることを利用して、前記頭部構成部品と尾部構成部品との間に画成された空間内に流入したバリを、当該空間を画成する少なくとも1つの面と押圧させることをも特徴とする(請求項9)。
【0013】
そして、この発明に係るピストンの頭部構成部品はアルミ系材料あるいは高分子系材料からなることを特徴とする(請求項10)。また、この頭部構成部品は尾部構成部品よりも線膨張係数が大きい材料からなることを特徴とする(請求項11)。更に、この頭部構成部品は尾部構成部品よりも密度が小さい材料からなることを特徴とする(請求項12)。
【0014】
これに対し、この発明に係るピストンの尾部構成部品は頭部構成部品よりも硬度が高い材料からなることを特徴とする(請求項13)。また、この尾部構成部品は頭部構成部品よりも融解温度が高い材料からなることを特徴とする(請求項14)。更に、この尾部構成部品は頭部構成部品よりも引張強度が大きい材料からなることも特徴とする(請求項15)。
【0015】
これにより、頭部構成部品と尾部構成部品とは、開口部周縁部位と突当部とが摩擦圧接方法により押圧すると同時に、この摩擦圧接時に生じたバリが頭部構成部品と尾部構成部品との間に画成された空間内に嵌入されるので、単に開口部周縁部位と突当部とを摩擦圧接方法により押圧する場合に比し、その接合強度が向上する。
【0016】
また、突起部よりも径方向の内側に嵌合壁部が配されている場合には、摩擦圧接時に頭部構成部品の外周面と内周面とに生じたバリのうち、外周面側に生じたバリのみを除去すれば足り、内周面側に生じたバリは有効利用することができる。そして、突起部より径方向の外側に嵌合壁部が配されている場合には、頭部構成部品の外周面側に生じたバリを利用し、かつ頭部構成部品の内側に生じたバリをそのままとしても支障がないので、バリの除去工程は一切不要となる。
【0017】
更に、前記尾部構成部品の突当部の肉厚は、前記頭部構成部品の開口部周縁部位の肉厚よりも薄くすることで、頭部構成部品側に余剰部分が生じ、この余剰部分から空間内に嵌入するために必要な量のバリの発生を確保することができる。そして、尾部構成部品は頭部構成部品よりも融解温度が高い材料からなるので、摩擦圧接時に頭部構成部品側にのみバリを生じさせることが可能となる。そして、頭部構成部品は尾部構成部品よりも線膨張係数が大きい材料からなるので、冷却時に、頭部構成部品を収縮させて空間を画成する少なくとも1つの面に押圧させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面により説明する。
【0019】
図1及び図2において示される圧縮機1は、CO2 (二酸化炭素)等の冷媒を作動流体とする超臨界冷凍サイクルに用いられるもので、この圧縮機1は、シリンダブロック2と、このシリンダブロック2のリア側(図中、右側)をバルブプレート3を介して組み付けられたリアヘッド4と、シリンダブロック2のフロント側(図中、左側)を閉塞するように組み付けられたフロントヘッド5とを有して構成されており、これらフロントヘッド5、シリンダブロック2、バルブプレート3、及び、リアヘッド4は、複数の締結ボルト6によりシリンダ軸方向に沿って締結され、圧縮機1全体のハウジングを構成している。
【0020】
フロントヘッド5をシリンダブロック2に組み付けることによって画設されるクランク室7には、一端がフロントヘッド5から突出して図示しない電磁クラッチのアーマチュアに固定されるシャフト8が収容されている。このシャフト8の一端側は、フロントヘッド5との間に設けられたメカニカルシール9からなる軸封装置によって回転自在に支持され、他端は、シリンダブロック2に収容されたラジアル軸受10及びスラスト軸受11によって回転自在に支持されている。
【0021】
シリンダブロック2には、前記ラジアル軸受10及びスラスト軸受11を収容する軸受収容室12と、シャフト8の周囲を取り囲むように、当該シャフト8を中心とする円周上に等間隔に配された複数(6個)のシリンダボア13が形成されている。そして、それぞれのシリンダボア13内には、片頭ピストン14が往復摺動可能に挿入されている。尚、この実施形態においては、前記締結ボルト6は、シリンダボア13よりも外側で、且つ、各シリンダボア13と同位相となる位置、即ち、シャフト8と各シリンダボア13とを結ぶ直線の延長線上に1つずつ設けられている。
【0022】
シャフト8には、クランク室7内において、当該シャフト8と一体に回転するスラストフランジ16が固定されている。このスラストフランジ16は、フロントヘッド5に対してラジアル軸受17及びスラスト軸受18を介して回転自在に支持されており、ラジアル軸受17によって支持された先端側においてフロントヘッド5との間に前記メカニカルシール9を収容するシャフトシール室19を形成するようにしている。
【0023】
また、スラストフランジ16には、リンク機構20を介して斜板21が連結されている。この斜板21は、シャフト8に遊嵌されたヒンジボール22を中心に揺動可能に支持されており、スラストフランジ16の回転に同期して一体に回転するようになっている。そして、斜板21は、その周縁部分を前後に挟み込むように設けられた一対のシュー23を介して片頭ピストン14のクランク室7に突出している尾部14bに係留されている。したがって、シャフト8が回転して斜板21が回転すると、その回転運動がシュー23を介して片頭ピストン14の往復直線運動に変換され、この片頭ピストン14の往復動により、シリンダボア13内において片頭ピストン14とバルブプレート3との間に形成される圧縮室24の容積が変更されるようになっている。
【0024】
バルブプレート3には、それぞれのシリンダボア13に対応して吸入孔25と吐出孔26とが形成され、また、リアヘッド4には、圧縮室24に供給する作動流体を収容する吸入室27と、圧縮室24から吐出された作動流体を収容する吐出室28とが画設されている。吸入室27は、吐出室28の周囲に連続して形成されており、バルブプレート3の吸入孔25を介して圧縮室24と連通し、また、吐出室28は、バルブプレート3の吐出孔26を介して圧縮室24と連通するようになっている。また、吸入孔25は、バルブプレート3のフロント側端面に設けられた吸入弁29によって開閉され、更に、吐出弁26は、バルブプレート3のリア側端面に設けられた吐出弁30によって開閉されるようになっている。
【0025】
このような構成の圧縮機1においては、シャフト8が回転すると、シャフト8の回転力がスラストフランジ16、リンク機構20を経て斜板21に伝達され、この斜板21を回転させる。そして、この斜板21の回転により、シュー23を介して片頭ピストン14を往復運動させる。更に、片頭ピストン14がシリンダボア13内を往復運動すると、圧縮室24の容積が変化し、この容積変化によって作動流体の吸引、圧縮及び吐出が順次行われ、斜板21の傾斜角度に応じた容量である高圧の作動流体が吐出口31より他の冷凍サイクルを構成する機器に吐出される。
【0026】
そして、上述した片頭ピストン14は、図2(a)及び(b)にも示される様に、シリンダボア13に摺動可能に挿入される頭部14aを構成している有底筒状の頭部構成部品32と、この頭部構成部品32の開口部周縁部位33を閉塞する蓋体部36を備え、尾部14bを構成している尾部構成部品34とを軸方向に接合して構成されている。
【0027】
尾部14bは、前記した蓋体部36と、係合部35と、ブリッジ部37と、回転防止部38とを有するもので、このうち、蓋体部36には、一対のシュー23の一方を転動可能に支持する凹面状のシュー受け部36aが設けられていると共に、係合部35には、前記シュー受け部36aと片頭ピストン14の軸方向に沿って対向し、一対のシュー23の他方を転動可能に支持する凹面状のシュー受け部35aが設けられている。また、ブリッジ部37は、前記した蓋体部36と係合部35とを連結するためのものである。回転防止部38は、所定条件下でクランク室7の内周面と接する一対の当接部位39、39を有して構成されている。
【0028】
ところで、頭部構成部品32と尾部構成部品34とは、異なる材料により形成されているもので、各部品32、34の材料としては、以下の条件を満たすものが採択されている。すなわち、頭部構成部品32側から見た場合には、尾部構成部品34よりも線膨張係数が大きくて密度が小さい材料からなるものが採択されている。また、尾部構成部品34側から見た場合には、頭部構成部品32よりも硬度が高く、融解温度が高く、更には、引張強度が大きい材料が採択されている。これをより具体的に述べると、頭部構成部品32には、アルミ系材料、例えば、引張強度が相対的に高いAC8A、AC8B、AC8C系統(特にAC8C−T6)のアルミニウム合金が用いられており、尾部構成部品34には、例えば鉄系材料又はSUJ2系等の高炭素クロム軸受鋼鋼材が用いられている。
【0029】
尚、頭部構成部品32の材料として、上記したアルミ系材料ではなく高分子系材料を用いるようにしても良い。この高分子系材料としては、テフロン(登録商標)系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド(イミド)系樹脂、ポリフェニレンサルファイド等のエンプラ樹脂が挙げられる。
【0030】
これに伴い、頭部構成部品32と尾部構成部品34との接合は、異なる材料間でも接合可能とされる摩擦接合方法が用いられるところ、尾部構成部品34は頭部構成部品32との接合を好適なものとするために以下の構造をなしている。
【0031】
すなわち、尾部構成部品34は、図3等に示される様に、蓋体部36の周縁部からピストン14の軸方向に沿って延出し、頭部構成部品32の開口部周縁部位33と突当する突当部41を有している。そして、頭部構成部品32は、この突当部41のピストン径方向の内側において、蓋体部36からピストン14の軸方向に沿って内部が空洞の筒状に延出した延出部42aと、この延出部42aの先端側部位をピストン14の径方向に沿って外側に曲折してなるフランジ部42bとから成る嵌合壁部42を有している。
【0032】
しかるに、頭部構成部品32に尾部構成部品34を挿入した場合には、図4に示されるように、開口部周縁部位33の内周面と、蓋体部36の面と、突当部41の内周面と、嵌合壁部42の延出部42a及びフランジ部42bの面とで仕切られた空間43が環状に画成される。よって、摩擦圧接方法で生じた頭部構成部品32の開口部周縁部位33で生じたバリが空間43内に封入されて、頭部構成部品32と尾部構成部品34とが強固に接合される。
【0033】
頭部構成部品32と尾部構成部品34との接合工程について図4及び図5を用いて説明する。
【0034】
まず、図4に示される様に、頭部構成部品32に尾部構成部品34を、開口部周縁部位33と突当部41とが突当するまで挿入した後、頭部構成部品32と尾部構成部品34とを、軸方向に沿って力を加えつつ相対回転させる。これにより、開口部周縁部位33の面と突当部41の面とが圧着しつつ当該部位に熱を発生させるので、図5(a)に示す様に、尾部構成部品34よりも頭部構成部品32の方が融解温度が低いことから、頭部構成部品32の開口部周縁部位33から当該頭部構成部品32の内周側及び外周側にバリ45を塑性流動させるか或いは溶け出させる。このバリ45は、頭部構成部品32の内周側では、空間43内に流入する。バリ45の発生を容易にするために、図4の円枠内に示される様に、尾部構成部品34の突当部41の肉厚よりも、頭部構成部品32の開口部周縁部位33の肉厚を厚くすることが好ましい。
【0035】
次に、頭部構成部品32の膨張係数が尾部構成部品34の線膨張係数よりも大きいことを利用して、これらの部品32、34を冷却することで、同じく図5(a)に示される様に、空間43内に流入したバリ45を、当該空間43を画成する面と押圧させる。更に、図5(b)に示される様に、頭部構成部品32の外周側に生じたバリ45を除去する。
【0036】
最後に、図5(c)に示される様に、この頭部構成部品32と尾部構成部品34とを組み付けてなる片頭ピストン14の表面にコーティング46を施すことにより完成する。
【0037】
これにより、頭部構成部品32と尾部構成部品34とは、開口部周縁部位33と突当部41とが摩擦圧接方法により押圧すると同時に、この摩擦圧接時に生じたバリ45が空間43内に嵌入されるので、頭部構成部品32と尾部構成部品34とは確実且つ強固に接合されることとなり、異なる材料で構成された頭部構成部品32と尾部構成部品34とからなる片頭ピストン14の実用化を図ることが可能となる。
【0038】
尚、尾部構成部品34の嵌合壁部42について、図3等を用いて、蓋体部36からピストン14の軸方向に沿って内部が空洞の筒状に延出した延出部42aと、この延出部42aの先端側部位をピストン14の径方向に略沿って外側に曲折してなるフランジ部42bとから成ると説明したが必ずしもこの構成に限定されない。
【0039】
すなわち、図6に示される様に、嵌合壁部42は、蓋体部36からピストン14の軸方向に沿って柱状に延出した延出部42aと、この延出部42aの先端側部位をピストン14の径方向に沿って外側に突出させて成るフランジ部42bとで構成されたものとしても良い。このような嵌合壁部42の構成であっても、図7に示されるように、頭部構成部品32と尾部構成部品34との間に、開口部周縁部33の内周面と、蓋体部36の面と、嵌合壁部42の延出部42a及びフランジ部42bの面とで仕切られた空間43が画成され、かかる空間43内にバリ45を、図5に示す同様の過程を経ることで嵌入させることできるので、先の実施形態と同じ作用効果を得ることが可能である。
【0040】
また、尾部構成部品34の嵌合壁部42と突当部41との位置関係について突当部41の径方向の内側に嵌合壁部42を有していると説明したがこの構成についても必ずしも限定されない。すなわち、図8及び図9に示されるように、蓋体部35のピストン径方向に沿った幅を先の実施形態よりも相対的に大きくして、蓋体部35の面上において、開口部周縁部位33と突当する突当部41を軸方向に沿って延出させると共に、蓋体部35の外周縁において、ピストン軸方向に沿って前記突当部41よりも大きく円筒状に延出した延出部42aと、その先端を内側に曲折してなるフランジ部42bとで構成された嵌合壁部42を設けても良い。尚、この実施形態でも、突当部41の肉厚は、開口部周縁部位33の肉厚よりも薄いことが望まれる。
【0041】
しかるに、頭部構成部品32を尾部構成部品34に挿入した場合には、図9に示されるように、開口部周縁部位33の外周面と、蓋体部36の面と、嵌合壁部42の延出部42a及びフランジ部42bの面と突当部41の外周面とで仕切られた空間43が環状に画成される。
【0042】
頭部構成部品32と尾部構成部品34との接合工程について図10を用いて説明する。
【0043】
まず、図10(a)に示される様に、頭部構成部品32を、尾部構成部品34に開口部周縁部位33と突当部41とが突当するまで挿入した後、頭部構成部品32と尾部構成部品34とを、軸方向に沿って力を加えつつ相対回転させる。これにより、開口部周縁部位33の面と突当部41の面とが圧着しつつ当該部位に熱を発生させるので、図10(b)に示す様に、尾部構成部品34よりも頭部構成部品32の方が融解温度が低いことから、頭部構成部品32の開口部周縁部位33から当該頭部構成部品32の内周側及び外周側にバリ45を塑性流動させるか或いは溶け出させる。このバリ45は、頭部構成部品32の外周側では、空間43内に流入する。
【0044】
次に、頭部構成部品32の膨張係数が尾部構成部品34の線膨張係数よりも大きいことを利用して、これらの部品32、34を冷却することで、同じく図10(b)に示される様に、空間43内に流入したバリ45を、当該空間43を画成する面と押圧させる。
【0045】
最後に、図10(c)に示される様に、この頭部構成部品32と尾部構成部品34とを組み付けてなる片頭ピストン14の表面にコーティング46を施すことにより完成する。
【0046】
これにより、かかる実施形態によっても、頭部構成部品32と尾部構成部品34とは、開口部周縁部位33と突当部41とが摩擦圧接方法により押圧すると同時に、この摩擦圧接時に生じたバリ45が空間43内に嵌入されるので、頭部構成部品32と尾部構成部品34とは確実且つ強固に接合されることとなり、異なる材料で構成された頭部構成部品32と尾部構成部品34とからなる片頭ピストン14の実用化を図ることが可能となる。しかも、先の実施形態に比し、図5(b)のような頭部構成部品32の外周側に生じたバリ45を除去する作業が不要となる。
【0047】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、頭部構成部品と尾部構成部品とは、開口部周縁部位と突当部とが摩擦圧接方法により押圧すると同時に、この摩擦圧接時に生じたバリを空間内に嵌入させるため、単に開口部周縁部位と突当部とを摩擦圧接方法により押圧する場合に比し、その接合強度を向上させることができるので、頭部構成部品と尾部構成部品とが異なる材質からなるピストンに対する信頼度が高まる。
【0048】
また、この発明によれば、突起部よりも径方向の内側に嵌合壁部が配されている場合には、摩擦圧接時に頭部構成部品の外周面と内周面とに生じたバリのうち、外周面側に生じたバリのみを除去すれば足り、内周面側に生じたバリについては有効利用を図ることができるので、内側面のバリを除去する工数が削減され、また、材料の無駄使いがなくなり、ピストンの製造コストを低減することが可能となる。
【0049】
更に、この発明によれば、突起部よりも径方向の外側に嵌合壁部が配されている場合には、頭部構成部品の外周面側に生じたバリを利用し、かつ頭部構成部品の内側に生じたバリをそのままとしても支障がないことから、バリを除去するための工数を一切なくすことができるので、ピストンの製造をより簡易化することが可能となり、ピストンの製造コストのより一層の低減を図ることができる。
【0050】
特に、請求項7に記載の発明によれば、前記尾部構成部品の突当部の肉厚について、前記頭部構成部品の開口部周縁部位の肉厚よりも薄くすることで、頭部構成部品側に余剰部分が生じ、この余剰部分から空間内に嵌入するために必要な量のバリの発生を確保することができる。
【0051】
特に、請求項14に記載の発明によれば、尾部構成部品は頭部構成部品よりも融解温度が高い材料からなるので、摩擦圧接時に頭部構成部品側にのみバリを生じさせることが可能となる。
【0052】
特に請求項11に記載の発明によれば、頭部構成部品は尾部構成部品よりも線膨張係数が大きい材料からなるので、冷却時に、頭部構成部品を収縮させて頭部構成部品と尾部構成部品との間に配された空間を画成する少なくとも1つの面に押圧させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明に係るピストンが用いられた圧縮機の全体構成を示す断面図である。
【図2】図2(a)は、この発明に係る片頭ピストンの側面図であり、図2(b)は、前記片頭ピストンの正面図であり、図2(c)は、前記片頭ピストンの断面図である。
【図3】図3は、同上の片頭ピストンの尾部構成部品を蓋体部側から見た状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、尾部構成部品と頭部構成部品とを摩擦圧接方法で接合する際の初期段階を示した一部断面図である。
【図5】図5は、尾部構成部品と頭部構成部品とが摩擦圧接方法で接合される過程を示したもので、図5(a)は、頭部構成部品の開口端部位からバリが生じ、このバリが当該頭部構成部品と尾部構成部品とで画成された空間内に進入した状態を示す要部拡大断面図であり、図5(b)は、前記開口端部位にて生じたバリのうち外周側面に生じたものを除去した状態を示す要部拡大断面図であり、図5(c)は、片頭ピストンの外周表面にコーティングを施した状態を示す要部拡大断面図である。
【図6】図6は、先の実施形態とは異なる構成の片頭ピストンの尾部構成部品を蓋体部側から見た状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、図6で示す尾部構成部品を用いた片頭ピストンの断面図である。
【図8】図8は、更に、これまでの実施形態とは異なる構成の片頭ピストンの尾部構成部品を蓋体部側から見た状態を示す斜視図である。
【図9】図9は、図8で示す尾部構成部品を用いた片頭ピストンの断面図である。
【図10】図10は、図8で示す尾部構成部品と頭部構成部品とが摩擦圧接方法で接合される過程を示したもので、図10(a)は、頭部構成部品を尾部構成部品に挿入した初期の状態を示す要部拡大断面図であり、図10(b)は、頭部構成部品の開口端部位からバリが生じ、このバリが当該頭部構成部品と尾部構成部品とで画成された空間内に進入した状態を示す要部拡大断面図であり、図10(c)は、片頭ピストンの外周表面にコーティングを施した状態を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
14 片頭ピストン
14a 頭部
14b 尾部
32 頭部構成部品
33 開口部周縁部位
34 尾部構成部品
35 蓋体部
41 突当部
42 嵌合壁部
42a 延出部
42b フランジ部
43 空間
45 バリ
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷凍サイクル、特にCO2 (二酸化炭素)等の冷媒を作動流体とする超臨界冷凍サイクルに用いられる圧縮機用のピストンで複数の部品で構成されたものの構造、このピストンの製造方法、並びにこのピストンを構成する部品の1つである尾部構成部品の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧縮機のピストンの製造方法として、ピストンを異なる材料の円筒部と首部とで構成し、この円筒部と首部との接合固定にあたり、両者の接面部を突き合わせ、これらを相対回転させて発生する熱を利用する摩擦溶接方法を用いることについては既に公知である(特許文献1及び特許文献2を参照。)。また、この摩擦溶接方法によれば、円筒部と首部との接合固定部にバリが生ずることも知られている(特許文献3を参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−38987号公開公報
【特許文献2】
特開2001−304126号公開公報
【特許文献3】
特開2001−132626号公開公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1及び2で示すピストンの構成では、円筒部と頭部との接合部位の面積が非常に小さく、しかも、単純に摩擦溶接法で接合するのみではその接合部位の強度に対する信頼性が高くないことから、ピストンが使用中に当該円筒部と頭部との接合部位にて破損するおそれがあり、実用化には更なる工夫を必要とする。
【0005】
また、上記特許文献3では、摩擦溶接の際に生ずるバリについて、異物として除去することしか考えられていないが、このバリをも有効利用することができれば、材料を節約することになり、ピストンの製造時に生ずる廃棄物を減量し、更には、バリを除去するための工数も減少することからピストンの製造コストの低減を図ることも可能となる。
【0006】
そこで、この発明においては、異なる材料からなる頭部構成部品と尾部構成部品とを摩擦圧接法により接合するのに好適で、且つ摩擦圧接で生ずるバリの有効利用も図られて、実用化に耐えうるピストンの尾部構成部品、この尾部構成部品を用いたピストン及び当該ピストンの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
しかして、この発明に係るピストンの尾部構成部品は、有底筒状の頭部構成部品に対しその開口部を閉塞する蓋体部を備え、この蓋体部は、前記頭部構成部品の開口部周縁部位と突当する突当部と、この突当部の内周側又は外周側において前記蓋体部から軸方向に沿って延び、前記突当部よりも略軸方向に沿って突出していると共にその先端が径方向に沿って突出して成る嵌合壁部とを有することを特徴とする(請求項1)。前記嵌合壁部は、ピストンの軸方向に延びる部位を内部が空洞の筒状の延出部とすると共にその先端側部位を外側又は内側に曲折させることで略径方向に沿って突出するフランジ部としたことが挙げられる(請求項2)。また、前記嵌合壁部は、ピストンの軸方向に延びる部位を柱状の延出部とすると共にその先端の部位の径を前記ピストンの軸方向に延びる部位よりも大きくすることで径方向に沿って突出するフランジ部としたことが挙げられる(請求項3)。
【0008】
また、この発明に係るピストンは、シリンダボアに摺動可能に挿入される頭部を構成している有底筒状の頭部構成部品と、この頭部構成部品の開口部を閉塞する蓋体部を備えた尾部構成部品とを軸方向に接合して形成され、前記頭部構成部品と尾部構成部品とは異なる材料で成るピストンにおいて、前記尾部構成部品の蓋体部は、前記頭部構成部品の開口部周縁部位と突当する突当部と、この突当部の内周側又は外周側において前記蓋体部から軸方向に沿って延び前記突当部よりも軸方向に突出していると共にその先端が径方向に沿って突出して成る嵌合壁部とを有し、前記頭部構成部品と尾部構成部品との間に画成された空間内に前記開口部の周縁部位が嵌入されていることを特徴とする(請求項4)。
【0009】
また、この発明に係るピストンの製造方法は、シリンダボアに摺動可能に挿入される頭部を構成している有底筒状の頭部構成部品と、この頭部構成部品の開口部を閉塞する蓋体部を備えた尾部構成部品とを軸方向に接合して形成され、前記頭部構成部品と尾部構成部品とは異なる材料で成るピストンの製造方法であって、前記尾部構成部品の蓋体部に対し、前記頭部構成部品の開口部周縁部位と突当する突当部と、この突当部の内周側又は外周側において前記蓋体部から軸方向に沿って延び前記突当部よりも軸方向に突出していると共にその先端が径方向に沿って突出して成る嵌合壁部とを予め形成しておくと共に、前記頭部構成部品の開口部周縁部位と尾部構成部品の突当部とを摩擦圧接して、頭部構成部品の開口部周縁部位から発生したバリを当該頭部構成部品の内周側及び外周側に塑性流動させるかあるいは溶け出させる工程と、摩擦圧接によって加熱された頭部構成部品及び尾部構成部品を冷却する際に、頭部構成部品と尾部構成部品の線膨張係数が異なることを利用して、前記頭部構成部品と尾部構成部品との間に画成された空間内に流入したバリを、かかる空間を画成する少なくとも1つの面と押圧させる工程とを有することを特徴とする(請求項5)。尚、嵌合壁部が突起部に対し内側に位置する場合には、更に、前記開口部周縁部位のうち頭部構成部品の外側に溶け出したバリを除去する工程を有する(請求項6)。
【0010】
ここで、前記尾部構成部品の突当部の肉厚は、前記頭部構成部品の開口部周縁部位の肉厚よりも薄いものであっても良い(請求項7)。
【0011】
また、この発明に係るピストンは、有底筒状の頭部構成部品に対しその開口部を閉塞する蓋体部を備え、この蓋体部は、前記頭部構成部品の開口部周縁部位と突当する突当部と、この突当部の内周側又は外周側において前記蓋体部から軸方向に沿って延び、前記突当部よりも軸方向に突出していると共にその先端を径方向に沿って突出して成る嵌合壁部とを有するピストンの尾部構成部品に対し、前記突当部を摩擦圧接することにより、前記頭部構成部品の開口部周縁部位から外周側に発生したバリを、当該頭部構成部品の内周側及び外周側に塑性流動させるかあるいは溶け出させることで、前記頭部構成部品と尾部構成部品との間に画成された空間内に封入したことを特徴とする(請求項8)。
【0012】
しかも、この請求項8に記載のピストンは、摩擦圧接によって加熱された頭部構成部品及び尾部構成部品を冷却する際に、頭部構成部品と尾部構成部品の線膨張係数が異なることを利用して、前記頭部構成部品と尾部構成部品との間に画成された空間内に流入したバリを、当該空間を画成する少なくとも1つの面と押圧させることをも特徴とする(請求項9)。
【0013】
そして、この発明に係るピストンの頭部構成部品はアルミ系材料あるいは高分子系材料からなることを特徴とする(請求項10)。また、この頭部構成部品は尾部構成部品よりも線膨張係数が大きい材料からなることを特徴とする(請求項11)。更に、この頭部構成部品は尾部構成部品よりも密度が小さい材料からなることを特徴とする(請求項12)。
【0014】
これに対し、この発明に係るピストンの尾部構成部品は頭部構成部品よりも硬度が高い材料からなることを特徴とする(請求項13)。また、この尾部構成部品は頭部構成部品よりも融解温度が高い材料からなることを特徴とする(請求項14)。更に、この尾部構成部品は頭部構成部品よりも引張強度が大きい材料からなることも特徴とする(請求項15)。
【0015】
これにより、頭部構成部品と尾部構成部品とは、開口部周縁部位と突当部とが摩擦圧接方法により押圧すると同時に、この摩擦圧接時に生じたバリが頭部構成部品と尾部構成部品との間に画成された空間内に嵌入されるので、単に開口部周縁部位と突当部とを摩擦圧接方法により押圧する場合に比し、その接合強度が向上する。
【0016】
また、突起部よりも径方向の内側に嵌合壁部が配されている場合には、摩擦圧接時に頭部構成部品の外周面と内周面とに生じたバリのうち、外周面側に生じたバリのみを除去すれば足り、内周面側に生じたバリは有効利用することができる。そして、突起部より径方向の外側に嵌合壁部が配されている場合には、頭部構成部品の外周面側に生じたバリを利用し、かつ頭部構成部品の内側に生じたバリをそのままとしても支障がないので、バリの除去工程は一切不要となる。
【0017】
更に、前記尾部構成部品の突当部の肉厚は、前記頭部構成部品の開口部周縁部位の肉厚よりも薄くすることで、頭部構成部品側に余剰部分が生じ、この余剰部分から空間内に嵌入するために必要な量のバリの発生を確保することができる。そして、尾部構成部品は頭部構成部品よりも融解温度が高い材料からなるので、摩擦圧接時に頭部構成部品側にのみバリを生じさせることが可能となる。そして、頭部構成部品は尾部構成部品よりも線膨張係数が大きい材料からなるので、冷却時に、頭部構成部品を収縮させて空間を画成する少なくとも1つの面に押圧させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面により説明する。
【0019】
図1及び図2において示される圧縮機1は、CO2 (二酸化炭素)等の冷媒を作動流体とする超臨界冷凍サイクルに用いられるもので、この圧縮機1は、シリンダブロック2と、このシリンダブロック2のリア側(図中、右側)をバルブプレート3を介して組み付けられたリアヘッド4と、シリンダブロック2のフロント側(図中、左側)を閉塞するように組み付けられたフロントヘッド5とを有して構成されており、これらフロントヘッド5、シリンダブロック2、バルブプレート3、及び、リアヘッド4は、複数の締結ボルト6によりシリンダ軸方向に沿って締結され、圧縮機1全体のハウジングを構成している。
【0020】
フロントヘッド5をシリンダブロック2に組み付けることによって画設されるクランク室7には、一端がフロントヘッド5から突出して図示しない電磁クラッチのアーマチュアに固定されるシャフト8が収容されている。このシャフト8の一端側は、フロントヘッド5との間に設けられたメカニカルシール9からなる軸封装置によって回転自在に支持され、他端は、シリンダブロック2に収容されたラジアル軸受10及びスラスト軸受11によって回転自在に支持されている。
【0021】
シリンダブロック2には、前記ラジアル軸受10及びスラスト軸受11を収容する軸受収容室12と、シャフト8の周囲を取り囲むように、当該シャフト8を中心とする円周上に等間隔に配された複数(6個)のシリンダボア13が形成されている。そして、それぞれのシリンダボア13内には、片頭ピストン14が往復摺動可能に挿入されている。尚、この実施形態においては、前記締結ボルト6は、シリンダボア13よりも外側で、且つ、各シリンダボア13と同位相となる位置、即ち、シャフト8と各シリンダボア13とを結ぶ直線の延長線上に1つずつ設けられている。
【0022】
シャフト8には、クランク室7内において、当該シャフト8と一体に回転するスラストフランジ16が固定されている。このスラストフランジ16は、フロントヘッド5に対してラジアル軸受17及びスラスト軸受18を介して回転自在に支持されており、ラジアル軸受17によって支持された先端側においてフロントヘッド5との間に前記メカニカルシール9を収容するシャフトシール室19を形成するようにしている。
【0023】
また、スラストフランジ16には、リンク機構20を介して斜板21が連結されている。この斜板21は、シャフト8に遊嵌されたヒンジボール22を中心に揺動可能に支持されており、スラストフランジ16の回転に同期して一体に回転するようになっている。そして、斜板21は、その周縁部分を前後に挟み込むように設けられた一対のシュー23を介して片頭ピストン14のクランク室7に突出している尾部14bに係留されている。したがって、シャフト8が回転して斜板21が回転すると、その回転運動がシュー23を介して片頭ピストン14の往復直線運動に変換され、この片頭ピストン14の往復動により、シリンダボア13内において片頭ピストン14とバルブプレート3との間に形成される圧縮室24の容積が変更されるようになっている。
【0024】
バルブプレート3には、それぞれのシリンダボア13に対応して吸入孔25と吐出孔26とが形成され、また、リアヘッド4には、圧縮室24に供給する作動流体を収容する吸入室27と、圧縮室24から吐出された作動流体を収容する吐出室28とが画設されている。吸入室27は、吐出室28の周囲に連続して形成されており、バルブプレート3の吸入孔25を介して圧縮室24と連通し、また、吐出室28は、バルブプレート3の吐出孔26を介して圧縮室24と連通するようになっている。また、吸入孔25は、バルブプレート3のフロント側端面に設けられた吸入弁29によって開閉され、更に、吐出弁26は、バルブプレート3のリア側端面に設けられた吐出弁30によって開閉されるようになっている。
【0025】
このような構成の圧縮機1においては、シャフト8が回転すると、シャフト8の回転力がスラストフランジ16、リンク機構20を経て斜板21に伝達され、この斜板21を回転させる。そして、この斜板21の回転により、シュー23を介して片頭ピストン14を往復運動させる。更に、片頭ピストン14がシリンダボア13内を往復運動すると、圧縮室24の容積が変化し、この容積変化によって作動流体の吸引、圧縮及び吐出が順次行われ、斜板21の傾斜角度に応じた容量である高圧の作動流体が吐出口31より他の冷凍サイクルを構成する機器に吐出される。
【0026】
そして、上述した片頭ピストン14は、図2(a)及び(b)にも示される様に、シリンダボア13に摺動可能に挿入される頭部14aを構成している有底筒状の頭部構成部品32と、この頭部構成部品32の開口部周縁部位33を閉塞する蓋体部36を備え、尾部14bを構成している尾部構成部品34とを軸方向に接合して構成されている。
【0027】
尾部14bは、前記した蓋体部36と、係合部35と、ブリッジ部37と、回転防止部38とを有するもので、このうち、蓋体部36には、一対のシュー23の一方を転動可能に支持する凹面状のシュー受け部36aが設けられていると共に、係合部35には、前記シュー受け部36aと片頭ピストン14の軸方向に沿って対向し、一対のシュー23の他方を転動可能に支持する凹面状のシュー受け部35aが設けられている。また、ブリッジ部37は、前記した蓋体部36と係合部35とを連結するためのものである。回転防止部38は、所定条件下でクランク室7の内周面と接する一対の当接部位39、39を有して構成されている。
【0028】
ところで、頭部構成部品32と尾部構成部品34とは、異なる材料により形成されているもので、各部品32、34の材料としては、以下の条件を満たすものが採択されている。すなわち、頭部構成部品32側から見た場合には、尾部構成部品34よりも線膨張係数が大きくて密度が小さい材料からなるものが採択されている。また、尾部構成部品34側から見た場合には、頭部構成部品32よりも硬度が高く、融解温度が高く、更には、引張強度が大きい材料が採択されている。これをより具体的に述べると、頭部構成部品32には、アルミ系材料、例えば、引張強度が相対的に高いAC8A、AC8B、AC8C系統(特にAC8C−T6)のアルミニウム合金が用いられており、尾部構成部品34には、例えば鉄系材料又はSUJ2系等の高炭素クロム軸受鋼鋼材が用いられている。
【0029】
尚、頭部構成部品32の材料として、上記したアルミ系材料ではなく高分子系材料を用いるようにしても良い。この高分子系材料としては、テフロン(登録商標)系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド(イミド)系樹脂、ポリフェニレンサルファイド等のエンプラ樹脂が挙げられる。
【0030】
これに伴い、頭部構成部品32と尾部構成部品34との接合は、異なる材料間でも接合可能とされる摩擦接合方法が用いられるところ、尾部構成部品34は頭部構成部品32との接合を好適なものとするために以下の構造をなしている。
【0031】
すなわち、尾部構成部品34は、図3等に示される様に、蓋体部36の周縁部からピストン14の軸方向に沿って延出し、頭部構成部品32の開口部周縁部位33と突当する突当部41を有している。そして、頭部構成部品32は、この突当部41のピストン径方向の内側において、蓋体部36からピストン14の軸方向に沿って内部が空洞の筒状に延出した延出部42aと、この延出部42aの先端側部位をピストン14の径方向に沿って外側に曲折してなるフランジ部42bとから成る嵌合壁部42を有している。
【0032】
しかるに、頭部構成部品32に尾部構成部品34を挿入した場合には、図4に示されるように、開口部周縁部位33の内周面と、蓋体部36の面と、突当部41の内周面と、嵌合壁部42の延出部42a及びフランジ部42bの面とで仕切られた空間43が環状に画成される。よって、摩擦圧接方法で生じた頭部構成部品32の開口部周縁部位33で生じたバリが空間43内に封入されて、頭部構成部品32と尾部構成部品34とが強固に接合される。
【0033】
頭部構成部品32と尾部構成部品34との接合工程について図4及び図5を用いて説明する。
【0034】
まず、図4に示される様に、頭部構成部品32に尾部構成部品34を、開口部周縁部位33と突当部41とが突当するまで挿入した後、頭部構成部品32と尾部構成部品34とを、軸方向に沿って力を加えつつ相対回転させる。これにより、開口部周縁部位33の面と突当部41の面とが圧着しつつ当該部位に熱を発生させるので、図5(a)に示す様に、尾部構成部品34よりも頭部構成部品32の方が融解温度が低いことから、頭部構成部品32の開口部周縁部位33から当該頭部構成部品32の内周側及び外周側にバリ45を塑性流動させるか或いは溶け出させる。このバリ45は、頭部構成部品32の内周側では、空間43内に流入する。バリ45の発生を容易にするために、図4の円枠内に示される様に、尾部構成部品34の突当部41の肉厚よりも、頭部構成部品32の開口部周縁部位33の肉厚を厚くすることが好ましい。
【0035】
次に、頭部構成部品32の膨張係数が尾部構成部品34の線膨張係数よりも大きいことを利用して、これらの部品32、34を冷却することで、同じく図5(a)に示される様に、空間43内に流入したバリ45を、当該空間43を画成する面と押圧させる。更に、図5(b)に示される様に、頭部構成部品32の外周側に生じたバリ45を除去する。
【0036】
最後に、図5(c)に示される様に、この頭部構成部品32と尾部構成部品34とを組み付けてなる片頭ピストン14の表面にコーティング46を施すことにより完成する。
【0037】
これにより、頭部構成部品32と尾部構成部品34とは、開口部周縁部位33と突当部41とが摩擦圧接方法により押圧すると同時に、この摩擦圧接時に生じたバリ45が空間43内に嵌入されるので、頭部構成部品32と尾部構成部品34とは確実且つ強固に接合されることとなり、異なる材料で構成された頭部構成部品32と尾部構成部品34とからなる片頭ピストン14の実用化を図ることが可能となる。
【0038】
尚、尾部構成部品34の嵌合壁部42について、図3等を用いて、蓋体部36からピストン14の軸方向に沿って内部が空洞の筒状に延出した延出部42aと、この延出部42aの先端側部位をピストン14の径方向に略沿って外側に曲折してなるフランジ部42bとから成ると説明したが必ずしもこの構成に限定されない。
【0039】
すなわち、図6に示される様に、嵌合壁部42は、蓋体部36からピストン14の軸方向に沿って柱状に延出した延出部42aと、この延出部42aの先端側部位をピストン14の径方向に沿って外側に突出させて成るフランジ部42bとで構成されたものとしても良い。このような嵌合壁部42の構成であっても、図7に示されるように、頭部構成部品32と尾部構成部品34との間に、開口部周縁部33の内周面と、蓋体部36の面と、嵌合壁部42の延出部42a及びフランジ部42bの面とで仕切られた空間43が画成され、かかる空間43内にバリ45を、図5に示す同様の過程を経ることで嵌入させることできるので、先の実施形態と同じ作用効果を得ることが可能である。
【0040】
また、尾部構成部品34の嵌合壁部42と突当部41との位置関係について突当部41の径方向の内側に嵌合壁部42を有していると説明したがこの構成についても必ずしも限定されない。すなわち、図8及び図9に示されるように、蓋体部35のピストン径方向に沿った幅を先の実施形態よりも相対的に大きくして、蓋体部35の面上において、開口部周縁部位33と突当する突当部41を軸方向に沿って延出させると共に、蓋体部35の外周縁において、ピストン軸方向に沿って前記突当部41よりも大きく円筒状に延出した延出部42aと、その先端を内側に曲折してなるフランジ部42bとで構成された嵌合壁部42を設けても良い。尚、この実施形態でも、突当部41の肉厚は、開口部周縁部位33の肉厚よりも薄いことが望まれる。
【0041】
しかるに、頭部構成部品32を尾部構成部品34に挿入した場合には、図9に示されるように、開口部周縁部位33の外周面と、蓋体部36の面と、嵌合壁部42の延出部42a及びフランジ部42bの面と突当部41の外周面とで仕切られた空間43が環状に画成される。
【0042】
頭部構成部品32と尾部構成部品34との接合工程について図10を用いて説明する。
【0043】
まず、図10(a)に示される様に、頭部構成部品32を、尾部構成部品34に開口部周縁部位33と突当部41とが突当するまで挿入した後、頭部構成部品32と尾部構成部品34とを、軸方向に沿って力を加えつつ相対回転させる。これにより、開口部周縁部位33の面と突当部41の面とが圧着しつつ当該部位に熱を発生させるので、図10(b)に示す様に、尾部構成部品34よりも頭部構成部品32の方が融解温度が低いことから、頭部構成部品32の開口部周縁部位33から当該頭部構成部品32の内周側及び外周側にバリ45を塑性流動させるか或いは溶け出させる。このバリ45は、頭部構成部品32の外周側では、空間43内に流入する。
【0044】
次に、頭部構成部品32の膨張係数が尾部構成部品34の線膨張係数よりも大きいことを利用して、これらの部品32、34を冷却することで、同じく図10(b)に示される様に、空間43内に流入したバリ45を、当該空間43を画成する面と押圧させる。
【0045】
最後に、図10(c)に示される様に、この頭部構成部品32と尾部構成部品34とを組み付けてなる片頭ピストン14の表面にコーティング46を施すことにより完成する。
【0046】
これにより、かかる実施形態によっても、頭部構成部品32と尾部構成部品34とは、開口部周縁部位33と突当部41とが摩擦圧接方法により押圧すると同時に、この摩擦圧接時に生じたバリ45が空間43内に嵌入されるので、頭部構成部品32と尾部構成部品34とは確実且つ強固に接合されることとなり、異なる材料で構成された頭部構成部品32と尾部構成部品34とからなる片頭ピストン14の実用化を図ることが可能となる。しかも、先の実施形態に比し、図5(b)のような頭部構成部品32の外周側に生じたバリ45を除去する作業が不要となる。
【0047】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、頭部構成部品と尾部構成部品とは、開口部周縁部位と突当部とが摩擦圧接方法により押圧すると同時に、この摩擦圧接時に生じたバリを空間内に嵌入させるため、単に開口部周縁部位と突当部とを摩擦圧接方法により押圧する場合に比し、その接合強度を向上させることができるので、頭部構成部品と尾部構成部品とが異なる材質からなるピストンに対する信頼度が高まる。
【0048】
また、この発明によれば、突起部よりも径方向の内側に嵌合壁部が配されている場合には、摩擦圧接時に頭部構成部品の外周面と内周面とに生じたバリのうち、外周面側に生じたバリのみを除去すれば足り、内周面側に生じたバリについては有効利用を図ることができるので、内側面のバリを除去する工数が削減され、また、材料の無駄使いがなくなり、ピストンの製造コストを低減することが可能となる。
【0049】
更に、この発明によれば、突起部よりも径方向の外側に嵌合壁部が配されている場合には、頭部構成部品の外周面側に生じたバリを利用し、かつ頭部構成部品の内側に生じたバリをそのままとしても支障がないことから、バリを除去するための工数を一切なくすことができるので、ピストンの製造をより簡易化することが可能となり、ピストンの製造コストのより一層の低減を図ることができる。
【0050】
特に、請求項7に記載の発明によれば、前記尾部構成部品の突当部の肉厚について、前記頭部構成部品の開口部周縁部位の肉厚よりも薄くすることで、頭部構成部品側に余剰部分が生じ、この余剰部分から空間内に嵌入するために必要な量のバリの発生を確保することができる。
【0051】
特に、請求項14に記載の発明によれば、尾部構成部品は頭部構成部品よりも融解温度が高い材料からなるので、摩擦圧接時に頭部構成部品側にのみバリを生じさせることが可能となる。
【0052】
特に請求項11に記載の発明によれば、頭部構成部品は尾部構成部品よりも線膨張係数が大きい材料からなるので、冷却時に、頭部構成部品を収縮させて頭部構成部品と尾部構成部品との間に配された空間を画成する少なくとも1つの面に押圧させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明に係るピストンが用いられた圧縮機の全体構成を示す断面図である。
【図2】図2(a)は、この発明に係る片頭ピストンの側面図であり、図2(b)は、前記片頭ピストンの正面図であり、図2(c)は、前記片頭ピストンの断面図である。
【図3】図3は、同上の片頭ピストンの尾部構成部品を蓋体部側から見た状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、尾部構成部品と頭部構成部品とを摩擦圧接方法で接合する際の初期段階を示した一部断面図である。
【図5】図5は、尾部構成部品と頭部構成部品とが摩擦圧接方法で接合される過程を示したもので、図5(a)は、頭部構成部品の開口端部位からバリが生じ、このバリが当該頭部構成部品と尾部構成部品とで画成された空間内に進入した状態を示す要部拡大断面図であり、図5(b)は、前記開口端部位にて生じたバリのうち外周側面に生じたものを除去した状態を示す要部拡大断面図であり、図5(c)は、片頭ピストンの外周表面にコーティングを施した状態を示す要部拡大断面図である。
【図6】図6は、先の実施形態とは異なる構成の片頭ピストンの尾部構成部品を蓋体部側から見た状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、図6で示す尾部構成部品を用いた片頭ピストンの断面図である。
【図8】図8は、更に、これまでの実施形態とは異なる構成の片頭ピストンの尾部構成部品を蓋体部側から見た状態を示す斜視図である。
【図9】図9は、図8で示す尾部構成部品を用いた片頭ピストンの断面図である。
【図10】図10は、図8で示す尾部構成部品と頭部構成部品とが摩擦圧接方法で接合される過程を示したもので、図10(a)は、頭部構成部品を尾部構成部品に挿入した初期の状態を示す要部拡大断面図であり、図10(b)は、頭部構成部品の開口端部位からバリが生じ、このバリが当該頭部構成部品と尾部構成部品とで画成された空間内に進入した状態を示す要部拡大断面図であり、図10(c)は、片頭ピストンの外周表面にコーティングを施した状態を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
14 片頭ピストン
14a 頭部
14b 尾部
32 頭部構成部品
33 開口部周縁部位
34 尾部構成部品
35 蓋体部
41 突当部
42 嵌合壁部
42a 延出部
42b フランジ部
43 空間
45 バリ
Claims (15)
- 有底筒状の頭部構成部品に対しその開口部を閉塞する蓋体部を備え、
この蓋体部は、前記頭部構成部品の開口部周縁部位と突当する突当部と、この突当部の内周側又は外周側において前記蓋体部から軸方向に沿って延び、前記突当部よりも略軸方向に沿って突出していると共にその先端が径方向に沿って突出して成る嵌合壁部とを有することを特徴とするピストンの尾部構成部品。 - 前記嵌合壁部は、ピストンの軸方向に延びる部位を内部が空洞の筒状の延出部とすると共にその先端側部位を外側又は内側に曲折させることで略径方向に沿って突出するフランジ部としたことを特徴とする請求項1に記載のピストン尾部構成部品。
- 前記嵌合壁部は、ピストンの軸方向に延びる部位を柱状の延出部とすると共にその先端の部位の径を前記ピストンの軸方向に延びる部位よりも大きくすることで径方向に沿って突出するフランジ部としたことを特徴とする請求項1に記載のピストン尾部構成部品。
- シリンダボアに摺動可能に挿入される頭部を構成している有底筒状の頭部構成部品と、この頭部構成部品の開口部を閉塞する蓋体部を備えた尾部構成部品とを軸方向に接合して形成され、前記頭部構成部品と尾部構成部品とは異なる材料で成るピストンにおいて、
前記尾部構成部品の蓋体部は、前記頭部構成部品の開口部周縁部位と突当する突当部と、この突当部の内周側又は外周側において前記蓋体部から軸方向に沿って延び前記突当部よりも軸方向に突出していると共にその先端が径方向に沿って突出して成る嵌合壁部とを有し、
前記頭部構成部品と尾部構成部品との間に画成された空間内に前記開口部の周縁部位が嵌入されていることを特徴とするピストン。 - シリンダボアに摺動可能に挿入される頭部を構成している有底筒状の頭部構成部品と、この頭部構成部品の開口部を閉塞する蓋体部を備えた尾部構成部品とを軸方向に接合して形成され、前記頭部構成部品と尾部構成部品とは異なる材料で成るピストンの製造方法であって、
前記尾部構成部品の蓋体部に対し、前記頭部構成部品の開口部周縁部位と突当する突当部と、この突当部の内周側又は外周側において前記蓋体部から軸方向に沿って延び前記突当部よりも軸方向に突出していると共にその先端が径方向に沿って突出して成る嵌合壁部とを予め形成しておくと共に、
前記頭部構成部品の開口部周縁部位と尾部構成部品の突当部とを摩擦圧接して、頭部構成部品の開口部周縁部位から発生したバリを当該頭部構成部品の内周側及び外周側に塑性流動させるかあるいは溶け出させる工程と、
摩擦圧接によって加熱された頭部構成部品及び尾部構成部品を冷却する際に、頭部構成部品と尾部構成部品の線膨張係数が異なることを利用して、前記頭部構成部品と尾部構成部品との間に画成された空間内に流入したバリを、かかる空間を画成する少なくとも1つの面と押圧させる工程とを有することを特徴とするピストンの製造方法。 - 更に、前記開口部周縁部位のうち頭部構成部品の外側に溶け出したバリを除去する工程を有することを特徴とする請求項5に記載のピストンの製造方法。
- 前記尾部構成部品の突当部の肉厚は、前記頭部構成部品の開口部周縁部位の肉厚よりも薄いことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のピストン製造方法。
- 有底筒状の頭部構成部品に対しその開口部を閉塞する蓋体部を備え、この蓋体部は、前記頭部構成部品の開口部周縁部位と突当する突当部と、この突当部の内周側又は外周側において前記蓋体部から軸方向に沿って延び、前記突当部よりも軸方向に突出していると共にその先端を径方向に沿って突出して成る嵌合壁部とを有するピストンの尾部構成部品に対し、前記突当部を摩擦圧接することにより、前記頭部構成部品の開口部周縁部位から外周側に発生したバリを、当該頭部構成部品の内周側及び外周側に塑性流動させるかあるいは溶け出させることで、前記頭部構成部品と尾部構成部品との間に画成された空間内に封入したことを特徴とするピストン。
- 摩擦圧接によって加熱された頭部構成部品及び尾部構成部品を冷却する際に、頭部構成部品と尾部構成部品の線膨張係数が異なることを利用して、前記頭部構成部品と尾部構成部品との間に画成された空間内に流入したバリを、当該空間を画成する少なくとも1つの面と押圧させることを特徴とする請求項8に記載のピストン。
- 頭部構成部品はアルミ系材料あるいは高分子系材料からなることを特徴とする請求項4、8又は9に記載のピストン。
- 頭部構成部品は尾部構成部品よりも線膨張係数が大きい材料からなることを特徴とする請求項4、8、9又は10に記載のピストン。
- 頭部構成部品は尾部構成部品よりも密度が小さい材料からなることを特徴とする請求項4、8、9、10又は11に記載のピストン。
- 尾部構成部品は頭部構成部品よりも硬度が高い材料からなることを特徴とする請求項4、8、9、10、11又は12に記載のピストン。
- 尾部構成部品は頭部構成部品よりも融解温度が高い材料からなることを特徴とする請求項4、8、9、10、11、12又は13に記載のピストン。
- 尾部構成部品は頭部構成部品よりも引張強度が大きい材料からなることを特徴とする請求項4、8、9、10、11、12、13又は14に記載のピストン。
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