JP2005040277A - バルーンカテーテル - Google Patents
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Abstract
【課題】バルーン膜に特殊に調整した材料を用いることなく耐摩耗性に優れたバルーンカテーテルを提供すること。
【解決手段】血管内に挿入したバルーン膜を拡張・収縮させることにより心機能の補助作用を行なうものであって、バルーン膜2の外側表面及び内側表面の一方又は両方の面にダイヤモンドライクカーボン41をコーティングしたバルーンカテーテル。
【選択図】 図4
【解決手段】血管内に挿入したバルーン膜を拡張・収縮させることにより心機能の補助作用を行なうものであって、バルーン膜2の外側表面及び内側表面の一方又は両方の面にダイヤモンドライクカーボン41をコーティングしたバルーンカテーテル。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バルーンカテーテルに関し、さらに詳しくは、特に大動脈内バルーンパンピング用として好適な耐摩耗性に優れたバルーン部分を有するバルーンカテーテルに関する。
【0002】
【従来の技術】
大動脈バルーンパンピング(IABP)法は、心筋梗塞による心不全などの治療に広く用いられ、図5に示すようにバルーンカテーテルが大腿動脈から挿入され、その先端が左鎖骨下動脈分枝部直下の胸部下行大動脈に置かれる。そして、ポンプ装置51により流体圧がバルーン膜2内に導入または導出されるようになっている。バルーンカテーテル1先端のバルーン膜2は、心電図に同期させて心室の収縮期にバルーン膜2をしぼませ、拡張期にはふくらむようにして連動する。これにより、拡張期には冠動脈血流を増加させて虚血を軽くすることにより不全心臓を改善し、収縮期には後負荷を下げることにより左心室の負担を軽くする。なお、導入される流体は特に限定されないが、ポンプ装置51の駆動に応じて素早くバルーン膜2が拡張または収縮するように、質量の小さいヘリウムガスなどが用いられる。
【0003】
バルーン膜2の材質には、通常、ポリウレタン、ポリウレタンウレアなどの各種ポリマー材料からなるフィルム(膜)が使用されている。一方、図5に示すようにバルーン膜2を大動脈内に挿入するその血管60内には、図6に示すように、動脈硬化により損傷を受けた血管60内面にカルシウムなどが沈着して石灰化した石灰化部分61が存在する場合がある。この場合、血管60内に挿入されるバルーン膜2は、石灰化部分61と擦り合わされるため、バルーン膜2の耐摩耗性性を向上させることは重要である。
【0004】
従来、バルーン膜の耐摩耗性を向上させる技術として、下記特許文献1の公開公報に開示されているものがある。具体的には、耐摩耗性に優れたバルーン膜を構成する材料として、数平均分子量が50,000以上のポリマーから形成され、初期100%モデュラスが95kg/cm2 以上のフィルムを採用したバルーンカテーテルが開示されている。
【0005】
さらに下記特許文献2の公開公報では、同様の問題に対する解決策として、ポリウレタン系ポリマーを所定形状に製膜した後、架橋してゲル分の含有率を40重量%以上とした架橋フィルムは、架橋により高分子量であって、かつ、初期100%モデュラスの高いものとなって、この架橋フィルムからなるバルーン膜は、顕著な耐摩耗性を示すことが記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−92041号公報(第2頁)
【特許文献2】
特開平5−92042号公報(第2−3頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1におけるバルーンカテーテルでは、一般にポリマーを合成する場合に、ある範囲の幅を持つ分子量分布のものしか得ることができない。従って数平均分子量が50,000以上とするためには通常の合成法で行う以上の回数の重合を繰り返し分子量を増加させるか、あるいは合成された重合物から低分子量成分を抽出除去するなどして平均分子量を向上させる必要がある。すなわち、原料ポリマーの合成に時間と費用がかかってしまっていた。
一方、特許文献2におけるバルーンカテーテルのように加熱による架橋の場合でも処理に時間が必要であり、工業的にも好ましくなかった。
【0008】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、バルーン膜に特殊に調整した材料を用いることなく耐摩耗性に優れたバルーンカテーテルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のバルーンカテーテルは、血管内に挿入したバルーン膜を拡張・収縮させることにより心機能の補助作用を行なうものであって、前記バルーン膜の外側表面及び内側表面の一方又は両方の面にダイヤモンドライクカーボンをコーティングしたことを特徴とする。
また、本発明のバルーンカテーテルは、前記バルーン膜にコーティングしたダイヤモンドライクカーボンの膜厚が0.1〜10μmの範囲であることが望ましい。
更に、本発明のバルーンカテーテルは、前記バルーン膜が、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、ポリイミド、天然ゴム、ラテックス、シリコーンまたは塩化ビニールであることが望ましい。
【0010】
よって、本発明のバルーンカテーテルによれば、バルーンカテーテルを大動脈内バルーンボンピング法に使用する場合、動脈硬化により損傷を受けた血管内面にカルシウムなどが沈着して石灰化部分が存在する場合でも、ダイヤモンドライクカーボンのコーティング膜による表面硬化や耐摩耗性向上によりバルーン膜の損傷がより一層防止される。そして、そのバルーン膜にはポリウレタンなどを使用し、特殊に調整した材料を使用する必要がなく、また材料に合わせた特殊な工法を用いる必要もなく、こうした効果を奏する。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るバルーンカテーテルの一実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。本発明の特徴は、前記従来例のように特殊に調整した材料を使用することなく、従来工法で得られるバルーン膜に後工程でコーティングを施すことにより、製品の安全性を損なうことなく耐摩耗性に優れたバルーンカテーテルを提供することにある。そして、その実現には、使用においてバルーン膜が収縮及び拡張するものであるため、コーティング膜が剥がれることなくそうした動きに対応できるものでなければならなかった。そこで、本願発明者は、この課題をクリアするものとしてダイヤモンドライクカーボン(DLC)のコーティングに着目した。
【0012】
従来よりDLCコーティングは注目されている表面処理技術であり、水素化非晶質炭素皮膜を施すことによって基材に対して耐磨耗性や低摩擦性、さらに表面硬度の向上やガス透過抑制性などを付与することができる。そうしたDLCコーティングには、高周波プラズマCVD法、イオンビーム法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等いくつかの方法が存在するが、特に金属と比べて耐熱性に劣る樹脂を基材とする場合には比較的低温で処理が行えるプラズマCVD法が有用である。
【0013】
図1は、本実施の形態のDLCコーティングを実施するコーティングユニットの模式図である。このコーティングユニット30は、減圧チャンバー31、原料ガスを計測する流量計32、炭化水素系ガスをつめた原料ボンベ33、下方に開口した円筒状の上部電極34、下部電極35、マッチングボックス36及び、RFジェネレーター37などで構成されており、プラズマCVD法を行うものである。
【0014】
こうしたコーティングユニット30では、先ず減圧チャンバー31が不図示の真空ポンプの排気により内部が減圧状態にされ、そこに原料ボンベ33から流量計32を介しコーティングを行う際に使用する原料ガスの炭化水素系ガスが導入される。一方、減圧チャンバー31内は、上部電極34と下部電極35とにマッチングボックス36及びRFジェネレーター37から電力が供給され、その上部電極34と下部電極35との間で炭化水素系ガスがプラズマ分解される。そのため、上部電極34と下部電極35との間に設置された不図示のバルーン膜の表面にDLC膜が堆積することになる。
【0015】
ところで、プラズマCVD法が行われる場合には減圧チャンバー31内が減圧されるが、バルーン膜が密閉状態にあると、そのバルーン膜内部と減圧チャンバー31の内部とに圧力差が生じ、バルーン膜が伸展して破壊するおそれがある。そのため、バルーン膜の内部は密閉状態にしてはならず、バルーン膜内部と減圧チャンバー31の内部を等しい圧力にする必要がある。また、コーティングユニット30では、プラズマ生成用の電源周波数として通常電波法により規定された13.56MHzを使用する。なお、高周波を利用するので、ダイヤモンドライクカーボン膜が堆積するバルーン膜の材料には絶縁性や導電性など、電気的性質を特定しない。
【0016】
また、原料ガスとしては、メタン、エタンなどの炭化水素系ガスが適しているが、本実施形態ではメタンガスが用いられる。さらに、原料ガスのガス圧によってDLC膜の性状が変化することが知られているが、原料ガスのガス圧は1〜1000Paの範囲が望ましく、これよりも原料ガスのガス圧が低いとDLC膜の製膜自体が困難となり、また、これよりも原料ガスのガス圧が高いとDLC膜の表面硬度が低下し、耐磨耗性が不十分になるなどDLC膜の性能が低下する。従って、これらを考慮すると原料ガスのガス圧は10〜100Paの範囲がより望ましい。
【0017】
更に、DLC膜の厚さは、コーティング時間や原料ガスにより異なることが知られているが、この点、0.1〜10μmの範囲が望ましく、これよりも薄すぎるとDLCコーティングを施したことによる十分な効果が得られず、またこれよりも厚すぎるとDLC膜の屈曲性が低下する。従って、これらを考慮すると0.5〜3μmの範囲がより望ましい。そして、こうした条件で作成されるDLC膜は、およそ炭素が100〜80%、水素が0〜20%であり、若干の酸素が含まれる。また、表面硬度は20〜45GPaと高硬度であり、摩擦係数は0.05〜0.15程度になる。
【0018】
次に、図2(a)は、DLC膜を堆積させるバルーンカテーテルの概略全体図であり、また、図2(b)は、当該バルーン膜の断面図である。バルーンカテーテル1は、大動脈内バルーンボンピング法に使用するものであり、カテーテル外筒3と、カテーテル内筒4、バルーン膜2、Yコネクタ5からなる。バルーン膜2は、直径が20mm程度、長さが40cm程度の両端がすぼまった円筒形をしたものであり、遠位端でカテーテル内筒4と一体化し、近位端ではカテーテル外筒3と一体化している。一体化の方法は、接着剤による接着や溶剤を用いた溶着、熱による融着など、どのような手法であってもよい。バルーン膜2の両末端部2aは、こうしてカテーテル外筒3やカテーテル内筒4と一体化するため内径が3mmにまで細く絞られている。
【0019】
こうしたバルーン膜2の外側表面全体に対し、図1のコーティングユニット30によってDLCコーティングが行われる。なお、バルーン膜2にはポリウレタン、ポリウレタンウレア、ポリイミド、天然ゴム、ラテックス、シリコーンまたは塩化ビニールなどが望ましい。特に、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、ポリイミド、シリコーンまたは塩化ビニールなどがより望ましい。
ここで図3は、DLCコーティングを施したバルーン膜2の一部を示した拡大断面図である。このDLCコーティングしたバルーン膜2は、例えば厚さが150μmのポリウレタンであり、それに対して表面全体に厚さ2μmのDLCコーティング膜40が製膜されている。
【0020】
ところで、袋状のバルーン膜2へのコーティングには、前述したようにバルーン膜2が収縮及び拡張してもDLCコーティング膜40が剥がれることなく、そうした動きに対応できることが必要であることを述べた。これについては、DLCコーティング膜40が次のような性質を有するものであると推測し、それについては試験を行うことにより得られた結果かからほぼ実証されたと考えられる。
【0021】
すなわち、バルーン膜2の表面に施されたDLCコーティング膜40は、DLCコーティングしたバルーン膜2表面を拡大した図4に示すように、バルーン膜2の表面に対して平面方向に結合した1枚の膜ではなく、いわゆるウロコ状、あるいは密集したブラシ状とでもいうように、縦方向に結合が強いDLCコーティング柱41がその底面でバルーン膜2の表面と強固に密着し、更にこれらが密集して表面を覆うことにより膜構造をしていると推測される。従って、DLCコーティング膜40が平面方向に結合した1枚の膜であれば、バルーン膜2が拡張・収縮するのに追随できず剥がれてしまうおそれがあるが、図4に示すような膜構造をしたDLC膜であれば、DLCコーティング柱41それぞれの間隔が変化するだけで剥がれなくなると考えられる。
【0022】
そこで、この推測を裏付けるための実験を行った。実験は、バルーン膜2よりも伸びが生じる血液ポンプのダイアフラムを実験対象とし、その半球形のダイヤフラムにDLCコーティングしたものを繰り返し屈曲させてその後の状態を観察した。具体的には、図7に示す人工心臓用のダイアフラム型血液ポンプ21を使用した。これは、血液ハウジング22とダイアフラム23とが一体化して血液チャンバー25を構成し、袋状の血液チャンバー25内部にダイアフラム23の拍動によってハウジング22のポート22aを介して血液を吸引・拍出するようにしたものである。
【0023】
血液ポンプ21のダイアフラム23は、バルーン膜2と同様にポリウレタンが使用され、そしてそのダイアフラム23には前述したコーティング方法と同様に、外側表面全体にDLCコーティングが施される。実験では、こうした血液ポンプ21に対して半球形のダイアフラム23を空気圧で駆動させて1000万回の拍動を行った後、表面を電子顕微鏡で観察した。なお、1000万回の拍動は、1分間に70回の拍動を3ヶ月間継続した。そうした結果、ダイアフラム23の外側表面全体に施したDLCコーティング膜40には剥がれは見られなかった。そして更に、別の実験として同じ条件でDLCコーティングした母材をポリウレタンとするダイアフラム23を引っ張ってその後の状態を観察した。この実験では、130%伸ばしまでは剥がれが見られなかった。
【0024】
よって、この結果から、DLCコーティング膜40は、図4に示すような構造とする推測に基づく効果が得られることが分かった。そして、血液ポンプ21のダイアフラム23に比べて伸びの少ないバルーンカテーテル1のバルーン膜2への使用が有効であることも分かった。
【0025】
従って、こうしたバルーンカテーテル1を図5に示す大動脈内バルーンボンピング法に使用する場合、カテーテル外筒3とカテーテル内筒4の間隙を経由し、ポンプ装置51から供給されるガスの陽陰圧パルスによりバルーン膜2が拡張及び収縮する。このとき、バルーン膜2の外側表面全体がダイヤモンドライクカーボンでコーティングされているので、そのバルーン膜2は、表面硬度の向上、耐磨耗性の向上、更に摩擦係数の低下などの特徴を有している。そのため、図6に示すように、動脈硬化により損傷を受けた血管内面にカルシウムなどが沈着して石灰化部分61が存在する場合でも、本実施形態のバルーンカテーテル1によれば、DLCコーティング膜40による表面硬化や耐摩耗性向上によって、バルーン膜2の損傷がより一層防止される。
【0026】
そして、こうしたDLCコーティング膜40をバルーン膜2に施すことにより、前記特許文献1及び2に記載されるような特殊に調整した材料を使用する必要がなくなり、また材料に合わせた特殊な工法を用いる必要がなくなって、前記効果を奏するバルーンカテーテル1の提供を簡便に行うことができるようになった。また、DLCコーティング膜40を施すことにより、特殊な薬剤を用いることなく耐摩耗性を向上させることができ、製品の安全性を損なうことなくバルーンカテーテル1を提供することができるようになった。また、DLCコーティング膜40によりバルーン膜2表面の抗血栓性が向上するので、ベースとなるバルーン膜2の素材が抗血栓性に劣る素材であっても、バルーン膜2としての抗血栓性が確保されるようになった。更に、バルーンカテーテル1を体内に挿入する際あるいは体内から抜去する際、DLCコーティング膜40によってバルーン膜2表面の摩擦係数が低下しているため、スムーズに挿入及び抜去することが可能になった。
【0027】
ところで、前記実施形態では、DLCコーティング膜40を外側表面へ施す場合について示したが、バルーン膜2の内側表面にDLCコーティングすることも有効である。すなわち、従来は滅菌・保管時に巻かれた状態のバルーン膜2どうしが粘着し、使用時にほどけなくなってしまうのを防ぐためバルーン膜2の内側表面にタルク等を塗布していた。しかし、DLCコーティング膜40を内側表面に施せば、その非粘着性によってタルク塗布が不要になり、製造工程でのタルク塗布工程の廃止、タルク切れによるバルーン膜2の接着が起こらなくなった。
【0028】
また、バルーン膜2の外側にDLCコーティング膜40を施すことにより、内側表面の場合と同様に、バルーン膜2の外側表面同士が粘着することを防止できるという効果がある。従来、バルーン膜2の外側表面同士が粘着するのを防止する目的で、バルーン膜2の外側表面にオイル等を塗布していた。そのため、製品全体がオイルミストにより汚染されるのを防止する必要があったり、バルーン膜2を使用時に洗浄して、オイルを流し落とす作業が必要であった。バルーン膜2の外側にDLCコーティング膜40を施すことにより、上記のような煩わしい作業を排除することができる。
【0029】
更に、バルーン膜2は、ポリウレタンなどのエストラマーによって作成され、その膜厚が薄くなりがちで駆動ガス(ヘリウム)が透過してしまうおそれがある。しかし、本実施形態のようにバルーン膜2の外側表面又は内側表面にDLCコーティング膜40を施すことによりガス透過が抑制される。これによりヘリウムガスの消費が抑えられるため、駆動装置に搭載するボンベを小型化することが可能になった。
また、従来、バルーン膜2を血液中の水分が水蒸気として透過してバルーンカテーテル1内に溜まってしまっていた。しかし、バルーン膜2の外側表面又は内側表面にDLCコーティング膜40を施すことにより水蒸気の透過が抑制され、バルーンカテーテル1内の水を除去する煩雑な作業が不要となった。
【0030】
以上、本発明にかかるバルーンカテーテルの一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態ではバルーン膜2の外側表面にDLCコーティング膜40を施す場合を説明したが、DLCコーティング膜40は、内側表面だけに施すようにしてもよく、更には両面に施すようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明は、血管内に挿入したバルーン膜を拡張・収縮させることにより心機能の補助作用を行なうものであって、バルーン膜の外側表面及び内側表面の一方又は両方の面にダイヤモンドライクカーボンをコーティングした構成としたので、バルーン膜に特殊に調整した材料を用いることなく耐摩耗性に優れたバルーンカテーテルを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】DLCコーティングを実施するコーティングユニットの模式図である。
【図2】DLC膜を堆積させるバルーンカテーテルの概略全体と、当該バルーン膜の断面を示す図である。
【図3】DLCコーティングを施したバルーン膜の一部を示した拡大断面図である。
【図4】DLCコーティング膜の製膜状態を示した図である。
【図5】バルーンカテーテルを人体に挿入した状態を示した図である。
【図6】バルーンカテーテルを挿入した血管内の特に石灰化部分を有する状態を示した図である。
【図7】人工心臓用のダイアフラム型血液ポンプを示した断面図である。
【符号の説明】
1 バルーンカテーテル
2 バルーン膜
3 カテーテル外筒3
4 カテーテル内筒
5 Yコネクタ
40 DLCコーティング膜
41 DLCコーティング柱
【発明の属する技術分野】
本発明は、バルーンカテーテルに関し、さらに詳しくは、特に大動脈内バルーンパンピング用として好適な耐摩耗性に優れたバルーン部分を有するバルーンカテーテルに関する。
【0002】
【従来の技術】
大動脈バルーンパンピング(IABP)法は、心筋梗塞による心不全などの治療に広く用いられ、図5に示すようにバルーンカテーテルが大腿動脈から挿入され、その先端が左鎖骨下動脈分枝部直下の胸部下行大動脈に置かれる。そして、ポンプ装置51により流体圧がバルーン膜2内に導入または導出されるようになっている。バルーンカテーテル1先端のバルーン膜2は、心電図に同期させて心室の収縮期にバルーン膜2をしぼませ、拡張期にはふくらむようにして連動する。これにより、拡張期には冠動脈血流を増加させて虚血を軽くすることにより不全心臓を改善し、収縮期には後負荷を下げることにより左心室の負担を軽くする。なお、導入される流体は特に限定されないが、ポンプ装置51の駆動に応じて素早くバルーン膜2が拡張または収縮するように、質量の小さいヘリウムガスなどが用いられる。
【0003】
バルーン膜2の材質には、通常、ポリウレタン、ポリウレタンウレアなどの各種ポリマー材料からなるフィルム(膜)が使用されている。一方、図5に示すようにバルーン膜2を大動脈内に挿入するその血管60内には、図6に示すように、動脈硬化により損傷を受けた血管60内面にカルシウムなどが沈着して石灰化した石灰化部分61が存在する場合がある。この場合、血管60内に挿入されるバルーン膜2は、石灰化部分61と擦り合わされるため、バルーン膜2の耐摩耗性性を向上させることは重要である。
【0004】
従来、バルーン膜の耐摩耗性を向上させる技術として、下記特許文献1の公開公報に開示されているものがある。具体的には、耐摩耗性に優れたバルーン膜を構成する材料として、数平均分子量が50,000以上のポリマーから形成され、初期100%モデュラスが95kg/cm2 以上のフィルムを採用したバルーンカテーテルが開示されている。
【0005】
さらに下記特許文献2の公開公報では、同様の問題に対する解決策として、ポリウレタン系ポリマーを所定形状に製膜した後、架橋してゲル分の含有率を40重量%以上とした架橋フィルムは、架橋により高分子量であって、かつ、初期100%モデュラスの高いものとなって、この架橋フィルムからなるバルーン膜は、顕著な耐摩耗性を示すことが記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−92041号公報(第2頁)
【特許文献2】
特開平5−92042号公報(第2−3頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1におけるバルーンカテーテルでは、一般にポリマーを合成する場合に、ある範囲の幅を持つ分子量分布のものしか得ることができない。従って数平均分子量が50,000以上とするためには通常の合成法で行う以上の回数の重合を繰り返し分子量を増加させるか、あるいは合成された重合物から低分子量成分を抽出除去するなどして平均分子量を向上させる必要がある。すなわち、原料ポリマーの合成に時間と費用がかかってしまっていた。
一方、特許文献2におけるバルーンカテーテルのように加熱による架橋の場合でも処理に時間が必要であり、工業的にも好ましくなかった。
【0008】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、バルーン膜に特殊に調整した材料を用いることなく耐摩耗性に優れたバルーンカテーテルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のバルーンカテーテルは、血管内に挿入したバルーン膜を拡張・収縮させることにより心機能の補助作用を行なうものであって、前記バルーン膜の外側表面及び内側表面の一方又は両方の面にダイヤモンドライクカーボンをコーティングしたことを特徴とする。
また、本発明のバルーンカテーテルは、前記バルーン膜にコーティングしたダイヤモンドライクカーボンの膜厚が0.1〜10μmの範囲であることが望ましい。
更に、本発明のバルーンカテーテルは、前記バルーン膜が、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、ポリイミド、天然ゴム、ラテックス、シリコーンまたは塩化ビニールであることが望ましい。
【0010】
よって、本発明のバルーンカテーテルによれば、バルーンカテーテルを大動脈内バルーンボンピング法に使用する場合、動脈硬化により損傷を受けた血管内面にカルシウムなどが沈着して石灰化部分が存在する場合でも、ダイヤモンドライクカーボンのコーティング膜による表面硬化や耐摩耗性向上によりバルーン膜の損傷がより一層防止される。そして、そのバルーン膜にはポリウレタンなどを使用し、特殊に調整した材料を使用する必要がなく、また材料に合わせた特殊な工法を用いる必要もなく、こうした効果を奏する。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るバルーンカテーテルの一実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。本発明の特徴は、前記従来例のように特殊に調整した材料を使用することなく、従来工法で得られるバルーン膜に後工程でコーティングを施すことにより、製品の安全性を損なうことなく耐摩耗性に優れたバルーンカテーテルを提供することにある。そして、その実現には、使用においてバルーン膜が収縮及び拡張するものであるため、コーティング膜が剥がれることなくそうした動きに対応できるものでなければならなかった。そこで、本願発明者は、この課題をクリアするものとしてダイヤモンドライクカーボン(DLC)のコーティングに着目した。
【0012】
従来よりDLCコーティングは注目されている表面処理技術であり、水素化非晶質炭素皮膜を施すことによって基材に対して耐磨耗性や低摩擦性、さらに表面硬度の向上やガス透過抑制性などを付与することができる。そうしたDLCコーティングには、高周波プラズマCVD法、イオンビーム法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等いくつかの方法が存在するが、特に金属と比べて耐熱性に劣る樹脂を基材とする場合には比較的低温で処理が行えるプラズマCVD法が有用である。
【0013】
図1は、本実施の形態のDLCコーティングを実施するコーティングユニットの模式図である。このコーティングユニット30は、減圧チャンバー31、原料ガスを計測する流量計32、炭化水素系ガスをつめた原料ボンベ33、下方に開口した円筒状の上部電極34、下部電極35、マッチングボックス36及び、RFジェネレーター37などで構成されており、プラズマCVD法を行うものである。
【0014】
こうしたコーティングユニット30では、先ず減圧チャンバー31が不図示の真空ポンプの排気により内部が減圧状態にされ、そこに原料ボンベ33から流量計32を介しコーティングを行う際に使用する原料ガスの炭化水素系ガスが導入される。一方、減圧チャンバー31内は、上部電極34と下部電極35とにマッチングボックス36及びRFジェネレーター37から電力が供給され、その上部電極34と下部電極35との間で炭化水素系ガスがプラズマ分解される。そのため、上部電極34と下部電極35との間に設置された不図示のバルーン膜の表面にDLC膜が堆積することになる。
【0015】
ところで、プラズマCVD法が行われる場合には減圧チャンバー31内が減圧されるが、バルーン膜が密閉状態にあると、そのバルーン膜内部と減圧チャンバー31の内部とに圧力差が生じ、バルーン膜が伸展して破壊するおそれがある。そのため、バルーン膜の内部は密閉状態にしてはならず、バルーン膜内部と減圧チャンバー31の内部を等しい圧力にする必要がある。また、コーティングユニット30では、プラズマ生成用の電源周波数として通常電波法により規定された13.56MHzを使用する。なお、高周波を利用するので、ダイヤモンドライクカーボン膜が堆積するバルーン膜の材料には絶縁性や導電性など、電気的性質を特定しない。
【0016】
また、原料ガスとしては、メタン、エタンなどの炭化水素系ガスが適しているが、本実施形態ではメタンガスが用いられる。さらに、原料ガスのガス圧によってDLC膜の性状が変化することが知られているが、原料ガスのガス圧は1〜1000Paの範囲が望ましく、これよりも原料ガスのガス圧が低いとDLC膜の製膜自体が困難となり、また、これよりも原料ガスのガス圧が高いとDLC膜の表面硬度が低下し、耐磨耗性が不十分になるなどDLC膜の性能が低下する。従って、これらを考慮すると原料ガスのガス圧は10〜100Paの範囲がより望ましい。
【0017】
更に、DLC膜の厚さは、コーティング時間や原料ガスにより異なることが知られているが、この点、0.1〜10μmの範囲が望ましく、これよりも薄すぎるとDLCコーティングを施したことによる十分な効果が得られず、またこれよりも厚すぎるとDLC膜の屈曲性が低下する。従って、これらを考慮すると0.5〜3μmの範囲がより望ましい。そして、こうした条件で作成されるDLC膜は、およそ炭素が100〜80%、水素が0〜20%であり、若干の酸素が含まれる。また、表面硬度は20〜45GPaと高硬度であり、摩擦係数は0.05〜0.15程度になる。
【0018】
次に、図2(a)は、DLC膜を堆積させるバルーンカテーテルの概略全体図であり、また、図2(b)は、当該バルーン膜の断面図である。バルーンカテーテル1は、大動脈内バルーンボンピング法に使用するものであり、カテーテル外筒3と、カテーテル内筒4、バルーン膜2、Yコネクタ5からなる。バルーン膜2は、直径が20mm程度、長さが40cm程度の両端がすぼまった円筒形をしたものであり、遠位端でカテーテル内筒4と一体化し、近位端ではカテーテル外筒3と一体化している。一体化の方法は、接着剤による接着や溶剤を用いた溶着、熱による融着など、どのような手法であってもよい。バルーン膜2の両末端部2aは、こうしてカテーテル外筒3やカテーテル内筒4と一体化するため内径が3mmにまで細く絞られている。
【0019】
こうしたバルーン膜2の外側表面全体に対し、図1のコーティングユニット30によってDLCコーティングが行われる。なお、バルーン膜2にはポリウレタン、ポリウレタンウレア、ポリイミド、天然ゴム、ラテックス、シリコーンまたは塩化ビニールなどが望ましい。特に、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、ポリイミド、シリコーンまたは塩化ビニールなどがより望ましい。
ここで図3は、DLCコーティングを施したバルーン膜2の一部を示した拡大断面図である。このDLCコーティングしたバルーン膜2は、例えば厚さが150μmのポリウレタンであり、それに対して表面全体に厚さ2μmのDLCコーティング膜40が製膜されている。
【0020】
ところで、袋状のバルーン膜2へのコーティングには、前述したようにバルーン膜2が収縮及び拡張してもDLCコーティング膜40が剥がれることなく、そうした動きに対応できることが必要であることを述べた。これについては、DLCコーティング膜40が次のような性質を有するものであると推測し、それについては試験を行うことにより得られた結果かからほぼ実証されたと考えられる。
【0021】
すなわち、バルーン膜2の表面に施されたDLCコーティング膜40は、DLCコーティングしたバルーン膜2表面を拡大した図4に示すように、バルーン膜2の表面に対して平面方向に結合した1枚の膜ではなく、いわゆるウロコ状、あるいは密集したブラシ状とでもいうように、縦方向に結合が強いDLCコーティング柱41がその底面でバルーン膜2の表面と強固に密着し、更にこれらが密集して表面を覆うことにより膜構造をしていると推測される。従って、DLCコーティング膜40が平面方向に結合した1枚の膜であれば、バルーン膜2が拡張・収縮するのに追随できず剥がれてしまうおそれがあるが、図4に示すような膜構造をしたDLC膜であれば、DLCコーティング柱41それぞれの間隔が変化するだけで剥がれなくなると考えられる。
【0022】
そこで、この推測を裏付けるための実験を行った。実験は、バルーン膜2よりも伸びが生じる血液ポンプのダイアフラムを実験対象とし、その半球形のダイヤフラムにDLCコーティングしたものを繰り返し屈曲させてその後の状態を観察した。具体的には、図7に示す人工心臓用のダイアフラム型血液ポンプ21を使用した。これは、血液ハウジング22とダイアフラム23とが一体化して血液チャンバー25を構成し、袋状の血液チャンバー25内部にダイアフラム23の拍動によってハウジング22のポート22aを介して血液を吸引・拍出するようにしたものである。
【0023】
血液ポンプ21のダイアフラム23は、バルーン膜2と同様にポリウレタンが使用され、そしてそのダイアフラム23には前述したコーティング方法と同様に、外側表面全体にDLCコーティングが施される。実験では、こうした血液ポンプ21に対して半球形のダイアフラム23を空気圧で駆動させて1000万回の拍動を行った後、表面を電子顕微鏡で観察した。なお、1000万回の拍動は、1分間に70回の拍動を3ヶ月間継続した。そうした結果、ダイアフラム23の外側表面全体に施したDLCコーティング膜40には剥がれは見られなかった。そして更に、別の実験として同じ条件でDLCコーティングした母材をポリウレタンとするダイアフラム23を引っ張ってその後の状態を観察した。この実験では、130%伸ばしまでは剥がれが見られなかった。
【0024】
よって、この結果から、DLCコーティング膜40は、図4に示すような構造とする推測に基づく効果が得られることが分かった。そして、血液ポンプ21のダイアフラム23に比べて伸びの少ないバルーンカテーテル1のバルーン膜2への使用が有効であることも分かった。
【0025】
従って、こうしたバルーンカテーテル1を図5に示す大動脈内バルーンボンピング法に使用する場合、カテーテル外筒3とカテーテル内筒4の間隙を経由し、ポンプ装置51から供給されるガスの陽陰圧パルスによりバルーン膜2が拡張及び収縮する。このとき、バルーン膜2の外側表面全体がダイヤモンドライクカーボンでコーティングされているので、そのバルーン膜2は、表面硬度の向上、耐磨耗性の向上、更に摩擦係数の低下などの特徴を有している。そのため、図6に示すように、動脈硬化により損傷を受けた血管内面にカルシウムなどが沈着して石灰化部分61が存在する場合でも、本実施形態のバルーンカテーテル1によれば、DLCコーティング膜40による表面硬化や耐摩耗性向上によって、バルーン膜2の損傷がより一層防止される。
【0026】
そして、こうしたDLCコーティング膜40をバルーン膜2に施すことにより、前記特許文献1及び2に記載されるような特殊に調整した材料を使用する必要がなくなり、また材料に合わせた特殊な工法を用いる必要がなくなって、前記効果を奏するバルーンカテーテル1の提供を簡便に行うことができるようになった。また、DLCコーティング膜40を施すことにより、特殊な薬剤を用いることなく耐摩耗性を向上させることができ、製品の安全性を損なうことなくバルーンカテーテル1を提供することができるようになった。また、DLCコーティング膜40によりバルーン膜2表面の抗血栓性が向上するので、ベースとなるバルーン膜2の素材が抗血栓性に劣る素材であっても、バルーン膜2としての抗血栓性が確保されるようになった。更に、バルーンカテーテル1を体内に挿入する際あるいは体内から抜去する際、DLCコーティング膜40によってバルーン膜2表面の摩擦係数が低下しているため、スムーズに挿入及び抜去することが可能になった。
【0027】
ところで、前記実施形態では、DLCコーティング膜40を外側表面へ施す場合について示したが、バルーン膜2の内側表面にDLCコーティングすることも有効である。すなわち、従来は滅菌・保管時に巻かれた状態のバルーン膜2どうしが粘着し、使用時にほどけなくなってしまうのを防ぐためバルーン膜2の内側表面にタルク等を塗布していた。しかし、DLCコーティング膜40を内側表面に施せば、その非粘着性によってタルク塗布が不要になり、製造工程でのタルク塗布工程の廃止、タルク切れによるバルーン膜2の接着が起こらなくなった。
【0028】
また、バルーン膜2の外側にDLCコーティング膜40を施すことにより、内側表面の場合と同様に、バルーン膜2の外側表面同士が粘着することを防止できるという効果がある。従来、バルーン膜2の外側表面同士が粘着するのを防止する目的で、バルーン膜2の外側表面にオイル等を塗布していた。そのため、製品全体がオイルミストにより汚染されるのを防止する必要があったり、バルーン膜2を使用時に洗浄して、オイルを流し落とす作業が必要であった。バルーン膜2の外側にDLCコーティング膜40を施すことにより、上記のような煩わしい作業を排除することができる。
【0029】
更に、バルーン膜2は、ポリウレタンなどのエストラマーによって作成され、その膜厚が薄くなりがちで駆動ガス(ヘリウム)が透過してしまうおそれがある。しかし、本実施形態のようにバルーン膜2の外側表面又は内側表面にDLCコーティング膜40を施すことによりガス透過が抑制される。これによりヘリウムガスの消費が抑えられるため、駆動装置に搭載するボンベを小型化することが可能になった。
また、従来、バルーン膜2を血液中の水分が水蒸気として透過してバルーンカテーテル1内に溜まってしまっていた。しかし、バルーン膜2の外側表面又は内側表面にDLCコーティング膜40を施すことにより水蒸気の透過が抑制され、バルーンカテーテル1内の水を除去する煩雑な作業が不要となった。
【0030】
以上、本発明にかかるバルーンカテーテルの一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態ではバルーン膜2の外側表面にDLCコーティング膜40を施す場合を説明したが、DLCコーティング膜40は、内側表面だけに施すようにしてもよく、更には両面に施すようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明は、血管内に挿入したバルーン膜を拡張・収縮させることにより心機能の補助作用を行なうものであって、バルーン膜の外側表面及び内側表面の一方又は両方の面にダイヤモンドライクカーボンをコーティングした構成としたので、バルーン膜に特殊に調整した材料を用いることなく耐摩耗性に優れたバルーンカテーテルを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】DLCコーティングを実施するコーティングユニットの模式図である。
【図2】DLC膜を堆積させるバルーンカテーテルの概略全体と、当該バルーン膜の断面を示す図である。
【図3】DLCコーティングを施したバルーン膜の一部を示した拡大断面図である。
【図4】DLCコーティング膜の製膜状態を示した図である。
【図5】バルーンカテーテルを人体に挿入した状態を示した図である。
【図6】バルーンカテーテルを挿入した血管内の特に石灰化部分を有する状態を示した図である。
【図7】人工心臓用のダイアフラム型血液ポンプを示した断面図である。
【符号の説明】
1 バルーンカテーテル
2 バルーン膜
3 カテーテル外筒3
4 カテーテル内筒
5 Yコネクタ
40 DLCコーティング膜
41 DLCコーティング柱
Claims (3)
- 血管内に挿入したバルーン膜を拡張・収縮させることにより心機能の補助作用を行なうバルーンカテーテルにおいて、
前記バルーン膜の外側表面及び内側表面の一方又は両方の面にダイヤモンドライクカーボンをコーティングしたことを特徴とするバルーンカテーテル。 - 請求項1に記載するバルーンカテーテルにおいて、
前記バルーン膜にコーティングしたダイヤモンドライクカーボンの膜厚が0.1〜10μmの範囲であることを特徴とするバルーンカテーテル。 - 請求項1又は請求項2に記載するバルーンカテーテルにおいて、
前記バルーン膜が、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、ポリイミド、天然ゴム、ラテックス、シリコーンまたは塩化ビニールであることを特徴とするバルーンカテーテル。
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