JP2005040107A - 柑橘類のじょうのう膜を原料とした抗肥満剤及び抗肥満食品 - Google Patents

柑橘類のじょうのう膜を原料とした抗肥満剤及び抗肥満食品 Download PDF

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Takahiro Tsujita
隆広 辻田
Koji Sumida
孝司 隅田
Satoshi Hamada
智 濱田
Kuniaki Sugawara
邦明 菅原
Seiichi Morita
誠一 森田
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EHIME INRYO KK
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Abstract

【課題】 柑橘類のじょうのう膜を原料とした脂肪分解作用及び膵リパーゼ阻害作用を有
する抗肥満剤及び抗肥満食品を提供する。
【解決手段】 柑橘類のじょうのう膜を原料とした脂肪分解作用及び膵リパーゼ阻害作用
を有する抗肥満食品素材を製造する方法であって、(1)柑橘類をインライン搾汁機によ
り搾汁した際に得られるオリフィスディスチャージ排出物よりプラグ状の外果皮、種子を
除去した画分を調製する、(2)上記画分に加水した後、液部と固形部に分離する、(3
)上記液部を濃縮し、主に脂肪分解作用を有する画分Aを調製する、(4)上記固形部を
乾燥し、主に膵リパーゼ阻害作用を有する画分Bを調製する、(5)上記画分A及び/又
は画分Bを所定割合で配合する、ことを特徴とする脂肪分解作用及び膵リパーゼ阻害作用
を有する抗肥満食品素材の製造方法、及び該方法により調製した抗肥満食品素材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、柑橘類のじょうのう膜を原料とした抗肥満食品素材、及びその製造方法等に
関するものであり、更に詳しくは、柑橘類をインライン搾汁機により搾汁した際に得られ
るオリフィスディスチャージ排出物(以下、ODDと記載する)に含まれるじょうのう膜
を主成分とする原料より製造される、脂肪分解作用及び膵リパーゼ阻害作用を有する新規
抗肥満食品素材、及びその製造方法等に関するものである。本発明は、柑橘類のじょうの
う膜に、脂肪分解作用及び膵リパーゼ阻害作用があり、じょうのう膜が、これらの相乗効
果により、抗肥満作用を発揮するという新規知見に基づいて創出されたものであり、新規
抗肥満食品素材及びその製造方法を提供すると共に、柑橘類をインライン搾汁機により搾
汁した際に得られるODDに含まれるじょうのう膜の新しい再資源化技術を提供するもの
として有用である。
従来、柑橘類を搾汁した際に得られる搾汁残渣を有効利用して、例えば、栄養組成物、
機能性食品素材、ペットフード等の製造、あるいは薬理成分の抽出等に応用することが種
々行われている。ここで、それらの代表的な事案について幾つか例示してみると、例えば
、ミカン科カンキツ属果実の全果濃縮物を必須成分とする健康食品(特許文献1参照)、
柑橘類の果皮(陳皮等)の水抽出物若しくは低沸点有機溶媒抽出物を主成分として配合し
て得られるダイエット健康食品として利用できる脂肪分解促進作用組成物(特許文献2参
照)、ウンシュウミカン等の植物から単離された特定の化合物を含有させることにより、
抗肥満効果を発揮する、脂肪分解促進剤(特許文献3参照)、等が提案されている。
更に、ガルシニアカンボジア果皮抽出物と柑橘類を含有してなるダイエット食品組成物
(特許文献4参照)、ダイダイの植物シトラスアウランチュームの有効成分であるシネフ
リンと適量のカフェインを併用した、ダイエット食品(特許文献5参照)、柑橘類の果皮
の外皮層に、特定の酵素を作用させた後、加熱することにより得られる柑橘類の果皮食品
(特許文献6参照)、柑橘系果実、搾汁残渣等を含有する原料を特定の溶媒で抽出し、こ
の抽出液を特定のpHに調整した後の可溶画分等を含有させることにより、柑橘系果実の
搾汁の際の産業廃棄物を有効利用した、高トリグルセリド血症、内臓脂肪蓄積患者等のた
めの栄養組成物(特許文献7参照)、ミカン科植物の果皮若しくは葉又はそれらの抽出物
からなる脂肪分解促進剤(特許文献8参照)、等が提案されている。
しかし、これらの従来技術においては、柑橘系果実の搾汁の際の産業廃棄物の有効利用
を目的としていることから、果実の全果抽出物を利用するものも一部あったが、果皮を利
用するもの、又は搾汁残渣を利用するものがほとんどであった。また、従来、柑橘類の外
果皮及び搾汁粕(外果皮、じょうのう膜、さじょう(さじょう膜と果汁)で構成されてい
る)を原料とした食品やダイエット製品は開発されているが、じょうのう膜だけを原料と
した抗肥満組成物は開発されておらず、また、じょうのう膜の脂肪分解作用及び膵リパー
ゼ阻害作用については全く知られていない。
特開昭57−203014号公報 特開平11−49690号公報 特開2000−247880号公報 特開2001−321126号公報 特開2000−335912号公報 特開2000−245382号公報 特開2001−46019号公報 特開2002−326947号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、柑橘類の搾汁残渣の生
理活性作用及びその有効利用について種々研究を積み重ねる過程で、柑橘類をインライン
搾汁機により搾汁した際に得られるODDに含まれる柑橘類のじょうのう膜に脂肪分解作
用及び膵リパーゼ阻害作用があることを見出し、かかる知見に基づいて、本発明を完成す
るに至った。
即ち、本発明は、柑橘類のじょうのう膜を原料とした脂肪分解作用及び膵リパーゼ阻害
作用を有する抗肥満食品素材、及びそれらの製造方法を提供することを目的とするもので
ある。
また、本発明は、上記脂肪分解作用及び膵リパーゼ阻害作用を有する柑橘類のじょうの
う膜を原料とした新規抗肥満用組成物、抗肥満食品ないし抗肥満剤を提供することを目的
とするものである。
更に、本発明は、柑橘類をインライン搾汁機により搾汁した際に得られるODDに含ま
れる柑橘類のじょうのう膜から、脂肪分解作用及び膵リパーゼ阻害作用を有する画分を抽
出、分離し、これらの画分を有効成分として含む新規抗肥満組成物の製造システムを提供
することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)柑橘類のじょうのう膜を原料としたことを特徴とする脂肪分解作用及び膵リパーゼ
阻害作用を有する抗肥満食品素材。
(2)柑橘類をインライン搾汁機により搾汁した際に得られるオリフィスディスチャージ
排出物を原料とした、前記(1)記載の抗肥満食品素材。
(3)柑橘類をインライン搾汁機により搾汁した際に得られるオリフィスディスチャージ
排出物よりプラグ状の外果皮を除去して原料とした、前記(1)記載の抗肥満食品素材。
(4)柑橘類をインライン搾汁機により搾汁した際に得られるオリフィスディスチャージ
排出物よりプラグ状の外果皮、種子を除去して原料とした、前記(1)記載の抗肥満食品
素材。
(5)オリフィスディスチャージ排出物に加水した後、液部と固形部に区別することによ
り、主に脂肪分解作用を有する液部と主に膵リパーゼ阻害作用を有する固形部のふたつの
画分を調製し、これらを所定割合で配合した、前記(1)記載の抗肥満食品素材。
(6)前記(1)から(5)のいずれかに記載の抗肥満食品素材を有効成分として含有す
る抗肥満食品ないし抗肥満剤。
(7)柑橘類のじょうのう膜を原料とした脂肪分解作用及び膵リパーゼ阻害作用を有する
抗肥満食品素材を製造する方法であって、
(a)柑橘類をインライン搾汁機により搾汁した際に得られるオリフィスディスチャージ
排出物よりプラグ状の外果皮、種子を除去した画分を調製する、
(b)上記画分に加水した後、液部と固形部に分離する、
(c)上記液部を濃縮し、主に脂肪分解作用を有する画分Aを調製する、
(d)上記固形部を乾燥し、主に膵リパーゼ阻害作用を有する画分Bを調製する、
(e)上記画分A及び/又は画分Bを所定割合で配合する、
ことを特徴とする脂肪分解作用及び膵リパーゼ阻害作用を有する抗肥満食品素材の製造方
法。
(8)(a)オリフィスディスチャージ排出物に0.1〜10倍量の水を加えて撹拌する

(b)篩別、その他の分離方法により主に脂肪分解作用を有する液部と主に膵リパーゼ阻
害作用を有する固形部に分離する、
(c)得られた固形部について0.1〜10倍量の水を加えて撹拌した後、上記(b)の
工程を行うことを1 回以上繰り返す、
ことを特徴とする、前記(7)記載の抗肥満食品素材の製造方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、柑橘類のじょうのう膜に膵リパーゼ阻害作用及び脂肪分解作用があるとの本
発明者らが見出した新規知見に基づいて完成されたものである。従来、外果皮及び搾汁粕
(外果皮、じょうのう膜、さじょう(さじょう膜と果汁)で構成されている)を原料とし
た抗肥満剤や食品に関する提案は種々なされているが、じょうのう膜に限定してその特異
的な生理活性を利用した例は見当たらない。
本発明では、柑橘類をインライン搾汁機により搾汁した際に得られるODDに含まれる
じょうのう膜を主成分とする原料が用いられる。柑橘類をインライン搾汁機により搾汁し
た際に得られるODDは、プラグと呼ばれる外果皮、じょうのう膜、さじょう、種子から
構成されている。
ODDは、通常の搾汁粕と比べて、外果皮(一般的には食されない)が少ないことが特
徴である。温州ミカンの場合、通常の搾汁粕に含まれる外果皮の90%以上が取り除かれ
ている。
本発明では、柑橘類をインライン搾汁機により搾汁した際に得られるODDよりプラグ
状の外果皮、種子を除去して原料とする。即ち、本発明では、柑橘類をインライン搾汁機
により搾汁した際に得られるODDよりプラグ状の外果皮及び種子が含まれている場合は
種子を取り除いて可食部だけにして使用することが好ましい。
次に、本発明では、オリフィスディスチャージ排出物に加水した後、液部と固形部に区
別することにより、主に脂肪分解作用を有する液部と主に膵リパーゼ阻害作用を有する固
形部のふたつの画分を調製し、これらを所定割合で配合する。上記ODDには、膵リパー
ゼ阻害作用と脂肪細胞分解作用の2つの作用があり、固形部と液部に分けることにより機
能性も2つの画分に分離することができる。
これらの処理方法としては、加水後、スクリューフィニッシャー、圧搾機等の装置等に
よりODDを固形部と液部の2つに分ける等の方法が例示されるが、これらに制限される
ものではなく、これらと同様の方法を使用することができる。
処理前と処理後のODDを比較すると、後者の脂肪分解作用は大幅に低下する。一方で
、加水・フィニッシャー処理後の膵リパーゼ阻害作用は処理の前後でほとんど変化してい
ない。即ち、じょうのう膜を主成分とするODDを加水後、フィニッシャー装置などで篩
別することにより、主に脂肪分解作用を有する液部と主に膵リパーゼ阻害作用を有する固
形部に分画することができる。また、じょうのう膜の洗浄(脱糖処理)も同時に行うこと
ができるので、温風乾燥しても、良好な乾燥物を得ることができる。
本発明では、膵リパーゼ阻害作用を有する固形食品素材や脂肪分解作用を有する液体食
品素材を製造することができるが、これらの配合割合を変えることでこれらの作用を所望
のレベルに制御した抗肥満組成物、該組成物を配合した抗肥満食品ないし抗肥満剤を調製
することもできる。
本発明の抗肥満組成物は、好適には、例えば、飲料、ゼリー状食品、パン、米飯、麺類
、餅、ケーキ、焼き菓子、洋菓子、和菓子、ジャム、ソース、ふりかけ等の種々の食品に
配合して利用可能である。
次に、本発明の上記抗肥満組成物の製造システムについて説明すると、本発明では、以
下の工程;
(1)柑橘類をインライン搾汁機により搾汁した際に得られるODDよりプラグ状の外果
皮、種子を除去した画分を調製する工程、
(2)上記画分に加水した後、液部と固形部に分離する工程、
(3)上記液部を濃縮し、主に脂肪分解作用を有する画分Aを調製する工程、
(4)上記固形部を乾燥し、主に膵リパーゼ阻害作用を有する画分Bを調製する工程、
(5)上記画分A及び/又は画分Bを所定割合で配合する工程、
が採用される。
これにより、主に脂肪分解作用を有する画分Aと、主に膵リパーゼ阻害作用を有する画
分Bを所定の割合で配合した抗肥満組成物を製造することができる。この場合、例えば、
ODDに0.1〜10倍量の水を加えて攪拌すること、篩別、その他の分離方法により主
に脂肪分解作用を有する液部と主に膵リパーゼ阻害作用を有する固形部に分離すること、
得られた固形部について0.1〜10倍量の水を加えて撹拌した後、上記の工程を行うこ
とを1回以上繰り返すこと、が好ましい。これらの方法を採用することにより、柑橘類の
搾汁プロセスにリンクする形で、柑橘類のじょうのう膜を原料とした脂肪分解作用及び膵
リパーゼ阻害作用を有する抗肥満食品素材の製造システムを構築することができる。それ
により、柑橘類をインライン搾汁機により搾汁した際に得られるODDに含まれるじょう
のう膜を再資源化する新しいプロセス技術を提供することが可能となり、新しい柑橘類の
搾汁システムを構築することが可能となる。
本発明により、(1)柑橘類のじょうのう膜を原料とした脂肪分解作用及び膵リパーゼ
阻害作用を併せ持つ抗肥満食品素材を提供できる、(2)主に脂肪分解作用を有する画分
と主に膵リパーゼ阻害作用を有する画分が得られるので、これらの作用を調節した新規抗
肥満組成物を調製できる、(3)柑橘類をインライン搾汁機により搾汁した際に得られる
ODDに含まれるじょうのう膜を主成分とする原料より、脂肪分解作用及び膵リパーゼ阻
害作用を共に持つ抗肥満組成物を調製し、提供できる、(4)上記ODDより、上記生理
作用を有する組成物を抽出し、調製することが可能な抗肥満組成物の製造システムを提供
できる、(5)柑橘類のじょうのう膜を原料とした新しい産業の創出を可能とする、とい
う効果が奏される。
次に、試験例及び実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実
施例によって何ら限定されるものではない。
試験例1
(1)膵リパーゼ阻害作用
以下の方法により、伊予柑じょうのう膜の膵リパーゼ阻害作用について試験した。
1)方法
トリオレイルグリセロール30μmol、レシチン4.2mol及びタウロコール酸3
.15μmolに、0.1M−NaClを含む0.1M−TES緩衝液(pH7.0)3
mlを加えて超音波処理を行い、基質エマルジョンを調製した。膵リパーゼは、ラットの
膵臓より抽出して精製したものを使用した。凍結乾燥した伊予柑じょうのう膜をTES緩
衝液で0.2〜1.0mg/ml濃度になるように懸濁して、超音波処理した。この希釈
液40μlに基質エマルジョン100μl、コリパーゼ10μl及び膵リパーゼ(3.2
U/mg proteine、pH6.8)50μlを添加して、37℃、30分間加温
した。加温終了後、銅試薬法により遊離するオレイン酸を測定した(Pharmacol. Res. Co
mmun. 18,877 (1986))。
2)結果
図1に、伊予柑じょうのう膜の膵リパーゼ阻害活性を示した。図1に示されるように、
伊予柑じょうのう膜は、濃度依存的に膵リパーゼ活性を阻害した。1.0mg/ml濃度
では、約85%の膵リパーゼ阻害作用を示した。
(2)脂肪分解作用
以下の方法により、柑橘類(伊予柑、温州ミカン、文旦、八朔、及び甘夏)じょうのう
膜の脂肪分解作用について試験した。
1)方法
体重150g−200gのウイスター系雄性ラットより副睾丸脂肪細胞を採取し、Rodb
ell の方法(J. Biol. Chem. 239,375 (1964)に準じて脂肪細胞を調製した。脂肪細胞50
μlに、2.5%BSAを含むHanks緩衝液200μl及び各種柑橘類じょうのう膜
抽出液50μlを加え、37℃で1時間加温した。加温終了後、銅試薬法により遊離脂肪
酸を測定した。じょうのう膜抽出液は、凍結乾燥したじょうのう膜200mgを3mlメタ
ノールで抽出し、遠心分離(3000g×10分)後、上清を分取して減圧乾燥し、1.
0mlのHanks緩衝液に溶解して調製した。
2)結果
図2に、各種柑橘類じょうのう膜の脂肪分解活性を示した。分析した伊予柑、温州ミカ
ン、文旦、八朔、及び甘夏の全てにおいて脂肪分解活性が見られた。また、温州ミカンが
最も高く、伊予柑が2番目であった。図3に、伊予柑じょうのう膜について、脂肪分解活
性に及ぼすじょうのう膜抽出液の添加量の影響を示した。脂肪分解活性は、じょうのう膜
抽出物の添加量に依存的に増加した。
(3)柑橘類のじょうのう膜の膵リパーゼ阻害作用及び脂肪分解活性
以上により、柑橘類のじょうのう膜に、膵リパーゼ阻害作用及び脂肪分解作用があるこ
とが見出された。
本実施例では、伊予柑じょうのう膜を原料とする抗肥満作用を有するペースト状食品素
材を調製した。
(1)調製方法
伊予柑をインライン搾汁機で搾汁する際に得られるODDから外果皮及び種子を取り除
いた。このようにして得られた選別ODDを、磨砕してペースト状に加工した。
(2)評価
上記の調製方法で得られた食品素材は、膵リパーゼ阻害作用及び脂肪分解作用を有し、
その外観は黄色で、香味良好な滑らかなペーストであった。
(3)食品への利用
このペースト状の食品素材は、飲料、ゼリー状食品、パン、麺類、ケーキ、焼き菓子、
和菓子、ジャム、ソース等の種々の食品に好適に利用可能であることが分かった。
本実施例では、伊予柑じょうのう膜を原料とする抗肥満作用を有する粉末を調製した。
(1)調製法
実施例1と同様に調製した選別ODDを、冷風乾燥機で30℃、24時間乾燥させた後
、ハンマーミルにより破砕して粉末を調製した。
(2)評価
この粉末は、膵リパーゼ阻害作用及び脂肪分解作用を有し、その粒子は、微細であり、
黄白色の色調を有しており、香味良好であった。
(3)食品への利用
この粉末は、パン、米飯、麺類、餅、洋菓子、和菓子、ふりかけ等の種々の食品に好適
に利用可能であることが分かった。
本実施例では、柑橘類のじょうのう膜を原料とした抗肥満食品素材を製造した。
1.方法(図4を参照)
(1)原材料
原材料として、伊予柑ODDを用いた。
(2)手順
1)フィニッシャー処理
伊予柑ODDから、プラグ、種子を除去して選別ODDを調製した。選別ODD2kg
に水8kgを加えて軽く攪拌した。次に、フィニッシャー処理(スクリーンφ0.3mm
)を行い、液部と固形分に分離した。図4に、柑橘類のじょうのう膜を原料とた抗肥満食
品素材の製造工程を示す。固形部について、加水とフィニッシャー処理を合計3回繰り返
し、得られた固形部を洗浄ODDとした。
2)抗肥満作用の評価
選別ODD、洗浄ODD、及び液部について、抗肥満作用を評価した。
3)原材料の分析
選別ODD、及び洗浄ODDについて、重量、及び構成比を分析した。また、選別OD
Dを遠心分離(3,000g×10分)した上清について、糖度、酸度、及びpHを測定
した。
4)液部(回収液)の分析
フィニッシャー処理により得られた液部について、糖度、酸度、pH、及び遠沈量を測
定した。
2.結果
(1)伊予柑ODDの構成
表1に、上記原材料の分析により得られたODDの構成比を示した。
Figure 2005040107
表1に示されるように、伊予柑ODDには、プラグ30%、及び種子4%が含まれてい
た。
(2)選別じょうのう膜のフィニッシャー処理結果
表2に、選別ODDの液部(回収液)の分析結果を示した。
Figure 2005040107
選別ODD2.03kgを3回繰り返してフィニッシャー処理することにより、洗浄O
DD1.10kgを得た(歩留54%)。3回目の回収液は0.1°Bxであり、ほとん
ど糖分が除去されていた。選別ODDの糖度は15.0°Bx、酸度は0.76%であっ
た。
(3)抗肥満作用の評価
1)脂肪分解作用
(試料の調製)
選別ODD及び洗浄ODDについては、凍結乾燥した製品200mg、液部については
、凍結乾燥した製品20mgをそれぞれ採取して3mlのメタノールで抽出・減圧乾固後
、1mlの緩衝液で溶解して試料とした。表3に、選別ODD、洗浄ODD、及び液部の
脂肪分解活性の分析結果を示した。
Figure 2005040107
フィニッシャー処理により選別ODDの脂肪分解活性の約84%が減少した。このよう
に、選別ODDの脂肪活性物質は液部に移行した。
2)膵リパーゼ阻害作用
(試料の調製)
選別ODD、洗浄ODD及び液部を凍結乾燥後、それぞれ1mg/mlの濃度で緩衝液
に縣濁して超音波処理後、1000g×10分の遠心分離の上清を試料とした。表4に、
選別ODD、洗浄ODD、及び液部の膵リパーゼ阻害率の分析結果を示した。
Figure 2005040107
選別ODDの膵リパーゼ阻害率は89%であり、強く膵リパーゼ活性を阻害した。洗浄
ODDの膵リパーゼ阻害率は94%であり、フィニッシャー処理による影響は見られなか
った。液部の膵リパーゼ阻害率は2%であり、ほとんど阻害活性が認められなかった。こ
のように、選別ODDの膵リパーゼ阻害作用は、フィニッシャー処理によりほとんど影響
を受けなかった。
以上詳述したように、本発明は、柑橘類のじょうのう膜を原料とした抗肥満剤及び抗肥
満食品に係るものであり、(1)柑橘類のじょうのう膜を原料とした脂肪分解作用及び膵
リパーゼ阻害作用を併せ持つ抗肥満食品素材を提供できる。(2)主に脂肪分解作用を有
する画分と主に膵リパーゼ阻害作用を有する画分が得られるので、これらの作用を調節し
た新規抗肥満組成物を調製できる。(3)柑橘類をインライン搾汁機により搾汁した際に
得られるODDに含まれるじょうのう膜より、脂肪分解作用及び膵リパーゼ阻害作用を共
に持つ抗肥満組成物を調製し、提供できる。(4)上記ODDより、上記生理作用を有す
る組成物を抽出し、調製することが可能な抗肥満組成物の製造システムを提供できる。(
5)柑橘類のじょうのう膜を原料とした新しい産業の創出を可能とする。
図1は、伊予柑じょうのう膜のリパーゼ阻害作用を示す。 図2は、柑橘類じょうのう膜の脂肪分解作用を示す。 図3は、伊予柑じょうのう膜の脂肪分解作用を示す。 図4は、柑橘類じょうのう類を原料とした抗肥満食品素材の製造工程を示す。

Claims (8)

  1. 柑橘類のじょうのう膜を原料としたことを特徴とする脂肪分解作用及び膵リパーゼ阻害
    作用を有する抗肥満食品素材。
  2. 柑橘類をインライン搾汁機により搾汁した際に得られるオリフィスディスチャージ排出
    物を原料とした、請求項1記載の抗肥満食品素材。
  3. 柑橘類をインライン搾汁機により搾汁した際に得られるオリフィスディスチャージ排出
    物よりプラグ状の外果皮を除去して原料とした、請求項1記載の抗肥満食品素材。
  4. 柑橘類をインライン搾汁機により搾汁した際に得られるオリフィスディスチャージ排出
    物よりプラグ状の外果皮、種子を除去して原料とした、請求項1記載の抗肥満食品素材。
  5. オリフィスディスチャージ排出物に加水した後、液部と固形部に区別することにより、
    主に脂肪分解作用を有する液部と主に膵リパーゼ阻害作用を有する固形部のふたつの画分
    を調製し、これらを所定割合で配合した、請求項1記載の抗肥満食品素材。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の抗肥満食品素材を有効成分として含有する抗肥満食
    品ないし抗肥満剤。
  7. 柑橘類のじょうのう膜を原料とした脂肪分解作用及び膵リパーゼ阻害作用を有する抗肥
    満食品素材を製造する方法であって、
    (1)柑橘類をインライン搾汁機により搾汁した際に得られるオリフィスディスチャージ
    排出物よりプラグ状の外果皮、種子を除去した画分を調製する、
    (2)上記画分に加水した後、液部と固形部に分離する、
    (3)上記液部を濃縮し、主に脂肪分解作用を有する画分Aを調製する、
    (4)上記固形部を乾燥し、主に膵リパーゼ阻害作用を有する画分Bを調製する、
    (5)上記画分A及び/又は画分Bを所定割合で配合する、
    ことを特徴とする脂肪分解作用及び膵リパーゼ阻害作用を有する抗肥満食品素材の製造方
    法。
  8. (1)オリフィスディスチャージ排出物に0.1〜10倍量の水を加えて撹拌する、
    (2)篩別、その他の分離方法により主に脂肪分解作用を有する液部と主に膵リパーゼ阻
    害作用を有する固形部に分離する、
    (3)得られた固形部について0.1〜10倍量の水を加えて撹拌した後、上記(2)の
    工程を行うことを1 回以上繰り返す、
    ことを特徴とする、請求項6記載の抗肥満食品素材の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007223979A (ja) * 2006-02-24 2007-09-06 Ehime Inryo:Kk 肝臓脂質蓄積抑制剤
JP2012065648A (ja) * 2010-08-23 2012-04-05 Mineo Shindo 柑橘類果皮含有物質の製造方法及び柑橘類果皮含有食品
JP2016136841A (ja) * 2015-01-19 2016-08-04 カゴメ株式会社 野菜含有飲料及びその製造方法、並びに野菜含有飲料における食感の複雑化方法

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