JP2005038687A - 高誘電体シート、その製造方法、配線回路基板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐熱性および絶縁性の低下を生じることなく十分な強度および高い誘電率を有することが可能な高誘電体シートおよびその製造方法ならびに配線回路基板およびその製造方法を提供することである。
【解決手段】 導体層上にポリイミド、アラミド等からなる多孔質樹脂フィルム11を作製する。多孔質樹脂フィルム11の孔12内に金属アルコキシドを含浸させ、多孔質樹脂フィルム11の孔12内で金属アルコキシドを脱水および縮重合させることにより、高誘電体微粒子20を合成する。これにより、高誘電体シート1を作製する。導体層にフォトリソグラフィにより配線パターンを形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】 導体層上にポリイミド、アラミド等からなる多孔質樹脂フィルム11を作製する。多孔質樹脂フィルム11の孔12内に金属アルコキシドを含浸させ、多孔質樹脂フィルム11の孔12内で金属アルコキシドを脱水および縮重合させることにより、高誘電体微粒子20を合成する。これにより、高誘電体シート1を作製する。導体層にフォトリソグラフィにより配線パターンを形成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、高誘電体シート、その製造方法ならびに高誘電体シートを用いた配線回路基板およびその製造方法に関する。
電子機器に用いられる配線回路基板は、絶縁層と配線パターンとを積層してなる。
近年、PHS(パーソナル・ハンディフォン・システム)、携帯電話等の情報通信機器の高性能化に伴い、配線回路基板の実装密度が大きくなる。このような高周波機器に用いられる配線回路基板においては、ノイズ対策として絶縁層の高誘電体化が求められている。
また、絶縁層の誘電率を高くすることにより、配線回路基板自体をコンデンサとして用いることも提案されている。それにより、配線回路基板にコンデンサを内蔵して配置することができる。
絶縁層を高誘電率にするために、絶縁層に高誘電体粉末を分散させることが知られている。
例えば、樹脂中に強誘電磁気粉末を分散させた樹脂組成物を用いて得られる高誘電率積層板が提案されている(特許文献1参照)。
この文献には、樹脂として、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂等の耐熱性樹脂を用いることが記載されている。
また、同文献では、高誘電率積層板の製造方法として、上記樹脂の溶液に強誘電磁気粉末を分散させて得た液をガラス不織布に含浸させ、プリプレグを作製することが記載されている。
特開昭55−57212号公報
しかしながら、上記の従来の誘電率積層板の製造方法と同様にして、高誘電体粉末を樹脂に分散させて樹脂組成物の溶液を調製し、その溶液から高誘電体シートを作製する場合、高誘電体粉末の充填率を高くすると、高誘電体シートがもろくなり十分な硬度が得られない。
また、高誘電体粉末の充填率を高くするために分散剤を使用すると、分散剤が高誘電体シートの耐熱性や絶縁性を低下させる場合があった。
本発明の目的は、耐熱性および絶縁性の低下を生じることなく十分な強度および高い誘電率を有することが可能な高誘電体シートおよびその製造方法ならびにその高誘電体シートを用いた配線回路基板およびその製造方法を提供することである。
第1の発明に係る高誘電体シートは、複数の孔を有する多孔質樹脂からなる多孔質樹脂フィルムと、多孔質樹脂フィルムの孔内に充填された高誘電体微粒子の凝集体とを備えたものである。
本発明に係る高誘電体シートにおいては、多孔質樹脂フィルムの孔内に高誘電体微粒子の凝集体が充填されている。
この場合、多孔質樹脂フィルムの多孔質樹脂内に高誘電体微粒子が分散されずに孔内に高誘電体微粒子が充填されているので、多孔質樹脂フィルムの強度が低下せず、かつ耐熱性および絶縁性も低下しない。したがって、耐熱性および絶縁性の低下が生じることなく十分な強度および高い誘電率を得ることが可能となる。
高誘電体微粒子が酸化チタン、酸化バリウム、酸化ストロンチウムおよび酸化ジルコニウムよりなる群から選択された1種または2種以上の誘電体を含んでもよい。この場合、高誘電体微粒子の誘電率が高くなる。
多孔質樹脂がポリイミドまたはポリアラミドを含んでもよい。この場合、多孔質樹脂フィルムが十分な耐熱性および絶縁性を有するとともに、より高い強度が得られる。
第2の発明に係る高誘電体シートの製造方法は、複数の孔を有する多孔質樹脂からなる多孔質樹脂フィルムを作製する工程と、多孔質樹脂フィルムの孔内に金属アルコキシドを含浸させる工程と、多孔質樹脂フィルムの孔内で金属アルコキシドを脱水および縮重合することにより高誘電体微粒子を合成する工程とを備えたものである。
本発明に係る高誘電体シートの製造方法においては、多孔質樹脂からなる多孔質樹脂フィルムが作製され、多孔質樹脂フィルムの孔内に金属アルコキシドが含浸される。そして、多孔質樹脂フィルムの孔内で金属アルコキシドが脱水および縮重合されることにより高誘電体微粒子が合成される。このようにして、高誘電体シートが製造される。
この場合、多孔質樹脂フィルムの多孔質樹脂内に高誘電体微粒子が分散されずに孔内に高誘電体微粒子が充填されるので、多孔質樹脂フィルムの強度が低下せず、かつ耐熱性および絶縁性も低下しない。したがって、耐熱性および絶縁性の低下が生じることなく十分な強度および高い誘電率を得ることが可能となる。
高誘電体微粒子が酸化チタン、酸化バリウム、酸化ストロンチウムおよび酸化ジルコニウムよりなる群から選択された1種または2種以上の誘電体を含んでもよい。この場合、高い誘電率を得ることができる。
多孔質樹脂がポリイミドまたはポリアラミドを含んでもよい。この場合、十分な耐熱性および絶縁性を得ることができるとともに、より高い強度を得ることができる。
第3の発明に係る配線回路基板は、複数の孔を有する多孔質樹脂からなる多孔質樹脂フィルムと、多孔質樹脂フィルムの孔内に充填された高誘電体微粒子の凝集体と、多孔質樹脂フィルムの少なくとも一面に形成された導電体からなる配線パターンとを備えたものである。
本発明に係る配線回路基板においては、多孔質樹脂フィルムの孔内に高誘電体微粒子の凝集体が充填され、多孔質樹脂フィルムの少なくとも一面に導電体からなる配線層が形成されている。
この場合、多孔質樹脂フィルムの多孔質樹脂内に高誘電体微粒子が分散されずに孔内に高誘電体微粒子が充填されているので、多孔質樹脂フィルムの強度が低下せず、かつ耐熱性および絶縁性も低下しない。したがって、耐熱性および絶縁性の低下が生じることなく十分な強度および高い誘電率を得ることが可能となる。
第4の発明に係る配線回路基板の製造方法は、複数の孔を有する多孔質樹脂からなる多孔質樹脂フィルムを導電体層上に作製する工程と、多孔質樹脂フィルムの孔内に金属アルコキシドを含浸させる工程と、多孔質樹脂フィルムの孔内で金属アルコキシドを脱水および縮重合することにより高誘電体微粒子を合成する工程と、導電体層をパターニングすることにより配線パターンを形成する工程とを備えたものである。
本発明に係る配線回路基板の製造方法においては、多孔質樹脂からなる多孔質樹脂フィルムが導電体層上に作製され、多孔質樹脂フィルムの孔内に金属アルコキシドが含浸される。そして、多孔質樹脂フィルムの孔内で金属アルコキシドが脱水および縮重合されることにより高誘電体微粒子が合成される。それより、高誘電体シートが作製される。さらに、導電体層がパターニングされることにより配線パターンか形成される。このようにして、配線回路基板が製造される。
この場合、多孔質樹脂フィルムの多孔質樹脂内に高誘電体微粒子が分散されずに孔内に高誘電体微粒子が充填されるので、多孔質樹脂フィルムの強度が低下せず、かつ耐熱性および絶縁性も低下しない。したがって、耐熱性および絶縁性の低下が生じることなく十分な強度および高い誘電率を得ることが可能となる。
本発明によれば、多孔質樹脂フィルムの多孔質樹脂内に高誘電体微粒子が分散されずに孔内に高誘電体微粒子が充填されているので、多孔質樹脂フィルムの強度が低下せず、かつ耐熱性および絶縁性も低下しない。したがって、耐熱性および絶縁性の低下が生じることなく十分な強度および高い誘電率を得ることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る高誘電体シートの模式図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る高誘電体シート1は、複数の孔12を有する多孔質樹脂フィルム11からなり、各孔12内に高誘電体微粒子20が充填されている。
(1)多孔質樹脂フィルム11の作製
まず、多孔質樹脂フィルム11を作製する工程について説明する。多孔質樹脂フィルム11の材料としては、ポリイミド、ポリアラミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリベンゾオキサゾール、ポリフェニレンサルファイド、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエーテルニトリル、ポリテトラフロロエチレン等の耐熱性樹脂を使用することができる。
まず、多孔質樹脂フィルム11を作製する工程について説明する。多孔質樹脂フィルム11の材料としては、ポリイミド、ポリアラミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリベンゾオキサゾール、ポリフェニレンサルファイド、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエーテルニトリル、ポリテトラフロロエチレン等の耐熱性樹脂を使用することができる。
特に、多孔質樹脂フィルム11の材料としてポリイミドを使用することが好ましい。ポリイミドは、酸ニ無水物とジアミンとを溶媒中で反応させ、その反応により得られるポリアミック酸を加熱してイミド化することによって得られる。
酸ニ無水物としては、芳香族テトラカルボン酸ニ無水物を用いることが好ましく、特にBPDA(ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物)を用いることが好ましい。
ジアミンとしては、芳香族ジアミンを用いることが好ましく、特に、PPD(パラフェニレンジアミン)およびDDE(4,4−ジアミノジフェニルエーテル)を用いることが好ましい。
この酸ニ無水物とジアミンとの組み合わせにより作製したポリイミドは、多孔質化された場合でも、機械強度、誘電特性、熱膨張等の物性が良好となる。また、ポリイミドは、下記式(1)で表される分子構造を有する。
上記式(1)中、nは2以上の整数であり、Rは下記式(2),(3)で表される分子構造を有する置換基である。
上記式(2)の置換基のモル数をbとし、上記式(3)の置換基のモル数をcとした場合に、b/(b+c)が0.8から1.0の範囲内であることが好ましい。それにより、多孔質樹脂フィルム11の熱膨張係数が後述する銅等からなる配線パターンの熱膨張係数とほぼ等しくなり、製造される配線回路基板の強度が高くなる。
上記樹脂材料から多孔質樹脂フィルム11を得る方法には、湿式凝固法、乾式凝固法、延伸法等の種々の製膜方法がある。そのうちで、湿式凝固法によれば、連続気泡が得られるので好ましい。
湿式凝固法では、一般に、樹脂を溶媒に溶解した溶液(ドープ)を調製し、これを金属箔等からなる基材に塗布(キャスト)したものを凝固液に浸漬して溶媒置換させ、樹脂を凝固(ゲル化)させ、その後、凝固液等を乾燥除去し、多孔質樹脂フィルム11を得る。
溶媒としては、樹脂が溶解するものであれば、特に限定されず、例えば、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン等がある。
なお、湿式凝固法におけるドープは、好ましくは−20〜40℃の温度範囲で塗布される。また、凝固液としては、用いる樹脂を溶解せずに上記溶媒と相溶性を有するものであれば、限定されない。例えば、凝固液として、水を用いるか、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類を用いるか、あるいはこれらの混合液を用いる。特に水が好適に用いられる。ドープの浸漬時の凝固液の温度は、特に限定されないが、好ましくは、0〜50℃の温度範囲である。
ドープの樹脂濃度は、5重量%から25重量%の範囲であることが好ましい。濃度が高すぎると、粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難になり、濃度が低すぎると、多孔質層を形成することが困難となるからである。
特に、多孔質樹脂フィルム11を高強度にするためには、ドープの樹脂濃度が7重量%以上であることが好ましく、高空孔率を得るにためは、ドープの樹脂濃度が20重量%以下であることが好ましい。したがって、ドープの樹脂濃度は7重量%以上20重量%以下であることが好ましい。
また、必要により、孔12の形状または孔12の径の制御のために、硝酸リチウム等の無機物からなる添加物またはポリビニルピロリドン等からなる添加剤をドープに添加することもできる。添加剤は、ドープ中に1重量%から10重量%までの濃度で添加することが好ましい。ポリビニルピロリドンのような凝固速度を遅くする添加剤を加えると、スポンジ構造が均一に広がった多孔質層が得られる。
ドープは基材に一定の厚みに塗布し、水等の凝固液中に浸漬して凝固させ、あるいは、水蒸気雰囲気下に放置して凝固させた後、水中に浸漬するなどして、脱溶媒されることにより多孔質層となる。多孔質層の形成後、基材を凝固液から取り出し、乾燥させる。乾燥温度は、特に制限されない。200℃以下での乾燥が望ましい。
多孔質樹脂フィルム11として多孔質ポリイミドフィルムを得る場合には、まず、多孔質ポリアミック酸フィルムを形成し、最終的に温度200〜500℃で熱処理してイミド化する。
上記の手段により、30〜75vol%(体積%)、好ましくは40〜75vol%の空孔率を有する多孔質樹脂フィルム11を形成することができる。ここで、孔12の直径は0.1〜0.5μmであることが好ましい。
(2)多孔質樹脂フィルム11の孔12内への金属アルコキシドの含浸
次に、多孔質樹脂フィルム11の孔12内に金属アルコキシドを含浸させる工程について説明する。
次に、多孔質樹脂フィルム11の孔12内に金属アルコキシドを含浸させる工程について説明する。
高誘電体微粒子の材料としては、酸化チタン、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化ジルコニウムまたはそれらの混合体が挙げられる。混合体としては、例えば、BaTiO3 、SrTiO3 、(BaxSry)TiO3 、Ba(ZrxTiy)O3 、Sr(ZrxTiy)O3 等が挙げられる。
これらの高誘電体微粒子はゾル−ゲル法により得られる。ゾル−ゲル法は、金属アルコキシドを加水分解および縮重合して金属酸化物を得る方法である。
本実施の形態では、高誘電体微粒子はゾル−ゲル法により得られるが、反応の際に、金属キレート化合物、金属塩等を共存させることにより、高誘電体微粒子を作製してもよい。
金属キレート化合物としては、アセチルアセトナート等の1,3−ジカルボニル化合物を配位子に有するもの等が用いられる。
金属塩としては、各種酢酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物等を用いることができる。
ゾル−ゲル法において使用する溶媒としては、金属アルコキシドが溶解するものであれば特に限定されず、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール等の各種アルコール類、またはメチルエチルケトン等のケトン類など各種有機溶媒を用いることができる。
溶媒に金属アルコキシドおよび必要により金属キレート化合物、金属塩等を所定量添加して、溶液とする。以下、この溶液を高誘電体微粒子前駆体溶液、あるいは単に前駆体溶液と呼ぶ。
この高誘電体微粒子前駆体溶液を多孔質樹脂フィルム11の孔12に含浸させるために、含浸法、置換法等を用いることができる。
浸漬法では、高誘電体微粒子前駆体溶液中に多孔質樹脂フィルム11を充填し、必要があれば加熱および減圧化し、孔12内に十分に前駆体溶液が充填されるようにする。
置換法では、一旦溶媒のみを多孔質樹脂フィルム11の孔12内に充填し、次いで溶媒が充填された多孔質樹脂フィルム11を高誘電体微粒子前駆体溶液中に浸漬させ、孔12内の溶媒を高誘電体微粒子前駆体溶液で置換させる。
前駆体溶液の粘度が比較的低い場合には浸漬法を用いることが可能であるが、前駆体溶液が高濃度および高い粘度を有する場合には置換法を用いることがより好ましい。また、1回の充填で十分な充填率が得られない場合には、この操作を数回繰り返すことができる。
ただし、前駆体溶液の充填を繰り返すと、アルカリ金属酸化物または炭酸塩が生成する場合があるので、それらが生成しないようにするため、前駆体溶液の還流または攪拌を行い、必要により、前駆体溶液中にエタノールアミン、アセチルアセトン等の安定化剤を添加しておくことが好ましい。
(3)多孔質樹脂フィルム11の孔12内での高誘電体微粒子20の合成
次に、上記の金属アルコキシドを多孔質樹脂フィルム11の孔12の中で脱水および縮重合し、高誘電体微粒子20を合成する工程について説明する。
次に、上記の金属アルコキシドを多孔質樹脂フィルム11の孔12の中で脱水および縮重合し、高誘電体微粒子20を合成する工程について説明する。
脱水および縮重合の処理は、オートクレーブまたは温度85℃および湿度85%のような高温高湿度中で行うことが好ましい。また、より好ましくは、高温高湿度で処理を行った後、オートクレーブ処理を行う。
オートクレーブ処理は、温度120℃以上で行う。この場合、温度250℃以上では多孔質樹脂フィルム11の強度が低下するため、オートクレーブ処理を温度120〜230℃の範囲で行うことが好ましい。
処理時間は、オートクレーブ処理および高温高湿度中での処理のいずれも、2時間以上であることが好ましい。処理時間が長いほど高誘電体微粒子の結晶性がよくなるため、処理時間はより長い方が好ましいが、温度条件によっては時間が長いと多孔質樹脂フィルム11の強度が低下する場合があるため、処理時間は、5〜10時間であることが好ましい。
高誘電体微粒子20の1次粒子の粒子径は5〜100nmであり、多孔質樹脂フィルム11の孔12内に凝集体として形成される。したがって、高誘電体微粒子20の凝集体の粒子径は、多孔質樹脂フィルム11の孔12の直径と実質的に同一であり、0.1〜0.5μmとなる。
なお、マイクロ波照射により多孔質樹脂フィルム11の孔12内に高誘電体微粒子20を直接析出させてもよい。
上記のようにして、高誘電体微粒子20が多孔質樹脂フィルム11の孔12内に充填された高誘電体シート1を得ることができる。
本実施の形態において得られる高誘電体微粒子20の比誘電率は500〜2000である。そして、上記多孔質樹脂フィルム11の空孔率が40〜75vol%である場合、高誘電体シート1中の高誘電体微粒子20の充填率を30〜70vol%とすることができる。そのため、高誘電率シート1の比誘電率を60〜150にすることができる。
本実施の形態に係る高誘電体シート1の製造方法では、多孔質樹脂フィルム11の孔12の中に高誘電体微粒子20を析出させるため、微粒子を分散させたワニスを塗布して得られる高誘電体シートの製造方法と異なり、微粒子を高分散させるために用いる分散剤等の不純物を添加する必要がない。
本実施の形態に係る高誘電体シート1においては、多孔質樹脂フィルム11の多孔質樹脂内に高誘電体微粒子が分散されずに孔12内に高誘電体微粒子が充填されるので、多孔質樹脂フィルム11の強度が低下せず、かつ耐熱性および絶縁性も低下しない。したがって、耐熱性および絶縁性の低下が生じることなく十分な強度および高い誘電率を得ることが可能となる。
(4)配線回路基板の製造
図2は高誘電体シート1を用いた片面配線回路基板の製造方法を示す工程断面図である。
図2は高誘電体シート1を用いた片面配線回路基板の製造方法を示す工程断面図である。
まず、図2(a)に示すように、金属箔からなる導体層2上に、上記のようにして、多孔質樹脂フィルム11を形成し、孔12内で高誘電体微粒子20を合成して充填することにより、高誘電体シート1を作製する。金属箔は銅箔が好ましい。
次に、図2(b)に示すように、導体層2上にフォトレジスト3を形成し、一般的なフォトリソグラフィ法によりパターニングを行い、導体層2をエッチングする。
それにより、図2(c)に示すように、高誘電体シート1の一面に導体層からなる所定の配線パターン2aが形成される。
このようにして、高誘電体シート1を絶縁層として用いた片面配線回路基板100を得ることができる。
高誘電体シート1を絶縁層として用いた片面配線回路基板100においては、耐熱性および絶縁性の低下が生じることなく十分な強度および高い誘電率を得ることが可能となる。したがって、ノイズ対策が良好となる。また、片面配線回路基板100にコンデンサを内蔵させることが可能となる。
図3は高誘電体シート1を用いた両面配線回路基板の製造方法を示す工程断面図である。
まず、図3(a)に示すように、金属箔からなる導体層2上に、上記のようにして、多孔質樹脂フィルム11を形成し、孔11で高誘電体微粒子20を合成して充填することにより、高誘電体シート1を作製する。金属箔は銅箔が好ましい。
また、図3(b)に示すように、導体層2と反対側の高誘電体シート1の面に別の導体層21を形成する。この場合、別の導体層21を形成するためには、例えば、高誘電体シート1の裏面にスパッタリングによりクロム、銅等の金属薄膜を形成した後、金属薄膜上に電解めっきにより銅層を所定の厚みまで形成することができる。あるいは、高誘電体シート1の裏面に金属箔を接着剤で貼り合わせてもよい。
次に、図3(c)に示すように、導体層2,21上にフォトレジスト5を形成し、一般的なフォトリソグラフィ法によりパターニングを行い、導体層2,21をエッチングする。
それにより、図3(d)に示すように、高誘電体シート1の両面に導体層からなる所定の配線パターン2a,21aがそれぞれ形成される。
このようにして、高誘電体シート1を絶縁層として用いた両面配線回路基板200を得ることができる。
高誘電体シート1を絶縁層として用いた両面配線回路基板200においては、耐熱性および絶縁性の低下が生じることなく十分な強度および高い誘電率を得ることが可能となる。したがって、ノイズ対策が良好となる。また、両面配線回路基板200にコンデンサを内蔵させることが可能となる。
両面配線回路基板200において、常法によりスルーホール、ブラインドビアホール等を通して両面の配線パターン2a,21aを電気的に接続することができる。
また、スルーホール、ブラインドビアホール等を通して高誘電体シート1に外部から水分が進入することを防止するために、スルーホール、ブラインドビアホール等に樹脂を充填することもできる。
図4は片面配線回路基板100および両面配線回路基板200を用いた多層配線回路基板の製造方法を示す工程断面図である。
まず、図4(a)に示すように、両面配線回路基板200の両面に接着シート10を介して片面配線回路基板100をそれぞれ配置する。
次に、図4(b)に示すように、両面配線回路基板200の両面に接着シート10により片面配線回路基板100をそれぞれ接着する。
このようにして、片面配線回路基板100および両面配線回路基板200を絶縁層として用いた多層配線回路基板300が製造される。
多層配線回路基板300は高誘電体シート1を用いた片面配線回路基板100および両面配線回路基板200を有するので、耐熱性および絶縁性の低下が生じることなく十分な強度および高い誘電率を得ることが可能となる。したがって、ノイズ対策が良好となる。また、片面配線回路基板100または両面配線回路基板200にコンデンサを内蔵させることが可能となる。
なお、任意の数の両面配線回路基板200および2枚の片面配線回路基板100を接着シート10を介して積層することにより、多層配線回路基板300を製造してもよい。
多層配線回路基板300において、上記高誘電体シート1を絶縁層として用いた片面配線回路基板100および両面配線回路基板200だけでなく、片面配線回路基板100または両面配線回路基板200と他の材料を絶縁層として用いた配線回路基板と組み合わせてもよい。
その場合、他の配線回路基板の絶縁層としては、例えばガラスエポキシ、液晶ポリマー、フッ素樹脂(PTFE)、ポリイミド、ポリアラミド、多孔質ポリイミド等の各種基板材料を使用することができる。特に、フッ素樹脂(PTFE)、多孔質ポリイミド等の低誘電正接材料を絶縁層として用いることが好ましい。それにより伝送損失が低減される。
低誘電正接材料を絶縁層として用いた配線回路基板と高誘電体シート1を絶縁層として用いた片面配線回路基板100または両面配線回路基板200とを組み合わせて多層配線回路基板300を得ることにより、高速動作が可能でかつ高周波のノイズ対策が良好となり、信頼性が高くなるとともに、伝送損失が小さくなる。
ここで、実施例1〜5および比較例の高誘電体シート1を作製し、比誘電率および引張強度を測定した。
(実施例1)
(1)高誘電体微粒子前駆体溶液の作製
窒素雰囲気下で、2−エトキシエタノール20mLを入れた100mLの反応容器内に、金属ストロンチウム1.052g(12mmol)を加え、1時間攪拌してストロンチウムアルコキシドを合成した。ストロンチウムが完全に消失したことを確認した後、反応容器内にテトラエトキシチタン3.080g(13.5mmol)を加え、24時間還流し、高誘電体微粒子前駆体溶液を作製した。
(1)高誘電体微粒子前駆体溶液の作製
窒素雰囲気下で、2−エトキシエタノール20mLを入れた100mLの反応容器内に、金属ストロンチウム1.052g(12mmol)を加え、1時間攪拌してストロンチウムアルコキシドを合成した。ストロンチウムが完全に消失したことを確認した後、反応容器内にテトラエトキシチタン3.080g(13.5mmol)を加え、24時間還流し、高誘電体微粒子前駆体溶液を作製した。
(2)片面銅箔付多孔質ポリイミドフィルムの作製
窒素フローが可能なグローブボックスにおいて、芳香族ジアミンであるPPDおよびDDE(モル比率:85/15)をN−メチルピロリドンに加え、室温で攪拌した。
窒素フローが可能なグローブボックスにおいて、芳香族ジアミンであるPPDおよびDDE(モル比率:85/15)をN−メチルピロリドンに加え、室温で攪拌した。
次いで、芳香族ジアミン1モルに対し、酸無水物であるBPDAを1モル加え、1時間程度、窒素フロー中で攪拌し、固形分10重量%のポリアミック酸溶液を得た。
得られたポリアミック酸溶液を厚さ18μmの銅箔に塗布し、水が入った凝固槽中に浸漬して水と接触させ、ゲル化(凝固)させた。
ゲル化したポリアミック酸溶液を有する銅箔を凝固槽から取り出し、120℃で十分に乾燥させ、さらに400℃で30分間処理してイミド化させ、多孔質ポリイミドフィルムを厚さ18μmの銅箔上に形成し、片面銅箔付多孔質ポリイミドフィルムを作製した。なお、多孔質ポリイミドフィルムの空孔率は70%、孔径は0.2μmであった。
(3)高誘電体シートの作製
上記片面銅箔付多孔質ポリイミドフィルムを2−エトキシエタノールに浸漬し、十分に染み込ませた後、高誘電体微粒子前駆体溶液中に浸漬し、多孔質ポリイミドフィルムの孔内の2−エトキシエタノールを高誘電体微粒子前駆体溶液で置換させた。
上記片面銅箔付多孔質ポリイミドフィルムを2−エトキシエタノールに浸漬し、十分に染み込ませた後、高誘電体微粒子前駆体溶液中に浸漬し、多孔質ポリイミドフィルムの孔内の2−エトキシエタノールを高誘電体微粒子前駆体溶液で置換させた。
片面銅箔付多孔質ポリイミドフィルムを高誘電体微粒子前駆体溶液から取り出し後、120℃で2分乾燥させた。
次に、水を添加したオートクレーブに片面銅箔付多孔質ポリイミドフィルムを入れ、200℃で5時間処理して、高誘電体微粒子を合成し、多孔質ポリイミドフィルムの孔内に高誘電体微粒子が充填された片面銅箔付高誘電体シートを得た。
(実施例2)
(1)高誘電体微粒子前駆体溶液の作製
窒素雰囲気下で、2−エトキシエタノール30mLを入れた反応容器内に、バリウム0.824g(6mmol)および金属ストロンチウム0.526g(6mmol)を加え、1時間攪拌してバリウムアルコキシドおよびストロンチウムアルコキシドを合成した。次いで、反応容器内にテトラエトキシチタン2.737g(12mmol)を入れ、2−エタノールアミン5mLを加え、70℃で24時間還流し、高誘電体微粒子前駆体溶液を作製した。
(1)高誘電体微粒子前駆体溶液の作製
窒素雰囲気下で、2−エトキシエタノール30mLを入れた反応容器内に、バリウム0.824g(6mmol)および金属ストロンチウム0.526g(6mmol)を加え、1時間攪拌してバリウムアルコキシドおよびストロンチウムアルコキシドを合成した。次いで、反応容器内にテトラエトキシチタン2.737g(12mmol)を入れ、2−エタノールアミン5mLを加え、70℃で24時間還流し、高誘電体微粒子前駆体溶液を作製した。
(2)片面銅箔付多孔質ポリイミドフィルムの作製
実施例1と同様の操作で、片面銅箔付多孔質ポリイミドフィルムを作製した。
実施例1と同様の操作で、片面銅箔付多孔質ポリイミドフィルムを作製した。
(3)高誘電体シートの作製
実施例1と同様の操作で、多孔質ポリイミドフィルムの孔内に高誘電体微粒子が充填された片面銅箔付高誘電体シートを得た。
実施例1と同様の操作で、多孔質ポリイミドフィルムの孔内に高誘電体微粒子が充填された片面銅箔付高誘電体シートを得た。
(実施例3)
(1)高誘電体微粒子前駆体溶液
実施例1で作製した高誘電体微粒子前駆体溶液を使用した。
(1)高誘電体微粒子前駆体溶液
実施例1で作製した高誘電体微粒子前駆体溶液を使用した。
(2)多孔質ポリアラミドフィルムの作製
芳香族ポリアミック(帝人株式会社製、コーネックス)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に溶解し、芳香族ポリアラミド(100重量部)およびNMP(900重量部)のポリマー溶液を得た。
芳香族ポリアミック(帝人株式会社製、コーネックス)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に溶解し、芳香族ポリアラミド(100重量部)およびNMP(900重量部)のポリマー溶液を得た。
このポリマー溶液を厚み190μmでポリプロピレンフィルム上に塗布し、60℃の水槽に浸漬し、1昼夜水中保存して脱溶媒を行うことにより、多孔質ポリアラミドフィルムを作製した。
得られた多孔質ポリアラミドフィルムは、厚み35μmで、連続孔が形成されたスポンジ構造となっていた。平均孔径は0.4μmであり、空孔率は60%であった。
(3)高誘電体シートの作製
多孔質ポリアラミドフィルムを2−エトキシエタノールに浸漬し、十分に染み込ませた後、高誘電体微粒子前駆体溶液中に浸漬し、多孔質ポリアラミドフィルムの孔内の2−エトキシエタノールを高誘電体微粒子前駆体溶液で置換させた。多孔質ポリアラミドフィルムを高誘電体微粒子前駆体溶液から取り出し後、120℃で2分乾燥させた。
多孔質ポリアラミドフィルムを2−エトキシエタノールに浸漬し、十分に染み込ませた後、高誘電体微粒子前駆体溶液中に浸漬し、多孔質ポリアラミドフィルムの孔内の2−エトキシエタノールを高誘電体微粒子前駆体溶液で置換させた。多孔質ポリアラミドフィルムを高誘電体微粒子前駆体溶液から取り出し後、120℃で2分乾燥させた。
この操作を3回繰り返し行った。次に、85℃で湿度85%の雰囲気中で5時間多孔質ポリアラミドフィルムを処理し、高誘電体微粒子を合成し、多孔質ポリアラミドフィルムの孔内に高誘電体微粒子が充填された高誘電体シートを得た。
(実施例4)
(1)高誘電体微粒子前駆体溶液
実施例2で作製した高誘電体微粒子前駆体溶液を使用した。
(1)高誘電体微粒子前駆体溶液
実施例2で作製した高誘電体微粒子前駆体溶液を使用した。
(2)多孔質ポリアラミドフィルムの作製
実施例3で作製した多孔質ポリアラミドフィルムを使用した。
実施例3で作製した多孔質ポリアラミドフィルムを使用した。
(3)高誘電体シートの作製
実施例3と同様の操作で、多孔質ポリアラミドフィルムの孔内に高誘電体微粒子が充填された高誘電体シートを得た。
実施例3と同様の操作で、多孔質ポリアラミドフィルムの孔内に高誘電体微粒子が充填された高誘電体シートを得た。
(実施例5)
本実施例5では、マイクロ波照射により細孔中に直接高誘電体微粒子を析出させた。
本実施例5では、マイクロ波照射により細孔中に直接高誘電体微粒子を析出させた。
(1)高誘電体微粒子前駆体溶液の作製
実施例1で作製した高誘電体微粒子前駆体溶液を使用した。
実施例1で作製した高誘電体微粒子前駆体溶液を使用した。
(2)多孔質ポリイミドフィルムの作製
実施例1で作製した片面銅箔付多孔質ポリイミドフィルムにおいて、FeC13/HC1エッチング液を用いて銅箔を完全に除去し、多孔質ポリイミドフィルムを得た。
実施例1で作製した片面銅箔付多孔質ポリイミドフィルムにおいて、FeC13/HC1エッチング液を用いて銅箔を完全に除去し、多孔質ポリイミドフィルムを得た。
(3)高誘電体シートの作製
多孔質ポリイミドフィルムを2−エトキシエタノールに浸漬し、十分に染み込ませた後、高誘電体微粒子前駆体溶液中に浸漬し、多孔質ポリイミドフィルムの孔内の2−エトキシエタノールを高誘電体微粒子前駆体溶液で置換させた。
多孔質ポリイミドフィルムを2−エトキシエタノールに浸漬し、十分に染み込ませた後、高誘電体微粒子前駆体溶液中に浸漬し、多孔質ポリイミドフィルムの孔内の2−エトキシエタノールを高誘電体微粒子前駆体溶液で置換させた。
次いで、多孔質ポリイミドフィルムを50%エタノール水溶液中に浸漬し、取り出し後、市販の電子レンジによって0.036W/cm3 の強度で60秒間マイクロ波の照射を行った。
以上の操作を10回繰り返し、高誘電体シートを作製した。
(比較例)
実施例1で作製したポリアミック酸溶液中に市販のBaTiO3 粉末(富士チタン工業株式会社製)を混合撹拌し、次いで脱泡し高誘電シート形成ワニスを作製した。
実施例1で作製したポリアミック酸溶液中に市販のBaTiO3 粉末(富士チタン工業株式会社製)を混合撹拌し、次いで脱泡し高誘電シート形成ワニスを作製した。
得られた高誘電シート形成ワニスを厚さ18μmの銅箔に塗布し、120℃で十分に乾燥させ、さらに400℃で30分間処理してイミド化させ、高誘電体シートを銅箔上に形成した。なお、粉末の充填率は60vol%であった。
(評価)
実施例1〜5および比較例の高誘電体シートの比誘電率および引張強度を測定した。
実施例1〜5および比較例の高誘電体シートの比誘電率および引張強度を測定した。
なお、片面銅箔付高誘電体シートはFeC13/HC1エッチング液を用いて、銅箔を除去した後、測定を行った。比誘電率および引張強度は以下のように測定した。
[比誘電率の測定]
比誘電率は、空洞共振器摂動法(アジレントテクノロジー製8722ES型ネットワークアナライザーおよび株式会社関東電子応用開発製空洞共振器)によって、2GHzでの値を観測した。
比誘電率は、空洞共振器摂動法(アジレントテクノロジー製8722ES型ネットワークアナライザーおよび株式会社関東電子応用開発製空洞共振器)によって、2GHzでの値を観測した。
[引張強度の測定]
引張強度は、幅2mmおよび長さ70mmのサンプルを用い、株式会社島津製作所製AGS−100型引張試験機により、室温、支点間距離20mmおよび引張速度10mm/分の条件で測定した。
引張強度は、幅2mmおよび長さ70mmのサンプルを用い、株式会社島津製作所製AGS−100型引張試験機により、室温、支点間距離20mmおよび引張速度10mm/分の条件で測定した。
表1に実施例1〜5および比較例で作製した高誘電体シートの構成、比誘電率および引張強度の測定結果を示す。
なお、表1中のSTOはSrTiO3 であり、BSTは(BaxSry)TiO3 である。また、BTはBaTiO3 である。
実施例1〜5で作製された高誘電体シートにおいては、比誘電率が60以上であり、引張強度が80MPa以上であり、高い誘電率でかつ高い引張強度を得ることができた。
一方、比較例の高誘電体シートにおいては、比誘電率が50であり、引張強度が20MPaであり、実施例1〜5の高誘電体シートに比べて低くなった。
このように、比較例における粉末添加による高誘電体シートでは、誘電率は比較的大きくなるが、粉末の充填率を60vol%まで大きくすると、引張強度が低下してしまう。
これに対し、実施例1〜5のように多孔質樹脂フィルムを用いた場合、高誘電体微粒子を充填しても多孔質樹脂フィルムの強度を維持することができる。したがって、高強度の多孔質樹脂フィルムを用いることにより、高強度の高誘電体シートを得ることができる。
(実施例6)
実施例6では、以下のようにして図4の多層配線回路基板を作製した。
実施例6では、以下のようにして図4の多層配線回路基板を作製した。
実施例1の(2)で作製した片面銅箔付多孔質ポリイミドフィルムを3枚用意した。
1枚の片面銅箔付多孔質ポリイミドフィルムを用いて、実施例2の(3)と同様にして、片面銅箔付高誘電体シートを得た。
そして、その片面銅箔付高誘電体シートの銅箔を有さない面に、スパッタ装置にて銅薄膜を形成し、さらに、18μm厚の電解銅めっきを行い、銅箔を形成した。それにより、両面銅箔付高誘電体シートを作製した。
次いで、両面銅箔付高誘電体シートの両面の銅箔面にそれぞれフォトレジスト(日立化成株式会社製HS425)をラミネートして所定のパターンを露光し、現像およびエッチング後、フォトレジストを剥離することにより、銅箔からなる配線パターンを形成し、両面配線回路基板を作製した。
残りの2枚の片面銅箔付多孔質ポリイミドフィルムの銅箔面にフォトレジスト(日立化成株式会社製HS425)をラミネートして所定のパターンを露光し、現像およびエッチング後、フォトレジストを剥離することにより、銅箔からなる配線パターンを形成し、片面配線回路基板を作製した。
そして、上記両面配線回路基板の両面に上記2枚の片面配線回路基板を接着シート(新日鐵化学株式会社製SPB−035A 35μm厚)を介して積層した。180℃で1時間の条件で加熱し、接着剤を硬化反応させ、多層配線回路基板を作製した。プレス圧力は2.9MPaとした。
このようにして得られた多層配線回路基板においては、誘電正接が小さく熱膨張係数が銅(Cu)と同等である多孔質ポリイミドフィルムが配線パターンの層間に高誘電体シートが積層されている。それにより、層間のノイズが低減され、信頼性が高くなる。また、この多層配線回路基板は、高周波回路に適用した場合においても伝送損失を小さくすることができる。
1 高誘電体シート
2,21 導体層
2a,21a 配線パターン
11 多孔質樹脂フィルム
12 孔
20 高誘電体微粒子
100 片面配線回路基板
200 両面配線回路基板
300 多層配線回路基板
2,21 導体層
2a,21a 配線パターン
11 多孔質樹脂フィルム
12 孔
20 高誘電体微粒子
100 片面配線回路基板
200 両面配線回路基板
300 多層配線回路基板
Claims (8)
- 複数の孔を有する多孔質樹脂からなる多孔質樹脂フィルムと、
前記多孔質樹脂フィルムの孔内に充填された高誘電体微粒子の凝集体とを備えたことを特徴とする高誘電体シート。 - 前記高誘電体微粒子が酸化チタン、酸化バリウム、酸化ストロンチウムおよび酸化ジルコニウムよりなる群から選択された1種または2種以上の誘電体を含むことを特徴とする請求項1記載の高誘電体シート。
- 前記多孔質樹脂がポリイミドまたはポリアラミドを含むことを特徴とする請求項1または2記載の高誘電体シート。
- 複数の孔を有する多孔質樹脂からなる多孔質樹脂フィルムを作製する工程と、
前記多孔質樹脂フィルムの孔内に金属アルコキシドを含浸させる工程と、
前記多孔質樹脂フィルムの孔内で前記金属アルコキシドを脱水および縮重合することにより高誘電体微粒子を合成する工程とを備えたことを特徴とする高誘電体シートの製造方法。 - 前記高誘電体微粒子が酸化チタン、酸化バリウム、酸化ストロンチウムおよび酸化ジルコニウムよりなる群から選択された1種または2種以上の誘電体を含むことを特徴とする請求項4に記載の高誘電体シートの製造方法。
- 前記多孔質樹脂がポリイミドまたはポリアラミドを含むことを特徴とする請求項4または5記載の高誘電体シートの製造方法。
- 複数の孔を有する多孔質樹脂からなる多孔質樹脂フィルムと、
前記多孔質樹脂フィルムの孔内に充填された高誘電体微粒子の凝集体と、
前記多孔質樹脂フィルムの少なくとも一面に形成された導電体からなる配線パターンとを備えたことを特徴とする配線回路基板。 - 複数の孔を有する多孔質樹脂からなる多孔質樹脂フィルムを導電体層上に作製する工程と、
前記多孔質樹脂フィルムの孔内に金属アルコキシドを含浸させる工程と、
前記多孔質樹脂フィルムの孔内で前記金属アルコキシドを脱水および縮重合することにより高誘電体微粒子を合成する工程と、
前記導電体層をパターニングすることにより配線パターンを形成する工程とを備えたことを特徴とする配線回路基板の製造方法。
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---|---|---|---|---|
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2003
- 2003-07-14 JP JP2003273952A patent/JP2005038687A/ja active Pending
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