JP2005038667A - サージアブソーバ - Google Patents

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Abstract

【課題】放電開始電圧等の電気特性が安定であるサージアブソーバを提供すること。
【解決手段】周面に中央の放電ギャップ2を介して導電性被膜3が分割形成された柱状の円柱状セラミックス4と、円柱状セラミックス4の両端に対向配置され導電性被膜3に接触する一対の端子電極部材5と、一対の端子電極部材5を両端に配して円柱状セラミックス4を内部に封止ガス6と共に封止する筒型セラミックス7とを備えたサージアブソーバ1であって、端子電極部材5が、周縁部5Aと突出支持部9とを備え、突出支持部9に円柱状セラミックス4を圧入又は嵌合させることによって突出支持部9と導電性被膜3との間の接触面10が形成されていると共に、端子電極部材5のビッカース硬さHvが、100<Hv<200を満足する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サージから様々な機器を保護し、事故を未然に防ぐのに使用するサージアブソーバに関する。
【0002】
【従来の技術】
電話機、ファクシミリ、モデム等の通信機器用の電子機器が通信線との接続する部分、電源線、アンテナ或いはCRT駆動回路等、雷サージや静電気等の異常電流(サージ電流)や異常電圧(サージ電圧)による電撃を受けやすい部分には、異常電圧によって電子機器やこの機器を搭載するプリント基板の熱的損傷又は発火等による破壊を防止するために、サージアブソーバが接続されている。
【0003】
従来、例えばマイクロギャップを有するサージ吸収素子を用いたサージアブソーバが提案されている。このサージアブソーバは、導電性被膜で被覆した円柱状のセラミックス部材の周面に、いわゆるマイクロギャップが形成され、セラミックス部材の両端に一対のキャップ電極を有するサージ吸収素子が封止ガスと共にガラス管内に収容され、円筒状のガラス管の両端にリード線を有する封止電極が高温加熱で封止された放電型サージアブソーバである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
近年、機器の小型化に伴いこのような放電型サージアブソーバにおいても、表面実装化が進んでいる。上記サージアブソーバに適応した例としては、面実装型(メルフ型)として、封止電極にリード線がなく、実装するときは封止電極と基板側とを半田付けで接続して固定するものがある。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−110311号公報 (第3−4頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のサージアブソーバには、以下の課題が残されている。すなわち、通信線や電源線等をはじめとする高サージ耐量を必要とする用途に対し、更に十分に対応可能な特性が要望されており、また、面実装型は実装時にガラス管が破損する可能性があるために、上記サージアブソーバで用いられていたガラス管をセラミックス管にすることが考えられている。
【0007】
従来のガラス管を用いたサージアブソーバでは、ガラス管内に円柱状セラミックスを入れてガラス管の両端に封止電極を配した状態で高温炉でガラス管を溶融させて封止電極に密着固定する封止工程を有している。
この封止から冷却工程では、ガラス管が円柱状セラミックスとの熱膨張係数差により圧縮方向の残留応力を発生させるために、封止電極と円柱状セラミックスの導電性被膜とが十分なオーミックコンタクトを得ることができている。しかしながら、ガラス管の代わりにセラミックス管を用いた場合、セラミックス管と円柱状セラミックスとの熱膨張係数差が上述と比較して小さいために封止から冷却工程で発生する残留応力は小さく、封止電極と円柱状セラミックスの導電性被膜とのオーミックコンタクトが十分に得られないことがあり、放電開始電圧等の電気特性が安定しないという不都合が生じてしまう。
【0008】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、放電開始電圧等の電気特性が安定であるサージアブソーバを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明に係るサージアブソーバは、周面に中央の放電ギャップを介して導電性被膜が分割形成された柱状の絶縁性部材と、該絶縁性部材の両端に対向配置され前記導電性被膜に接触する一対の端子電極部材と、セラミックス材料で形成され前記一対の端子電極部材を両端に配して前記絶縁性部材を内部に、封止ガスと共に封止する絶縁性管とを備えたサージアブソーバであって、前記端子電極部材が、前記絶縁性管の端面とロウ材で接着される周縁部と、径方向内側面で前記絶縁性部材を支持する支持凹部とを備え、該支持凹部に前記絶縁性部材を圧入又は嵌合させることによって前記支持凹部と前記導電性被膜との間の接触面が形成されていると共に、前記端子電極部材のビッカース硬さHvが、100<Hv<200を満足することを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、支持凹部に絶縁性部材を圧入又は嵌合させることにより支持凹部と導電性被膜との間に円周上の帯状接触面が形成されることで、接触面の増大と確実な接触により十分なオーミックコンタクトを得ることができ、サージアブソーバの放電開始電圧等の電気特性が安定する。
また、端子電極部材が好適な硬度を有しているため、圧入させた際の絶縁性部材の破損や組立時の絶縁性部材と端子電極部材との接触不良を防止すると共に、一方の端子電極部材に絶縁性部材の入り込み過ぎにより他方の端子電極部材と絶縁性部材との接触不良を抑制することができる。
【0011】
また、本発明に係るサージアブソーバは、前記端子電極部材及び前記絶縁性管の常温付近における平均熱膨張係数差の絶対値δ(1/℃)が、δ<10×10−6を満足することが好ましい。
ロウ付けから冷却工程で、端子電極部材と絶縁性管との熱膨張係数の差から絶縁性管と端子電極部材との接合部分に大きな残留応力が発生してしまい、絶縁性管の破損や封止不良による気密性不良が生じるおそれがある。
この発明によれば、端子電極部材と絶縁性管との熱膨張係数の平均値の差が好適であるため、ロウ付けから冷却工程で熱膨張係数の差による残留応力の発生を抑制し、絶縁性管の破損や封止不良による気密不良を防止することができる。
【0012】
また、本発明に係るサージアブソーバは、前記端子電極部材が、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)及びCo(コバルト)の合金であるコバール(KOVAR:登録商標)によって形成されていることが好ましい。
また、本発明に係るサージアブソーバは、前記端子電極部材が、焼鈍処理を施したコバールであることが好ましい。
この発明によれば、焼鈍処理を施すことにより通常のコバールよりも硬度が低く、上記条件を満足する端子電極部材とすることができる。
【0013】
また、本発明に係るサージアブソーバは、前記導電性被膜と前記支持凹部とが、前記絶縁性部材よりも硬度の低い金属部材を介して接触していることが好ましい。
この発明によれば、絶縁性部材と支持凹部とが絶縁性部材よりも硬度の低い金属部材を介して接触しているので、絶縁性部材を圧入又は嵌合させた際に、低硬度金属部材が絶縁性部材と支持凹部とを両面に密着してより良好な接触面が形成できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るサージアブソーバの第1の実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。
本実施形態によるサージアブソーバ1は、図1に示されるように、いわゆるマイクロギャップを使用した放電型サージアブソーバであって、周面に中央の放電ギャップ2を介して導電性被膜3が分割形成された円柱状セラミックス(絶縁性部材)4と、この円柱状セラミックス4の両端に対向配置され、円柱状セラミックス4を圧入することにより導電性被膜3に接触する一対の端子電極部材5と、これら一対の端子電極部材5を両端に配して、円柱状セラミックス4を内部に所望の電気特性を得るために組成等を調整された、例えば、Ar(アルゴン)等の封止ガス6と共に封止する筒型セラミックス(絶縁性管)7とを備えている。
【0015】
円柱状セラミックス4は、ムライト焼結体等のセラミックス材料からなり、表面に導電性被膜3として物理蒸着(PVD)法、化学蒸着(CVD)法等の薄膜形成技術によるTiN(窒化チタン)等の薄膜が形成されている。
放電ギャップ2は、レーザカット、ダイシング、エッチング等の加工によって0.01から1.5mmの幅で1から100本形成されるが、本実施形態では、70μmのものを1本形成している。
【0016】
一対の端子電極部材5は、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)及びCo(コバルト)の合金であるコバールで構成されており、水素雰囲気中にて30分間900℃で加熱する焼鈍処理が施されている。
この一対の端子電極部材5は、図2に示されるように、それぞれ筒型セラミックス7の端面とロウ材8で接着される縦横比が1以下とされた長方形状の周縁部5Aと、筒型セラミックス7の内側且つ軸方向に突出すると共に円柱状セラミックス4を支持する突出支持部(支持凹部)9とを備え、突出支持部9に囲まれて円柱状セラミックス4の端部に対向する位置には中央領域5Bが形成されている。突出支持部9は、径方向内側面と円柱状セラミックス4の端部とを圧入又は嵌合させやすいように、径方向内側面がわずかにテーパ形状を有することが望ましい。また、突出支持部9の先端の互いに対向する面が主放電面とされている。
一対の突出支持部9は、内周面で円柱状セラミックス4を突出支持部9に圧入又は嵌合させることによって接触面10を形成し、導電性被膜3との十分なオーミックコンタクトを得ている。
【0017】
筒型セラミックス7は、例えばAl(アルミナ)等の絶縁性セラミックスからなり、断面長方形を有し、両端面外形が周縁部5Aの外周寸法とほぼ一致している。
このような構成において、端子電極部材5及び筒型セラミックス7の平均熱膨張係数差の絶対値δと、端子電極部材5のビッカース硬さHvとは、δ<10×10−6、100<Hv<200の両条件を同時に満足するように形成されている。
【0018】
次に、以上の構成からなる本実施形態のサージアブソーバ1の製造方法について説明する。
まず、一対の端子電極部材5に対し、例えば、水素雰囲気中にて30分間900℃で加熱する焼鈍処理を施した後、抜き打ち加工によって所望の形状に一体成形する。
【0019】
続いて、筒型セラミックス7の両端面に、ロウ材8とのぬれ性を向上させるために、例えば、モリブデン(Mo)−タングステン(W)層とNi層とを各1層ずつ備えるメタライズ層を形成する。
そして、一方の端子電極部材5の中央領域5B上に、円柱状セラミックス4を突出支持部9に圧入又は嵌合させることによって円柱状セラミックス4を載置して径方向内側面と円柱状セラミックス4の端面とを接触させる。このときに、接触面10が形成される。また、周縁部5Aと筒型セラミックス7の端面との間にロウ材8を挟んだ状態で、筒型セラミックス7を他方の端子電極部材5の周縁部5A上に載置する。
さらに円柱状セラミックス4の上方が中央領域5Bと対向するように端子電極部材5を載置して径方向内側面と端子電極部材5とを接触させる。そして、周縁部5Aと筒型セラミックス7の端面との間にロウ材8を挟んだ状態とする。
【0020】
上述のように仮組した状態で十分に真空引き後封止ガス雰囲気としてロウ材8が溶融するまで過熱し、ロウ材8の溶融により円柱状セラミックス4を封止し、その後急速に冷却を行い、サージアブソーバ1が製造される。
このようにして製造したサージアブソーバ1を、例えば、図3に示すように、プリント基板等の基板B上に筒型セラミックス7の一側面である実装面7Aを基板B上に載置し、基板Bと一対の端子電極部材5の外面とを半田Sによって接着固定して使用する。
【0021】
上記の構成によれば、円柱状セラミックス4を突出支持部9に圧入又は嵌合させることにより導電性被膜3と突出支持部9との間で帯状の接触面10が形成され、良好なオーミックコンタクトが得られることで、サージアブソーバ1の放電開始電圧等の電気特性が安定する。また、端子電極部材5が焼鈍処理を施したコバールとなっていることで、端子電極部材5のビッカース硬さHvと端子電極部材5及び筒型セラミックス7の平均熱膨張係数差の絶対値δとが好適な値となる。したがって、圧入又は嵌合させた際の円柱状セラミックス4の破損や組立時の接触不良を防止し、一方の端子電極部材5に導電性被膜3の入り過ぎによる接触不良を抑制することができる。また、ロウ付けから冷却工程で、端子電極部材5と筒型セラミックス7との熱膨張係数の差による残留応力の発生を抑制し、筒型セラミックス7の破損や封止不良による機密不良を防止できる。
【0022】
次に、第2の実施形態について、図4を参照しながら説明する。
なお、ここで説明する実施形態はその基本的構成が上述した第1の実施形態と同様であり、上述の第1の実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、図4においては、図1と同一構成要素に同一符号をし、この説明を省略する。
【0023】
第2の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、第1の実施形態では円柱状セラミックス4が直接突出支持部9に圧入又は嵌合された構成であるのに対して、第2の実施形態におけるサージアブソーバ20は、円柱状セラミックス4が椀状に形成された一対のキャップ電極(金属部材)21を介して突出支持部9に圧入されているとした点である。
一対のキャップ電極21は、円柱状セラミックス4よりも硬度の低い、例えばステンレス等の金属からなり、外周部が端子電極部材5の突出支持部9の先端よりも軸方向内方に延びて断面略U字状に形成され、主放電面とされている。
【0024】
次に、以上の構成からなる本実施形態のサージアブソーバ20の製造方法について説明する。
まず、一対の端子電極部材5に対し焼鈍処理を施した後、抜き打ち加工によって一体成形する。
その後、一対のキャップ電極21を円柱状セラミックス4の両端に係合させ、第1の実施形態と同様の方法でサージアブソーバ20を製造する。
【0025】
上記の構成によれば、円柱状セラミックス4よりも硬度の低く、塑性変形できるキャップ電極21が設けられていることによって、キャップ電極21が円柱状セラミックス4と突出支持部9とを両面に密着してより良好な接触面が形成できる。
【0026】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、より絶縁性部材の破損や過度の圧入による接触不良を防止するため、ビッカース硬さHvは、140<Hv<180を満足することが好ましい。
また、より残留応力を低減するため、平均熱膨張係数差の絶対値δは、δ<8×10−6を満足することが好ましい。
【0027】
また、導電性被膜は、Ag、Ag/Pd合金、SnO、Al、Ni、Cu、Ti、Ta、W、SiC、BaAl、C、Ag/Pt合金、TiO、TiC、TiCN等でもよい。
また、筒型セラミックス両端面のメタライズ層は、Ag、Cu、Auでもよく、また、メタライズ層を用いず活性金属ロウ材だけで封止してもよい。
また、封止ガスは、所望の電気特性を売るために組成等を調整された、例えば、大気(空気)でもよく、Ar、N、Ne、He、Xe、H、SF、CF、C、C、CO等、及びこれらの混合ガスでもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のサージアブソーバによれば、接触面積の増大と確実な接触により導電性被膜と支持凹部との良好なオーミックコンタクトを得ることができる。したがって、放電開始電圧等の電気特性を長期にわたって安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施形態におけるサージアブソーバを示す軸方向断面図である。
【図2】本発明に係る第1の実施形態における端子電極部材を示すもので、(a)は平面図であり、(b)は(a)におけるX−X線矢視断面図である。
【図3】本発明に係る第1の実施形態におけるサージアブソーバを基板上に実装したときの断面図である。
【図4】本発明に係る第2の実施形態におけるサージアブソーバを示す軸方向断面図である。
【符号の説明】
1、20 サージアブソーバ
2 放電ギャップ
3 導電性被膜
4 円柱状セラミックス(絶縁性部材)
5 端子電極部材
5A 周縁部
6 封止ガス
7 筒型セラミックス(絶縁性管)
8 ロウ材
9 突出支持部(支持凹部)
10 接触面
21 キャップ電極(金属部材)

Claims (5)

  1. 周面に中央の放電ギャップを介して導電性被膜が分割形成された柱状の絶縁性部材と、該絶縁性部材の両端に対向配置され前記導電性被膜に接触する一対の端子電極部材と、セラミックス材料で形成され前記一対の端子電極部材を両端に配して前記絶縁性部材を内部に、封止ガスと共に封止する絶縁性管とを備えたサージアブソーバであって、
    前記端子電極部材が、前記絶縁性管の端面とロウ材で接着される周縁部と、
    径方向内側面で前記絶縁性部材を支持する支持凹部とを備え、
    該支持凹部に前記絶縁性部材を圧入又は嵌合させることによって前記支持凹部と前記導電性被膜との間の接触面が形成されていると共に、
    前記端子電極部材のビッカース硬さHvが、100<Hv<200を満足することを特徴とするサージアブソーバ。
  2. 請求項1に記載のサージアブソーバにおいて、
    前記端子電極部材及び前記絶縁性管の常温付近における平均熱膨張係数差の絶対値δ(1/℃)が、δ<10×10−6を満足することを特徴とするサージアブソーバ。
  3. 請求項1又は2に記載のサージアブソーバにおいて、
    前記端子電極部材が、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)及びCo(コバルト)を備える合金によって形成されていることを特徴とするサージアブソーバ。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のサージアブソーバにおいて、
    前記端子電極部材が、焼鈍処理を施したコバール(登録商標)であることを特徴とするサージアブソーバ。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のサージアブソーバにおいて、
    前記導電性被膜と前記支持凹部とが、前記絶縁性部材よりも硬度の低い金属部材を介して接触していることを特徴とするサージアブソーバ。
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