JP2005034076A - 緑化用保水剤及びその製造方法並びにそれを用いた緑化方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 高い保水量と高い保水力の両方を満たすことを可能にする。
【解決手段】本発明に係る緑化用保水剤1は図1(a)に示すように、低吸水倍率の高分子保水剤などの保水剤2をベントナイト3で被覆してなり、具体的には同図(b)に示すように、ベントナイト懸濁液4と該ベントナイト懸濁液中のベントナイト3で被覆された保水剤2とから構成してある。ベントナイト懸濁液は、水にベントナイトを懸濁させたものであるが、かかるベントナイト懸濁液を、地中連続壁工法等の泥水工法で生じるベントナイト泥水とすることができる。保水剤は、例えばベントナイト懸濁液としてベントナイト泥水を用いる場合、耐アルカリ性及び吸放湿性を有しかつカルシウムイオンを主体とするアルカリ成分を含む水を保水可能な材料で構成するのが望ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、河川堤防や崖地等の法面をはじめ、建築物の屋上や構造物の壁面といったあらゆる場所や部位を緑化するために使用される緑化用保水剤及びその製造方法並びにそれを用いた緑化方法に関する。
造成地の盛土や切土、道路の盛土、河川堤防等に見られる傾斜地においては、適当な手段でこれを保護することにより、法面の侵食、剥離、落石等を未然に防止しなければならない。
法面保護の手段としては、コンクリートやモルタルの吹付けがその典型的な方法として知られているが、最近では、環境面に配慮すべく、緑化による法面保護を採用することが多くなってきた。
法面を緑化によって保護する方法としては、植物の種子、肥料、水、チップ材、粘着剤等を攪拌混合した水性スラリーからなる植生基材を法面に吹き付けるのが一般的であり、かかる方法によれば、法面への吹付け後、一定期間後に発芽した植物の根が傾斜地盤内に拡がって該傾斜地盤を安定させることが可能となる。
ここで、植物が生育するためには、その生育に適したpH環境が必要であり、傾斜地盤の表層のpHが小さすぎたり大きすぎたりすると、該傾斜地盤を緑化することは難しくなる。
ところが、最近では、土壌が酸性化しているために法面緑化を施しても植樹した樹木が生育せず枯れてしまうことがあるという問題を生じていた。
すなわち、かつては海底であった堆積層が地上に隆起している場合、地盤造成時の切土工事で該堆積層が地表に露出することとなるが、かかる堆積層には硫化物が含まれていることが多く、該硫化物が地表への露出によって酸化され、硫酸が発生して法面の表層を酸性化させてしまう。
かかる問題は、法面にいったんセメント系材料を吹き付けてから植生基材を吹き付けたり、法面に排水シートを敷設してから植生基材を吹き付けたり、植生基材自体にアルカリ成分を予め含ませておいたりといった方法で回避しようと試みられてはいるが、セメント系材料や排水シートでは、酸性土壌の影響を遮断することはできても、植生基材で生育する植物の根の伸長を妨げ、ひいては植物の生育に支障をきたすという問題や、植生基材自体にアルカリ成分を含ませておく方法では、植生基材のpHが大きくなりすぎて植物の生育を当初から妨げてしまうという問題を引き起こす。
そこで、本出願人は、一方の面から浸入した酸性水を中和するとともに該酸性水を断面内で面内方向に排水させることができるように、かつ該酸性水によって分解するように構成した排水性中和板を法面に敷設し、その上から植生基材を敷設する技術を開発した。
かかる技術によれば、植生基材で生育する樹木は、分解された排水性中和板を貫通してその下の土壌に根を伸長させ、順調に生育を続けることができる。
特開2003−082671号公報 特開2003−074065号公報 特開2003−070359号公報 特開2003−020652号公報
しかしながら、上述した排水性中和板は、酸性水の排水が重視されているため、その分、保水性に劣るという問題を生じていた。
一方、植生基材の保水性を高める一般的な方策としては、例えばピートモス、パーライト、軽石、珪藻土焼成品、セラミック、低吸水倍率の高分子保水剤などの保水剤を予め植生基材に混入させておく技術が知られているが、かかる保水剤は、比重の違い等に起因して植生基材との均一な混合が本来的に難しく、吹付け後の保水性の度合いが場所によって大幅に異なるという問題や、かかる保水剤の偏在により保水剤が多い箇所では植物の生育は良好なものの、保水剤が少ない場所では植生基材が乾燥してしまい、植物が生育しないという問題を生じていた。
また、ピートモス、パーライト、低吸水倍率の高分子保水剤などの保水剤は、保水量は高い、すなわちより多くの水分を保水できるものの、保水力、すなわち保水した水を蒸散させずに内部に保持できる力が比較的小さいため、いくら水を吸収したとしても、短期間に水分が蒸散してしまうという問題も生じていた。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、高い保水量と高い保水力の両方を満たすことが可能な緑化用保水剤及びその製造方法並びにそれを用いた緑化方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る緑化用保水剤は請求項1に記載したように、所定の保水剤をベントナイトで被覆してなるものである。
また、本発明に係る緑化用保水剤は請求項2に記載したように、ベントナイト懸濁液と該ベントナイト懸濁液中のベントナイトで被覆された保水剤とからなるものである。
また、本発明に係る緑化用保水剤は、前記ベントナイト懸濁液を泥水工法で生じるベントナイト泥水としたものである。
また、本発明に係る緑化用保水剤の製造方法は請求項4に記載したように、ベントナイト懸濁液に所定の保水剤を混合して該保水剤を前記ベントナイト懸濁液中のベントナイトで被覆するものである。
また、本発明に係る緑化用保水剤の製造方法は、前記ベントナイト懸濁液を泥水工法で生じるベントナイト泥水としたものである。
また、本発明に係る緑化用保水剤を用いた緑化方法は請求項6に記載したように、ベントナイト懸濁液と該ベントナイト懸濁液中のベントナイトで被覆された保水剤とからなる緑化用保水剤を所定土壌の法面に吹き付けて該土壌に積層し、次いで積層状態にある前記緑化用保水剤の表面に植生基材を吹き付けるものである。
また、本発明に係る緑化用保水剤を用いた緑化方法は請求項7に記載したように、ベントナイト懸濁液と該ベントナイト懸濁液中のベントナイトで被覆された保水剤とからなる緑化用保水剤を多孔質コンクリートの表面に吹き付けて該多孔質コンクリートに積層し、次いで積層状態にある前記緑化用保水剤の表面に植生基材を吹き付けるものである。
また、本発明に係る緑化用保水剤を用いた緑化方法は、前記ベントナイト懸濁液を泥水工法で生じるベントナイト泥水としたものである。
本発明に係る緑化用保水剤及びその製造方法においては、保水量は高いが保水力は小さい保水剤を保水量は小さいが保水力は高いベントナイトで被覆してなり、製造にあたっては、ベントナイト懸濁液に所定の保水剤を混合することで該保水剤を前記ベントナイト懸濁液中のベントナイトで被覆すればよい。
かかる構成によれば、保水剤からの水分の蒸散がベントナイトで防止されることとなり、全体として高い保水量及び保水力を確保することが可能となる。
すなわち、有機質繊維状のピートモス、真珠岩系パーライト、低吸水倍率の高分子保水剤単体では、一般の土壌に比べて高い保水量を有するものの、保水力が小さいため、背景技術で述べたように、植物が保水剤中の水分を吸収する前に乾燥してしまう。
かかる課題に鑑み、本出願人は、従来から使われている保水剤の保水力を高める、すなわち、保水された水の蒸散を抑制することができないかに着眼し、さまざまな研究開発を行った結果、かかる保水剤の周囲をベントナイトで被覆すれば、ベントナイトが微細な粒子であって高い保水力を有するために保水剤に高い保水力を与えることとなり、かくして、保水剤からの水の蒸散を抑制して保水剤に保水された水を長期間保持することができるという顕著な知見を得るに至った。
ちなみに、ベントナイト単体では、乾燥するとベントナイト粒子の間隙が収縮するため、固くて緻密な構造となり、植物が根を張って水分を吸収することはできないが、保水剤を被覆したベントナイトは、保水量が高い保水剤を被覆していることにより、保水剤からの水分蒸散を抑制するとともに、自らも乾燥が防止され、かくして単体のときのように固くて緻密な状態とはならない。そのため、植物に継続的に水分を供給することが可能となる。
ベントナイトは、例えば水の表面張力によって保水剤に付着する。
本発明に係る緑化用保水剤は、ピートモス、パーライト、低吸水倍率の高分子保水剤などの保水剤をベントナイトで被覆してなり、実際の態様としては、ベントナイト懸濁液と該ベントナイト懸濁液中のベントナイトで被覆された保水剤とから構成されることが考えられる。
ここで、ベントナイト懸濁液(ベントナイトミルク)は、水にベントナイトを懸濁させたものであるが、かかるベントナイト懸濁液を、地中連続壁工法等の泥水工法で生じるベントナイト泥水とすれば、産業廃棄物であるベントナイト泥水の発生量を減らすとともに、その有効利用を図ることが可能となる。
また、本発明に係る緑化用保水剤を用いた緑化方法においては、ベントナイト懸濁液と該ベントナイト懸濁液中のベントナイトで被覆された保水剤とからなる緑化用保水剤を積層状態となるように、吹付け機械等を用いて所定の下地に吹き付けた後、該積層状態にある緑化用保水剤の表面に植生基材を吹き付ける。
このようにすると、上述したベントナイトの作用によって保水剤からの水分の蒸散が防止され、緑化用保水剤は、全体として高い保水量及び保水力を確保することが可能となるとともに、ベントナイトが保水剤同士の間隙に入り込んだ状態でバインダー(接合剤)の役目を果たすため、下地に凹凸があっても高い付着力を発揮し、吹付け作業時に跳ね返るおそれはない。ちなみに、ベントナイト単独の吹付けでは付着はしても間隙が緻密となりすぎて不透水層となったり、根が伸張できない状態となるとともに、保水剤単独では、下地に跳ね返されて吹付けが困難となる。
また、ベントナイトが保水剤同士の間隙に入り込むため、保水剤の周囲は確実にベントナイトによって被覆されることとなり、かくして吹付け後の積層状態の緑化用保水剤は、高い保水力と保水量とが確保される。
加えて、ベントナイトは、周囲の湿潤状態により、収縮・膨潤を繰り返すが、内部に保水剤を包み込んだ状態で収縮膨潤するため、保水剤からの水の蒸散は常に抑制される。
緑化用保水剤の吹付けの下地としては、酸性土壌等の土壌又は多孔質コンクリートが考えられる。
なお、多孔質コンクリートには、ポーラスコンクリートのほか、木片コンクリートが含まれる。木片コンクリートは、多数の木片を該木片同士に間隙が生じるようにセメント含有物質で相互に固結させて構成してなるものであって、木片コンクリート板として工場製作されたものを現場に搬入し、これを法面に取り付けるようにしてもよいし、セメント含有物質と多数の木片とを含む混練物を法面に吹き付け、該木片同士の間に間隙が形成された状態にて木片が相互に固結されるように現場で形成してもよい。
セメント含有物質とは、具体的には、セメントと水との水和反応による固結作用が得られるものであれば、その形態は任意であり、セメント及び水からなるセメントミルク(セメントペースト)、セメント、水及び細骨材からなるフレッシュモルタル、又はセメント、水、細骨材及び粗骨材からなるフレッシュコンクリートのいずれでもかまわない。
なお、木片コンクリートを酸性土壌に適用する以下の構成、すなわち、一方の面から浸入した酸性水を中和するとともに該酸性水を断面内で面内方向に排水させることができるように構成しかつ前記酸性水によって分解するように構成してなる排水性中和板、特に多数の木片を該木片同士に間隙が生じるようにセメント含有物質で相互に固結させた排水性中和板も本願発明の多孔質コンクリートに含まれる。
保水剤は任意であるが、例えばベントナイト懸濁液としてベントナイト泥水を用いる場合、耐アルカリ性及び吸放湿性を有しかつカルシウムイオンを主体とするアルカリ成分を含む水を保水可能な材料で構成するのが望ましい。
以下、本発明に係る緑化用保水材及びその製造方法並びにそれを利用した緑化方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態に係る緑化用保水剤1は図1(a)に示すように、ピートモス、パーライト、低吸水倍率の高分子保水剤などの保水剤2をベントナイト3で被覆してなり、具体的には同図(b)に示すように、ベントナイト懸濁液4と該ベントナイト懸濁液中のベントナイト3で被覆された保水剤2とから構成してある。
ベントナイトは、例えば膨潤度5倍程度のものを用いるのがよい。
ベントナイト懸濁液(ベントナイトミルク)は、水にベントナイトを懸濁させたものであるが、かかるベントナイト懸濁液を、地中連続壁工法等の泥水工法で生じるベントナイト泥水とすることができる。
保水剤は、例えばベントナイト懸濁液としてベントナイト泥水を用いる場合、耐アルカリ性及び吸放湿性を有しかつカルシウムイオンを主体とするアルカリ成分を含む水を保水可能な材料で構成するのが望ましい。
例えば、NVA(N−ビニルアセトアミド)を主モノマーとして重合されてなるPNVA(ポリ−N−ビニルアセトアミド)を用いることが考えられる。
PNVAは、NVA(N−ビニルアセトアミド)をラジカル重合して得られる吸液性ポリマーであり、例えば昭和電工株式会社から提供されているPNVA NAグレードのうち、NA−010、NA−150等を採用することができる。
NA−010、NA−150は粉体であり、広範囲のpH領域で安定した吸水性能を示すとともに、強アルカリ環境下でも吸水性能が低下せず、しかも高湿度環境下では吸湿し、低湿度環境下では放湿するので、上述した状況で使用する場合には適している。
本実施形態に係る緑化用保水材を製造するには、まず、ベントナイト懸濁液4に保水剤2を混合する。ベントナイト懸濁液4は、上述したように地中連続壁工法等の泥水工法で生じるベントナイト泥水を転用する。
このようにベントナイト懸濁液4に保水剤2を混合すると、ベントナイト懸濁液中のベントナイト3は、水の表面張力等によって保水剤2の周囲に付着し、該保水剤の表面に被膜を形成する、言い換えれば、保水剤2は、ベントナイト3で被覆されることとなる。
ベントナイト懸濁液4は、例えばベントナイト1kgあたり水5kgの割合で配合されるように構成することが考えられるが、ベントナイト3の濃度は、保水剤2がベントナイト3で被膜されるよう、保水剤2の種類や量、吹付け対象となる下地に応じて適宜調整すればよい。具体的には、多数の木片を該木片同士に間隙が生じるようにセメント含有物質で相互に固結させてなる木片コンクリートが下地であれば、ベントナイト1kgを10kgの水に配合して10倍に希釈されてなるベントナイト懸濁液に自重の20〜30倍程度まで吸水する高分子保水剤0.5kgを添加すればよい。
かかる緑化用保水剤1を用いて例えば酸性土壌に緑化を行うには、図2(a)に示すようにまず、酸性土壌11に木片コンクリートである排水性中和板12を設置する。
排水性中和板12は、一方の面、本実施形態では酸性土壌11の側から浸入した酸性水を中和するとともに該酸性水を断面内で面内方向に排水させることができるように構成しかつ酸性水によって分解するようにしたものであり、具体的には、多数の木片を該木片同士に間隙が生じるようにセメントミルク、モルタル等のセメント含有物質で相互に固結して構成することができる。
次に、図2(b)に示すように、ベントナイト懸濁液4と該ベントナイト懸濁液中のベントナイト3で被覆された保水剤2とからなる緑化用保水剤1を、モルタルガン等の吹付け機械を用いて排水性中和板2に吹き付け、該排水性中和板の表面に緑化用保水剤1を積層する。吹付けにあたっては、予め保水剤2に水を十分吸収させておく。
このようにすると、緑化用保水剤1は、排水性中和板12の表面に広い範囲にわたって積層されることとなる。ここで、緑化用保水剤1は、排水性中和板12に吹き付けて積層された状態では、微視的に見た場合、図2(c)に示すように、ベントナイト3同士やベントナイト3と保水剤2との間あるいは保水剤2同士の間にわずかな間隙21が生じているとともに、かかる間隙が互いに連通した状態で水分が満たされ、ベントナイト3に付着している水膜とともに水分移動経路が連続形成されることになり、保水範囲が個々点在しなおかつそれらが偏在した従前のような保水状態ではなく、広範囲にわたって均一な保水状態となる。
次に、図3に示すように、積層状態にある緑化用保水剤1の表面に植生基材31を吹き付ける。
以上説明したように、本実施形態に係る緑化用保水材及びその製造方法によれば、ベントナイト3が微細な粒子であって高い保水力を有し、かかるベントナイト3が保水剤2を被覆するため、結果として保水剤2に高い保水力を与えることとなり、かくして、保水剤2からの水の蒸散が抑制され、保水された水分を長期間保持することが可能となる。
ちなみに、ベントナイト単体では、乾燥すると、ベントナイト粒子の間隙が収縮するため、固くて緻密な構造となり、植物が根を張って水分を吸収することはできないが、保水剤2を被覆したベントナイト3は、保水量が高い保水剤2を被覆していることにより、保水剤2からの水分蒸散を抑制するとともに、自らも乾燥が防止され、かくして単体のときのように固くて緻密な状態とはならない。そのため、本実施形態に係る緑化用保水剤1は、植物に継続的に水分を供給することが可能となる。
また、本実施形態に係る緑化用保水材の製造方法によれば、ベントナイト懸濁液4を、地中連続壁工法等の泥水工法で生じるベントナイト泥水としたので、産業廃棄物であるベントナイト泥水4の発生量を減らすとともに、その有効利用を図ることが可能となる。
また、本実施形態に係る緑化用保水材を用いた緑化方法によれば、ベントナイト3が保水剤2同士の間隙に入り込むため、保水剤2の周囲は確実にベントナイト3によって被覆されることとなり、かくして吹付け後の積層状態の緑化用保水剤1は、高い保水力と保水量とが確保される。加えて、ベントナイト3は、周囲の湿潤状態により収縮・膨潤を繰り返すが、内部に保水剤2を包み込んだ状態で収縮膨潤するため、保水剤2からの水の蒸散は常に抑制される。
また、本実施形態に係る緑化用保水剤を用いた緑化方法によれば、緑化用保水剤1を排水性中和板12の表面に広い範囲にわたって吹き付けて積層するようにしたので、酸性土壌11に対し、広い範囲で均一な保水性を与えることが可能となる。
すなわち、緑化用保水剤1は、ベントナイト懸濁液4中のベントナイト3で保水剤2を被膜してあるため、排水性中和板12に吹き付けて積層された状態では、微視的に見た場合、図2(c)を参照して既に説明したように、ベントナイト3同士やベントナイト3と保水剤2との間あるいは保水剤2同士の間にわずかな間隙が生じているとともに、かかる間隙が互いに連通した状態で水分が満たされ、ベントナイト3に付着している水膜とともに水分移動経路が連続形成されることになり、保水範囲が個々点在しなおかつそれらが偏在した従前のような保水状態ではなく、広範囲にわたって均一な保水状態となる。
また、本実施形態に係る緑化用保水剤を用いた緑化方法によれば、保水剤を人手で排水性中和板12に押し込んだり詰め込んだりする必要もない。ちなみに、保水剤の詰め込みを行うとした場合、保水した状態では作業性が悪いため、詰め込んだ後で吸水させるしかないが、吸収性の高い保水剤の場合、充填量が多いと、水分吸収に伴う膨張によって排水性中和板12を破損してしまう懸念があったが、本実施形態ではそのような懸念もなくなる。
また、本実施形態に係る緑化用保水材を用いた緑化方法によれば、上述したベントナイト3の作用によって保水剤2からの水分の蒸散が防止され、緑化用保水剤1全体としては、高い保水量及び保水力を確保することが可能となるとともに、ベントナイト3が保水剤2同士の間隙に入り込んだ状態でバインダー(接合剤)の役目を果たすため、酸性土壌11に凹凸があっても高い付着力を発揮し、吹付け作業時に跳ね返るおそれはない。ちなみに、ベントナイト単独の吹付けでは付着はしても間隙が緻密となりすぎて不透水層となったり、根が伸張できない状態となるとともに、保水剤単独では、下地に跳ね返されるため、吹付けは困難である。
本実施形態では法面での施工を前提としたが、吹付け面が法面である必要はなく、例えば砂質地盤を緑化するべく、該砂質地盤上に本発明に係る緑化用保水剤を吹き付け、その後、植生基材を吹き付けるようにしてもかまわないし、構造物の鉛直壁面に同様に吹き付けるようにしてもかまわない。なお、後者の場合には、構造物の鉛直壁面に予めラス網、定着筋などの定着材を設けておき、該定着材によって本発明に係る緑化用保水剤及びそれに続いて吹き付けられる植生基材の落下を防止するようにすればよい。
また、本実施形態では、ベントナイト懸濁液をベントナイト泥水としたが、これに代えてベントナイト懸濁液をあらたに作製してもよいことは言うまでもない。
また、本実施形態では特に言及しなかったが、本発明に係る緑化用保水材が吹き付けられる下地は、排水性中和板に代えて、同じ多孔質コンクリートであるポーラスコンクリートに吹き付けるようにしてもよい。さらに、土壌のpHも問わない。
特に、下地が岩盤、吹付けコンクリート等であるために根の伸張や植物の定着が困難で緑化が難しい場合、多数の木片を該木片同士に間隙が生じるようにセメント含有物質で相互に固結させて構成した木片コンクリートを採用することができる。
すなわち、かかる木片コンクリートを例えば岩盤からなる法面や、吹付けコンクリートが施された法面に設け、次いで、該木片コンクリートに緑化用保水剤1を吹き付けて積層するようにしてもよい。なお、排水性中和板12に代えて板状の木片コンクリートを用いる以外、緑化用保水剤に関する構成や作用効果については上述の実施形態と同様であるので、詳細な説明については省略する。
また、本実施形態では、板状の排水性中和板12に緑化用保水剤1を吹き付けるようにしたが、例えば岩盤からなる法面や、吹付けコンクリートが施された法面に木片コンクリートを吹き付け、かかる木片コンクリートの硬化を待って緑化用保水剤1を吹き付けるようにしてもかまわない。
木片コンクリートを吹付けによって法面に形成するには、セメント含有物質としてのセメントミルクと多数の木片とを含む混練物を上述した法面に吹き付け、その硬化を待って木片コンクリートとするが、かかる混練物を吹き付けるにあたっては、木片とセメントミルクとをそれぞれ必要な量だけ計量槽で計量し、これらをミキサーに投入して混合した後、例えばコンクリート吹付機を用いてその吹付けノズルから噴出する。
混練物は、セメントミルクを木片の量に対して貧配合とし、ミキサー内で木片の周囲にセメントミルクを付着させるように混合し、かかる状態で木片を吹き付けるのが望ましい。
ここで、吹付け後のセメントの凝結硬化を促進すべく、例えばリグニンスルホン酸及びロダン化合物を主成分とする無塩化形の混和剤を添加するとともに、吹付け後における木片とセメントミルクとの材料分離を防止すべく、増粘剤を添加しておくのがよい。
増粘剤は例えば、セルロース系や、水溶性の合成樹脂エマルジョンを使用することが可能であり、該合成樹脂はさらに、ポリアクリル酸、アクリル酸エステル、スチレン・アクリル酸エステル、シリコーン・アクリル酸エステル、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル系樹脂(EVA)などを使用することができる。
特に、かかる増粘剤をエチレン酢酸ビニル系エマルジョンとした場合においては、セメント含有物質と木片との不分離性に優れるのみならず、エマルジョン化のプロセスにおいて、環境ホルモンに影響を及ぼす懸念があるフタル酸などの物質を添加物として用いないため、環境面でも優れる。また、セメント含有物質の水和反応を遅延させるタンニンが木片内に多く含まれていたとしても、エチレン酢酸ビニル系樹脂(EVA)エマルジョンは、木片とセメント含有物質とを長時間分離させないため、木片同士は、それらの間に間隙が形成されるようにセメント含有物質を介して確実に固結される。
なお、排水性中和板12に代えて木片コンクリートを吹付け形成する以外、緑化用保水剤に関する構成や作用効果については上述の実施形態と同様であるので、詳細な説明については省略する。
本実施形態に係る緑化用保水材を示した概念図。 本実施形態に係る緑化用保水材を用いた緑化方法を示した作業図。 本実施形態に係る緑化用保水材を用いた緑化方法を示した作業図。
符号の説明
1 緑化用保水剤
2 保水剤
3 ベントナイト
4 ベントナイト懸濁液
31 植生基材

Claims (8)

  1. 所定の保水剤をベントナイトで被覆してなることを特徴とする緑化用保水剤。
  2. ベントナイト懸濁液と該ベントナイト懸濁液中のベントナイトで被覆された保水剤とからなることを特徴とする緑化用保水剤。
  3. 前記ベントナイト懸濁液を泥水工法で生じるベントナイト泥水とした請求項2記載の緑化用保水剤。
  4. ベントナイト懸濁液に所定の保水剤を混合して該保水剤を前記ベントナイト懸濁液中のベントナイトで被覆することを特徴とする緑化用保水剤の製造方法。
  5. 前記ベントナイト懸濁液を泥水工法で生じるベントナイト泥水とした請求項4記載の緑化用保水剤の製造方法。
  6. ベントナイト懸濁液と該ベントナイト懸濁液中のベントナイトで被覆された保水剤とからなる緑化用保水剤を所定土壌の法面に吹き付けて該土壌に積層し、次いで積層状態にある前記緑化用保水剤の表面に植生基材を吹き付けることを特徴とする緑化用保水剤を用いた緑化方法。
  7. ベントナイト懸濁液と該ベントナイト懸濁液中のベントナイトで被覆された保水剤とからなる緑化用保水剤を多孔質コンクリートの表面に吹き付けて該多孔質コンクリートに積層し、次いで積層状態にある前記緑化用保水剤の表面に植生基材を吹き付けることを特徴とする緑化用保水剤を用いた緑化方法。
  8. 前記ベントナイト懸濁液を泥水工法で生じるベントナイト泥水とした請求項6又は請求項7記載の緑化用保水剤を用いた緑化方法。
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