JP2005033533A - 無線装置 - Google Patents

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隆司 笹
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Abstract

【課題】直交変調等のディジタル変調方式を使用して任意の信号を外部に送信するための無線装置に関し、無線装置内の増幅器からのフィードバックを行わずに増幅器の非線形歪を補償する場合、増幅器毎に最適な歪補償テーブルを容易に作成し、かつ、必要な演算量やメモリのサイズを節減することを目的とする。
【解決手段】増幅器で発生する非線形歪を測定するための歪測定用信号を生成する歪測定用信号生成部2と、歪測定用信号生成部2にて生成された歪測定用信号を直交変調して直交変調信号を生成する直交変調部4と、直交変調部4にて生成された直交変調信号を増幅する増幅器5とを備え、歪測定用信号生成部2は、歪測定用信号として、任意の位相に固定した状態で、振幅または振幅の二乗の値を直線的に変化させたものを一定の周期で繰り返して得られる直交ベースバンド信号を出力するように構成される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直交変調等のディジタル変調方式を使用して任意の情報(信号)を外部に送信するための無線装置に関する。さらに詳しくいえば、本発明は、携帯電話等に設けられた無線装置内の電力増幅器(以下、単に「増幅器」と呼ぶこともある)で発生する非線形歪を補償するために、特にプリディストーション方式のリニアライザで使用される歪補償テーブルを作成する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11は、一般の電力増幅器の入出力特性の一例を示すグラフであり、図12は、従来の無線装置において送信電力が隣接チャネルへ漏洩する様子を示す図である。ただし、図12では、説明を簡単にするために、複数の無線装置内の電力増幅器の中で、互いに隣接する2つの電力増幅器のチャネル(例えば、チャネル♯1およびチャネル♯2)における周波数fと電力増幅器の出力電力値Pout との関係を代表して示す。
【0003】
ディジタル変調方式を使用した従来の無線装置においては、通常、直交変調後の入力信号を増幅して他の無線装置に送信するための電力増幅器が設けられている。この増幅器の入出力特性(または送信電力特性)に関していえば、図11に示すように、増幅器の入力信号Sinの振幅値が小さい場合は、増幅器の入力信号Sinと出力信号(すなわち、増幅信号)Sa とが比例関係にあり、入力信号Sinと出力信号Sa との間で直線性(線形性)が成立している。しかしながら、入力信号Sinの振幅値が大きくなると、増幅器が飽和して入力信号Sinと出力信号Sa との間で直線性が得られなくなり、非線形歪が発生する。
【0004】
一般に、個々の無線装置内の増幅器に対しては、図12に示すように、電波法によって占有帯域幅Δfwおよび隣接チャネル間の間隔Δfcが予め規定されている。前述のように入力信号Sinと出力信号Sa との間で非線形歪が発生した場合、図12の周波数fと送信電力値Pout との関係から明らかなように、各々の増幅器に対して割り当てられたチャネルの送信電力の周波数スペクトルに広がりが生じ、当該周波数スペクトルが占有帯域幅Δfw内に収まらなくなる。このため、ある一つのチャネル(例えば、チャネル♯1)の送信電力が隣接するチャネル(例えば、チャネル♯2)へ漏洩するという問題が生じてくる。
【0005】
これを防止するために、リニアライザを使用して増幅器の非線形歪を補償する技術が数多く提案されている。ただし、増幅器からのフィードバックを利用して増幅器の非線形歪を補償する方式は、リニアライザの処理に必要な演算量やメモリのサイズが増大しコストが高くなる。それゆえに、従来の無線装置では、できる限り安いコストで増幅器の非線形歪を補償するために、増幅器からのフィードバックを行わずにリニアライザにより非線形歪を補償する方式が考案されてきた。例えば、下記の先行技術文献においては、送信系の増幅器114からのフィードバックを行わずに、非線形歪補償部106を含むリニアライザにより増幅器114の非線形歪を補償する機能を備えた送信装置が開示されている。この先行技術文献のように、フィードバックを行わずにリニアライザにより増幅器の非線形歪を補償する方式では、歪補償テーブルを更新せずに固定の歪補償テーブルを使用している。それゆえに、増幅器毎に最適な歪補償テーブルを予め個別に作成しておくことが必要である。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−251246号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、増幅器からのフィードバックを行わずに増幅器の非線形歪を補償する方式では、歪補償テーブルを個別に作成しておくことが必要であるが、従来は、増幅器毎に最適な歪補償テーブルを容易に作成する方法がなかった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、増幅器からのフィードバックを行わずにリニアライザにより増幅器の非線形歪を補償する場合に、増幅器毎に最適な歪補償テーブルを容易に作成することが可能であり、かつ、リニアライザの処理に必要な演算量やメモリのサイズをできる限り節減することが可能な無線装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明の第1の態様は、増幅器で発生する非線形歪を測定するための歪測定用信号を生成する歪測定用信号生成部と、この歪測定用信号生成部にて生成された歪測定用信号を直交変調して直交変調信号を生成する直交変調部と、この直交変調部にて生成された直交変調信号を増幅する増幅器とを備え、上記歪測定用信号生成部は、上記歪測定用信号として、任意の位相に固定した状態で、振幅を直線的に変化させたものを一定の周期で繰り返して得られる直交ベースバンド信号を出力するような無線装置を提供する。
【0010】
また一方で、本発明の第2の態様は、増幅器で発生する非線形歪を測定するための歪測定用信号を生成する歪測定用信号生成部と、この歪測定用信号生成部にて生成された歪測定用信号を直交変調して直交変調信号を生成する直交変調部と、この直交変調部にて生成された直交変調信号を増幅する増幅器とを備え、上記歪測定用信号生成部は、上記歪測定用信号として、任意の位相に固定した状態で、振幅の二乗の値を直線的に変化させたものを一定の周期で繰り返した直交ベースバンド信号を出力するような無線装置を提供する。
【0011】
好ましくは、本発明の第1の態様に係る無線装置は、さらに、上記増幅器の出力電力を測定して上記増幅器の送信電力特性を取得するための送信電力測定部と、この送信電力測定部にて取得された送信電力特性に基づき、上記増幅部で発生する非線形歪を補償するための歪補償テーブルを作成する歪補償テーブル作成部とを備える。このような構成において、上記増幅器の出力電力を連続的に一周期分測定し、上記出力電力の測定の結果として得られる出力電力値の平方根を求めて、上記出力電力値の平方根の近似式を算出し、さらに、上記出力電力値が0になる点と上記出力電力値の平方根の最大値とを結ぶ直線を示す一次式を目標直線として算出し、上記一次式の特性が得られるような上記増幅器の入力信号の振幅値を求めるための算出式を求め、上記増幅器の入力信号の振幅値の最小値から最大値までの任意の値を上記算出式に代入して、上記歪補償テーブルを作成するようになっている。
【0012】
好ましくは、本発明の第2の態様に係る無線装置は、さらに、上記増幅器の出力電力を測定して上記増幅器の送信電力特性を取得するための送信電力測定部と、この送信電力測定部にて取得された送信電力特性に基づき、上記増幅部で発生する非線形歪を補償するための歪補償テーブルを作成する歪補償テーブル作成部とを備える。このような構成において、上記増幅器の出力電力を連続的に一周期分測定し、上記出力電力の測定の結果として得られる出力電力値を求めて、上記出力電力値の近似式を算出し、さらに、上記出力電力値が0になる点と上記出力電力値の最大値とを結ぶ直線を示す一次式を目標直線として算出し、上記一次式の特性が得られるような上記増幅器の入力信号の振幅値の二乗を求めるための算出式を求め、上記増幅器の入力信号の振幅値の二乗の最小値から最大値までの任意の値を上記算出式に代入して、上記歪補償テーブルを作成するようになっている。
【0013】
さらに、好ましくは、本発明の第1の態様に係る無線装置は、前述のような送信電力測定部および歪補償テーブル作成部を備え、上記増幅器の出力電力を連続的に一周期分測定し、上記出力電力の測定の結果として得られる出力電力値の平方根を求めて、上記出力電力値の平方根の近似式を算出し、さらに、上記出力電力値の平方根の最小値と最大値を結ぶ直線を示す一次式を目標直線として算出し、上記一次式の特性が得られるような上記増幅器の入力信号の振幅値を求めるための算出式を求め、上記増幅器の入力信号の振幅値の最小値から最大値までの任意の値を上記算出式に代入して、上記歪補償テーブルを作成するようになっている。
【0014】
さらに、好ましくは、本発明の第2の態様に係る無線装置は、前述のような送信電力測定部および歪補償テーブル作成部を備え、上記増幅器の出力電力を連続的に一周期分測定し、前記出力電力の測定の結果として得られる出力電力値を求めて、上記出力電力値の近似式を算出し、さらに、上記出力電力値の最小値と最大値を結ぶ直線を示す一次式を目標直線として算出し、上記一次式の特性が得られるような上記増幅器の入力信号の振幅値の二乗を求めるための算出式を求め、上記増幅器の入力信号の振幅値の二乗の最小値から最大値までの任意の値を上記算出式に代入して、上記歪補償テーブルを作成するようになっている。
【0015】
さらに、好ましくは、本発明の第1の態様に係る無線装置は、前述のような送信電力測定部および歪補償テーブル作成部を備え、上記増幅器の出力電力を連続的に一周期分測定し、上記出力電力の測定の結果として得られる出力電力値の平方根を求めて、上記出力電力値の平方根の近似式を算出し、さらに、上記増幅器の送信電力特性においてリニアリティ(直線性)が確保できる領域を求め、上記領域の延長線を示す直線の一次式を目標直線として算出し、上記一次式の特性が得られるような上記増幅器の入力信号の振幅値を求めるための算出式を求め、上記増幅器における入力信号の振幅値の任意の値を上記算出式に代入して、上記歪補償テーブルを作成するようになっている。
【0016】
さらに、好ましくは、本発明の第2の態様に係る無線装置は、前述のような送信電力測定部および歪補償テーブル作成部を備え、上記増幅器の出力電力を連続的に一周期分測定し、上記出力電力の測定の結果として得られる出力電力値を求めて、上記出力電力値の近似式を算出し、さらに、上記増幅器の送信電力特性においてリニアリティが確保できる領域を求め、上記領域の延長線を示す直線の一次式を目標直線として算出し、上記一次式の特性が得られるような上記増幅器の入力信号の振幅値の二乗を求めるための算出式を求め、上記増幅器における入力信号の振幅値の二乗の任意の値を上記算出式に代入して、上記歪補償テーブルを作成するようになっている。
【0017】
さらに、好ましくは、本発明の第1および第2の態様に係る無線装置において、複数の上記増幅器における送信電力特性を予め測定して平均的に上記リニアリティが確保できる領域を求めておき、上記領域の延長線を示す直線の一次式を基準として目標とする一次式の特性を設定するようになっている。
【0018】
さらに、好ましくは、本発明の第1および第2の態様に係る無線装置において、複数の上記増幅器における送信電力特性の平均特性を求め、上記平均特性を補正するための上記歪補償テーブルを作成するようになっている。
【0019】
さらに、好ましくは、本発明の第1および第2の態様に係る無線装置において、上記歪補償テーブルの算出式に、上記増幅器の入力信号の振幅値の二乗の値が等間隔になるように上記入力信号の振幅値の二乗の値を代入して、上記歪補償テーブルを作成するようになっている。
【0020】
さらに、好ましくは、本発明の第1および第2の態様に係る無線装置において、作成された上記歪補償テーブルの近似式を算出し、上記近似式の係数を無線装置毎に記憶させるようになっている。
【0021】
要約すれば、本発明においては、増幅器で発生する非線形歪を測定するための歪測定用信号として、任意の位相に固定した状態で、振幅または振幅の二乗の値を直線的に変化させたものを一定の周期で繰り返した直交ベースバンド信号を出力するようにしているので、増幅器からのフィードバックを行わずに増幅器の非線形歪を容易に測定することができる。このようにして測定された増幅器の非線形歪の特性に基づき、個々の増幅器の非線形歪に対して最適な歪補償テーブルを正確に算出することが可能になる。
【0022】
特に、本発明の第2の態様で使用される歪測定用信号においては、非線形歪のない理想的な増幅器であれば、入力信号の振幅値の二乗に対して直線的に変化する出力電力が得られるはずなので、本発明の第1の態様の場合よりも簡単に増幅器の非線形歪を測定することが可能になる。
【0023】
さらに、本発明においては、複数の増幅器における送信電力特性の平均特性を求め、この平均特性を補正するための歪補償テーブルを作成するようにしているので、無線装置を製造する過程で各々の無線装置毎に歪補償テーブルを作成する必要がなくなる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面(図1〜図10)を参照しながら、本発明の好ましい実施例の構成および動作を説明する。
【0025】
図1は、本発明に係る一実施例の構成を示すブロック図、図2は、図1の実施例において増幅器の入力信号の振幅値(以下、「入力振幅値」と略記することもある)を直線的に変化させた場合の出力電力値の変化の様子を示す図、そして、図3は、図1の実施例において増幅器の入力振幅値の二乗の値を直線的に変化させた場合の出力電力値の変化の様子を示す図である。なお、これ以降、前述した構成要素と同様のものについては、同一の参照番号または参照符号を付して表すこととする。
【0026】
ただし、図1においては、リニアライザを構成する無線装置1の中で、直交変調信号を用いて増幅器5で発生する非線形歪を測定するための測定回路系を示す。さらに、図2においては、本発明の第1の態様に従って増幅器の入力振幅値を変化させた場合の出力電力値または出力電力値の平方根の値の変化の様子を示し、図3においては、本発明の第2の態様に従って増幅器の入力振幅値の二乗の値を変化させた場合の出力電力値の変化の様子を示す。
【0027】
図1の無線装置1は、増幅器5で発生する非線形歪を測定するための歪測定用信号を生成する歪測定用信号生成部2と、この歪測定用信号生成部2にて生成された歪測定用信号をアナログ信号に変換するディジタル/アナログ・コンバータ(D/Aコンバータ)3と、アナログ信号に変換された歪測定用信号を直交変調して直交変調信号を生成する直交変調部4と、この直交変調部4にて生成された直交変調信号を増幅する増幅器(すなわち、電力増幅器)5とを備えている。
【0028】
図1の無線装置1の歪測定用信号生成部2では、ディジタル変調がなされた直交ベースバンド信号を増幅器5に入力する代わりに、増幅器5で発生する非線形歪を測定するための歪測定用信号(I、Q)を生成して増幅器5に入力するようにしている。
【0029】
なお、図1では、D/Aコンバータ3の後段部に直交変調部4を配置することによって歪測定用信号生成部2からの歪測定用信号をアナログ信号に変換した後に直交変調を行う構成になっているが、D/Aコンバータ3の前段部に直交変調部4を配置することによって上記歪測定用信号をアナログ信号に変換する前に直交変調を行う構成であってもよい。
【0030】
本発明の第1の態様では、歪測定用信号生成部2からの歪測定用信号として、例えば図2の(a)に示すように、増幅器5への入力信号Sinの振幅値に相当する振幅を時間tに対し直線的に変化させたものを一定の周期で繰り返した直交ベースバンド信号が出力される。ただし、直交ベースバンド信号の位相は、任意の位相に固定しておくものとする。この直交ベースバンド信号の非線形歪を補償せずに(すなわち、プリディストーションを行わずに)増幅器5に入力する。なお、歪測定用信号は、直交ベースバンド信号の振幅を直線的に減少させた波形でもよいし、直線的に増加および減少を繰り返した波形でもよい。
【0031】
歪測定用信号の振幅は直線的に変化するので、外部の測定器(例えば、図1の送信電力測定部6)を用いて、無線装置1から出力される送信電力(増幅器5の出力電力値)を連続的に測定すると、図2の(b)に示すように、振幅の二乗に比例して送信電力が変化するはずである。したがって、送信電力の測定により取得された出力電力値の平方根の値(出力電力値のルートを取った値)を時間tに対しプロットすると、図2の(c)の実線部に示すような非線形歪のない理想的な増幅器5に関しては、出力電力値の平方根の値が直線的に変化する特性が得られる。ここで、出力電力値の平方根の値は、増幅器5からの出力信号(増幅信号)Sa に対応するものである。これに対し、実際の増幅器では非線形歪が発生するため、ある入力信号のレベルまでは出力信号の直線性が保たれるが、それ以上の入力信号のレベルの領域では、図2の(c)の破線部に示すように、出力電力値の平方根の値が相対的に低下して直線性が得られなくなる場合がある。この現象が、増幅器で実際に発生する非線形歪である。
【0032】
このように、無線装置内の増幅器から歪測定用信号を出力する機能をもたせることによって、増幅器で発生する非線形歪に関する非線形歪特性を容易に測定することができる。
【0033】
上記のとおり、図2の第1の態様では、歪測定用信号生成部2からの歪測定用信号として、振幅を直線的に変化させた波形を使用している。それゆえに、増幅器5で発生する非線形歪に関する非線形歪特性を得るためには、出力電力値の平方根の値を演算する必要がある。
【0034】
これに対し、本発明の第2の態様では、歪測定用信号生成部2からの歪測定用信号として、例えば図3の(a)に示すように、振幅の二乗の値を時間tに対し直線的に変化させたものを一定の周期で繰り返した直交ベースバンド信号が出力される。ここでは、振幅の二乗の値が直線的に変化する波形を使用することで、図3の(b)に示すように、出力電力値を時間tに対し直線的に変化させるようにしている。ただし、この場合も、直交ベースバンド信号の位相は、任意の位相に固定しておくものとし、この直交ベースバンド信号の非線形歪を補償せずに増幅器5に入力するものとする。なお、歪測定用信号は、直交ベースバンド信号の振幅の二乗の値を直線的に減少させた波形でもよいし、直線的に増加および減少を繰り返した波形でもよい。ここでは、振幅の二乗の値が直線的に変化する波形を使用することで、出力電力値を直線的に変化させる。
【0035】
より詳しく説明すると、歪測定用信号として、振幅が時間tの経過に対して0→√1→√2→√3→√4→√5(全て相対値)と変化する波形を入力した場合、出力電力値は振幅の二乗に比例して変化するようになる。したがって、送信電力の測定により取得された出力電力値を時間tに対しプロットすると、図3の(b)の実線部に示すような非線形歪のない理想的な増幅器5に関しては、出力電力値が直線的に変化する特性が得られるはずである。これに対し、実際の増幅器では非線形歪が発生するため、ある入力信号の振幅の二乗のレベルまでは出力電力の直線性が保たれるが、それ以上のレベルの領域では、図3の(b)の破線部に示すように、出力電力値が相対的に低下して直線性が得られなくなる場合がある。
【0036】
図3の第2の態様では、実際の増幅器の出力電力を測定することによって、出力電力値の平方根を演算することなく、増幅器で発生する非線形歪に関する非線形歪特性を容易に測定することができる。それゆえに、前述の第1の態様の場合よりも、増幅器の出力電力値の演算に必要な演算量を節減することが可能になる。
【0037】
ここで、無線装置内の増幅器の出力電力を測定することによって得られる非線形歪特性に基づき、プリディストーション方式のリニアライザで使用される歪補償テーブルを作成するための具体的な方法を説明する。
【0038】
図1の実施例においては、前述の歪測定用信号生成部2、D/Aコンバータ3、直交変調部4および増幅器5に追加して、送信電力測定部6および歪補償テーブル作成部7が無線装置1の外部に設けられている。ここで、送信電力測定部6は、増幅器5の出力電力を測定して上記増幅器5の送信電力特性を取得する機能を有する。また一方で、歪補償テーブル作成部7は、上記送信電力測定部6にて取得された送信電力特性に基づき、上記増幅部5で発生する非線形歪を補償するための歪補償テーブルを作成する機能を有している。
【0039】
図2の第1の態様に従って歪測定用信号生成部2からの歪測定用信号を使用する場合、送信電力測定部6等の外部の測定器を用いて増幅器5の出力電力を連続的に一周期分測定し、この出力電力の測定の結果として得られる出力電力値の平方根の値をプロットすることによって、増幅器5で発生する非線形歪に関する非線形歪特性を測定する。
【0040】
また一方で、図3の第2の態様に従って歪測定用信号を使用する場合、送信電力測定部6等の外部の測定器を用いて増幅器5の出力電力を連続的に一周期分測定し、この出力電力の測定の結果として得られる出力電力値をそのままプロットすることによって、増幅器5で発生する非線形歪に関する非線形歪特性を測定する。
【0041】
図4は、増幅器にて取得された非線形歪特性の逆特性を示すグラフ、図5は、増幅器にて取得された非線形歪特性と目標とする直線特性との関係を示すグラフ、図6は、図5の目標直線に基づいて歪補償係数を算出する方法を説明するためのグラフ、そして、図7は、図6の方法により算出された歪補償係数の一例を示すグラフである。ただし、図4〜図7では、図3の第2の態様に従って取得された非線形歪特性を使用して歪補償係数および歪補償テーブルを算出する方法を代表して説明する。
【0042】
プリディストーション方式のリニアライザでは、通常、増幅器5への入力振幅値の二乗の値(x)に対して取得された非線形歪特性、および、理想的な増幅器の送信電力特性に基づいて、図4に示すような非線形歪特性の逆特性を算出する。このようにして算出された非線形歪特性の逆特性を上記非線形歪特性に付加することによって、増幅器5からの出力電力値Pout (y)の直線性を確保するのが一般的である。
【0043】
これに対し、本発明の好ましい実施例では、図5に示すように、出力電力値が0になる点と出力電力値の最大値とを結ぶ直線を示す一次式を、目標とする直線特性(目標直線)として設定する。さらに、本発明の実施例では、目標とする直線特性が得られるような増幅器の入力振幅値の二乗を求めるための算出式を求め、入力振幅値の二乗の最小値から最大値までの値を上記算出式に等間隔に代入して、各々の入力振幅値の二乗に対する歪補償係数を直接算出するようにしている。これによって、非線形歪特性の逆特性を使用した場合に比べて、より正確な非線形歪の補償を行うことが可能になる。
【0044】
さらに、図6のグラフを参照しながら、図5の目標直線に基づいて歪補償係数を算出するための詳細な手順を説明する。図6に示すように、実際の測定値をもとに算出された非線形歪特性の近似式を有する増幅器に、入力振幅値の二乗がx である信号を入力した場合、実際の出力電力値はP になる。これに対し、入力振幅値の二乗がx である信号に対し、目標直線として設定された出力電力値はP である。実際の増幅器において、出力電力値がP となる入力振幅値はx である。したがって、増幅器への入力振幅値の二乗の値をx からx に補正すれば、増幅器で発生する非線形歪を補正することができる。
【0045】
つぎにx を算出するために、離散的に取得した出力電力値から非線形歪特性の近似式を求める。ここでは、2次近似により導き出された近似式を使用した場合について説明するが、これ以外の近似式を使用してもよい。
【0046】
歪補償係数の計算のために、算出された非線形歪特性の2次の近似式を下記の式(1)のように定義する。
【0047】
【数1】
Figure 2005033533
【0048】
この式(1)の近似式において、入力振幅値がx の場合の出力電力値P は、下記の式(2)のように表される。
【0049】
【数2】
Figure 2005033533
【0050】
ここで、増幅器への入力振幅値の二乗は、増幅器に入力される歪測定用信号の入力電力値の最大値をPim、出力電力値の最大値をPomとすると、出力電力値が0になる点と出力電力値の最大値とを結ぶ目標直線は、下記の式(3)のように表される。
【0051】
【数3】
Figure 2005033533
【0052】
この式(3)より、入力振幅値の二乗がx である場合の目標直線上の出力電力値P は、下記の式(4)のようになる。
【0053】
【数4】
Figure 2005033533
【0054】
式(2)および式(4)より、下記の式(5)が成立する。
【0055】
【数5】
Figure 2005033533
【0056】
この式(5)をx について解けば、目標となる直線特性が得られるような増幅器への入力振幅値を算出することができる。2次方程式の解の公式より、下記の式(6)に示すようなx の解が得られる。ここで、式(5)および式(6)の添え字のn(nは任意の正の整数)は、複数の増幅器が存在する場合における任意の増幅器(例えば、チャネル♯nの増幅器)の目標直線の傾きを示すものである。
【0057】
【数6】
Figure 2005033533
【0058】
この式(6)において、増幅器(例えば、チャネル♯nの増幅器)への入力振幅値の最小値から最大値までの任意の値をx に等間隔に代入して、それぞれの入力振幅値に対するx の値を算出し、 x/x を計算する。この x/x の値を歪補償係数として、プリディストーション用の歪補償テーブルを作成する。図7に、増幅器への入力振幅値の二乗の値(x)に対して算出された歪補償係数( x/x)の一例を示す。
【0059】
実際にプリディストーションを行う際には、増幅器への入力振幅値の二乗x に最も近い入力振幅値の二乗の値に対応する歪補償係数を歪補償テーブルより抽出し、当該歪補償係数をx に乗算した値を増幅器へ入力する(歪補償係数は x/x で与えられるため、増幅器へ入力される信号の振幅は、x ×( x/x )=x となる)。
【0060】
また一方で、歪補償テーブルを参照する際に、x の前後に位置する入力振幅値の二乗の値にそれぞれ対応する歪補償係数を抽出し、補間演算により、入力振幅値x に関するより正確な歪補償係数を算出してもよい。
【0061】
なお、図4〜図7のグラフでは、図3の第2の態様に従って取得された非線形歪特性を使用して歪補償係数および歪補償テーブルを作成する方法を説明しているが、図2の第1の態様に従って取得された非線形歪特性を使用する場合も、ほぼ同様の手順にて歪補償係数および歪補償テーブルを作成することができる。
【0062】
ただし、この場合は、増幅器の出力電力値が0になる点と出力電力値の平方根の最大値とを結ぶ直線を示す一次式を目標直線として設定し、この目標直線が得られるような増幅器の入力振幅値を求めるための算出式を求め、入力振幅値の最小値から最大値までの値を上記算出式に等間隔に代入して、各々の入力振幅値に対する歪補償係数を直接算出するようにしている。
【0063】
図8は、実際に測定したサンプルの最小値と最大値を結ぶ直線を目標直線とした場合の歪補償係数を算出する方法を説明するためのグラフである。
【0064】
前述のように、図5および図6のグラフでは、増幅器の出力電力値が0になる点と出力電力値の最大値とを結ぶ直線を目標直線としたが、外部の測定器によりサンプリングを行うと、出力電力値が0になるタイミングが正しく判定できず、出力電力値が0になる点を推定する必要が生じてくる。このため、出力電力値が0になる点に誤差が生じてしまう。この誤差の影響によって、出力電力値が微小な領域における歪補償係数が大きく誤ってしまい、この状態でプリディストーションを行うと、かえって出力電力値が微小な領域の非線形歪特性を悪化させてしまう場合がある。
【0065】
これを防止するために、図8に示すように、増幅器の出力電力値が0になる点を推定により求めることなく、実際に測定したサンプルの出力電力値の最小値と最大値を結ぶ直線を目標直線とする。これによって、送信電力の微小な領域における歪補償係数も正しく算出することが可能になる。
【0066】
より詳しく説明すると、本発明の第2の態様(図3参照)に従って取得された非線形歪特性を使用して歪補償係数および歪補償テーブルを作成する場合、実際に測定したサンプルのサンプリング点における出力電力値の最小値と最大値を結ぶ直線を示す一次式を目標直線として設定し、この目標直線が得られるような増幅器の入力振幅値の二乗を求めるための算出式を求め、入力振幅値の二乗の最小値から最大値までの任意の値を上記算出式に代入して、各々の入力振幅値の二乗に対する歪補償係数を直接算出するようにしている。なお、図8の目標直線に基づいて歪補償係数を算出するための具体的な手順は、前述の図5および図6の場合とほぼ同様なので、ここでは、その説明を省略する。
【0067】
また一方で、本発明の第1の態様(図2参照)に従って取得された非線形歪特性を使用して歪補償係数および歪補償テーブルを作成する場合、実際に測定したサンプルのサンプリング点における出力電力値の平方根の値の最小値と最大値を結ぶ直線を示す一次式を目標直線として設定し、この目標直線が得られるような増幅器の入力振幅値を求めるための算出式を求め、入力振幅値の最小値から最大値までの値を上記算出式に代入して、各々の入力振幅値に対する歪補償係数を直接算出するようにしている。
【0068】
図9は、リニアリティ(直線性)が確保できる領域の延長線を目標直線とした場合の歪補償係数を算出する方法を説明するためのグラフである。
【0069】
図9のグラフから明らかなように、増幅器で発生する非線形歪は、入力信号の振幅値が大きい領域で出力電力値が低下する場合が多い。それゆえに、前述の図5および図6のように出力電力値が0になる点と出力電力値の最大値とを結ぶ直線を目標直線とした場合、または、前述の図8のように実際に測定したサンプルの出力電力値の最小値と最大値を結ぶ直線を目標直線とした場合、算出された歪補償係数および歪補償テーブルを使用してプリディストーションを行うと、入力振幅値が小さい領域において実際に送信される送信電力そのものが低下してしまう。より詳しくいえば、図7で入力振幅値が大きい領域では、歪補償係数が1に近いのに対し、入力振幅値が小さい領域では0.9となり、入力振幅値が小さくなるため、送信電力が低下することになる。
【0070】
これを防止するために、図9に示すように、増幅器の送信電力特性においてリニアリティが確保できる領域を求め、当該領域の延長線を示す直線の一次式を目標直線とする。これによって、入力振幅値が小さい領域においてプリディストーションを行っても、実際に送信される送信電力が低下することはなくなる。
【0071】
より詳しく説明すると、本発明の第2の態様(図3参照)に従って取得された非線形歪特性を使用して歪補償係数および歪補償テーブルを作成する場合、増幅器の送信電力特性において比較的リニアリティが確保されている領域を求め、当該領域の延長線を示す直線の一次式を目標直線として設定し、この目標直線が得られるような増幅器の入力振幅値の二乗を求めるための算出式を求め、入力振幅値の二乗の任意の値を上記算出式に代入して、各々の入力振幅値の二乗に対する歪補償係数を直接算出するようにしている。なお、図9の目標直線に基づいて歪補償係数を算出するための具体的な手順は、前述の図5および図6の場合とほぼ同様なので、ここでは、その説明を省略する。
【0072】
また一方で、本発明の第1の態様(図2参照)に従って取得された非線形歪特性を使用して歪補償係数および歪補償テーブルを作成する場合、増幅器の入力振幅値と出力電力値の平方根の値との関係を示す曲線において比較的リニアリティが確保されている領域を求め、当該領域の延長線を示す直線の一次式を目標直線として設定し、この目標直線が得られるような増幅器の入力振幅値を求めるための算出式を求め、入力振幅値の任意の値を上記算出式に代入して、各々の入力振幅値に対する歪補償係数を直接算出するようにしている。
【0073】
しかしながら、図9の方法に従って複数の増幅器における歪補償係数を算出する場合、増幅器毎にリニアリティが確保できる領域をサーチする必要があった。これに対処するために、複数の増幅器における送信電力特性を予め測定することで、平均的にリニアリティが確保できる領域を求めておき、当該領域の延長線を示す直線の一次式を基準として目標とする直線特性を設定するようにしている。これによって、増幅器毎にリニアリティが確保できる領域をサーチする必要がなくなるので、歪補償係数を算出するための演算量を節減することが可能になる。
【0074】
図10は、複数の増幅器における送信電力特性の平均特性を求める方法を説明するためのグラフである。
【0075】
図10の方法においては、複数の増幅器における送信電力特性の平均特性を予め求めておき、この平均特性が示す非線形歪を補償するための歪補償係数および歪補償テーブルを算出する。
【0076】
これによって、無線装置を製造する過程で各々の無線装置毎に歪補償テーブルを作成する必要がなくなる。また一方で、歪補償テーブルを固定テーブルとして提供することができるので、書き換え可能なメモリが不要になる。それゆえに、無線装置の製造時の低コスト化を実現することが可能になる。
【0077】
前述の図4〜図9の方法に従って増幅器の歪補償係数および歪補償テーブルを算出する場合、増幅器の入力振幅値の二乗の値が正確に等間隔になるように歪補償テーブルを作成する方法を説明する。
【0078】
本発明の第1の態様(図2参照)または第2の態様(図3参照)に従って作成された歪補償テーブルに基づき、直交変調に使用される直交ベースバンド信号に対してプリディストーションの演算を行う場合、この直交ベースバンド信号の振幅値は√(I +Q )で与えられる。ここで、IおよびQは、互いに直交する座標上での振幅値の成分を表している。歪補償テーブルを参照するためには、直交ベースバンド信号の振幅値の平方根の値を演算することが必要になる。直交ベースバンド信号の演算は、ディジタル信号処理用のDSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)等により行われ、直交ベースバンド信号の振幅値の平方根の演算に際しては多くの演算量が必要となる。
【0079】
したがって、直交ベースバンド信号の振幅値の二乗の値が正確に等間隔になるように歪補償テーブルを作成しておけば、振幅値の二乗の値であるI +Q によって歪補償テーブルを参照することができるので、振幅値の平方根の演算が不要になる。これによって、プリディストーションを演算するための演算量を大幅に節減することが可能になる。
【0080】
本発明の好ましい実施例において算出された歪補償係数は、最低でも100個以上の係数を用意しておかなければ、非線形歪に対して十分な補償をすることができない。このため、これらの係数を全て格納できるだけのサイズを有するメモリが必要となる。
【0081】
これに対し、歪補償係数の近似式を算出して当該近似式の係数のみを無線装置毎に記憶させる方法では、例えば4次式で近似した場合でも5つの係数のみをメモリに記憶させればよいことになる。これによって、メモリのサイズを大幅に節減することが可能になる。
【0082】
実際にプリディストーションを行う場合には、増幅器への入力振幅値または入力振幅値の二乗の値(x )を歪補償係数の近似式に代入して歪補償係数を算出し、このようにして算出された歪補償係数を入力振幅値または入力振幅値の二乗の値に乗算して増幅器に入力すればよい。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、第1に、増幅器で発生する非線形歪を測定するための歪測定用信号として、振幅または振幅の二乗の値を直線的に変化させたものを一定の周期で繰り返した直交ベースバンド信号を出力するようにしているので、増幅器からのフィードバックを行わずに増幅器の非線形歪を容易に測定することができる。このようにして測定された増幅器の非線形歪の特性に基づき、個々の増幅器の非線形歪に対して最適な歪補償テーブルを正確に算出することが可能になる。
【0084】
特に、本発明の第2の態様で使用される歪測定用信号においては、非線形歪のない理想的な増幅器であれば、入力信号の振幅値の二乗に対して直線的に変化する出力電力が得られるはずなので、本発明の第1の態様の場合よりも簡単に増幅器の非線形歪を測定することが可能になる。
【0085】
さらに、本発明によれば、第2に、外部の測定器を用いて測定された非線形歪特性に基づき、増幅器で発生する非線形歪を正確に補償するための歪補償テーブルを算出することが可能になる。
【0086】
さらに、本発明によれば、第3に、増幅器への入力信号の振幅値が小さい領域においても、実際に送信される送信電力を低下させることなくプリディストーションを行うことができるような歪補償テーブルを算出することが可能になる。
【0087】
さらに、本発明によれば、第4に、複数の増幅器における送信電力特性の平均特性を予め求めておき、この平均特性が示す非線形歪を補償するための歪補償テーブルを算出するようにしているので、無線装置を製造する過程で各々の無線装置毎に歪補償テーブルを作成する必要がなくなる。また一方で、歪補償テーブルを固定テーブルとして提供することができるので、書き換え可能なメモリが不要になる。
【0088】
さらに、本発明によれば、第5に、直交ベースバンド信号の振幅値の二乗の値が正確に等間隔になるように歪補償テーブルを作成するようにしているので、振幅値の平方根の演算が不要になり、プリディストーションを演算するための演算量を大幅に節減することが可能になる。
【0089】
さらに、本発明によれば、第6に、歪補償係数の近似式を算出して当該近似式の係数のみをメモリに記憶させるようにしているので、メモリのサイズを大幅に節減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の実施例において増幅器の入力振幅値を直線的に変化させた場合の出力電力値の変化の様子を示す図である。
【図3】図1の実施例において増幅器の入力振幅値の二乗の値を直線的に変化させた場合の出力電力値の変化の様子を示す図である。
【図4】増幅器にて取得された非線形歪特性の逆特性を示すグラフである。
【図5】増幅器にて取得された非線形歪特性と目標とする直線特性との関係を示すグラフである。
【図6】図5の目標直線に基づいて歪補償係数を算出する方法を説明するためのグラフである。
【図7】図6の方法により算出された歪補償係数の一例を示すグラフである。
【図8】実際に測定したサンプルの最小値と最大値を結ぶ直線を目標直線とした場合の歪補償係数を算出する方法を説明するためのグラフである。
【図9】リニアリティが確保できる領域の延長線を目標直線とした場合の歪補償係数を算出する方法を説明するためのグラフである。
【図10】複数の増幅器における送信電力特性の平均特性を求める方法を説明するためのグラフである。
【図11】一般の電力増幅器の入出力特性の一例を示すグラフである。
【図12】従来の無線装置において送信電力が隣接チャネルへ漏洩する様子を示す図である。
【符号の説明】
1…無線装置
2…歪測定用信号生成部
3…ディジタル/アナログ・コンバータ(D/Aコンバータ)
4…直交変調部
5…増幅器
6…送信電力測定部
7…歪補償テーブル作成部

Claims (12)

  1. 増幅器で発生する非線形歪を測定するための歪測定用信号を生成する歪測定用信号生成部と、
    該歪測定用信号生成部にて生成された歪測定用信号を直交変調して直交変調信号を生成する直交変調部と、
    該直交変調部にて生成された直交変調信号を増幅する増幅器とを備え、
    前記歪測定用信号生成部は、前記歪測定用信号として、任意の位相に固定した状態で、振幅を直線的に変化させたものを一定の周期で繰り返して得られる直交ベースバンド信号を出力することを特徴とする無線装置。
  2. 増幅器で発生する非線形歪を測定するための歪測定用信号を生成する歪測定用信号生成部と、
    該歪測定用信号生成部にて生成された歪測定用信号を直交変調して直交変調信号を生成する直交変調部と、
    該直交変調部にて生成された直交変調信号を増幅する増幅器とを備え、
    前記歪測定用信号生成部は、前記歪測定用信号として、任意の位相に固定した状態で、振幅の二乗の値を直線的に変化させたものを一定の周期で繰り返した直交ベースバンド信号を出力することを特徴とする無線装置。
  3. 前記無線装置が、さらに、
    前記増幅器の出力電力を測定して該増幅器の送信電力特性を取得するための送信電力測定部と、
    該送信電力測定部にて取得された送信電力特性に基づき、前記増幅部で発生する非線形歪を補償するための歪補償テーブルを作成する歪補償テーブル作成部とを備え、
    前記増幅器の出力電力を連続的に一周期分測定し、前記出力電力の測定の結果として得られる出力電力値の平方根を求めて、該出力電力値の平方根の近似式を算出し、
    さらに、前記出力電力値が0になる点と前記出力電力値の平方根の最大値とを結ぶ直線を示す一次式を目標直線として算出し、該一次式の特性が得られるような前記増幅器の入力信号の振幅値を求めるための算出式を求め、前記増幅器の入力信号の振幅値の最小値から最大値までの任意の値を前記算出式に代入して、前記歪補償テーブルを作成する請求項1記載の無線装置。
  4. 前記無線装置が、さらに、
    前記増幅器の出力電力を測定して該増幅器の送信電力特性を取得するための送信電力測定部と、
    該送信電力測定部にて取得された送信電力特性に基づき、前記増幅部で発生する非線形歪を補償するための歪補償テーブルを作成する歪補償テーブル作成部とを備え、
    前記増幅器の出力電力を連続的に一周期分測定し、前記出力電力の測定の結果として得られる出力電力値を求めて、該出力電力値の近似式を算出し、
    さらに、前記出力電力値が0になる点と前記出力電力値の最大値とを結ぶ直線を示す一次式を目標直線として算出し、該一次式の特性が得られるような前記増幅器の入力信号の振幅値の二乗を求めるための算出式を求め、前記増幅器の入力信号の振幅値の二乗の最小値から最大値までの任意の値を前記算出式に代入して、前記歪補償テーブルを作成する請求項2記載の無線装置。
  5. 前記無線装置が、さらに、
    前記増幅器の出力電力を測定して該増幅器の送信電力特性を取得するための送信電力測定部と、
    該送信電力測定部にて取得された送信電力特性に基づき、前記増幅部で発生する非線形歪を補償するための歪補償テーブルを作成する歪補償テーブル作成部とを備え、
    前記増幅器の出力電力を連続的に一周期分測定し、前記出力電力の測定の結果として得られる出力電力値の平方根を求めて、該出力電力値の平方根の近似式を算出し、
    さらに、前記出力電力値の平方根の最小値と最大値を結ぶ直線を示す一次式を目標直線として算出し、該一次式の特性が得られるような前記増幅器の入力信号の振幅値を求めるための算出式を求め、前記増幅器の入力信号の振幅値の最小値から最大値までの任意の値を前記算出式に代入して、前記歪補償テーブルを作成する請求項1記載の無線装置。
  6. 前記無線装置が、さらに、
    前記増幅器の出力電力を測定して該増幅器の送信電力特性を取得するための送信電力測定部と、
    該送信電力測定部にて取得された送信電力特性に基づき、前記増幅部で発生する非線形歪を補償するための歪補償テーブルを作成する歪補償テーブル作成部とを備え、
    前記増幅器の出力電力を連続的に一周期分測定し、前記出力電力の測定の結果として得られる出力電力値を求めて、該出力電力値の近似式を算出し、
    さらに、前記出力電力値の最小値と最大値を結ぶ直線を示す一次式を目標直線として算出し、該一次式の特性が得られるような前記増幅器の入力信号の振幅値の二乗を求めるための算出式を求め、前記増幅器の入力信号の振幅値の二乗の最小値から最大値までの任意の値を前記算出式に代入して、前記歪補償テーブルを作成する請求項2記載の無線装置。
  7. 前記無線装置が、さらに、
    前記増幅器の出力電力を測定して該増幅器の送信電力特性を取得するための送信電力測定部と、
    該送信電力測定部にて取得された送信電力特性に基づき、前記増幅部で発生する非線形歪を補償するための歪補償テーブルを作成する歪補償テーブル作成部とを備え、
    前記増幅器の出力電力を連続的に一周期分測定し、前記出力電力の測定の結果として得られる出力電力値の平方根を求めて、該出力電力値の平方根の近似式を算出し、
    さらに、前記増幅器の送信電力特性においてリニアリティが確保できる領域を求め、該領域の延長線を示す直線の一次式を目標直線として算出し、該一次式の特性が得られるような前記増幅器の入力信号の振幅値を求めるための算出式を求め、前記増幅器における入力信号の振幅値の任意の値を前記算出式に代入して、前記歪補償テーブルを作成する請求項1記載の無線装置。
  8. 前記無線装置が、さらに、
    前記増幅器の出力電力を測定して該増幅器の送信電力特性を取得するための送信電力測定部と、
    該送信電力測定部にて取得された送信電力特性に基づき、前記増幅部で発生する非線形歪を補償するための歪補償テーブルを作成する歪補償テーブル作成部とを備え、
    前記増幅器の出力電力を連続的に一周期分測定し、前記出力電力の測定の結果として得られる出力電力値を求めて、該出力電力値の近似式を算出し、
    さらに、前記増幅器の送信電力特性においてリニアリティが確保できる領域を求め、該領域の延長線を示す直線の一次式を目標直線として算出し、該一次式の特性が得られるような前記増幅器の入力信号の振幅値の二乗を求めるための算出式を求め、前記増幅器における入力信号の振幅値の二乗の任意の値を前記算出式に代入して、前記歪補償テーブルを作成する請求項2記載の無線装置。
  9. 複数の前記増幅器における送信電力特性を予め測定して平均的に前記リニアリティが確保できる領域を求めておき、該領域の延長線を示す直線の一次式を基準として目標とする一次式の特性を設定する請求項7または8記載の無線装置。
  10. 複数の前記増幅器における送信電力特性の平均特性を求め、該平均特性を補正するための前記歪補償テーブルを作成する請求項3から9のいずれか一項に記載の無線装置。
  11. 前記歪補償テーブルの算出式に、前記増幅器の入力信号の振幅値の二乗の値が等間隔になるように該入力信号の振幅値の二乗の値を代入して、前記歪補償テーブルを作成する請求項3から10のいずれか一項に記載の無線装置。
  12. 作成された前記歪補償テーブルの近似式を算出し、該近似式の係数を無線装置毎に記憶させる請求項3から11のいずれか一項に記載の無線装置。
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