JP2005033144A - 圧電アクチュエータの駆動方法 - Google Patents

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Hitoshi Shindo
仁志 進藤
Kenji Oshima
健司 大島
Etsuro Yasuda
悦朗 安田
Naoyuki Kawazoe
尚幸 川添
Takenobu Sakai
酒井  武信
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】 圧電アクチュエータに内蔵される圧電素子の耐久性を向上させることができる駆動方法を提供すること。
【解決手段】 通電電流に応じて伸縮駆動する圧電素子を有する圧電アクチュエータの駆動方法において、通電電流として矩形波のパルス電流を用い、通電電流を61kHz未満の周波数で通電する。圧電素子は、圧電セラミック層と内部電極層とを交互に積層してなる積層型圧電素子よりなることが好ましい。圧電素子には、圧電素子を縮める方向に作用する予荷重を予め付与しておくことが好ましい。
【選択図】 図6

Description

本発明は、インジェクタ、半導体の位置決め装置、ステッパー、インクジェット装置などのアクチュエータ等に利用される圧電アクチュエータの駆動方法に関する。
圧電アクチュエータの駆動方法としては、これまで様々な方法が提案されている。
例えば、デューティー比を特定の手法で制御することによりアクチュエータを所要の状態に制御し制御の応答性と精度の両立を図ったアクチュエータの駆動方法がある(特許文献1参照)。
また、アクチュエータの変位をアーマチェアとばね部よりなる拡大機構部により拡大して印字する印字エレメントの駆動方法に関するもので、ばね部の固有振動数の1.1〜1.3倍の周波数で駆動する事により、固有振動数に近づいてばね部が共振する事を避け高速駆動の達成を図る技術も提案されている(特許文献2参照)。
また、印加電圧の変動に応じてステッピングモータの駆動周波数を調整する制御手段を有する電動アクチュエータに関するものであり、モータへの印加電圧が高くてもあるいは周囲の雰囲気温度が低くても、各種ドアを駆動するために必要なトルクに対して常時最適なトルクを出力できる電動アクチュエータとその制御方法を提供するものもある(特許文献3参照)。
また、複数の変位素子の変位を合成して楕円運動を発生させるトラス型アクチュエータにおいて、共振現象を利用して変位を拡大し駆動する方法に関し、2つの圧電素子の変位量の差を抑制して目的の軌跡の形状を得るものもある(特許文献4)。
特開平5−248296号公報 特開平5−57914号公報 特開平11−18491号公報 特開2001−16878号公報
圧電材料を用いた製品の駆動方法については、上述した従来技術を含みさまざまな技術が公開されている。
しかし、圧電アクチュエータ(ピエゾアクチュエータ)の駆動方法を工夫することにより、圧電アクチュエータに内蔵される圧電素子の耐久性向上を狙う技術は前例がない。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、圧電アクチュエータに内蔵される圧電素子の耐久性を向上させることができる駆動方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、通電電流に応じて伸縮駆動する圧電素子を有する圧電アクチュエータの駆動方法において、
上記通電電流として矩形波のパルス電流を用い、該通電電流を61kHz未満の周波数で通電する駆動時間領域を主とする駆動パターンで駆動することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動方法(請求項1)にある。
上記第1の発明においては、上記のごとく通電電流として矩形波のパルス電流を採用し、かつ、その通電時の周波数(駆動周波数)を61kHz未満とする。これにより、上記圧電素子が変位する際、その変位が周波数によく追従する。例えば、後述する実施例にも示すごとく、変位に利用されるエネルギーを荷重の変化として捕らえる実験を行った場合、その荷重の変化の周期が上記矩形波のパルス電流の周波数とよく一致する。これによって、上記圧電素子に生ずる疲労を抑制することができる。
この理由は次のように考えられる。
上記周波数を61kHz未満とすることにより、圧電素子の変位が追従しきれずに一時的に不安定な状態が発生したり不安定な状態形成を促進したりすることを抑制することができる。
例えば、圧電材料においては、分極が電場方向に向くことが安定なので、電場なしでの安定状態の結晶相と電場印加時の安定状態の結晶相(誘起相転移により形成)とは異なる場合もある。特にMPB領域と呼ばれる組成域では上記誘起相転移が起こりやすい。例えばPZTのようなPbZrO3とPbTiO3とが化合もしくは混在している材料では、個々の単一物質で安定な正方晶と菱面体晶とが混在して存在し、MPB領域の組成のPZTでは、電場印加時に分極が電場方向に揃うように、正方晶の6方位と菱面体晶の8方位の計14方位のうち最も電場方向に即した状態となる。そのため、電場なしの状態で正方晶となっていた部分が、電場が生じた際には正方晶のままであったり菱面体晶に誘起相転移したりする。電場なしの状態で菱面体晶をとっていた部分も同様に変化し得る。
そして、上記誘起相転移に要する時間を十分に与える周波数であれば、粒子内界面もしくは粒子界面の変化も、最も安定的な経路をとり相転移する。一方、誘起相転移をするに不十分な時間しかない周波数であれば、変化の経路は極度に不安定な状態を余儀なく経過され、結果として微視的に構造に歪が生じたり、粒子界面の不純物もしくは添加物との反応が進行したりするなどして耐久性に影響する可能性がある。
上記第1の発明においては、上記のごとく、通電電流として上記矩形波のパルス電流を採用し、その周波数を61kHz未満に制限することにより、上記の誘起相転移に要する時間を十分に確保することができ、上記圧電素子の耐久性を向上させることができる。なお、本発明の駆動方法は、圧電アクチュエータを駆動させる時間のすべての時間において採用する必要はなく、その駆動時間の一部であってもよいことは勿論である。
この点につき以下詳細に説明する。
例えば電流のオン/オフが複数回あれば8割方規定に沿っていれば圧電素子の劣化の危険性及び劣化度合い双方が8割方低下する。その結果、該圧電素子を使用する媒体の寿命時間内に、圧電素子の劣化が媒体の駆動などに支障を来たす程の性能低下を伴わなければ問題ない。但しこの場合は規定に沿っている方が好ましいことは言うまでもない。
また上述の誘起相転移(方位の変化でもよい)がおこる領域(電圧領域)で規定に沿っていれば他の領域で規定に従わなくても問題ない。これを分極反転を例にとって説明する。(ここで言う分極反転とは180°、90°の反転現象に限定するものではない。例えば正方晶は異軸が3方位の正負、すなわち6方向が自由エネルギーの観点から等価であり、電圧がかかることにより無電圧時と異なる方向に異軸が変化し分極方向が変化することを示す。また同じ結晶構造ではなく誘起相転移により結晶構造を変えながら分極の方向を変えても良い。)
通電電流により電圧が蓄積していくと、分極に対してかかる力も徐々に増加する。例えばヒステリシス曲線(例えば横軸に電圧、縦軸に分極)は原点から線形的に変化するわけではなく、低電圧領域では比較的緩やかに変化し、高電圧領域では変化の急峻性が大きい。これは、分極反転にそれぞれしきい値電圧があり、低電圧では、各原子や分子同士の結合等により無電圧時の状態を維持する電圧域がある。そして電圧が高まると各原子(分子)に周囲の原子(分子)との結合力よりも大きな力がかかるようになり、結合状態を維持できなくなり変化を起こす。このときの限界電圧がしきい値電圧である。(多結晶においては、結晶構造もしくは分極の方位などにより、しきい値電圧は個々に違いがある。)
このしきい値電圧よりも概ね低い電圧領域では、分極の反転挙動が少ない/ないため、本発明の規定に則していなくても圧電素子の劣化は現れにくい。
すなわち本発明の規定は、しきい値電圧よりも概ね高い電圧のかかる領域に特に有効であり、しきい値電圧よりも概ね低い電圧のかかる領域では必ずしも規定に則していなくいてもよい。
以上の説明は、以下示す第2の発明においても同様である。
また、上記のように耐久性が誘起相転移他、結晶構造変化の所要時間に依存することから、通電電流波形の急峻性が大きな相関をもつので、同様な急峻性/滑らかさの波形であれば、特に矩形波に限定するものではない(略同形の波形も同効果がある)。
上記のごとく波形の限定については以下全て同様である。
第2の発明は、通電電流に応じて伸縮駆動する圧電素子を有する圧電アクチュエータの駆動方法において、
上記通電電流として矩形波のパルス電流を用い、該通電電流を、周波数が61kHz以上125kHz未満であり、かつ、上記矩形波のオフ時間が8μs以上という条件で通電する駆動時間領域を主とする駆動パターンで駆動することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動方法にある(請求項2)。
上記圧電素子の変位に利用されるエネルギーを荷重の変化として捕らえた場合、上記通電電流の周波数が61kHz以上になると、デューティー比の調整により荷重変動の形態が変化する。ここでデューティー比は、上記パルス電流における電流を流しているオン時間をTon、電流を流していないオフ時間をToffとした場合に、Ton/(Ton+Toff)により表される比である。そして、本発明では、このデューティー比そのものではなく、上記オフ時間を8μs以上に限定する。これにより、通電電流として矩形波のパルス電流を採用し、かつ、その通電時の周波数を61kHz以上としても、上記圧電素子に生ずる疲労を抑制することができる。
即ち、上記通電電流の周波数が61kHz以上であっても、オフ時間が8μs以上の場合には、上記の荷重の変化の周期を、上記矩形波のパルス電流の周波数とほとんど一致させることができる。これによって、上記と同様の理由により、上記圧電素子に生ずる疲労を抑制することができると考えられる。
なお、周波数125kHz以上ではその周期そのものが8μs以下となるので、自ずと周波数の上限値は125kHz未満となる。
上述のごとく矩形波のパルス電流のオフ時間を規定する理由は、上記圧電素子の荷重の変化から連想される変位の変化を、通電する電流の変化の周期に追従させる事により疲労を低減するためである。よって、多重スイッチング(オンとオフが複数回継続する電流通電)に於いては、主に個々のオフ時間を8μs以上とする事に該当する。
但し、疲労とは駆動を多く繰り返して徐々に発生する現象であるため、複数個のオフ時間のうち一部のオフ時間が8マイクロsに満たなくても大きな問題とはならない。
また、概ね低い電圧領域の部分については、規定に則していなくてもよい。
上記2点は、第1の発明に関する詳細説明において分極反転を例にして記したとおりである。
上記第1及び第2の発明においては、上記圧電素子は、圧電セラミック層と内部電極層とを交互に積層してなる積層型圧電素子よりなることが好ましい(請求項3)。
即ち、上記積層型圧電素子は変位が生じる際の応力集中が特に大きいので、上述した荷重変動の影響が顕著に表れる。そのため、この上記圧電素子が積層型圧電素子の場合には、上記第1又は第2の発明の駆動方法を採用することが、耐久性向上に非常に有効である。
また、上記圧電素子に該圧電素子を縮める方向に作用する予荷重を予め付与しておく場合に、上記第1又は第2の発明の駆動方法を採用することが好ましい(請求項4)。
この場合には、圧電素子が変位する際のエネルギーの逃げ場が無いため、特に上記駆動方法が有効である。
(実施例1)
本発明の実施例に係る圧電アクチュエータの駆動方法につき、図1〜図11を用いて説明する。
本例では、図1に示すごとく、圧電アクチュエータ用の圧電素子1として積層型圧電素子を作製し、これに矩形波のパルス電流よりなる通電電流を周波数を変えて通電する試験を行った。
作製した圧電素子1は、圧電層11として所謂PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)系の圧電セラミック材料を用い、内部電極層2としてAg−Pd電極を用い、これらを交互に積層して積層高さ40mmとなるように作製した。各圧電層11の厚みは80μmとし、積層数は500層とした(図1は構成を説明するものであり、積層数等については簡単のために少なくしてある)。また、圧電素子1の側面には、上記内部電極層2に交互に導通する一対の側面電極4を配設した。
図2、図3には、上記圧電素子1に通電電流を付与する電気回路5、及び圧電素子1に通電電流を通電した際の圧電素子1の変位及び荷重変動を測定する変位荷重計測装置7を示す。
図2に示すごとく、電気回路5は、電源51、充電用スイッチ52、放電用スイッチ53、及び抵抗部541、542を含む回路である。電気回路5では、充電用スイッチ52を閉(ON)、放電用スイッチ53を開(OFF)とした条件の場合に、圧電素子1では電位差が大きくなって変位し、充電用スイッチ52を開(OFF)、放電用スイッチ53を閉(ON)とした条件の場合に、圧電素子1から放電され、電位差が軽減され、変位が元に戻る。なお、上記充電用スイッチ52、放電用スイッチ53等の制御は、制御回路50によって行うように構成してある。
図3に示す変位荷重計測装置7は、圧電素子1を保持する圧電素子支持部70と、これを挟むように配設されたレーザ変位計771、772を有している。そしてこれらは、振動を除去する除振台79上に設けられたベース板78に、架台781〜783を介して一体的に固定されている。
上記圧電素子支持部70は、中央に圧電素子1を収容する空間部701を有していると共に、圧電素子1を挟持する一対の支持部材71、72を摺動可能に有している。各支持部材71、72は、軸部710、720と、圧電素子1に当接する当接板711、721を有している。一方の支持部材71は、スプリング74によって圧電素子1に向かって付勢されており、また、他方の支持部材72には、その当接板721に付与される荷重を測定するための荷重計75がその裏面に配設されている。
また、上記圧電素子支持部70にセットする圧電素子1には、その側面電極4(図1)にリード線41、42を予め接続しておく。このリード線41、42は、圧電素子1が圧電素子支持部70にセットされた際に、外部へ導かれ、上述した電気回路5に接続される。
また、上記圧電素子支持部70の前後に配設されたレーザ変位計771、772は、それぞれ支持部材71、72の軸部710、720の軸方向の変位を測定するものである。なお、上記圧電素子支持部70の構成上、支持部材72はほとんど変位せず、圧電素子1の変位は支持部材71の変位に現れるようになっている。また、支持部材72に配設された荷重計は、圧電素子1から支持部材72に伝わる荷重を測定できるようになっている。
本例では、上記圧電素子1及び上記変位荷重計測装置7を用いて、表1、図4、図5に示す条件にて試験を行った。図4は、横軸に時間を、縦軸に通電電流の電流値を取り、駆動電流パターンを示したものである。図5は、横軸に時間を、縦軸に圧電素子に付与された電圧を取り、駆動電圧パターンを示したものである。また、試験No.1〜6においては、表1に示すごとく、駆動周波数及びデューティー比を調整して、充電時の投入エネルギー値が70mjとなるようにした。(充電時間は、いずれの場合も150μsに固定した。)
試験結果を表1及び図6〜図11に示す。これらの図は、横軸に時間を、縦軸には、上記変位荷重計測装置7により得られた荷重の値をとったものである。
これらの図から知られるように、駆動周波数が44kHz、54kHzの場合(図6、図7)においては、周波数から換算される周期:23μs、19μsとほぼ同周期で荷重の変位が波打っていた。これに対し、駆動周波数が54kHzを越え61kHz以上になると駆動電流と同周期の荷重変動が残ってはいるものの荷重変動の振幅は小さくなった。また、駆動周波数が74ないし84kHz以上になると駆動電流と同周期の荷重変動は極微量になるか、もしくは消滅する。
このように、駆動周波数が61kHz以上の場合には、その周波数に対する荷重変動の追従性が低下してくる。そのため、駆動周波数を61kHz未満とすることにより、その周波数に対する荷重変動の追従性が向上し、圧電素子1の耐久性が向上する。
なお、表1中においては、荷重変動の駆動周波数に対する追従性が殆ど無い場合を×、少し追従するのみの場合を△、よく追従する場合を○、十分に高い追従性がえら得るパターンを◎として示した。
Figure 2005033144
(実施例2)
本例では、実施例1における試験No.2の駆動周波数54kHz及び試験No.6の駆動周波数84kHzの場合について、圧電素子の駆動(充放電)を繰り返した際の共振点のインピーダンスを測定して評価した。デューティー比、その他の駆動条件(充放電条件)は、実施例1と同様にし、充放電を10Hzで繰り返した。
上記共振点のインピーダンスは、圧電素子の駆動を所定時間繰り返した後、約7時間ごとに測定した。この測定は、圧電素子単体をインピーダンスアナライザーにセットして付与する電流の周波数を徐々に変化させ、周波数ごとにインピーダンスを測定する方法により行った。
図12には、測定する共振点のインピーダンスの測定例を示す。同図は、横軸にインピーダンス測定用の電圧の周波数を、縦軸にインピーダンスアナライザから得られるインピーダンス値をとったものである。本例では、同図における最初の極小点であるP点を共振点とし、この共振点Pにおけるインピーダンスを共振点のインピーダンスとして測定した。
この共振点のインピーダンスは、積層型圧電素子の各層/又は各部位の共振点が正確に揃うほど、インピーダンス値が小さくなる。例えば駆動させた結果、微小な亀裂の前駆体などの発生により一部共振をしない/妨げる部位、あるいは異なる共振を起こす部位が発生すれば、共振しないためにあるいは共振点が異なるためにインピーダンス値の高い駆動も重なり、結果として積層型圧電素子の共振点のインピーダンスは見かけ上大きくなる。これは以下、図13等に示した駆動耐久試験結果でも実証されている。
すなわち、共振点のインピーダンスは小さい値を示すほど各層の共振点の一致を示すので、劣化の進行を示す指標となり、経時変化が少ないほど疲労が少なく耐久性に優れることを示す。
図13及び図14には、駆動周波数が54kHzの場合と駆動周波数が84kHzの場合について、上記共振点のインピーダンスの値の経時変化を示した。同図は、横軸に時間を、縦軸に共振点のインピーダンスをとったものである。
これらの図から知られるように、駆動周波数が低いほど、共振点のインピーダンスの増加が少なく、耐久性に優れていた。
即ち、前述した図7と図11とから知られるように、上記荷重変動の駆動周波数への追従性が良好な場合ほど、耐久性に優れることがわかる。
(実施例3)
本例では、駆動周波数以外の条件、即ち、デューティー比及びオフ時間を変化させた場合の荷重変動への影響を調べる試験を行った。具体的には、駆動周波数が84kHz、74kHz、64kHz及び54kHzの場合において、オフ時間(デューティー比)を徐々に変えて、その荷重変動パターンがほぼ同じようになる条件を求めた。なお、充電時間は150μsに固定、また、電圧は試験装置の関係から、200Vになったら電流が流れなくなるという条件とした。
表2にその結果を示す。まず、第1のパターンは、荷重変動が駆動周波数にほとんど追従せず、ほぼ駆動周波数よりも低周波の荷重変動のみが観測されるパターンである(図11と同一ではないがほぼ同様のパターン)。この第1パターンが観測される条件は、表2に示すごとく、84kHzの場合はオフ時間4.9μs、74kHzの場合はオフ時間5.4μs、64kHzの場合は6.1μsであった。54kHzの場合はいくらオフ時間を長くしても高周波の荷重変動が残存した。
第2パターンは、第1のパターンよりも、若干駆動周波数に追従する荷重変動が増加したパターンである(図10と同一ではないがほぼ同様パターン)。この第2パターンが観測される条件は、表2に示すごとく、84kHzの場合はオフ時間6.4μs、74kHzの場合はオフ時間6.8μs、64kHzの場合は7.8μsであった。54kHzの場合はいくらオフ時間を長くしても高周波の荷重変動が残存した。
第3パターンは、第2のパターンよりも、駆動周波数に追従する荷重変動が増加し、かなりの部分で高周波の変動が見られるパターンである(図9と同一ではないがほぼ同様パターン)。この第3パターンが観測される条件は、表2に示すごとく、84kHzの場合は7.3μs、74kHzの場合はオフ時間7.4μs、64kHzの場合は7.8μs、54kHzの場合は6.7μsであった。
第4パターンは、荷重変動が駆動周波数に十分に追従したパターンである(図7と同一ではないがほぼ同様パターン)。この第4パターンが観測される条件は、表2に示すごとく、84kHzの場合はオフ時間8.0μs、74kHzの場合はオフ時間8.6μs、64kHzの場合は9.8μs、54kHzの場合は10.2μsであった。
本例の結果からは、次のことがわかる。
即ち、上記荷重変動の駆動周波数に対する追従性は、駆動周波数に関わらず、ほぼ上記オフ時間によって左右される。
また、駆動周波数が54kHz(即ち、61kHz未満)の場合には、オフ時間にかかわらず、少なからず、荷重変動が駆動周波数に追従する。
本質はオフ時間に依存するのであるが、駆動周波数が54kHz(即ち、61kHz未満)の場合には、オフ時間を小さくして荷重変動の追従性を低下させようとすると、デューティー比を大きくするためにオン時間が長くなり電圧の立ち上がりが極めて急峻になる。電圧の立ち上がりが極度に速いと、急速に立ち上がる電圧により原子レベル粒子レベルの変形(例えば誘起相転移や変位)もしくはそれに伴う分極反転の追従性が悪くなり、強制的な分極反転、すなわち不安定な状態を経路にした反転をも引き起こす。その結果、不安定な状態を形成しやすくなることから劣化を促進する。
よって、54kHz(即ち、61kHz未満)の周波数領域では立ち上がりが急峻でなければよく、オフ時間には律則されない。
このときの立ち上がり時間は、分極の反転速度すなわち電子・原子の移動所要時間に依存するものであり、圧電素子の材質により多少の違いがある。しかし、200Vまで充電する時には概ね70μs以上の立ち上がり時間があることが好ましい。さらに好ましくは概ね100μs以上の立ち上がり時間があることがさらに好ましい。
また充電最高電圧が大小異なる時には概ね比例計算により算出すれば良いものとする。
また、駆動周波数に十分に追従する荷重変動(第4パターン)が得られる条件は、61kHz以上の駆動周波数においても得られ、その最低条件は、少なくともオフ時間を8μs以上とすることにある。
この点を明確にすべく、図15には、図6〜図11の荷重変動を相当周波数と表記して横軸に表した場合、その相当周波数とオフ時間との関係を示した。同図から知られるごとく、オフ時間が長いほど荷重変動の相当周波数が短くなり、荷重変動パターンが低周波化、即ち、駆動周波数への追従性が高くなることがわかる。
Figure 2005033144
実施例1における、圧電素子の構成を示す説明図。 実施例1における、圧電素子を駆動する電気回路の構成を示す説明図。 実施例1における、圧電素子を駆動した際の変位及び荷重変動を測定する変位荷重計測装置を示す説明図。 実施例1における、圧電素子に付与する矩形波のパルス電流のパターンを示す説明図。 実施例1における、圧電素子に付与された電位パターンを示す説明図。 実施例1における、圧電素子を駆動周波数44kHzで駆動した際の荷重変動を示す説明図。 実施例1における、圧電素子を駆動周波数54kHzで駆動した際の荷重変動を示す説明図。 実施例1における、圧電素子を駆動周波数61kHzで駆動した際の荷重変動を示す説明図。 実施例1における、圧電素子を駆動周波数64kHzで駆動した際の荷重変動を示す説明図。 実施例1における、圧電素子を駆動周波数74kHzで駆動した際の荷重変動を示す説明図。 実施例1における、圧電素子を駆動周波数84kHzで駆動した際の荷重変動を示す説明図。 実施例2における、共振点のインピーダンスを示す説明図。 実施例2における、圧電素子を駆動周波数54kHzで駆動した際の共振点のインピーダンスの変化を示す説明図。 実施例2における、圧電素子を駆動周波数84kHzで駆動した際の共振点のインピーダンスの変化を示す説明図。 実施例3における、オフ時間と荷重変動の相当周波数との関係を示す説明図。
符号の説明
1...圧電素子、
11...圧電層、
2...内部電極層、
4...側面電極、
5...電気回路、
50...制御回路、
51...電源、
51...充電用スイッチ、
52...放電用スイッチ、
7...変位荷重計測装置、
70...圧電素子支持部、
771...レーザ変位計、
772...レーザ変位計、

Claims (4)

  1. 通電電流に応じて伸縮駆動する圧電素子を有する圧電アクチュエータの駆動方法において、
    上記通電電流として矩形波のパルス電流を用い、該通電電流を61kHz未満の周波数で通電する駆動時間領域を主とする駆動パターンで駆動することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動方法。
  2. 通電電流に応じて伸縮駆動する圧電素子を有する圧電アクチュエータの駆動方法において、
    上記通電電流として矩形波のパルス電流を用い、該通電電流を、周波数が61kHz以上125kHz未満であり、かつ、上記矩形波のオフ時間が8μs以上という条件で通電する駆動時間領域を主とする駆動パターンで駆動することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動方法。
  3. 請求項1又は2において、上記圧電素子は、圧電セラミック層と内部電極層とを交互に積層してなる積層型圧電素子よりなることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、上記圧電素子には、該圧電素子を縮める方向に作用する予荷重を予め付与しておくことを特徴とする圧電アクチュエータの駆動方法。
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