JP2956316B2 - 圧電アクチュエータの駆動方法 - Google Patents

圧電アクチュエータの駆動方法

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JP2956316B2
JP2956316B2 JP3274292A JP27429291A JP2956316B2 JP 2956316 B2 JP2956316 B2 JP 2956316B2 JP 3274292 A JP3274292 A JP 3274292A JP 27429291 A JP27429291 A JP 27429291A JP 2956316 B2 JP2956316 B2 JP 2956316B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は圧電アクチュエータの駆
動方法に係り、特に圧電アクチュエータの耐久性を向上
しうる圧電アクチュエータの駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高圧の流体を制御するバルブのアクチュ
エータとして圧電アクチュエータを用いる技術が一般的
に知られている(特開平2-190682号公報)。この圧電ア
クチュエータは、電界を印加することにより厚さ方向に
伸長、縮退する圧電材料(圧電ペレット)を複数枚積層
した構造であり、分解能に優れ、精密な変位を実現す
る。そして、上記公報に開示された圧電アクチュエータ
の従来の駆動方法は、+600Vの電圧を圧電素子(圧
電ペレット)に印加することによりアクチュエータを伸
長せしめて弁装置を閉弁状態とすると共に、反対に開弁
状態においては−200Vの負の電圧を圧電素子に印加
してアクチュエータを縮退させている。このように、ア
クチュエータの縮退において負の電圧を圧電素子に印加
することにより、圧電素子の縮退方向の変位が確実に行
われ、アクチュエータの変位量を稼ぐことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図7は圧電アクチュエ
ータを構成する圧電ペレット単体の耐久性に関する実験
データを示した図である。同図中、Nは圧電ペレットの
伸縮回数、εr は圧電ペレットの比誘電率、kpは所定
量の電気信号に対してどれだけ機械的エネルギに変換で
きるかを表す電気機械結合係数である。圧電アクチュエ
ータの変位量のもととなる圧電ペレットの変位量は、こ
の電気機械結合係数kpと比誘電率εr の平方根との積
に比例する。同図に示すように、伸縮回数Nに対して電
気機械結合係数kpの低下傾向が激しく、これにより、
圧電ペレット、即ち圧電アクチュエータの変位量に関す
る耐久性が低下することが分かる。また、電気機械結合
係数kpの低下傾向は、環境温度、圧力が大きい程、急
激となることが分かった。
【0004】ここで、圧電ペレットととなる圧電材料
は、焼成した段階においては極性があらゆる方向を向い
ており、従って電界を印加しても変位方向が定まらずア
クチュエータを構成する材料とはなり得ない。そこで圧
電材料は、変位方向を圧電ペレットの厚さ方向に定める
ために、極性を圧電ペレットの厚さ方向に分極して揃え
るポーリングと称される分極処理が行われる。従って、
圧電ペレットにおける厚さ方向の分極量が多いと、厚さ
方向の変位量が大きくなり上記電気機械結合係数kpの
値が大きくなる。また、分極量が低下することは、圧電
ペレットの極性が再び厚さ方向以外の方向に向いてしま
うことを意味し、kpの値が低下して所謂、分極劣化が
発生する。このように、分極量とkpとは互いに対応す
る関係が成り立っている。従って、図7に示すkpの低
下は、圧力、温度によりポーリング当初の分極が崩れ、
厚さ方向の分極量が低下したことに起因している。
【0005】また、図8は圧力、温度の上記分極量に及
ぼす影響を確認するために、分極量Dと電界の強さ(略
して単に電界という)Eとの間のヒステリシス曲線を、
圧力、温度の条件を変化させて求めた図である。尚、同
図に示すD−Eヒステリシス曲線はソーヤタワー回路を
用いて求めたものである。
【0006】同図中、圧力、温度が上昇すると点線で示
すようにヒステリシスが小さくなる傾向にある。このた
め、例えば電界0V/mmにおいては、圧力、温度が増加す
ると、分極量DがPS0からPS1に低下し、上記の如く圧
力、温度によるkp値の低下傾向を証明している。
【0007】また、同図より、圧力、温度が上昇したこ
とによる分極量Dの低下は、電界Eの小さい領域程大き
く、電界の大きい領域においては小さいことが分かる
(例えば電界0V/mmにおけるPS0→PS1と、電界+60
0V/mmにおけるPS2→PS3を比較しても分かる)。これ
は、電界がさほど印加されていない状態では圧力、温度
の影響を受け易くなり、分極量Dの低下が大きくなるた
めである。このため、例えば、圧電アクチュエータが0
〜+1200V/mmで伸縮駆動している時のkp、即ち変
位量に関する特性低下は、+1200V/mmが印加されて
いる時よりも0V/mmの状態の時に生じていることが判明
した。
【0008】従って、−200〜+600V/mmの電界が
印加されている従来の圧電アクチュエータにおいては、
圧電ペレットに印加される電界が0V/mmの周囲の電界の
小さい領域にあることが比較的多くなり、上記傾向によ
り圧電ペレットの分極量の低下が大きくなる。そして分
極量の低下により、上記分極劣化が発生してkpの値、
即ち圧電ペレットの厚さ方向の変位量が低下する。この
ように、従来の圧電アクチュエータの駆動方法では、圧
電ペレットに分極劣化が起こり圧電アクチュエータの耐
久性が悪化してしまう。
【0009】また、上記のような圧電ペレットの変位特
性の低下対策として、予め変位特性低下を見込んで更
に高い電界強度で圧電アクチュエータを駆動させる。
予め変位特性低下を見込んで圧電アクチュエータの構
造、寸法を大きくしておく。特性変化の少ない圧電材
料を用いる。等の方法が考えられる。
【0010】しかしながら、上記の方法では圧電アク
チュエータに繰り返し印加される電界強度幅が大きくな
るため疲労、劣化が激しく、図9に示す対策のデータ
の如く途中から急激に特性低下してしまう。ここで図9
において、Nは圧電アクチュエータの伸縮回数を示し、
縦軸はアクチュエータの変位量を示す。また、太線で表
されているデータは従来のアクチュエータの特性を示
し、要求変位に対して105 〜106 回程度までしか要
求を満たすことができない。一般にシステムに実装され
る圧電アクチュエータには109 回程度の耐久性が要求
されている。また、上記の方法では周囲の部品との干
渉問題等でスペース確保が困難である。上記の方法に
ついては、一般的に特性変化の少ない材料は変位特性に
劣るため(この変位特性を同図中、実線Aで示す)、上
記同様、高い電界を印加しないと要求変位に満たな
い。このため、同図に示す対策のデータの如く初期段
階での特性低下は抑えられるものの、同様途中から疲
労、劣化が激しく急激に特性低下してしまう。このよう
に、上記対策方法では圧電アクチュエータの耐久性を従
来に比べて延ばすことはできず、上述した従来の圧電ア
クチュエータの耐久性の問題を解決することはできな
い。
【0011】そこで本発明は上記課題に鑑みなされたも
ので、圧電アクチュエータを構成する圧電ペレットの分
極劣化を低く抑えることにより、圧電アクチュエータの
耐久性を向上しうる圧電アクチュエータの駆動方法を提
供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、高圧の流体を制御するバルブのアクチュエ
ータとして用いられる圧電アクチュエータの駆動方法で
あって、前記圧電アクチュエータに正の第1の所定電圧
を印加して前記圧電アクチュエータを伸長状態とすると
共に、前記第1の所定電圧よりも低い正の第2の所定電
圧を印加して前記圧電アクチュエータを縮退状態とする
構成である。
【0013】
【作用】本発明において、圧電アクチュエータの伸長状
態において正の第1の所定電圧を印加し、縮退状態にお
いても正の第2の所定電圧を印加することにより、圧電
アクチュエータにかかる電界が、伸長状態、縮退状態の
いずれの場合においても上記図8における電界の大きい
領域となり、分極量の低下の激しい電界の小さい領域か
ら遠ざかる。このため、分極量の低下が従来に比べて抑
えられ、分極劣化を従来に比べて低減することができ
る。
【0014】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0015】先ず最初に、本発明の効果が最も有効とな
る実施例を見つけ出すために、また、上述した図7に示
す圧電ペレットの耐久性に関する実験データを得るため
に使用する圧電ペレット単体の特性変化試験システムに
ついて説明する。
【0016】図3は圧電ペレット単体の特性変化試験シ
ステムの構成図を示す。
【0017】図3において、1は評価対象である圧電ペ
レット(以下、単にペレットという)2のセット治具で
あり、同図に示すように後述する油圧ポンプ20、ドラ
イバー回路30、電源40、アンプ50、発振器60、
チャージアンプ70、オシロスコープ80、試験システ
ム全体を制御する制御装置90と共に圧電ペレット単体
の特性変化試験システム100を構成している。
【0018】図4は図3における圧電ペレットのセット
治具1の正面図である。
【0019】図4において、3はセット治具1のフレー
ムであり、フレーム3の上部にはクランピングバルブ4
を接合した油圧シリンダ5がナット5aにより固定され
ている。クランピングバルブ4には図3に示す油圧ポン
プ20に接続された油圧ホース21が接続されている。
この油圧シリンダ5は下部に油圧ポンプ20からの油圧
により、上下方向(Z1 −Z2 方向)に変位する可動部
5bが設けられている。
【0020】可動部5bの下部には、加振器としての圧
電スタック(以下、単にスタックという)6が軸方向を
上下方向に合わせて配置されている。スタック6には上
述した圧電アクチュエータが使用されている。図5はス
タック(圧電アクチュエータ)6の主要部の構成を説明
する図である。スタック6は、同図(B)に示すよう
に、圧電材料単体であるペレット6aの上下両面にステ
ンレス(SUS304H )による電極板6b-1,6b-2を配置
し、電極板6b-1,6b-2のペレット6aの反対側に絶
縁体であるインシュレータ6cを夫々配置した単位積層
体を、金属ダミー6dを挟んで同図(A)に示すように
夫々の形状を合わせて複数重ねて積層した構成である。
上記各積層部材6a,6b-1,6b-2,6c,6d夫々
は接着剤により接着されている。複数のペレット6aの
上側に配置されている複数の電極板6b-1夫々は電線6
eにより並列に電気的に接続されており、また、ペレッ
ト6aの下側に配置されている電極板6b-2夫々も電線
6fにより同様に並列に接続されている。
【0021】従って、電線6e,6fに所定電圧を印加
すると電極板6b-1,6b-2間に電界が発生し、ペレッ
ト6aが厚さ方向に伸長する。尚、ペレット6aは、圧
電素子として周知である多成分系圧電セラミックスが使
用されている。
【0022】上記構成のスタック6と油圧シリンダ5の
可動部5bとの接続部には、シリンダプレート5c、ス
ペリカルサーフェス7a、スペリカルロア7bが設けら
れており、スペリカルサーフェス7a、スペリカルロア
7bが有する球面座により、スタック6の下方に設けら
れる上記ペレット2への偏荷重を防止している。
【0023】スタック6の下方には、セッターアッパ
8、ジルコニア焼結体によるインシュレータ9を介して
ペレット2を挟持するセッター10,11が設けられて
いる。下側のセッター11の下部には、上記インシュレ
ータ9同様にジルコニア焼結体により形成されたインシ
ュレータ12、セッターロア13を介して圧力センサ1
4が設けられている。圧力センサ14はセッターロア1
3の下面とフレーム3の下部部材3bの上面3cに挟装
されている。また、セッターロア13の下部には棒状の
案内部材13aが形成されており、この案内部材13a
がフレーム3の下部部材3bに形成された案内孔3dに
挿入されることにより、セッターロア13、即ち下側の
セッター11が軸方向(Z1 −Z2 方向)以外に変位す
ることを防止している。
【0024】セッター10,11の間には、上記の如く
評価対象であるペレット2が電極板15a,15bに挟
まれた状態で挟持される。このペレット2は上記スタッ
ク6のペレット6aと同一の多成分系圧電セラミックス
が使用されており、形状もペレット6aに合わせられて
いる。また、電極板15a,15b夫々も上記電極板6
-1,6b-2と同一材質、同一構造のものとされてい
る。ペレット2へ電界を印加するための電線(図示せ
ず)は上記セッター10,11に夫々接続され、ペレッ
ト2への電界および圧力の印加はセッター10,11、
電極板15a,15bを介して行われる。インシュレー
タ9,12はセッター10,11とセッターアッパ8お
よびセッターロア13との間の電気的絶縁を行うために
設けられている。
【0025】ここで、ペレット2と電極板15a,15
bとの接触面は、ペレット2への傷付防止、応力集中防
止の観点より寸法交差、平面度、面粗度が重要とされて
いる。本実施例では、ペレット2の寸法交差がφ15+0
-0.05 であることを考慮して、セッター10,11の寸
法交差はφ15 +0.05 +0.02 、平面度0.02mm、面粗度0.8Z
に設定している。また、電極板15a,15bの寸法交
差はφ15 -0.05 -1に設定している。更に、電極板15
a,15bの製造においてはエッチングにより一枚のプ
レートから一度に多量の電極板を形成する方法を採用し
ている。このため、電極板15a,15bのペレット2
と当接する部分にタブが残らないように、図5(B)の
電極板6b-1に示すように、両端部に突起部6gを設け
てそこにタブを配置できるようにした。
【0026】フレーム3に固定された油圧シリンダ5か
らフレーム3に案内指示された上記セッターロア13に
到るまでの各部材は全て図中Z1 −Z2 方向の同軸上に
設けられている。従って、油圧シリンダ5の油圧を上昇
させると、スタック6から圧力センサ14に支持された
セッターロア13までの部材に軸方向(Z1 −Z2
向)に沿った圧縮応力が発生する。
【0027】また、ペレット2の温度設定はペレット2
の沿面での絶縁防止を兼ねるため、シリコンオイルを媒
体とした温度調節機構付の水槽(図示せず)内にセット
治具1を入れて制御されている。これにより、ペレット
2をスタック6と同一温度条件で設定することができ
る。
【0028】図3において、油圧ポンプ20はセット治
具1の油圧シリンダ5に制御装置90によって指示され
た所定の油圧を印加する。これにより、ペレット2への
初期圧力を任意の値に設定することができる。また、油
圧ポンプ20から制御装置90に対してモニタ信号が送
られており、油圧ポンプ20は制御装置90によりフィ
ードバック制御が行われている。
【0029】ドライバー回路30は、出力側が上記スタ
ック6の電線6e,6fに接続されている。発振器60
から0→+3〜5Vのトリガーがかかると、直流定電圧
電源40にて設定した値の約2倍のプラス電圧がスタッ
ク6に印加され、反対に+3〜5V→0のトリガーがか
かると、同様のマイナス電圧が印加される。この電圧は
発振器60において予め設定された所定周期によりプラ
ス電圧とマイナス電圧が交互に印加されるものであり、
この電圧によりスタック6内の複数のペレット6aは厚
さ方向に伸長、縮退を行う。このため、スタック6は所
定周期で軸方向(Z1 −Z2 方向)に振動し、ペレット
2に所定周期の圧力変動を与える加振器として作用す
る。
【0030】アンプ50は、評価対象であるペレット2
への印加電圧を制御するものである。アンプ50の入力
側には上記ドライバー回路30に接続された発振器60
が接続されている。このため、ペレット2に印加される
電圧は、ドライバー回路30のトリガーに同期させるこ
とができ、しかもその電圧波形は発振器60により任意
波形に設定することが可能である。アンプ50の出力側
は上記セッター10,11に夫々に接続されている。従
って、電圧の印加によりペレット2自体も、スタック6
の伸長、縮退の周期と同一周期で軸方向に伸長、縮退す
る。
【0031】上記ドライバー回路30およびアンプ50
夫々は、モニタ信号を制御装置90に送っており、制御
装置90によりスタック6およびペレット2に印加する
印加電圧のフィードバック制御が行われている。
【0032】ペレット2にかかる上記油圧シリンダ5に
よる初期圧力、スタック6による圧力変動、そして、ペ
レット2自体の伸長、縮退による圧力変動は、上記圧力
センサ14により計測され、チャージアンプ70を介し
て、例えば図6(B)に示す圧力波形としてオシロスコ
ープ80で確認することができる。また、アンプ50の
電圧波形も、例えば図6(A)に示す電圧波形としてオ
シロスコープ80で確認することができる。ドライバー
回路70の電圧波形も同様にオシロスコープ80で確認
することができる。
【0033】上記構成の圧電ペレット単体の特性変化試
験システム100により、表1に示す各パラメータの設
定範囲で電圧波形、圧力波形、温度を任意に制御でき
る。
【0034】
【表1】
【0035】上記特性変化試験システム100により、
ペレット2は温度条件、圧力条件、および圧力変動の負
荷条件において圧電アクチュエータであるスタック6と
同一条件のもとで伸長、縮退が繰り返されるため、圧電
アクチュエータ内で伸縮する圧電ペレット単体のみの特
性を容易に得ることができる。また、ペレット2に印加
される電界を形成する電圧波形および電界の強度は、ア
ンプ50、発振器60によりで任意に選定することかで
き、また、これをチャージアンプ70、オシロスコープ
80で確認することができる。
【0036】そして、ペレット2の伸縮回数のところど
ころの段階において、ペレット2を取り出してこれに所
定電圧を印加してペレット2の特性、例えば、図7に示
した比誘電率εr 、電気機械結合係数kp等の特性を計
測することにより、ペレット2の伸縮回数Nと上記特性
との関係、即ち耐久性を正確に計測することができる。
また、上記の如く、ペレット2に印加する圧力および温
度を変化させて伸縮させることにより、図7に示す様な
耐久性への影響を得ることができる。
【0037】図8にて上述したように、圧電ペレットに
印加する電界が小さい領域にある程、圧力、温度の影響
を受けて圧電ペレットの分極量の低下が大きくなり、反
対に圧電ペレットに印加する電界が大きい程、圧電ペレ
ットの分極量の低下が小さいことが判明している。従っ
て、−200〜+600V/mmの電界が印加されている従
来の圧電アクチュエータでは、印加される電界が0V/mm
の周囲の電界の小さい領域にあることが比較的多くな
り、その結果、分極量の低下が大きくなっていることが
上述の如く判明している。そしてこの分極量の低下によ
り、分極劣化が発生してkpの値、即ち圧電ペレットの
厚さ方向の変位量が低下し、圧電アクチュエータの耐久
性を悪化せしめていた。
【0038】そこで圧力、温度による上記変位特性低下
の低減方法として、本発明の圧電アクチュエータの駆動
方法は、図1に示す電圧波形の如く、圧電アクチュエー
タに前記第1の所定電圧である正の電圧(電界強度)b
を印加して圧電アクチュエータを伸長状態とすると共
に、上記正の電圧bよりも低い前記第2の所定電圧であ
る正の電圧(電界強度)aを印加して圧電アクチュエー
タを縮退状態とするものである。この駆動方法によれ
ば、圧電アクチュエータの伸長状態、縮退状態のいずれ
の場合においても、圧電アクチュエータにかかる電界が
上記図8における分極量の低下の激しい電界の小さい領
域から遠ざかるため、分極量の低下が従来に比べて抑え
られ、分極劣化を従来に比べて低減することができる。
即ち、本発明の駆動方法は、電圧波形に常にバイアス電
圧を印加しておくことにより、圧電アクチュエータにか
ける電界を分極量の低下の激しい電界の小さい領域から
遠ざけるところに特徴を有する。上記バイアス電圧とは
図1における電圧aのことであり、電圧bはバイアス電
圧aの大きさに応じて増減する。
【0039】次に本発明の効果が最も有効となるバイア
ス電圧aおよび電圧bを見つけ出すために、表2の如く
上記電圧a,bの値を変えた4種類の電圧波形を上記試
験システム100のアンプ50、発振器60で設定し、
夫々の電圧波形により変位特性試験を実施した。本試験
においては、単にバイアス電圧aの最適値を見つけ出す
目的から、b−a=1200(V/mm)を一定とし、その他の
電圧波形の条件、周波数 100Hz、圧電ぺレットにかける
初期荷重 20MPa、温度 135℃も一定とした。
【0040】
【表2】
【0041】図2は上記変位特性試験の結果を示す図で
ある。
【0042】図2中、Nは圧電ペレットの伸縮回数、縦
軸は圧電ペレットの変位保持率であり上記図9における
圧電アクチュエータの変位量と対応する値である。また
直線Eは実装上、要求される要求変位保持率である。
【0043】同図に示すように、 150V/mm以下のバイア
ス電圧(駆動A)では効果は小さいが、 200〜600V/mm
のバイアス電圧(駆動B)では顕著な効果が得られ、1
9 回の伸縮に対しても要求変位保持率以上の値を維持
することができた。また、負の電圧を使用した従来の電
圧波形に近い駆動Dの場合に比べて、0〜150V/mm をバ
イアス電圧とした駆動Aの耐久性が向上していることか
ら、少しでもバイアス電圧をかて縮退状態においても常
に正の電圧に維持することによって、耐久性の向上に効
果をもたらすことが分かる。また、逆に、650V/mm 以上
のバイアス電圧(駆動C)では Max電圧、 Max歪みが大
きくなりすぎるため絶縁破壊等に到ってしまい逆効果と
なってしまう。
【0044】このように、負の電圧を使用せず、常に正
となるようにバイアス電圧をかけておく駆動方法によ
り、圧電ペレットの分極量の低下を抑えて圧電アクチュ
エータの耐久性を向上させることができる。また、特に
200〜600V/mm 程度のバイアス電圧をかけて圧電アクチ
ュエータの縮退状態とし、1400〜1800V/mmの電圧をかけ
て伸長状態とする駆動方法を採用することにより、上記
耐久性向上の効果が更に顕著となる。
【0045】上記バイアス電圧による駆動方法が用いら
れる圧電アクチュエータは、高圧の流体を制御するバル
ブのアクチュエータとして使用される。高圧の流体を制
御するバルブの場合、閉弁時の圧力波が大きくアクチュ
エータに再び開弁させようとする力が作用するため、ア
クチュエータにかかる負担が特に大きくなる。このた
め、上述した圧電アクチュエータの耐久性向上の効果
は、高圧流体を制御するバルブのアクチュエータにとっ
て特に有効である。
【0046】また、圧電アクチュエータの耐久性が向上
することにより、特性低下を前提とした圧電アクチュエ
ータを設計をする必要が無くなり、初期性能のみを確保
する設計、駆動条件で十分となる。即ち、設計段階での
アクチュエータの性能に余裕を持たせる率が減少するた
め、積層する圧電ペレットの枚数、面積等の低減を図る
ことができ、圧電アクチュエータの低コスト、コンパク
ト化、低消費電力化等の派生効果も大きい。
【0047】尚、本実施例の説明では、上述した変位特
性試験の結果より、 200〜600V/mm程度のバイアス電圧
をかけて圧電アクチュエータの縮退状態とし、1400〜18
00V/mmの電圧をかけて伸長状態とする駆動方法が最も耐
久性向上に効果を有する電圧としているが、上記試験に
おいて一定とした諸条件(b−a(V/mm)、周波数、荷
重、温度等)が異なる場合においては、最適なバイアス
電圧aおよび伸長状態での電圧bは上記値に限定される
ものではなく変化するものである。しかしながら、どの
ような条件の場合であっても、電圧波形に従来の如く負
の電圧を使用しないことによって圧電アクチュエータの
耐久性が向上することは、上記変位特性試験の結果より
確実である。
【0048】
【発明の効果】上述の如く、本発明によれば、圧電アク
チュエータにかかる電界が、伸長状態、縮退状態のいず
れの場合においても分極量の低下の激しい電界の小さい
領域から遠ざかり、分極量の低下、分極劣化を従来に比
べて低減させることができるため、圧電アクチュエータ
の耐久性を従来に比べて向上させることができる。
【0049】そして、圧電アクチュエータの耐久性の向
上により、設計段階でのアクチュエータの性能に余裕を
持たせる率が減少するため、積層する圧電ペレットの枚
数、面積等の低減を図ることができ、圧電アクチュエー
タの低コスト、コンパクト化、低消費電力化等の効果に
寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる圧電アクチュエータの駆動方法の
一実施例の電圧波形を示す図である。
【図2】圧電ペレットの変位特性試験結果を示す図であ
り、図1に示す電圧波形でバイアス電圧を変えた電圧波
形により試験を行った結果を示している。
【図3】圧電ペレット単体の特性変化試験システムの構
成図である。
【図4】図3に示すシステムにおける圧電ペレットのセ
ット治具の正面図である。
【図5】圧電スタックの主要部の構成を説明する図であ
る。
【図6】圧電ペレットに印加される電圧波形および圧力
波形の一例を示す図である。
【図7】圧電アクチュエータを構成する圧電ペレットの
耐久性に関する実験データを示す図である。
【図8】分極量と電解の強さとの間のヒステリシス曲線
を、圧力、温度の条件を変えて求めた図である。
【図9】印加電圧の増加、圧電材料の変更による圧電ア
クチュエータの耐久性向上への影響を測定した試験結果
を示す図である。
【符号の説明】
1 セット治具 2 圧電ペレット 5 油圧シリンダ 6 圧電スタック 10,11 セッター 14 圧力センサ 15a,15b 電極板 20 油圧ポンプ 30 ドライバー回路 40 電源 50 アンプ 60 加振器 70 チャージアンプ 80 オシロスコープ 90 制御装置 100 圧電ペレット単体の特性変化試験システム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 41/083 F16K 31/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧の流体を制御するバルブのアクチュ
    エータとして用いられる圧電アクチュエータの駆動方法
    であって、 前記圧電アクチュエータに正の第1の所定電圧を印加し
    て前記圧電アクチュエータを伸長状態とすると共に、前
    記第1の所定電圧よりも低い正の第2の所定電圧を印加
    して前記圧電アクチュエータを縮退状態とすることを特
    徴とする圧電アクチュエータの駆動方法。
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