JP2005030905A - 分析用チップ - Google Patents

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英士 高山
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Abstract

【課題】光を用いた分析を行なう場合に、液体検体を効率よく且つ高い精度で分析することができる、分析用チップを提供する。
【解決手段】流路に液体検体Fsを流通させて、所定物質と、特定物質との相互作用に基づいて液体検体Fsに関する分析を行なうのに使用される分析用チップ1において、分析用チップ1の少なくとも一部を分析用チップ1の外側表面と分析用チップ1の流路側表面との間を光が透過することができる光透過部7として形成し、光透過部7の表面に、光の透過を許容しながら光透過部7の表面を保護しうる保護層25,85を形成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流路に液体検体を流通させることにより液体検体の分析を行なうためのチップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液体検体と、チップに固定化された物質との反応あるいは結合の検出を行ない、一定時間に複数の分析を迅速に行なう技術が種々提案され、また、ハイスループット分析システムとして実用化されている。
このような技術としては、近年、DNAチップやプロテインチップ等のような流通型の分析用チップ(マイクロチャンネルチップ)が注目されている。
【0003】
マイクロチャンネルチップの中には、チップ本体に微小な横断面の流路が形成され、この流路を形成する壁面に上記の所定の化学物質と相互作用する物質(特定物質)が固定されているものがある。この流路に液体検体を流通させて、流路壁面の特定物質上を通過させたり、特定物質上で一旦停止させたりして液体検体と特定物質とを接触させることにより、液体検体中に所定の化学物質(所定物質)が含まれていれば、これを特定物質の相互作用として検出することができる。
【0004】
なお、DNAチップやプロテインチップにおいて特定物質をチップに高密度に固定化するための技術としては、例えば、ピン先に固定化対象物(特定物質)を保持させてスポッティングするスポッター〔Affymetrix417(登録商標)Arrayer等〕や、インクジェット又はディスペンサーによりチップに固定化対象物を吹付けるものが知られている〔Tango(登録商標)Liquid Handling System等〕。
【0005】
また、このようなマイクロチャンネルチップに、SPR(サーフェスプラズモン共鳴)に基づく分析手法〔例えばBiacore(登録商標)がある〕を組み合わせれば、所定物質と特定物質とが結合−解離する過程をオンラインで検出することが可能である。
【0006】
さて、マイクロチャンネルチップを使用して分析される液体検体中は、使用量が限られているものも多い。例えば、DNAチップやプロテインチップでは、液体検体は種々の生物から採取される物質、又は、生化学的に合成される各種の物質(DNA,RNA,PNA,ペプチド,タンパク等)であり、採取できる量が限定されたり、採取するのに大きな労力を必要とされることが多いため、その使用量をできるだけ少量にとどめたいという要望が強い。
【0007】
上記のようなDNAチップやプロテインチップをはじめとした分析用チップは、通常、多数の特定物質を流路の底面に平面状に配置させ、その後、液体検体と接触させる構成になっている。このような分析用チップを用いて効率的に分析を行なうためには、一つの分析用チップに多くの特定物質を固定することになるため、特定物質が固定された反応領域は局所的なものとはならず、比較的大きな面積を占めることになる。
【0008】
したがって通常は、多くの特定物質を固定するためには、流路の底面は広い面積を有するように形成される。また、この際特定物質と接触しない液体検体は、いずれ時間の経過と共に濃度分布などによって拡散し、結果として特定物質と接触しうるが、その場合接触までに長時間を要する虞がある。したがって、流路を流れる液体検体が流路の底面に固定された特定物質と効率的に接触するようにするため、つまり、流路の底面に固定された特定物質と接触しない液体検体の体積を少なくするために、一般に流路の高さ(若しくは、深さ)は小さくされる。したがって、流路の幅と高さの比である寸法比率(長辺寸法/短辺寸法)が非常に大きくなり、分析用チップの流路の形状は、幅方向に大きく高さ方向に小さいシート状の形状となる。このように流路をシート状にすることで、液体流体が少量であっても一度の流通により多数の特定物質と接触させて分析のスループットを向上させ、分析を効率的に行なうことができるようにしているのである。
【0009】
このような流通型の分析用チップについての技術は、近年数多く提案されている。例えば、非特許文献1には、基板と、複数のスリットが並列に設けられたシート部材とをそなえて構成されたチップが開示されている。この技術では、シート部材を基板にセットすると、上記の並列に配設されたスリットが基板上において並列流路として機能することとなる。
【0010】
そして、この並列流路にそれぞれ異なる流体を流通させて、流路底面、即ち、基板に、これらの流体を固定化し、次に、シート部材の向きを変え、基板にセットし直して、今度は先ほどの並列流路と交差するように基板上に並列流路を形成する。この流路にそれぞれ異なる流体を流通させ、先に基板に固定した流体と接触させる。つまり、1つのチップ上に多数の流体の組み合わせによりなる結合部をマトリックス状に形成して、分析の高密度化(集積化)を実現しようとしているのである。
【0011】
さらに、特許文献1には、並列に配置された流路にそれぞれ異なる液体検体を流通させ、1つのマイクロリアクタチップにより同時に複数種の液体検体について分析を行なうためのチップが開示されている。
【0012】
【特許文献1】
WO00/04390号公報
【非特許文献1】
Anal.Chem.73,22,pp.5525,2001
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、分析に要する液体検体を少量化して、分析を効率よく行なう技術は種々提案されているが、未だ分析に要する液体検体を少量化して効率的に分析を行なう技術に対する要求は大きい。特に、そもそも液体検体が極少量しか得られない場合や、生体から液体検体を摂取する際の被摂取者の物理的、精神的状況により多量の液体検体を採取することが好ましくない場合、液体検体を得るためには多額のコストを要する場合、ある液体検体に対して多種若しくは多くの回数の分析を行なう場合、又は液体検体の再検査を行なう場合など、上記の少量化が必要とされる機会は多い。
【0014】
DNAチップやプロテインチップなどの分析用チップは、通常、2次元平面(流路底面)に行列状に生体物質を固定するので、必然的に反応部を固定するための流路底面は広くなる。したがって、液体検体の少量化を進めると、流路の高さはますます小さくする必要がある。
【0015】
ところで、上述したような分析用チップの多くは、特定物質の相互作用の検出をするために光を利用する。具体例としては、上述したSPRや蛍光などのように励起光を用いるものや、化学発光、生物発光、電気化学発光などのように検出用の光を用いものが挙げられる。
【0016】
このように光を利用して分析を行なう場合には、光が通過する光路で反射が生じることにより、分析の効率や精度が低下する場合がある。
図20に示すような蛍光分析を例にして、その様子を説明する。分析用チップ1内には流路5が形成され、流路5底面には反応部6が設けられている。反応部6には、光源100からの入射光により励起されて蛍光を生じる特定物質が固定されており、生じた蛍光は検出部101で検出される。
【0017】
この分析用チップ1を用いて分析を行なう際には、光源100から分析用チップ1に入射光が照射される。この入射光の一部は、符号aで示すように、分析用チップ1の外側表面や、分析用チップ1の内側表面(流路5の天面)で反射する。また、流路5底面の反応部6からの生じる蛍光の一部は、符号bで示すように分析用チップ1の内側表面(流路5の天面)や分析用チップ1の外側表面で反射を生じる。このような反射が起こった場合には、蛍光の強度が本来の強度から低下するほか、検出すべき蛍光と、分析用チップ1表面での反射光とが干渉し、蛍光の検出結果に誤差を生じさせる原因となりうる。
【0018】
このように、光を利用して分析を行なう場合には、光路で反射が生じることにより、分析の効率や精度が低下する虞がある。特に、上述したように、分析に用いる液体検体を少量化するために流路の高さを小さくすると、上記の入射光、反射光、又は蛍光が更に分析用チップの別の表面で反射して多重反射がおこり、光の干渉の影響が大きくなる。したがって、少量の液体検体を用いて効率よく分析を行ないながら、しかも光の反射の影響を抑制することは、従来難しかった。
【0019】
また、分析用チップに多種の特定物質を固定し、液体検体を同一の条件(温度、流通方式、光量、光軸、光検出条件、特定物質の固定方法、液体検体の種類やその数など)で分析して各特定物質間の相互作用の差異、各特定物質と非相互作用部(分析用チップ表面の特定物質が固定されていない部分)との差異、あるいは、各特定物質の反応前後の差異などを検出する際に上記のような検出結果の誤差が生じると、その誤差が一部の特定物質に関する結果に対してのみ生じた場合であっても、検出すべき差異全体が不明となってしまう。
【0020】
さらに、光路となる分析用チップの表面に傷などがある場合には、その傷により光の反射、散乱、又は光軸の逸脱などが生じ、液体検体を精密に分析することができなくなる虞があり、また、部分的に検出できない特定物質が生じる虞がある。この傷は、分析用チップの製造、組み立て、梱包、物流移送、開封、実験前処理、洗浄、実験など、予期しない様々な場面で生じる可能性があり、防止することが難しい。
【0021】
上記のように光路上での反射や傷によって誤差などが生じた場合には、分析用チップを再作成して再度実験を行なうことになるため、分析に要する時間及びコストが大きくなるほか、貴重な液体検体を再度用意しなくてはならない。したがって、光を利用して分析を行なう場合に光路上における反射や傷を防止し、精度良く効率的に分析を行なう技術が待望されていた。
【0022】
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたもので、液体検体を効率よく且つ高い精度で分析することができる、分析用チップを提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者は、鋭意研究の結果、表面に所定の特性を有する保護層が設けられた分析用チップが、光路上における反射や傷を防止することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0024】
即ち、本発明の要旨は、流路に液体検体を流通させて、所定物質と、該流路に固定される特定物質との相互作用に基づいて該液体検体に関する分析を行なうのに使用される分析用チップにおいて、該分析用チップの少なくとも一部が、該分析用チップの外側表面と、該分析用チップの流路側表面との間を光が透過することができる光透過部として形成され、該光透過部の表面に、光の透過を許容しながら該光透過部の表面を保護しうる保護層が形成されていることを特徴とする、分析用チップに存する(請求項1)。
【0025】
このとき、該保護層は、該外側表面及び該流路側表面の少なくとも一方に形成されていることが好ましい(請求項2)。
【0026】
また、上記分析用チップは、基板と、蓋部材と、上記の基板と蓋部材との間に介装され、上記の基板及び蓋部材の少なくとも一方と協働して上記流路を有するシート状空間を形成する少なくとも1枚の中間プレートとを備え、該光透過部が、上記の蓋部材及び中間プレートに形成されていることが好ましい(請求項3)。
【0027】
また、上記分析用チップは、基板と、該基板に対向して配設され、該基板と協働して上記流路を有するシート状空間を形成する蓋部材とを備え、該光透過部が、該蓋部材に形成されていることが好ましい(請求項4)。
【0028】
また、該保護層は、光の反射を防止する反射防止層を含んで構成されていることが好ましい(請求項5)。
この該反射防止層は、該光透過部と異なる屈折率を有する層からなることが好ましく(請求項6)、また、屈折率の異なる複数層から構成されていることが好ましい(請求項7)。
さらに、該反射防止層は、ノングレア層であることが好ましい(請求項8)。
【0029】
また、該保護層は、傷防止層を有して構成されていることが好ましい(請求項9)。
【0030】
また、該保護層は、該分析用チップの表面に形成された該反射防止層と、該反射防止層の表面に形成された該傷防止層とを有して構成されていることが好ましい(請求項10)。
【0031】
また、上記分析用チップは、該流路に該特定物質が固定される面を備え、該面に、光の照射によってエバネッセント波を生じさせる回折格子と、表面プラズモン波を誘起しうる金属層とが設けられていることが好ましい(請求項11)。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、模式的な図面を参照して本発明の各実施形態について説明する。
なお、本発明でいう液体検体とは、例えば、抗原抗体反応、相補的なDNA結合、レセプタ/リガンド相互作用、酵素/基質相互作用等の相互作用を生じさせることができる物質であり、具体例を挙げると、たんぱく質,核酸,DNA,RNA,PNA,ペプチド,ホルモン,抗原,抗体,リガンド,レセプタ,酵素,基質,低分子有機化合物,細胞,イオン、及びこれらの複合体等の測定対象物を含む(又は、含む可能性のある)液体であり、サスペンション,コロイド等の分散系も含む。さらに、これらは必要に応じて蛍光物質、発光物質、放射性物質等により標識されていてもよい。
また、本発明において光は、特に断らない限り、可視光のみを意味するものではなく、紫外線、赤外線、X線など、長波長側あるいは短波長側の可視光以外の光も含めるものとする。
【0033】
〔1〕第1実施形態
図1〜図4は本発明の第1実施形態としての分析用チップを示すもので、図1は分析用チップを用いたSPRセンサのシステムを、分析用チップの一部を破断して示す模式的なシステム構成図、図2は蓋部の一部を破断して示す分析用チップの模式的な分解斜視図、図3(a)は図1のY−Y断面図、図3(b)は図1のX1−X1断面図、図3(c)は図1のX2−X2断面図、図3(d)は図3(a)のIIId部の拡大図、図4(a)は分析用チップの蓋部の上面図、図4(b)は分析用チップの第1のプレートの下面図、図4(c)は分析用チップの第2のプレートの上面図、図4(d)はその基板の上面図である。なお、以下でいう液体検体Fsの流れ方向Aとは、流路における主流方向のことであり、例えば、図5に示すような流路5′においては、その流れ方向は、実線の矢印で示す方向のことをいうものとする。また、図20で示した従来技術と実質同様のものは、同じ符号で示す。
【0034】
SPRセンサは、図1に示すように、分析用チップであるSPRセンサチップ(以下適宜、チップという)1と、このチップ1に光を照射する光源100と、チップ1からの反射光を検出するための検出器〔ここではCCD(Charge Coupled Device)カメラ〕101とをそなえて構成されている。チップ1は、後述するようにそれぞれ透明な石英ガラスで形成された蓋部2、第1のプレート(中間プレート。以下適宜、単にプレートという)8、第2のプレート(中間プレート。以下適宜、単にプレートという)9、及び、基板4から構成されていて、蓋部2及びプレート8が、光源100からの光、及び、検出器101が検出すべき反射光を透過させることができるようになっており、これにより蓋部2及びプレート8には光透過部7が形成されていることになる。なお、図1では光源100からの入射光及びセンサチップ1からの反射光の光軸は流れ方向と垂直な方向で示しているが、前記入射光及び反射光の光軸の方向はこれに限定されるものでは無く、例えば入射光の光軸が流れ方向と平行な方向でも良く、また、反射光の光軸がセンサチップ1で反射することによって入射光の光軸の方向から変わってもよい。さらに、センサチップ1の背面(基板4側)から光を照射して、センサチップ1の背面(基板4側)で反射光を観測し、分析を行なうようにしてもよいが、その場合は、基板4を入射光及び反射光が透過できる素材で形成しなくてはならない。
【0035】
以下、チップ1について説明する。
図2に示すように、チップ1は、平板状の蓋部材である蓋部2と、厚みの薄いプレート8と、プレート8と同様に厚みの薄いプレート9と、基板4とをそなえて構成されている。そして、これらの部材2,8,9,4は、分析時には、図1に示すように、この順に上から重ねられて図示しない接合用のホルダにより一体に組み付けられる。したがって、蓋部2と基板4との間に、プレート8,9が介装されることになる。なお、ホルダには位置合わせや傷防止のための保護機構を設けることが好ましい。保護機構の例としては、例えば、分析用チップ1を係止するためにホルダに設けられる係止部や、分析用チップ1の観測する部分(後述する反応部6)がホルダと接しないようにホルダに形成されるくぼみなどが挙げられる。
【0036】
図3(a)に示すように、後述する蓋部2の孔(流路5の上流端部の注入口)21から注入された液体検体Fsは、プレート8の孔81を通って、プレート9の流路となる各スリット状孔9aを流れ、その後、プレート8の孔82を通って、後述する蓋部2の孔(流路5の下流端部の排出口)22から流出するようになっており、液体検体Fsが、上記のプレート9のスリット状孔9aを流通する際に、基板4の反応部6に固定された各特定物質61に接触するようになっている。
【0037】
特定物質61は、隣接する特定物質61とコンタミネーションを起こさないような間隔をあけて、チップ1に固定されている。
なお、各特定物質61に、必ずしも相互に異なる特定物質61を使用する必要はなく、同じ特定物質61を使用しても良い。何れにしても、どのような特定物質61を使用するかは、その分析の目的に応じて適宜設定されるものである。
【0038】
また、特定物質61が基板4に確実に固定されるようにするため、基板4の表面には特定物質61と結合しうる固定化膜(有機膜)が形成されていることが望ましい。なお、ここでいう固定化膜とは公知の構造を含む。また、この固定化膜の機能としては、特定物質61を後述する金属層41に安定的に固定化し、非特異吸着を抑制するものが望ましい。例えば、生体物質と結合するための官能基として、アミノ,アルデヒド,エポキシ,カルボキシル,カルボニル,ヒドラジド,ヒドロキシル,ビニル基のいずれかを含み、金属層41と結合するためにイソチオシアネート,イソニトリル,キサンテート,ジセレニド,スルフィド,セレニド,セレノール,チオール,チオカルバメート,ニトリル,ニトロ,ホスフィンのいずれかを含む直鎖高分子あるいは2重,3重結合を含む炭化水素鎖を含む。また、マトリックスとしてハイドロゲル(アガロース,アルギン酸,カラゲナン,セルロース,デキストラン,ポリアクリルアミド,ポリエチレングリコール,ポリビニルアルコール等)を構成するものでも良い。また、LB膜,自己組織化単分子膜,脂質二重膜等の組織的構造を用いたものでも良い。
【0039】
ここで、本分析用チップ1の作製方法について説明すると、まず、基板4上にプレート9を接合する。そして、位置決め操作が可能なインジェクタやスポッター(図示省略)等により、図6に示すように、プレート9のスリット状孔9aを通して、基板4に、特定物質61を液体に分散又は溶解させた分散液又は溶液を滴下して、互いに基準間隔を空けて特定物質61を固定する。以下適宜、前記の特定物質61を液体に分散又は溶解させた分散液又は溶液を「特定物質含有液」という。特定物質61を分散又は溶解させる液体は任意であるが、本実施形態においては、特定物質含有液は、特定物質61を水に溶解させた水溶液として説明する。なお、図6は、基板4にプレート9を接合した後、特定物質含有液を滴下し、特定物質61を固定した状態を模式的に示す上面図である。
その後、プレート9上にプレート8を組み付け、さらに、プレート8上に蓋部2を組み付けて、分析用チップ1を作製するのである。
【0040】
また、図3(b),(c)に示すように、液体検体Fsが流通する流路5は、水平方向に細長いスリット形状の断面(液体検体Fsの流れ方向Aに対して直交する断面)を有する流路、即ち、シート状空間内に形成された流路として構成されている。
ここで、本発明でいう「シート状空間内に形成された流路」とは、通常、その断面の長辺(流路5の流れ方向に直交する断面又は厚み方向に直交する断面の辺のうち最長の辺。一般的には流路5の幅方向の距離又は流れ方向の距離を指し、本実施形態では、流路5の幅をいう)5aの寸法Wが500μm〜100mmの範囲であり、且つ、上記断面の短辺(流路5の高さ)5bの寸法Hが5μm〜2mmの範囲のものをいう。また、上記長辺5aと上記短辺5bとの寸法比率(=長辺寸法W/短辺寸法H)の範囲は、通常1.5以上、好ましくは10以上、また、通常20000以下、好ましくは100以下である。このとき、後述するように仕切壁9bによって、流路5が複数の内部流路(スリット状流路)9aに分割されている場合には、その分割されたもとの流路5、即ち、複数の内部流路9aをすべて併せた流路5の寸法が、上記の寸法比率の範囲に入っていればよい。なお、ここでは、上記長辺5aの長さWは20mmに、上記短辺5bの長さ(X1−X1断面ではプレート8の厚さH、X2−X2断面ではプレート9の厚さH)はともに250μmに、それぞれ設定されている。
【0041】
以下、本分析用チップ1を構成する上記の各部材について詳細に説明する。
蓋部2,プレート8,プレート9,基板4の各材質は、樹脂,セラミックス,ガラス等,その種類は特に限定されないが、分析時に用いる波長の光を透過しうる材質を選択しなくてはならない。また、透明な材料としては、例えば、アクリル樹脂,ポリカーボネート,ポリスチレン,ポリジメチルシロキサン,ポリオレフィン等の樹脂や、Pyrex(登録商標。ホウケイ酸ガラス),石英ガラス等のガラスがある。なお、本実施形態では、蓋部2、プレート8,9、及び基板4はそれぞれ石英ガラスで形成されているとして説明する。したがって、チップ1を構成する蓋部2及びプレート8,9はそれぞれ光を透過することができ、特に、本実施形態では蓋部2及びプレート8が光透過部7を有していることになる。また、基板4には後述するように金属層41が形成されるので、光の透過は許容されていない。
【0042】
図4(a)に示すように、蓋部2の上流端部には、1つの孔(注入口)21が形成され、蓋部2の下流端部には、1つの孔(排出口)22が形成されている。注入口21は、図示省略のコネクタ,チューブを介して送液ポンプ(例えば、シリンジポンプ)に接続され、また、排出口22は、図示省略のコネクタ,チューブを介して廃液タンクに接続されている。そして、上記の送液ポンプを作動させることにより、液体検体Fsを注入口21からチップ1内に注入させるとともにチップ1内から排出できるようになっている。
【0043】
また、図1,図4(a)に示すように、蓋部2の上側表面、即ち、チップ1を組み立てた場合に外側表面となる面には、全面に亘って保護層25が形成されている。この保護層25については、あとで詳細に説明する。
【0044】
図4(b)に示すように、プレート8の上流側には、孔81が形成され、プレート8の下流側には、孔82が形成されている。
また、孔81の上流端部81xは、チップ1組み立て時に蓋部2の注入口21に整合して連通するように位置設定されている。また、孔81は、この上流端部81xからプレート8の流れ方向中間部にいくにしたがって(液体検体Fsの流通方向下流側へいくにしたがって)幅広になるように形成されている。
【0045】
一方、孔82の下流端部82xは、チップ1組み立て時に蓋部2の排出口22に整合して連通するように位置設定されている。また、孔82は、プレート8の流れ方向中間部から下流端部82xにいくにしたがって(液体検体Fsの流通方向下流側へいくにしたがって)幅狭になるように形成されている。
また、チップ1が組み立てられた時に、プレート8の上下面が蓋部2及びプレート9により閉塞され、孔81,82は液体検体Fsが集合する流路を形成する。従って、プレート8の孔81,82により形成される流路を、集合流路部81,82ともいう。なお、図1では、プレート8の上下面がすべて蓋部2及びプレート9により閉塞されているが、少なくともプレート8の孔81,82が形成されている部分が閉塞されればよい。
【0046】
チップ1では、集合流路部81が、上流端部81xから流れ方向中間部にいくにしたがって幅広になっているので、液体検体Fsを流れ方向中間部へ円滑に案内することができる。また、集合流路部82が、流れ方向中間部から下流端部82xにいくにしたがって幅狭になっているので、液体検体Fsを下流端部82xへ円滑に案内することができる。
【0047】
また、図1,図4(b)に示すように、プレート8の下側表面、即ち、チップ1を組み立てた場合に流路5側表面となる面には、全面に亘って保護層85が形成されている。この保護層85については、あとで詳細に説明する。
【0048】
図4(c)に示すように、プレート9の流れ方向中間部には、仕切壁9bによって幅方向に分割形成された複数のスリット状の孔(以下、スリット状孔という)9aが形成されている。チップ1が組み立てられた場合には、各スリット状孔9aは、流路5の中間部を仕切壁9bによって分割され、スリット状の流路(以下適宜、スリット状流路という)を形成する。ここで、内部流路とは仕切部材によって幅方向に分割された流路のことをいう。よって、仕切壁9bが基板4及びプレート8に直接当接しており、仕切壁9bと基板4との間、及び、仕切壁9bとプレート8との間には液体検体が浸入できなくなって、流路5が複数の流路に分割されるのである。なお、チップ1が組み立てられた時に、スリット状孔の上下面がプレート8及び基板4により閉塞されてスリット状の流路を形成することから、以下、上記のスリット状孔とスリット状流路と内部流路とは同じものであるので、これらを同じ符号9aで示す。
【0049】
したがって、図3(a)及び図4(a)〜(d)に示すように、蓋部2の注入口21に注入された液体検体Fsは、プレート8の集合流路部81を流れ、その後、各スリット状流路9aの上流端部91から各スリット状流路9aへ流れ、特定物質61と接触する。そして、液体検体Fsは、各スリット状流路9aの下流端部92から集合流路部82に集合し、蓋部2の排出口22を通してチップ1外へ排出される。
【0050】
なお、通常は、上記スリット状流路9aの横断面の縦横比率(縦寸法/横寸法)が0.005(例えば縦5μm,横1mm)〜100(例えば縦10mm,横100μm)程度の範囲内に収まるようにスリット状流路9aが形成されることが好ましい。また、一般的には、スリット状流路9aは5mm以下の横断面積を有するように形成されるのが好ましい。詳細には、スリット状流路9aの断面積は通常100μm以上、好ましくは2000μm以上、また、通常5mm以下、好ましくは0.3mm以下である。
【0051】
また、チップ1組み立て時に、各スリット状孔9aの上流端部91は、プレート8の孔81の下流端に連通するように位置設定されているとともに、各スリット状孔9aの下流端部92は、プレート8の孔82の上流端に連通するように位置設定されている。
これにより、プレート8の集合流路部81に注入された液体検体Fsが、各スリット状流路9aの上流端部91を通ってプレート9の各スリット状流路9aを流れた後、各スリット状流路9aの下流端部92を通ってプレート8の集合流路部82へ集合するようになっている。
【0052】
このように、本分析用チップ1では、従来のシート形状の流路5に、仕切壁9bを設けることで、上記流路5をさらに微小な内部流路9aに分割して(即ち、流路の横断面積を小さくして)液体検体Fsの周り込みを抑制できるようになっている。
【0053】
さて、図2,図4(d)に示すように、チップ組立時に流路5に面する基板4の一方の面には、金属層41がコーティングされている。また、この金属層41がコーティングされた面には、光の照射によりエバネッセント波を生じる回折格子42が形成されている。
【0054】
上記光源100から、透明な光透過部7を介して、即ち、蓋部2及びプレート8を介して、更には流路5中を流れる液体検体Fsを通じて、基板4に光が照射されると、この光によって金属層41の表面に発生した表面プラズモン波が、回折格子42により金属層41に誘発されたエバネッセント波と共鳴して、金属層41に照射された光の内、特定の入射角又は特定の波長の光成分のエネルギが金属層41に吸収される。したがって、金属層41からの反射光は、特定の入射角又は特定の波長の光成分のエネルギが弱くなる。
【0055】
金属層41上で発生するエバネッセント波の角度及び波長は、金属層41に固定された特定物質61により捕捉された検出種の量に応じて変化し、これに応じて、吸収される反射光の角度及び波長が変化する。したがって、反応部6の各スポット61からの反射光の光強度をそれぞれCCDカメラ101により監視して、かかる角度及び波長の変化を検出することで試験流体中の検出種の濃度をリアルタイムで測定できる。
【0056】
なお、金属層41の材質は、表面プラズモン波を誘起しうるものであれば限定はなく、例えば金,銀,アルミニウム等である。
また、回折格子42は、基板4の表面に凹凸を形成しておき、その上にスパッタリング等により金属を薄く積層して上記金属層41を形成することで上記金属層41の表面に具現できる。
また、基板4に回折格子42を設けるべく形成される凹凸は、例えば基板4を切削して形成され、切削方法としては機械的に行なうものでも良いし、エッチングの技術等により化学的に行なうものでもよい。また、基板4を樹脂材により構成する場合には、樹脂材が完全に固化しないうちに、例えばフォトリソグラフィ等により凹凸を形成したスタンパを基板4に押圧して凹凸を形成することもできるし、射出成形によりスタンパから凹凸形状を転写しても良い。
【0057】
また、基板4の流れ方向中間部には、流路5に面して反応部6が設けられる。この反応部6は、図4(d)に示すように、所定の物質(検出種)と特異的又は非特異的に相互作用する特定物質61が、基板4の流路5側の表面にスポット状に複数点固定されてなるものである。
反応部6の(縦寸法×横寸法)の一般的な範囲としては、(3mm×3mm)〜(20mm×20mm)であり、一般的に、この領域には、100μm〜1mmの間隔で縦横3〜200個ずつ計9〜40000個の特定物質61が配置される。
【0058】
なお、ここでは、各特定物質61には、相互に異なる物質に対して、特異的又は非特異的に結合や反応などの相互作用をする特定物質(相互に異なる特定物質)が使用されている。
また、所定物質、特定物質とは、それぞれ、例えば抗原抗体反応,相補的なDNA結合,レセプタ/リガンド相互作用,酵素/基質相互作用等の相互作用を生じさせることができる物質であり、具体例を挙げると、たんぱく質,核酸,DNA,RNA,PNA,ペプチド,ホルモン,抗原,抗体,リガンド,レセプタ,酵素,基質,低分子有機化合物,細胞、及びこれらの複合体等である。これらは、必要に応じて蛍光物質、発光物質、放射性物質等により標識されていてもよい。
【0059】
また、チップ1では、基板4上にプレート9を固定し、その後、プレート9上方からプレート9のスリット状孔9aを通して基板4に特定物質61を固定するので、実際は、図2、図4(d)に示すような反応部6(複数の特定物質61が固定された部分)は初期段階では形成されていないが、基板4に対する特定物質61の配置をわかりやすく説明するため、図2、図4(d)では便宜的に、基板4に特定物質61が固定されている状態を示している。従って、図2、図4(d)では、幅方向における特定物質61の位置及びスポット数が、幅方向における中間プレート9のスリット状孔9aの位置及びスリット状孔9aの数に合致するように示している。
【0060】
スリット状流路9aを流通する液体検体Fsは、その流通過程でこれらの特定物質61と接触することとなり、上記流通後に各特定物質61の反応状況によって液体検体Fsについての分析を行なうことができる。
つまり、上記複数の特定物質61のうち何れかの特定物質61の反応を観察できれば、この反応した特定物質61に対応する所定の物質が液体検体Fsに含まれていることを検出できるのである。
【0061】
特定物質61は、隣接する特定物質61とコンタミネーションを起こさないように基準間隔をあけてチップ1に固定されている。なお、ここで基準間隔とは、特定物質が固定された各スポットの中心間の間隔のことをいい、また、仕切壁の9bのピッチは、この基準間隔と略同じに設定されている。仕切壁9aを設けても特定物質61の単位面積当たりのスポット数を従来よりも減少させることはない。逆に、仕切壁9aを設けることにより、上記のコンタミネーションを防止できるので、幅方向(流れ方向と垂直の方向)に対する特定物質61のピッチを従来よりも狭めて単位面積あたりのスポット数を増加することも可能となる。
【0062】
なお、各特定物質61に、必ずしも相互に異なる特定物質61を使用する必要はなく、同じ特定物質61を使用しても良い。何れにしても、どのような特定物質61を使用するかは、その分析の目的に応じて適宜設定されるものである。
【0063】
さて、次いで本実施形態において特徴的な、保護層25,85について説明する。
上記のように、蓋部2の上側表面、即ち、チップ1を組み立てた場合に蓋部2の外側表面となる面には、全面に亘って保護層25が形成されている。また、プレート8の下側表面、即ち、チップ1を組み立てた場合に流路5側表面となる面には、全面に亘って保護層85が形成されている。なお、本実施形態において保護層25,85とは、光の透過を許容しながら、光透過部7の表面を保護する層のことをいう。
【0064】
図3(d)に示すように、保護層25は、蓋部2の表面に形成された反射防止層25aと、反射防止層25aの表面(これを蓋部2の最外側表面ということがある)に形成された傷防止層25bとから形成されている。また、保護層85は、プレート8の表面に形成された反射防止層85aと、反射防止層85aの表面(これをプレート8の最外側表面ということがある)に形成された傷防止層85bとから形成されている。
【0065】
反射防止層25a,85aは、光の透過を許容しながら、それぞれ蓋部2の外側表面、及び、プレート8の流路5側表面において、蓋部2の外側表面、及び、プレート8の流路5側表面を透過する光の反射を防止することができるものであれば他に制限はなく、例えばフッ化マグネシウム、シリカ、樹脂など、任意の物質で形成することができるとともに、反射防止層25a,85aは検出しようとする光に応じた厚さに形成すればよく、通常、反射防止層25a,85aの厚さは数十Å〜数百Å程度である。本実施形態では、反射防止層25a,85aはそれぞれフッ化マグネシウムの単層AR層(単層アンチリフレクション層)として形成されている。このフッ化マグネシウムは、蓋部2及びプレート8を形成する石英ガラスとは異なる屈折率を有する。なお、反射防止層25a,85aの形成方法としては、例えば蒸着やスパッタリングを用いることができる。
【0066】
傷防止層25b,85bは、光の透過を許容しながら、光透過部7を構成する蓋部2の外側表面及びプレート8の流路5側表面が傷つかないよう保護するために設けられた層であり、任意の物質で任意の厚さに形成することができる。具体例としては、BK7(商品名)、フューズドシリカ、フッ化マグネシウム、パイレックス(登録商標)など、強度の高い物質で形成することが好ましい。ただし、傷防止層25b,85bは分析時に光の光路上に位置することになるので、この傷防止層25b,85bを透過する光が光量の低下や偏光面の変化などを生じない程度に薄く形成することが好ましい。通常、傷防止層25b,85bの厚さは数Å〜数百Å程度である。上記の光量の低下や偏光面の変化などが生じた場合でも、傷防止層25b,85bの厚さが薄い場合には傷防止層25b,85bを透過することによって生じる光量の低下や偏光面の変化などを無視することができる場合があるためである。なお、本実施形態では傷防止層8はシリカにより形成している。
【0067】
本発明の第1実施形態としての分析用チップは上述したように構成されているので、光源100からチップ1に向けて光を露光した際に、光透過部7の外側表面及び流路5側表面を透過する入射光の反射を防止することができる。即ち、反射防止層25aが蓋部2の外側表面に形成されているため、蓋部2の外側表面を透過する光の反射を防止することができ、また、反射防止層85がプレート8の流路5側表面に形成されているので、プレート8の流路5側方面を透過する光の反射も防止することができる。また、反応部6でから分析用チップ1の外部に向けて反射する光についても、入射光の場合と同様に、蓋部2の外側及び流路5側表面で光が反射することを防止することができる。これにより、光透過部7表面での光の反射による誤差などを抑制することができる。
【0068】
また、光透過部7である蓋部2及びプレート8の各最外側表面に傷防止層25b,85bが設けられているので、分析用チップ1の光透過部7の表面に傷がつくことを防止することができる。したがって、分析用チップ1を用いて分析を行なう際に光の光路上に傷が存在し得なくなるので、光路上の傷を原因とする光の反射、散乱、又は光軸の逸脱などを防止することができる。
なお、上記反射防止層25a,85a及び傷防止層25b,85bにより、光源100からの入射光や、反応部から外部へ反射する光の光路が妨げられることはない。
【0069】
このように、分析用チップ1は反射防止層25a,85a及び傷防止層85a,85bを有しているので、分析用チップ1を用いた分析を行なえば、光透過部7の表面での反射や光路上の傷による散乱などの影響を受けず、精密な結果を確実に得ることができる。したがって、分析のやり直しなどをする必要がなく、効率のよい分析を行なうことができる。
【0070】
特に本実施形態では、光透過部7の外側表面及び流路5側表面の両方に保護層25,85を有しているので、外側表面及び流路5側表面のいずれか一方のみに保護層25,85を形成する場合よりも精度のよい分析を行なうことができる。
【0071】
さらに、本実施形態のように反射防止膜25a,85aが設けられている場合には、流路5の高さ(深さ)を小さく、流路5を従来よりも薄いシート形状としても、上述したような多重反射が生じることはない。したがって、流路5の高さ(深さ)を小さくすることによる液体検体Fsの少量化を進めることができる。
【0072】
また、チップ1では、複数のスリット状流路9aに対し共用で注入口21及び排出口22が1つずつ設けられているので、単に複数の流路を並列に設け、各流路において個別に流体を注入・排出が行なわれる構成に比べて、注入・排出に用いるコネクタやチューブを多数必要せず、コネクタやチューブのチップ1への取り付け作業が容易である。なお、もちろん、複数の注入口21及び排出口22を設けても良いことはいうまでもない。
【0073】
さらに、シート形状の空間に形成された流路5に、仕切壁9bを設けてさらに微小な(幅狭な)内部流路(スリット状流路)9aとしたので、液体検体Fsの周り込みによる気泡の発生を抑制することができる。
つまり、図7(a)に示すように、従来のようなシート形状の流路では、固−気−液の三相境界線が長かったため、濡れ性の不均一により一部の液体検体Fsが進行してしまい、結果として液体検体Fsの周り込みによる気体の抱き込み(気泡201)が生じていたが、図7(b)に示すように、上記流路5を、独立した微小な内部流路(スリット状流路9a)に分割したことにより、流路中の主流と垂直な線分(流路幅)Lが小さくなるため、周り込みが発生する確率が大幅に減少する。また、流路の横断面積が小さくなるので、各スリット状流路9aに効率的に背圧が加わり気泡が滞留し難くなる。
【0074】
したがって、本実施形態の分析用チップ1によれば、気泡の滞留による悪影響(液体検体Fsの流通の阻害、特定物質61と液体検体Fsとの接触の阻害、液体Fsと気泡201との熱伝達率の差異による測定系の温度の不均一、光路上に気泡201が滞留することによる測定の妨害等)を排除でき、分析の信頼性を向上させることができるという利点がある。さらに、気泡201の除去作業が不要となり、分析作業を効率的に行なえるといった利点がある。
【0075】
また、ホルダによりチップ1を組み付ける場合には、チップ1に圧力がかかるが、チップ1の幅方向に亘って複数形成された仕切壁9bにより、チップ1の耐圧性を向上させることができ、チップ1の形状変化、特に、厚み方向の形状変化を防止することができる。これにより、チップ1のたわみに起因する流速分布の不均一を防止できるとともに、光学的な分析においては、光路長のばらつきや光軸の変化を抑制できるので、最適な条件下で分析を行なうことができ、分析結果の精度を向上させることができるという利点がある。
【0076】
また、SPRセンサの大きな特徴として、反応部6における相互作用の状態を光学的に且つオンラインで検出することが挙げられ、反応部(即ち測定領域)6に気泡201が滞留してしまうと、特定物質61と検出種である所定物質との相互作用が阻害されてしまうだけでなく、上記の光学的な測定を行なえなくなってしまうが、本実施形態のチップ1によれば、気泡201の発生を抑制できるのでこのような光学的測定によるオンラインでの分析を安定して行なえるといった利点がある。
【0077】
なお、本実施形態では、基板4及び蓋部2によりプレート8及びプレート9を挟んでチップ1を構成したが、図8(a)〜(c)に示すように、集合流路部を形成するプレート8の孔81,82を蓋部2に形成するようにしても良い。即ち、この場合、蓋部2下面に、孔81,82と同じ形状の、集合流路部を形成する溝部(凹部)21′,22′を直接形成する。これにより、基板4及び蓋部2によりプレート9を挟むだけでよいので、チップ1を容易に作製することができる。なお、この場合には光透過部7は蓋部2のみにより構成されるので、図8(a)のように、保護層25は蓋部2の上面及び下面にそれぞれ形成される。そして、各保護層25は、第1実施形態と同様、光の透過を許容しながら光透過部7の表面を保護しうるもので、反射防止層25a及び傷防止層25bからなる。なお、プレート9及び基板4は、図4(c),(d)で示したプレート9及び基板4と同じ構成であり、その説明は省略する。
【0078】
さらに、図9(a),(b)に示すように、プレート9を使用せずに、シート状の流路5の一部を構成することになるスリット状溝4aを基板4に設け、スリット状流路4aを基板4に直接形成するようにしても良い。なお、ここでスリット状溝4aとスリット状流路4aと内部流路とは同じものを示す。これにより、基板4と蓋部2とを重ね合わせるだけでよいので、チップ1をさらに容易に作製することもできる。なお、この場合にも光透過部7は蓋部2のみにより構成されるので、図9(a)のように、保護層25は蓋部2の上面及び下面にそれぞれ形成される。そして、各保護層25は、第1実施形態と同様、光の透過を許容しながら光透過部7の表面を保護しうるもので、反射防止層25a及び傷防止層25bからなる。なお、図9中、図1〜8において用いた符号と同じ符号は、同様のものを示す。
【0079】
また、図10(a)〜(c)に示すように、プレート8を使用する代わりに、孔81,82を基板4に形成するようにしても良い。即ち、この場合、基板4上面に、孔81,82と同じ形状の、集合流路部を形成する溝部(凹部)46,47を直接形成するとともに、注入口21及び排出口22を各溝部46,47にそれぞれ連通させるよう、プレート9に孔91′,92′を形成する。これにより、基板4及び蓋部2によりプレート9を挟むだけでよいので、チップ1を容易に作製することができる。なお、この場合にも光透過部7は蓋部2のみにより構成されるので、図10(a)のように、保護層25は蓋部2の上面及び下面にそれぞれ形成される。そして、各保護層25は、第1実施形態と同様、光の透過を許容しながら光透過部7の表面を保護しうるもので、反射防止層25a及び傷防止層25bからなる。なお、図10中、図4において用いた符号と同じ符号は、同様のものを示す。
【0080】
また、図11に示すように、プレート8の孔81,82をプレート9に形成し、このプレート9を基板4及び蓋部2により挟むようにしても良く、このように構成することでも、チップ1を作製することができる。なお、この際には仕切壁9bがプレート9から離れてしまうが、この場合には、スクリーン印刷やインクジェットなどの印刷、又はコーティングなどを用いると、この様な方法でチップ1を容易に作成することができる。なお、この場合にも光透過部7は蓋部2のみにより構成されるので、図11のように、保護層25は蓋部2の上面及び下面にそれぞれ形成される。そして、各保護層25は、第1実施形態と同様、光の透過を許容しながら光透過部7の表面を保護しうるもので、反射防止層25a及び傷防止層25bからなる。なお、図11中、図4において用いた符号と同じ符号は、同様のものを表わす。
【0081】
なお、上記のような凹部21′,22′,46,47及びスリット状溝9aの形成方法としては、機械加工、射出成型や圧縮成型に代表される転写技術、ドライエッチング(RIE,IE,IBE,プラズマエッチング,レーザーエッチング,レーザーアブレーション,ブラスト加工,放電加工,LIGA,電子ビームエッチング,FAB)、ウエットエッチング(化学浸食)、光造形やセラミックス敷詰等の一体成型、各種物質を層状にコート,蒸着,スパッタリング,堆積して部分的に除去することにより微細構造物を形成するSurface Micro−machining、インクジェットやディスペンサーにより流路構成材料を滴下して形成する方法(即ち、凹部21′,22′,46,47及び流れ方向中間部を一体に凹部として形成し、その後、上記中間部に流れ方向に沿って流路構成材料を滴下し、仕切壁9bを形成する方法)、光造形法などを適宜選択して用いればよい。
【0082】
また、本実施形態では各部材の接合を、チップ1の分解が可能なように、ホルダにより物理的に組み合わせることで行なったが、他の方法によって各部材の接合を行なってもよい。各部材の接合方法は任意であり、例えば、接着剤による接着,プライマーによる樹脂接合,拡散接合,陽極接合,共晶接合,熱融着,超音波接合,レーザー溶融,溶剤・溶解溶媒等が挙げられるが、粘着テープ,接着テープ,自己吸着剤を使用して行なっても良いし、圧着や、各部材に凹凸を設け係合させるようにしても良い。これにより、容易に組み付けを行なうことができる。さらに、これらの接合方法を任意の組み合わせて併用してもよい。
【0083】
また、このようなSPRを利用した分析では、マイクロチャンネルチップに同一の液体検体Fsを流通させて分析を行なうだけでなく、複数の液体検体Fsを、バッファーを挟んで連続的に流通させて、これらの液体検体Fsの測定対象物と特定物質との一連の結合−解離を分析することも可能である。
また、本実施形態では基板4に形成した金属層41のために、基板4を光が透過することはできなかったが、金属層41の厚さを薄く形成すれば、基板4を光が透過できる場合がある。ただし、その場合でも金属層41は通常透明では無い。
【0084】
また、本実施形態では検出器101としてCCDカメラを用いたが、検出器101はこれに限定されるものではなく、フォトダイオード、光電子増倍管、感光紙など、任意のものを使用することができる。
【0085】
〔2〕第2実施形態
図12は、本発明の第2実施形態としての分析装置を説明する説明図である。図12に示すように、本発明の第2実施形態としての分析装置は、第1実施形態で説明した分析用チップ1と同じ構成を有する分析用チップ1Aと、分析用チップ1Aを流通する液体検体Fsの分析を行なう分析部501と、分析用チップ1Aの上流に備えられ、分析用チップ1に液体検体Fsを導入するに先立ち物理的及び/又は化学的な作用によって液体検体Fsを分離する分離装置502と、分析用チップ1Aから排出された液体検体Fsを分析する後分析装置503とを備えている。なお、分析用チップ1Aは、その構成は上述した分析用チップ1と同様であり、その説明を省略する。
【0086】
分析部501は表面プラズモン共鳴を用いて分析を行なうもので、この分析部501の具体的な装置構成は、上述した第1実施形態と同様に構成することができる。また特に、表面プラズモン共鳴を用いる分析装置では、分析用チップ1の背面から光を照射して、分析を行なうことも可能である。即ち、分析用チップ1の基板4側から分析用チップ1の流路5内に形成された反応部6に光を照射して、その反応部6からの反射光を分析用チップ1の基板4側で観測し、分析を行なうのである。ただしその場合には、照射された光が分析用チップ1の反応部6にまで届く必要があることから、当然基板4は照射される入射光が透過できるものでなくてはならない。したがって、分析用チップ1の背面から光を照射して分析を行なう場合には、通常、基板4は入射光と同じ波長を有する光を透過しうる素材で作製することになる。
【0087】
また、分析用チップ1の背面、即ち、基板4側から光を照射して分析を行なう場合には、基板4が光透過部7を構成することになる。即ち、基板4を透過して反応部6に入射された光が、反応部6で反射し、その反射光が基板4を透過して分析用チップ1Aの外部に出て、その反射光が検出される。したがって、図13に示すように、保護層45(この保護層45は反射防止層及び傷防止層からなる)は、第1実施形態と同様、光の透過を許容しながら光透過部7の表面を保護しうるもので、入射光及び反射光が透過する、基板4の外側表面に形成すべきである。なお、図13中、図1〜12で用いた符号と同じ符号は、同様のものを示す。
【0088】
また、本実施形態の分析装置では、分析用チップ1の上流に、分析用チップ1に液体検体Fsを導入するに先立ち、物理的及び/又は化学的な作用によって液体検体Fsを分離する分離装置502が備えられている。
【0089】
分離装置502の種類は任意であるが、通常、試料の吸着性や分配係数に応じて分離を行う液体クロマトグラフィーやHPLC(high performance liquid chromatography),試料の電気陰性度に応じて分離を行うキャピラリー電気泳動やマイクロチップ電気泳動,マイクロチャネル電気泳動或いはフローインジェクションの利用などが好適であるが、もちろんこの他の装置を分離装置502として分析装置に取り付けても良く、また、上記の装置を組み合わせて用いてもよい。
【0090】
マイクロチャネルは何らかのチップ表面に形成された試料が流れる溝のことであり、マイクロチャネル電気泳動は、この溝の一部にHPLCのカラム充填材に相当するものを詰めたり、溝表面に官能基を備えさせたりすることで、分離が可能となるものである。
また、フローインジェクションは試料が流れている状態で様々な反応を起こさせる手法であるが、例えば錯形成反応と溶媒抽出とを行い、試料中の検出種以外の物質を除去する等の処理をして、分離を行うことができる。
なお、もちろん上記以外の装置を分離装置502として分析装置に取り付けても良い。
【0091】
また、本実施形態の分析装置は、分析用チップ1Aから排出された液体検体Fsを分析する後分析装置503を備えている。後分析装置503の種類について特に制限はなく、任意の分析装置を後分析装置503として用いることができるが、具体例としては、MS(質量分析装置)、プロテインシーケンサ、DNAシーケンサ、SEM,SPM,STM,AFMなどが挙げられる。
後分析装置503は液体検体Fsを分析可能な状態にするような前処理機構を含めてもよい。また、上記の装置を組み合わせて用いてもよい。
【0092】
本発明の第2実施形態としての分析装置は以上のように構成されているので分析時には、分離装置502、分析用チップ1A、後分析装置503の順に液体検体Fsが流され、分析が行なわれる。
分析部501で分析を行なう際に、分析用チップ1Aが反射防止膜25a,85aを備えているために分析用チップ1Aの光透過部7の表面を透過する光の反射を防ぐことができ、また、分析用チップ1Aが傷防止膜25b,85bを備えているために分析用チップ1Aの光透過部7の表面に傷がつくことを防止することができる。これにより、液体検体Fsを効率よく且つ精度良く行なうことができる。
【0093】
また、分離装置502を備えているので、酵素やたんぱく質等の所定物質を予め分離装置によって純粋な物質ごとに分離することができる。このため、純粋な物質となった所定物質を分析することができ、より正確な分析を行うことができる。
【0094】
さらに、後分析装置503を備えているので、一度の分析操作によって多くのデータを得ることができ、液体検体Fsをより多面的に分析することが可能となる。
【0095】
なお、本実施形態では分析用チップとして第1実施形態で説明した分析用チップ1と共通の構成を有する分析用チップ1Aを用いたが、分析用チップはこれと同一のものでなくても良く、他の構成を有する分析チップを用いてもよいことは言うまでもない。
【0096】
また、分析部501は、化学発光、生物発光、電気化学発光、蛍光、RI(放射性同位体分析)など、光透過部7を通じて反応部6からの光の検出や測定を行なうことで分析を行なう分析手法であれば、表面プラズモン共鳴以外の手法により分析を行なうものであってもよい。また、分析部501は上記手法のうちの1種の手法により分析を行なうものでも良く、2種以上の手法を組み合わせて分析を行なうものでもよい。さらに、分析部501が表面プラズモン共鳴以外の分析手法を用いて分析を行なうものである場合でも、適宜、上述した分析装置と同様に、分離装置502及び後分析装置503を備えて構成することができる。
【0097】
例えば、分析部501が蛍光により分析を行なうものである場合には、基板4に金属層41及び回折格子42は形成されていないほかは、上述した第1実施形態で用いた分析用チップ1と同様の構成を有する分析用チップ1Aを用いる。また、上述したように、分析用チップ1Aの上流側に分離装置502を備え、且つ、分析用チップ1Aの下流側に後分析装置503を備える。これにより、分析用チップ1Aが反射防止膜25a,85aを備えているために分析用チップ1Aの光透過部7の表面を透過する光の反射を防ぐことができ、また、分析用チップ1Aが傷防止膜25b,85bを備えているために分析用チップ1Aの光透過部7の表面に傷がつくことを防止することができ、このため、液体検体Fsを効率よく且つ精度良く行なうことができる。さらに、分離装置502及び後分析装置503を備えるので、表面プラズモン共鳴により分析を行なう分析部501を用いた場合と同様、多面的に正確な分析を行なうことができる。
【0098】
また、分析時には通常、蓋部2側から励起光を照射して蓋部2側から蛍光の検出を行なう。ただし、表面プラズモン共鳴により分析を行なう場合と同様に、分析用チップ1の背面側、即ち、基板4側から励起光を照射し、基板4側で蛍光を検出し、分析を行なうこともできる。なお、この場合には基板4が光透過部7を構成するのである。したがって、この場合には図14に示すように、基板4の外側表面及び流路5側表面に、第1実施形態と同様、光の透過を許容しながら光透過部7の表面を保護しうる保護層45(この保護層45は反射防止層及び傷防止層からなる)を形成する。なお、図14中、図1〜13で用いた符号と同じ符号は、同様のものを示す。
【0099】
また、分析用チップ1Aの蓋部2側から励起光を照射して基板4側で蛍光を検出したり、逆に基板4側から励起光を照射して蓋部2側で蛍光を検出することも可能である。この場合には、蓋部2、プレート8、及び、基板4がいずれも光透過部7を構成するので、図15に示すように、第1実施形態と同様に、光の透過を許容しながら光透過部7の表面を保護しうる保護層25,85,45(これらの保護層25,85,45はそれぞれ反射防止層及び傷防止層からなる)を蓋部2の外側表面、プレート8の流路5側表面、及び、基板4の外側表面及び流路5側表面にそれぞれ形成する。なお、図15中、図1〜14で用いた符号と同じ符号は、同様のものを示す。
【0100】
また、例えば、分析部501が化学発光や生物発光により分析を行なうものである場合には、蛍光により分析を行なう分析部501を用いる場合と同様、基板4に金属層41及び回折格子42は形成されていないほかは、上述した第1実施形態で用いた分析用チップ1と同様の構成を有する分析用チップ1Aを用いる。また、上述したように、分析用チップ1Aの上流側に分離装置502を備え、且つ、分析用チップ1Aの下流側に後分析装置503を備える。なお、化学発光や生物発光においては、通常励起光の照射は不要である。これにより、分析用チップ1Aが反射防止膜25a,85aを備えているために分析用チップ1Aの光透過部7の表面を透過する光の反射を防ぐことができ、また、分析用チップ1Aが傷防止膜25b,85bを備えているために分析用チップ1Aの光透過部7の表面に傷がつくことを防止することができ、このため、液体検体Fsを効率よく且つ精度良く行なうことができる。さらに、分離装置502及び後分析装置503を備えるので、表面プラズモン共鳴により分析を行なう分析部501を用いた場合と同様、多面的に正確な分析を行なうことができる。
【0101】
また、例えば、分析部501が電気化学発光により分析を行なうものである場合には、基板4に電極を設けたほかは、蛍光や化学発光により分析を行なう分析部501を備える分析装置と同様の分析用チップ1Aを用いる。また、上述したように、分析用チップ1Aの上流側に分離装置502を備え、且つ、分析用チップ1Aの下流側に後分析装置503を備える。これにより、分析用チップ1Aが反射防止膜25a,85aを備えているために分析用チップ1Aの光透過部7の表面を透過する光の反射を防ぐことができ、また、分析用チップ1Aが傷防止膜25b,85bを備えているために分析用チップ1Aの光透過部7の表面に傷がつくことを防止することができ、このため、液体検体Fsを効率よく且つ精度良く行なうことができる。さらに、分離装置502及び後分析装置503を備えるので、表面プラズモン共鳴により分析を行なう分析部501を用いた場合と同様、多面的に正確な分析を行なうことができる。
【0102】
ただし、電気化学発光により分析を行なう分析部501を用いた場合には、基板4に電極を設けられていることに注意すべきである。電極が不透明の素材で形成されている場合には、たとえ基板4を透明な素材で形成していても基板4を光透過部7として基板4側から電気化学発光の検出を行なうことは難しい。ただし、電極が透明な素材(例えばITO)で形成されている場合や、不透明な素材で形成されているが極薄い薄膜状に形成されていることによって光が透過できる場合には、基板4側から光の照射、検出を行なうことも可能である。
【0103】
(3)その他
なお、本発明の分析用チップは、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
例えば、上述した実施形態では、光の透過を許容しながら光透過部7の表面を保護しうる保護層25,85,45(これらの保護層25,85,45は反射防止層及び傷防止層からなる)を光透過部7の外側表面及び流路5側表面の両面に設けたが、どちらか片面のみに設けてもよい。
また、図16に示すように、分析用チップ1の全表面、即ち、蓋部材2、プレート8,9、及び、基板4の全表面に、光の透過を許容しながら光透過部7の表面を保護しうる保護層25,85,95,45(これらの保護層25,85,95,45はそれぞれ反射防止層及び傷防止層からなる)をそれぞれ設けてもよい。なお、図16中、図1〜15で用いた符号と同じ符号は、同様のものを示す。
【0104】
また、上記実施形態では反射防止層25a,85aを単層AR層として形成したが、反射防止層25a,85aは他の構成としてもよい。例えば、図17に示すように、反射防止層25aを屈折率の異なる複数の層24a,24bを有する複層AR層として形成してもよい。単一の層では最適な屈折率を有する素材が存在しないような場合には、このように屈折率の異なる複数の層24a,24bを組み合わせて複層AR層とすることによって、複層AR層全体として最適な屈折率にすることができるという利点がある。なお、図17中、図1〜16で用いた符号と同じ符号は、同様のものを示す。
【0105】
また、反射防止層25a,85aを、単層AR層の代わりにノングレア層として構成してもよい(図3(d)のノングレア層24c,84c参照)。
また、光の透過を許容しながら光透過部7の表面を保護しうる保護層25,85,45を、反射防止層25a,85a又は傷防止層25b,85bのいずれか一方のみで形成してもよい。
【0106】
また、光透過部7の位置や大きさは任意であり、例えば図18に示すように、蓋部2及びプレート8の一部を窓状に透明に形成してその窓を光透過部7としてもよい。なお、図18中、図1〜17で用いた符号と同じ符号は、同様のものを示す。
さらに、光透過部は透明でなくても良く、分析に用いる波長の光を透過させることができればよい。
【0107】
また、上述した実施形態では、流路5を、開口部を有するプレート9を蓋部2と基板4との間に介装して形成しているが、蓋部2及び/又は基板4に流路5を直接形成してもよい(図9参照)。蓋部2や基板4に、流路5を形成する方法としては、例えば、機械加工,射出成型や圧縮成型に代表される転写技術,ドライエッチング(RIE,IE,IBE,プラズマエッチング,レーザーエッチング,レーザーアブレーション,ブラスト加工,放電加工,LIGA,電子ビームエッチング,FAB),ウエットエッチング(化学浸食)、光造形法などがある。
【0108】
また、チップ1本体を、図19に示すように、流路5をそなえ、且つ、蓋部2と基板4とに分割構造とすることなく一体に形成することも、光造形やセラミックス敷詰等の一体成型、各種物質を層状にコート,蒸着,スパッタリング,堆積し部分的に除去することにより微細構造物を形成するSurface Micro−machining等により可能である。なお、図19中、図1〜18で用いられた符号と同じ符号は、同様の物を示す。また、図19においては、流路5及び反応部6は、すべて蓋部2に形成されている。
【0109】
また、上記実施形態では、液体検体Fsを輸送するための手段を、送液ポンプにより構成したが、液体検体Fsの輸送手段はこれに限定されず、送液ポンプ以外の圧力式のものは勿論、流路5に電場を加えることにより液体検体Fsの流れ(電気浸透流れ)を生起させるようにしてもよいし、さらに、これらに毛細管現象による輸送を組み合わせても良い。
【0110】
また、上記の説明では流路5にスリット状流路9aや集合流路部81,82を形成した分析用チップ1,1Aを用いて本発明の実施形態を説明したが、本発明の特徴である保護層25,45,85は、上記のスリット状流路9aや集合流路部81,82が形成されていない分析用チップについても適用できる。
【0111】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の分析用チップによれば、液体検体を効率的に且つ精度良く分析することができるほか、次のいずれかの効果を得ることができる。
(1)光を用いた分析を行なう場合に光路上における分析に悪影響を及ぼす反射を防止することができる。
(2)光を用いた分析を行なう場合に光路上の傷による光の散乱を防止することができる。
(3)液体検体の少量化を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての分析用チップを用いたSPRセンサのシステムを、分析用チップの一部を破断して示す模式的なシステム構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる分析用チップにおける、蓋部の一部を破断して示す模式的な分解斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる分析用チップを説明する図であり、(a)は図1のY−Y断面図、(b)は図1のX1−X1断面図、(c)は図1のX2−X2断面図、(d)は図3(a)のIIId部の拡大図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる分析用チップを説明する図であり、(a)はその蓋部の上面図、(b)はその第1のプレートの下面図、(c)はその第2のプレートの上面図、(d)はその基板の上面図である。
【図5】液体検体の流れ方向の定義を説明するための模式図である。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる分析用チップの作成方法を説明するための図である。
【図7】(a)は従来のシート形状の空間内に形成された流路を模式的に示す平面図、
(b)は本発明の第1実施形態としての分析用チップのスリット状流路を模式的に示す平面図である。
【図8】本発明の第1実施形態の第1変形例を示す模式的な図であり、(a)は蓋部の下面図、(b)は中間プレートの上面図、(c)は基板の上面図である。
【図9】本発明の第1実施形態の第2変形例を示す図であり、(a)は蓋部の下面図、(b)は基板の上面図である。
【図10】本発明の第1実施形態の第3変形例を示す模式的な図であり、(a)は蓋部の上面図、(b)は中間プレートの上面図、(c)は基板の上面図である。
【図11】本発明の実施形態にかかる分析用チップを示す模式的な分解斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態にかかる分析装置を説明する図である。
【図13】本発明の第2実施形態の第1変形例を説明するための断面図である。
【図14】本発明の第2実施形態の第2変形例を説明するための断面図である。
【図15】本発明の第2実施形態の第3変形例を説明するための断面図である。
【図16】本発明の別の実施形態を説明する断面図である。
【図17】本発明の別の実施形態を説明するため、要部を拡大して示す断面図である。
【図18】本発明の別の実施形態にかかる分析用チップの斜視図である。
【図19】本発明の別の実施形態にかかる分析用チップの分解斜視図である。
【図20】従来の蛍光分析例を説明するための図である。
【符号の説明】
1,1A 分析用チップ
2 蓋部
4 基板
5,5′ 流路
5a 流路5の横断面の長辺
5b 流路5の横断面の短辺
6 反応部
7 光透過部
8 プレート(中間プレート)
9 プレート(中間プレート)
9a スリット状孔(スリット状流路)
9b 仕切壁
21 孔
22 孔
21′,22′,46,47 溝部(凹部)
25,45,85,95 保護層
25a,85a 反射防止層
24a,24b 複層AR層(反射防止層)
24c,84c ノングレア層(反射防止層)
25b,45,85b 傷防止層
41 金属層
42 回折格子
46,47 溝部(凹部)
61 特定物質
81,82 孔
81x 孔81の上流端部
82x 孔82の下流端部
91 スリット状孔9aの上流端部
92 スリット状孔9aの下流端部
91′,92′ 孔
100 光源
101 検出器
501 分析部
502 分離装置
503 後分析装置
Fs 液体検体
S 固−気−液の三相境界線
201 気泡
W 流路幅

Claims (11)

  1. 流路に液体検体を流通させて、所定物質と、該流路に固定される特定物質との相互作用に基づいて該液体検体に関する分析を行なうのに使用される分析用チップにおいて、
    該分析用チップの少なくとも一部が、該分析用チップの外側表面と、該分析用チップの流路側表面との間を光が透過することができる光透過部として形成され、
    該光透過部の表面に、光の透過を許容しながら該光透過部の表面を保護しうる保護層が形成されていることを特徴とする、分析用チップ。
  2. 該保護層が、該外側表面及び該流路側表面の少なくとも一方に形成されていることを特徴とする、請求項1記載の分析用チップ。
  3. 基板と、
    蓋部材と、
    上記の基板と蓋部材との間に介装され、上記の基板及び蓋部材の少なくとも一方と協働して上記流路を有するシート状空間を形成する少なくとも1枚の中間プレートとを備え、
    該光透過部が、上記の蓋部材及び中間プレートに形成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の分析用チップ。
  4. 基板と、
    該基板に対向して配設され、該基板と協働して上記流路を有するシート状空間を形成する蓋部材とを備え、
    該光透過部が、該蓋部材に形成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の分析用チップ。
  5. 該保護層が、光の反射を防止する反射防止層を含んで構成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分析用チップ。
  6. 該反射防止層が、該光透過部と異なる屈折率を有する層からなることを特徴とする、請求項5記載の分析用チップ。
  7. 該反射防止層が、屈折率の異なる複数層から構成されたことを特徴とする、請求項5又は6記載の分析用チップ。
  8. 該反射防止層が、ノングレア層であることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の分析用チップ。
  9. 該保護層が、傷防止層を有して構成されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の分析用チップ。
  10. 該保護層が、該分析用チップの表面に形成された該反射防止層と、該反射防止層の表面に形成された該傷防止層とを有して構成されていることを特徴とする、請求項9記載の分析用チップ。
  11. 該流路に該特定物質が固定される面を備え、
    該面に、
    光の照射によってエバネッセント波を生じさせる回折格子と、
    表面プラズモン波を誘起しうる金属層とが設けられていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の分析用チップ。
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