JP2005029918A - 合撚紡績糸及びその製造方法並びに織編物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一本の紡績糸の横断面が12〜24本のステープルから構成され、かつ該ステープルが単糸繊度0.5〜3.5dtexであり、前記紡績糸が複数本合撚されていることを特徴とする合撚紡績糸。製造方法として、精紡工程において、フロントローラの給糸側より熱水可溶性繊維を供給して、該熱水可溶性繊維との精紡交撚糸を作製し、該精紡交撚糸を複数本合撚した後、得られた合撚糸を熱水処理して該熱水可溶性繊維を除去することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紡績糸が複数本合撚されてなる合撚紡績糸及びその製造方法並びに該合撚紡績糸からなるシルクライク織編物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、紡績糸を用いたシルクライクな風合いを有する織編物が求められており、細番手糸使いの織編物がシルクライクに傾くことが知られている。しかし、実際にシルクライクと認められる風合いとするには、240番手(英式綿番手)クラスの紡績糸を用いなければならず、このクラスの紡績糸を安定して製造するには高いレベルの紡績技術が必要である。
【0003】
この状況を克服すべく、特定の織物設計を構築することで、シルクライクの風合いを綿織物で具現しようという試みがある(例えば、特許文献1参照)。
この綿織物には、特定の繊度及び特定の繊維長を有する綿ステープルからなる200番手クラスの綿紡績糸を双糸(2本合撚糸)にした紡績糸が用いられている。シルクライク綿織物とするには、構成糸がやや太いことから、特定のカバーファクターと共に曲げ,せん断などの特定物性が一定レベル以上となるよう織物設計に工夫が施されている。その結果、ソフトでドレープ感のあるシルクライク綿織物が得られる。
【0004】
一方、細番手化技術として、紡績糸横断面のステープル本数は、可紡性の観点から、あまり過少な場合は紡出が困難で、一般に紡出可能な最少ステープル本数は、紡績糸一本の横断面あたり35本程度である(例えば、非特許文献1参照)。したがって、これよりも横断面のステープル本数を少なくするには、一旦、横断面のステープル本数が35本以上存在するように熱水可溶性繊維を含有する混紡糸を作製し、製織編後の染色加工工程で該熱水可溶性繊維を溶解除去する方法を採用する(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−280125号公報(〔請求項1〕,〔0025〕)
【特許文献2】
特開2000−303307号公報(〔請求項2〕,〔0011〕,〔0015〕)
【非特許文献1】
「繊維便覧 加工編」丸善株式会社発行 昭和44年5月30日 P61
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1にかかる発明は、織物設計上の規制を受ける分、織物バリエーションに乏しいという問題を残している。
一方、特許文献2にかかる発明は、上記混紡糸の熱水可溶性繊維を製織編後の染色加工工程で溶解除去するものである。したがって、熱水可溶性繊維が溶解除去された織編物の構成糸を細くするには、混紡糸に占める熱水可溶性繊維の質量比率を増やす必要がある。しかし、この発明では、熱水可溶性繊維溶解除去後の構成糸の横断面を構成するステープル本数が30本未満になると織編物組織の滑脱を引き起こすという問題がある。既述の如く、織編物をシルクライクと認められる風合いにするためには、240番手(英式綿番手)クラスの紡績糸を用いなければならず、代表的な紡績糸である天然繊維紡績糸では、該紡績糸一本あたりの横断面を構成するステープル本数を30本未満にすることが望まれ、改良の余地が残されている。
【0007】
本発明は上記のような状況に鑑みて行われたもので、織編物設計の制約を受けずにシルクライク織編物を自在に製造しうる合撚紡績糸及び該合撚紡績糸を安定して製造する方法、並びに該合撚紡績糸を使用して、織編物組織の滑脱がなく、ソフトでナチュラル感を有するシルクライク織編物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、綿などのステープルと熱水可溶性繊維との精紡交撚糸を作製し、該精紡交撚糸を複数本合撚した後、熱水処理により熱水可溶性繊維を除去した合撚紡績糸とすれば、紡績糸一本あたりの横断面のステープル本数が少なくても滑脱が防止でき、シルクライクの風合いも得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の内容を要旨とする。
(1)複数本の紡績糸が合撚されている合撚紡績糸であって、該紡績糸は、単糸繊度0.5〜3.5dtexのステープルからなり、該紡績糸一本あたりの横断面のステープル本数が12〜24本であることを特徴とする合撚紡績糸。
本発明では該合撚紡績糸の好ましい製造方法として、以下の態様が含まれる。
(2)精紡工程において、フロントローラの給糸側より熱水可溶性繊維を供給して、該熱水可溶性繊維との精紡交撚糸を作製し、該精紡交撚糸を複数本合撚した後、得られた合撚糸を熱水処理して該熱水可溶性繊維を除去することを特徴とする(1)記載の合撚紡績糸の製造方法。
また、本発明では下記合撚紡績糸使いの織編物も含まれる。
(3)前記(1)記載の合撚紡績糸を構成糸の一部とする織編物。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の合撚紡績糸は、紡績糸が複数本合撚されてなる合撚紡績糸である。該紡績糸を構成するステープルの単糸繊度は0.5〜3.5dtexであり、該紡績糸一本あたりの横断面のステープル本数は、12〜24本である。したがって、該紡績糸一本あたりの太さは、240〜360番手クラスである。
【0011】
また、該ステープルの種類は、該合撚紡績糸を構成糸の一部とする織編物がシルクライクの風合いを発現すれば特に限定されるものでない。一例を示せば、ポリエステル,ポリアミド,アクリルなどの合成繊維ステープル、トリアセテートなどの半合成繊維ステープル、ビスコースレーヨン,キュプラ,溶剤紡糸セルロース繊維などの再生繊維ステープル、もしくは綿,麻,羊毛などの天然繊維ステープルがあげられ、目的に応じこれらのステープルは単独又は複数混合されて用いられる。混合比率は、目的に応じ適宜設定してよいが、合撚紡績糸を構成糸の一部とする織編物へソフトでナチュラル感ある風合いを付与するため、該合撚紡績糸において、天然繊維ステープル及び/又は再生繊維ステープルが50質量%以上含有されるのが望ましい。
【0012】
次に、上記したステープルの単糸繊度及び平均繊維長について述べる。
ステープルの単糸繊度は、繊維の種類に依らず0.5〜3.5dtexであることが重要である。これは、0.5dtex未満になると、単糸繊度が細いため織編物の張り・腰感が乏しくなり、また、3.5dtexを超えると合撚紡績糸の剛性が増し、シルクライク織編物特有のふくらみ感が低減するためである。
平均繊維長については、一般に長いステープルほど細い紡績糸を紡出できることから、繊維の種類に依らず30mm以上が望ましい。
ここで、既述した繊維別に詳述すれば、綿は可紡性を考慮して単糸繊度0.9〜1.3dtex,平均繊維長35mmのいわゆる超長綿を用いるのが特に望ましい。可紡性とは、「ある原料の紡績可能な限界を番手で表したもの。可紡限界。」(「新繊維用語辞典」日本繊維機械学会発行 1975年5月30日発行 P146)を意味する用語である。一般に、細番手の綿糸を紡績するには超長綿が最も適しており、その可紡性は240番手付近とされている。
しかし、本発明では、後述する新規な精紡方法を採用することで、合撚紡績糸を構成する紡績糸の太さを、超長綿の可紡性を超える240〜360番手クラスとすることに成功したのである。
また、羊毛はいわゆる梳毛原料が望ましく、中でも可紡性と織編物の品位向上及び風合い向上を考慮して単糸繊度1.3〜3.5dtex,平均繊維長40〜110mmのメリノ種を用いるのが特に望ましい。
一方、その他の種類、すなわち麻,再生繊維各種,半合成繊維各種及び合成繊維各種にかかるステープルは、可紡性と織編物の風合い向上を考慮して単糸繊度0.5〜1.7dtex,平均繊維長30m〜76mmを用いるのが望ましい。
【0013】
次に、本発明の合撚紡績糸の構成を説明する。
本発明においては、合撚紡績糸を構成する紡績糸一本あたりの横断面におけるステープル本数は、12〜24本であることが重要である。
該横断面のステープル本数が12本未満になると、強度不足から紡績時及び/又は製織編時に糸切れや毛羽発生が多発する恐れがあるので好ましくなく、また24本を超えると、合撚紡績糸を構成する紡績糸が太くなり、織編物にした際シルクライク織編物特有の繊細な風合いが発現しづらくなるので好ましくない。
【0014】
そして、本発明の合撚紡績糸は、上記した、横断面が12〜24本のステープルからなる紡績糸が複数本合撚された構造となる。
これは、該紡績糸を単独で製織編に用いると、強度不足からステープルの滑脱による糸切れが多発するので、該紡績糸を複数本合撚することで強度の向上を図るためである。
該紡績糸の合撚本数は特に限定されないが、2〜4本程度が衣料用途として最も汎用性があり好ましい。
【0015】
該紡績糸の太さをA(英式綿番手)とし、該合撚本数をBとすると、本発明の合撚紡績糸の太さはAをBで除した値、すなわちA/B(英式綿番手)となる。
このA/Bを太さとする一本の紡績糸と、A/Bを太さとする一本の合撚紡績糸とは、糸条としての太さは同一であるが、織編物とした際に発現する風合いには明確な差が生じる。つまり、本発明の合撚紡績糸を構成する太さAの紡績糸は、非常に細いためシルクライク織編物を作りうる能力が具備されており、該紡績糸を複数本合撚した本発明の合撚紡績糸にも同じ能力が具備されているのである。
対して、一本の紡績糸の太さがA/Bである場合には、一本の紡績糸それ自体が多くのステープルからなり太いため、シルクライク織編物を作りうる能力が具備されてないのである。
【0016】
次に、本発明の合撚紡績糸を製造する方法について述べる。
本発明の合撚紡績糸においては、原料として、既述したステープルを単独あるいは目的に応じ複数混合して用いる。なお、複数のステープルを混合して用いる場合は、通常の原料混紡,ラップ混紡又はスライバー混紡で混合する。
準備された原料は、始めに混打綿工程へ投入される。この工程は、原料の調合,除塵,開繊などを目的とし、前記原料からなるラップを作製するものである。
次に、該ラップをカーディング工程及びコーミング工程へ順次投入し、スライバーとする。この2工程により除塵だけでなく短い繊維長のステープルも除去され、併せてステープル相互の平行度が向上する。本発明の合撚紡績糸の製造にあっては、この2工程において、短いステープルをできるだけ多く除去することが望ましい。
効率的かつ確実に短いステープルを除去するには、コーミング工程の回数を2〜3回とするのが望ましい。
すなわち、カードスライバーからリボンラップを作製するのと同じ要領で、コーマスライバーからリボンラップを作製して、該リボンラップを再びコーミング工程へ投入するのである。
【0017】
コーミング工程を経て得られたスライバーは、練条工程へ投入され均整化されたスライバーとなる。この工程は、コーミング工程で得られたスライバーをケンスから6〜8本程度引き出してダブリングし、ドラフトを与える工程であり、スライバーの均整度が向上する。
練条工程で得られたスライバーは、粗紡工程へ投入され、粗糸となってボビンに巻き取られ篠巻きの形となる。
【0018】
次に、粗糸を精紡工程に投入して、横断面のステープル本数が12〜24本の紡績糸を紡出するが、直接、該粗糸を精紡しようとしても、高ドラフトを施すため糸切れを生じやすい。
そこで、本発明の製造方法では、ポリビニルアルコール繊維(以下、PVA繊維と記す)などの熱水可溶性繊維と精紡交撚することにより、この問題を解決する。
つまり、精紡工程において、フロントローラの給糸側より熱水可溶性繊維を供給して、該熱水可溶性繊維との精紡交撚糸を作製し、該精紡交撚糸を複数本合撚した後、得られた合撚糸を熱水処理して該熱水可溶性繊維を除去するのである。
該PVA繊維は、一般に市販されているものを用いればよい。PVA繊維は、ポリ酢酸ビニルなどのビニルエステル系重合体のビニルエステル単位をケン化することで得られる平均重合度100〜3500のポリマーを湿式紡糸又は乾湿式紡糸して得られる繊維である。本発明では、PVAのホモポリマーであっても共重合単位を導入した変性PVAであってもよいが、特に「クラロンK−2(登録商標)(株)クラレ製」を用いるの
が、強度及び扱いやすさの面から好ましい。
当該精紡方法は、熱水可溶性繊維との精紡交撚という新規な方法により、精紡糸(精紡交撚糸)のトータル繊度が上がり、その結果、精紡糸に適度な強度が具備されるので、精紡工程の安定化が図れるのである。
【0019】
図1に、当該精紡方法の一例を概略図で示す。
粗糸1は、精紡機へバックローラーBの給糸側から供給され、所定のドラフトを与えられた後、フリース状繊維束3としてフロントローラーFへ供給される。また、熱水可溶性繊維2はフロントローラーFの給糸側から精紡機へ供給され、前記フリース状繊維束3と一緒にフロントローラーFの巻き取り側へ紡出される。
フロントローラーFの巻き取り側へ紡出された熱水可溶性繊維2及びフリース状繊維束3は、フロントローラーFの出口付近で合流して交撚糸4となり、さらにリングトラベラー5から加撚作用を受け、精紡交撚糸6となって木管7へ巻き取られる。該精紡交撚糸の精紡時の撚係数K(K=T/S1/2 ただし、T:1吋間の撚数 S:精紡交撚糸の番手(英式綿番手))は、3.0〜5.0の範囲が好ましい。3.0未満では、精紡交撚糸6に含まれるステープルの収束不足のため、後述する精紡交撚糸6の合撚工程で毛羽を発生する恐れがあり好ましくない。逆に5.0を超えると精紡交撚糸6にビリが発生しやすくなるので好ましくない。
【0020】
なお、熱水可溶性繊維2としては、熱水溶解温度が70〜95℃のものを用いるのが望ましい。70℃未満では、特に夏季の生産工場においては、該熱水可溶性繊維が湿気に溶出する場合があり保管・取扱いに重大な支障をきたす恐れがある。また95℃を超えると、後述の熱水処理において、常圧では溶出が不十分なため、高圧処理設備が必要となり、その分コストがかかるだけでなく、該熱水処理が高温になるほど合撚紡績糸へ過度な熱履歴を与えることになり、織編物の風合いを損なう恐れがある。
また、熱水可溶性繊維の形状は長・短繊維のいずれでもよい。そして、熱水可溶性繊維が精紡交撚糸中に占める質量割合は、50〜85質量%であることが好ましい。これは、該熱水可溶性繊維の重量割合が50質量%未満になると、実質的に該熱水可溶性繊維が240〜360番手クラスよりも細くなるため、精紡時の糸掛け作業が行ないづらく生産効率を低下させる場合があり、また85質量%を超えると溶出ムラを誘発する場合があるからである。
【0021】
以上のようにして得られた精紡交撚糸は複数本合撚され、得られた合撚糸を熱水処理して本発明の合撚紡績糸となる。
合撚方法は公知法に準ずればよく、一例を示せば、必要本数をクリールに立て合撚機にて合撚する、あるいはワインダーで必要本数を引き揃えた後、ダブルツイスターで追撚する方法があげられる。合撚の撚係数は特に限定されず、織編物にシャリ感を付与したければ強撚領域がよく、ソフト感を強調したければ中〜甘撚領域がよい。
得られた合撚糸は、カセもしくは低硬度パッケージなどの形状に巻き返された後、沸水へ浸漬するなどの熱水処理によって熱水可溶性繊維が溶解除去され、本発明の合撚紡績糸となるのである。
【0022】
さらに、本発明の合撚紡績糸を使った織編物の製造方法について詳説する。
まず、織編物の構成にあたり、本発明の合撚紡績糸は、本発明の効果を損なわない限りにおいては、本発明の合撚紡績糸と、該合撚紡績糸と構成素材の異なる糸条とを複合した糸条を用いてもよい。複合手段は合撚,混繊など公知法に準ずればよく、時期は精紡から熱水処理後に至るいずれで段階であっても構わない。
また、本発明の効果を充分に得るためには、該合撚紡績糸が織編物全体の40質量%以上、さらには50質量%以上占めるように構成するのが好ましい。40質量%未満では、該合撚紡績糸から受ける細く繊細な風合いが充分に織編物上に反映されないからである。
【0023】
製織工程においては、本発明の合撚紡績糸は、単独もしくは上記のような態様にて経緯の少なくとも一方に使用される。目的に応じ、他糸との交織,配列は任意に行ってよい。準備工程に関しては、精紡時の加撚と合撚時の加撚との和が甘撚領域の場合はサイジングすることが好ましく、それ以外は標準条件でよい。織機機種は、合撚紡績糸への力学的ダメージを少なくするため、低速レピア織機あるいはフライ織機が望ましい。
また、織物組織は、目的に応じ選択可能であり、特に限定されない。さらに、密度は、多くのシルクライク織物と同様、ソフト感を発現させるため、織物組織に滑脱が生じない程度にやや甘目で設定するのが望ましい。
一方、製編工程も、製織工程同様、標準条件で対応可能である。
【0024】
製織編された生機は、必要に応じて精練もしくは染色加工される。加工条件は、用いた繊維の種類により異なるが、その繊維からなる一般の織編物に適用される標準条件を採用すればよい。
染色加工後は、用途に応じ、プリーツ加工や形態安定加工などを施して織編物の機能性をさらに向上させることもできる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
平均繊度1.14dtex,平均繊維長36mmの綿ステープルを混打綿,カーディング,コーミングの各工程へ順次投入し、220ゲレン/6ヤードのスライバーを得た。
次に、得られたスライバーを練条工程へ投入して120ゲレン/6ヤードのスライバーとし、このスライバーを粗紡機へ投入し40ゲレン/30ヤードの粗糸を得た。
得られた粗糸1を、図1に示す精紡機のバックローラーBの給糸側から精紡機へ供給し、48倍のドラフトを与えてフリース状繊維束3としてフロントローラーFの巻き取り側へ紡出した。
一方、熱水可溶性繊維2としてPVA繊維(「クラロンK−2(登録商標)」(株)クラレ製)80番手をフロントローラーFの給糸側から精紡機へ供給し、フロントローラーFの巻き取り側へ前記フリース状繊維束3と同時に紡出した。
紡出されたフリース状繊維束3とPVA繊維とをフロントローラーFの出口付近で合流させて交撚糸4とし、さらにリングトラベラー5によって撚り係数4.0の加撚作用を与え、精紡交撚糸6として木管7へ巻き取った。
次に、得られた精紡交撚糸3本を合撚機で合せ、ダブルツイスターで追撚して合計撚数45T/吋の3子糸とした。次いで得られた3子糸をカセに巻き返し、100℃×20分で沸水処理を行い、前記PVA繊維を除去して、300番手3子糸である本発明の合撚紡績糸を得た。該合撚紡績糸の横断面を光学顕微鏡で観察したところ、該合撚紡績糸の横断面は、横断面が17本のステープルから構成される紡績糸が3本撚り合わされた構造であることが確認できた。
【0026】
次に、得られた300番手3子糸を経緯に用い、フライ織機にて経糸密度230本/吋,緯糸密度210本/吋の5枚サテン組織の生機を製織した。
得られた生機に、通常の綿織物と同様の工程、すなわち、糊抜き/精練,漂白,シルケット,乾燥及びファイナルセットを施して、経糸密度244本/吋,緯糸密度214本/吋の本発明の織物を得た。
得られた織物は織物組織の滑脱がない、ソフトでナチュラル感のあるシルクライク織物であった。この織物を布団の側地にしたところ、仕立て映えがよく、軽量感に優れ快適に使用できた。
【0027】
(比較例1)
精紡の際に粗糸へ与えるドラフトを34倍に変更する以外は実施例1と同条件にて精紡交撚糸を得た。
得られた精紡交撚糸2本を合撚機で合せ、ダブルツイスターで実施例1と同じ撚係数の双糸を得た後、実施例1と同条件で沸水処理を行って紡績糸を得た。得られた紡績糸は210番手双糸であり、該紡績糸の横断面を光学顕微鏡で観察したところ、該紡績糸の横断面は、横断面が25本のステープルから構成される紡績糸が2本撚り合わされた構造であることが確認できた。
次に、得られた紡績糸を経緯に用い、フライ織機にて、実施例1と同様の組織・経緯密度で生機を製織した。
さらに、得られた生機に、実施例1と同様の工程で染色加工を施して経糸密度248本/吋,緯糸密度216本/吋の織物を得た。
得られた織物は、シルクライク織物特有の繊細な風合いに欠け、光沢も実施例1で得られた織物と比べ劣るものであった。
【0028】
(比較例2)
実施例1で用いたコーミング工程上がりのスライバーを練条工程へ投入して90ゲレン/6ヤードのスライバーとし、このスライバーを粗紡機へ投入し30ゲレン/30ヤードの粗糸を得た。
得られた粗糸を、実施例1と同様に図1に示す精紡機のバックローラーBの給糸側から精紡機へ供給し、57倍のドラフトを与えてフリース状繊維束3としてフロントローラーFの巻き取り側へ紡出した。
一方、熱水可溶性繊維2として実施例1で用いたPVA繊維をフロントローラーFの給糸側から精紡機へ供給し、フロントローラーFの巻き取り側へ前記フリース状繊維束3と同時に紡出した。
紡出されたフリース状繊維束3とPVA繊維とをフロントローラーFの出口付近で合流させて交撚糸4とし、さらにリングトラベラー5によって撚係数3.5の加撚作用を与え、精紡交撚糸6として木管7へ巻き取った。この精紡交撚糸6の横断面における綿ステープル本数は11本であった。
しかし、当該精紡工程では、PVA繊維とフリース状繊維束3とがフロントローラーFの出口付近で合流して交撚糸4となって以降木管7へ巻き取られるまでの間において、1時間400錘当り158回の糸切れを起こし、精紡工程として著しく操業性に劣るものであった。
また、得られた精紡交撚糸3本を合撚機で合撚することも試みたが、1時間72錘当り77回の糸切れを起こし、これ以上製造を続けても高品質の合撚紡績糸は得られないと判断し、製造を中止した。
【0029】
【発明の効果】
本発明の合撚紡績糸を製造する方法は、熱水可溶性繊維との精紡交撚糸を作製して該精紡交撚糸を複数本合撚した後、熱水可溶性繊維を除去する方法を採るので、製造中にステープルの滑脱による糸切れを起こすことがなく、構成ステープル本数が少ない紡績糸が撚り合わされた本発明の合撚紡績糸を生産性よく製造することができる。
本発明の合撚紡績糸は、織編物設計の制約を受けずにシルクライク織編物が製造できるものであり、これを用いて得られた織編物は、織編物組織の滑脱がなく、ソフトでナチュラル感に優れ、布団の側地や婦人インナーなどに好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の合撚紡績糸を製造するにあたり、好ましい精紡方法の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 粗糸
2 熱水可溶性繊維
3 フリース状繊維束
4 交撚糸
5 リングトラベラー
6 精紡交撚糸
7 木管
B バックローラー
F フロントローラー
Claims (3)
- 複数本の紡績糸が合撚されている合撚紡績糸であって、該紡績糸は、単糸繊度0.5〜3.5dtexのステープルからなり、該紡績糸一本あたりの横断面のステープル本数が12〜24本であることを特徴とする合撚紡績糸。
- 精紡工程において、フロントローラの給糸側より熱水可溶性繊維を供給して、該熱水可溶性繊維との精紡交撚糸を作製し、該精紡交撚糸を複数本合撚した後、得られた合撚糸を熱水処理して該熱水可溶性繊維を除去することを特徴とする請求項1記載の合撚紡績糸の製造方法。
- 請求項1記載の合撚紡績糸を構成糸の一部とする織編物。
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