JP2005028665A - 注液ノズル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】連結流路6を介して拡散流路7に導入された原料液は、拡散流路7で幅方向Wに均一に拡げられ、均一な圧送力を有する状態で多数の平行流路からなる各導出流路9に導入されて整流され、例えば直径5mmの丸形の各導出口11からセル内へまんべんなく注液される。注液後に、注液ノズル1をセル外へ移動させるときには、注液ノズル1内の各導出流路9に残存する原料液がその表面張力によって各導出流路9に保持されるので、導出口11からの液だれが生ずることがない。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は例えばアクリルシート製造原料を成形用のセルに注ぐために用いられる注液ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
鋳型重合は、鋳型にモノマー(単量体)またはオリゴマー(2量体、3量体等)を注液し、注液されたモノマー等を鋳型内で重合させて、目的形状の成形体を成形する方法である。
鋳型としては、例えば間隔をあけて配置された一対の基板の対向する周縁間をゴムパッキン等で封止したものを例示することができる。この場合、鋳型の一対の基板間に区画される成形用キャビティ内へモノマー等を注入することで、板状の成形体が成形される。
【0003】
鋳型へのモノマー等の注液には、注液ノズルが用いられる。注液ノズルの先端部は薄板状をなし、縦が0〜1mmで横が100〜400mm程度の細長い矩形スリット状をなす導出口を形成している。
注液ノズルには配管を通じてモノマー等が供給されるが、配管に設けられたバルブを閉じることにより、モノマー等の供給が停止される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の注液ノズルでは、バルブを閉じた後にも、注液ノズル内に残留するモノマー等が上記の細長矩形状の導出口からキャビティ内に流れ落ちるいわゆる液だれを生ずるという問題がある。このため、所望量のモノマー等を精度良く鋳型内に注入することが困難であった。
また、注液後に、注液ノズルを鋳型の外に移動させるときにも、注液ノズルの先からモノマー等が流れ落ちて、鋳型の端部付近に付着し、次回の成形工程で製造される成形体に品質欠陥を生ずるおそれがある。
【0005】
これを防止するために、鋳型の端部付近に付着したモノマー等を除去する清掃作業を実施することが考えられるが、製造工程が複雑になり、コストアップになる。
すなわち、成形が終了すると、鋳型を分解して、一対の基板を解放し、成形体を取り出した後、再び鋳型を組み立てて、次回の成形工程に用いるが、鋳型を再組立する前に、上記の清掃作業をしなければならず、工程が増加するからである。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、注液停止後にも液だれの生じない注液ノズルを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するため、本発明は、ハウジングの幅方向に対して直交すると共に厚み方向に対して直交する導出方向へ原料液を導出して鋳型重合用セルに注入するための注液ノズルであって、上記ハウジング内に、配管経路への連結流路と、この連結流路から上記導出方向に向かうにしたがって幅方向に末広がり状に拡がると共に厚み方向に狭まる拡散流路と、この拡散流路から上記導出方向に向けて互いに平行に延び、幅方向に横並びの列をなして配列される複数の導出流路と、各導出流路の一端において開放している導出口とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
本発明では、セルへの注液に際して、配管経路から連結流路を介して拡散流路に導入された原料液は、当該拡散流路で幅方向に均一に拡げられ、均一な圧送力を有する状態で平行流路からなる各導出流路に導入されて整流され、各導出口からセル内へまんべんなく注液される。
注液後に、本注液ノズルをセル外へ移動させるときには、注液ノズル内の各導出流路に残存する原料液がその表面張力によって各導出流路に保持されるので、導出口からの液だれが生ずることがない。したがって、液だれに起因する成形体の品質欠陥の発生を防止することができる。また、セルに付着する液だれ痕の清掃作業をする必要がないので、工程の削減を通じて製造コストを安くすることができる。
【0009】
また、上記導出口の断面は丸形、好ましくは円形であることが、原料液の表面張力を有効に利用して液だれを確実に防止するうえで好ましい。
また、上記導出口の直径は3〜5mmの範囲に設定されることが好ましい。直径Dが3mm未満では、圧力が過大となって流量の低下を招き、5mmを超えると液だれを生ずるおそれがあるからである。直径を3〜5mmの範囲に設定することにより、十分な流量を確保しつつ液だれを防止することが可能となる。
【0010】
また、上記拡散流路に原料液の圧送力を高めるための絞り部が設けられることが好ましい。これにより、原料液を拡散流路の隅々まで均一に拡散させた状態で導出流路に供給でき、原料液内に液だれの原因ともなる空隙が発生することを防止することができる。
特に、メチルメタクリレートの単量体を含む原料液としてのアクリルシロップを鋳型重合用セルとしてのアクリルシート成形用セルに注入する注液ノズルとして好適に用いることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施の形態の注液ノズルと鋳型重合用セルの斜視図である。図1を参照して、アクリルシート製造のための鋳型重合用セルCでは、相対向する平行な一対の矩形状基板20,30間の対向周縁間に略四角環状をなすパッキン40を介在させて基板20,30間を封止することにより、成形用キャビティ50を区画している。基板20,30はガラス又はステンレスからなる。
【0012】
パッキン40の欠如部により構成される注入口60内へ本注液ノズル1の先端部を差し込み、注液ノズル1から原料液をキャビティ50内へ注液し、重合させて成形体を成形する。
本実施の形態では、アクリルシートを製造するためのセルC内へ、メチルメタクリレートの単量体を含む原料液としてのアクリルシロップを注入するための注液ノズル1に則して説明する。なお、メチルメタクリレートの単量体を含む原料液は、メチルメタクリレートと共重合し得る他の単量体を含んでいても良い。また、メクルメタクリレート及びこれと共重合し得る単量体との共重合体を含んでいても良い。
【0013】
図2は注液ノズル1の一部破断平面図であり、図3は注液ノズル1の側断面図である。図2および図3を参照して、本注液ノズル1は、内部に流路Rを区画する例えばステンレスからなるハウジング2を備え、上記流路Rを介して原料液を所定の導出方向Xに沿って導出して、アクリルシート製造用のセルC内へ注入するためのものである。導出方向Xは、ハウジング2の幅方向W(図2参照)および厚み方向T(図3参照)に直交する方向である。
【0014】
上記ハウジング2は、直管状のパイプ3と、このパイプ3に連なるフィッシュテール状の主体部4とを備える。
パイプ3は本注液ノズル1に原料液を供給するためのフレキシブルホース等の配管経路5に連結可能である。この配管経路5には原料液の供給を停止するための開閉バルブVが設けられる。パイプ3内に配管経路5への連結流路6が区画される。
【0015】
主体部4は、連結流路6に連なる拡散流路7を区画する拡散部8と、拡散流路7に連なる多数の導出流路9を区画する導出部10とを備える。各導出流路9は導出方向Xに沿って延び、先端に断面丸形、好ましくは円形の導出口11を開口している。連結流路6、拡散流路7および多数の導出流路9を連ねて流路Rが構成される。
拡散部8は、図2に示す平面視において導出方向Xに向かうにしたがって幅方向Wに末広がり状に拡がる略台形状をなし、図3に示す側面視において導出方向Xに向かうにしたがって厚み方向Tに狭まる先細り状をなす。拡散部8の内部に形成される拡散流路7に関しても、拡散部8と同様に、導出方向Xに向かうにしたがって幅方向Wに末広がり状に拡がり且つ厚み方向Tに狭まる形状をなす。
【0016】
拡散流路7は図3に示す厚み方向Tに関してみると、連結流路6に連なる部分7aで残りの部分7bよりも急激に流路を狭めて圧送力を高めるための絞り部12を設けている。この絞り部12の働きにより、原料液を幅方向Wに均一に拡散させた状態で各導出流路9に供給でき、原料液中に液だれの原因ともなる空隙が生じないようにしている。
各導出流路9は、拡散流路7から導出方向Xに平行に延びる。これらの導出流路9ないし導出口11は、導出部10の端面図である図4に示すように、幅方向Wに等間隔で並ぶ横並びの1ないし複数の列をなして配列される。導出口11は円形等の断面丸形に形成される。
【0017】
導出部10の厚みt1が例えば5.5mmである場合に、円形である場合の各導出口11の直径Dは例えば4mmに設定される。導出口11の直径Dが4mmの場合、導出口11の中心間ピッチPは例えば5mmに設定される。導出部10の幅が例えば300mmである場合には、導出口11が60個配列されることになる。
導出口11の直径Dとしては、3〜5mmの範囲が好ましい。直径Dが3mm未満では、圧力が過大となって流量の低下を招き、5mmを超えると液だれを生ずるので、導出口11の直径Dを上記の範囲に設定することが好ましい。
【0018】
また、導出流路9の導出方向Xの長さとしては、液だれを防止できる点で80mm以上であることが、製作が容易である点で150mm以下であることがそれぞれ好ましい。
本実施の形態によれば、セルCへの注液に際して、配管経路5から連結流路を介して拡散流路7に導入された原料液は、当該拡散流路7で幅方向Wに均一に拡げられ、均一な圧送力を有する状態で平行流路からなる各導出流路9に導入されて、各導出口11からセルC内へまんべんなく注液される。
【0019】
注液後に、本注液ノズル1をセルC外へ移動させるときには、注液ノズル1内の各導出流路9に残存する原料液がその表面張力によって各導出流路9に保持されるので、導出口11からの液だれが生ずることがない。したがって、液だれに起因する成形体の品質欠陥の発生を防止することができ、製品の不良率を低減することができる。
また、セルCが液だれ痕で汚れないので、液だれ痕の清掃作業をする必要がなく、工程の削減を通じて製造コストを安くすることができる。
【0020】
特に、上記導出流路9および導出口11の断面は丸形とすることで、原料液の表面張力を有効に利用して液だれを確実に防止することができる。
特に、メチルメタクリレートの単量体を含む原料液としてのアクリルシロップを鋳型重合用セルとしてのアクリルシート成形用のセルCに注入する注液ノズル1として用いることで、品質欠陥の少ないアクリルシートを安価に製造することが可能となる。
【0021】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば導出口11を複数列配列する場合に、図5に示すように、千鳥状に配列することで、導出部10の端面の面積に占める導出口11の面積の割合を向上させることができ、小型でも十分な流量の得られる注液ノズル1とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の注液ノズルと鋳型重合用のセルの概略斜視図である。
【図2】注液ノズルの一部破断平面図である。
【図3】注液ノズルの側断面図である。
【図4】注液ノズルの導出部の端面図である。
【図5】本発明の別の実施の形態の注液ノズルの導出部の端面図である。
【符号の説明】
1 注液ノズル
2 ハウジング
3 パイプ
4 主体部
5 配管経路
6 連結流路
7 拡散流路
8 拡散部
9 導出流路
10 導出部
11 導出口
12 絞り部
C セル
D 直径
X 導出方向
W 幅方向
T 厚み方向
Claims (5)
- ハウジングの幅方向に対して直交すると共に厚み方向に対して直交する導出方向へ原料液を導出して鋳型重合用セルに注入するための注液ノズルであって、
上記ハウジング内に、
配管経路への連結流路と、
この連結流路から上記導出方向に向かうにしたがって幅方向に末広がり状に拡がると共に厚み方向に狭まる拡散流路と、
この拡散流路から上記導出方向に向けて互いに平行に延び、幅方向に横並びの列をなして配列される複数の導出流路と、
各導出流路の一端において開放している導出口とを備えることを特徴とする注液ノズル。 - 請求項1において、上記導出口の断面は丸形であることを特徴とする注液ノズル。
- 請求項2において、上記導出口の直径は3〜5mmの範囲に設定されることを特徴とする注液ノズル。
- 請求項1,2又は3において、上記拡散流路に原料液の圧送力を高めるための絞り部が設けられることを特徴とする注液ノズル。
- 請求項1ないし4の何れかにおいて、メチルメタクリレートの単量体を含む原料液としてのアクリルシロップを鋳型重合用セルとしてのアクリルシート成形用セルに注入するための注液ノズル。
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