JP2005028274A - ろ過装置の前処理装置及び前処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】濁質成分を比較的多く含む海水等の供給水の前処理に適したろ過装置の前処理装置及び前処理方法を提供する。
【解決手段】ろ過装置の前処理装置は、供給水中の濁質成分20の吸着能を有し、流速30〜40m/hrにおける差圧が200kPa/m以下となるろ材3を備え、凝集剤を投入することなく濁質成分を除去する。
【選択図】 図3
【解決手段】ろ過装置の前処理装置は、供給水中の濁質成分20の吸着能を有し、流速30〜40m/hrにおける差圧が200kPa/m以下となるろ材3を備え、凝集剤を投入することなく濁質成分を除去する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、逆浸透膜、NF膜、電気透析等のろ過装置に用いる前処理装置及び前処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、海水やかん水等を脱塩して淡水を得る方法として逆浸透(RO:Reverse Osmosis)法が知られている。逆浸透法は、逆浸透膜を介して溶液の浸透圧より高い圧力を溶液側から加え、溶液中の水分子を水側へ移行させる技術である。この逆浸透法は、例えば逆浸透膜を耐圧容器に収容したモジュールを多数備えた逆浸透膜装置により実用規模で操業されている。
【0003】
ところで、原水としての海水に含まれる濁質成分等(SS:Suspended Solid(有機性浮遊成分),有機物など)が逆浸透膜の膜面に付着して目詰まりを起こすことを防止するため、通常、原水の前処理が行われる。前処理方法としては、砂濾過の他、膜濾過も利用されている。又、凝集剤を用いない前処理装置も開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−323084号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、海水の汚れが顕著な地域では濁質成分の濃度も高いため、上記した前処理を行うと、濾過材の逆洗頻度や凝集剤の使用量が増えるという問題があった。又、これを解決する方法として、前処理のさらに前段に凝集沈殿槽を設ける技術もあるが凝集沈殿槽は設備が大であるとともに、凝集剤を多量に必要とする不具合があった。さらに、凝集沈殿が有効に働くためには、原水中のSS濃度が相当高い必要があり(約50ppm以上)、SS濃度が数ppm〜数10ppm程度に汚れた海水に適用することが困難である。又、特許文献1記載の技術の場合、凝集剤は不要であるが、渦流ろ過器やディスクフィルタが必要であり、なお設備が複雑であった。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、海水、河川水、井戸水、下水処理水等の濁質成分を比較的多く含む供給水の前処理に適したろ過装置の前処理装置及び前処理方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、請求項1記載のろ過装置の前処理装置は、供給水中の濁質成分の吸着能を有し、流速30〜40m/hrにおける差圧が200kPa/m以下となるろ材を備え、凝集剤を投入することなく前記濁質成分を除去することを特徴とする。
このようにすると、ろ材の間に適度な空隙が生じ、しかも、ろ材の吸着能によってろ材表面に被濾過物を吸着させるため、空隙は閉塞し難い。又、被濾過物は凝集剤を添加せずともろ材に捕捉されるので、凝集剤からフロックが形成されてろ材の目詰りが生じることもない。そのため、濁質成分を有効に除去しつつ、処理速度を長期間高い値に保つことができる。なお、ここでいう供給水とは、海水だけでなく、河川水、井戸水、下水処理水等の濁質成分を比較的多く含む水を指す。
【0008】
前記ろ材は、粒径0.3〜1mmの粒子状ろ材を含むこと、又は、直径1〜500μmの繊維を束ねたものであることが好ましい。
このようにすると、ろ材の吸着能が向上し、ろ材間の空隙も適度なものとなる。
【0009】
前記ろ材の表面が正の電荷を帯びていることが好ましい。
このようにすると、ろ材の吸着能がさらに向上する。
【0010】
本発明のろ過装置の前処理方法は、供給水中の濁質成分の吸着能を有し、流速30〜40m/hrにおける差圧が200kPa/m以下となるろ材を用い、凝集剤を投入することなく前記濁質成分を除去することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るろ過装置の前処理装置の構成を各図に基づいて説明する。
【0012】
図1は膜装置(この例では逆浸透膜装置)の全体構成を示す。この図において、膜装置10は、本発明の前処理装置(除濁装置)2、第2段前処理装置4、高圧ポンプ6、逆浸透膜(RO)モジュール8を直列に接続して構成され、高圧ポンプ6は電源5から電源供給を受ける。そして、海水(供給水)は除濁装置2に供給されて濁質成分を除去された後、第2段前処理装置4でさらに濁度が低下された後、高圧ポンプで昇圧されてROモジュール8に導入される。ROモジュール8では、海水が生産水(淡水)と濃縮海水に分離される。なお、第2段前処理装置4としては、公知の砂濾過装置や、UF(限外濾過)あるいはMF(精密濾過)による膜濾過装置、あるいはSMF(Single Media Filter:1層)、DMF(Dual Media Filter:2層)、TMF(Triple Media Filter:3層)装置を用いることができる。さらに、これらの装置を複数直列に配置したものを用いてもよい。例えば、砂ろ過装置等の粒子状装置と、膜装置を組み合わせてもよい。又、第2段前処理装置4は、被処理水中のSS濃度を1ppm以下に濾過し、ROモジュール8の目詰りを防止する。
【0013】
本発明が好ましく適用される海水としては、SS濃度が数ppm以上、例えば5ppm以上のものが挙げられる。5ppm未満の海水であれば、従来の砂濾過や膜濾過による前処理でも可能だからである。特に、SS濃度が数ppm〜数10ppm(例えば50ppm)程度の海水に本発明を適用すると有効である。SS濃度が100ppmを超える海水であれば、従来の凝集沈殿を適用できるからである。但し、このような海水に本発明を適用しても構わない。そして、ROの代わりに、他の脱塩機能膜装置、例えばNF、電気透析等を用いてもよい。ROやNFの場合、スパイラル型や中空糸膜型のモジュールを好適に用いることができる。
【0014】
また、電源5に加え、自然エネルギー電源50を設けてもよい。自然エネルギー電源50としては、例えば太陽電池パネルと充電バッテリからなるモジュールがあり、バッテリの充電状態に応じて電源5を補完し、電力使用量の低減、あるいは電源5の不要化を図ることができる。
【0015】
次に、除濁装置2の構成について、図2を参照して説明する。除濁装置2はカラム状になっていて、一端部に取水口2aが、他端部に出水口2cが設けられている。又、カラム内部にはろ材3が充填されるとともに、カラム底部に設置されたメッシュ状のろ材保持部2bにより、ろ材3が保持されている。そして、取水口2aから海水が供給され、ろ材3を通過した後、出水口2cから除濁水として取出される。なお、除濁装置2に凝集剤を投入することなく、海水の濁質成分の除去処理を行うが、これについては後述する。
【0016】
次に、本発明に用いるろ材の構成例について、図3及び図4を参照して説明する。図3において、ろ材3は多数の活性炭粒子(例えば無煙炭の粒子)30が充填されてなる。この活性炭粒子30は海水中の濁質成分の吸着能を有しているため、表面に濁質成分20が吸着される。また、活性炭粒子30は比較的嵩高い粒子からなるので、活性炭粒子30同士の間に空隙Rが形成されており、この間を被処理水が通過できるようになっている。
【0017】
本発明においては、上記空隙Rを濾過の過程で閉塞させないようにしたことが特徴である。つまり、従来の濾過法の場合は、空隙に被濾過物を引っ掛けて濾過するために、濾過の進行とともに空隙が閉塞して処理速度が低下したが、本発明の場合、ろ材表面に被濾過物を吸着させるため、空隙は閉塞し難い。また、本発明の場合、ろ材の吸着能によって比較的小さな被濾過物でもそのまま捕捉できるため、海水に凝集剤を添加して被濾過物から巨大なフロックを形成させ、それを濾過する必要がなく、フロックによるろ材の目詰りが低減されるので、これによっても上記空隙の閉塞を防止できる。また、空隙が閉塞し難いので、ろ材の逆洗も容易となり、又、ろ材の目詰りがないので逆洗時間も短くて済む。
【0018】
図4は、本発明に用いるろ材の構成の別の例である。この図において、ろ材3Aは例えばポリエチレン等の合成繊維31を複数束ねたものからなる。この合成繊維も海水中の濁質成分の吸着能を有しているため、表面に濁質成分が吸着される。また、合成繊維31同士の間には上記と同様な空隙R’が形成されており、この間を被処理水が通過できるようになっている。なお、合成繊維でなくとも繊維状のものであれば何でもよく、たとえば金属、セラミックスの繊維でもよい。
【0019】
空隙R、R’の度合は、ろ材の粒径、形状、充填率等によって規定することは困難であるので、差圧によって規定する。本発明においては、ろ材に被処理水としての海水を通したとき、流速30〜40m/hrにおける差圧が200kPa/m以下、好ましくは差圧を5〜50kPa/mとする。このようにすると、ろ材の空隙が適度なものとなり、濁質成分を有効に除去しつつ、処理速度を長期間高い値に保つことができる。差圧が200kPa/mを超えると、処理速度が低下するもしくは必要動力が大きくなるからである。又、差圧が5kPa/m未満であると、偏流が生じ性能が低下するおそれがある場合、繊維ろ材の場合に空隙が大きくなり過ぎ、濁質成分を有効に除去し難くなる場合があるからである。
【0020】
本発明の除濁装置2の運転条件としては、例えばSS濃度5〜80ppmの海水を、流速30〜40m/hで通液した場合、SS濃度が原水の約1/2〜1/10の除濁水を得ることができる。また、ろ材に上記無煙炭の粒子を用いる場合、有効径0.3〜3mm、好ましくは0.7〜1.5mmのものを用いるとよい。なお,有効径とは、ろ材試料をふるい分けして、全体量の10%が通過するふるい目の大きさに相当する粒径をいう(例えば、技報堂出版株式会社発行 「(第二版)水処理工学−理論と応用−」を参照)。
特に、粒径0.7〜1.5mmとすると、ろ材を逆洗する際に都合がよい。また、ろ材に上記ポリエチレン繊維を束ねたものを用いる場合、直径1〜500μm、長さ100mm程度のものを用いるとよい。さらに、ろ材の表面に正の電荷を帯びさせると、吸着能が向上するので好ましい。
【0021】
なお、上記した実施形態では、ROモジュール8として、第2段前処理装置4が必要なものを用いた。この場合、ROモジュール8に導入する被処理水のSS濃度は約1ppm以下となっていることが必要である。一方、特許第2948917号公報に記載されたROモジュール(ホローファイバ型モジュールという)がある。このホローファイバ型モジュールは、中空糸状の多数の逆浸透膜が繊維状に絡み合い、その間に被処理水中の濁質成分が捕捉されるという構成を備えており、上記した第2段前処理装置4を不要とし、逆浸透膜自体で前処理の機能を持ったものである。このホローファイバ型モジュールにも本発明を適用可能であり、その場合は、前記図1の第2段前処理装置4を省略し、ROモジュールの前段に直接除濁装置2を接続すればよい。このようにすると、濁質成分がある程度除去されるので、ホローファイバ型モジュールの寿命を長くすることができる。
本実施形態では海水をろ過する際の前処理について説明したが、本発明は海水に限らず、河川水、井戸水、下水処理水等の濁質成分を含む水のろ過の前処理に適用することができる。
【0022】
【実施例】
直径300mmのアクリル容器にアンスラサイト(有効径約1mmの無煙炭の粒子)、又はポリエチレン繊維(直径30〜40μm、長さ150mm程度)を束ねた繊維状ろ材を高さ1m充填した。これらのろ材の上部より定量ポンプで所定の流速の海水を一定量供給し、原水及びろ過後処理水のSSを測定した。又、ろ材上部と下部の間の差圧を測定した。原水SSは、原水を24時間ろ材に通液したときの平均値とし、処理水SSおよび差圧は、原水を24時間通液した後の値とした。結果を表1に示す。
【表1】
表1から明らかなように、各実施例1〜6においては、いずれもSS除去率(処理水SS/原水SS×100)が30%を超え、濁質成分を充分除去できることがわかった。特に、原水SSが3〜50mg/L以下程度の領域では、アンスラサイト及び繊維状ろ材のいずれを用いても、SS除去率が50%を超えた。又、各実施例1〜6からわかるように、原水SSが高くなるほど、SS除去率は低下する傾向にあるが、実施例6から明らかなように、繊維状ろ材を用いれば、原水SSが100mg/Lを超える高い濃度であっても、約30%のSS除去率を得ることができた。なお、いずれの実施例も、差圧は200kPa以下であった。特に、繊維状ろ材の場合は、差圧が50kPa以下であり、同じ流速、原水SS条件でもアンスラサイトより差圧が低く、除去効果がより大きかった。
一方、比較例の場合、原水SSが高いためにSS除去率が低く、除去効果がほとんどなかった。これは、ろ材中に貯留されるSS分が限界に達し、ろ材表面への吸着がそれ以上生じなくなったためと考えられる。このときの差圧は200kPaを超えていた。
以上から、ろ材の差圧を200kPa以下として前処理を行うことが必要であることが判明した。
【0023】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1記載の本発明によれば、ろ材表面に被濾過物を吸着させるため、ろ材同士の間に形成された空隙が閉塞し難く、濁質成分を有効に除去しつつ、処理速度を長期間高い値に保つことができ、実用性の高い前処理装置を実現できる。又、凝集剤の添加が不要なので、フロックによるろ材の目詰りが低減されるので、これによっても上記空隙の閉塞を防止できる。また、空隙が閉塞し難いので、ろ材の逆洗も容易となり、又、ろ材の目詰りがないので逆洗時間も短くて済む。又、凝集剤の添加が不要なことから、汚泥等の廃棄物も少なくなる。
請求項2又は3記載の本発明によれば、濁質成分の除去効果がさらに大となるとともに処理速度をさらに長期間高い値に保つことができる。
請求項4記載の本発明によれば、ろ材の吸着能がさらに向上し、濁質成分の除去効果がさらに大となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るろ過装置の前処理装置を含む膜装置全体の構成を示す図である。
【図2】ろ過装置の前処理装置の構成を示す図である。
【図3】ろ材の構成例を示す図である。
【図4】ろ材の構成例を示す別の図である。
【符号の説明】
2 ろ過装置の前処理装置(除濁装置)
3、3A ろ材
20 濁質成分
【発明の属する技術分野】
本発明は、逆浸透膜、NF膜、電気透析等のろ過装置に用いる前処理装置及び前処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、海水やかん水等を脱塩して淡水を得る方法として逆浸透(RO:Reverse Osmosis)法が知られている。逆浸透法は、逆浸透膜を介して溶液の浸透圧より高い圧力を溶液側から加え、溶液中の水分子を水側へ移行させる技術である。この逆浸透法は、例えば逆浸透膜を耐圧容器に収容したモジュールを多数備えた逆浸透膜装置により実用規模で操業されている。
【0003】
ところで、原水としての海水に含まれる濁質成分等(SS:Suspended Solid(有機性浮遊成分),有機物など)が逆浸透膜の膜面に付着して目詰まりを起こすことを防止するため、通常、原水の前処理が行われる。前処理方法としては、砂濾過の他、膜濾過も利用されている。又、凝集剤を用いない前処理装置も開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−323084号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、海水の汚れが顕著な地域では濁質成分の濃度も高いため、上記した前処理を行うと、濾過材の逆洗頻度や凝集剤の使用量が増えるという問題があった。又、これを解決する方法として、前処理のさらに前段に凝集沈殿槽を設ける技術もあるが凝集沈殿槽は設備が大であるとともに、凝集剤を多量に必要とする不具合があった。さらに、凝集沈殿が有効に働くためには、原水中のSS濃度が相当高い必要があり(約50ppm以上)、SS濃度が数ppm〜数10ppm程度に汚れた海水に適用することが困難である。又、特許文献1記載の技術の場合、凝集剤は不要であるが、渦流ろ過器やディスクフィルタが必要であり、なお設備が複雑であった。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、海水、河川水、井戸水、下水処理水等の濁質成分を比較的多く含む供給水の前処理に適したろ過装置の前処理装置及び前処理方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、請求項1記載のろ過装置の前処理装置は、供給水中の濁質成分の吸着能を有し、流速30〜40m/hrにおける差圧が200kPa/m以下となるろ材を備え、凝集剤を投入することなく前記濁質成分を除去することを特徴とする。
このようにすると、ろ材の間に適度な空隙が生じ、しかも、ろ材の吸着能によってろ材表面に被濾過物を吸着させるため、空隙は閉塞し難い。又、被濾過物は凝集剤を添加せずともろ材に捕捉されるので、凝集剤からフロックが形成されてろ材の目詰りが生じることもない。そのため、濁質成分を有効に除去しつつ、処理速度を長期間高い値に保つことができる。なお、ここでいう供給水とは、海水だけでなく、河川水、井戸水、下水処理水等の濁質成分を比較的多く含む水を指す。
【0008】
前記ろ材は、粒径0.3〜1mmの粒子状ろ材を含むこと、又は、直径1〜500μmの繊維を束ねたものであることが好ましい。
このようにすると、ろ材の吸着能が向上し、ろ材間の空隙も適度なものとなる。
【0009】
前記ろ材の表面が正の電荷を帯びていることが好ましい。
このようにすると、ろ材の吸着能がさらに向上する。
【0010】
本発明のろ過装置の前処理方法は、供給水中の濁質成分の吸着能を有し、流速30〜40m/hrにおける差圧が200kPa/m以下となるろ材を用い、凝集剤を投入することなく前記濁質成分を除去することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るろ過装置の前処理装置の構成を各図に基づいて説明する。
【0012】
図1は膜装置(この例では逆浸透膜装置)の全体構成を示す。この図において、膜装置10は、本発明の前処理装置(除濁装置)2、第2段前処理装置4、高圧ポンプ6、逆浸透膜(RO)モジュール8を直列に接続して構成され、高圧ポンプ6は電源5から電源供給を受ける。そして、海水(供給水)は除濁装置2に供給されて濁質成分を除去された後、第2段前処理装置4でさらに濁度が低下された後、高圧ポンプで昇圧されてROモジュール8に導入される。ROモジュール8では、海水が生産水(淡水)と濃縮海水に分離される。なお、第2段前処理装置4としては、公知の砂濾過装置や、UF(限外濾過)あるいはMF(精密濾過)による膜濾過装置、あるいはSMF(Single Media Filter:1層)、DMF(Dual Media Filter:2層)、TMF(Triple Media Filter:3層)装置を用いることができる。さらに、これらの装置を複数直列に配置したものを用いてもよい。例えば、砂ろ過装置等の粒子状装置と、膜装置を組み合わせてもよい。又、第2段前処理装置4は、被処理水中のSS濃度を1ppm以下に濾過し、ROモジュール8の目詰りを防止する。
【0013】
本発明が好ましく適用される海水としては、SS濃度が数ppm以上、例えば5ppm以上のものが挙げられる。5ppm未満の海水であれば、従来の砂濾過や膜濾過による前処理でも可能だからである。特に、SS濃度が数ppm〜数10ppm(例えば50ppm)程度の海水に本発明を適用すると有効である。SS濃度が100ppmを超える海水であれば、従来の凝集沈殿を適用できるからである。但し、このような海水に本発明を適用しても構わない。そして、ROの代わりに、他の脱塩機能膜装置、例えばNF、電気透析等を用いてもよい。ROやNFの場合、スパイラル型や中空糸膜型のモジュールを好適に用いることができる。
【0014】
また、電源5に加え、自然エネルギー電源50を設けてもよい。自然エネルギー電源50としては、例えば太陽電池パネルと充電バッテリからなるモジュールがあり、バッテリの充電状態に応じて電源5を補完し、電力使用量の低減、あるいは電源5の不要化を図ることができる。
【0015】
次に、除濁装置2の構成について、図2を参照して説明する。除濁装置2はカラム状になっていて、一端部に取水口2aが、他端部に出水口2cが設けられている。又、カラム内部にはろ材3が充填されるとともに、カラム底部に設置されたメッシュ状のろ材保持部2bにより、ろ材3が保持されている。そして、取水口2aから海水が供給され、ろ材3を通過した後、出水口2cから除濁水として取出される。なお、除濁装置2に凝集剤を投入することなく、海水の濁質成分の除去処理を行うが、これについては後述する。
【0016】
次に、本発明に用いるろ材の構成例について、図3及び図4を参照して説明する。図3において、ろ材3は多数の活性炭粒子(例えば無煙炭の粒子)30が充填されてなる。この活性炭粒子30は海水中の濁質成分の吸着能を有しているため、表面に濁質成分20が吸着される。また、活性炭粒子30は比較的嵩高い粒子からなるので、活性炭粒子30同士の間に空隙Rが形成されており、この間を被処理水が通過できるようになっている。
【0017】
本発明においては、上記空隙Rを濾過の過程で閉塞させないようにしたことが特徴である。つまり、従来の濾過法の場合は、空隙に被濾過物を引っ掛けて濾過するために、濾過の進行とともに空隙が閉塞して処理速度が低下したが、本発明の場合、ろ材表面に被濾過物を吸着させるため、空隙は閉塞し難い。また、本発明の場合、ろ材の吸着能によって比較的小さな被濾過物でもそのまま捕捉できるため、海水に凝集剤を添加して被濾過物から巨大なフロックを形成させ、それを濾過する必要がなく、フロックによるろ材の目詰りが低減されるので、これによっても上記空隙の閉塞を防止できる。また、空隙が閉塞し難いので、ろ材の逆洗も容易となり、又、ろ材の目詰りがないので逆洗時間も短くて済む。
【0018】
図4は、本発明に用いるろ材の構成の別の例である。この図において、ろ材3Aは例えばポリエチレン等の合成繊維31を複数束ねたものからなる。この合成繊維も海水中の濁質成分の吸着能を有しているため、表面に濁質成分が吸着される。また、合成繊維31同士の間には上記と同様な空隙R’が形成されており、この間を被処理水が通過できるようになっている。なお、合成繊維でなくとも繊維状のものであれば何でもよく、たとえば金属、セラミックスの繊維でもよい。
【0019】
空隙R、R’の度合は、ろ材の粒径、形状、充填率等によって規定することは困難であるので、差圧によって規定する。本発明においては、ろ材に被処理水としての海水を通したとき、流速30〜40m/hrにおける差圧が200kPa/m以下、好ましくは差圧を5〜50kPa/mとする。このようにすると、ろ材の空隙が適度なものとなり、濁質成分を有効に除去しつつ、処理速度を長期間高い値に保つことができる。差圧が200kPa/mを超えると、処理速度が低下するもしくは必要動力が大きくなるからである。又、差圧が5kPa/m未満であると、偏流が生じ性能が低下するおそれがある場合、繊維ろ材の場合に空隙が大きくなり過ぎ、濁質成分を有効に除去し難くなる場合があるからである。
【0020】
本発明の除濁装置2の運転条件としては、例えばSS濃度5〜80ppmの海水を、流速30〜40m/hで通液した場合、SS濃度が原水の約1/2〜1/10の除濁水を得ることができる。また、ろ材に上記無煙炭の粒子を用いる場合、有効径0.3〜3mm、好ましくは0.7〜1.5mmのものを用いるとよい。なお,有効径とは、ろ材試料をふるい分けして、全体量の10%が通過するふるい目の大きさに相当する粒径をいう(例えば、技報堂出版株式会社発行 「(第二版)水処理工学−理論と応用−」を参照)。
特に、粒径0.7〜1.5mmとすると、ろ材を逆洗する際に都合がよい。また、ろ材に上記ポリエチレン繊維を束ねたものを用いる場合、直径1〜500μm、長さ100mm程度のものを用いるとよい。さらに、ろ材の表面に正の電荷を帯びさせると、吸着能が向上するので好ましい。
【0021】
なお、上記した実施形態では、ROモジュール8として、第2段前処理装置4が必要なものを用いた。この場合、ROモジュール8に導入する被処理水のSS濃度は約1ppm以下となっていることが必要である。一方、特許第2948917号公報に記載されたROモジュール(ホローファイバ型モジュールという)がある。このホローファイバ型モジュールは、中空糸状の多数の逆浸透膜が繊維状に絡み合い、その間に被処理水中の濁質成分が捕捉されるという構成を備えており、上記した第2段前処理装置4を不要とし、逆浸透膜自体で前処理の機能を持ったものである。このホローファイバ型モジュールにも本発明を適用可能であり、その場合は、前記図1の第2段前処理装置4を省略し、ROモジュールの前段に直接除濁装置2を接続すればよい。このようにすると、濁質成分がある程度除去されるので、ホローファイバ型モジュールの寿命を長くすることができる。
本実施形態では海水をろ過する際の前処理について説明したが、本発明は海水に限らず、河川水、井戸水、下水処理水等の濁質成分を含む水のろ過の前処理に適用することができる。
【0022】
【実施例】
直径300mmのアクリル容器にアンスラサイト(有効径約1mmの無煙炭の粒子)、又はポリエチレン繊維(直径30〜40μm、長さ150mm程度)を束ねた繊維状ろ材を高さ1m充填した。これらのろ材の上部より定量ポンプで所定の流速の海水を一定量供給し、原水及びろ過後処理水のSSを測定した。又、ろ材上部と下部の間の差圧を測定した。原水SSは、原水を24時間ろ材に通液したときの平均値とし、処理水SSおよび差圧は、原水を24時間通液した後の値とした。結果を表1に示す。
【表1】
表1から明らかなように、各実施例1〜6においては、いずれもSS除去率(処理水SS/原水SS×100)が30%を超え、濁質成分を充分除去できることがわかった。特に、原水SSが3〜50mg/L以下程度の領域では、アンスラサイト及び繊維状ろ材のいずれを用いても、SS除去率が50%を超えた。又、各実施例1〜6からわかるように、原水SSが高くなるほど、SS除去率は低下する傾向にあるが、実施例6から明らかなように、繊維状ろ材を用いれば、原水SSが100mg/Lを超える高い濃度であっても、約30%のSS除去率を得ることができた。なお、いずれの実施例も、差圧は200kPa以下であった。特に、繊維状ろ材の場合は、差圧が50kPa以下であり、同じ流速、原水SS条件でもアンスラサイトより差圧が低く、除去効果がより大きかった。
一方、比較例の場合、原水SSが高いためにSS除去率が低く、除去効果がほとんどなかった。これは、ろ材中に貯留されるSS分が限界に達し、ろ材表面への吸着がそれ以上生じなくなったためと考えられる。このときの差圧は200kPaを超えていた。
以上から、ろ材の差圧を200kPa以下として前処理を行うことが必要であることが判明した。
【0023】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1記載の本発明によれば、ろ材表面に被濾過物を吸着させるため、ろ材同士の間に形成された空隙が閉塞し難く、濁質成分を有効に除去しつつ、処理速度を長期間高い値に保つことができ、実用性の高い前処理装置を実現できる。又、凝集剤の添加が不要なので、フロックによるろ材の目詰りが低減されるので、これによっても上記空隙の閉塞を防止できる。また、空隙が閉塞し難いので、ろ材の逆洗も容易となり、又、ろ材の目詰りがないので逆洗時間も短くて済む。又、凝集剤の添加が不要なことから、汚泥等の廃棄物も少なくなる。
請求項2又は3記載の本発明によれば、濁質成分の除去効果がさらに大となるとともに処理速度をさらに長期間高い値に保つことができる。
請求項4記載の本発明によれば、ろ材の吸着能がさらに向上し、濁質成分の除去効果がさらに大となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るろ過装置の前処理装置を含む膜装置全体の構成を示す図である。
【図2】ろ過装置の前処理装置の構成を示す図である。
【図3】ろ材の構成例を示す図である。
【図4】ろ材の構成例を示す別の図である。
【符号の説明】
2 ろ過装置の前処理装置(除濁装置)
3、3A ろ材
20 濁質成分
Claims (5)
- 供給水中の濁質成分の吸着能を有し、流速30〜40m/hrにおける差圧が200kPa/m以下となるろ材を備え、
凝集剤を投入することなく前記濁質成分を除去することを特徴とするろ過装置の前処理装置。 - 前記ろ材は、粒径0.3〜1mmの粒子状ろ材を含むことを特徴とする請求項1に記載のろ過装置の前処理装置。
- 前記ろ材は、直径1〜500μmの繊維を束ねたものであることを特徴とする請求項1に記載のろ過装置の前処理装置。
- 前記ろ材の表面が正の電荷を帯びていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のろ過装置の前処理装置。
- 供給水中の濁質成分の吸着能を有し、流速30〜40m/hrにおける差圧が200kPa/m以下となるろ材を用い、
凝集剤を投入することなく前記濁質成分を除去することを特徴とするろ過装置の前処理方法。
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JP2010115576A (ja) * | 2008-11-11 | 2010-05-27 | Suido Kiko Kaisha Ltd | 水処理システム |
WO2016110942A1 (ja) * | 2015-01-06 | 2016-07-14 | 三菱重工業株式会社 | 濾過材、濾過材の製造方法、濾過装置、濾過装置の運転方法及び濾過処理システム |
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- 2003-07-11 JP JP2003195800A patent/JP2005028274A/ja active Pending
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