JP2005028267A - デバイス、反応装置、分離装置、基板部材、デバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】反応の効率を高め、物質の必要量を少なくすることができ、小型でしかも汎用性の高いデバイス、反応装置等を提供することを目的とする。
【解決手段】デバイス10は、二枚一対の基板11A、11B間に、基板12を挟み込んで積層し、基板12の上面側に、物質の投入口となる開口部17Aを備え、基板12の下面側に、物質の排出口となる開口部17Bを備えた構成となっている。そして、基板12には、基板12を貫通する複数の孔15を形成し、各孔15に、基板12の一面側から他面側に貫通する微細流路が多数形成されたポーラス材料を担持する構成とした。
【選択図】 図3
【解決手段】デバイス10は、二枚一対の基板11A、11B間に、基板12を挟み込んで積層し、基板12の上面側に、物質の投入口となる開口部17Aを備え、基板12の下面側に、物質の排出口となる開口部17Bを備えた構成となっている。そして、基板12には、基板12を貫通する複数の孔15を形成し、各孔15に、基板12の一面側から他面側に貫通する微細流路が多数形成されたポーラス材料を担持する構成とした。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学反応、抽出分離等を行う場合に用いて好適なデバイス、反応装置、分離装置等に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来一般に、化学反応を実験的に生じさせる際は、フラスコ等の容器内に所定の物質を投入し、撹拌等を行っている。
しかしながら、フラスコ等の容器内では、分子レベルから見ればマクロスケールであり、「拡散現象」が反応を支配している。つまり、反応場が巨大であるため、容器内に拡散した所定の物質どうしが、ある確率で遭遇した場合のみ反応が生じる。
【0003】
これに対し、近年、マイクロリアクタ等と称されるデバイスが提供されている(例えば、非特許文献1、2参照。)。図14に示すように、マイクロリアクタ1は、例えば複数の物質を流す溝状の流路2を備えたもので、例えば、別々の供給口2a、2b、2cから供給した物質A、B、Cが、それぞれ合流した後に化学反応を生じるものである。
このようなマイクロリアクタ1は、細い流路2という小さい反応場で化学反応を生じさせるため、所定の化学反応をフラスコ等の容器よりも確実に生じさせることができる。これにより、反応時間も早く、また短い拡散距離(流路2の長さ)で反応を終了させることができ、結果として反応の効率が非常が良く、また物質の必要量もフラスコ等の容器に較べれば遥かに少なくて済むため、経済的であるという利点を有する。
【0004】
【非特許文献1】
藤井輝夫、「生化学反応を行うマイクロリアクター」、PETROTECH、石油学会、2000年、第23巻、第11号、p.932−938
【非特許文献2】
久本秀明、北森武彦、「マイクロチップに集積化した化学システム」、PETROTECH、石油学会、2000年、第23巻、第11号、p.924−927
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したようなマイクロリアクタ1では、フラスコ等に比較すれば遥かに反応場が小さいとは言え、より一層、反応の効率を高め、物質の必要量を少なくするために、さらに小さな反応場を有したデバイスが必要とされている。
また、従来のマイクロリアクタ1は、流路2のスケール(溝幅)が数〜数百μmであり、近年の化学反応・合成研究分野では、より小さなナノスケールの反応場が求められている。
【0006】
加えて、このようなマイクロリアクタ1では、多数の物質を組み合わせて化学反応を生じさせようとした場合、物質どうしの合流箇所が増えるため、自ずと流路2が長くなり、デバイスとして大型化してしまうという問題がある。さらに、流路2には、物質の数に応じた合流箇所が必要であるため、組み合わせる物質の数に応じ、それに対応する配置・形状の流路2が必要であり、汎用性に欠けるという問題もある。
【0007】
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、より一層、反応の効率を高め、物質の必要量を少なくすることができ、小型でしかも汎用性の高いデバイス、反応装置、分離装置等を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的のもと、本発明のデバイスは、板状(薄膜状を含む)で複数の貫通孔が形成された第一の基板と、この第一の基板の一面側を覆う第二の基板と、第一の基板の他面側を覆う第三の基板とを備え、第一の基板のそれぞれの貫通孔には、複数の微細孔を有するポーラス材料が設けられている。そして、第一の基板と第二の基板の間には、外部に連通する開口部を有した第一の室が形成され、第一の基板と第三の基板との間には、外部に連通する開口部を有した第二の室が形成されている。
ここで、ポーラス材料としては、例えば、管状(トンネル状)の微細孔を複数有して構成された六方トンネル構造シリカを用いることができる。ここで、微細孔は、例えば、IUPAC(INTERNATIONAL UNION OF PURE AND APPLIED CHEMISTRY:国際純正および応用化学連合)の規定における、直径2nm以下のマイクロ孔(micropore)、直径2〜50nmのメソ孔(mesopore)等とすることができる。
【0009】
ポーラス材料は、微細孔が連続する方向を、このポーラス材料が設けられた基板の貫通孔が連続する方向と略同一とするのが好ましい。
なお、このような微細孔は、微細孔が連続する方向を、ポーラス材料が設けられた基板の貫通孔が連続する方向と略同一とすることで、ポーラス材料において、基板の一面側から他面側に貫通する複数の微細流路を形成する。また、ポーラス材料には、ポーラス材料が設けられた基板の貫通孔が連続する方向と略同一の方向、つまり基板の一面側から他面側に貫通する微細孔が存在すれば、必ずしも基板の一面側から他面側に直線的に貫通する必要はなく、また他にそれ以外の方向に連続する微細孔が存在していても良い。さらに、このような微細孔は複数の空間が互いに連続することで形成されるものであってもよい。
【0010】
第一の室、第二の室を設けるには、第一の基板または第二の基板の少なくとも一方と、第一の基板または第三の基板の少なくとも一方に、それぞれ第一の基板の貫通孔が形成された領域を囲むように壁状部を形成すればよい。この壁状部に囲まれた部分に第一の室、第二の室が形成される。
【0011】
このようなデバイスは、第一の室の開口部から物質を供給すると、この物質は第一の基板の貫通孔に設けられたポーラス材料の微細孔を通り、第二の室に移り、第二の室に形成された開口部から排出される。
このような物質の流れを利用し、このデバイスを、化学反応装置や分離装置とすることができる。このようなデバイスでは、ポーラス材料の微細孔に対して供給できる物質であれば、気体、液体、固体を問わず、様々な物質を取り扱うことができる。
【0012】
また、第二の基板と第三の基板の間に、複数の第一の基板を積層することもできる。その場合、互いに上下に位置する第一の基板間に、外部に連通する開口部を有した第三の室を形成してもよい。これには、第一の室、第二の室と同様、互いに上下に位置する第一の基板の少なくとも一方に、貫通孔が形成された領域を囲むように壁状部を形成すればよい。この壁状部に囲まれた部分に第三の室が形成される。
さらに、基板に形成された貫通孔は、その連続する方向において、第一の内径を有した部分と、第一の内径よりも小さな第二の内径を有した部分とを有し、ポーラス材料は、第二の内径を有した部分に担持させることができる。ここで、貫通孔は、第一の内径を有した部分と第二の内径を有した部分とを有していればいかなる形状であってもよい。例えば、第一の内径を有した部分と第二の内径を有した部分との間に段差部を設けても良いし、また第一の内径を有した部分から第二の内径を有した部分に向けて内径が漸次小さくなるテーパ状(すりばち状)の孔形状とすることもできる。
【0013】
本発明は、複数の物質の化学反応を生じさせる反応装置として捉えることもできる。この場合、この反応装置は、基板に、一方向に連続する貫通孔が複数形成され、それぞれの貫通孔に、基板の一面側から他面側に貫通する複数の微細流路を有するポーラス材料が担持され、ポーラス材料の微細流路内を複数の物質の反応場とすることを特徴とする。
また、微細流路に触媒を担持し、基板の一面側に供給された物質と触媒を微細流路内で反応させることもできる。
このような反応装置は、上記のような構成を有しているのであれば、他の部分の構成をいかなるものとしてもよいが、例えば、基板を、貫通孔に対応する領域に空隙を有した状態で基板の表面を覆う二枚一対のカバーで挟み込み、一方のカバーには、空隙に物質を投入する投入口を形成し、他方のカバーには、微細流路を通った物質を空隙から排出する排出口を形成した構成とすることができる。
【0014】
本発明は、板状で複数の貫通孔が形成された基板と、基板の貫通孔に担持され、基板の一面側から他面側に貫通する複数の微細流路を有するポーラス材料と、を備え、ポーラス材料の微細流路内を通過した物質を回収することを特徴とする分離装置として捉えることもできる。
この分離装置は、さらに、基板を複数積層し、各層にて、前段の基板の微細流路を通過し、後段の基板の微細流路を通過しなかった物質を回収することもできる。これには、各層にて、基板間に空隙を形成し、この空隙から物質を回収するための排出口等を設ける必要がある。
また、この分離装置は、上記のような構成を有しているのであれば、他の部分の構成をいかなるものとしてもよいが、例えば、基板を、貫通孔に対応する領域に空隙を有した状態で基板の表面を覆う二枚一対のカバーで挟み込み、一方のカバーには、空隙に物質を投入する投入口を形成し、他方のカバーには、微細流路を通過した物質を空隙から排出させて回収するための排出口を形成した構成とすることができる。
【0015】
本発明は、複数の貫通孔が形成され、それぞれの貫通孔に、基板部材の一面側から他面側に貫通する複数の微細孔を有するポーラス材料が担持されていることを特徴とする基板部材として捉えることもできる。
このような基板部材を用いることで、上記したようなデバイス、反応装置、分離装置等を形成することができる。
【0016】
また、本発明は、複数の貫通孔を有した基板の貫通孔に、微細孔が貫通孔の連続する方向に略一致するようにポーラス材料を形成する工程と、基板に、貫通孔に対応する領域に空隙を有した状態で基板の表面を覆うカバーを積層して取り付ける工程と、を有することを特徴とするデバイスの製造方法として捉えることもできる。
【0017】
さて、上記したようなデバイス、反応装置、分離装置、基板部材、デバイスの製造方法において、基板に形成した貫通孔は、その断面形状が円形であるのが好ましく、その孔径は、10nm〜1mmであるのが望ましい。また、基板は、シリコンまたはアルミナ等で形成するのが好適であり、その厚さは、0.1μm〜1mmとするのが望ましい。
また、ポーラス材料は、例えば酸化ケイ素や酸化チタン、あるいはそれらにアルミニウム、チタン、ジルコニウム等をドーピングしたもので形成するのが好ましい。さらに、ポーラス材料は、管状に連続する微細孔の径が0.5〜30nmであるのが好ましく、このようなポーラス材料は、基板の貫通孔の容積に対し、その占積率が1%以上となるように設けるのが良い。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態におけるデバイス10の構成を説明するための図である。この図1に示すように、デバイス10は、二枚一対の基板(第二の基板、カバー)11A、基板(第三の基板、カバー)11B間に、基板(第一の基板)12を挟み込むことで、これら基板11A、12、11Bが積層された構造となっている。
図2に示すように、基板11A、11Bは、同じ形状を有したもので、平板状のベース部13の一面側に、その表面13aに直交する方向に立ち上がる所定高さの壁状部14がベース部13の外周縁部に沿って連続するよう形成された構成となっている。この壁状部14は、その一部に切り欠き部14aが形成されている。この基板11A、11Bは、例えばシリコン、ガラス、樹脂等で形成することができる。
【0019】
基板12は、その厚さ方向に貫通する複数の孔(貫通孔)15を有している。これら複数の孔15は、その径が10nm〜1mmで、基板11A、11Bに対向させた状態で、壁状部14よりも内側に位置する領域に形成されている。ここで、孔15の数や配置は特に限定する意図はないが、例えば千鳥状に配置することができる。
この基板12は、例えば、シリコン、酸化ケイ素、アルミナ等で形成するのが好適である。
【0020】
図3に示すように、このような基板11A、11Bおよび12は、基板11A、11Bの壁状部14を基板12の表面12a、12bに当接させた状態で、互いに接合あるいは接着されている。
これにより、基板11Aと基板12の表面12aの間、および基板11Bと基板12の表面12bの間には、壁状部14に囲まれることで、キャビティ(第一の室、空隙)16A、キャビティ(第二の室、空隙)16Bが形成されている。また、壁状部14に形成された切り欠き部14aは、基板11Aと基板12、基板11Bと基板12に挟み込まれることで、外部に連通する開口部17A、17Bを形成し、この開口部17A、17Bは、キャビティ16Aへの物質の投入口、あるいはキャビティ16Bからの物質の排出口として機能するようになっている。
【0021】
さて、図4に示すように、基板12の各孔15は、例えばその断面形状が円形とされている。そして、孔15には、基板12の一面側から他面側に貫通する微細孔20aを複数有するポーラス材料20が設けられている。
このポーラス材料20は、メソポーラス材料、マイクロポーラス材料等によって形成されている。メソポーラス材料、マイクロポーラス材料としては、例えばMCM(Mobil Crystalline Materialの略称)−41(登録商標、例えばMobil社製)等を用いることができる。MCM−41は、例えば直径2〜50nm程度の均一な微細孔を有する物質であり、界面活性剤のミセルを鋳型にして得られるシリカゲル体である。
【0022】
このようなポーラス材料20は、水熱合成法、あるいは溶媒蒸発法等によって得ることができる。
水熱合成法の場合、図5に示すように、界面活性剤アルキルトリメチルアンモニウム(ATMA):(CnH2n+1Me3N+X−)の球状ミセル31を形成し、この球状ミセル31から棒状ミセル32を形成する。そして、複数の棒状ミセル32どうしが接合することで、棒状ミセル32の六方構造が自己組織化する。この後、自己組織化して形成された構造体33を、オートクレーブ中で水熱合成することで、ケイ酸イオンの縮合化を図り、六方構造シリカ−ATMA複合体34を得る。しかる後、例えば500℃で熱処理を施すことで、棒状ミセル32を飛ばし、複数の微細孔20aが高い規則性を持って配列した状態で一体化した、いわゆるハニカム構造状の六方トンネル構造シリカ35が形成される。この六方トンネル構造シリカ35がMCM−41等のポーラス材料20である。
また、溶媒蒸発法の場合、TEOSと水、アルコールとを含む有機シラン溶液を用い、これを酸加水分解した液に、界面活性剤(ATMAまたはEO20−PO70−EO20などトリブロックコポリマー)を添加したものを、基板上にスピンコート法やディップコート法を用いて塗布し、界面活性剤の存在下で100〜200℃の温度範囲で加熱して、水・アルコールを蒸発させることにより、界面活性剤分子を凝集せしめ、棒状ミセル32を作成する。この後、さらに水・アルコールを蒸発させ、さらに界面活性剤を凝集させることにより、図5に示すように、周期的に自己組織化した棒状ミセル32の構造体33を含むシリカ−界面活性剤複合体34が基板上に得られる。しかる後、例えば500℃で熱処理を施すことで、棒状ミセル32を飛ばし、複数の微細孔20aが高い規則性を持って配列した状態で一体化した、いわゆるハニカム構造状の六方トンネル構造シリカ35が形成される。この六方トンネル構造シリカ35がMCM−41等のポーラス材料20である。
【0023】
もちろん、ポーラス材料20は、六方トンネル構造シリカ35のMCM−41以外のもの、例えばMCM−48やFMS−16、SBA−11、SBA−12、SBA−14、SBA−15、SBA−16等を用いることも可能である。
加えて、ポーラス材料20は、微細孔20aが高い規則性を持って配列された六方トンネル構造シリカ35に限らず、基板12の一面側から他面側に貫通する微細流路を有しているのであれば、他のいかなる構造を有したものでも良い。例えば、MCM−48、SBA−11、SBA−14、SBA−16は、自己組織化した周期的空孔構造、いわゆるキュービック構造を持つ。
【0024】
このようなポーラス材料20は、図4に示したように、微細孔20aが連続する方向を、基板12の孔15が連続する方向に略一致させた状態で設けられている。
このとき、図6(a)に示すように、ポーラス材料20を、孔15の全体に充填するように設けてもよいが、図6(b)に示すように、ポーラス材料20を、孔15の内周壁面に沿って所定の厚さの部分にだけ環状に設け、中央部の残りの部分を充填材36で埋めるようにしてもよい。
【0025】
また、図7(a)に示すように、孔15を、第一の内径d1を有した小径部40と、第一の径d1より大きな第二の内径d2を有した大径部41とを有し、その内周面を段差部42を有する不連続面とすることもできる。
図7(b)に示すように、孔15を、上方(デバイス10を使用する状態での上方)から下方に向けてその径が漸次縮小するテーパ部43を有した構成とすることもできる。この場合、テーパ部43の上端部43aに連続して、一定の径を有したストレート部44を形成することもできる。この場合、孔15の内周面は不連続面となる。
図7(a)や図7(b)に示したように、孔15の内周面を不連続面とする場合、小径部40の部分や、テーパ部43の下部(径の小さい部分)にのみポーラス材料20を設けることができる。このようにすると、ポーラス材料20(六方トンネル構造シリカ35)を、基板12の厚さ方向において短くすることができる。つまり、ポーラス材料20の微細孔20aの長さを、基板12の厚さに対し、小さくできるのである。
【0026】
さて、図3に示したように、開口部(投入口)17Aから物質をキャビティ16Aにポンプ等で所定圧力に加圧して注入すると、キャビティ16A内の物質は、基板12に形成された複数の孔15に設けられたポーラス材料20(六方トンネル構造シリカ35)の微細孔20aを通り、下方の基板11B側のキャビティ16Bに流れ落ち、開口部(排出口)17Bから排出されるようになっている。
【0027】
このとき、ポーラス材料20の微細孔20aに所定の触媒を担持させておけば、ポーラス材料20を通るときに物質が触媒によって化学反応を起こす。つまり、デバイス10を化学反応装置(反応装置)として用いることができる。
このようなデバイス10では、ポーラス材料20の微細孔20a内という、非常に小さい反応場で化学反応を生じさせるため、所定の化学反応を、フラスコ等の容器内で行う場合よりも確実に生じさせることができる。これにより、反応の効率が非常が良く、また物質の必要量も遥かに少なくて済むため、非常に経済的となる。また、このようなデバイス10内では、温度、圧力等の条件の制御も容易である。加えて、フラスコ等の容器内では、反応場が非常に大きいために見出せなかった(発見できなかった)ような現象も、見出すことができると期待できる。
しかも、このポーラス材料20の微細孔20aの径はナノオーダサイズとすることができるため、反応場を従来のマイクロリアクタ1(図14参照)に比してもさらに小型化することができ、上記効果は非常に顕著なものとなるうえ、分子レベル(ナノオーダ)での化学反応を生じさせることができる。
【0028】
また、ポーラス材料20の微細孔20aの径よりも大きな物質(の分子)はポーラス材料20を通過することができないので、このデバイス10を、微細孔20aを通過した物質のみを回収する、分離装置として用いることができる。この場合、ポーラス材料20の微細孔20aの径はナノオーダサイズとすることができるため、従来に無い微細な、例えば分子レベルでの篩い分けが可能となる。
【0029】
ところで、上記したようなデバイス10は、ポーラス材料20を備えた基板12を複数層備えることもできる。
この場合、図8に示すように、上下の基板11A、11B間に、複数枚の基板12を積層して設ける。このとき、互いに対向する基板12、12間にキャビティ(第三の室)50A、50B、50Cが形成されるよう、各基板12には、その外周縁部に所定高さの壁状部12wを形成する。
【0030】
図9に示すように、このようなデバイス10は、化学反応装置とする場合、最下段の基板12を除き、各基板12の壁状部12wに、外部に連通する開口部18を形成し、これを物質の供給口とすることができる。
この場合、基板11Aの開口部17Aと、各基板12の開口部18とから、それぞれ別々の物質M1、M2、M3、M4をキャビティ16A、50A、50B、50C内に供給することができる。これにより、各基板12の孔15に設けられたポーラス材料20で、物質M1、M2、M3、M4を順次接触させて化学反応を生じさせることができる。
また、一部あるいは全ての基板12の孔15に設けられたポーラス材料20には、触媒を担持させることもできる。その場合、その基板12には開口部18を形成しない構成とすることも可能である。
このように、基板12を積層することで、多数の物質を組み合わせて化学反応を生じさせる場合も、デバイス10が大型化するのを抑制することができる。しかも、組み合わせる物質の数に応じ、積層する基板12の数を変更するのみでよいため、汎用性に富んでいると言える。
【0031】
また、上記デバイス10を、分離装置とする場合、多層の分離精製を行い、分離効果を高めることもできる。
この他、図9に示したように、各基板12の壁状部12wに開口部18を形成し、これを物質の排出口とすることができる。このとき、各層の基板12の孔15に設けるポーラス材料20(六方トンネル構造シリカ35)の微細孔20aの径を異ならせることで、各層で、前段側(上方)の基板12の微細孔20aを通過し、かつ後段側(下方)の基板12の微細孔20aを追加しなかった物質を基板12の排出口(開口部18)から排出(回収)させることができる。つまり、各層で、回収する物質の粒径や分子径を異ならせることができる。これにより、1元入力に対し、N元の出力を行い、いわゆる篩い分け、選別作業を行うこともできるのである。
【0032】
ところで、基板12を複数段備える場合、図10に示したように、互いに上下に位置する基板12間に所定厚さのスペーサ60等を介在させることで、基板12、12間にキャビティ50A、50Bを形成するようにしてもよい。この場合、スペーサ60には貫通孔61を形成し、物質の流路を確保する。
【0033】
さて次に、上記したようなデバイス10の製造方法について説明する。
まず、基板12を形成するには、図11(a)に示すように、例えばSi層100a、SiO2層100b、Si層100cが積層されることで形成されたSOI(Silicon On Insulator)基板100を用いる。このとき、各層の厚さは、例えば、Si層100a:200〜500μm未満、SiO2層100b:0.1〜1μm未満、Si層100c:1〜100μmとするのが好ましい。
【0034】
そして、図11(b)に示すように、SOI基板100に対し、その一面側からSi層100cに所定径の孔15をICP(Inductive Coupled Plasma)エッチング等のドライエッチングにより形成する。このとき、孔15の径は、10nm〜1mmの範囲とするのが好ましい。
次いで、図11(c)に示すように、SOI基板100の反対面側から、ICPエッチングやBHF(Buffered HF:バッファードフッ酸)によりSi層100aに凹部101を形成し、SiO2層100bを露出させる。
しかる後、SiO2層100bの、少なくとも孔15に対応した部分を適宜方法で除去する。
【0035】
ところで、孔15を、図7(a)や図7(b)に示したような断面形状とする場合は、以下のような工程を経ることができる。
図7(a)に示した断面形状の孔15の場合、図12(a)および(b)に示すように、Si層100cの上面側からICPエッチング等により小径部40を形成した後、図12(c)に示すように、Si層100cの下面側からICPエッチング等により大径部41を形成すればよい。
また、図7(b)に示した断面形状の孔15の場合、図13(a)および(b)に示すように、Si層100cの上面側からICPエッチング等によりストレート部44を形成した後、図13(c)に示すように、Si層100cの上面側からKOH(水酸化カリウム)エッチング等により、テーパ部43を形成する。
なお、上記のように小径部40やストレート部44を形成するに先立ち、SiO2層100bの、少なくとも孔15に対応した部分は、適宜方法で予め除去しておく必要がある。
【0036】
ところで、基板12を、図8に示したように外周部に壁状部12wを有する形状ではなく、図3に示したように単なる平板状とする場合、SOI基板100ではなく、単層のシリコン基板を用いることも可能である。ただし、基板12を薄型化する場合、特にハンドリング時等に強度が不足するため、図8に示したような、外周部に壁状部12wを形成し、これを補強部とする形状とするのが好ましい。さらには、この壁状部12w以外に、基板12の表面に、碁盤目状等、適宜形状の補強リブを形成することもできる。
【0037】
さて、この後は、SOI基板100に形成された孔15に、メソポーラス材料、マイクロポーラス材料からなるポーラス材料20を担持させる。
これには図11(d)に示すように、SOI基板100に形成した凹部101側から、メソポーラス材料、マイクロポーラス材料の溶液200を入れる。この溶液200としては、例えば、水熱合成法の場合、TEOS(テトラエチルオルソシリケート):CTAC(セチルトリメチルアンモニウムクロライド):HCl:H2O=1:1.2:9.2:1000の配合のものを用いることができる。また、溶媒蒸発法の場合、溶液200には、例えば、TEOS:界面活性剤:H2O:HCl:EtOH=1:0.015〜0.300:3〜10:0.054:20の配合のものを用いることができる。
このときには、例えば、SOI基板100を、冶具300内に収める。冶具300は、上面が開口し、下面にSOI基板100の孔15に対向した部分に開口部301aが形成されたホルダ301と、このホルダ301の上面の開口を塞ぎ、その中央部に溶液注入孔302aが形成された蓋302とから構成される。これらホルダ301、蓋302は、例えばPTFE(Polytetrafluoroethylene/四フッ化エチレン)によって形成するのが好ましい。
このような冶具300内にSOI基板100を収めた状態で、蓋302の中央部に形成された溶液注入孔302aから、ドリッパ310によって溶液200を冶具300内に所定の流量で滴下させる。すると滴下された溶液200は、SOI基板100の凹部101に溜まり、各孔15から滴下(ドリッピング)される。
【0038】
所定時間、所定量の溶液200を滴下させると、孔15に、図5に示したように、棒状ミセル32の六方構造が自己組織化した構造体33が形成される。
この後、冶具300からSOI基板100を取り出し、余分な溶液200を洗い流す(リンス)。そして、ケイ酸ナトリウムを添加し、オートクレーブ中で例えば100℃で水熱合成する。これにより、六方構造シリカ−ATMA複合体34が形成されるので、さらに、オートクレーブ中で例えば500℃で熱処理する。
その結果、図11(e)に示すように、孔15には、六方トンネル構造シリカ35からなるポーラス材料20が形成され、基板12が形成される。
また、上記の水熱合成法に代え、溶媒蒸発法を採用する場合、溶液200を滴下した後、大気中で放置するか70℃程度の温度で加熱すると、水・アルコールが蒸発し棒状ミセル32が生成し、孔15に自己組織化した周期的構造体が形成される。この後、冶具300からSOI基板100を取り出し、余分な周期的構造体をスポンジなどで取り除く。この後、100〜200℃の温度範囲で加熱して、完全に水・アルコールを蒸発させるとシリカ−界面活性剤複合体34が得られるので、さらに500℃で熱処理する。これにより、図11(e)に示すように、孔15には、周期的空孔構造体からなるポーラス材料20が形成され、基板12が形成される。
【0039】
ところで、孔15が、図7(a)や図7(b)に示したような断面形状の場合、上記のようにして溶液200を滴下させると、溶液200の濃度(粘度)や流量を適宜調整する(濃度を高め、流量を遅くする)ことで、溶液200は図12(d)、図13(d)に示したように、孔15の断面積の小さい部分、小径部40やテーパ部43下部の径が小さい部分に留まりやすくなる。つまり、ポーラス材料20を、孔15に対し、より確実に、容易に形成することができ、また形成されるポーラス材料20の厚さの制御も容易となるのである。このとき、実際には、溶液200は、小径部40やテーパ部43の下部だけでなく、大径部41やテーパ部43の上部、ストレート部44の壁面等にも付着することになるが、これらの部分で孔15を塞がない限り、実質的なポーラス材料20の流路長(微細孔20aの長さ)が影響を受けることはない。
【0040】
このようにして、基板12が形成されるわけであるが、この基板12は、この後に基板11A、11B、あるいは他の基板12と積層されて接合される。このため、基板11A、11B、あるいは他の基板12との接合面となる部分には、保護のため金属膜等の保護膜を予め設けておくのが好ましい。
そこで、基板11A、11B、あるいは他の基板12と接合するに先立ち、この金属膜を剥離する。これには、例えば、いわゆるリバースエッチング技術であるリフトオフ工法を好適に用いることができる。このとき、金属膜には、一連のポーラス材料20の形成工程中に溶液200が付着することでその表面にメソポーラス材料、マイクロポーラス材料の層(膜)が形成されることがあるが、リフトオフ工法により、メソポーラス材料、マイクロポーラス材料の層(膜)とともに金属膜を除去することができる。
【0041】
金属膜の除去後、図3や図8〜図10に示すように、得られた基板12の上下面に、基板11A、11Bを接合する。
これには、例えば、陽極接合、接着剤による接合、金属−金属接合等を用いることができる。陽極接合の場合、接合強度が高く、優れた接合状態を得ることができる。また、接着剤による接合の場合、例えば旭硝子株式会社製のCYTOPのようなアモルファスフッ素樹脂等、フッ素系の接着剤が好適である。この場合、基板12や基板11A、11Bの材質に対する適合性が広く、また他の方法に比較し、プロセス温度が低い(300℃以下)というメリットがある。さらに、CYTOPの場合、広範囲に光の透過率が高いため、デバイス10を分光分析向けとする場合に特に好適である。
金属−金属接合としては、例えば金―金接合等がある。この方法は、基板12や基板11A、11Bの材質に対する適合性が広いというメリットがある。
【0042】
このようにして、基板12の上下面に、基板11A、11Bを接合することで、デバイス10を得ることができる。もちろん、図8〜図10に示したように、基板12を複数積層する場合には、所定数の基板12やスペーサ60と基板11A、11Bを互いに接合する。
【0043】
上述したようなデバイス10では、反応の効率を高め、物質の必要量を少なくすることができ、また小型で、しかも汎用性の高い化学反応装置を構成することができる。また、このデバイス10は、分離装置として用いることもでき、その場合、従来に無い微細な、例えば分子レベルでの篩い分けが可能となる。
【0044】
また、小径部40やテーパ部43下部の径が小さい部分にポーラス材料20を形成することで、流路長を極小とした微細孔20aを形成することが可能となり、より一層小さな反応場を提供することができる。しかも、極小の反応場を形成するような場合でも、基板12を過度に薄くすることなく、基板12の強度を保ったまま、微細孔20aを短くすることができるのである。より具体的には、微細孔20aの流路長を極小とした場合、基板12自体も同様の厚さとすることは可能であるが、そうすると、デバイス10の組立時に基板12をハンドリングする際や、デバイス10内にポンプ等で加圧した状態で送り込まれる物質の圧力によって、基板12が破損する恐れがある。これに対し、基板12の厚さに対し、ポーラス材料20をより短くすることで、基板12を、ハンドリング時や物質を加圧した状態で送り込んだときにも破損することのない十分な強度を有したものとすることができる。逆に、基板12を、破損することのない十分な強度を有したものとし、ポーラス材料20の長さをその基板12の厚さに合わせることも可能であるが、今度はその分、物質を送り込む圧力を上げる必要が生じ、これに伴い、基板12もさらに厚くする必要が生じ、その結果、デバイス10の大型化に繋がる可能性もある。したがって、デバイス10のコンパクト化、基板12の強度、物質を送り込む圧力等のバランスを考慮すると、上記デバイス10の如く、基板12の厚さに対し、ポーラス材料20をより短くするのが最適なのである。
加えて、この小径部40の長さ(基板12の厚さ方向に連続する寸法)や、テーパ部43の径や角度を適宜調整することで、ここに形成されるポーラス材料20の長さの調整も容易かつ精度良く行うことが可能となる。
【0045】
また、上記デバイス10では、ポーラス材料20を、基板12を貫通する孔15に設けるようにした。このような構造に対し、例えば図14に示したマイクロリアクタ1の溝状の流路2にポーラス材料20を担持させることも考えられる。
両者の体積の差を比較すると、基板12の大きさ(面積)を統一し、両者とも孔15あるいは溝状の流路2を基板12に隙間が最小限となるように形成したとすると、孔15あるいは溝状の流路2に担持されるポーラス材料20の厚さが、両者の差となる。
後者、すなわち溝状の流路2の場合、このような状態でポーラス材料20を成膜させる厚さの限界は、現状3μm程度とされている。これに対し、前者、すなわち基板12を貫通する孔15に担持したポーラス材料20の場合、基板12と同じ厚さまではポーラス材料20を担持することが物理的に可能であり、基板12をシリコン、酸化ケイ素、アルミナ等で形成する場合、その一般的な厚さは400〜500μmである。
したがって、ポーラス材料20を、基板12を貫通する孔15に設ける構成とすることで、溝状の流路2にポーラス材料20を担持させる場合よりも、デバイス10の反応効率を高めることができる。逆に、同等の反応効率を得るのであれば、上記構成のデバイス10を、より小型化することができる。
【0046】
なお、上記実施の形態では、基板11A、基板11Bと基板12を積層する構成としたが、基板12の積層数は1段、あるいは2段以上のいかなる段数であってもよい。
また、基板11A、11Bや、基板12、スペーサ60については、その材質を例示したものもあるが、ポーラス材料20を孔15に担持できるのであれば、他のいかなる材質としても良い。
さらに、基板12の形成方法、基板12と基板11A、11Bの接合方法等は、上記に挙げた以外の方法を採用してもよい。
加えて、基板12の孔15にポーラス材料20を担持させる方法についても、他の適宜方法を採用することができる。加えて、ポーラス材料20を形成するメソポーラス材料、マイクロポーラス材料についても、他のいかなる材料を用いても良い。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、より一層反応場を小さくすることができるので、反応の効率を高め、物質の必要量を少なくすることができ、また小型で、しかも汎用性の高い化学反応装置を構成することができる。また、このデバイスは、分離装置として用いることもでき、その場合、従来に無い微細な、例えば分子レベルでの篩い分けが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態におけるデバイスの一例を示すものであり、その外観を示す斜視図である。
【図2】図1を上下に展開した図である。
【図3】デバイスの断面図である。
【図4】基板の貫通孔に設けられた多孔体を示す斜視断面図である。
【図5】多孔体を生成する過程の一例を示す図である。
【図6】基板の貫通孔に対する多孔体の形成形態の例を示す断面図である。
【図7】基板の貫通孔の形状の形態を示す断面図である。
【図8】多孔体を備える基板を複数備える場合のデバイスの断面図である。
【図9】図8のデバイスに、各層に開口部を設けた場合の断面図である。
【図10】多孔体を備える基板の間にスペーサを設けた場合のデバイスの断面図である。
【図11】基板の製造工程の流れを示す図である。
【図12】図7(a)に示した形状の貫通孔を基板に形成する工程を示す図である。
【図13】図7(b)に示した形状の貫通孔を基板に形成する工程を示す図である。
【図14】従来のマイクロリアクタの構成を示す図である。
【符号の説明】
10…デバイス、11A…基板(第二の基板、カバー)、11B…基板(第三の基板、カバー)、12…基板(第一の基板)、12w…壁状部、14…壁状部、15…孔(貫通孔)、16A…キャビティ(第一の室、空隙)、16B…キャビティ(第二の室、空隙)、17A…開口部(投入口)、17B…開口部(排出口)、18…開口部、20…ポーラス材料、20a…微細孔、35…六方トンネル構造シリカ、40…小径部、41…大径部、43…テーパ部、44…ストレート部、50A、50B、50C…キャビティ(第三の室)、60…スペーサ、61…貫通孔、200…溶液、M1、M2、M3、M4…物質
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学反応、抽出分離等を行う場合に用いて好適なデバイス、反応装置、分離装置等に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来一般に、化学反応を実験的に生じさせる際は、フラスコ等の容器内に所定の物質を投入し、撹拌等を行っている。
しかしながら、フラスコ等の容器内では、分子レベルから見ればマクロスケールであり、「拡散現象」が反応を支配している。つまり、反応場が巨大であるため、容器内に拡散した所定の物質どうしが、ある確率で遭遇した場合のみ反応が生じる。
【0003】
これに対し、近年、マイクロリアクタ等と称されるデバイスが提供されている(例えば、非特許文献1、2参照。)。図14に示すように、マイクロリアクタ1は、例えば複数の物質を流す溝状の流路2を備えたもので、例えば、別々の供給口2a、2b、2cから供給した物質A、B、Cが、それぞれ合流した後に化学反応を生じるものである。
このようなマイクロリアクタ1は、細い流路2という小さい反応場で化学反応を生じさせるため、所定の化学反応をフラスコ等の容器よりも確実に生じさせることができる。これにより、反応時間も早く、また短い拡散距離(流路2の長さ)で反応を終了させることができ、結果として反応の効率が非常が良く、また物質の必要量もフラスコ等の容器に較べれば遥かに少なくて済むため、経済的であるという利点を有する。
【0004】
【非特許文献1】
藤井輝夫、「生化学反応を行うマイクロリアクター」、PETROTECH、石油学会、2000年、第23巻、第11号、p.932−938
【非特許文献2】
久本秀明、北森武彦、「マイクロチップに集積化した化学システム」、PETROTECH、石油学会、2000年、第23巻、第11号、p.924−927
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したようなマイクロリアクタ1では、フラスコ等に比較すれば遥かに反応場が小さいとは言え、より一層、反応の効率を高め、物質の必要量を少なくするために、さらに小さな反応場を有したデバイスが必要とされている。
また、従来のマイクロリアクタ1は、流路2のスケール(溝幅)が数〜数百μmであり、近年の化学反応・合成研究分野では、より小さなナノスケールの反応場が求められている。
【0006】
加えて、このようなマイクロリアクタ1では、多数の物質を組み合わせて化学反応を生じさせようとした場合、物質どうしの合流箇所が増えるため、自ずと流路2が長くなり、デバイスとして大型化してしまうという問題がある。さらに、流路2には、物質の数に応じた合流箇所が必要であるため、組み合わせる物質の数に応じ、それに対応する配置・形状の流路2が必要であり、汎用性に欠けるという問題もある。
【0007】
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、より一層、反応の効率を高め、物質の必要量を少なくすることができ、小型でしかも汎用性の高いデバイス、反応装置、分離装置等を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的のもと、本発明のデバイスは、板状(薄膜状を含む)で複数の貫通孔が形成された第一の基板と、この第一の基板の一面側を覆う第二の基板と、第一の基板の他面側を覆う第三の基板とを備え、第一の基板のそれぞれの貫通孔には、複数の微細孔を有するポーラス材料が設けられている。そして、第一の基板と第二の基板の間には、外部に連通する開口部を有した第一の室が形成され、第一の基板と第三の基板との間には、外部に連通する開口部を有した第二の室が形成されている。
ここで、ポーラス材料としては、例えば、管状(トンネル状)の微細孔を複数有して構成された六方トンネル構造シリカを用いることができる。ここで、微細孔は、例えば、IUPAC(INTERNATIONAL UNION OF PURE AND APPLIED CHEMISTRY:国際純正および応用化学連合)の規定における、直径2nm以下のマイクロ孔(micropore)、直径2〜50nmのメソ孔(mesopore)等とすることができる。
【0009】
ポーラス材料は、微細孔が連続する方向を、このポーラス材料が設けられた基板の貫通孔が連続する方向と略同一とするのが好ましい。
なお、このような微細孔は、微細孔が連続する方向を、ポーラス材料が設けられた基板の貫通孔が連続する方向と略同一とすることで、ポーラス材料において、基板の一面側から他面側に貫通する複数の微細流路を形成する。また、ポーラス材料には、ポーラス材料が設けられた基板の貫通孔が連続する方向と略同一の方向、つまり基板の一面側から他面側に貫通する微細孔が存在すれば、必ずしも基板の一面側から他面側に直線的に貫通する必要はなく、また他にそれ以外の方向に連続する微細孔が存在していても良い。さらに、このような微細孔は複数の空間が互いに連続することで形成されるものであってもよい。
【0010】
第一の室、第二の室を設けるには、第一の基板または第二の基板の少なくとも一方と、第一の基板または第三の基板の少なくとも一方に、それぞれ第一の基板の貫通孔が形成された領域を囲むように壁状部を形成すればよい。この壁状部に囲まれた部分に第一の室、第二の室が形成される。
【0011】
このようなデバイスは、第一の室の開口部から物質を供給すると、この物質は第一の基板の貫通孔に設けられたポーラス材料の微細孔を通り、第二の室に移り、第二の室に形成された開口部から排出される。
このような物質の流れを利用し、このデバイスを、化学反応装置や分離装置とすることができる。このようなデバイスでは、ポーラス材料の微細孔に対して供給できる物質であれば、気体、液体、固体を問わず、様々な物質を取り扱うことができる。
【0012】
また、第二の基板と第三の基板の間に、複数の第一の基板を積層することもできる。その場合、互いに上下に位置する第一の基板間に、外部に連通する開口部を有した第三の室を形成してもよい。これには、第一の室、第二の室と同様、互いに上下に位置する第一の基板の少なくとも一方に、貫通孔が形成された領域を囲むように壁状部を形成すればよい。この壁状部に囲まれた部分に第三の室が形成される。
さらに、基板に形成された貫通孔は、その連続する方向において、第一の内径を有した部分と、第一の内径よりも小さな第二の内径を有した部分とを有し、ポーラス材料は、第二の内径を有した部分に担持させることができる。ここで、貫通孔は、第一の内径を有した部分と第二の内径を有した部分とを有していればいかなる形状であってもよい。例えば、第一の内径を有した部分と第二の内径を有した部分との間に段差部を設けても良いし、また第一の内径を有した部分から第二の内径を有した部分に向けて内径が漸次小さくなるテーパ状(すりばち状)の孔形状とすることもできる。
【0013】
本発明は、複数の物質の化学反応を生じさせる反応装置として捉えることもできる。この場合、この反応装置は、基板に、一方向に連続する貫通孔が複数形成され、それぞれの貫通孔に、基板の一面側から他面側に貫通する複数の微細流路を有するポーラス材料が担持され、ポーラス材料の微細流路内を複数の物質の反応場とすることを特徴とする。
また、微細流路に触媒を担持し、基板の一面側に供給された物質と触媒を微細流路内で反応させることもできる。
このような反応装置は、上記のような構成を有しているのであれば、他の部分の構成をいかなるものとしてもよいが、例えば、基板を、貫通孔に対応する領域に空隙を有した状態で基板の表面を覆う二枚一対のカバーで挟み込み、一方のカバーには、空隙に物質を投入する投入口を形成し、他方のカバーには、微細流路を通った物質を空隙から排出する排出口を形成した構成とすることができる。
【0014】
本発明は、板状で複数の貫通孔が形成された基板と、基板の貫通孔に担持され、基板の一面側から他面側に貫通する複数の微細流路を有するポーラス材料と、を備え、ポーラス材料の微細流路内を通過した物質を回収することを特徴とする分離装置として捉えることもできる。
この分離装置は、さらに、基板を複数積層し、各層にて、前段の基板の微細流路を通過し、後段の基板の微細流路を通過しなかった物質を回収することもできる。これには、各層にて、基板間に空隙を形成し、この空隙から物質を回収するための排出口等を設ける必要がある。
また、この分離装置は、上記のような構成を有しているのであれば、他の部分の構成をいかなるものとしてもよいが、例えば、基板を、貫通孔に対応する領域に空隙を有した状態で基板の表面を覆う二枚一対のカバーで挟み込み、一方のカバーには、空隙に物質を投入する投入口を形成し、他方のカバーには、微細流路を通過した物質を空隙から排出させて回収するための排出口を形成した構成とすることができる。
【0015】
本発明は、複数の貫通孔が形成され、それぞれの貫通孔に、基板部材の一面側から他面側に貫通する複数の微細孔を有するポーラス材料が担持されていることを特徴とする基板部材として捉えることもできる。
このような基板部材を用いることで、上記したようなデバイス、反応装置、分離装置等を形成することができる。
【0016】
また、本発明は、複数の貫通孔を有した基板の貫通孔に、微細孔が貫通孔の連続する方向に略一致するようにポーラス材料を形成する工程と、基板に、貫通孔に対応する領域に空隙を有した状態で基板の表面を覆うカバーを積層して取り付ける工程と、を有することを特徴とするデバイスの製造方法として捉えることもできる。
【0017】
さて、上記したようなデバイス、反応装置、分離装置、基板部材、デバイスの製造方法において、基板に形成した貫通孔は、その断面形状が円形であるのが好ましく、その孔径は、10nm〜1mmであるのが望ましい。また、基板は、シリコンまたはアルミナ等で形成するのが好適であり、その厚さは、0.1μm〜1mmとするのが望ましい。
また、ポーラス材料は、例えば酸化ケイ素や酸化チタン、あるいはそれらにアルミニウム、チタン、ジルコニウム等をドーピングしたもので形成するのが好ましい。さらに、ポーラス材料は、管状に連続する微細孔の径が0.5〜30nmであるのが好ましく、このようなポーラス材料は、基板の貫通孔の容積に対し、その占積率が1%以上となるように設けるのが良い。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態におけるデバイス10の構成を説明するための図である。この図1に示すように、デバイス10は、二枚一対の基板(第二の基板、カバー)11A、基板(第三の基板、カバー)11B間に、基板(第一の基板)12を挟み込むことで、これら基板11A、12、11Bが積層された構造となっている。
図2に示すように、基板11A、11Bは、同じ形状を有したもので、平板状のベース部13の一面側に、その表面13aに直交する方向に立ち上がる所定高さの壁状部14がベース部13の外周縁部に沿って連続するよう形成された構成となっている。この壁状部14は、その一部に切り欠き部14aが形成されている。この基板11A、11Bは、例えばシリコン、ガラス、樹脂等で形成することができる。
【0019】
基板12は、その厚さ方向に貫通する複数の孔(貫通孔)15を有している。これら複数の孔15は、その径が10nm〜1mmで、基板11A、11Bに対向させた状態で、壁状部14よりも内側に位置する領域に形成されている。ここで、孔15の数や配置は特に限定する意図はないが、例えば千鳥状に配置することができる。
この基板12は、例えば、シリコン、酸化ケイ素、アルミナ等で形成するのが好適である。
【0020】
図3に示すように、このような基板11A、11Bおよび12は、基板11A、11Bの壁状部14を基板12の表面12a、12bに当接させた状態で、互いに接合あるいは接着されている。
これにより、基板11Aと基板12の表面12aの間、および基板11Bと基板12の表面12bの間には、壁状部14に囲まれることで、キャビティ(第一の室、空隙)16A、キャビティ(第二の室、空隙)16Bが形成されている。また、壁状部14に形成された切り欠き部14aは、基板11Aと基板12、基板11Bと基板12に挟み込まれることで、外部に連通する開口部17A、17Bを形成し、この開口部17A、17Bは、キャビティ16Aへの物質の投入口、あるいはキャビティ16Bからの物質の排出口として機能するようになっている。
【0021】
さて、図4に示すように、基板12の各孔15は、例えばその断面形状が円形とされている。そして、孔15には、基板12の一面側から他面側に貫通する微細孔20aを複数有するポーラス材料20が設けられている。
このポーラス材料20は、メソポーラス材料、マイクロポーラス材料等によって形成されている。メソポーラス材料、マイクロポーラス材料としては、例えばMCM(Mobil Crystalline Materialの略称)−41(登録商標、例えばMobil社製)等を用いることができる。MCM−41は、例えば直径2〜50nm程度の均一な微細孔を有する物質であり、界面活性剤のミセルを鋳型にして得られるシリカゲル体である。
【0022】
このようなポーラス材料20は、水熱合成法、あるいは溶媒蒸発法等によって得ることができる。
水熱合成法の場合、図5に示すように、界面活性剤アルキルトリメチルアンモニウム(ATMA):(CnH2n+1Me3N+X−)の球状ミセル31を形成し、この球状ミセル31から棒状ミセル32を形成する。そして、複数の棒状ミセル32どうしが接合することで、棒状ミセル32の六方構造が自己組織化する。この後、自己組織化して形成された構造体33を、オートクレーブ中で水熱合成することで、ケイ酸イオンの縮合化を図り、六方構造シリカ−ATMA複合体34を得る。しかる後、例えば500℃で熱処理を施すことで、棒状ミセル32を飛ばし、複数の微細孔20aが高い規則性を持って配列した状態で一体化した、いわゆるハニカム構造状の六方トンネル構造シリカ35が形成される。この六方トンネル構造シリカ35がMCM−41等のポーラス材料20である。
また、溶媒蒸発法の場合、TEOSと水、アルコールとを含む有機シラン溶液を用い、これを酸加水分解した液に、界面活性剤(ATMAまたはEO20−PO70−EO20などトリブロックコポリマー)を添加したものを、基板上にスピンコート法やディップコート法を用いて塗布し、界面活性剤の存在下で100〜200℃の温度範囲で加熱して、水・アルコールを蒸発させることにより、界面活性剤分子を凝集せしめ、棒状ミセル32を作成する。この後、さらに水・アルコールを蒸発させ、さらに界面活性剤を凝集させることにより、図5に示すように、周期的に自己組織化した棒状ミセル32の構造体33を含むシリカ−界面活性剤複合体34が基板上に得られる。しかる後、例えば500℃で熱処理を施すことで、棒状ミセル32を飛ばし、複数の微細孔20aが高い規則性を持って配列した状態で一体化した、いわゆるハニカム構造状の六方トンネル構造シリカ35が形成される。この六方トンネル構造シリカ35がMCM−41等のポーラス材料20である。
【0023】
もちろん、ポーラス材料20は、六方トンネル構造シリカ35のMCM−41以外のもの、例えばMCM−48やFMS−16、SBA−11、SBA−12、SBA−14、SBA−15、SBA−16等を用いることも可能である。
加えて、ポーラス材料20は、微細孔20aが高い規則性を持って配列された六方トンネル構造シリカ35に限らず、基板12の一面側から他面側に貫通する微細流路を有しているのであれば、他のいかなる構造を有したものでも良い。例えば、MCM−48、SBA−11、SBA−14、SBA−16は、自己組織化した周期的空孔構造、いわゆるキュービック構造を持つ。
【0024】
このようなポーラス材料20は、図4に示したように、微細孔20aが連続する方向を、基板12の孔15が連続する方向に略一致させた状態で設けられている。
このとき、図6(a)に示すように、ポーラス材料20を、孔15の全体に充填するように設けてもよいが、図6(b)に示すように、ポーラス材料20を、孔15の内周壁面に沿って所定の厚さの部分にだけ環状に設け、中央部の残りの部分を充填材36で埋めるようにしてもよい。
【0025】
また、図7(a)に示すように、孔15を、第一の内径d1を有した小径部40と、第一の径d1より大きな第二の内径d2を有した大径部41とを有し、その内周面を段差部42を有する不連続面とすることもできる。
図7(b)に示すように、孔15を、上方(デバイス10を使用する状態での上方)から下方に向けてその径が漸次縮小するテーパ部43を有した構成とすることもできる。この場合、テーパ部43の上端部43aに連続して、一定の径を有したストレート部44を形成することもできる。この場合、孔15の内周面は不連続面となる。
図7(a)や図7(b)に示したように、孔15の内周面を不連続面とする場合、小径部40の部分や、テーパ部43の下部(径の小さい部分)にのみポーラス材料20を設けることができる。このようにすると、ポーラス材料20(六方トンネル構造シリカ35)を、基板12の厚さ方向において短くすることができる。つまり、ポーラス材料20の微細孔20aの長さを、基板12の厚さに対し、小さくできるのである。
【0026】
さて、図3に示したように、開口部(投入口)17Aから物質をキャビティ16Aにポンプ等で所定圧力に加圧して注入すると、キャビティ16A内の物質は、基板12に形成された複数の孔15に設けられたポーラス材料20(六方トンネル構造シリカ35)の微細孔20aを通り、下方の基板11B側のキャビティ16Bに流れ落ち、開口部(排出口)17Bから排出されるようになっている。
【0027】
このとき、ポーラス材料20の微細孔20aに所定の触媒を担持させておけば、ポーラス材料20を通るときに物質が触媒によって化学反応を起こす。つまり、デバイス10を化学反応装置(反応装置)として用いることができる。
このようなデバイス10では、ポーラス材料20の微細孔20a内という、非常に小さい反応場で化学反応を生じさせるため、所定の化学反応を、フラスコ等の容器内で行う場合よりも確実に生じさせることができる。これにより、反応の効率が非常が良く、また物質の必要量も遥かに少なくて済むため、非常に経済的となる。また、このようなデバイス10内では、温度、圧力等の条件の制御も容易である。加えて、フラスコ等の容器内では、反応場が非常に大きいために見出せなかった(発見できなかった)ような現象も、見出すことができると期待できる。
しかも、このポーラス材料20の微細孔20aの径はナノオーダサイズとすることができるため、反応場を従来のマイクロリアクタ1(図14参照)に比してもさらに小型化することができ、上記効果は非常に顕著なものとなるうえ、分子レベル(ナノオーダ)での化学反応を生じさせることができる。
【0028】
また、ポーラス材料20の微細孔20aの径よりも大きな物質(の分子)はポーラス材料20を通過することができないので、このデバイス10を、微細孔20aを通過した物質のみを回収する、分離装置として用いることができる。この場合、ポーラス材料20の微細孔20aの径はナノオーダサイズとすることができるため、従来に無い微細な、例えば分子レベルでの篩い分けが可能となる。
【0029】
ところで、上記したようなデバイス10は、ポーラス材料20を備えた基板12を複数層備えることもできる。
この場合、図8に示すように、上下の基板11A、11B間に、複数枚の基板12を積層して設ける。このとき、互いに対向する基板12、12間にキャビティ(第三の室)50A、50B、50Cが形成されるよう、各基板12には、その外周縁部に所定高さの壁状部12wを形成する。
【0030】
図9に示すように、このようなデバイス10は、化学反応装置とする場合、最下段の基板12を除き、各基板12の壁状部12wに、外部に連通する開口部18を形成し、これを物質の供給口とすることができる。
この場合、基板11Aの開口部17Aと、各基板12の開口部18とから、それぞれ別々の物質M1、M2、M3、M4をキャビティ16A、50A、50B、50C内に供給することができる。これにより、各基板12の孔15に設けられたポーラス材料20で、物質M1、M2、M3、M4を順次接触させて化学反応を生じさせることができる。
また、一部あるいは全ての基板12の孔15に設けられたポーラス材料20には、触媒を担持させることもできる。その場合、その基板12には開口部18を形成しない構成とすることも可能である。
このように、基板12を積層することで、多数の物質を組み合わせて化学反応を生じさせる場合も、デバイス10が大型化するのを抑制することができる。しかも、組み合わせる物質の数に応じ、積層する基板12の数を変更するのみでよいため、汎用性に富んでいると言える。
【0031】
また、上記デバイス10を、分離装置とする場合、多層の分離精製を行い、分離効果を高めることもできる。
この他、図9に示したように、各基板12の壁状部12wに開口部18を形成し、これを物質の排出口とすることができる。このとき、各層の基板12の孔15に設けるポーラス材料20(六方トンネル構造シリカ35)の微細孔20aの径を異ならせることで、各層で、前段側(上方)の基板12の微細孔20aを通過し、かつ後段側(下方)の基板12の微細孔20aを追加しなかった物質を基板12の排出口(開口部18)から排出(回収)させることができる。つまり、各層で、回収する物質の粒径や分子径を異ならせることができる。これにより、1元入力に対し、N元の出力を行い、いわゆる篩い分け、選別作業を行うこともできるのである。
【0032】
ところで、基板12を複数段備える場合、図10に示したように、互いに上下に位置する基板12間に所定厚さのスペーサ60等を介在させることで、基板12、12間にキャビティ50A、50Bを形成するようにしてもよい。この場合、スペーサ60には貫通孔61を形成し、物質の流路を確保する。
【0033】
さて次に、上記したようなデバイス10の製造方法について説明する。
まず、基板12を形成するには、図11(a)に示すように、例えばSi層100a、SiO2層100b、Si層100cが積層されることで形成されたSOI(Silicon On Insulator)基板100を用いる。このとき、各層の厚さは、例えば、Si層100a:200〜500μm未満、SiO2層100b:0.1〜1μm未満、Si層100c:1〜100μmとするのが好ましい。
【0034】
そして、図11(b)に示すように、SOI基板100に対し、その一面側からSi層100cに所定径の孔15をICP(Inductive Coupled Plasma)エッチング等のドライエッチングにより形成する。このとき、孔15の径は、10nm〜1mmの範囲とするのが好ましい。
次いで、図11(c)に示すように、SOI基板100の反対面側から、ICPエッチングやBHF(Buffered HF:バッファードフッ酸)によりSi層100aに凹部101を形成し、SiO2層100bを露出させる。
しかる後、SiO2層100bの、少なくとも孔15に対応した部分を適宜方法で除去する。
【0035】
ところで、孔15を、図7(a)や図7(b)に示したような断面形状とする場合は、以下のような工程を経ることができる。
図7(a)に示した断面形状の孔15の場合、図12(a)および(b)に示すように、Si層100cの上面側からICPエッチング等により小径部40を形成した後、図12(c)に示すように、Si層100cの下面側からICPエッチング等により大径部41を形成すればよい。
また、図7(b)に示した断面形状の孔15の場合、図13(a)および(b)に示すように、Si層100cの上面側からICPエッチング等によりストレート部44を形成した後、図13(c)に示すように、Si層100cの上面側からKOH(水酸化カリウム)エッチング等により、テーパ部43を形成する。
なお、上記のように小径部40やストレート部44を形成するに先立ち、SiO2層100bの、少なくとも孔15に対応した部分は、適宜方法で予め除去しておく必要がある。
【0036】
ところで、基板12を、図8に示したように外周部に壁状部12wを有する形状ではなく、図3に示したように単なる平板状とする場合、SOI基板100ではなく、単層のシリコン基板を用いることも可能である。ただし、基板12を薄型化する場合、特にハンドリング時等に強度が不足するため、図8に示したような、外周部に壁状部12wを形成し、これを補強部とする形状とするのが好ましい。さらには、この壁状部12w以外に、基板12の表面に、碁盤目状等、適宜形状の補強リブを形成することもできる。
【0037】
さて、この後は、SOI基板100に形成された孔15に、メソポーラス材料、マイクロポーラス材料からなるポーラス材料20を担持させる。
これには図11(d)に示すように、SOI基板100に形成した凹部101側から、メソポーラス材料、マイクロポーラス材料の溶液200を入れる。この溶液200としては、例えば、水熱合成法の場合、TEOS(テトラエチルオルソシリケート):CTAC(セチルトリメチルアンモニウムクロライド):HCl:H2O=1:1.2:9.2:1000の配合のものを用いることができる。また、溶媒蒸発法の場合、溶液200には、例えば、TEOS:界面活性剤:H2O:HCl:EtOH=1:0.015〜0.300:3〜10:0.054:20の配合のものを用いることができる。
このときには、例えば、SOI基板100を、冶具300内に収める。冶具300は、上面が開口し、下面にSOI基板100の孔15に対向した部分に開口部301aが形成されたホルダ301と、このホルダ301の上面の開口を塞ぎ、その中央部に溶液注入孔302aが形成された蓋302とから構成される。これらホルダ301、蓋302は、例えばPTFE(Polytetrafluoroethylene/四フッ化エチレン)によって形成するのが好ましい。
このような冶具300内にSOI基板100を収めた状態で、蓋302の中央部に形成された溶液注入孔302aから、ドリッパ310によって溶液200を冶具300内に所定の流量で滴下させる。すると滴下された溶液200は、SOI基板100の凹部101に溜まり、各孔15から滴下(ドリッピング)される。
【0038】
所定時間、所定量の溶液200を滴下させると、孔15に、図5に示したように、棒状ミセル32の六方構造が自己組織化した構造体33が形成される。
この後、冶具300からSOI基板100を取り出し、余分な溶液200を洗い流す(リンス)。そして、ケイ酸ナトリウムを添加し、オートクレーブ中で例えば100℃で水熱合成する。これにより、六方構造シリカ−ATMA複合体34が形成されるので、さらに、オートクレーブ中で例えば500℃で熱処理する。
その結果、図11(e)に示すように、孔15には、六方トンネル構造シリカ35からなるポーラス材料20が形成され、基板12が形成される。
また、上記の水熱合成法に代え、溶媒蒸発法を採用する場合、溶液200を滴下した後、大気中で放置するか70℃程度の温度で加熱すると、水・アルコールが蒸発し棒状ミセル32が生成し、孔15に自己組織化した周期的構造体が形成される。この後、冶具300からSOI基板100を取り出し、余分な周期的構造体をスポンジなどで取り除く。この後、100〜200℃の温度範囲で加熱して、完全に水・アルコールを蒸発させるとシリカ−界面活性剤複合体34が得られるので、さらに500℃で熱処理する。これにより、図11(e)に示すように、孔15には、周期的空孔構造体からなるポーラス材料20が形成され、基板12が形成される。
【0039】
ところで、孔15が、図7(a)や図7(b)に示したような断面形状の場合、上記のようにして溶液200を滴下させると、溶液200の濃度(粘度)や流量を適宜調整する(濃度を高め、流量を遅くする)ことで、溶液200は図12(d)、図13(d)に示したように、孔15の断面積の小さい部分、小径部40やテーパ部43下部の径が小さい部分に留まりやすくなる。つまり、ポーラス材料20を、孔15に対し、より確実に、容易に形成することができ、また形成されるポーラス材料20の厚さの制御も容易となるのである。このとき、実際には、溶液200は、小径部40やテーパ部43の下部だけでなく、大径部41やテーパ部43の上部、ストレート部44の壁面等にも付着することになるが、これらの部分で孔15を塞がない限り、実質的なポーラス材料20の流路長(微細孔20aの長さ)が影響を受けることはない。
【0040】
このようにして、基板12が形成されるわけであるが、この基板12は、この後に基板11A、11B、あるいは他の基板12と積層されて接合される。このため、基板11A、11B、あるいは他の基板12との接合面となる部分には、保護のため金属膜等の保護膜を予め設けておくのが好ましい。
そこで、基板11A、11B、あるいは他の基板12と接合するに先立ち、この金属膜を剥離する。これには、例えば、いわゆるリバースエッチング技術であるリフトオフ工法を好適に用いることができる。このとき、金属膜には、一連のポーラス材料20の形成工程中に溶液200が付着することでその表面にメソポーラス材料、マイクロポーラス材料の層(膜)が形成されることがあるが、リフトオフ工法により、メソポーラス材料、マイクロポーラス材料の層(膜)とともに金属膜を除去することができる。
【0041】
金属膜の除去後、図3や図8〜図10に示すように、得られた基板12の上下面に、基板11A、11Bを接合する。
これには、例えば、陽極接合、接着剤による接合、金属−金属接合等を用いることができる。陽極接合の場合、接合強度が高く、優れた接合状態を得ることができる。また、接着剤による接合の場合、例えば旭硝子株式会社製のCYTOPのようなアモルファスフッ素樹脂等、フッ素系の接着剤が好適である。この場合、基板12や基板11A、11Bの材質に対する適合性が広く、また他の方法に比較し、プロセス温度が低い(300℃以下)というメリットがある。さらに、CYTOPの場合、広範囲に光の透過率が高いため、デバイス10を分光分析向けとする場合に特に好適である。
金属−金属接合としては、例えば金―金接合等がある。この方法は、基板12や基板11A、11Bの材質に対する適合性が広いというメリットがある。
【0042】
このようにして、基板12の上下面に、基板11A、11Bを接合することで、デバイス10を得ることができる。もちろん、図8〜図10に示したように、基板12を複数積層する場合には、所定数の基板12やスペーサ60と基板11A、11Bを互いに接合する。
【0043】
上述したようなデバイス10では、反応の効率を高め、物質の必要量を少なくすることができ、また小型で、しかも汎用性の高い化学反応装置を構成することができる。また、このデバイス10は、分離装置として用いることもでき、その場合、従来に無い微細な、例えば分子レベルでの篩い分けが可能となる。
【0044】
また、小径部40やテーパ部43下部の径が小さい部分にポーラス材料20を形成することで、流路長を極小とした微細孔20aを形成することが可能となり、より一層小さな反応場を提供することができる。しかも、極小の反応場を形成するような場合でも、基板12を過度に薄くすることなく、基板12の強度を保ったまま、微細孔20aを短くすることができるのである。より具体的には、微細孔20aの流路長を極小とした場合、基板12自体も同様の厚さとすることは可能であるが、そうすると、デバイス10の組立時に基板12をハンドリングする際や、デバイス10内にポンプ等で加圧した状態で送り込まれる物質の圧力によって、基板12が破損する恐れがある。これに対し、基板12の厚さに対し、ポーラス材料20をより短くすることで、基板12を、ハンドリング時や物質を加圧した状態で送り込んだときにも破損することのない十分な強度を有したものとすることができる。逆に、基板12を、破損することのない十分な強度を有したものとし、ポーラス材料20の長さをその基板12の厚さに合わせることも可能であるが、今度はその分、物質を送り込む圧力を上げる必要が生じ、これに伴い、基板12もさらに厚くする必要が生じ、その結果、デバイス10の大型化に繋がる可能性もある。したがって、デバイス10のコンパクト化、基板12の強度、物質を送り込む圧力等のバランスを考慮すると、上記デバイス10の如く、基板12の厚さに対し、ポーラス材料20をより短くするのが最適なのである。
加えて、この小径部40の長さ(基板12の厚さ方向に連続する寸法)や、テーパ部43の径や角度を適宜調整することで、ここに形成されるポーラス材料20の長さの調整も容易かつ精度良く行うことが可能となる。
【0045】
また、上記デバイス10では、ポーラス材料20を、基板12を貫通する孔15に設けるようにした。このような構造に対し、例えば図14に示したマイクロリアクタ1の溝状の流路2にポーラス材料20を担持させることも考えられる。
両者の体積の差を比較すると、基板12の大きさ(面積)を統一し、両者とも孔15あるいは溝状の流路2を基板12に隙間が最小限となるように形成したとすると、孔15あるいは溝状の流路2に担持されるポーラス材料20の厚さが、両者の差となる。
後者、すなわち溝状の流路2の場合、このような状態でポーラス材料20を成膜させる厚さの限界は、現状3μm程度とされている。これに対し、前者、すなわち基板12を貫通する孔15に担持したポーラス材料20の場合、基板12と同じ厚さまではポーラス材料20を担持することが物理的に可能であり、基板12をシリコン、酸化ケイ素、アルミナ等で形成する場合、その一般的な厚さは400〜500μmである。
したがって、ポーラス材料20を、基板12を貫通する孔15に設ける構成とすることで、溝状の流路2にポーラス材料20を担持させる場合よりも、デバイス10の反応効率を高めることができる。逆に、同等の反応効率を得るのであれば、上記構成のデバイス10を、より小型化することができる。
【0046】
なお、上記実施の形態では、基板11A、基板11Bと基板12を積層する構成としたが、基板12の積層数は1段、あるいは2段以上のいかなる段数であってもよい。
また、基板11A、11Bや、基板12、スペーサ60については、その材質を例示したものもあるが、ポーラス材料20を孔15に担持できるのであれば、他のいかなる材質としても良い。
さらに、基板12の形成方法、基板12と基板11A、11Bの接合方法等は、上記に挙げた以外の方法を採用してもよい。
加えて、基板12の孔15にポーラス材料20を担持させる方法についても、他の適宜方法を採用することができる。加えて、ポーラス材料20を形成するメソポーラス材料、マイクロポーラス材料についても、他のいかなる材料を用いても良い。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、より一層反応場を小さくすることができるので、反応の効率を高め、物質の必要量を少なくすることができ、また小型で、しかも汎用性の高い化学反応装置を構成することができる。また、このデバイスは、分離装置として用いることもでき、その場合、従来に無い微細な、例えば分子レベルでの篩い分けが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態におけるデバイスの一例を示すものであり、その外観を示す斜視図である。
【図2】図1を上下に展開した図である。
【図3】デバイスの断面図である。
【図4】基板の貫通孔に設けられた多孔体を示す斜視断面図である。
【図5】多孔体を生成する過程の一例を示す図である。
【図6】基板の貫通孔に対する多孔体の形成形態の例を示す断面図である。
【図7】基板の貫通孔の形状の形態を示す断面図である。
【図8】多孔体を備える基板を複数備える場合のデバイスの断面図である。
【図9】図8のデバイスに、各層に開口部を設けた場合の断面図である。
【図10】多孔体を備える基板の間にスペーサを設けた場合のデバイスの断面図である。
【図11】基板の製造工程の流れを示す図である。
【図12】図7(a)に示した形状の貫通孔を基板に形成する工程を示す図である。
【図13】図7(b)に示した形状の貫通孔を基板に形成する工程を示す図である。
【図14】従来のマイクロリアクタの構成を示す図である。
【符号の説明】
10…デバイス、11A…基板(第二の基板、カバー)、11B…基板(第三の基板、カバー)、12…基板(第一の基板)、12w…壁状部、14…壁状部、15…孔(貫通孔)、16A…キャビティ(第一の室、空隙)、16B…キャビティ(第二の室、空隙)、17A…開口部(投入口)、17B…開口部(排出口)、18…開口部、20…ポーラス材料、20a…微細孔、35…六方トンネル構造シリカ、40…小径部、41…大径部、43…テーパ部、44…ストレート部、50A、50B、50C…キャビティ(第三の室)、60…スペーサ、61…貫通孔、200…溶液、M1、M2、M3、M4…物質
Claims (13)
- 板状で複数の貫通孔が形成され、それぞれの前記貫通孔に、複数の微細孔を有するポーラス材料が設けられた第一の基板と、
前記第一の基板の一面側を覆う第二の基板と、
前記第一の基板の他面側を覆う第三の基板と、
前記第一の基板と前記第二の基板の間に形成され、外部に連通する開口部を有した第一の室と、
前記第一の基板と前記第三の基板との間に形成され、外部に連通する開口部を有した第二の室と、を備えることを特徴とするデバイス。 - 前記ポーラス材料の前記微細孔が連続する方向と、前記基板の貫通孔が連続する方向とが略同一であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
- 前記第二の基板と前記第三の基板の間に、複数の前記第一の基板が積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
- 互いに上下に位置する前記第一の基板間に、外部に連通する開口部を有した第三の室が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
- 前記貫通孔は、当該貫通孔の連続する方向において、第一の内径を有した部分と、前記第一の内径よりも小さな第二の内径を有した部分とを有し、
前記ポーラス材料は、前記第二の内径を有した部分に担持されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のデバイス。 - 複数の物質の化学反応を生じさせる反応装置であって、
一方向に連続する貫通孔が複数形成された基板と、
前記基板の前記貫通孔に担持され、前記基板の一面側から他面側に貫通する複数の微細流路を有するポーラス材料と、を備え、
前記ポーラス材料の前記微細流路内を、複数の前記物質の反応場とすることを特徴とする反応装置。 - 前記微細流路に触媒を担持し、前記基板の一面側に供給された前記物質と前記触媒を当該微細流路内で反応させることを特徴とする請求項6に記載の反応装置。
- 前記基板は、前記貫通孔に対応する領域に空隙を有した状態で前記基板の表面を覆う二枚一対のカバーに挟み込まれ、
一方の前記カバーには、前記空隙に前記物質を投入する投入口が形成され、他方の前記カバーには、前記微細流路を通った前記物質を前記空隙から排出する排出口が形成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の反応装置。 - 板状で複数の貫通孔が形成された基板と、
前記基板の前記貫通孔に担持され、前記基板の一面側から他面側に貫通する複数の微細流路を有するポーラス材料と、を備え、
前記ポーラス材料の前記微細流路内を通過した物質を回収することを特徴とする分離装置。 - 前記基板が複数積層され、各層にて、前段の前記基板の前記微細流路を通過し、後段の前記基板の前記微細流路を通過しなかった前記物質を回収することを特徴とする請求項9に記載の分離装置。
- 前記基板は、前記貫通孔に対応する部分に空隙を有した状態で前記基板の表面を覆う二枚一対のカバーに挟み込まれ、
一方の前記カバーには、前記空隙に前記物質を投入する投入口が形成され、他方の前記カバーには、前記微細流路を通過した前記物質を回収するため、前記空隙から排出する排出口が形成されていることを特徴とする請求項9または10に記載の分離装置。 - 板状の基板部材であって、
複数の貫通孔が形成され、それぞれの前記貫通孔に、前記基板部材の一面側から他面側に貫通する複数の微細孔を有するポーラス材料が担持されていることを特徴とする基板部材。 - 複数の貫通孔を有した基板の前記貫通孔に、微細孔が前記貫通孔の連続する方向に略一致するようにポーラス材料を形成する工程と、
前記基板に、前記貫通孔に対応する領域に空隙を有した状態で前記基板の表面を覆うカバーを積層して取り付ける工程と、を有することを特徴とするデバイスの製造方法。
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