JP2005028151A - 磁気共鳴イメージングを用いて脳内鉄を検出するためのシステム及び方法 - Google Patents

磁気共鳴イメージングを用いて脳内鉄を検出するためのシステム及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気共鳴イメージング(MRI)を用いて鉄を検出するための方法及びシステムを提供する。
【解決手段】本方法はMRIシステム内に実質的に高い磁場強度を発生させること、脳の鉄沈着を強調する際に使用するための脳の磁場マップを作成するように適合させたパルスシーケンスによって磁気共鳴(MR)画像(310、320)を収集すること、並びに所与の疾患を指摘するように脳の鉄沈着に関する統計的に妥当な量を検出するために磁場マップを用いて関心領域を特徴付けすること、を含んでいる。
【選択図】 図1

Description

本発明は磁気共鳴イメージング(MRI)及び画像処理法に関する。本発明は、さらに詳細には、MRI及び画像処理技法を用いた脳内鉄の検出に関する。
脳の特定の領域が、関連するたんぱく質と関連づけされると共に該たんぱく質によって大部分が囲繞されている鉱物基質内の鉄原子からなるような貯蔵プール内の鉄の沈着を含むことは、かねてから知られている。無機化鉄とたんぱく質からなる錯体全体のことはフェリチン(ferritin)と呼ばれ、また別のケースではヘモシデリン(hemosiderin)と呼ばれている。さらに、磁化された鉄原子は局所磁場を変化させ、またこれによって鉄沈着の近傍にある水分子その他の化合物内の陽子からのMR信号を低下させる傾向があるため、これらの沈着はMR画像上である程度まで視覚化されうるものと認識されている。この効果を、局所T2緩和時間の鉄依存性の短縮化と呼んでいる。磁場強度がより高いほど、この効果はより顕著でありかつ観察が容易であることが知られている。しかし、このイメージング現象は、標準的なMRスキャナの感度の限界及び罹患脳領域の形状の複雑さや不規則さのために診断推論を行うことが困難であるため、診断目的に広範に利用されていない。このため、疾患関連の変化を検出できるように、脳の鉄沈着の有無に関するMR撮像の感度を改善させ、かつMR画像の解析方法を改善させるような発明が必要とされている。神経学における差し迫った要求の1つは、アルツハイマー病や関連する疾患に付随するようなアミロイドプラークと神経原線維の絡まりなど、脳内の異常な沈着を検出できるような撮像方法である。フェリチンや関連するたんぱく質化合物の形態をした鉄はこれらの沈着に関連することが多いことが知られている。これらの沈着は、MRIによって脳内の個々の構造として撮像するには小さすぎることが多いが、MR撮像ボクセル内にこうした沈着が幾つか存在すると、この鉄成分のためにそのボクセルに対する全体としての信号強度の低下につながることがある。したがって、単一のボクセルにわたる信号平均化の過程によれば、この技法を使用してこれらの病変構造の有無を確認することができる。さらに、多くの変性性の脳疾患(例えば、パーキンソン病、ハレルフォルデン−シュパッツ病及びその他多くの疾患)は、局限性の鉄沈着の増加を伴うことが分かっている。
今日まで、脳内鉄依存のコントラストを利用しようとする努力の大部分では、視覚的検査による、あるいは個々のボクセルの画像強度変動やT2緩和の計測による解析を受ける比較的厚いスライス(例えば、3〜5mm)で低磁場(例えば、1.5T)の画像が利用されてきた。この方法は、煩雑でありまた時間がかかると共に、高分解能イメージングを利用しないと鉄分布の局所的詳細を分解させることができない。
脳の磁化率は、ごく僅かな量の鉄などの磁性材料によって影響を受ける。磁気共鳴の磁化率コントラストのメカニズムでは、磁場の局所的変動によって誘導される位相変化が不可欠である。共鳴周波数はその磁場に比例するため、画像の位相はエコー時間と周波数の積に依存する。位相画像を用いると磁場をマッピングすることができる。
この磁場は、計測器の不均一性や、撮像を受けている患者の磁性のために変動することがある。計測器の長期的な変動は、その磁場変動を補償するように一組のシムコイルを励起させているよく知られた方法によるシム調整によって減少させることができる。シムコイルに加える電流は、関心領域において患者の位相画像をサンプリングすることによって推定している。3Dにおける変動が緩やかな項(slowly varying terms)は球面調和級数(spherical harmonic series)によって表現することができる。
したがって、上述した不備及び問題を克服しているような、神経変性性の脳疾患の診断及び進行の監視で使用するために脳内鉄沈着に対するMR撮像を実行するための方法が必要とされている。さらに詳細には、脳の鉄沈着の有無を検出し、かつ疾患を診断し疾患関連の変化を検出するためのMR画像の解析方法を改善させるために、MR撮像の感度の改良が必要とされている。
第1の態様では、磁気共鳴イメージング(MRI)を用いて脳内の鉄を検出するための方法を提供する。磁気共鳴イメージング(MRI)を用いて脳内の鉄を検出するための方法は、MRIシステム内に実質的に高い磁場強度を発生させること、脳の鉄沈着を強調する際に使用するための脳の磁場マップを作成するように適合させたパルスシーケンスによって磁気共鳴(MR)画像を収集すること、並びに所与の疾患を指摘するように脳の鉄沈着に関する統計的に妥当な量を検出するために磁場マップを用いて関心領域を特徴付けすること、を含む。
第2の態様では、磁気共鳴イメージング(MRI)を用いて脳内の鉄を検出するためのシステムを提供する。本システムは、実質的に高い磁場強度を有する磁気共鳴イメージング・デバイスであって、脳の鉄沈着を強調する際に使用するための脳の磁場マップを作成するように適合させたパルスシーケンスによって磁気共鳴(MR)画像を収集するように適合させている磁気共鳴イメージング・デバイスと、このイメージング・デバイスと結合させると共に、鉄沈着を検出して鉄依存性疾患に関する診断、予後及び進行の予測のうちの少なくとも1つで使用するために磁場マップを用いて関心領域を特徴付けするように適合させている画像処理装置と、を備える。
本発明に関する特徴及び利点は、本発明の以下の詳細な説明を添付の図面と共に読むことによって明らかとなろう。
医学診断などの様々な分野で利用されているMRIスキャナは、典型的にはコンピュータを使用し、マグネット、傾斜コイル・アセンブリ及び無線周波数コイル(複数のこともある)の動作に基づいて画像を作成している。このマグネットは、水素原子の原子核などの原子核を無線周波数励起に応答させるようにする均一な主磁場を発生させている。この傾斜コイル・アセンブリは、この主磁場に一連のパルス状の空間傾斜磁場を印加し、撮像パルスシーケンス中に撮像ボリューム内の各点に対して、その一意の一組の磁場に対応した空間的識別性を与えている。無線周波数コイル(複数のこともある)は、無線周波数コイルによって検出されかつ画像作成のためにコンピュータによって使用される振動性の横方向磁化を一時的に生成させるような励起周波数パルスを発生させている。
一般に、極めて高い磁場強度とは、1.5テスラ(1.5T)を超えるものと特徴付けされている。近年では、典型的な1.5テスラを超える磁場強度のMRIシステムの利用の増加が見られる。研究用システムは8テスラ程度の高さで構築されている。今日、システムは3テスラ及び4テスラで市販されている。これらのシステムは主に、ファンクショナルMRI(fMRI)や人体頭部関連のイメージングにおける研究、並びにスペクトロスコピー検査のために使用されている。
図1は、本発明の実施形態に従って画像を作成するためのシステムの簡略ブロック図を表している。実施の一形態では、このシステムは、本発明を組み込んだMRイメージング・システムである。このMRIシステムは、例えば、本発明の方法を実施するように適合させているGE Medical Systems,Inc.から入手可能なGE−Signa MRスキャナとすることが可能である、ただし別のシステムも同様に使用可能である。
MRシステムの動作は、キーボード/制御パネル102及びディスプレイ104を含むオペレータ・コンソール100から制御を受けている。コンソール100は、オペレータが画像の作成及び画面104上への画像表示を制御できるようにする独立のコンピュータ・システム107と、リンク116を介して連絡している。コンピュータ・システム107は、バックプレーンを介して互いに連絡している多くのモジュールを含んでいる。これらのモジュールには、画像処理装置モジュール106、CPUモジュール108、並びに当技術分野でフレーム・バッファとして知られている画像データ・アレイを記憶するためのメモリ・モジュール113が含まれる。コンピュータ・システム107は、画像データ及びプログラムを記憶するためにディスク記憶装置111及びテープ駆動装置112とリンクしており、さらに高速シリアル・リンク115を介して独立のシステム制御部122と連絡している。
システム制御部122は、バックプレーンにより互いに接続させたモジュールの組を含んでいる。これらのモジュールには、CPUモジュール119や、シリアル・リンク125を介してオペレータ・コンソール100に接続させたパルス発生器モジュール121が含まれる。システム制御部122は、実行すべきスキャンシーケンスを指示するオペレータからのコマンドをこのリンク125を介して受け取っている。パルス発生器モジュール121は、所望のスキャンシーケンスを実行させるように各システム・コンポーネントを動作させている。これによって、発生させようとする無線周波数(RF)パルスのタイミング、強度及び形状、並びにデータ収集ウィンドウのタイミング及び長さを指示するデータを発生させている。パルス発生器モジュール121は、スキャン中に発生させようとする傾斜パルスのタイミング及び形状を指示するために一組の傾斜増幅器127と接続させている。パルス発生装置モジュール121はさらに、生理学的収集制御器129から被検体データを受け取っており、この生理学的収集制御器129は、電極からのECG信号やベローズからの呼吸信号など被検体200に接続した異なる多数のセンサからの信号を受け取っている。また最終的には、パルス発生器モジュール121は、スキャン室インタフェース回路133(被検体200の状態に関連付けした様々なセンサからの信号を受け取っている)、並びにマグネット系と接続させている。このスキャン室インタフェース回路133を介して、位置決めデバイス134はスキャンのために被検体200を所望の位置に移動させるコマンドを受け取っている。
パルス発生装置モジュール121が発生させる傾斜波形は、Gx、Gy及びGz増幅器から構成される傾斜増幅器システム127に加えられる。各傾斜増幅器は、全体を139で表したアセンブリ内の対応する傾斜コイルを励起し、収集する信号の位置エンコードのために使用される磁場傾斜を発生させている。この傾斜コイル・アセンブリ139は、偏向用マグネット140及び全身用RFコイル152を含むマグネット・アセンブリ141の一部を形成している。ボリューム142は、マグネット・アセンブリ141の内部の被検体200を受け入れるためのエリアとして表しており、患者ボアを含んでいる。本明細書で使用する場合、MRIスキャナの使用可能なボリュームは一般に、主磁場、傾斜磁場及びRF磁場の均一性が既知であり撮像に受け入れ可能なレンジ内にあるような患者ボア内部の連続したエリアであるボリューム142内部のボリュームであると規定している。システム制御部122内にある送受信器モジュール150は、RF増幅器151によって増幅させかつ送信/受信スイッチ154によってRFコイル152に結合させるパルスを発生させている。被検体200内の励起した原子核が放射して得られた信号は、同じRFコイル152によって検知すると共に、送信/受信スイッチ154を介して前置増幅器153に結合させることができる。増幅したMR信号は、送受信器150の受信器セクション内で復調し、フィルタ処理しかつディジタル化している。送信/受信スイッチ154は、送信モードではRF増幅器151をコイル152に電気的に接続させ、また受信モードでは前置増幅器153とコイル152を電気的に接続させるように、パルス発生装置モジュール121からの信号によって制御している。送信/受信スイッチ154はさらに、送信と受信のいずれのモードにおいても、別のRFコイル(例えば、頭部専用コイルや表面コイル)の使用が可能である。本明細書で使用する場合、「ように適合させた(adapted to)」、「構成させた(configured)」その他の表現は、記載の効果を提供するように素子が協働できるような素子同士の機械的または構造的な接続に言及したものであり、またこれらの用語はさらに、与えられた入力信号に応答して出力を提供する手順を実行するようにプログラムしたアナログ式やディジタル式のコンピュータ、特定用途向けデバイス(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))などの電気素子の動作機能に言及したものでもある。
RFコイル152により取り込んだMR信号は、送受信器モジュール150によってディジタル化し、システム制御部122内のメモリ・モジュール160に転送される。スキャンが完了しアレイ状データの全体がメモリ・モジュール160内に収集された時点で、アレイ・プロセッサ161はこのデータを画像データのアレイにするフーリエ変換を行うように動作する。これらの画像データはシリアルリンク115を介してコンピュータ・システム107に送られて、ディスク記憶装置111内に格納される。これらの画像データは、オペレータ・コンソール100から受け取ったコマンドに応じて、テープ駆動装置112上にアーカイブしたり、あるいは画像処理装置106によってさらに処理してオペレータ・コンソール100に送りディスプレイ104上に提示させたりすることができる。画像処理装置106はさらに、画像処理技法を実行するように適合させており、これについては図2を参照しながら以下でより詳細に記載することにする。MRIスキャナは、開放性、速度及びコストに関する所与のスキャナ要件によって磁場均一性を達成するように設計されていることを理解すべきである。
本明細書で使用する場合、「極めて高磁場(very high field)」とは、MRIシステムにより発生させる約1.5テスラを超えるような磁場のことを意味している。本発明の実施形態では、その高磁場は約3テスラ(3T)であることが望ましい。さらに、本明細書で使用する場合、「極めて高周波数(very high frequency)」とは、約64MHzから約500MHzまでの範囲、望ましくは約128MHzから約300MHzまでの範囲、にあるものと見なすこととする。本発明の実施形態では、その高周波数は約128MHzであることが望ましい。
患者に対する複数のスキャンから収集した全データは、1つのデータ組と見なすことができる。各データ組は、ピクセルまたはボクセルのいずれかであるような、より小さい単位にまで分解することができる。データ組が2次元である場合、その画像はピクセルと呼ぶ単位から成り立っている。1つのピクセルは2次元座標(通常は、x及びy)を用いて表現できるような2次元空間内の1つの点である。画像内の各ピクセルは、8個の別のピクセルによって取り囲まれており、これら9個のピクセルで3×3の1つの正方形を形成している。中央のピクセルを取り囲んでいるこれら8個の別のピクセルは、その中央のピクセルに対する8接続式近隣値と見なされる。データ組が3次元である場合、その画像はボクセルと呼ぶ単位で表示される。1つのボクセルは、3次元座標(通常は、x、y及びz)を用いて表現できるような3次元空間内の1つの点である。各ボクセルは26個の別のボクセルによって取り囲まれている。この26個のボクセルは、元のボクセルに対する26接続式近隣値と見なすことができる。
本発明の例示的な実施の一形態では、3次元(3D)傾斜2重エコー・パルスシーケンスを用いて好ましくは3テスラ以上の磁場強度において高分解能のMR画像を撮像し、3D位相画像が収集されるように2つの異なるエコー時間で画像データを収集している。これらの画像では、1.5mm以下のスライス厚を使用することができる。別法として、3D位相画像を収集するように、あるいは関心領域(脳)の磁場マップを作成するように構成させた任意のパルスシーケンスを使用することもできることは、当業者であれば理解されよう。本明細書で使用する場合、「磁場マップ(magnetic field map)」という用語は、磁場の不均一性に関する一定成分と線形成分を推定するためにMRIの間に収集される計測値を意味している。パルス発生装置モジュール121は、本明細書に記載したようにして3D位相画像及び磁場マップを作成するように適合させている。
本発明の実施形態では、関心領域内の磁場の平坦化は、3次元位相画像に対する球面調和級数の当てはめによってシミュレーションしている。例えば、3D傾斜エコーシーケンスを2つの異なるエコー時間で収集し、次いでその位相差によって磁場マップを表すことができる。患者の脳の磁場マップに対してN項の球面調和級数を当てはめるためには、よく知られた数値的方法が使用される。関心領域内の磁場B(Xm,Ym,Zm)のサンプルを、m=1...Mとして座標(Xm,Ym,Zm)にあるボリューム全体にわたって採取する。これらのサンプル点におけるN個の球面調和関数Fn(Xm,Ym,Zm)の値によって1つのN×M行列が形成される。球面調和級数の係数Cnは、データに対する最適最小2乗当てはめを得るために線形数値法によって解かれるような行列方程式[F][C]=[B]によって与えられる。計測した磁場マップから平滑化球面調和級数Sum[Cn×Fn(X,Y,Z)]を差し引くと、関心体積内の磁場の局所的変動が得られる。この式は次式で与えられる。
局所磁場変動=B(X,Y,Z)−Sum[CnFn(X,Y,Z)]
磁場B0の大きさに伴って磁場の変動は増加し、またMRIにおける信号対雑音もB0の大きさに伴って直線的に増加する。したがってMRIによって脳内の磁場変動を計測できる能力はB0の2乗に従って増加する。したがって、本発明の実施形態を用いた高磁場MRIによれば、神経疾患に関係する脳の磁性及び鉄の計測がより高感度となるので有利である。
本発明の実施の一形態では、磁気共鳴イメージング(MRI)を用いて脳内の鉄を検出するための方法は、脳の磁場マップを作成するように適合させた高い磁場強度及びパルスシーケンスを用いて磁気共鳴(MR)画像を収集するステップと、所与の疾患を指摘するように脳の鉄沈着に関する統計的に妥当な量を検出するために磁場マップを用いて関心領域を特徴付けする際に使用するため脳の鉄沈着を強調するための平滑化マップを作成させるように磁場マップを球面調和級数に当てはめるステップと、を含む。脳の鉄沈着は一般に、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、ハレルフォルデン−シュパッツ病、その他の神経変性性障害、並びに中枢神経系のその他の疾患に付随すると共に、これらに対する指標となる。その疾患に応じて、当該疾患を特徴付けするための統計的に妥当な脳内鉄は多いことや少ないことがある。別の実施形態では、脳内鉄を特徴付けすることには、脳沈着によって生じるMR信号の変化を計測すること、並びに所与の疾患の進行と治療措置に対する応答のうちの少なくとも一方を監視する際にこの信号変化を使用すること、を含む。さらに、脳内鉄を特徴付けすることは、脳のサブ構造内での脳内鉄の検出を強調するために、画像強度、T2値、強度比及び信号損失に基づいてコンピュータ支援の解析を用いてその関心領域を処理することを含む。これ以外に、特徴付けはさらに、当該疾患の進行の定量化及び/または治療に対する応答の監視において使用する関心領域に対するボリュメトリック計測値を生成することを含む。
また別の実施形態では、この収集のステップ及び特徴付けのステップは、疾患の進行を計測しかつ治療に対する応答を計測するために、少なくとも1回の継続的または連続的検査において所与の被検体に関して、典型的にはもっと後の時点で反復している。さらに、本方法は、同じ被検体の検査データ、当該疾患に関する臨床集団データ及び生命情報科学データなどのデータソースと整合させ、画像処理装置によってその関心領域についてそれぞれのデータソースからのデータとの比較を実行させることを含む。神経変性疾患、並びに対応する関連する鉄情報に関する知見がどんどん増えるに従って、このデータソースの比較によって所与の患者に関する疾患の段階判定、予測的モデル化、並びに疾患の別のこうした追跡が可能となろう。
多くの変性性の脳疾患(例えば、パーキンソン病、ハレルフォルデン−シュパッツ病及びその他多くの疾患)では、局限性の鉄沈着の増加を伴なうことが分かっている。本明細書に記載したような高分解能MRイメージング及びコンピュータ解析を用いると、高い鉄沈着を伴う多くの新たな脳領域が発見され、特徴付けされ、これによってこの診断技法が別の疾患状態にまで拡張される可能性が高い。さらに、罹患脳領域に対するボリュメトリック解析などコンピュータ作成による情報の利用、並びにコンピュータ画像位置調整技法を用いることによる所与の患者に対する一連検査でのこのパラメータの追跡能力によって、疾患の進行及び治療に対する応答を定量化する手段が提供される。
上述した処理によって画像データを収集し解析し終わると、疾患の診断及び追跡の様々な面でこの画像データを使用することができる。例えば、鉄沈着の定量的な特徴付けによれば、医師は疾患の進行や患者の治療に対する応答を追跡することが可能となる。この収集及び特徴付けは反復し、また画像位置調整技法を用いることによって所与の患者に関して患者画像データを連続して追うことができる。別の利点は、鉄沈着の空間的範囲及び強度の定量化が可能となり、これによって不規則な形状をした脳の原子核に対する定量的ボリュメトリック計測を提供することができることである。本方法は、疾患の発症、進行及び治療に関連した鉄沈着の変化に関する便利なコンピュータ支援による追跡を提供している。
図2は、本発明の実施形態を適用できる3テスラ(3T)の磁場強度で撮像した脳内鉄のMR画像の一例である。左側にあるマグニチュード画像310は、側脳室のレベルにおける脳の領域をコロナルスライスで表したものである。位相画像320は、球面調和を用いて変動が小さい部分を除去して磁場変動を表している。このコントラストは組織の磁性と関連している。例えば、鉄の濃度は組織の磁化率に影響を及ぼすことになる。したがって、上述した本発明による方法を用いることによって、疾患関連の変化を診断し検出する能力を提供するような脳構造内部での脳内鉄の検出が可能となる。
上述した実施形態では、神経変性疾患の診断及び検出を目的として脳内鉄の検出を強調するための方法に焦点を当ててきた。しかし、本発明の方法は、脳以外のイメージング構造(例えば、肝臓)にも同様に適用できることを理解すべきである。当業者であれば、鉄沈着を強調するためのこの収集及び特徴付けの方法は、肝臓その他の組織における鉄過剰につながるような遺伝性ヘモクロマトーシスや続発性ヘモクロマトーシスなどの疾患にも同様に適用することが可能であることを理解されよう。
本発明の好ましい実施形態について図示すると共に本明細書に記載してきたが、こうした実施形態が単に一例として提供されていることは明らかであろう。当業者であれば、本明細書で示した発明を逸脱することなく、多くの変形形態、変更形態及び置換形態を生じさせるであろう。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲の精神及び趣旨によってのみ限定させようとする意図である。
本発明の実施形態が有用となるような磁気共鳴イメージング・システムの簡略ブロック図である。 本発明の実施形態を適用できる3テスラ(3T)の磁場強度で撮像した脳内鉄のMR画像の一例である。
符号の説明
100 オペレータ・コンソール
102 キーボード/制御パネル
104 画面、ディスプレイ
106 画像処理装置モジュール
107 コンピュータ・システム
108 CPUモジュール
111 ディスク記憶装置
112 テープ駆動装置
113 メモリ・モジュール
115 高速シリアルリンク
116 リンク
119 CPUモジュール
121 パルス発生器モジュール
122 システム制御部
125 シリアルリンク
127 傾斜増幅器
129 生理学的収集制御器
133 スキャン室インタフェース回路
134 位置決めデバイス
139 傾斜コイル・アセンブリ
140 偏向用マグネット
141 マグネット・アセンブリ
142 ボリューム
150 送受信器モジュール
151 RF増幅器
152 RFコイル
153 前置増幅器
154 送信/受信スイッチ
160 メモリ・モジュール
161 アレイ・プロセッサ

Claims (10)

  1. 磁気共鳴イメージング(MRI)を用いて脳内の鉄を検出するための方法であって、
    前記MRIシステム内に実質的に高い磁場強度を発生させるステップと、
    脳の鉄沈着を強調する際に使用するための脳の磁場マップを作成するように適合させたパルスシーケンスによって磁気共鳴(MR)画像(310、320)を収集するステップと、
    所与の疾患を指摘するように脳の鉄沈着に関する統計的に妥当な量を検出するために前記磁場マップを用いて関心領域を特徴付けするステップと、
    を含む方法。
  2. 選択した前記パルスシーケンスは2重傾斜エコー・パルスシーケンスであり、かつ前記収集のステップは2つの異なるエコー時間に関して実行されている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記脳の磁場マップは脳の1次元位相画像に対する球面調和級数の当てはめによって作成されている、請求項1に記載の方法。
  4. 脳内の磁場の局所的変動に関する1つの尺度を提供するために前記磁場マップから前記球面調和級数を引き算するステップをさらに含む請求項3に記載の方法。
  5. 前記脳の鉄沈着は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、ハレルフォルデン−シュパッツ病、その他の神経変性疾患及びアテローム硬化性疾患を含む疾患を示唆するものである、請求項1に記載の方法。
  6. 前記実質的に高い磁場強度は約1.5テスラ(1.5T)以上である、請求項1に記載の方法。
  7. 磁気共鳴イメージング(MRI)を用いて鉄を検出するためのシステムであって、
    実質的に高い磁場強度を有する磁気共鳴イメージング・デバイスであって、脳の鉄沈着を強調する際に使用するための脳の磁場マップを作成するように適合させたパルスシーケンスによって磁気共鳴(MR)画像(310、320)を収集するように適合させている磁気共鳴イメージング・デバイスと、
    前記イメージング・デバイスと結合させると共に、鉄依存性疾患に関する診断、予後及び進行の予測のうちの少なくとも1つで使用するために磁場マップを用いて鉄沈着を検出して関心領域を特徴付けするように適合させている画像処理装置(106)と、
    を備えるシステム。
  8. 前記実質的に高い磁場強度は約1.5テスラ(1.5T)以上である、請求項7に記載のシステム。
  9. 前記鉄依存性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、ハレルフォルデン−シュパッツ病、その他の神経変性疾患、肝臓疾患及びアテローム硬化性疾患を含む、請求項7に記載のシステム。
  10. 選択した前記パルスシーケンスは2重傾斜エコー・パルスシーケンスであり、かつ前記収集のステップは2つの異なるエコー時間に関して実行されている、請求項7に記載のシステム。
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