JP2005026018A - モジュラジャック - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ハウジング1の後部の端子台1bには、上側及び後側に解放されてツイストペアケーブルの外被が挿入される凹溝7が形成されており、左右両側の突台5a,5bにはツイストペアケーブルの芯線がそれぞれ接続される複数個の端子片が配設されている。凹溝7内には、外被の外径の適用範囲の最小値と略同じ間隔を開けて対向し、対向部位の形状が先端に行くほど幅が細くなるような形状に形成された電線押さえ板8,8が突設されており、適用範囲の中で最小径の外被が挿入された場合でも電線押さえ板8,8で外被を両側から確実に挟持することができ、また適用範囲の中で最大径の外被が挿入された場合でも外被を点で押さえることによって、外被の変形量を小さくできる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モジュラプラグが着脱自在に接続されるモジュラジャックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばLAN(ローカルエリアネットワーク)システムを構築する際には4対8芯のツイストペア線を外被(シース)に収納したツイストペアケーブルが広く用いられている(10BASE−Tなど)。
【0003】
このようなツイストペアケーブルを相互にあるいは他の装置に接続する際には、一般的にモジュラジャックとモジュラプラグとの組み合わせによる接続構造が用いられ、例えば図6に示すように、前面にモジュラプラグが挿入されるプラグ挿入口が開口したハウジング1の内部に、プラグ挿入口を通してハウジング1内部に挿入されるモジュラプラグの接触子に接触する複数のコンタクトと、各コンタクトに電気的に接続されるとともに、ツイストペアケーブル20のツイストペア線の芯線22が接続される複数の端子片とを収納したモジュラジャックが提供されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
ハウジング1の後部にはツイストペアケーブル20の芯線22が接続される端子台1bが設けられ、この端子台1bの上面に電線を挿入する凹所4が形成されている。また、凹所4を挟んで左右両側の突台5a,5bには上側及び左右両側に解放された電線案内溝6が前後方向に4個ずつ形成され、各電線案内溝6には圧接スリットを有する圧接形の端子片(図示せず)が配設されている。
【0005】
而して、このようなモジュラジャックにツイストペアケーブル20の芯線22を接続する際には、ツイストペアケーブル20の外被21を裂いて剥き出しにしたツイストペアケーブル20の芯線22を電線案内溝6に挿入し、インパクトツールなどの工具を用いて芯線22を端子片に圧接することで、芯線22が端子片に電気的に接続される。
【0006】
ところで、LANシステムに使用するツイストペアケーブル20は、特性インピーダンスを一定値(100Ω)に保つ必要がある。そのため、外被21の内部では隣り合う対が常に同じ位置関係にあるようにケーブルを製造しており、対同士の位置関係を安定させることで、対間のインピーダンスを安定化している。
【0007】
このようなツイストペアケーブル20を上述したモジュラジャックの端子片に接続するには、ツイストペアケーブル20の外被21を裂いて剥き出しにしたツイストペア線の芯線22を端子片に接続するのであるが、対同士の位置関係をできるだけ崩さないようにするためには、外被21を裂く量をできるだけ少なくして、外被21の先端を端子片にできるだけ近い位置にもってくる必要がある。
【0008】
しかしながら施工者のなかには、電話線の接続作業の施工習慣からツイストペアケーブル20の外被21を大きく裂いて施工するものもあり、4対のツイストペア線がばらけて、対間の位置関係がばらばらになり、対間のインピーダンスが不安定になるような施工が行われる場合があった。
【0009】
そこで従来のモジュラジャックでは、図6及び図7に示すように凹所4の後端部を前側部分に比べて幅狭として、ツイストペアケーブル20の外被21を挿入するための凹溝7を設け、この凹溝7内に上側に解放されて表面が円周面に形成された電線保持壁13を設けており、電線保持壁13で外被21を保持するように施工すれば、必然的に外被21の先端が端子片の近くまでくるので、対同士の位置関係をできるだけ崩さないように施工することができる。
【0010】
【特許文献1】
特開平5−13124号公報(段落番号[0010]−[0012]、及び、第6図)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、LANシステムに用いられるツイストペアケーブル20の外被21の外径は、近年の通信速度の高速化に伴って大きくなる傾向にあり、モジュラジャックでは対応するツイストペアケーブル20の外被21の外径に幅を持たせる必要があった(例えば外径の適用範囲が5.0〜6.5mm)。
【0012】
しかしながら、従来のモジュラジャックではツイストペアケーブル20の外被21を保持するために、外被21と面接触する電線保持壁13を設けており、電線保持壁13の内径を適用範囲の中で最小径の外被21に合わせると、外径の大きなツイストペアケーブル20では電線保持壁13が外被21と面接触することによって外被21の変形量が大きくなり、ツイストペアケーブル20に大きなストレスが加わるという問題があった。また、電線保持壁13の内径を適用範囲の中で最大径の外被21に合わせると、外径の小さなツイストペアケーブル20では電線保持壁13で外被21をしっかりと保持できず、ツイストペアケーブル20を引き抜き方向に引っ張るとすぐに抜けてしまい、電線接続作業の作業性が悪かった。
【0013】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、外径の異なるケーブルでも確実に仮保持できるモジュラジャックを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、モジュラプラグが着脱自在に挿入されるプラグ挿入口が開口したハウジングと、それぞれハウジングに保持されて複数本の被覆電線を外被で覆ったケーブルの各被覆電線が接続される複数の端子片と、各端子片に電気的に接続されるとともに、プラグ挿入口を通してハウジングの内部に挿入されるモジュラプラグの接触子に弾接する複数のコンタクトとを備え、ハウジングの表面にケーブルの外被を挿入するための凹溝を形成するとともに、この凹溝内に、外被の外径の適用範囲の最小値と略同じ間隔を開けて対向し、対向部位の形状が先端に行くほど幅が細くなるような形状に形成されて、外被と点接触する板状の電線押さえ部を設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、凹溝の開口縁に、ケーブル挿入方向と反対側に行くほど開口幅が広がるように傾斜する傾斜面を形成したことを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、凹溝内で電線押さえ部の周りの部位に、電線押さえ部よりも幅広に形成されて、外被の周面と面接触する電線保持部を設け、該電線保持部の外被との接触面を、外被の外径の適用範囲の最小値よりも大きな円周面としたことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係るモジュラジャックの一実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。尚、以下の説明では特に断りがない限り、図3に示す向きにおいて上下左右の方向を規定し、図3の正面を前面とする。従って、図1の正面は後面となる。また、基本的な構成は上述した従来のモジュラジャックと同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0018】
モジュラジャックのハウジング1は絶縁性を有する合成樹脂成型品からなり、前部にはモジュラプラグの接続されるプラグ接続部1aが設けられ、複数本の芯線(被覆電線)を外被で覆ったツイストペアケーブルの芯線が接続される端子台1bが後部に設けられている。
【0019】
プラグ接続部1aは前面視の形状が矩形状に形成されており、プラグ接続部1aの前面にはモジュラプラグが挿抜自在に接続されるプラグ挿入口2が開口する。ハウジング1の内部には、プラグ挿入口2を通してハウジング1内に挿入されるモジュラプラグの接触子に弾接する8本のコンタクト3が保持されている。各コンタクト3はばね性を有する導電材料により細幅の線状に形成され、プラグ挿入口2に臨むようにしてハウジング1の内部に左右に並べて配列されている(図3参照)。
【0020】
端子台1bの上面には、上側及び後側に開放されてツイストペアケーブルの芯線が挿入される矩形状の凹所4が設けられている。この凹所4を挟んで左右両側の突台5a,5bの上面には、上側及び左右両側に解放された電線案内溝6が前後方向に4個ずつ設けられ、計8個の電線案内溝6にはそれぞれ対応するコンタクト3に電気的に接続された端子片(図示せず)が1個ずつ配置されている。端子片は、ツイストペアケーブルの芯線を挿入したときに芯線の絶縁被覆を破って内部導体と接触する圧接スリットを備え、電線案内溝6が圧接スリットを通るように溝内に配置されており、電線案内溝6を通してツイストペアケーブルの芯線を端子片の圧接スリットに上方から圧入することによって芯線と端子片との電気的接続が容易に行えるようになっている。
【0021】
また図1及び図4に示すように凹所4の後端部は凹所4の前側部分に比べて幅狭となって、ツイストペアケーブルの外被を挿入するための凹溝7が設けられており、凹溝7の開口縁には、ケーブル挿入方向と反対側に行くほど開口幅が広がるように傾斜する傾斜面9,9が形成されている。また凹溝7内には、ツイストペアケーブルの外被の適用範囲の最小径と略同じ間隔を開けて左右方向に対向する一対の電線押さえ板8,8が突設され、さらに電線押さえ板8,8の前後両側には、上側に解放されて、表面がツイストペアケーブルの外被の適用範囲の最大径と略同じ直径の円周面に形成された電線保持部10が設けられている。ここで、電線押さえ板8,8の対向部位の平面形状は先端に行くほど幅が狭くなるような形状に形成されている(図4(b)参照)。
【0022】
また更に、端子台1bの上面には端子カバー11が着脱自在に接続される。端子カバー11は絶縁性を有する合成樹脂成型品からなり、端子台1bの上面を覆う矩形板状の主部11aを備え、主部11aの左右両側縁の中央部からは係止孔11cを有する弾性係止片11bが下向きに突出している。一方、各突台5a,5bの外側面には端子カバー11の係止孔11cと係止する係止爪12が突設されており、端子台1bの上方から端子カバー11を被せて、弾性係止片11bの係止孔11cに係止爪12を係止させることによって、端子カバー11が端子台1bに接続され、芯線の接続部分を保護するとともに、芯線の抜け止めを行うようになっている。なお、端子カバー11を接続する際には弾性係止片11bの弾性と係止爪12の上部に設けた傾斜面12aとで容易に接続できるようになっている。
【0023】
本発明のモジュラジャックは以上のような構成を有しており、このモジュラジャックにツイストペアケーブルを接続する際には、ツイストペアケーブルの外被を裂いてツイストペア線を剥き出しにした後、ツイストペアケーブルの外被の先端を上側から凹溝7内に挿入する。凹溝7内には電線押さえ板8,8を設けてあるので、凹溝7内に外被を挿入すると、電線押さえ板8,8の間に外被が挟持されて仮保持される。なお、凹溝7内にツイストペアケーブルの外被を挿入する際には、凹溝7の開口縁に設けた傾斜面9,9がガイドとなって、電線押さえ板8,8の間に外被を挿入する作業を容易に行うことができる。
【0024】
次にツイストペアケーブルの外被を凹溝7内に仮保持させた状態で、ツイストペア線の芯線を対応する電線案内溝6内に挿入して整列させた後、インパクトツールなどの工具を用いて芯線を端子片の圧接スリットに圧入することで、各々の芯線を端子片に電気的に接続する。なお芯線を端子片の圧接スリットに圧入する機能を上述した端子カバー11に持たせても良い。そして、芯線の圧接作業が終了すると、端子台1bの上面に端子カバー11を被せて、芯線の接続状態を保護するようになっている。
【0025】
上述のように本実施形態では凹溝7内に設けた電線押さえ板8,8の間に外被を保持させているので、外被の先端から端子片までの距離をできるだけ短くして、対間のインピーダンスを安定化することができる。また電線押さえ板8,8は、外被の外径の適用範囲の最小径と略同じ間隔をおいて対向しているので、最小径の外被を保持する場合でも外被がぐらつくことはない。また図5(a)(b)はツイストペアケーブル20の外被21の保持状態を模式的に示した図であり、図5(b)に示すように外被21を面で押さえる電線押さえ板8aの場合は、外被21の変形量が大きくなってツイストペアケーブル20に加わるストレスが大きくなるが、本実施形態では電線押さえ板8,8の対向部位の上面視の形状(平面形状)が、先端に行くほど幅が細くなるような形状に形成されているので、適用範囲の中で最大径の外被21を保持する場合でも、図5(a)に示すように外被21を点で押さえることで、図5(b)に比べて外被21の変形量を小さくして、ツイストペアケーブル20に加わるストレスを低減できる。したがって、より大きな外径のツイストペアケーブルにも対応でき、適用範囲が広がるいう利点がある。
【0026】
ところで、外径の大きな外被21を保持する場合でも外被21の変形量をできるだけ少なくするために電線押さえ板8,8の幅を小さくして、外被21を点で押さえるようにしているので、外被21が多少ぐらつきやすくなるが、本実施形態では電線押さえ板8,8の前後両側に、電線押さえ板8,8よりも幅広であって、電線押さえ板8,8の間隔よりも大きな外径の円周面に形成された電線保持部10を形成しており、この電線保持部10が外被21の周面と面接触するので、径の大きめの外被21を保持する場合でも外被21のぐらつきを抑えて、しっかりと保持することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明では、電線押さえ部が、外被の外径の適用範囲の最小値と略同じ間隔をおいて対向しているので、最小径の外被を保持する場合でも外被がぐらつくことはなく、さらに対向部位の形状が先端に行くほど幅が細くなるような形状に形成されているので、外径が適用範囲の最大値の外被を保持する場合でも、外被を点で押さえることで外被の変形量を小さくして、外被に加わるストレスを低減することができ、したがって外径の異なるケーブルを、ケーブルにかかるストレスを減らしつつ確実に保持することができる。
【0028】
また請求項2の発明では、傾斜面がガイドとなって電線押さえ部の間にケーブルの外被を挿入する作業を容易に行うことができる。
【0029】
また更に請求項3の発明では、電線押さえ部に加えて、電線保持部が外被の周面と面で接触するから、外被のぐらつきを抑えて確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のモジュラジャックの背面図である。
【図2】同上を後方から見た外観斜視図である。
【図3】同上を前方から見た外観斜視図である。
【図4】同上を示し、(a)は一部省略せる上面図、(b)は上側から見た一部省略せる断面図である。
【図5】(a)(b)はツイストペアケーブルを押さえた状態の説明図である。
【図6】従来のモジュラジャックにツイストペアケーブルを仮保持させた状態を上側から見た図である。
【図7】従来のモジュラジャックの背面図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
1b 端子台
5a,5b 突台
7 凹溝
8 電線押さえ板
Claims (3)
- モジュラプラグが着脱自在に挿入されるプラグ挿入口が開口したハウジングと、それぞれハウジングに保持されて複数本の被覆電線を外被で覆ったケーブルの各被覆電線が接続される複数の端子片と、各端子片に電気的に接続されるとともに、プラグ挿入口を通してハウジングの内部に挿入されるモジュラプラグの接触子に弾接する複数のコンタクトとを備え、前記ハウジングの表面にケーブルの外被を挿入するための凹溝を形成するとともに、この凹溝内に、前記外被の外径の適用範囲の最小値と略同じ間隔を開けて対向し、対向部位の形状が先端に行くほど幅が細くなるような形状に形成されて、前記外被と点接触する板状の電線押さえ部を設けたことを特徴とするモジュラジャック。
- 前記凹溝の開口縁に、ケーブル挿入方向と反対側に行くほど開口幅が広がるように傾斜する傾斜面を形成したことを特徴とする請求項1記載のモジュラジャック。
- 前記凹溝内で前記電線押さえ部の周りの部位に、前記電線押さえ部よりも幅広に形成されて、前記外被の周面と面接触する電線保持部を設け、該電線保持部の前記外被との接触面を、前記外被の外径の適用範囲の最小値よりも大きな円周面としたことを特徴とする請求項1又は2記載のモジュラジャック。
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