JP2005025097A - 光サーキュレータ - Google Patents

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幸司 鈴木
Hironori Tokita
宏典 時田
Makoto Shimada
誠 嶋田
Hitoshi Oguri
均 小栗
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Abstract

【課題】 光サーキュレータにおいて、比較的広帯域におけるアイソレーションの波長特性を向上できるようにする。
【解決手段】 光サーキュレータ1を主要部に、複屈折性結晶8、偏波回転手段9、複屈折性結晶10、偏波回転手段11、複屈折性結晶12、偏波回転手段13および複屈折性結晶14を配置する。そして偏波回転手段9、11、13をそれぞれ0次の1/2波長板からなる複合波長板9a、11a、13aと、ファラデー回転子9b、11b、13bとを組み合わせて構成する。そして、透過方向による偏波成分回転方向を制御し、複合波長板9a、11a、13aの設計波長を使用波長範囲から適宜選定することにより、アイソレーションの波長特性を向上する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光サーキュレータに関する。
従来、例えば光通信などで用いられる光サーキュレータには、光入出射ポート間のアイソレーションを向上させるとともに、設置を容易とするために、種々の構成が提案されている。
例えば、特許文献1には、光路の分離合成と移動を行うために複屈折結晶板を用い、順方向、逆方向の切り替えを行うために、相反性回転子である水晶旋光子や1/2波長板と非相反性回転子であるファラデー回転子とを組み合わせた偏波回転手段を用いる構成が記載されている。
一方、このような光サーキュレータに利用可能な波長板において、広帯域で使用可能なものが知られている。
例えば、特許文献2には、複屈折率の波長分散値の異なる2種類の複屈折媒体を積層して波長分散値が1より小さい積層型位相差板を形成することにより、可視光域のすべての波長に対してほぼ一様な位相差を発生させる構成が記載されている。
特開平5−61001号公報(第4−13頁、図1−29) 特開平10−239518号公報(第2−3頁、図1−3)
しかしながら、上記のような従来の光サーキュレータおよびそれに利用可能な波長板には以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、光信号が単波長の場合には、優れたアイソレーションを得ることができるものの、近年脚光を浴びている波長分割多重(WDM)、広間隔波長多重(Coarse-WDM、CWDM)の技術を用いた高速高密度の光通信システムのように、複数波長の光信号が混在する場合にアイソレーションが劣化するという問題があった。
特許文献2に記載の技術では、波長分散値の異なる複数の複屈折媒体を積層して広帯域で略一様な位相差が得られるようにしているが、例えば0℃〜65℃というような温度範囲で使用する場合、個々の複屈折媒体の温度特性がまちまちであるために、最適条件から外れて、一様な位相差が得られなくなるものである。したがって、温度補償のために別の手段を講じなければならないという問題がある。
ここで、上記特許文献1の問題について、図11〜14を参照してさらに詳しく説明する。
図11は、特許文献1に記載された従来の光サーキュレータと同種の光サーキュレータ30の概略構成をその光路とともに説明するための斜視説明図である。図12、13は、それぞれ図11(a)、(b)における光路断面における光サーキュレータ30の動作説明図である。符号S〜S12は、図11(a)、(b)における空間S〜S12での光路に直交する断面を示し、両矢印は、各偏波成分の位置と偏波方向とを模式的に示す。図14(a)、(b)は、それぞれ光サーキュレータ30の偏波依存性損失(Polarization-dependent loss、以下PDLと略称する)およびアイソレーション(逆方向挿入損失)の波長特性を説明するためのグラフである。
光サーキュレータ30は、一方の端部に光束を入射するポートP11と光束を出射するポートP13を1つずつ備え、他方の端部に光束を入出射するポートP12を備える。そして、ポートP11に入射光束Rが入射されるとポートP12から出射光束Rとして出射され、ポートP12から入射光束Rが入射されるとポートP13から出射光束Rが出射される光学デバイスである。以下では光束がポートP11からポートP12へ進む方向をZ軸正方向とするXYZ直角座標系を参照して光路を説明する。本座標系は右手系とする。XY平面内を光束が透過する4領域に分け、Y軸正方向のX軸負方向側を領域I、同じくX軸正方向側を領域II、それぞれのY軸負方向側の領域を、領域III、IVと称する。
なお、以下、本明細書では回転方向を表すとき、例えば、Z軸正方向から見て時計回りに回転する、というような表現をするが、これは、Z軸正方向側に立って、Z軸負方向側を見たときのZ軸回りの回転方向を表す。また、例えば、透過方向から見て時計回りに回転する、というような表現をするが、これは、光束が所定面を透過する光路において、透過後の位置に立って、透過前の方向を見たときの光軸回りの回転方向を表す。
光サーキュレータ30の概略構成は、一方の端部から順に、複屈折性結晶31(分離合成素子)、偏波回転手段32(片側偏波回転手段)、複屈折性結晶33(偏波移動素子)、偏波回転手段34(片側偏波回転手段)および複屈折性結晶35(分離合成素子)が配列されてなる。
複屈折性結晶31、35は、光学軸がYZ平面内にあって、Z軸正方向からY軸の正方向に向けて45°傾斜されている1軸結晶の平行平面板である。また、複屈折性結晶33は、光学軸がZX平面内にあって、Z軸正方向からX軸の正方向に向けて45°傾斜されている1軸結晶の平行平面板である。
偏波回転手段32は、光束の偏波方向を透過方向から見て、反時計回りに45°回転する1/2波長板32Aと、同じく時計回りに45°回転する1/2波長板32BとをX軸に平行に整列して接合した複合波長板32aと、光束の偏波方向をZ軸正方向から見て時計回りに45°回転させるファラデー回転子32bとを、Z軸方向に並べて構成される。
また、偏波回転手段34は、光束の偏波方向をZ軸正方向から見て反時計回りに45°回転させるファラデー回転子32bと、光束の偏波方向を透過方向から見て、反時計回りに45°回転する1/2波長板34Aと、同じく時計回りに回転する1/2波長板34Bとを、X軸に平行に整列して接合した複合波長板34aとを、Z軸方向に並べて構成される。
なお、1/2波長板32A、34A、32B、34Bは、安価に製作できる高次波長板が用いられる。
このような構成により、図12に示したように、入射光束RがポートP11(空間Sの領域IV)に入射されると、複屈折性結晶31により、その偏波成分が偏波光束R(領域IV)、偏波光束R(領域II)に分離される(空間S)。そして偏波回転手段32により、各偏波成分が回転される(空間S、S)。そして、複屈折性結晶33を直進し(空間S)、偏波回転手段34により偏波光束RがX軸方向に、偏波光束RがY軸方向に回転される(空間S11)。さらに複屈折性結晶35を透過することにより、偏波光束RがY軸正方向に移動され、ポートP12(空間S12の領域II)に合成されて出射光束Rとして出射される。
また入射光束RがポートP12から入射されると、図13に示したように、空間S12〜Sまで図示の経路をたどって、ポートP13(空間Sの領域III)に出射光束Rとして出射される。
このとき、空間Sでは非相反性回転子であるファラデー回転子34bの作用により、ポートP11からポートP12へ向かう光路とは異なる回転を受け、各偏波成分がX軸に平行に整列する。そこで、各偏波成分は複屈折性結晶33によりX軸方向へ移動されるので、ポートP11に光束が戻ることがない。
ただし、これは理想的な場合であって、空間Sから複屈折性結晶33に入射する光束が直線偏波でない場合は、複屈折性結晶33を直進する偏波成分が発生し、ポートP11に戻る光束が生じる。光サーキュレータ30に入射される光束が単一波長を有する場合、複合波長板32a、34bをその波長を設計波長として1/2波長板の厚さを設定することにより厳密な直線偏波が実現される。
従来、光通信などでは、光信号に使用される波長が限定されており、例えば、1550nm±20nmというような狭帯域で使用されていたため、このような構成で実用化が可能であった。
ところがWDM、CWDMなどのように複数波長の光束が透過する場合、設計波長以外の光束では、楕円偏波となるためアイソレーションが劣化するという問題が生じる。
ここで、本明細書の挿入損失、PDL、アイソレーションの定義について説明する。
光束を入出射する光部品において、ポートAから入射される光強度をIとし、ポートBから出射される光強度をIとするとき、比(I/I)をポートAからポートBへの挿入損失と称する。
挿入損失が入射光束の種々の偏波状態に対して異なる値を持つとき、その最大値と最小値との差をPDLと定義する。
また、ポートAからポートBへの挿入損失(I/I)に対して、ポートBからポートAへの挿入損失(I/I)が十分小さいとき、前者を順方向挿入損失と称し、後者を逆方向挿入損失(アイソレーション)と称する。一般には、前者を単に挿入損失と称する場合が多い。
図14(a)、(b)にPDL、アイソレーションの波長特性の一例を示す。本例では、1/2波長板32A、34A、32B、34Bを、設計波長が1550nmの1次波長板とした場合のシミュレーション結果である。各図の縦軸は、それぞれPDL(dB)、アイソレーション(dB)であり、横軸はいずれも波長(nm)である。
図14(a)には、温度が0℃、25℃、65℃の場合のPDLを示したが、波長1450nm〜1650nmの範囲で各温度とも略0dBである。
図14(b)の曲線C、C25、C65は、それぞれ温度が0℃、25℃、65℃の場合の、ポートP11からポートP12へのアイソレーションを示す。いずれも特定波長で略50dBのピークを有する山形の曲線となっている。この原因は、1/2波長板の熱膨張により直線偏光となる波長が変動することが主な原因と考えられる。
このグラフより、0℃〜65℃の温度環境を考慮する場合、アイソレーションが40dB以上となる範囲は、約1525nm〜約1570nm(幅約45nm)であることが分かる。
したがって、PDLは問題ないものの、例えば1460nm〜1620nmというような広帯域にわたる特性が要求されるCWDMにおいては良好なアイソレーション特性が得られないという問題がある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、比較的広帯域におけるアイソレーションの波長特性を向上できる光サーキュレータを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、所定波長範囲内の異なる波長を有する光束が入出射される光サーキュレータであって、入射光束を偏波成分に応じて所定位置に出射することにより、入射光束の分離と異なる光路からの入射光束の合成とが可能とされた複数の分離合成素子と、前記分離合成素子のいずれかに隣接して配置され、所定の2つの光路から入射する光束のいずれかの偏波方向を90°回転せしめる一対の片側偏波回転手段と、異なる光路から入射する2つの入射光束の所定偏波成分を所定方向に移動させる偏波移動素子と、該偏波移動素子または前記分離合成素子のいずれかに隣接して配置され、所定の2つの光路から入射する光束を互いの偏波方向の角度差を変えずに回転せしめる両側偏波回転手段とを備え、前記片側偏波回転手段および前記両側偏波回転手段が、相反性回転子と非相反性回転子とを組み合わせて構成され、前記相反性回転子が光路内に3個以上配置されるとともに、それらの設計波長が前記所定波長範囲内から選定された構成とする。
この発明によれば、一つの分離合成素子により、入射光束を2つの偏波成分に分離し、偏波方向の異なる2つの光束を形成する。そして、片側偏波回転手段により、分離された一方の光束の偏波方向を90°回転させ、分離された2つの光束の偏波方向を揃えて、偏波移動素子を透過させる。偏波移動素子は、偏波方向に応じて2つの光束をともに直進させるか、ともに所定方向に移動させる。そして、偏波方向の揃った2つの光束を他の片側偏波回転手段に入射させ、その光束の一方の偏波方向を90°回転させる。そして、この2つの光束を他の分離合成素子に入射させ、1つの光束に合成して出射することができる。
一方、その他の分離合成素子からの出射位置に逆方向から光束を入射させると、非相反性回転子を透過後の偏波方向が上記の光路とは逆転するので、偏波移動素子における光路の直進と所定方向への移動が切り替えられ、上記とは異なる光路をたどって一つの分離合成素子の上記の所定位置と異なる位置に出射することができる。このため、光サーキュレータが構成できる。
その際、偏波移動素子の間に、非相反回転子と、設計波長が所定波長範囲から選定された相反回転子とを組み合わせた両側偏波回転手段を配置して、相反回転子を3つ以上透過させる構成とすることにより、比較的広帯域の波長を有する光束が入射されて相反回転子から楕円偏波された光束が出射される場合であっても、光路を逆進して入射位置に戻る偏波成分を低減することができる。その結果、比較的広帯域の波長範囲であっても、アイソレーションの波長特性を向上することができる。
そして、設計波長が所定波長範囲内から選定された相反性回転子が各光路内に3個以上配置されているから、適宜の設計波長値を選定することにより、アイソレーションの波長特性を容易に制御することができる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の光サーキュレータにおいて、前記相反性回転子の設計波長が少なくとも2種類からなる構成とする。
この発明によれば、少なくとも2種類の波長におけるアイソレーション特性を改善することができるから、それらの波長間隔を適宜設定することにより、波長特性を広帯域化することができる。
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の光サーキュレータにおいて、前記相反性回転子の設計波長が、前記分離合成素子の一対にそれぞれ隣接する前記片側偏波回転手段の相反性回転子において互いに等しい所定値とされ、他の相反性回転子においては、前記所定値とは異なる設計値とされる。
この発明によれば、分離合成素子の一対にそれぞれ隣接する片側偏波回転手段の相反性回転子の設計波長が同一のため、それぞれの光路中における偏波成分が受ける作用が対称となるので、偏波方向に依存する損失が生じても互いにキャンセルされ、PDLを著しく低減できる。
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれかに記載の光サーキュレータにおいて、前記相反性回転子が、0次の1/2波長板からなる構成とする。
この発明によれば、1/2波長板の波長特性と温度特性とを向上することができるので、広帯域の波長特性をさらに向上することができる。
なお、0次の1/2波長板とは、1/2波長板を透過後の常光線と異常光線との位相差が、波長をλとして、λ/2となるような1/2波長板を意味する。また一般に波長板透過後の位相差が、λ・(2m+1)/2となるとき、1/2波長板と同じ機能を有し、これをm次(mは整数)の1/2波長板と称する。また、m≧1の場合、単に高次波長板とも称する。
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれかに記載の光サーキュレータにおいて、前記片側偏波回転手段の相反性回転子が、互いに偏波回転方向が異なる2枚の1/2波長板の組み合わせからなり、該2枚の1/2波長板を前記入射される2つの光束の光路上にそれぞれ配置して、該2つの光束の偏波方向を互いに逆方向に45°回転させるようにした構成とする。
この発明によれば、互いに90°交差した偏波方向を有する偏波成分をそれぞれ±45°回転させることにより、偏波方向が平行となるように揃えることができる。また、光路を逆進して、その逆の回転を行うことできる。したがって、2枚の1/2波長板を用いた簡素な構成で片側偏波回転手段を構成することができる。その結果、1/2波長板の光学軸の方向に関して組付誤差を低減できるので、偏波回転角度を高精度化することができる。
本発明の光サーキュレータによれば、相反性回転子の設計波長値を適宜選定することにより、アイソレーションの波長特性を容易に制御することができるので、比較的広帯域におけるアイソレーションの波長特性を向上することができるという効果を奏する。
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、すべての図面において、実施形態が異なる場合でも、同一または相当する部材には同一符号を付し、共通する説明は省略する。
本発明の実施形態に係る光サーキュレータについて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る光サーキュレータの概略構成を説明するための模式説明図である。図2は、本発明の実施形態に係る光サーキュレータの主要部を説明するための斜視説明図である。図2(a)、(b)は、それぞれ異なる入出射ポート間の光路を示す。
本発明の第1の実施形態に係る光サーキュレータ1の概略構成は、光ファイバ2、4、2芯コリメータ5、平行プリズム7、複屈折性結晶8(分離合成素子)、偏波回転手段9(片側偏波回転手段)、複屈折性結晶10(偏波移動素子)、偏波回転手段11(両側偏波回転手段)、複屈折性結晶12(偏波移動素子)、偏波回転手段13(片側偏波回転手段)、複屈折性結晶14(分離合成素子)、1芯コリメータ6、光ファイバ3と、それらを略この順で一体に収める筐体1aとからなる。そして、光ファイバ2、3、4を光束の入出射ポートとする3ポート型の光サーキュレータを構成が構成されているものである。
以下、光ファイバ2、3、4に対応する入出射ポートを、それぞれポートP、P、Pと称する。そして、ポートPからポートPへ向かう光路(第1光路と称する)に沿って構成を説明し、必要に応じてポートPからポートPへ向かう光路(第2光路と称する)に係る構成について説明する。
2芯コリメータ5は、光軸外に配置された光ファイバ2、4から発散光束が出射される場合、その光束をコリメートレンズ5aに入射させて平行光束化する光学素子である。逆に、コリメートレンズ5aに所定光路から平行光束が入射される場合、その光束を光ファイバ2、4の端面上に結合することができる。
平行プリズム7は、2芯コリメータ5から互いに交差する平行光束が出射された場合、平行プリズム7透過後の光路を屈折させて、所定距離離れた互いに平行な光路を形成する光学素子である。
以下では、光ファイバ2から出射され、平行プリズム7で屈折された光束を入射光束Rとし、平行プリズム7に入射して光ファイバ4に結合される光束を出射光束Rとし、それらがZX平面に平行な面を通るようにXYZ直角座標系をとる。本座標系は、ポートPからポートPに向かう方向をZ軸正方向とする右手系である。
また、各素子間のZ軸方向の隙間を図示のように空間S(i=1〜11)として参照する。
複屈折性結晶8は、空間S側から入射する光束を互いに直交する偏光成分に分離して空間S側に透過させるための光学素子である。すなわち、偏波方向がX軸方向の偏波成分をZ軸方向に直進させ、偏波方向がY軸方向の偏波成分をY軸正方向に移動して分離するものである。光路を逆進すれば、空間Sから入射したY軸方向の偏波成分の光束をY軸負方向に移動して、X軸方向の偏波成分と合成して、空間S側に出射することができるものである。そのため、図2に示したように、1軸結晶を光学軸に平行な面と、光学軸と45°に交差する面で切断した平行平面板を、光学軸がYZ平面内にあってZ軸正方向からY軸正方向に向けて45°傾斜する姿勢で平行プリズム7の後段に配置する構成を採用することができる。なお、図2において、複屈折性結晶8の側面に描かれた両矢印は光学軸の方向を示す。
複屈折性結晶8のXY平面に平行な面は、所定径の光束がX軸方向に3本、Y軸方向に2本、互いに干渉することなく同時に透過できる大きさを有する。
図示の格子枠は、このような光束の透過領域を模式的に示し、Z軸方向にわたって各空間に共通の領域を表す。以下では、Y軸正方向においてX軸正方向に向かって並ぶ3つの格子枠を領域I、II、IIIと称し、Y軸負方向においてX軸正方向に向かって並ぶ3つの格子枠を領域IV、V、VIと称する。また説明の都合上、混乱する恐れがない限り、空間Sの領域VIをポートP、空間S11の領域IIIをポートP、空間Sの領域IVをポートPと同一視して説明する。
複屈折性結晶8のZ軸方向の厚さは、例えば、空間Sの領域VIの略中央から入射光束Rが複屈折性結晶8に入射したとき、入射光束RのY軸方向の偏波成分が、空間Sの領域IIIの略中央に出射される厚さとされる。
複屈折性結晶8は、1軸結晶であればどのような材質でもよいが、例えば、複屈折が大きく安定性に富んだルチル単結晶を好適に採用することができる。
偏波回転手段9は、複屈折性結晶8から出射された光束のいずれかの偏波方向を90°回転させ、空間Sにおいて、それぞれの光路の偏波方向を平行に揃えるための手段である。そのため、複屈折性結晶8側から、複合波長板9a(相反性回転子)、ファラデー回転子9b(非相反性回転子)を配列して構成される。
複合波長板9aは、領域I、II、IIIを覆うように配置される1/2波長板9Aと、領域IV、V、VIに覆うように配置される1/2波長板9BとをY軸方向に接合したものである。このように、複合波長板は3枚以上の1/2波長板を接合した構造とはせずに2枚の接合までに留めることで、接合の手間を最小限に留めることができるとともに、光軸の方向の位置合わせも接合部が少ない分だけ位置合わせが容易になるという利点がある。また、X軸方向には、接合面が生じないから、各領域のX軸方向の有効範囲を大きくとれるという利点もある。したがって、装置をコンパクト化しやすいという利点がある。
1/2波長板9A、9Bは、いずれも所定の設計波長λに対する0次波長板であり、光学軸の方向のみが異なっている。すなわち、いずれも光束透過後の常光線と異常光線との位相差がλ/2とされる波長板である。材質としては、例えば水晶を採用できる。
1/2波長板9Aの光学軸の方向は、光束の透過方向から見て偏波方向が反時計回りに45°回転する方向とされる。また、1/2波長板9Bの光学軸の方向は、同じく時計回りに45°回転する方向とされる。1/2波長板は、相反性回転子であるから、光束の透過方向が逆転しても上記と同様に回転される。
ファラデー回転子9bは、領域I〜VIの全域を覆うように配置され、光束の透過方向に適宜の磁界が加えられることにより、透過する光束の偏波方向がZ軸正方向から見て時計回りに45°回転する構成とされた非相反性回転子である。ファラデー回転子9bの材質は、ファラデー回転子として機能すればどのような材質でもよいが、例えば、ビスマス置換希土類鉄ガーネットなどの透光性セラミックスの単結晶などが好適に採用できる。
複屈折性結晶10は、透過する光束の光路を偏波方向に応じてX軸方向に平行移動させるための光学素子である。そして、偏波回転手段9の後段に、領域I〜VIを覆うように配置された1軸結晶の平行平面板からなり、光学軸の方向を除いて、複屈折性結晶8と同様の材質、外形寸法の構成を採用できる。複屈折性結晶10の光学軸は、ZX平面に平行な平面内で、Z軸正方向からX軸正方向に向けて45°傾斜するように設けられる。そのため、例えば、空間Sから領域II、Vに入射したX軸方向を偏波方向とする光束が、空間Sにおいて、それぞれ領域I、IVに移動するような構成とされる。
偏波回転手段11は、領域II、III、V、VIを覆う範囲に、ファラデー回転子11b(非相反性回転子)、複合波長板11a(相反性回転子)を配列して構成され、各光束がそれぞれの素子を透過することにより、偏波方向を±45°回転させて回転を打ち消し、空間S、Sでそれぞれの光路の偏波方向が同一(すなわち、偏波方向の角度差が0°)に保持される構成とされる。
ファラデー回転子11bは、大きさを除いてファラデー回転子9bと同じ構成を採用できる。
複合波長板11aは、領域III、VIに配置される1/2波長板11Aと、領域II、Vに配置される1/2波長板11BとをX軸方向に接合したものである。
1/2波長板11A、11Bは、いずれも所定の設計波長λに対する0次波長板であり、光学軸の方向のみが異なっている。材質としては、例えば水晶を採用できる。
1/2波長板11Aの光学軸の方向は、光束の透過方向から見て偏波方向が反時計回りに45°回転する方向とされる。また、1/2波長板11Bの光学軸の方向は、同じく時計回りに45°回転する方向とされる。
複屈折性結晶12は、複屈折性結晶10と同様に、透過する光束の光路を偏波方向に応じてX軸方向に平行移動させるための光学素子である。そして、複屈折性結晶10の領域I、IVを除去した部材で構成され、偏波回転手段11の後段で領域II、III、V、VIを覆う範囲に配置される。
偏波回転手段13は、複屈折性結晶12から出射された光束のいずれかの偏波方向を90°回転させ、空間S10において、領域II、IIIの光束の偏波方向をX軸方向とし、領域V、VIの光束の偏波方向をY軸方向とするための手段である。そのため、領域II、III、V、VIを覆う範囲に複屈折性結晶12側から、ファラデー回転子13b(非相反性回転子)、複合波長板13a(相反性回転子)を配列して構成される。
ファラデー回転子13bは、ファラデー回転子11bと偏波回転方向のみが異なる素子である。
複合波長板13aは、設計波長がλとされ、領域I、IVの部分が除去された以外は、複合波長板9aと同様の光学素子である。
複屈折性結晶14は、空間S10の領域V、VIにおける光束のY軸方向の偏波成分をそれぞれ領域II、IIIに移動して、領域II、IIIを通る他方の光束と合成するための光学素子である。そのため、偏波回転手段13の後段に領域II、III、V、VIを覆うように配置され、複屈折性結晶12とは光学軸の方向のみが異なる構成とされる。光学軸の方向は複屈折性結晶8と同様の方向とされる。
そして、Z軸方向の厚さは複屈折性結晶8と一致させておく。これにより、偏波モード分散(PMD)が発生しない構成とすることができるという利点がある。
1芯コリメータ6は、図1に示したように、複屈折性結晶14の後段に配置され、空間S11における領域IIIの光束をコリメートレンズ6aで集光し、光ファイバ3の端面に結合し、あるいは、逆に、光ファイバ3からZ軸負方向に出射される発散光束を平行光束化して、入射光束Rとして、複屈折性結晶14の領域IIIに入射させるための光学素子である。
複合波長板9a、11a、13aの設計波長λ、λ、λは、アイソレーションやPDLを適宜の範囲に収めるために、光サーキュレータ1が使用される波長範囲内の適宜の値を選定する。
例えば、λ=λとしてλを異なる値とすることができる。また、λ=λ=λとしてもよく、それぞれ互いに異なる値としてもよい。
本実施形態の光サーキュレータ1の動作について説明する。
図3、4は、それぞれ図2(a)、(b)に対応する光路における動作説明図である。図3、4は、空間S(i=1〜11)のXY平面内におけるZ軸正方向から見た光束の位置および偏波状態を模式的に表している。格子枠内の両矢印は偏波方向を表す。
なお、以下では回転方向を表す場合、特に断らなければZ軸正方向から見た方向を言うものとする。
まず、図1〜3を参照して、第1光路の動作を説明する。
ポートPから入射された光束は、光ファイバ2から出射されてコリメートレンズ5aでコリメートされ、ZX平面で光軸と交差して斜め方向に進む。そして平行プリズム7に入射し、出射時に屈折されてZ軸に平行な方向に進む平行光束である入射光束Rとされる。
入射光束Rは、空間Sにおいて領域VIに位置する。入射光束Rは一般に非偏波状態にある。そこで、X、Y軸方向の偏波成分である偏波光束Rと偏波光束Rとを合成したものと考えることができる。
偏波光束R、Rが複屈折性結晶8を透過する際、光学軸の傾斜により、偏波光束Rは常光線としてZ軸方向に直進し、偏波光束Rは異常光線として45°斜行してY軸正方向の領域IIIに移動する。したがって、入射光束Rは、空間Sにおいて、偏波成分毎に領域III、VIに分離される。
そしてそれぞれの光束が複合波長板9aを透過する。その際、1/2波長板9Aを透過する偏波光束Rは、反時計回りに45°回転され、1/2波長板9Bを透過する偏波光束Rは、時計回りに45°回転され、その結果、いずれの偏波方向もY軸正方向からX軸負方向に向けて45°回転された方向に揃えられる(空間S)。
そして、ファラデー回転子9bを透過すると、いずれの光束も時計回りに45°回転され、偏波方向がY軸方向に整列する。
そして複屈折性結晶10に入射するが、偏波方向が光学軸と直交するのでそのまま直進して出射される(空間S)。さらに、ファラデー回転子11bに入射して時計回りに45°回転され(空間S)、1/2波長板11Aに入射して反時計回りに45°回転される(空間S)。
そして複屈折性結晶12に入射するが、偏波方向が光学軸と直交するのでそのまま直進して出射される(空間S)。さらに、ファラデー回転子13bに入射して反時計回りに45°回転され(空間S)、複合波長板13aに入射する。
複合波長板13aでは、偏波光束Rが1/2波長板13Aに入射して、反時計回りに45°回転し、偏波方向がX軸方向とされる。また偏波光束Rが1/2波長板13Bに入射して時計回りに45°回転し、偏波方向がY軸方向とされる(空間S10)。
その結果、それぞれの光束が複屈折性結晶14に入射すると、偏波光束Rは常光線として直進し、偏波光束Rが異常光線としてY軸正方向に移動し、それぞれが合成されて、領域IIIから出射光束Rとして出射される(空間S11)。
出射光束Rは、コリメートレンズ6aに入射し、光ファイバ3の端面上に結合される。
このようにして、ポートPに入射された入射光束Rが、出射光束RとしてポートPに出射される。
次に、図1、2、4を参照して、第2光路における動作を説明する。なお、単に第1光路を逆進する動作の説明は適宜簡略化する。
ポートPから入射された光束は、光ファイバ3から出射され、1芯コリメータ6を経て、複屈折性結晶14の領域IIIに入射光束Rとして入射する。入射光束Rは、入射光束Rと同様に、X、Y軸方向の偏波成分である偏波光束Rと偏波光束Rとを合成したものとする。
空間S11〜Sまでは、上記光路を逆進する動作となり、空間Sでは、偏波光束R、偏波光束Rが、偏波方向を反時計回りに45°回転され、それぞれ領域III、VIに到達する。そして、ファラデー回転子13bを透過すると、反時計回りに45°回転されるので、第1光路と異なり、偏波方向がX軸方向に整列される(空間S)。
これらの光束は、複屈折性結晶12に入射すると、異常光線としてX軸負方向に移動され、領域II、Vに出射される(空間S)。そのため、いずれの光束も、1/2波長板11Bに入射され、偏波方向が反時計回りに45°回転される(空間S)。そして、ファラデー回転子11bを透過することにより、偏波方向が時計回りに45°回転されて再びX軸方向に整列される(空間S)。
複屈折性結晶10に入射すると、異常光線としてX軸負方向に移動され、領域I、IVから出射される(空間S)。そして、ファラデー回転子9bにより偏波方向が時計回りに45°回転される(空間S)。
そして、偏波光束Rは、1/2波長板9Aに入射して、偏波方向が時計方回りに45°回転されて、Y軸方向とされ、偏波光束Rは、1/2波長板9Bに入射して、偏波方向が反時計回りに45°回転されて、X軸方向とされる(空間S)。
したがって、複屈折性結晶8に入射すると、偏波光束Rが異常光線としてY軸負方向に移動され、偏波光束Rが常光線として直進し、領域IVで合成され、出射光束R3として空間Sに出射される。そして平行プリズム7、コリメートレンズ5aを経て、光ファイバ4の端面上に結合され、ポートPから出射される。
このようにして、ポートPに入射された入射光束Rが、出射光束RとしてポートPに出射される。
ここで、第1光路におけるアイソレーションについて説明する。すなわち、ポートPから入射してポートPに戻る光束について説明する。
以上に説明したように、各1/2波長板により、直線偏波が直線偏波として回転される場合、ポートPから入射された入射光束Rの偏波光束R、偏波光束Rは、各偏波方向を90°変えてポートPに到達し、偏波成分による損失は生じない
しかしながら、これは厳密には光束が1/2波長板の設計波長に一致した場合に限られる。設計波長からずれた波長の光束が入射されたり、1/2波長板が温度変化を起こしたりして設計波長からずれた特性を示す場合には、直線偏波は楕円偏波として回転される。
例えば、図4に破線両矢印で示したように、空間Sに偏波成分rが発生し、空間SにY軸方向に向けられる。そして複屈折性結晶12を直進し、1/2波長板11Aを通り、時計回りに45°回転され、ファラデー回転子11bにより時計回りに45°回転されて、偏波方向がX軸方向となる。このため、複屈折性結晶10によりX軸負方向に移動され、この偏波成分rがポートPに到達することはない。
ところが、1/2波長板11Aを透過する際に楕円偏波が形成される場合もある。この場合には、偏波成分rに直交するわずかな偏波成分rが発生し、90°回転されて、空間Sの領域III、VIにおいてY軸方向の偏波成分を形成する。そこで、この偏波成分rが複屈折性結晶10を直進し、ファラデー回転子9bで時計回りに45°回転される。
1/2波長板9Aに入射する偏波成分rは、時計回りに45°回転され、偏波方向がX軸方向となり、複屈折性結晶8を直進し、ポートPには到達しない。一方、1/2波長板9Bに入射する偏波成分rは、回転がキャンセルされて、偏波方向がY軸方向のまま、領域VIに入射するので、直進してポートPに到達する。
さらに1/2波長板9Aが楕円偏波を形成する場合には、上記の偏波成分rのうちのわずかの偏波成分rがY軸方向の偏波成分となり、複屈折性結晶8により領域VIに移動されるので、ポートPに到達する。
なお、偏波成分r、r、rは、この順に大略等比級数的に小さくなる強度を有するが、図示では、見易くするため誇張した長さで表現され、大きさの比率も反映されていない。
同様に図11に示した従来例では、1/2波長板34Bが楕円偏波を形成すると、その楕円偏波のうち、直線偏波と直交する偏波成分が領域IVに戻る。すなわち、直線偏波から外れる光量比に比例する戻り光が発生する。
これに対して、本実施形態の戻り光となる偏波成分r、rはそれぞれ直線偏波から外れる光量比の2乗、3乗に比例するオーダーの戻り光となるので、従来例に比べて著しく小さな値となる。したがってアイソレーションが改善される。この理由は、本実施形態では、非相反回転素子を含む偏波回転手段11が複屈折性結晶10と複屈折性結晶14との間に配置されていることによる。
次に、本実施形態における1/2波長板の設計波長の具体例について説明する。
図5、6は、本発明の実施形態に係る光サーキュレータ1において適宜設計波長を変えた場合の第1光路に対するPDLおよびアイソレーションのシミュレーション結果を示すグラフである。各図とも、例えば(A)、(a)のように図番添字のアルファベットが共通のグラフは同一構成の結果を示す。図番添字が大文字のグラフはPDLのグラフであり、横軸が波長(単位nm)、縦軸がPDL(dB)を表す。図番添字が小文字のグラフはアイソレーションのグラフであり、横軸が波長(単位nm)、縦軸がアイソレーション(dB)を表す。それぞれのグラフには、環境温度0℃、25℃、65℃に対応する曲線C、C25、C65がプロットされている。
光サーキュレータ1の使用波長を1460nm〜1620nmとするものとして、各図における1/2波長板の設計波長λ、λ、λを以下のような組み合わせとした。
図番 添字 設計波長(nm)
λ λ λ
例1 図5 A、a 1580 1480 1580
例2 図5 B、b 1620 1460 1620
例3 図6 C、c 1550 1550 1550
例4 図6 D、d 1480 1550 1620
例1では、設計波長λ、λを使用波長範囲の中央よりやや長波長側の1580nmに揃え、設計波長λを短波長側の1480nmとしている。
その結果、PDLは略0dBとなった(図5(A)参照)。
またアイソレーションは、図5(a)に示したように、曲線C25が、1480nmにやや鋭いピークと1580nm近傍に緩やかに広がる凸部とを備え、その間が緩やかに凹んだ略M字状となり、曲線C、C65は、それと類似の曲線がそれぞれ長波長側、短波長側に移動した形状となる。その結果、使用波長域において温度変動を考慮しても約55dB以上という特性が得られた。
これは、PDLが0.1dB以下、アイソレーションが40dB以上という光通信分野における一般的な要求仕様に対しては、きわめて良好な結果である。
例2では、例1に対し、設計波長λ、λを使用波長範囲の最大波長1620nmとし、設計波長λを同じく最小波長1460nmとしている。
その結果、PDLは略0dBとなった(図5(B)参照)。
またアイソレーションは、例1と同傾向を示すが、ピーク波長間の凹みがやや大きい略M字状となっており、例1ほど高いアイソレーションではないが、使用波長範囲において、約55dB程度のアイソレーションが得られた(図5(b)参照)。
したがって、本例もきわめて良好な結果である。
例3では、設計波長λ、λ、λをすべて使用波長範囲の略中央値である1550nmとしている。
その結果、PDLは略0dBとなった(図6(C)参照)。
またアイソレーションは、図6(c)に示したように、曲線C25が1550nm近傍に緩やかに広がる凸部を備えた山形となり、曲線C、C65は、それと類似の曲線がそれぞれ長波長側、短波長側に移動した形状となる。その結果、使用波長域において温度変動を考慮しても、約48dB以上という特性が得られた。
これは、例1、2よりより小さい値であるが十分良好な結果である。
例4では、設計波長λ、λ、λを使用波長範囲の略最小、中間、最大の値である1480nm、1550nm、1620nmとしている。
その結果、図6(D)に示したように、PDLは、各温度で、約1550nmで最小値をとる下に凸の曲線を描き、使用波長範囲の両端側でPDLが大きくなっている。これは、複合波長板9a、13aの設計波長に差を設けたためと考えられる。
そして、PDLの値は、使用波長範囲で約0.08dB以下となった(図6(C)参照)。
またアイソレーションは、図6(d)に示したように、曲線C25が上記3波長でピークを持ち、その間で緩やかに凹んだ波形状となり、曲線C、C65は、それと類似の曲線がそれぞれ長波長側、短波長側に移動した形状となる。その結果、使用波長域において温度変動を考慮しても、約52dB以上という特性が得られた。
したがって、本例は、PDLにややばらつきが見られるものの十分良好な結果である。
このように、本実施形態では、分離合成素子に隣接する複合波長板9a、13aの設計波長の差により、PDLの特性を制御することができる。また、設計波長に差を設けることにより、設計波長間のアイソレーションの大きさを制御できる。
また、本実施形態では、1/2波長板を3枚用いることにより、アイソレーションを格段に改善している。
図7は、図11に示す構成において、複合波長板32a、34aを0次波長板とし、それぞれの設計波長を、1550nmに揃えた場合(図7(E)、(e))、それぞれ1480nm、1620nmとした場合(図7(F)、(f))のシミュレーション結果を示す。グラフ軸、符号の意味は、図5、6と同様である。
図7(E)、(F)によれば、PDLは、本発明の実施形態と同様の傾向を示す。
一方、図7(e)における曲線の山形は、図6(c)に比べて、ピーク値が低く、そのため、使用波長範囲において、約32dB程度のアイソレーションしかなく、40dB以上となる波長範囲は、約1500nm〜1580nmという狭い範囲に限られる。
また、図7(f)においては、略M字状曲線となるものの、アイソレーションが40dB以上の範囲がとれない。
このように、1/2波長板が2枚の場合にアイソレーションが劣化することが定量的にも裏付けられる。
また、本実施形態では、1/2波長板に0次波長板を採用することによりアイソレーションを格段に改善している。これは、m次波長板では、入射光束の波長が設計波長からずれや温度変動などの誤差要因が位相差に及ぼす影響が(2m+1)に比例するので、0次波長板が最も安定性が高いという利点を利用している。
図8(G)、(g)は、図6(C)、(c)の構成において、各1/2波長板を1次波長板とした場合のシミュレーション結果である。グラフ軸、符号の意味は、図5、6と同様である。1次波長板とは、波長板透過後の常光線と異常光線の位相差が(3/2)・λとなる波長板である。
図8(g)によれば、アイソレーションに関して、曲線C、C25、C65の山形の裾部が、図6(c)と比べて急落しているため、55dB以上となる波長範囲が、約1520nm〜1580nmと狭まっている。したがって、0次波長板を用いる利点は大きいと言える。
一方、40dB以上となる波長範囲は、仕様波長範囲よりわずかに狭い約1480nm〜1620nmであるから、例えば、異なる設計波長の1/2波長板を組み合わせることによりさらに特性を改善して、1次波長板などの高次波長板でも使用できるという利点がある。
本実施形態の変形例について説明する。
図9(a)、(b)は、本実施形態の変形例に係る光サーキュレータ100の主要部の概略構成を説明するための斜視説明図である。図10(a)、(b)は、図9(a)、(b)にそれぞれ対応する光路における動作説明図である。
本変形例の光サーキュレータ100は、図11〜13を参照して説明した光サーキュレータ30の一方側に、複屈折性結晶15(分離合成素子)、偏波回転手段16(両側偏波回転手段)、複屈折性結晶17(分離合成素子)をこの順に配してなる光路移動部40を設けたものである。
以下、光路移動部40を中心に簡単に説明する。
複屈折性結晶15、17は、複屈折性結晶31、35と光学軸の配置方向のみが異なる光学素子である。すなわち、複屈折性結晶15、17は、同じ材質でZ軸方向に同じ厚さを有しており、光学軸がZY平面内で、Z軸正方向からY軸負方向に45°回転された方向に配置されている点のみが異なる。
偏波回転手段16は、複合波長板11aとファラデー回転子11bとからなる。そして、光サーキュレータ30の領域I〜IVに対応して、1/2波長板11Aが領域II、IVを覆うように、1/2波長板11Bが領域I、IIIを覆うように配置され、他の素子もそれぞれ領域I〜IVに対応する領域を覆うように配置される。
このような構成により、図10(a)に示したように、空間Sの領域II(ポートP10と称する)から、X、Y軸方向をそれぞれ偏波方向とする偏波光束R、Rからなる入射光束R10が入射されると、複屈折性結晶15により偏波光束Rが常光線として直進し、偏波光束Rが異常光線として領域IVに移動される(空間S)。そして、偏波回転手段16によりそれぞれの偏波方向がともに90°回転される(空間S)。そして、複屈折性結晶17を透過する際、偏波光束Rが常光線として直進し、偏波光束Rが異常光線として、領域IVに移動することにより、光サーキュレータ30への入射光束Rとして合成される。
すなわち、光路移動部40は、ポートP10に入射する入射光束R10の各偏波成分を90°回転させて領域IIから領域IVへ移動させるものである。
同様に、図10(b)に示したように、光サーキュレータ30のポートPから出射される出射光束Rの各偏波成分を90°回転させて領域IIIから、空間Sの領域I(ポートP11と称する)へ出射させる。
光路移動部40は、光アイソレータではないが、ファラデー回転子9bを透過するので、所定のアイソレーションを有する。そこで、光サーキュレータ100のポートP10からポートPへ向かうの光路のアイソレーションは、光サーキュレータ30単独のアイソレーションより確実に低減される。また3つの相反回転子を備えるので、波長特性が向上される点は上記の実施形態の場合と同様である。
また、複屈折性結晶15、17の厚さを同一としているので、PMDが発生しない光サーキュレータとすることができるという利点がある。
また、本変形例では、すべての素子がXY平面内で、領域I〜IVに配置されるので、XY平面の断面積を小さくすることができ、コンパクトな装置とすることができるという利点がある。
なお、上記の説明では、相反回転子として1/2波長板の例で説明したが、例えば水晶旋光子などの他の相反回転子を用いてもよい。
また、上記の説明では、相反回転子が3個の場合の例で説明したが、これは1例であって、必要なら3個以上設けてもよい。
また、上記の説明では、3ポート型の光サーキュレータとして説明したが、3ポート型を基本として構成される多ポート型の光サーキュレータにも適用できることは言うまでもない。
本発明の実施形態に係る光サーキュレータの概略構成を説明するための模式説明図である。 本発明の実施形態に係る光サーキュレータの主要部を説明するための斜視説明図である。 図2(a)に対応する光路における動作説明図である。 図2(b)に対応する光路における動作説明図である。 本発明の実施形態に係る光サーキュレータ1において設計波長を変えた場合のポートPからポートPの光路に対するPDLおよびアイソレーションのシミュレーション結果を示すグラフである。 同じく別の設計波長に対するシミュレーション結果を示すグラフである。 本発明の作用効果を検証するためのシミュレーション結果を示すグラフである。 本発明の実施形態の光サーキュレータに1次波長板を用いた場合のシミュレーション結果を示すグラフである。 本実施形態の変形例に係る光サーキュレータの主要部の概略構成を説明するための斜視説明図である。 同じくその光路における動作説明図である。 従来の光サーキュレータの概略構成をその光路とともに説明するための斜視説明図である。 図11(a)の光路断面における光サーキュレータの動作説明図である。 図11(b)の光路断面における光サーキュレータの動作説明図である。 従来の光サーキュレータのPDLおよびアイソレーションの波長特性を説明するためのグラフである。
符号の説明
1、100 光サーキュレータ
8、14、15、17、31、35 複屈折性結晶(分離合成素子)
9 偏波回転手段(片側偏波回転手段)
9a、11a、13a、32a、34a 複合波長板(相反性回転子)
9b、11b、13b、32b、34b ファラデー回転子(非相反性回転子)
9A、9B、11A、11B、13A、13B、32A、32B、34A、34B 1/2波長板
10、12、33 複屈折性結晶(偏波移動素子)
11、16 偏波回転手段(両側偏波回転手段)
40 光路移動部
、P、P、P10、P11、P12、P13 ポート
、R、R10 入射光束
、R、R11 出射光束

Claims (5)

  1. 所定波長範囲内の異なる波長を有する光束が入出射される光サーキュレータであって、
    入射光束を偏波成分に応じて所定位置に出射することにより、入射光束の分離と異なる光路からの入射光束の合成とが可能とされた複数の分離合成素子と、
    前記分離合成素子のいずれかに隣接して配置され、所定の2つの光路から入射する光束のいずれかの偏波方向を90°回転せしめる一対の片側偏波回転手段と、
    異なる光路から入射する2つの入射光束の所定偏波成分を所定方向に移動させる偏波移動素子と、
    該偏波移動素子または前記分離合成素子のいずれかに隣接して配置され、所定の2つの光路から入射する光束を互いの偏波方向の角度差を変えずに回転せしめる両側偏波回転手段とを備え、
    前記片側偏波回転手段および前記両側偏波回転手段が、相反性回転子と非相反性回転子とを組み合わせて構成され、
    前記相反性回転子が光路内に3個以上配置されるとともに、それらの設計波長が前記所定波長範囲内から選定されたことを特徴とする光サーキュレータ。
  2. 前記相反性回転子の設計波長が少なくとも2種類からなることを特徴とする請求項1に記載の光サーキュレータ。
  3. 前記相反性回転子の設計波長が、
    前記分離合成素子の一対にそれぞれ隣接する前記片側偏波回転手段の相反性回転子において互いに等しい所定値とされ、
    他の相反性回転子においては、前記所定値とは異なる設計値とされることを特徴とする請求項1または2に記載の光サーキュレータ。
  4. 前記相反性回転子が、0次の1/2波長板からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光サーキュレータ。
  5. 前記片側偏波回転手段の相反性回転子が、互いに偏波回転方向が異なる2枚の1/2波長板の組み合わせからなり、該2枚の1/2波長板を前記入射される2つの光束の光路上にそれぞれ配置して、該2つの光束の偏波方向を互いに逆方向に45°回転させるようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光サーキュレータ。
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