JP2005022942A - 光ファイバの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 長尺かつ分散特性が一定で、低損失の光ファイバの製造方法を提供すること。
【解決手段】 ガラスロッド14に、超音波ドリル9により孔13を所定の間隔で9本ずつ同時に開けた。これを2回繰り返して18個の孔13を開けた。PCFでは、導波特性をもたせるために中心部に孔のない欠陥部15を配置している。孔13の内面をフッ酸にて洗浄後乾燥させた後、この孔13の開いたガラスロッド14を電気炉で加熱し、125μm径の光ファイバに線引きした。光ファイバ線引き後、その光ファイバを切断し、電子顕微鏡で孔径d及び孔間隔Aを測定した。元の孔の開いたガラスロッドにおける孔の形状と相似の孔開き光ファイバが実現できた。また、径の変化の少ない(μm程度)正確な孔を複数個開けることにより、短時間で数個〜数百個、孔間隔を等しく加工できた。
【選択図】 図6
【解決手段】 ガラスロッド14に、超音波ドリル9により孔13を所定の間隔で9本ずつ同時に開けた。これを2回繰り返して18個の孔13を開けた。PCFでは、導波特性をもたせるために中心部に孔のない欠陥部15を配置している。孔13の内面をフッ酸にて洗浄後乾燥させた後、この孔13の開いたガラスロッド14を電気炉で加熱し、125μm径の光ファイバに線引きした。光ファイバ線引き後、その光ファイバを切断し、電子顕微鏡で孔径d及び孔間隔Aを測定した。元の孔の開いたガラスロッドにおける孔の形状と相似の孔開き光ファイバが実現できた。また、径の変化の少ない(μm程度)正確な孔を複数個開けることにより、短時間で数個〜数百個、孔間隔を等しく加工できた。
【選択図】 図6
Description
本発明は、光ファイバの製造方法に関し、より詳細には、光通信ネットワーク及び光信号処理に用いられる伝送媒体である光ファイバの製造方法に関する。
図1は、従来の光ファイバの一般的な構造を示す図で、図中符号1は光ファイバのコア部、2は光ファイバのクラッド部を示している。図1に示すように、従来の光ファイバは、屈折率の高いコア部1の外側に、屈折率の低いクラッド部2を配置した構造のものであった。
図2は、従来の光ファイバのうち、PCF(Photonic Crystal Fibers)を示す図で、図中符号3は孔、4は純石英ガラス、5は欠陥部を示している。図2に示すように、単一のガラス、例えば、純石英ガラス4に、周期的に孔3を開けた構造となっている。隣接する孔3の間隔は全て等しくなっている。ただし、この光ファイバの中心部には欠陥部5、すなわち、孔3の無い部分が配置されている。この欠陥部5がコアとして動作して光を閉じ込めるように機能する(例えば、非特許文献1参照)。
図3は、図2に示した従来のPCFの製造方法を示す図で、図中符号6はガラスロッド、7は内側ガラスパイプ、8は外側ガラスパイプを示している。中心部には孔3の開いていない六角形のガラスロッド6を設け、その外側には孔3の開いた六角形の内側ガラスパイプ7を設け、これらをさらに外側ガラスパイプ8の中に挿入した後、約200℃の高温で光ファイバに線引きしていた。
J.C.Knight, T.A.Birks, P.St.J.Russell, and D.M.Atkin, "All-silica single-mode optical fiber with photonic crystal cladding,"Opt.Lett.21, 1547-1549(1996)
しかしながら、上述した従来の製造方法では、以下のような問題点がある。
1)光ファイバ化する時、六角形のガラスロッドが熱により変形するため、孔の間隔や大きさが変形し、設計どおりの孔にならず、歩留まりよく光ファイバを作製することが出来なかった。
2)ガラスパイプを束ねて加熱延伸するとき、ガラスパイプの孔径や位置などが初期値から大きく変形するため、任意の位置に、任意の大きさの孔を開けることが出来なかった。
3)六角柱のガラスパイプを作製する際に、ガラスパイプの側面を研削加工する必要があるが、加工時の傷の発生及びガラスパイプを束ねた時の界面の不整合がどうしても避けられない。そのため、束ねたガラスパイプを一体化する時、傷が消滅する前に気泡としてガラスの内部に取り込まれてしまう。これはPCFの不要な孔を付加することになるためPCF作製上大きな問題となっていた。
4)一度、加熱延伸した後、ガラスパイプまたはロッドが汚染され大きな過剰損失(例えば、OH基吸収損失)が発生していた。
1)光ファイバ化する時、六角形のガラスロッドが熱により変形するため、孔の間隔や大きさが変形し、設計どおりの孔にならず、歩留まりよく光ファイバを作製することが出来なかった。
2)ガラスパイプを束ねて加熱延伸するとき、ガラスパイプの孔径や位置などが初期値から大きく変形するため、任意の位置に、任意の大きさの孔を開けることが出来なかった。
3)六角柱のガラスパイプを作製する際に、ガラスパイプの側面を研削加工する必要があるが、加工時の傷の発生及びガラスパイプを束ねた時の界面の不整合がどうしても避けられない。そのため、束ねたガラスパイプを一体化する時、傷が消滅する前に気泡としてガラスの内部に取り込まれてしまう。これはPCFの不要な孔を付加することになるためPCF作製上大きな問題となっていた。
4)一度、加熱延伸した後、ガラスパイプまたはロッドが汚染され大きな過剰損失(例えば、OH基吸収損失)が発生していた。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、長尺かつ分散特性が一定で、低損失の光ファイバの製造方法を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、光の導波されるコア部と、該コア部の周囲に配置され、光の波長と同程度の直径の複数個の空隙からなる光ファイバにおいて、該光ファイバの元になるガラスロッドに前記空隙をドリルで複数個同時に孔を開けた後、前記光ファイバに線引きすることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記孔を開けたガラスロッドを加熱延伸後、該ガラスロッドの外側にガラスパイプを被嵌した後、前記光ファイバに線引きすることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記孔を開けたガラスロッドの外側に、クラッド部となるガラス微粒子を形成し、その後に加熱して透明ガラス化することを特徴とする。
このように、本発明は、光ファイバの出発になるガラスロッドに、複数本の超音波ドリルで同時に孔を開けるものである。例えば、超音波ドリルでガラスに内径3mmの孔を開ける場合には、内径3±0.01mmの精度で開けることができる。また、その孔の間隔を5mmとした場合、5±0.01mmの精度で開けることが可能である。従って、PCFの出発となる孔開きガラスロッドを高精度で作製することができる。
また、同時に開けるドリルの本数だけの時間を短縮できる。例えば、同時に2本のドリルを使えば1/2の時間で、5本のドリルを同時に使えば1/5の時間で孔開け加工ができる。
また、超音波ドリルで開けた孔は、内面の割れや傷の発生が非常に少ない。また、孔径や孔間隔などを孔の長手方向に高精度で保持できるため、PCFに必要な精度の孔開けロッドを容易に作成することが出来る。
また、従来の製造方法で問題になっていたパイプ同士の組み立ての必要がないため傷の混入もない。
また、従来の製造方法で問題になっていたパイプ同士の組み立ての必要がないため傷の混入もない。
さらに、孔開きロッドを加熱炉で延伸加工する場合、電気炉の温度分布を均一に保てば孔の形状は線引きした後もほとんど変化しない。従って、光ファイバ化後の孔形状を設計どおりに維持できるため、設計どおりの特性の光ファイバを歩留まりよく作成できる。
本発明の利用分野としては、分散を補償し、非線形効果を利用したデバイス、偏波を保持する光ファイバなどがある。
本発明の利用分野としては、分散を補償し、非線形効果を利用したデバイス、偏波を保持する光ファイバなどがある。
以上説明したように、本発明によれば、光の導波されるコア部と、このコア部の周囲に配置され、光の波長と同程度の直径の複数個の空隙からなる光ファイバにおいて、光ファイバの元になるガラスロッドに空隙をドリルで複数個同時に孔を開けた後、光ファイバに線引きするようにしたので、径の変化の少ない(μm程度)正確な孔を複数個開けることにより、短時間で数個〜数百個、孔間隔を等しく加工できる。この後、通常の線引きを行なうことにより、孔の大きさ間隔などは、初期の孔形状と相似変形するため、設計どおりの光ファイバを容易に作製することが出来る。また、加工時間の短縮は大幅なコスト削減に効果があった。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
PCFの分散特性やMFD(Mode Field Diameter;モードフィールド径)特性などは、孔径d及び孔間隔Aによって決まる。PCFを歩留まりよく製造するためには、孔径d及び孔間隔Aなどの再現性が重要である。また、低損失のPCFを実現するためには、1)出発となるガラスの損失(レーリー散乱損失、赤外吸収損失など)が低いこと、2)孔の形状を光ファイバ長手方向に維持すること、3)孔の面粗さを少なくすること、4)孔内面および内部の不純物を低減することなどが必要になる。
PCFの分散特性やMFD(Mode Field Diameter;モードフィールド径)特性などは、孔径d及び孔間隔Aによって決まる。PCFを歩留まりよく製造するためには、孔径d及び孔間隔Aなどの再現性が重要である。また、低損失のPCFを実現するためには、1)出発となるガラスの損失(レーリー散乱損失、赤外吸収損失など)が低いこと、2)孔の形状を光ファイバ長手方向に維持すること、3)孔の面粗さを少なくすること、4)孔内面および内部の不純物を低減することなどが必要になる。
図4は、d/A=0.5とした場合の分散の波長依存性を示す図である。
孔間隔Aが1.6μmの場合の零分散波長は1.2μmで、孔間隔Aが1.9μmの場合の零分散波長は1.68μmとなる。孔間隔Aが0.3μm増加すると、零分散波長は0.48μm増加する。
孔間隔Aが1.6μmの場合の零分散波長は1.2μmで、孔間隔Aが1.9μmの場合の零分散波長は1.68μmとなる。孔間隔Aが0.3μm増加すると、零分散波長は0.48μm増加する。
図5は、作成された光ファイバの損失波長特性を示す図である。
この例では、最低損失は波長1.55μmで0.3dB/kmであり、従来のシングルモード光ファイバ(SMF;Single Mode optical Fiber)と同程度の損失のものが実現できている。
この例では、最低損失は波長1.55μmで0.3dB/kmであり、従来のシングルモード光ファイバ(SMF;Single Mode optical Fiber)と同程度の損失のものが実現できている。
図6は、本発明に係る光ファイバの製造方法の実施例1を示す図で、図中符号9は超音波ドリル、13は孔、14はガラスロッド、15は欠陥部を示している。外径40mm、長さ200mmのガラスロッド14に、超音波ドリル9により内径3mmの孔13を5mm間隔で9本ずつ同時に開けた。これを2回繰り返して18個の孔13を開けた。従来の孔開け加工方法に比較して、9分の1の時間で孔の開いたプリフォームを作成できた。
PCFでは、導波特性をもたせるために中心部に孔のない欠陥部15を配置している。孔13を開けた後のガラスロッド14の一部を切断して、孔13の形状を測定した。孔径dは3mm±10μm以内であった。また、孔間隔Aは5mm±10μm以内であった。
次に、孔13の内面をフッ酸にて洗浄後乾燥させた後、この孔13の開いたガラスロッド14を電気炉で加熱し、125μm径の光ファイバに線引きした。作製した光ファイバ長は10kmであった。光ファイバ線引き後、その光ファイバを切断し、電子顕微鏡で孔径d及び孔間隔Aを測定した。光ファイバ線引き後の孔径dは9.4μmであり、孔間隔Aは15.6μmであり、元の孔の開いたガラスロッドにおける孔の形状と相似の孔開き光ファイバが実現でき、光ファイバの全長にわたって形状の変化はなかった。また、この光ファイバの光損失は、波長1.3μmで0.5dB/km、波長1.55μmでは0.3dB/kmと低損失であった。
図7は、本発明に係る光ファイバの製造方法の実施例2を説明するための図で、図6と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。外径40mm、長さ200mmのガラスロッド14に、孔径dを1.4mm、孔間隔Aを2.9mmで10本ずつ同時に孔13を開け、これを9回繰り返して、90個の孔13を開けた。これによって孔開けに必要な時間は10分の1に短縮された。ただし、中心部には孔は開けていない。
このようにして作製した孔開きガラスロッド14を洗浄して乾燥させた後、バーナーで外径8mmに延伸後、図8に示すように、外径40mm、内径9mmのガラスパイプ10に挿入し、125μm径の光ファイバに線引きした。光ファイバ長は5kmであり、光ファイバ線引き後の孔径dは0.9μm、孔間隔Aは1.8μmであり、光ファイバ全長で一定であった。損失は波長1.3μmで1dB/km、波長1.55μmでは0.6dB/kmであった。
このようにして作製したPCFの零分散波長は1.55μmであり、波長1.55μmでの分散スロープは−0.1ps/km/nm2であった。このPCFを用いて1.55μm零分散の分散シフトファイバの波長1.55μmでの分散を補償した。その結果、波長1.5〜1.6μmでの分散値は±0.1ps/km/nm2とすることができた。
図9は、本発明に係る光ファイバの製造方法の実施例3を説明するための図で、図中符号11はバーナー、12はガラス微粒子を示している。なお、図7と同じ機能を有する構成要素については同一の符号を付してある。上述した実施例1に示すように、超音波ドリル9を用いて、外径40mm、孔径dを1.3mm、孔間隔Aを2.8mmの孔13を同時に14個開け、これを9回繰り返して、126個の孔13を開けた。これによって、作成に必要な時間は14分の1に短縮された。
この孔開きガラスロッド14を外径10mmに延伸後、VAD法を用いてガラス合成用バーナー11で、延伸した孔開きガラスロッド14の外周部にガラス微粒子12を形成した後、電気炉内で1700℃に加熱し、外径50mm、孔径0.33mmの出発ガラス母材を形成した。この孔開きガラス材を光ファイバ線引き炉により加熱して125μm径の光ファイバ10kmを作製した。
光ファイバ線引き後の孔径dは0.83μm、孔間隔Aは1.8μmであり、作製した光ファイバの全長に渡って孔径d及び孔間隔Aは一定であった。また、作製した光ファイバの損失は波長1.3μmで2dB/km、波長1.55μmでは0.5dB/kmであった。零分散波長は1.31μm、波長1.31μmでの分散スロープは−0.1ps/km/nm2であった。
この光ファイバを用いて従来型のSMFの波長1.3〜1.4μmでの分散を補償した。その結果、波長1.3〜1.4μmでの分散値は±0.1ps/km/nm2とすることができた。
本発明は、光通信ネットワーク及び光信号処理に用いられる伝送媒体である光ファイバの製造方法に関し、長尺かつ分散特性が一定で、低損失の光ファイバの製造方法を提供することができる。
1 光ファイバのコア部
2 光ファイバのクラッド部
3 孔
4 純石英ガラス
5 欠陥部
6 ガラスロッド
7 内側ガラスパイプ
8 外側ガラスパイプ
9 超音波ドリル
10 ガラスパイプ
11 バーナー
12 ガラス微粒子
13 孔
14 ガラスロッド
15 欠陥部
2 光ファイバのクラッド部
3 孔
4 純石英ガラス
5 欠陥部
6 ガラスロッド
7 内側ガラスパイプ
8 外側ガラスパイプ
9 超音波ドリル
10 ガラスパイプ
11 バーナー
12 ガラス微粒子
13 孔
14 ガラスロッド
15 欠陥部
Claims (3)
- 光の導波されるコア部と、該コア部の周囲に配置され、光の波長と同程度の直径の複数個の空隙からなる光ファイバにおいて、該光ファイバの元になるガラスロッドに前記空隙をドリルで複数個同時に孔を開けた後、前記光ファイバに線引きすることを特徴とする光ファイバの製造方法。
- 前記孔を開けたガラスロッドを加熱延伸後、該ガラスロッドの外側にガラスパイプを被嵌した後、前記光ファイバに線引きすることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記孔を開けたガラスロッドの外側に、クラッド部となるガラス微粒子を形成し、その後に加熱して透明ガラス化することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003270491A JP2005022942A (ja) | 2003-07-02 | 2003-07-02 | 光ファイバの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003270491A JP2005022942A (ja) | 2003-07-02 | 2003-07-02 | 光ファイバの製造方法 |
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ID=34190433
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JP2003270491A Pending JP2005022942A (ja) | 2003-07-02 | 2003-07-02 | 光ファイバの製造方法 |
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JP (1) | JP2005022942A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011079699A (ja) * | 2009-10-07 | 2011-04-21 | Kohoku Kogyo Kk | 光ファイバおよびその製造方法、並びにそれを用いた医療用レーザ装置 |
-
2003
- 2003-07-02 JP JP2003270491A patent/JP2005022942A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011079699A (ja) * | 2009-10-07 | 2011-04-21 | Kohoku Kogyo Kk | 光ファイバおよびその製造方法、並びにそれを用いた医療用レーザ装置 |
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