【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出用無こと及び液滴吐出装置に関し、特に、インクジェットプリンタ等の印刷ヘッドに好適に用いられる液滴吐出用部材及び液滴吐出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピューターの普及やマルチメディアの発達に伴って、情報を記録媒体に出力する記録装置として、インクジェット方式の記録装置の利用が急速に拡大している。
【0003】
かかるインクジェット方式の記録装置には、印刷ヘッドが搭載されており、この種の印刷ヘッドには、インクが充填されたインク流路内に加圧手段としてのヒーターを備え、ヒーターによりインクを加熱、沸騰させ、インク流路内に発生する気泡によってインクを加圧し、インク吐出孔より、インク滴として吐出させるサーマルヘッド方式と、インクが充填されるインク流路の一部の壁を変位素子によって屈曲変位させ、機械的にインク流路内のインクを加圧し、インク吐出孔よりインク滴として吐出させる圧電方式が一般的に知られている。
【0004】
圧電方式を利用したインクジェット記録装置に用いられる印刷ヘッドは、例えば図5(a)、(b)に示したように、複数のインク室53aが並設され、各インク室53aに対応する変位素子が圧電アクチュエータ51に設けられた構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
圧電アクチュエータ51は、共通電極55の役割を兼ねた導電性の振動板上に、圧電セラミック板54および表面電極56がこの順に積層され、前記表面電極56が圧電セラミック板54の表面に複数配列されることにより、複数の変位素子57が形成されたものである。この圧電アクチュエータ51は、インク室53aの直上に表面電極56が位置するようにして流路部材53上に配置されている。
【0006】
上記のような印刷ヘッドは、図5(c)に示したように、矢印方向に分極し、共通電極55と所定の表面電極56との間に駆動電圧を印加して該表面電極56下の圧電セラミック板54を変位させることにより変位素子57が変形し、その結果、インク室53a内のインクを加圧して、流路部材53の底面に開口したインク吐出口58よりインク滴を吐出する。
【0007】
このようなアクチュエータを印刷ヘッドに応用することで、インクジェットプリンタの高速化及び高精度化に寄与することが可能である。
【0008】
しかし、このような構造を有するアクチュエータは、圧電定数d31と印加電界に比例した面内の膨張或いは収縮をすることによって圧電セラミック板にたわみ振動を励起しているため、変位が小さく、変位を大きくするためには大きな電圧を印加しなければならないという問題があった。
【0009】
そこで、図6(a)に示したように、弾性板71と、弾性板71の表面に設けられた圧電セラミック板74と、圧電セラミック板74の厚さ以下の間隔で形成された溝の中に導電材が埋め込まれ、一つおきに第1電極76aと第2電極76bとがそれぞれ形成され、第1電極76aと第2電極76bとの間に電圧を印加することにより、弾性板71と圧電セラミック板74とが、図6(b)に示したように、d33モードで振動し、変位が大きな圧電アクチュエータが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−34321号公報
【0011】
【特許文献2】
特開平10−144974号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2に記載のアクチュエータは、溝の表面と内部とで変形量が異なるため、圧電セラミック板74と電極76a、76bとの界面で剥離が生じやすく、振動が不安定になるため、変位の信頼性が低いという問題があった。
【0013】
また、圧電セラミック板74に溝を形成するために圧電セラミック板74自体の強度が低下し、しかも圧電セラミック板74の内部に略直角に加工されたエッジ部79があるため、振動を繰り返すうちにクラックが発生・進展し、圧電セラミック板74が簡単に破壊するという問題があった。
【0014】
従って、本発明は、大きなたわみ変形を小さな電界で得られ、且つ振動信頼性及び機械的信頼性に優れた液滴吐出用部材及び液滴吐出装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、圧電セラミック板の表面に、隣接する電極の極性が反対になるような電極を形成することによって、大きなたわみ変形を小さな電界で得るとともに、振動信頼性及び機械的信頼性に優れた液滴吐出用部材及び液滴吐出装置を実現したものである。
【0016】
即ち、本発明の液滴吐出用アクチュエータは、厚さ50μm以下の圧電セラミック板と、該圧電セラミック板の表面に設けられた複数の表面電極を具備してなり、前記表面電極が隣接する電極の極性が反対となる複数のライン電極によって形成したことを特徴とするものである。
【0017】
このような構成によって、表面に形成されたライン状の電極を分極用の電極と駆動用の電極として利用し、ライン状の電極間を分極し分極方向と平行あるいは反平行の駆動電界を印加することができ、分極された部分が圧電定数d33に比例した膨張或いは収縮することにより圧電セラミック板にたわみ振動を励起することができる。また、弾性板を必要としないため、圧電セラミック板の変形量を極めて大きくすることができ、低電圧でも大きな変位を得ることができる。
【0018】
しかも、電極が表面に形成され、圧電セラミック板には溝を形成しないため、機械的信頼性の高い液体吐出用部材を得ることができ、さらに振動時の電極と圧電セラミック板の界面も強固に接合され、且つ従来のように電極が大きな変形を伴わないため、振動の信頼性も向上することができる。
【0019】
特に、前記表面電極が、櫛の歯状であることが好ましい。これにより、電極形成部分の圧電セラミックスを分極処理し駆動させることが容易になる。
【0020】
また、前記ライン電極の厚みが0.01〜10.0μm、幅が0.1〜1000μmであることが好ましい。これにより、分極処理用及び駆動用の電極を形成でき安定して電界を印加することができ、使用目的によっても選択することができる。
【0021】
さらに、前記隣接するライン電極間の間隔が0.1〜1000μmであることが好ましい。これにより、駆動に充分な分極領域を確保ができる。
【0022】
さらにまた、前記表面電極付近の前記圧電セラミック板が極性の異なるライン電極間で前記圧電セラミック板の表面に平行に分極されていることが好ましい。これにより、分極された表面付近だけに膨張・収縮変形が生じ、圧電セラミック板全体としてはたわみ変形を励起できる。
【0023】
また、本発明の液滴吐出装置は、上記の液滴吐出用部材が、複数の液体加圧室と、該液体加圧室に連通した液滴ノズルとを備えた流路部材に対して、前記液体加圧室の少なくとも一部の空間と前記液滴吐出用部材が当接するように、且つ前記液体加圧室の直上に前記表面電極が位置するように接合されてなることを特徴とするものである。これにより、インクへ圧電振動を効率よく伝えることができる。
【0024】
特に、前記圧電セラミック板が圧電d33定数を利用した振動モードで振動することが好ましい。従来はd31定数を利用したたわみ振動を励起していたが、本発明のアクチュエータではd33定数を利用したたわみ振動を励起することになる。一般的な圧電材料では、d33定数はd31定数よりも約2倍程度大きいことが知られており、d33定数を利用することによってたわみ振動の変位量を大きくすることができ、また、同じ変位量にするためには、印加電圧を低減することができる。
【0025】
前記表面電極が、面内に直線状、屈折した直線状、円弧状、二重螺旋状を含む曲線状及びこれらの複合形状のうちいずれかの形状であることが好ましい。
【0026】
このような構成によって、表面に電極を形成し、分極処理を行うことで、シート状圧電セラミック板の表面付近のみに圧電活性を与えることが出来、圧電活性の与えられた表面付近の圧電体が駆動電圧によって伸縮することになり、圧電セラミック板に対して、液体加圧室の形状に合せたたわみ振動を励起することができる。
【0027】
さらに、前記表面電極の上に、保護膜が設けられていることが好ましい。この保護膜によって、表面電極間の絶縁を確保し、劣化防止が容易になる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の液滴吐出用部材は、インクジェット用印刷ヘッドのアクチュエータとして好適に用いることのできるものであり、図1(a)に示したように、圧電セラミック板4の一方の表面に、複数の表面電極5を設け、且つ各表面電極5を複数のライン電極6で構成し、隣接するライン電極6の極性が互いに反対になるようすることが重要である。複数のライン電極6を形成することによって面状の圧電活性部を形成することが可能となり、アクチュエータとして必要なたわみ振動を得ることが出来る。
【0029】
表面電極5は、図1(b)に示したように、圧電セラミック板4の表面に複数任意の部位に配列しており、ライン電極6が櫛歯形状の一対の電極を形成し、それぞれ端子電極8a、8bにリード部9を介して電気的に接続している。端子電極8a、8bには外部から電圧を印加すると、表面電極5の外形と略同一の領域が変位部として振動することが可能となり、表面電極5はアクチュエータとしての駆動用電極の役割を果たす。
【0030】
表面電極5の形状は、図1に示したように、極性の異なる第1電極6aおよび前記第2電極6bが、面内に互いに対向する二つの櫛の歯状に交互に配設されていることが、電圧の印加が容易になるので好ましい。
【0031】
極性の異なる第1電極6aおよび前記第2電極6bは、圧電セラミック板4の表面に形成されており、図1のような直線状でも良いが、図2に示したように、(a)円弧状、(b)だ円弧状、(c)屈折した直線状、或いは任意の曲線状であっても良い。また、これらの形状が複合化されていても良く、さらに二重螺旋構造を有する形状でも良い。
【0032】
なお、表面電極5の上には、電極保護膜(図示せず)を形成することで、表面電極間の絶縁を確保でき、さらには、電極の腐食等の問題もなくなる。この電極保護膜は、表面電極5を覆うように圧電セラミック板4の上に形成されることが分極時や使用上の信頼性を高める点でより好ましい。
【0033】
電極保護膜の厚みは、ピンホールや欠陥による影響を低減して十分な保護機能を示すとともに、圧電セラミック板4の変位を阻害しないように0.1〜1.0μm、特に0.1〜0.2μmであるのが好ましい。
【0034】
表面電極5(ライン電極6)には、導電性を有するものならばいずれの材料でも用いることができるものの、発熱を抑制するため、Au、Ag、Pd、Pt、Cu、Alやそれらの合金などが、電気抵抗が低い点で好ましい。
【0035】
ライン電極6の厚みは、十分な導電性を確保し、且つ変位を妨げない程度であれ場良く、0.1〜10μm程度で、特に0.3〜5μm、更には0.5〜3μmが好ましい。
【0036】
ライン電極6の幅は0.1〜1000μm、特に0.5〜100μm、更には1〜10μmであることが好ましい。その理由は、電極の断線がなく出来るだけ細い線を形成して、電極形成部分の圧電活性な部分の割合を高めることができるからである。
【0037】
隣接するライン電極6間の間隔は、圧電活性な分極領域形成するため、0.1〜1000μm、特に0.2〜100μm、更には0.5〜10μmであることが好ましい。その理由は、低電界でも分極がかかり易く、かつ、絶縁を保つためである。
【0038】
上記の構造によれば、表面電極5の外周部を固定すると、表面電極5の外形と略同一の領域が変位部7として振動することができる。即ち、端子電極8a、8b及びリード部9を除いた表面電極5の外形が変位部7に相当する。
【0039】
このような変位部7を液滴吐出用として用いると、変位部7の変位の大きさを独立して、且つ十分に制御できるため、液滴の吐出量を精密に制御することができる。特に、液滴の体積が10pl以下の微量の液滴を吐出するのに好ましい。
【0040】
圧電セラミック板4は平板形状で、その厚みは、薄くすることによって各圧力発生部の変位量を大きくすることができるため、50μm以下であることが重要である。そして、より大きな変位量を得るため、特に45μm以下、更には40μm以下、より好適には35μm以下、最も好適には30μm以下であることが好ましい。なお、薄すぎて破損しないように、アクチュエータ2の厚みの下限値を5μm以上、特に10μm以上、さらには15μm以上とするのが良い。
【0041】
圧電セラミック板4は、変位を誘起するために圧電体であることが重要であり、特に少なくともPb、Zr及びTiを含むペロブスカイト型結晶を主成分とすることが好ましい。例えば、Aサイト構成元素としてPbを含有し、且つ、Bサイト構成元素としてZr及びTiを含有する結晶であり、特に、チタン酸ジルコン酸鉛系化合物(PZT)であることが、より高いd定数を有する安定な圧電焼結体を得るために好ましい。
【0042】
圧電セラミック板4の表面電極5側の表面付近が、分極されていることが好ましい。圧電セラミック板4の電極が形成された表面から20〜50%程度の厚みにわたって分極され、分極された領域がたわみ振動を励起することが好ましい。
【0043】
本発明の液滴吐出ヘッドとして所望の圧電定数を用いることができるが、大きな変位を起こして印刷ヘッドとして高い吐出能力を発揮するためには、d33を用いて、その大きさが300pm/V以上、特に350pm/V以上にすることが好ましい。高速で精細な印刷を得るためには更にd33が400pm/V以上であることがより好ましい。
【0044】
本発明の液滴吐出装置は、図3(a)に示したように、流路部材11の上に、上記の液滴吐出用部材12が一体的に接合されてなることが重要である。この流路部材11は、外部から液体を供給する液体導入口を供えた液体加圧室13aと、この液体加圧室13aに連通した液滴ノズル13bとを具備するものである。
【0045】
そして、本発明によれば、上記液滴吐出用部材12が、液滴加圧室13aの空間の少なくとも一部と当接するように接合していることが重要である。これによりたわみ振動による圧力波をインクへ効率良く伝播することができる。
【0046】
さらに、液体加圧室13aの直上に表面電極15が設けられていることが重要である。このような配置にすることで、液滴吐出用部材12の変位を効果的に液滴吐出の圧力に変換でき、優れた液滴吐出性を示す。
【0047】
液体加圧室13aは、液滴を導入する液滴流路と接続されている必要がある。或いは、加圧室13aが液滴流路の一部を形成しても良い。いずれにしても、液体加圧室13aに液体が流れ込み、液体を供給することによって、液滴ノズルから連続して液滴を吐出して印刷を行うことができる。
【0048】
液体加圧室13aの形状は、長方形でも良いし、正方形、菱形、平行四辺形、円、楕円等、或いはこれら以外の形状でも採用することができる。
【0049】
流路部材11はステンレス、42アロイ等の金属で構成されるのが振動や変形に対する信頼性の点で好ましい。
【0050】
流路部材11は、圧電セラミック板12とは接着層を介して接合することができる。即ち、液体加圧室13aを形成する隔壁との当接部にのみ接着層が形成されて圧電セラミック板14と接着する。そして、液体加圧室13aの空間と液滴吐出用部材とを当接させることが重要である。
【0051】
このような液滴吐出装置においてライン電極16間に電界を印加すると、図3(b)に示したように、隔壁と当接した部位の液滴吐出用部材は非圧力発生部として変位が起こらず、液体加圧室13aの空間と当接した部位の液滴吐出用部材は圧力発生部として変位を発生させることができる。
【0052】
平板形状の圧電セラミック板14の表面電極15を形成した表面付近は圧電セラミック板14の面方向で、分極処理がなされている。図4(a)に分極状態を矢印で示した。分極処理を行うことによって圧電セラミックスを圧電活性とすることが出来る。
【0053】
分極処理がなされた圧電セラミック板14の表面電極15間に駆動電圧を印加した瞬間には、図4(b)に示したように、隣接する電極が互いに異なる極性を示すため、圧電セラミック板14のライン電極16間の部位が、表面付近において矢印の方向、即ち圧電セラミック板14の面方向に収縮する。
【0054】
このように圧電セラミック板14の表面電極が形成された表面(A面)付近が収縮すると、その反対側の面(B面)が自らは収縮しないため、圧電セラミック板14のAを凹側、B面を凸側として、図4(c)に示したように、液体加圧室13aの中心付近の圧電セラミック板14が、流路部材11方向に陥没するように変形する。
【0055】
圧電セラミック板14の変形が発生すると、液体加圧室13aの体積が減少して液体加圧室13a内の液体の圧力が上昇し、十分な圧力に達すると液滴ノズルから液滴が吐出する。
【0056】
続いて駆動電圧印加を停止すると、図4(c)の状態から図4(a)の状態に戻り、液体加圧室13aの体積が増加して、液体加圧室13a内の液体の圧力が下降するため、液体加圧室13に連通したインク流路又はインク容器から液体を吸引する。
【0057】
従って、液滴吐出用部材の振動によって液体加圧室13a内の液体に圧力振動が生じると、図4(a)の状態から図4(c)の状態に変形するとき、ノズルから外部に液体が噴射され、次に図4(c)の状態から図4(a)の状態に戻るとき、液体を液体加圧室13a内に吸引することができる。
【0058】
次に、本発明のアクチュエータの製造方法を、具体的にPbZrTiO3系ペロブスカイト型結晶を用いた場合を例として説明する。
【0059】
先ず、原料粉末として、Pb2O3、ZrO2、TiO2、BaCO3、ZnO、SrCO3、Sb2O3、NiO、TeO2を準備する。これらを、ペロブスカイト型結晶の化学量論組成に相当するPb量よりも多くなるようにPbを加えた組成に調整し、混合する。或いは又、市販のペロブスカイト型結晶粉末を準備しても良い。
【0060】
得られた混合粉末を、金型プレス法、CIP法、押出法、テープ成形法等の周知の成形方法を用いて成形する。特に、ロールコーター法、スリットコーター法などの一般的なテープ成形法が、薄層の成形体を作製するのに適している。例えば、圧電セラミックスと有機組成物からなるテープの成形を行い、グリーンシートを作製する。
【0061】
次に、第1の方法として、グリーンシートの一部には、その表面にライン状電極からなる表面電極を印刷法等により形成し、所望のグリーンシートを積層して積層体を作製し、積層体を焼成して液滴吐出部材を作製することができる。
【0062】
また、第2の方法として、グリーンシートの積層体を作製し、これを焼成した後、表面にライン状電極を形成しても良い。その他、表面電極の作製には、蒸着、イオンプレーティング、スパッタ法等の気相成長法を用いても良いし、導体ペーストを塗布した後に熱処理して焼付けて液滴吐出部材を作製しても良い。
【0063】
得られた液滴吐出部材を金属製等の流路部材に接着剤を用いて接着する。この際に、表面電極が液体加圧室の直上に来るように配置し、圧電セラミック板を流路部材に当接させることが、十分な変位を確保するために重要である。このようにして、本発明の液滴吐出ヘッドを作製することができる。
【0064】
【実施例】
圧電磁器を焼成し、図3に示した液滴吐出部材を作製し、特性を評価した。以下に、具体的に説明する。
【0065】
まず、原料として、純度99%以上のチタン酸ジルコン酸鉛を含有する圧電セラミックス粉末を準備した。
【0066】
成形体は、ジルコン酸チタン酸鉛を主成分とする圧電用のセラミック材の粉末に、水系バインダーとしてブチルメタクリレート、分散剤にポリカルポン酸アンモニウム塩、溶剤にイソプロビルアルコールと純水を各々添加して混合し、このスラリーをドクタープレード法によりキャリアフィルム上に、厚さ20μm程度になるようにグリーンシートを作製した。
【0067】
次いで、グリーンシートを順次積層し、熱圧着して成形体を得た。この成形体を脱脂処理した後に、これを、酸素99%以上の雰囲気中で、焼成温度1000℃で2時間保持して焼成し、圧電磁器を得た。
【0068】
得られた圧電磁器の表面に、図1に示したような櫛歯形状の一対のライン電極パターンの表面電極を形成した。この表面電極は、スクリーン印刷にてAuペーストを塗布した。これを600〜800℃の大気中で焼付け、図1に示したアクチュエータを作製した。なお、焼成後のライン電極間の距離を表1に示す値に設定した。ライン電極の線幅は5μmとした。
【0069】
なお、試料No.1は、図5に示したようなd31振動モードのアクチュエータを作製し、これを評価した。
【0070】
変位の測定は、インクジェットプリンタ用印刷ヘッドとしての使用を考慮し、図4に示したように、溝13aと隔壁13bを有する支持板13に、上記作製したアクチュエータ11を接着し、圧電振動層14を内部電極15と表面電極16で挟持する構造となるように変位素子17を作製した。そして、レーザードップラー変位計により支持板13側から溝13aを通してアクチュエータにレーザービームを照射し、支持板13の溝13aに当接しているアクチュエータの中心部及び周辺部7点を測定して変位を測定し、平均値を算出した。結果を表1に示した。
【0071】
圧電アクチュエータの耐久性は、変位が約100μmとなるような振動テストを1億回行った後に変位量を測定し、振動テスト前後で変化した量をパーセント表示した。従って、耐久性は、この値が小さい方が、高い信頼性を持つと判断できる。
【0072】
また、比較例として、図5の従来の液滴吐出用部材を作製し、試料No.1として評価した。
【0073】
【表1】
【0074】
本発明の試料No.3〜18は、耐久性が3%以下と優れており、しかも大きな変位量が得られた。
【0075】
一方、d31モードを使用した本発明の範囲外の試料No.1は、耐久性が28%と悪かった。また、変位量も小さかった。
【0076】
また、圧電セラミック板の厚みが大きく、本発明の範囲外の試料No.2は、変位量が25μmと極端に少なかった。
【0077】
【発明の効果】
本発明の液滴吐出用部材は、圧電セラミック板の一方の表面に、複数の表面電極が設けられ、しかも各表面電極が複数のライン電極によって構成され、隣接するライン電極の極性が異なるように配列しているので、圧電セラミック板にたわみ振動を励起することができる。この際、表面付近の分極の施された部分が圧電定数d33により伸縮し、大きな変位量を得ることができる。
【0078】
また、本発明の液滴吐出装置は、発生する液滴の容量が小さく、表面電極が高密度で配置されていても、駆動用電圧を印加するための取出電極付近で、圧電セラミック板には分極がかからないので、従来の構造のように不要な振動を誘起することなく、たわみ振動に必要な部位だけに電界を印加して変位させることができる。よって、取出電極が振動を誘起していたクロストーク問題を抑制するために有効である。
【0079】
さらに、本発明の液滴吐出装置は、内部電極を形成する必要がなく、表面電極だけを形成すれば良いため、製造プロセスの簡略化、コストの削減などの効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出用部材の構造を示すもので、(a)は一部の概略断面図、(b)は平面図である。
【図2】本発明の表面電極の形状を示すもので,(a)は円弧状、(b)は楕円弧状、(c)は屈曲した直線状の電極を示す平面図である。
【図3】本発明の液滴吐出装置の概略断面図を示すもので、(a)は電界印加前の状態、(b)は電界印加後の状態を示す。
【図4】本発明の液滴吐出装置の動作状態を示す概略断面図で、(a)は分極処理後、(b)は電界印加直後の状態、(c)は電界印加による変位後の状態を示す。
【図5】従来の液滴吐出装置を示すもので、(a)は概略断面図、(b)は平面図、(c)は電界印加状態を示す。
【図6】本発明の液滴吐出装置の動作状態を示す概略断面図で、(a)電界印加前の状態は、(b)は電界印加による変位後の状態を示す。
【符号の説明】
2、12・・・液滴吐出用部材
4、14・・・圧電セラミック板
5、15・・・表面電極
6、16・・・ライン電極
7、17・・・変位素子
8a、8b・・・端子電極
9・・・リード部
11・・・流路部材
13a・・・液体加圧室
13b・・・液滴ノズル
A面・・・表面電極が形成された表面
B面・・・反対側の面[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a droplet ejection device and a droplet ejection device, and more particularly to a droplet ejection member and a droplet ejection device that are suitably used for a print head such as an ink jet printer.
[0002]
[Prior art]
In recent years, with the spread of personal computers and the development of multimedia, the use of ink jet recording apparatuses as recording apparatuses that output information to recording media is rapidly expanding.
[0003]
Such an ink jet recording apparatus is equipped with a print head, and this type of print head includes a heater as a pressurizing unit in an ink flow path filled with ink, and heats the ink with the heater. A thermal head system that boils, pressurizes ink with bubbles generated in the ink flow path, and discharges it as ink droplets from the ink discharge hole, and a part of the wall of the ink flow path filled with ink is bent by a displacement element A piezoelectric method is generally known that displaces, pressurizes the ink in the ink flow path mechanically, and discharges the ink as ink droplets from the ink discharge holes.
[0004]
For example, as shown in FIGS. 5A and 5B, a print head used in an inkjet recording apparatus using a piezoelectric method includes a plurality of ink chambers 53a arranged in parallel, and a displacement element corresponding to each ink chamber 53a. Has been proposed in the piezoelectric actuator 51 (see, for example, Patent Document 1).
[0005]
In the piezoelectric actuator 51, a piezoelectric ceramic plate 54 and a surface electrode 56 are laminated in this order on a conductive diaphragm that also serves as a common electrode 55, and a plurality of the surface electrodes 56 are arranged on the surface of the piezoelectric ceramic plate 54. Thus, a plurality of displacement elements 57 are formed. The piezoelectric actuator 51 is disposed on the flow path member 53 so that the surface electrode 56 is positioned immediately above the ink chamber 53a.
[0006]
The print head as described above is polarized in the direction of the arrow as shown in FIG. 5C, and a drive voltage is applied between the common electrode 55 and the predetermined surface electrode 56 to The displacement element 57 is deformed by displacing the piezoelectric ceramic plate 54, and as a result, the ink in the ink chamber 53 a is pressurized, and ink droplets are ejected from the ink ejection port 58 opened in the bottom surface of the flow path member 53.
[0007]
By applying such an actuator to the print head, it is possible to contribute to speeding up and high accuracy of the ink jet printer.
[0008]
However, since the actuator having such a structure excites flexural vibrations in the piezoelectric ceramic plate by expanding or contracting in a plane proportional to the piezoelectric constant d 31 and the applied electric field, the displacement is small and the displacement is reduced. There is a problem that a large voltage must be applied to increase the voltage.
[0009]
Therefore, as shown in FIG. 6A, the elastic plate 71, the piezoelectric ceramic plate 74 provided on the surface of the elastic plate 71, and the grooves formed at intervals equal to or less than the thickness of the piezoelectric ceramic plate 74 are provided. A conductive material is embedded in the first electrode 76a and the second electrode 76b every other one, and by applying a voltage between the first electrode 76a and the second electrode 76b, the elastic plate 71 and a piezoelectric ceramic plate 74, as shown in FIG. 6 (b), the vibration in the d 33 mode, the displacement has been proposed a large piezoelectric actuator (e.g., see Patent Document 2).
[0010]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 11-34321
[Patent Document 2]
Japanese Patent Laid-Open No. 10-144974
[Problems to be solved by the invention]
However, since the actuator described in Patent Document 2 has a different amount of deformation between the surface and the inside of the groove, peeling easily occurs at the interface between the piezoelectric ceramic plate 74 and the electrodes 76a and 76b, and vibration becomes unstable. There was a problem that the reliability of displacement was low.
[0013]
Moreover, since the strength of the piezoelectric ceramic plate 74 itself is lowered to form a groove in the piezoelectric ceramic plate 74, and the edge portion 79 is processed at a substantially right angle inside the piezoelectric ceramic plate 74, the vibration is repeated. There is a problem that cracks are generated and propagated, and the piezoelectric ceramic plate 74 is easily broken.
[0014]
Accordingly, it is an object of the present invention to provide a droplet discharge member and a droplet discharge device that can obtain a large deflection deformation with a small electric field and that are excellent in vibration reliability and mechanical reliability.
[0015]
[Means for Solving the Problems]
In the present invention, by forming an electrode on the surface of the piezoelectric ceramic plate so that the polarities of adjacent electrodes are opposite to each other, a large deflection deformation is obtained with a small electric field, and vibration reliability and mechanical reliability are excellent. A droplet discharge member and a droplet discharge device are realized.
[0016]
That is, the droplet discharge actuator of the present invention comprises a piezoelectric ceramic plate having a thickness of 50 μm or less and a plurality of surface electrodes provided on the surface of the piezoelectric ceramic plate, and the surface electrode is an adjacent electrode. It is formed by a plurality of line electrodes having opposite polarities.
[0017]
With such a configuration, the line-shaped electrode formed on the surface is used as the electrode for polarization and the electrode for driving, and the electrode between the line-shaped electrodes is polarized to apply a driving electric field parallel or antiparallel to the polarization direction. it can, polarized portions can excite flexural vibrations in the piezoelectric ceramic plate by expansion or contraction proportional to the piezoelectric constant d 33. Further, since an elastic plate is not required, the deformation amount of the piezoelectric ceramic plate can be extremely increased, and a large displacement can be obtained even at a low voltage.
[0018]
In addition, since the electrode is formed on the surface and no groove is formed in the piezoelectric ceramic plate, a liquid ejection member with high mechanical reliability can be obtained, and the interface between the electrode and the piezoelectric ceramic plate during vibration is also strong. Since the electrodes are joined and the electrodes are not greatly deformed as in the prior art, the reliability of vibration can be improved.
[0019]
In particular, the surface electrode is preferably comb-shaped. This facilitates the polarization treatment of the piezoelectric ceramic in the electrode forming portion to drive it.
[0020]
The line electrode preferably has a thickness of 0.01 to 10.0 μm and a width of 0.1 to 1000 μm. As a result, electrodes for polarization treatment and driving can be formed, an electric field can be stably applied, and selection can be made according to the purpose of use.
[0021]
Furthermore, it is preferable that the space | interval between the said adjacent line electrodes is 0.1-1000 micrometers. As a result, a polarization region sufficient for driving can be secured.
[0022]
Furthermore, it is preferable that the piezoelectric ceramic plate in the vicinity of the surface electrode is polarized parallel to the surface of the piezoelectric ceramic plate between line electrodes having different polarities. As a result, expansion / contraction deformation occurs only in the vicinity of the polarized surface, and the deformation deformation can be excited as the entire piezoelectric ceramic plate.
[0023]
Further, in the droplet discharge device of the present invention, the above-described droplet discharge member is provided for a flow path member including a plurality of liquid pressurizing chambers and a droplet nozzle communicating with the liquid pressurizing chamber. It is characterized in that at least a part of the space in the liquid pressurizing chamber and the droplet discharge member are joined so that the surface electrode is positioned directly above the liquid pressurizing chamber. Is. Thereby, piezoelectric vibration can be efficiently transmitted to the ink.
[0024]
In particular, it is preferable that the piezoelectric ceramic plate vibrates in a vibration mode using a piezoelectric d 33 constant. Conventionally, flexural vibration using the d 31 constant is excited, but the actuator according to the present invention excites flexural vibration using the d 33 constant. In a general piezoelectric material, the d 33 constant is known to be about twice as large as the d 31 constant, and the displacement amount of the flexural vibration can be increased by using the d 33 constant. In order to obtain the same amount of displacement, the applied voltage can be reduced.
[0025]
It is preferable that the surface electrode has a straight line shape, a refracted straight line shape, an arc shape, a curved shape including a double helix shape, or a composite shape thereof.
[0026]
With such a configuration, by forming an electrode on the surface and performing a polarization treatment, it is possible to impart piezoelectric activity only to the vicinity of the surface of the sheet-like piezoelectric ceramic plate, and a piezoelectric body in the vicinity of the surface to which piezoelectric activity is imparted The expansion and contraction is caused by the driving voltage, and the flexural vibration matched to the shape of the liquid pressurizing chamber can be excited with respect to the piezoelectric ceramic plate.
[0027]
Furthermore, it is preferable that a protective film is provided on the surface electrode. This protective film ensures insulation between the surface electrodes and facilitates prevention of deterioration.
[0028]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The droplet discharge member of the present invention can be suitably used as an actuator for an inkjet print head. As shown in FIG. 1A, a plurality of droplet discharge members are formed on one surface of the piezoelectric ceramic plate 4. It is important that the surface electrodes 5 are provided and each surface electrode 5 is composed of a plurality of line electrodes 6 so that the polarities of the adjacent line electrodes 6 are opposite to each other. By forming a plurality of line electrodes 6, it is possible to form a planar piezoelectric active portion, and to obtain a flexural vibration necessary for an actuator.
[0029]
As shown in FIG. 1B, the surface electrode 5 is arranged in a plurality of arbitrary portions on the surface of the piezoelectric ceramic plate 4, and the line electrode 6 forms a pair of comb-shaped electrodes, each of which is a terminal. The electrodes 8a and 8b are electrically connected via the lead portion 9. When a voltage is applied to the terminal electrodes 8a and 8b from the outside, a region substantially the same as the outer shape of the surface electrode 5 can vibrate as a displacement portion, and the surface electrode 5 serves as a driving electrode as an actuator.
[0030]
As shown in FIG. 1, the shape of the surface electrode 5 is such that the first electrode 6a and the second electrode 6b having different polarities are alternately arranged in the form of two comb teeth facing each other in the plane. It is preferable because the voltage can be easily applied.
[0031]
The first electrode 6a and the second electrode 6b having different polarities are formed on the surface of the piezoelectric ceramic plate 4 and may be linear as shown in FIG. 1, but as shown in FIG. It may be an arc shape, (b) an arc shape, (c) a refracted linear shape, or an arbitrary curved shape. In addition, these shapes may be combined, or a shape having a double helix structure may be used.
[0032]
In addition, by forming an electrode protective film (not shown) on the surface electrode 5, insulation between the surface electrodes can be secured, and further problems such as electrode corrosion are eliminated. It is more preferable that this electrode protective film is formed on the piezoelectric ceramic plate 4 so as to cover the surface electrode 5 from the viewpoint of improving the reliability during polarization and use.
[0033]
The thickness of the electrode protective film is 0.1 to 1.0 [mu] m, particularly 0.1 to 0 so as to reduce the influence of pinholes and defects and exhibit a sufficient protective function and not to inhibit the displacement of the piezoelectric ceramic plate 4. .2 μm is preferred.
[0034]
Any material can be used for the surface electrode 5 (line electrode 6) as long as it has conductivity. However, in order to suppress heat generation, Au, Ag, Pd, Pt, Cu, Al, and alloys thereof are used. However, it is preferable in terms of low electric resistance.
[0035]
The thickness of the line electrode 6 is sufficient as long as it ensures sufficient conductivity and does not hinder displacement, and is about 0.1 to 10 μm, particularly 0.3 to 5 μm, more preferably 0.5 to 3 μm. .
[0036]
The width of the line electrode 6 is preferably 0.1 to 1000 μm, particularly 0.5 to 100 μm, and more preferably 1 to 10 μm. The reason is that the proportion of the piezoelectrically active portion of the electrode forming portion can be increased by forming as thin a line as possible without disconnection of the electrode.
[0037]
The interval between adjacent line electrodes 6 is preferably 0.1 to 1000 μm, particularly 0.2 to 100 μm, and more preferably 0.5 to 10 μm in order to form a piezoelectrically active polarization region. The reason is that polarization is easily applied even in a low electric field and insulation is maintained.
[0038]
According to the above structure, when the outer peripheral portion of the surface electrode 5 is fixed, a region substantially the same as the outer shape of the surface electrode 5 can vibrate as the displacement portion 7. That is, the outer shape of the surface electrode 5 excluding the terminal electrodes 8 a and 8 b and the lead portion 9 corresponds to the displacement portion 7.
[0039]
When such a displacement portion 7 is used for ejecting droplets, the magnitude of displacement of the displacement portion 7 can be independently and sufficiently controlled, and thus the droplet ejection amount can be precisely controlled. In particular, it is preferable for discharging a small amount of droplets having a droplet volume of 10 pl or less.
[0040]
The piezoelectric ceramic plate 4 has a flat plate shape. The thickness of the piezoelectric ceramic plate 4 can be increased by reducing the thickness of the piezoelectric ceramic plate 4. Therefore, it is important that the thickness is 50 μm or less. In order to obtain a larger displacement, it is particularly preferably 45 μm or less, further 40 μm or less, more preferably 35 μm or less, and most preferably 30 μm or less. Note that the lower limit of the thickness of the actuator 2 is preferably 5 μm or more, particularly 10 μm or more, and more preferably 15 μm or more so as not to be too thin and damaged.
[0041]
The piezoelectric ceramic plate 4 is important to be a piezoelectric body in order to induce displacement, and in particular, it is preferable that the main component is a perovskite crystal containing at least Pb, Zr and Ti. For example, a crystal containing Pb as an A site constituent element and Zr and Ti as a B site constituent element, particularly a lead zirconate titanate compound (PZT) having a higher d constant. It is preferable to obtain a stable piezoelectric sintered body having
[0042]
It is preferable that the vicinity of the surface of the piezoelectric ceramic plate 4 on the surface electrode 5 side is polarized. It is preferable that the piezoelectric ceramic plate 4 is polarized over a thickness of about 20 to 50% from the surface on which the electrode is formed, and the polarized region excites flexural vibration.
[0043]
It can be used desired piezoelectric constant as a liquid droplet ejecting head of the present invention, in order to exhibit a high discharge capacity as a print head causing a large displacement, using the d 33, its magnitude 300 pm / V As mentioned above, it is preferable to set it as 350 pm / V or more especially. In order to obtain high-speed and fine printing, d 33 is more preferably 400 pm / V or more.
[0044]
In the droplet discharge device of the present invention, it is important that the droplet discharge member 12 is integrally joined on the flow path member 11 as shown in FIG. The flow path member 11 includes a liquid pressurizing chamber 13a provided with a liquid inlet for supplying liquid from the outside, and a droplet nozzle 13b communicating with the liquid pressurizing chamber 13a.
[0045]
According to the present invention, it is important that the droplet discharge member 12 is joined so as to contact at least a part of the space of the droplet pressurizing chamber 13a. As a result, the pressure wave caused by the flexural vibration can be efficiently propagated to the ink.
[0046]
Furthermore, it is important that the surface electrode 15 is provided immediately above the liquid pressurizing chamber 13a. With such an arrangement, the displacement of the droplet discharge member 12 can be effectively converted into a droplet discharge pressure, and excellent droplet discharge properties are exhibited.
[0047]
The liquid pressurizing chamber 13a needs to be connected to a droplet flow path for introducing droplets. Alternatively, the pressurizing chamber 13a may form a part of the droplet channel. In any case, when the liquid flows into the liquid pressurizing chamber 13a and the liquid is supplied, it is possible to perform printing by discharging droplets continuously from the droplet nozzle.
[0048]
The shape of the liquid pressurizing chamber 13a may be a rectangle, a square, a rhombus, a parallelogram, a circle, an ellipse or the like, or any other shape.
[0049]
The flow path member 11 is preferably made of a metal such as stainless steel or 42 alloy from the viewpoint of reliability against vibration and deformation.
[0050]
The flow path member 11 can be joined to the piezoelectric ceramic plate 12 via an adhesive layer. That is, an adhesive layer is formed only on the contact portion with the partition wall forming the liquid pressurizing chamber 13 a and is bonded to the piezoelectric ceramic plate 14. It is important to bring the space of the liquid pressurizing chamber 13a into contact with the droplet discharge member.
[0051]
When an electric field is applied between the line electrodes 16 in such a droplet discharge device, as shown in FIG. 3B, the droplet discharge member at the portion in contact with the partition wall is displaced as a non-pressure generating portion. In other words, the droplet discharge member at the portion in contact with the space of the liquid pressurizing chamber 13a can generate displacement as a pressure generating portion.
[0052]
The vicinity of the surface of the plate-shaped piezoelectric ceramic plate 14 where the surface electrode 15 is formed is polarized in the plane direction of the piezoelectric ceramic plate 14. The polarization state is indicated by an arrow in FIG. The piezoelectric ceramic can be made piezoelectrically active by performing the polarization treatment.
[0053]
At the moment when a driving voltage is applied between the surface electrodes 15 of the piezoelectric ceramic plate 14 that has been subjected to polarization processing, as shown in FIG. 4B, the adjacent electrodes exhibit different polarities. The portion between the line electrodes 16 contracts in the direction of the arrow near the surface, that is, in the surface direction of the piezoelectric ceramic plate 14.
[0054]
When the vicinity of the surface (A surface) on which the surface electrode of the piezoelectric ceramic plate 14 is formed in this way contracts, the opposite surface (B surface) does not contract by itself, so that the A of the piezoelectric ceramic plate 14 is placed on the concave side, With the B surface as the convex side, as shown in FIG. 4C, the piezoelectric ceramic plate 14 near the center of the liquid pressurizing chamber 13a is deformed so as to be depressed in the direction of the flow path member 11.
[0055]
When the deformation of the piezoelectric ceramic plate 14 occurs, the volume of the liquid pressurizing chamber 13a decreases and the pressure of the liquid in the liquid pressurizing chamber 13a increases, and when a sufficient pressure is reached, a droplet is ejected from the droplet nozzle. .
[0056]
Subsequently, when application of the driving voltage is stopped, the state of FIG. 4C returns to the state of FIG. 4A, the volume of the liquid pressurizing chamber 13a increases, and the pressure of the liquid in the liquid pressurizing chamber 13a is increased. In order to descend, the liquid is sucked from the ink flow path or the ink container communicating with the liquid pressurizing chamber 13.
[0057]
Therefore, when pressure vibration is generated in the liquid in the liquid pressurizing chamber 13a due to vibration of the droplet discharge member, the liquid is transferred from the nozzle to the outside when the liquid is deformed from the state shown in FIG. 4A to the state shown in FIG. Next, when the state returns to the state of FIG. 4A from the state of FIG. 4C, the liquid can be sucked into the liquid pressurizing chamber 13a.
[0058]
Next, the manufacturing method of the actuator of the present invention will be described by taking as an example a case where a PbZrTiO 3 -based perovskite crystal is used.
[0059]
First, Pb 2 O 3 , ZrO 2 , TiO 2 , BaCO 3 , ZnO, SrCO 3 , Sb 2 O 3 , NiO, and TeO 2 are prepared as raw material powders. These are adjusted to a composition in which Pb is added so as to be larger than the Pb amount corresponding to the stoichiometric composition of the perovskite crystal and mixed. Alternatively, a commercially available perovskite crystal powder may be prepared.
[0060]
The obtained mixed powder is molded using a known molding method such as a die pressing method, CIP method, extrusion method, tape molding method or the like. In particular, a general tape forming method such as a roll coater method or a slit coater method is suitable for producing a thin layered product. For example, a green sheet is produced by forming a tape made of a piezoelectric ceramic and an organic composition.
[0061]
Next, as a first method, a surface electrode made of a line electrode is formed on a part of the green sheet by a printing method or the like, and a desired green sheet is laminated to produce a laminate. The body can be fired to produce a droplet discharge member.
[0062]
Alternatively, as a second method, a line-shaped electrode may be formed on the surface after a green sheet laminate is prepared and fired. In addition, for the preparation of the surface electrode, a vapor phase growth method such as vapor deposition, ion plating, or sputtering may be used, or a droplet discharge member may be manufactured by applying a conductive paste and then baking it. good.
[0063]
The obtained droplet discharge member is bonded to a channel member made of metal using an adhesive. At this time, it is important to arrange the surface electrode so that it is directly above the liquid pressurizing chamber and to bring the piezoelectric ceramic plate into contact with the flow path member in order to ensure sufficient displacement. In this manner, the droplet discharge head of the present invention can be manufactured.
[0064]
【Example】
The piezoelectric ceramic was fired to produce the droplet discharge member shown in FIG. 3, and the characteristics were evaluated. This will be specifically described below.
[0065]
First, a piezoelectric ceramic powder containing lead zirconate titanate having a purity of 99% or more was prepared as a raw material.
[0066]
The compact is made by adding butyl methacrylate as a water-based binder, ammonium polycarborate as a dispersant, isopropyl alcohol and pure water as a solvent to a piezoelectric ceramic powder mainly composed of lead zirconate titanate. The slurry was mixed, and a green sheet was produced on the carrier film by the doctor blade method so as to have a thickness of about 20 μm.
[0067]
Next, green sheets were sequentially laminated and thermocompression bonded to obtain a molded body. The molded body was degreased and then fired in an atmosphere of oxygen 99% or more at a firing temperature of 1000 ° C. for 2 hours to obtain a piezoelectric ceramic.
[0068]
On the surface of the obtained piezoelectric ceramic, surface electrodes of a pair of comb-shaped line electrode patterns as shown in FIG. 1 were formed. This surface electrode was coated with Au paste by screen printing. This was baked in the atmosphere of 600 to 800 ° C. to produce the actuator shown in FIG. The distance between the line electrodes after firing was set to the value shown in Table 1. The line width of the line electrode was 5 μm.
[0069]
Sample No. 1 produced an actuator of d 31 vibration mode as shown in FIG. 5 and evaluated it.
[0070]
The displacement is measured in consideration of the use as a print head for an ink jet printer. As shown in FIG. 4, the actuator 11 produced as described above is bonded to the support plate 13 having the grooves 13 a and the partition walls 13 b, and the piezoelectric vibration layer 14. The displacement element 17 was fabricated so that the inner electrode 15 and the surface electrode 16 were sandwiched. Then, a laser beam is irradiated to the actuator from the support plate 13 side through the groove 13a by a laser Doppler displacement meter, and the displacement is measured by measuring the central portion and the peripheral portion of the actuator in contact with the groove 13a of the support plate 13. The average value was calculated. The results are shown in Table 1.
[0071]
The durability of the piezoelectric actuator was measured by measuring the amount of displacement after 100 million vibration tests were performed such that the displacement was about 100 μm, and the amount changed before and after the vibration test was displayed as a percentage. Therefore, it can be judged that the durability is higher when the value is smaller.
[0072]
As a comparative example, the conventional droplet discharge member shown in FIG. It was evaluated as 1.
[0073]
[Table 1]
[0074]
Sample No. of the present invention. 3 to 18 had excellent durability of 3% or less, and a large amount of displacement was obtained.
[0075]
On the other hand, the sample No. using the d 31 mode is outside the scope of the present invention. No. 1 had a bad durability of 28%. Moreover, the displacement amount was also small.
[0076]
Further, the thickness of the piezoelectric ceramic plate is large, and sample No. No. 2 had an extremely small displacement amount of 25 μm.
[0077]
【The invention's effect】
In the droplet discharge member of the present invention, a plurality of surface electrodes are provided on one surface of a piezoelectric ceramic plate, and each surface electrode is constituted by a plurality of line electrodes, so that the polarities of adjacent line electrodes are different. Since they are arranged, flexural vibration can be excited in the piezoelectric ceramic plate. In this case, it is possible to applied portion polarizability near the surface expands and contracts the piezoelectric constant d 33, obtaining a large amount of displacement.
[0078]
Further, the droplet discharge device of the present invention has a small volume of generated droplets, and even if the surface electrodes are arranged at a high density, the piezoelectric ceramic plate is placed near the extraction electrode for applying the driving voltage. Since no polarization is applied, an electric field can be applied and displaced only at a site necessary for flexural vibration without inducing unnecessary vibration as in the conventional structure. Therefore, it is effective for suppressing the crosstalk problem that the extraction electrode has induced vibration.
[0079]
Furthermore, the droplet discharge device of the present invention does not need to form an internal electrode, and only the surface electrode needs to be formed. Therefore, effects such as simplification of the manufacturing process and cost reduction can be expected.
[Brief description of the drawings]
FIGS. 1A and 1B show a structure of a droplet discharge member according to the present invention, in which FIG. 1A is a schematic sectional view of a part thereof, and FIG.
FIGS. 2A and 2B show the shape of a surface electrode of the present invention, wherein FIG. 2A is a plan view showing an arc shape, FIG. 2B is an elliptic arc shape, and FIG.
3A and 3B are schematic cross-sectional views of a droplet discharge device of the present invention, in which FIG. 3A shows a state before application of an electric field, and FIG. 3B shows a state after application of the electric field.
4A and 4B are schematic cross-sectional views showing the operation state of the droplet discharge device of the present invention, where FIG. 4A is a state after polarization processing, FIG. 4B is a state immediately after application of an electric field, and FIG. Indicates.
5A and 5B show a conventional droplet discharge device, where FIG. 5A is a schematic sectional view, FIG. 5B is a plan view, and FIG. 5C shows an electric field application state.
FIGS. 6A and 6B are schematic cross-sectional views showing an operation state of the droplet discharge device of the present invention, where FIG. 6A shows a state before application of an electric field, and FIG.
[Explanation of symbols]
2, 12 ... droplet ejection member 4, 14 ... piezoelectric ceramic plate 5, 15 ... surface electrodes 6, 16 ... line electrodes 7, 17 ... displacement elements 8a, 8b ... Terminal electrode 9 ... lead portion 11 ... channel member 13a ... liquid pressurizing chamber 13b ... droplet nozzle A surface ... surface B surface on which surface electrode is formed ... on the opposite side surface