JP2005021456A - 放射線画像用画像処理装置、方法およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】放射線画像取得時の線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なるノイズ抑制処理等の放射線画像処理において、放射線画像データ取得装置ごとのノイズ特性等の違いを画像処理に反映させ、使用された放射線画像データ取得装置によらず高水準の処理済画像を得る。
【解決手段】ノイズ抑制処理装置100に、読取感度を放射線画像データ取得装置に応じて補正する読取感度補正部2を設ける。ノイズ抑制度導出部3およびノイズ抑制処理部4は、補正された読取感度を含む線量を示す情報をノイズの大小を示す指標として用いて、ノイズ抑制処理を行なう。放射線画像データ取得装置のノイズが大きいときは、読取感度補正部2は読取感度を大きくする方向に補正するため、あたかも処理対象の放射線画像がよりノイズが大きい画像であるかのような扱いがなされ、ノイズがより強く抑制される。
【選択図】 図1
【解決手段】ノイズ抑制処理装置100に、読取感度を放射線画像データ取得装置に応じて補正する読取感度補正部2を設ける。ノイズ抑制度導出部3およびノイズ抑制処理部4は、補正された読取感度を含む線量を示す情報をノイズの大小を示す指標として用いて、ノイズ抑制処理を行なう。放射線画像データ取得装置のノイズが大きいときは、読取感度補正部2は読取感度を大きくする方向に補正するため、あたかも処理対象の放射線画像がよりノイズが大きい画像であるかのような扱いがなされ、ノイズがより強く抑制される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用X線画像等の放射線画像の画像データに対し、その放射線画像の線量によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理を施す画像処理装置および方法、ならびにそのような処理をコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンピューテッド・ラジオグラフィ装置(CR装置)等を用いて取得した放射線画像を診断に資するに際しては、得られた放射線画像に対して所望の画像処理を施して診断に適する画像とした後に、CRTモニタにソフトコピーとして表示させたり、フィルムにハードコピーとして出力したりすることが行なわれている。
【0003】
それらの画像処理のうち、たとえばノイズ抑制等の処理では、放射線画像取得時の線量を示す情報によって、処理内容および/または処理程度を変更する手法が提案されている。これは、線量を示す情報を、抑制すべきノイズの大小を示す指標として用いることができるためである。すなわち、一般的に、放射線画像では、画像取得時の放射線の線量が少ないとノイズが相対的に大きくなり、逆に線量が多いとノイズが相対的に小さくなる。また、1枚の画像内においても、線量が少なく濃度が低い部分ほどノイズが目立ち、線量が多く濃度が高い部分においてはノイズはあまり目立たない。
【0004】
たとえば、特許文献1では、放射線画像の原画像を多重解像度分解により一連の帯域制限画像に分解し、原画像取得時の放射線の線量を示す情報に基づいて各帯域制限画像の各画素ごとに適当なノイズ抑制度を導出して、このノイズ抑制度に基づいて各帯域制限画像のノイズ成分を抑制し、ノイズ成分が抑制された各帯域制限画像を再合成することにより、ノイズ成分が抑制された原画像を得る処理が提案されている。
【0005】
また、特許文献2では、線量を示す情報に基づいてノイズ特性を算出し、このノイズ特性に基づいて各帯域制限画像に適用する平滑化フィルタの特性を切り替え、各帯域制限画像のノイズ成分を抑制する処理が提案されている。
【0006】
さらに、ノイズ抑制処理以外にも、線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度を変更することが有用な画像処理は種々存在する。たとえば、特許文献3では、乳房部を撮影した放射線画像中において、濃度勾配ベクトルの集中度がある閾値よりも大きい個所(すなわち、局所コントラストが強く、かつ濃度勾配ベクトルがほぼ1点の中心点を指す点状パターンを示す個所)を腫瘤陰影の候補個所として抽出する処理において、線量を示す情報を基準として、その個所のノイズが大きいと判断される場合にはその閾値を大きくし、ノイズが小さいと判断される場合には閾値を小さくする処理が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−125153号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2002−133410号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平8−263648号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、放射線画像取得時の放射線の線量が同程度であっても、その放射線画像を検出して電気的な画像データに変換する放射線画像データ取得装置によって、画像処理装置に供給される段階の画像データに含まれるノイズの大小および特性は異なる。たとえば、蓄積性蛍光体シートに放射線画像が記録され、それを読み取るための検出器としてCCDを用いた場合と光電子増倍管を用いた場合とでは、電気的な画像データに現れるノイズはCCDを用いた場合の方が大きくなる傾向があり、特に線量が低い部分ではその傾向が強くなる。したがって、放射線画像データ取得装置の違いにかかわらず線量を示す情報をそのままノイズの大小を示す指標としたのでは、このような放射線画像データ取得装置ごとのノイズ特性等の違いを画像処理に反映させることができない。
【0011】
本発明は、かかる事情に鑑み、放射線の線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理を施す場合において、使用された放射線画像データ取得装置ごとのノイズ特性等の違いを画像処理に反映させ、放射線画像データ取得装置の種類によらず高水準の処理済画像を得る放射線画像用画像処理装置、方法およびそれに用いるプログラムを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係る画像処理装置は、放射線画像データ取得装置によって取得した放射線画像の画像データに対し、その放射線画像の線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理を施す画像処理装置であって、その画像処理に先立って、使用された放射線画像データ取得装置に応じて上記の線量を示す情報を補正する手段を備えていることを特徴とするものである。
【0013】
ここで、本発明において「放射線画像データ取得装置」とは、放射線画像を検出して画像処理装置に供給可能な電気的な画像データとするまでの一連の装置を指し、被写体を介して照射された放射線を光電的に直接読み取る固体検出器等を含むものであってもよいし、放射線画像を一旦媒体に記録し、それを読取装置によって読み取るものであってもよい。後者のように、放射線画像データ取得装置が媒体と読取装置を含む場合には、たとえばフイルムや蓄積性蛍光体シートが媒体として用いられる。また、読取装置としては、たとえば上記の媒体が蓄積性蛍光体シートである場合には、蓄積性蛍光体シートに励起光を照射する光源、その励起光を受けて蓄積性蛍光体シートが発する輝尽発光光を検出するCCDや光電子増倍管等の検出器、およびその検出器からの信号を画像処理装置に供給可能なデジタル形式の電気的な画像データに変換する変換部を含む、一連の装置が用いられる。
【0014】
さらに、本発明における処理対象である「放射線画像の画像データ」は、直接または媒体を介して読み取った原画像そのものを示すデータに限られず、原画像から導出した処理画像のデータ(たとえば原画像を多重解像度分解して得られた複数の帯域制限画像のデータ等)であってもよい。
【0015】
また、本発明における「線量を示す情報」とは、放射線画像を得た際の放射線の線量を直接的あるいは間接的に示すものであって、たとえば、フォトタイマーからの情報、撮影条件(撮影装置における放射線照射条件)、後述する読取感度(S値)やラチチュード(L値)等の規格化条件、各画素ごとのデータ値(濃度値)等を用いることができる。あるいは、これらの組合せを用いてもよい。また、この情報を「補正する」とは、そのような情報のうち少なくとも一部を補正することを意味する。
【0016】
さらに、本発明における「線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理」の代表例としては、線量を示す情報によってノイズの大小が判断されノイズ抑制度が変更されるノイズ抑制処理が挙げられるが、これに限られず、線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なるあらゆる画像処理を包含するものであるとする。たとえば、乳房部を撮影した放射線画像中において、濃度勾配ベクトルの集中度がある閾値よりも大きい個所(すなわち、局所コントラストが強く、かつ濃度勾配ベクトルがほぼ1点の中心点を指す点状パターンを示す個所)を腫瘤陰影の候補個所として抽出する処理において、線量を示す情報を基準として、その個所のノイズが大きいと判断される場合にはその閾値を大きくし、ノイズが小さいと判断される場合には閾値を小さくする処理等も、上記の「線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理」に含まれるものである。
【0017】
なお、上記の画像処理が、画像データが表す画像に含まれるノイズ成分を抑制するノイズ抑制処理である場合には、上記の本発明に係る画像処理装置は、上記の補正する手段によって補正された線量を示す情報に基づいて、ノイズ成分を抑制する程度の大小を示すノイズ抑制度を導出する手段と、そのノイズ抑制度に基づいて、ノイズ抑制処理を行なう手段とをさらに備えているものであることが好ましい。この場合、上記のノイズ抑制度を導出する手段は、画像データが表す画像を構成する各画素ごとにノイズ抑制度を導出するものであり、上記のノイズ抑制処理を行なう手段は、その各画素ごとのノイズ抑制度に基づいて、各画素ごとにノイズ抑制処理を行なうものであってもよい。さらに、上記のノイズ抑制度を導出する手段は、上記の補正する手段によって補正された線量を示す情報に加えて、各画素の位置における画像データが表す画像の局所コントラストを示す情報に基づいて、各画素ごとのノイズ抑制度を導出するものであってもよい。
【0018】
また、上記の線量を示す情報の上記の補正する手段によって補正される部分が、線量のレベルによって大小が決まる数値である場合には、上記の補正する手段は、その数値に定数である補正係数を掛けることによってその数値を補正するものであって、その補正係数は放射線画像データ取得装置に応じて選択されるものであってもよい。あるいは、上記の補正する手段は、上記の数値に補正係数を掛けることによってその数値を補正するものであって、その補正係数は、放射線画像データ取得装置に応じて選択される上記の数値の関数により求められるものであってもよい。また、上記の補正する手段は、上記の数値に関する多項式によってその数値を補正するものであって、その多項式の各係数は、放射線画像データ取得装置に応じて選択されるものであってもよい。
【0019】
また、本発明に係る画像処理方法は、放射線画像データ取得装置によって取得した放射線画像の画像データに対し、その放射線画像の線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理を施す画像処理方法であって、その画像処理に先立って、使用された放射線画像データ取得装置に応じて上記の線量を示す情報を補正する工程を含んでいることを特徴とするものである。
【0020】
さらに、本発明に係るプログラムは、コンピュータに、放射線画像データ取得装置によって取得した放射線画像の画像データに対し、その放射線画像の線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理を施す機能と、その画像処理に先立って、使用された放射線画像データ取得装置に応じて上記の線量を示す情報を補正する機能を実現させるものである。
【0021】
【発明の効果】
本発明に係る放射線画像用画像処理装置、方法およびプログラムによれば、放射線画像データ取得装置により加わるノイズ成分がある基準より大きい場合は、線量を示す情報をより少ない線量を示す方向に補正し、放射線画像データ取得装置により加わるノイズ成分が同基準より小さい場合は、線量を示す情報をより多い線量を示す方向に補正した上で、その補正された線量を示す情報をノイズの大小を示す指標として用いて、線量を示す情報すなわちノイズの大小によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理を行なうことができる。そのため、画像処理において、あたかもその放射線画像を記録した際の線量が実際より少ないかまたは多いような、すなわち相対的なノイズがより大きいかまたは小さい放射線画像であるかのような扱いがなされる。したがって、放射線画像データ取得装置により加わるノイズ成分の違いが吸収され、使用された放射線画像データ取得装置によらず、ほぼ一定の高い水準の処理済画像を得ることができる。
【0022】
本発明をノイズ抑制処理に適用した場合には、放射線画像データ取得装置により加わるノイズ成分の違いを吸収するような適当なノイズ抑制度により、使用された放射線画像データ取得装置によらず、ほぼ一定の高い水準のノイズ抑制済画像を得ることができる。さらに、各画素のデータ値(濃度値)の違いや局所コントラストの違いも考慮して、各画素ごとに異なるノイズ抑制度を適用することとすれば、より高い水準のノイズ抑制済画像を得ることができる。
【0023】
上記の線量を示す情報の補正の仕方として、定数である補正係数を掛ける方法を用いれば、放射線画像データ取得装置の全体的なノイズ特性の違いを吸収するような画像処理を行うことができる。また、関数により求められる補正係数を掛ける方法や、多項式による方法を用いれば、全体的なノイズ特性の違いのみならず、放射線画像データ取得装置のノイズ特性の線量依存要素をも吸収するような画像処理を行なうことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の例示的な実施形態を詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明に係る画像処理装置の一実施形態であるノイズ抑制処理装置100の概略的な構成を示すブロック図であり、図2は、より詳細な構成を示すブロック図である。
【0026】
ノイズ抑制処理装置100は、図1に示すように、読取装置から供給された放射線画像の原画像データSinに基づいて、原画像を段階的に異なる解像度すなわち異なる空間周波数帯域に分解した画像を示す複数の帯域制限画像データを作成する帯域制限画像データ作成部1と、原画像が媒体に記録された際の放射線の線量を示す指標となる読取感度(S値)を読取装置から取得して、補正を加える読取感度補正部2と、この補正された読取感度を含む線量を示す情報と各帯域制限画像データの空間周波数を示す情報とに基づいて、各帯域制限画像データの各画素ごとに、ノイズ成分を抑制する程度の大小を示すノイズ抑制度を導出するノイズ抑制度導出部3と、この得られたノイズ抑制度に基づいて、各帯域制限画像データの各画素に対して、ノイズ抑制処理を施すノイズ抑制処理部4と、ノイズ抑制処理が施された各処理済帯域制限画像データに基づいて、ノイズが抑制された原画像を示す処理済原画像データSprocを生成する処理済画像生成部5とを有する。
【0027】
なお、本実施形態のノイズ抑制処理装置100に供給される原画像データSinは、蓄積性蛍光体シートに記録された人体のX線画像を読取装置によって読み取ることにより得られたものであるとする。この読取装置は、蓄積性蛍光体シートに励起光を照射する光源、その励起光を受けて蓄積性蛍光体シートが発する輝尽発光光を光電的に検出する検出器、およびその検出器からの信号をノイズ抑制処理装置100に供給可能なデジタル形式の電気的な画像データに変換する変換部を含むものである。放射線画像の読取りは、蓄積性蛍光体シートに対して主走査方向(横方向)に光源からの励起光を走査しながらシートを副走査方向(縦方向)に移動させてシートを2次元走査することにより行なわれる。さらに、この読取装置は、各読取りごとに以下に説明する読取感度(S値)およびラチチュード(L値)を算出する手段を備えており、上記の変換部は算出されたこれらの値に基づいて検出器からの信号を画像データに変換する。
【0028】
読取感度(S値)およびラチチュード(L値)は、最適な濃度とコントラストの画像が得られるように、必要十分な範囲の信号を画像データとして画像処理装置に供給するための規格化係数である。たとえば、胸部のX線画像を蓄積性蛍光体シートに撮影して読み取ったところ、図3のような頻度分布(ヒストグラム)が得られたとする。なお、実際に読み取るのは蓄積性蛍光体シートからの輝尽発光量であるところ、図3の横軸はX線の線量となっているが、蓄積性蛍光体シートに記録されたX線の線量と輝尽発光量は比例関係にあるとみなして差支えなく、その比例係数は予め分かっているため、輝尽発光量をX線の線量に変換することができる。
【0029】
X線撮影および読取りによって得られるヒストグラムの形状は、撮影部位や撮影メニューごとに特定の分布パターンを示すことが経験的に知られている。たとえば、胸部のヒストグラムでは、図3に示すような、縦隔部、心臓部および肺野部に対応する各特徴部分を含む形状となる。すなわち、既知の分布パターンに当てはめることにより、得られたヒストグラムのどの範囲を有効な画像データとすべきかが分かる。図3の例では、XminからXmaxの間の線量に相当する部分が、有効な画像データとすべき部分である。この幅、つまりXmaxとXmin(単位はミリレントゲン)の対数値の差が、ラチチュード(L値)である。
【0030】
また、読取感度(S値)は、有効な画像データとすべき線量の範囲の中央値に対応する値である。図3に示す中央値、すなわち、有効な画像データとすべき範囲の線量を0ビットから1023ビットの画像データ値(デジタル値)に割り当てるとすれば511ビットに相当する線量をXk(単位はミリレントゲン)とすると、
【数1】
により求められる値Sが読取感度である。この読取感度Sは、線量を示す指標となる値であり、読取感度が大きいほど線量が少なく、小さいほど線量が多いことを示す。
【0031】
以下、図1および2に示されたノイズ抑制処理装置100の各構成要素が行なう処理の詳細について、順を追って説明する。
【0032】
まず、帯域制限画像データ作成部1が行なう処理について、図2および4を用いて説明する。
【0033】
帯域制限画像データ作成部1は、図2に示すように、複数段のフィルタリング処理手段10、補間処理手段11および減算器12を含む。
【0034】
図4に模式的に示すように、第1段のフィルタリング処理手段10は、入力された原画像データSinよりも1段解像度が低く、かつ縦横の画素数が各々1/2とされた画像(すなわち全体の大きさが1/4とされた画像)を示す低解像度画像データL1を導出する。補間処理手段11は、フィルタリング処理手段10から受け取った低解像度画像データL1に補間処理を施し、原画像と同じ大きさのボケ画像を示すボケ画像データSus1を導出する。減算器12は、原画像データSinからボケ画像データSus1を差し引き、帯域制限画像データB1を導出する。
【0035】
第2段においては、フィルタリング処理手段10は、第1段のフィルタリング処理手段10の出力である低解像度画像データL1を入力とし、さらに1段解像度が低く、かつ縦横の画素数が各々1/2とされた低解像度画像データL2を導出する。補間処理手段11は、フィルタリング処理手段10から受け取った低解像度画像データL2に補間処理を施し、低解像度画像データL1が示す画像と同じ大きさのボケ画像を示すボケ画像データSus2を導出する。減算器12は、低解像度画像データL1からボケ画像データSus2を差し引き、帯域制限画像データB2を導出する。以下同様にして、一連の帯域制限画像データB1、B2、...、Bnが導出される。
【0036】
上記の帯域制限画像データ作成部1における多重解像度分解処理は、公知のいかなる手法によるものであってもよいが、本実施形態では、ラプラシアンピラミッド分解として知られている手法を使用するものとする。すなわち、フィルタリング処理手段10は、入力された画像データの各画素位置に対して5×5の大きさのガウシアンフィルターを掛けた上で、縦横共に1つおきの画素を拾うことにより低解像度画像データL1、L2、...、Lnを導出し、補間処理手段11は、ガウス分布状の重みづけによる補間処理によってボケ画像データSus1、Sus2、...、Susnを導出する。なお、他の使用可能な多重解像度分解の手法としては、ウェーブレット変換を利用した手法等が挙げられる。
【0037】
次に、読取感度補正部2が行なう処理について説明する。
【0038】
読取感度補正部2には、読取装置の種別ごとに読取感度Sの補正係数αを規定した以下のような参照表が記憶されている。
【0039】
【表1】
また、読取感度補正部2は、上述した読取装置内の読取感度(S値)およびラチチュード(L値)を算出する手段に接続されており、算出された読取感度Sを入力として受け付けるように構成されている。さらに、読取装置から、または手動入力により、読取装置の種別を示す情報の入力を受け付けるように構成されている。読取感度補正部2は、入力された読取装置の種別を示す情報をもとに上記の参照表を参照し、対応する補正係数αを入力された読取感度Sに掛けることによって、補正された読取感度S’を算出する。すなわち、
【数2】
である。
【0040】
ここで、補正係数αが大きいほど、読取感度が大きくなる方向、すなわち少ない線量を示す方向に補正がなされる。これにより、以降のノイズ抑制処理では、ノイズ抑制処理装置100は、あたかもその放射線画像を記録した際の線量が実際より少ないような、すなわち相対的なノイズがより大きい放射線画像であるかのような扱いをするため、ノイズを抑制する程度が大きくされ、読取装置によって加わるノイズ成分がより大きく吸収されるようになる。したがって、上記の参照表は、全体的なノイズが大きい読取装置ほど補正係数αが大きくなり、ノイズが小さい読取装置ほど補正係数αが小さくなるように規定しておくことが必要である。
【0041】
次に、ノイズ抑制度導出部3が行なう処理について、図2および図5から9を用いて説明する。
【0042】
本実施形態のノイズ抑制度導出部3は、各帯域制限画像データB1、B2、...、Bnの各画素ごとに、それぞれ(1)画素エネルギーVeの算出、(2)ノイズ判定基準である閾値Thの算出、および(3)ノイズ抑制度Eの算出からなる処理を行なうことにより、その画素に対するノイズ抑制度Eを導出する。したがって、構成としては、ノイズ抑制度導出部3は、図2に示すように、複数段の画素エネルギー算出手段31、閾値算出手段32およびノイズ抑制度算出手段33を含む。
【0043】
画素エネルギー算出手段31が算出する画素エネルギーVeは、その画素位置における局所コントラストの強さを示す指標の一例である。ここで局所コントラストの強さを示す指標を算出する理由は、各帯域制限画像内において、局所コントラストの強い部分の信号は実際の像の特徴を示す可能性が高く、逆に局所コントラストの低い部分の信号はノイズを示す可能性が高いことに鑑み、各画素位置における局所コントラストを示す情報を、その画素に対するノイズ抑制度の導出に反映させるためである。
【0044】
具体的には、各画素エネルギー算出手段31は、まず、図5に示すような角度が45度ずつ異なる4方向のエッジ成分を検出するエッジ検出フィルターを、入力された帯域制限画像データBkの各画素位置に適用する。図6は、各エッジ検出フィルターを概念的に示した図である。具体的なフィルターの加重マトリクス表現は、たとえば図6のq0用フィルターについて示すと、
【表2】
のようになる。次に、そうして得られた各画素の4方向のエッジ成分の絶対値すなわちエッジ強度をそれぞれq0、q1、q2およびq3とし、それらの平均値
【数3】
をその画素の画素エネルギーVeとする。この画素エネルギーVeの値が大きいほど、その帯域制限画像のその画素位置における局所コントラストが大きいことを示す。なお、局所コントラストを適当に表す情報であれば、画素エネルギーVeに代えていかなるものを用いてもよく、たとえば、各画素位置を中心とする局所領域における分散値等を用いてもよい。
【0045】
閾値算出手段32は、その段の帯域制限画像データBkの各画素ごとに、その画素の信号がノイズであるか否かを判定する基準となる閾値Thを算出する。前述のように、一般的に放射線画像では、線量が少ない部分ほどノイズが相対的に大きくなり、逆に線量が多い部分ほどノイズが相対的に小さくなる。また、ノイズの大小は空間周波数にも依存し、一般的に空間周波数の高い画像ほどノイズが大きく、空間周波数の低い画像ほどノイズが小さい。そこで、本実施形態の閾値算出手段32は、線量に依存する指標xと空間周波数に依存する指標rに基づいて閾値Thを算出するものとする。
【0046】
本実施形態では、線量に依存する指標xは、線量を示す情報としての読取感度(S値)とラチチュード(L値)およびその帯域制限画像データBkの各画素値QLを使用して求めるが、読取感度は、上記の読取感度補正部2により補正された値S’を用いる。具体的には、以下の式により求める。
【0047】
【数4】
この指標xは、その画素の相対X線量を表すものであり、xの値が大きいほどその画素の線量が多いことを示す。ここで、読取装置のノイズが少なく、読取感度S’が小さくなる方向(すなわち、より多い線量を示す方向)に補正された値であるときは、上記の指標xは実際に媒体に記録された相対X線量よりも高い相対X線量を示す値となり、後述する閾値Thは低くなる。逆に、読取装置のノイズが大きく、読取感度S’が大きくなる方向(すなわち、より少ない線量を示す方向)に補正された値であるときは、上記の指標xは実際よりも低い相対X線量を示す値となり、閾値Thは高くなる。これにより、読取装置のノイズ特性を吸収するようなノイズ抑制処理が可能となる。
【0048】
空間周波数に依存する指標rとしては、たとえば帯域制限画像データBkの番号kをそのまま用いることができる。これは、本実施形態のように、原画像データSinをラプラシアンピラミッド分解によって複数の帯域制限画像データB1、B2、...、Bnに分解する場合、各帯域制限画像データBkがそれぞれ異なる空間周波数の画像に対応していると考えることができるためである。したがって、この場合は指標rの値が小さいほど空間周波数が高いことを示す。
【0049】
上述のように、ノイズは、線量が少なく空間周波数が高いほど大きくなるので、閾値Thも、線量が少なく空間周波数が高いほど大きくなるように、図7に示すような曲線を予め規定しておく。閾値算出手段32は、この曲線を用いて、算出された指標xと指標rに対する閾値Thを特定する。なお、閾値Thは、指標xと指標rを変数とした数式で表現するようにしてもよいが、数式では理想どおりの曲線が得難いこともある。そこで、たとえば図8に示すように、基準曲線ThBase(x)を(x,ThBase(x))の幾つかの組で構成される折れ点データとして与え、さらに、各指標rごとに係数ThCo(r)を与え、閾値Thを、以下の式(4)に示すように、基準曲線にその係数を掛けたものとして求めるようにしてもよい。
【0050】
【数5】
続いて、ノイズ抑制度算出手段33が、画素エネルギー算出手段31が算出した画素エネルギーVeと、閾値算出手段32が算出した閾値Thに基づいて、その段の帯域制限画像データBkの各画素ごとにノイズ抑制度Eを算出する。本実施形態のノイズ抑制処理は、「ノイズらしさ」に応じてノイズ成分を抑制する程度を変え、ノイズらしい信号ほど抑制するという処理である。そこで、ノイズ抑制度算出手段33は、この「ノイズらしさ」を表す指標として、各画素において、閾値Thに対する画素エネルギーVeの比、すなわちVe/Thを用い、この比が小さいほど0に近づき、大きいほど1に近づく関数
【数6】
を使用して、ノイズ抑制度Eを算出するものとする。なお、図9は、この式(6)をグラフで表したものである。
【0051】
以上のようにして導出されたそれぞれのノイズ抑制度Eは、続いて、図2に示すように複数段の抑制処理手段41を有するノイズ抑制処理部4に送られる。各抑制処理手段41は、その段の帯域制限画像データBkの各画素ごとに、以下の式(7)に示す処理を行ない、ノイズが抑制された処理済帯域制限画像データfBkを導出する。
【0052】
【数7】
この式(7)からも明らかなように、ノイズ抑制度Eの値が1に近いほどノイズ成分の抑制の程度が小さく、0に近いほど抑制の程度が大きくなる。
【0053】
次に、処理済画像生成部5において行なわれる処理、すなわちノイズが抑制された原画像を示す処理済原画像データSprocを生成する処理について、図2および10を用いて説明する。
【0054】
本実施形態の処理済画像生成部5は、図2に示すように、複数段の第1減算器51、補間処理手段52および加算器53と、1つの第2減算器54とを含む。図10は、この処理済画像生成部5における処理を模式的に示した図である。
【0055】
まず、各段の第1減算器51が、ノイズ抑制処理を施す前の帯域制限画像データBk からノイズ成分の抑制された処理済帯域制限画像データfBk を差し引いて、その帯域におけるノイズ成分のみが抽出された帯域制限ノイズ画像データNBk を算出する。
【0056】
続いて、図2における最下段の補間処理手段52が、入力された帯域制限ノイズ画像データNBnに補間処理を施して、縦横の画素数がそれぞれ2倍とされた拡大ノイズ画像データNSn’を導出する。この補間処理は、公知のいかなる手法によるものであってもよい。
【0057】
この拡大ノイズ画像データNSn’は一段上の加算器53に送られ、一段上の帯域制限ノイズ画像データNBn−1と足し合わされて、加算ノイズ画像データNSn−1とされる。この加算ノイズ画像データNSn−1は、一連の帯域制限画像に含まれるノイズ成分すなわちノイズ全体の各空間周波数成分のうち、最も低い空間周波数成分と次に低い空間周波数成分を足し合わせたものを示すデータに相当する。
【0058】
加算ノイズ画像データNSn−1は、その段の補間処理手段52で補間処理を施されて拡大ノイズ画像データNSn−1’とされ、さらに一段上の加算器53に送られる。以降、同様にして補間処理手段52による補間処理と加算器53による加算処理が繰り返されることにより、最終的には、ノイズの全ての空間周波数成分が足し合わされた、原画像と同じ大きさの加算ノイズ画像を示す加算ノイズ画像データNS1が導出される。
【0059】
最後に、第2減算器54において、原画像データSinから加算ノイズ画像データNS1が差し引かれ、処理済原画像データSprocが得られる。
【0060】
なお、加算器53により、帯域制限ノイズ画像データNBk−1 と拡大ノイズ画像データNSn′ とが繰返し加算される過程においては、空間周波数に依存した係数を拡大ノイズ画像データNSn′ に掛け合わせて加算することにより、これらの加算比率を制御するようにしてもよい。また、第2減算器54により、原画像データSinから加算ノイズ画像データNS1を差し引く過程においては、原画像データSinの各画素値(濃度値)に依存した係数を加算ノイズ画像データNS1に掛け合わせて減算することにより、ノイズ抑制のレベルをさらに制御するようにしてもよい。なお、このような濃度依存の抑制レベル調整が有用な場合としては、例えば、胸部X線画像において、比較的濃度の高い肺野はそれほどノイズを含まずそれほどノイズ抑制を行う必要がないことが経験的に知られているので、濃度の高い部分は、ノイズ画像上でのノイズ成分を表すデータ値を低くする補正を行う場合などが考えられる。
【0061】
上述のようにして得られた処理済原画像データSprocが示す画像では、ノイズの大小を左右する線量および空間周波数に関する情報に基づいて適当なノイズ抑制処理がなされており、しかも線量を示す情報の一部は、読取装置のノイズ特性がノイズ抑制処理に反映されるように補正されている。したがって、線量や空間周波数の違いのみならず、読取装置の違いにもよらずに、ほぼ一定の高い水準の処理済原画像が得られる。
【0062】
以上、本発明に係る画像処理装置の一実施形態であるノイズ抑制処理装置100について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0063】
たとえば、上記の実施形態では、線量に依存する指標xと空間周波数に依存する指標rを使用してノイズ抑制度Eを求めたが、空間周波数の情報をノイズ抑制度に反映させることは必ずしも必要ではなく、少なくとも、補正された線量を示す情報が反映されていればよい。また、ノイズ抑制度の導出に用いる関数(曲線)や計算式も、上記の実施形態のものに限られない。
【0064】
また、上記の実施形態では線量を示す情報のうち読取感度(S値)のみを入力装置に応じて補正したが、これに代えてまたはこれに加えて、ラチチュード(L値)や各画素ごとのデータ値(濃度値)等、他の線量を示す指標を補正してもよい。さらに、上記の実施形態では、放射線画像データ取得装置として媒体と読取装置の組合せを用い、表1に示すように、読取装置のみに応じて線量を示す情報を補正したが、これに代えて媒体に応じて補正してもよいし、各媒体と読取装置の組合わせ全体に応じて補正してもよい。また、放射線画像データ取得装置として、媒体を介さずに放射線を直接検出し画像データに変換する装置を用い、その装置の種類に応じて線量を示す情報を補正してもよい。
【0065】
また、上記の実施形態では、表1に示すように各読取装置ごとに定数である補正係数αを規定しておき、その補正係数αを読取感度に掛けることにより読取感度を補正したが、変更例として、図11に示すように、補正係数αを、放射線画像データ取得装置のノイズ特性を反映した読取感度の関数として規定してもよい。たとえば、媒体が蓄積性蛍光体シートであるときに、検出器としてCCDを用いた場合と光電子増倍管を用いた場合とでは、電気的な画像データに現れるノイズはCCDを用いた場合の方が大きくなる傾向があり、特に線量が低い部分ではその傾向が強くなる。したがって、光電子増倍管についての補正係数αを求める関数を図11のBのように規定したとすると、CCDについての関数は図11のAのようになる。この変更例を使えば、上記のような放射線画像データ取得装置のノイズ特性の線量依存要素をも、ノイズ抑制処理に反映させることができる。なお、この場合も、読取感度に代えてまたは加えて、線量を示す他の指標を補正してもよい。
【0066】
さらに別の変更例として、たとえば以下の式(8)のような多項式により読取感度を補正することとし、各係数a、bおよびcを放射線画像データ取得装置に応じて定めておいてもよい。
【0067】
【数8】
なお、この場合も、読取感度に代えてまたは加えて、線量を示す他の指標を補正してもよい。
【0068】
また、上記の実施形態は、原画像データを一連の帯域制限画像データに分解し、各帯域制限画像データの各画素ごとにノイズ抑制処理を施した上で、ノイズが抑制された処理済原画像データを再合成するものであったが、これに限らず、たとえば原画像データに直接ノイズ抑制処理を施すような形態も、本発明の範囲に含まれるものである。
【0069】
さらには、上記の実施形態および変更例はいずれもノイズ抑制処理に関するものであったが、本発明は、ノイズ抑制処理に限られず、線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なるあらゆる画像処理に適用可能なものである。たとえば、乳房部を撮影した放射線画像中の、濃度勾配ベクトルの集中度がある閾値よりも大きい個所を腫瘤陰影の候補個所として抽出する画像処理装置であって、線量を示す情報を指標としてノイズが大きいと判断される場合にはその閾値を大きくし、ノイズが小さいと判断される場合には閾値を小さくする装置において、放射線画像データ取得装置に応じて、上記の実施形態および変更例と同様の手法で線量を示す情報を補正する形態等も、本発明の範囲に含まれるものである。
【0070】
また、上記の説明は、説明の便宜上、装置に関して行ったが、上記の装置を用いて画像処理を行なう方法が本発明の画像処理方法であり、コンピュータにそのような方法を実現させるのが本発明のプログラムである。その他、本発明の技術的範囲は、上記に説明した実施形態および変更例に限られるものでなく、本明細書中の特許請求の範囲のみによって定められるべきものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像処理装置の一実施形態であるノイズ抑制処理装置の概略ブロック図
【図2】図1のノイズ抑制処理装置のより詳細な構成を示すブロック図
【図3】読取感度(S値)およびラチチュード(L値)の概念を示した図
【図4】帯域制限画像データ作成部において行なわれる処理を模式的に示した図
【図5】画素エネルギー算出のための4つのエッジ検出フィルターに対応するエッジ方向を示した図
【図6】図5に方向を示した4つのエッジ検出フィルターの概念図
【図7】ノイズか否かの判定基準となる閾値の曲線の1つの例を示したグラフ
【図8】ノイズか否かの判定基準となる閾値の曲線の別の例を示したグラフ
【図9】ノイズ抑制度の曲線の例を示したグラフ
【図10】処理済画像生成部において行なわれる処理を模式的に示した図
【図11】読取感度の補正係数を規定する関数の例を示したグラフ
【符号の説明】
1 帯域制限画像データ作成部
2 読取感度補正部
3 ノイズ抑制度導出部
4 ノイズ抑制処理部
5 処理済画像生成部
10 フィルタリング処理手段
11 補間処理手段
12 減算器
31 画素エネルギー算出手段
32 閾値算出手段
33 ノイズ抑制度算出手段
41 抑制処理手段
51 第1減算器
52 補間処理手段
53 加算器
54 第2減算器
100 ノイズ抑制処理装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用X線画像等の放射線画像の画像データに対し、その放射線画像の線量によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理を施す画像処理装置および方法、ならびにそのような処理をコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンピューテッド・ラジオグラフィ装置(CR装置)等を用いて取得した放射線画像を診断に資するに際しては、得られた放射線画像に対して所望の画像処理を施して診断に適する画像とした後に、CRTモニタにソフトコピーとして表示させたり、フィルムにハードコピーとして出力したりすることが行なわれている。
【0003】
それらの画像処理のうち、たとえばノイズ抑制等の処理では、放射線画像取得時の線量を示す情報によって、処理内容および/または処理程度を変更する手法が提案されている。これは、線量を示す情報を、抑制すべきノイズの大小を示す指標として用いることができるためである。すなわち、一般的に、放射線画像では、画像取得時の放射線の線量が少ないとノイズが相対的に大きくなり、逆に線量が多いとノイズが相対的に小さくなる。また、1枚の画像内においても、線量が少なく濃度が低い部分ほどノイズが目立ち、線量が多く濃度が高い部分においてはノイズはあまり目立たない。
【0004】
たとえば、特許文献1では、放射線画像の原画像を多重解像度分解により一連の帯域制限画像に分解し、原画像取得時の放射線の線量を示す情報に基づいて各帯域制限画像の各画素ごとに適当なノイズ抑制度を導出して、このノイズ抑制度に基づいて各帯域制限画像のノイズ成分を抑制し、ノイズ成分が抑制された各帯域制限画像を再合成することにより、ノイズ成分が抑制された原画像を得る処理が提案されている。
【0005】
また、特許文献2では、線量を示す情報に基づいてノイズ特性を算出し、このノイズ特性に基づいて各帯域制限画像に適用する平滑化フィルタの特性を切り替え、各帯域制限画像のノイズ成分を抑制する処理が提案されている。
【0006】
さらに、ノイズ抑制処理以外にも、線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度を変更することが有用な画像処理は種々存在する。たとえば、特許文献3では、乳房部を撮影した放射線画像中において、濃度勾配ベクトルの集中度がある閾値よりも大きい個所(すなわち、局所コントラストが強く、かつ濃度勾配ベクトルがほぼ1点の中心点を指す点状パターンを示す個所)を腫瘤陰影の候補個所として抽出する処理において、線量を示す情報を基準として、その個所のノイズが大きいと判断される場合にはその閾値を大きくし、ノイズが小さいと判断される場合には閾値を小さくする処理が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−125153号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2002−133410号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平8−263648号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、放射線画像取得時の放射線の線量が同程度であっても、その放射線画像を検出して電気的な画像データに変換する放射線画像データ取得装置によって、画像処理装置に供給される段階の画像データに含まれるノイズの大小および特性は異なる。たとえば、蓄積性蛍光体シートに放射線画像が記録され、それを読み取るための検出器としてCCDを用いた場合と光電子増倍管を用いた場合とでは、電気的な画像データに現れるノイズはCCDを用いた場合の方が大きくなる傾向があり、特に線量が低い部分ではその傾向が強くなる。したがって、放射線画像データ取得装置の違いにかかわらず線量を示す情報をそのままノイズの大小を示す指標としたのでは、このような放射線画像データ取得装置ごとのノイズ特性等の違いを画像処理に反映させることができない。
【0011】
本発明は、かかる事情に鑑み、放射線の線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理を施す場合において、使用された放射線画像データ取得装置ごとのノイズ特性等の違いを画像処理に反映させ、放射線画像データ取得装置の種類によらず高水準の処理済画像を得る放射線画像用画像処理装置、方法およびそれに用いるプログラムを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係る画像処理装置は、放射線画像データ取得装置によって取得した放射線画像の画像データに対し、その放射線画像の線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理を施す画像処理装置であって、その画像処理に先立って、使用された放射線画像データ取得装置に応じて上記の線量を示す情報を補正する手段を備えていることを特徴とするものである。
【0013】
ここで、本発明において「放射線画像データ取得装置」とは、放射線画像を検出して画像処理装置に供給可能な電気的な画像データとするまでの一連の装置を指し、被写体を介して照射された放射線を光電的に直接読み取る固体検出器等を含むものであってもよいし、放射線画像を一旦媒体に記録し、それを読取装置によって読み取るものであってもよい。後者のように、放射線画像データ取得装置が媒体と読取装置を含む場合には、たとえばフイルムや蓄積性蛍光体シートが媒体として用いられる。また、読取装置としては、たとえば上記の媒体が蓄積性蛍光体シートである場合には、蓄積性蛍光体シートに励起光を照射する光源、その励起光を受けて蓄積性蛍光体シートが発する輝尽発光光を検出するCCDや光電子増倍管等の検出器、およびその検出器からの信号を画像処理装置に供給可能なデジタル形式の電気的な画像データに変換する変換部を含む、一連の装置が用いられる。
【0014】
さらに、本発明における処理対象である「放射線画像の画像データ」は、直接または媒体を介して読み取った原画像そのものを示すデータに限られず、原画像から導出した処理画像のデータ(たとえば原画像を多重解像度分解して得られた複数の帯域制限画像のデータ等)であってもよい。
【0015】
また、本発明における「線量を示す情報」とは、放射線画像を得た際の放射線の線量を直接的あるいは間接的に示すものであって、たとえば、フォトタイマーからの情報、撮影条件(撮影装置における放射線照射条件)、後述する読取感度(S値)やラチチュード(L値)等の規格化条件、各画素ごとのデータ値(濃度値)等を用いることができる。あるいは、これらの組合せを用いてもよい。また、この情報を「補正する」とは、そのような情報のうち少なくとも一部を補正することを意味する。
【0016】
さらに、本発明における「線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理」の代表例としては、線量を示す情報によってノイズの大小が判断されノイズ抑制度が変更されるノイズ抑制処理が挙げられるが、これに限られず、線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なるあらゆる画像処理を包含するものであるとする。たとえば、乳房部を撮影した放射線画像中において、濃度勾配ベクトルの集中度がある閾値よりも大きい個所(すなわち、局所コントラストが強く、かつ濃度勾配ベクトルがほぼ1点の中心点を指す点状パターンを示す個所)を腫瘤陰影の候補個所として抽出する処理において、線量を示す情報を基準として、その個所のノイズが大きいと判断される場合にはその閾値を大きくし、ノイズが小さいと判断される場合には閾値を小さくする処理等も、上記の「線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理」に含まれるものである。
【0017】
なお、上記の画像処理が、画像データが表す画像に含まれるノイズ成分を抑制するノイズ抑制処理である場合には、上記の本発明に係る画像処理装置は、上記の補正する手段によって補正された線量を示す情報に基づいて、ノイズ成分を抑制する程度の大小を示すノイズ抑制度を導出する手段と、そのノイズ抑制度に基づいて、ノイズ抑制処理を行なう手段とをさらに備えているものであることが好ましい。この場合、上記のノイズ抑制度を導出する手段は、画像データが表す画像を構成する各画素ごとにノイズ抑制度を導出するものであり、上記のノイズ抑制処理を行なう手段は、その各画素ごとのノイズ抑制度に基づいて、各画素ごとにノイズ抑制処理を行なうものであってもよい。さらに、上記のノイズ抑制度を導出する手段は、上記の補正する手段によって補正された線量を示す情報に加えて、各画素の位置における画像データが表す画像の局所コントラストを示す情報に基づいて、各画素ごとのノイズ抑制度を導出するものであってもよい。
【0018】
また、上記の線量を示す情報の上記の補正する手段によって補正される部分が、線量のレベルによって大小が決まる数値である場合には、上記の補正する手段は、その数値に定数である補正係数を掛けることによってその数値を補正するものであって、その補正係数は放射線画像データ取得装置に応じて選択されるものであってもよい。あるいは、上記の補正する手段は、上記の数値に補正係数を掛けることによってその数値を補正するものであって、その補正係数は、放射線画像データ取得装置に応じて選択される上記の数値の関数により求められるものであってもよい。また、上記の補正する手段は、上記の数値に関する多項式によってその数値を補正するものであって、その多項式の各係数は、放射線画像データ取得装置に応じて選択されるものであってもよい。
【0019】
また、本発明に係る画像処理方法は、放射線画像データ取得装置によって取得した放射線画像の画像データに対し、その放射線画像の線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理を施す画像処理方法であって、その画像処理に先立って、使用された放射線画像データ取得装置に応じて上記の線量を示す情報を補正する工程を含んでいることを特徴とするものである。
【0020】
さらに、本発明に係るプログラムは、コンピュータに、放射線画像データ取得装置によって取得した放射線画像の画像データに対し、その放射線画像の線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理を施す機能と、その画像処理に先立って、使用された放射線画像データ取得装置に応じて上記の線量を示す情報を補正する機能を実現させるものである。
【0021】
【発明の効果】
本発明に係る放射線画像用画像処理装置、方法およびプログラムによれば、放射線画像データ取得装置により加わるノイズ成分がある基準より大きい場合は、線量を示す情報をより少ない線量を示す方向に補正し、放射線画像データ取得装置により加わるノイズ成分が同基準より小さい場合は、線量を示す情報をより多い線量を示す方向に補正した上で、その補正された線量を示す情報をノイズの大小を示す指標として用いて、線量を示す情報すなわちノイズの大小によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理を行なうことができる。そのため、画像処理において、あたかもその放射線画像を記録した際の線量が実際より少ないかまたは多いような、すなわち相対的なノイズがより大きいかまたは小さい放射線画像であるかのような扱いがなされる。したがって、放射線画像データ取得装置により加わるノイズ成分の違いが吸収され、使用された放射線画像データ取得装置によらず、ほぼ一定の高い水準の処理済画像を得ることができる。
【0022】
本発明をノイズ抑制処理に適用した場合には、放射線画像データ取得装置により加わるノイズ成分の違いを吸収するような適当なノイズ抑制度により、使用された放射線画像データ取得装置によらず、ほぼ一定の高い水準のノイズ抑制済画像を得ることができる。さらに、各画素のデータ値(濃度値)の違いや局所コントラストの違いも考慮して、各画素ごとに異なるノイズ抑制度を適用することとすれば、より高い水準のノイズ抑制済画像を得ることができる。
【0023】
上記の線量を示す情報の補正の仕方として、定数である補正係数を掛ける方法を用いれば、放射線画像データ取得装置の全体的なノイズ特性の違いを吸収するような画像処理を行うことができる。また、関数により求められる補正係数を掛ける方法や、多項式による方法を用いれば、全体的なノイズ特性の違いのみならず、放射線画像データ取得装置のノイズ特性の線量依存要素をも吸収するような画像処理を行なうことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の例示的な実施形態を詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明に係る画像処理装置の一実施形態であるノイズ抑制処理装置100の概略的な構成を示すブロック図であり、図2は、より詳細な構成を示すブロック図である。
【0026】
ノイズ抑制処理装置100は、図1に示すように、読取装置から供給された放射線画像の原画像データSinに基づいて、原画像を段階的に異なる解像度すなわち異なる空間周波数帯域に分解した画像を示す複数の帯域制限画像データを作成する帯域制限画像データ作成部1と、原画像が媒体に記録された際の放射線の線量を示す指標となる読取感度(S値)を読取装置から取得して、補正を加える読取感度補正部2と、この補正された読取感度を含む線量を示す情報と各帯域制限画像データの空間周波数を示す情報とに基づいて、各帯域制限画像データの各画素ごとに、ノイズ成分を抑制する程度の大小を示すノイズ抑制度を導出するノイズ抑制度導出部3と、この得られたノイズ抑制度に基づいて、各帯域制限画像データの各画素に対して、ノイズ抑制処理を施すノイズ抑制処理部4と、ノイズ抑制処理が施された各処理済帯域制限画像データに基づいて、ノイズが抑制された原画像を示す処理済原画像データSprocを生成する処理済画像生成部5とを有する。
【0027】
なお、本実施形態のノイズ抑制処理装置100に供給される原画像データSinは、蓄積性蛍光体シートに記録された人体のX線画像を読取装置によって読み取ることにより得られたものであるとする。この読取装置は、蓄積性蛍光体シートに励起光を照射する光源、その励起光を受けて蓄積性蛍光体シートが発する輝尽発光光を光電的に検出する検出器、およびその検出器からの信号をノイズ抑制処理装置100に供給可能なデジタル形式の電気的な画像データに変換する変換部を含むものである。放射線画像の読取りは、蓄積性蛍光体シートに対して主走査方向(横方向)に光源からの励起光を走査しながらシートを副走査方向(縦方向)に移動させてシートを2次元走査することにより行なわれる。さらに、この読取装置は、各読取りごとに以下に説明する読取感度(S値)およびラチチュード(L値)を算出する手段を備えており、上記の変換部は算出されたこれらの値に基づいて検出器からの信号を画像データに変換する。
【0028】
読取感度(S値)およびラチチュード(L値)は、最適な濃度とコントラストの画像が得られるように、必要十分な範囲の信号を画像データとして画像処理装置に供給するための規格化係数である。たとえば、胸部のX線画像を蓄積性蛍光体シートに撮影して読み取ったところ、図3のような頻度分布(ヒストグラム)が得られたとする。なお、実際に読み取るのは蓄積性蛍光体シートからの輝尽発光量であるところ、図3の横軸はX線の線量となっているが、蓄積性蛍光体シートに記録されたX線の線量と輝尽発光量は比例関係にあるとみなして差支えなく、その比例係数は予め分かっているため、輝尽発光量をX線の線量に変換することができる。
【0029】
X線撮影および読取りによって得られるヒストグラムの形状は、撮影部位や撮影メニューごとに特定の分布パターンを示すことが経験的に知られている。たとえば、胸部のヒストグラムでは、図3に示すような、縦隔部、心臓部および肺野部に対応する各特徴部分を含む形状となる。すなわち、既知の分布パターンに当てはめることにより、得られたヒストグラムのどの範囲を有効な画像データとすべきかが分かる。図3の例では、XminからXmaxの間の線量に相当する部分が、有効な画像データとすべき部分である。この幅、つまりXmaxとXmin(単位はミリレントゲン)の対数値の差が、ラチチュード(L値)である。
【0030】
また、読取感度(S値)は、有効な画像データとすべき線量の範囲の中央値に対応する値である。図3に示す中央値、すなわち、有効な画像データとすべき範囲の線量を0ビットから1023ビットの画像データ値(デジタル値)に割り当てるとすれば511ビットに相当する線量をXk(単位はミリレントゲン)とすると、
【数1】
により求められる値Sが読取感度である。この読取感度Sは、線量を示す指標となる値であり、読取感度が大きいほど線量が少なく、小さいほど線量が多いことを示す。
【0031】
以下、図1および2に示されたノイズ抑制処理装置100の各構成要素が行なう処理の詳細について、順を追って説明する。
【0032】
まず、帯域制限画像データ作成部1が行なう処理について、図2および4を用いて説明する。
【0033】
帯域制限画像データ作成部1は、図2に示すように、複数段のフィルタリング処理手段10、補間処理手段11および減算器12を含む。
【0034】
図4に模式的に示すように、第1段のフィルタリング処理手段10は、入力された原画像データSinよりも1段解像度が低く、かつ縦横の画素数が各々1/2とされた画像(すなわち全体の大きさが1/4とされた画像)を示す低解像度画像データL1を導出する。補間処理手段11は、フィルタリング処理手段10から受け取った低解像度画像データL1に補間処理を施し、原画像と同じ大きさのボケ画像を示すボケ画像データSus1を導出する。減算器12は、原画像データSinからボケ画像データSus1を差し引き、帯域制限画像データB1を導出する。
【0035】
第2段においては、フィルタリング処理手段10は、第1段のフィルタリング処理手段10の出力である低解像度画像データL1を入力とし、さらに1段解像度が低く、かつ縦横の画素数が各々1/2とされた低解像度画像データL2を導出する。補間処理手段11は、フィルタリング処理手段10から受け取った低解像度画像データL2に補間処理を施し、低解像度画像データL1が示す画像と同じ大きさのボケ画像を示すボケ画像データSus2を導出する。減算器12は、低解像度画像データL1からボケ画像データSus2を差し引き、帯域制限画像データB2を導出する。以下同様にして、一連の帯域制限画像データB1、B2、...、Bnが導出される。
【0036】
上記の帯域制限画像データ作成部1における多重解像度分解処理は、公知のいかなる手法によるものであってもよいが、本実施形態では、ラプラシアンピラミッド分解として知られている手法を使用するものとする。すなわち、フィルタリング処理手段10は、入力された画像データの各画素位置に対して5×5の大きさのガウシアンフィルターを掛けた上で、縦横共に1つおきの画素を拾うことにより低解像度画像データL1、L2、...、Lnを導出し、補間処理手段11は、ガウス分布状の重みづけによる補間処理によってボケ画像データSus1、Sus2、...、Susnを導出する。なお、他の使用可能な多重解像度分解の手法としては、ウェーブレット変換を利用した手法等が挙げられる。
【0037】
次に、読取感度補正部2が行なう処理について説明する。
【0038】
読取感度補正部2には、読取装置の種別ごとに読取感度Sの補正係数αを規定した以下のような参照表が記憶されている。
【0039】
【表1】
また、読取感度補正部2は、上述した読取装置内の読取感度(S値)およびラチチュード(L値)を算出する手段に接続されており、算出された読取感度Sを入力として受け付けるように構成されている。さらに、読取装置から、または手動入力により、読取装置の種別を示す情報の入力を受け付けるように構成されている。読取感度補正部2は、入力された読取装置の種別を示す情報をもとに上記の参照表を参照し、対応する補正係数αを入力された読取感度Sに掛けることによって、補正された読取感度S’を算出する。すなわち、
【数2】
である。
【0040】
ここで、補正係数αが大きいほど、読取感度が大きくなる方向、すなわち少ない線量を示す方向に補正がなされる。これにより、以降のノイズ抑制処理では、ノイズ抑制処理装置100は、あたかもその放射線画像を記録した際の線量が実際より少ないような、すなわち相対的なノイズがより大きい放射線画像であるかのような扱いをするため、ノイズを抑制する程度が大きくされ、読取装置によって加わるノイズ成分がより大きく吸収されるようになる。したがって、上記の参照表は、全体的なノイズが大きい読取装置ほど補正係数αが大きくなり、ノイズが小さい読取装置ほど補正係数αが小さくなるように規定しておくことが必要である。
【0041】
次に、ノイズ抑制度導出部3が行なう処理について、図2および図5から9を用いて説明する。
【0042】
本実施形態のノイズ抑制度導出部3は、各帯域制限画像データB1、B2、...、Bnの各画素ごとに、それぞれ(1)画素エネルギーVeの算出、(2)ノイズ判定基準である閾値Thの算出、および(3)ノイズ抑制度Eの算出からなる処理を行なうことにより、その画素に対するノイズ抑制度Eを導出する。したがって、構成としては、ノイズ抑制度導出部3は、図2に示すように、複数段の画素エネルギー算出手段31、閾値算出手段32およびノイズ抑制度算出手段33を含む。
【0043】
画素エネルギー算出手段31が算出する画素エネルギーVeは、その画素位置における局所コントラストの強さを示す指標の一例である。ここで局所コントラストの強さを示す指標を算出する理由は、各帯域制限画像内において、局所コントラストの強い部分の信号は実際の像の特徴を示す可能性が高く、逆に局所コントラストの低い部分の信号はノイズを示す可能性が高いことに鑑み、各画素位置における局所コントラストを示す情報を、その画素に対するノイズ抑制度の導出に反映させるためである。
【0044】
具体的には、各画素エネルギー算出手段31は、まず、図5に示すような角度が45度ずつ異なる4方向のエッジ成分を検出するエッジ検出フィルターを、入力された帯域制限画像データBkの各画素位置に適用する。図6は、各エッジ検出フィルターを概念的に示した図である。具体的なフィルターの加重マトリクス表現は、たとえば図6のq0用フィルターについて示すと、
【表2】
のようになる。次に、そうして得られた各画素の4方向のエッジ成分の絶対値すなわちエッジ強度をそれぞれq0、q1、q2およびq3とし、それらの平均値
【数3】
をその画素の画素エネルギーVeとする。この画素エネルギーVeの値が大きいほど、その帯域制限画像のその画素位置における局所コントラストが大きいことを示す。なお、局所コントラストを適当に表す情報であれば、画素エネルギーVeに代えていかなるものを用いてもよく、たとえば、各画素位置を中心とする局所領域における分散値等を用いてもよい。
【0045】
閾値算出手段32は、その段の帯域制限画像データBkの各画素ごとに、その画素の信号がノイズであるか否かを判定する基準となる閾値Thを算出する。前述のように、一般的に放射線画像では、線量が少ない部分ほどノイズが相対的に大きくなり、逆に線量が多い部分ほどノイズが相対的に小さくなる。また、ノイズの大小は空間周波数にも依存し、一般的に空間周波数の高い画像ほどノイズが大きく、空間周波数の低い画像ほどノイズが小さい。そこで、本実施形態の閾値算出手段32は、線量に依存する指標xと空間周波数に依存する指標rに基づいて閾値Thを算出するものとする。
【0046】
本実施形態では、線量に依存する指標xは、線量を示す情報としての読取感度(S値)とラチチュード(L値)およびその帯域制限画像データBkの各画素値QLを使用して求めるが、読取感度は、上記の読取感度補正部2により補正された値S’を用いる。具体的には、以下の式により求める。
【0047】
【数4】
この指標xは、その画素の相対X線量を表すものであり、xの値が大きいほどその画素の線量が多いことを示す。ここで、読取装置のノイズが少なく、読取感度S’が小さくなる方向(すなわち、より多い線量を示す方向)に補正された値であるときは、上記の指標xは実際に媒体に記録された相対X線量よりも高い相対X線量を示す値となり、後述する閾値Thは低くなる。逆に、読取装置のノイズが大きく、読取感度S’が大きくなる方向(すなわち、より少ない線量を示す方向)に補正された値であるときは、上記の指標xは実際よりも低い相対X線量を示す値となり、閾値Thは高くなる。これにより、読取装置のノイズ特性を吸収するようなノイズ抑制処理が可能となる。
【0048】
空間周波数に依存する指標rとしては、たとえば帯域制限画像データBkの番号kをそのまま用いることができる。これは、本実施形態のように、原画像データSinをラプラシアンピラミッド分解によって複数の帯域制限画像データB1、B2、...、Bnに分解する場合、各帯域制限画像データBkがそれぞれ異なる空間周波数の画像に対応していると考えることができるためである。したがって、この場合は指標rの値が小さいほど空間周波数が高いことを示す。
【0049】
上述のように、ノイズは、線量が少なく空間周波数が高いほど大きくなるので、閾値Thも、線量が少なく空間周波数が高いほど大きくなるように、図7に示すような曲線を予め規定しておく。閾値算出手段32は、この曲線を用いて、算出された指標xと指標rに対する閾値Thを特定する。なお、閾値Thは、指標xと指標rを変数とした数式で表現するようにしてもよいが、数式では理想どおりの曲線が得難いこともある。そこで、たとえば図8に示すように、基準曲線ThBase(x)を(x,ThBase(x))の幾つかの組で構成される折れ点データとして与え、さらに、各指標rごとに係数ThCo(r)を与え、閾値Thを、以下の式(4)に示すように、基準曲線にその係数を掛けたものとして求めるようにしてもよい。
【0050】
【数5】
続いて、ノイズ抑制度算出手段33が、画素エネルギー算出手段31が算出した画素エネルギーVeと、閾値算出手段32が算出した閾値Thに基づいて、その段の帯域制限画像データBkの各画素ごとにノイズ抑制度Eを算出する。本実施形態のノイズ抑制処理は、「ノイズらしさ」に応じてノイズ成分を抑制する程度を変え、ノイズらしい信号ほど抑制するという処理である。そこで、ノイズ抑制度算出手段33は、この「ノイズらしさ」を表す指標として、各画素において、閾値Thに対する画素エネルギーVeの比、すなわちVe/Thを用い、この比が小さいほど0に近づき、大きいほど1に近づく関数
【数6】
を使用して、ノイズ抑制度Eを算出するものとする。なお、図9は、この式(6)をグラフで表したものである。
【0051】
以上のようにして導出されたそれぞれのノイズ抑制度Eは、続いて、図2に示すように複数段の抑制処理手段41を有するノイズ抑制処理部4に送られる。各抑制処理手段41は、その段の帯域制限画像データBkの各画素ごとに、以下の式(7)に示す処理を行ない、ノイズが抑制された処理済帯域制限画像データfBkを導出する。
【0052】
【数7】
この式(7)からも明らかなように、ノイズ抑制度Eの値が1に近いほどノイズ成分の抑制の程度が小さく、0に近いほど抑制の程度が大きくなる。
【0053】
次に、処理済画像生成部5において行なわれる処理、すなわちノイズが抑制された原画像を示す処理済原画像データSprocを生成する処理について、図2および10を用いて説明する。
【0054】
本実施形態の処理済画像生成部5は、図2に示すように、複数段の第1減算器51、補間処理手段52および加算器53と、1つの第2減算器54とを含む。図10は、この処理済画像生成部5における処理を模式的に示した図である。
【0055】
まず、各段の第1減算器51が、ノイズ抑制処理を施す前の帯域制限画像データBk からノイズ成分の抑制された処理済帯域制限画像データfBk を差し引いて、その帯域におけるノイズ成分のみが抽出された帯域制限ノイズ画像データNBk を算出する。
【0056】
続いて、図2における最下段の補間処理手段52が、入力された帯域制限ノイズ画像データNBnに補間処理を施して、縦横の画素数がそれぞれ2倍とされた拡大ノイズ画像データNSn’を導出する。この補間処理は、公知のいかなる手法によるものであってもよい。
【0057】
この拡大ノイズ画像データNSn’は一段上の加算器53に送られ、一段上の帯域制限ノイズ画像データNBn−1と足し合わされて、加算ノイズ画像データNSn−1とされる。この加算ノイズ画像データNSn−1は、一連の帯域制限画像に含まれるノイズ成分すなわちノイズ全体の各空間周波数成分のうち、最も低い空間周波数成分と次に低い空間周波数成分を足し合わせたものを示すデータに相当する。
【0058】
加算ノイズ画像データNSn−1は、その段の補間処理手段52で補間処理を施されて拡大ノイズ画像データNSn−1’とされ、さらに一段上の加算器53に送られる。以降、同様にして補間処理手段52による補間処理と加算器53による加算処理が繰り返されることにより、最終的には、ノイズの全ての空間周波数成分が足し合わされた、原画像と同じ大きさの加算ノイズ画像を示す加算ノイズ画像データNS1が導出される。
【0059】
最後に、第2減算器54において、原画像データSinから加算ノイズ画像データNS1が差し引かれ、処理済原画像データSprocが得られる。
【0060】
なお、加算器53により、帯域制限ノイズ画像データNBk−1 と拡大ノイズ画像データNSn′ とが繰返し加算される過程においては、空間周波数に依存した係数を拡大ノイズ画像データNSn′ に掛け合わせて加算することにより、これらの加算比率を制御するようにしてもよい。また、第2減算器54により、原画像データSinから加算ノイズ画像データNS1を差し引く過程においては、原画像データSinの各画素値(濃度値)に依存した係数を加算ノイズ画像データNS1に掛け合わせて減算することにより、ノイズ抑制のレベルをさらに制御するようにしてもよい。なお、このような濃度依存の抑制レベル調整が有用な場合としては、例えば、胸部X線画像において、比較的濃度の高い肺野はそれほどノイズを含まずそれほどノイズ抑制を行う必要がないことが経験的に知られているので、濃度の高い部分は、ノイズ画像上でのノイズ成分を表すデータ値を低くする補正を行う場合などが考えられる。
【0061】
上述のようにして得られた処理済原画像データSprocが示す画像では、ノイズの大小を左右する線量および空間周波数に関する情報に基づいて適当なノイズ抑制処理がなされており、しかも線量を示す情報の一部は、読取装置のノイズ特性がノイズ抑制処理に反映されるように補正されている。したがって、線量や空間周波数の違いのみならず、読取装置の違いにもよらずに、ほぼ一定の高い水準の処理済原画像が得られる。
【0062】
以上、本発明に係る画像処理装置の一実施形態であるノイズ抑制処理装置100について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0063】
たとえば、上記の実施形態では、線量に依存する指標xと空間周波数に依存する指標rを使用してノイズ抑制度Eを求めたが、空間周波数の情報をノイズ抑制度に反映させることは必ずしも必要ではなく、少なくとも、補正された線量を示す情報が反映されていればよい。また、ノイズ抑制度の導出に用いる関数(曲線)や計算式も、上記の実施形態のものに限られない。
【0064】
また、上記の実施形態では線量を示す情報のうち読取感度(S値)のみを入力装置に応じて補正したが、これに代えてまたはこれに加えて、ラチチュード(L値)や各画素ごとのデータ値(濃度値)等、他の線量を示す指標を補正してもよい。さらに、上記の実施形態では、放射線画像データ取得装置として媒体と読取装置の組合せを用い、表1に示すように、読取装置のみに応じて線量を示す情報を補正したが、これに代えて媒体に応じて補正してもよいし、各媒体と読取装置の組合わせ全体に応じて補正してもよい。また、放射線画像データ取得装置として、媒体を介さずに放射線を直接検出し画像データに変換する装置を用い、その装置の種類に応じて線量を示す情報を補正してもよい。
【0065】
また、上記の実施形態では、表1に示すように各読取装置ごとに定数である補正係数αを規定しておき、その補正係数αを読取感度に掛けることにより読取感度を補正したが、変更例として、図11に示すように、補正係数αを、放射線画像データ取得装置のノイズ特性を反映した読取感度の関数として規定してもよい。たとえば、媒体が蓄積性蛍光体シートであるときに、検出器としてCCDを用いた場合と光電子増倍管を用いた場合とでは、電気的な画像データに現れるノイズはCCDを用いた場合の方が大きくなる傾向があり、特に線量が低い部分ではその傾向が強くなる。したがって、光電子増倍管についての補正係数αを求める関数を図11のBのように規定したとすると、CCDについての関数は図11のAのようになる。この変更例を使えば、上記のような放射線画像データ取得装置のノイズ特性の線量依存要素をも、ノイズ抑制処理に反映させることができる。なお、この場合も、読取感度に代えてまたは加えて、線量を示す他の指標を補正してもよい。
【0066】
さらに別の変更例として、たとえば以下の式(8)のような多項式により読取感度を補正することとし、各係数a、bおよびcを放射線画像データ取得装置に応じて定めておいてもよい。
【0067】
【数8】
なお、この場合も、読取感度に代えてまたは加えて、線量を示す他の指標を補正してもよい。
【0068】
また、上記の実施形態は、原画像データを一連の帯域制限画像データに分解し、各帯域制限画像データの各画素ごとにノイズ抑制処理を施した上で、ノイズが抑制された処理済原画像データを再合成するものであったが、これに限らず、たとえば原画像データに直接ノイズ抑制処理を施すような形態も、本発明の範囲に含まれるものである。
【0069】
さらには、上記の実施形態および変更例はいずれもノイズ抑制処理に関するものであったが、本発明は、ノイズ抑制処理に限られず、線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なるあらゆる画像処理に適用可能なものである。たとえば、乳房部を撮影した放射線画像中の、濃度勾配ベクトルの集中度がある閾値よりも大きい個所を腫瘤陰影の候補個所として抽出する画像処理装置であって、線量を示す情報を指標としてノイズが大きいと判断される場合にはその閾値を大きくし、ノイズが小さいと判断される場合には閾値を小さくする装置において、放射線画像データ取得装置に応じて、上記の実施形態および変更例と同様の手法で線量を示す情報を補正する形態等も、本発明の範囲に含まれるものである。
【0070】
また、上記の説明は、説明の便宜上、装置に関して行ったが、上記の装置を用いて画像処理を行なう方法が本発明の画像処理方法であり、コンピュータにそのような方法を実現させるのが本発明のプログラムである。その他、本発明の技術的範囲は、上記に説明した実施形態および変更例に限られるものでなく、本明細書中の特許請求の範囲のみによって定められるべきものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像処理装置の一実施形態であるノイズ抑制処理装置の概略ブロック図
【図2】図1のノイズ抑制処理装置のより詳細な構成を示すブロック図
【図3】読取感度(S値)およびラチチュード(L値)の概念を示した図
【図4】帯域制限画像データ作成部において行なわれる処理を模式的に示した図
【図5】画素エネルギー算出のための4つのエッジ検出フィルターに対応するエッジ方向を示した図
【図6】図5に方向を示した4つのエッジ検出フィルターの概念図
【図7】ノイズか否かの判定基準となる閾値の曲線の1つの例を示したグラフ
【図8】ノイズか否かの判定基準となる閾値の曲線の別の例を示したグラフ
【図9】ノイズ抑制度の曲線の例を示したグラフ
【図10】処理済画像生成部において行なわれる処理を模式的に示した図
【図11】読取感度の補正係数を規定する関数の例を示したグラフ
【符号の説明】
1 帯域制限画像データ作成部
2 読取感度補正部
3 ノイズ抑制度導出部
4 ノイズ抑制処理部
5 処理済画像生成部
10 フィルタリング処理手段
11 補間処理手段
12 減算器
31 画素エネルギー算出手段
32 閾値算出手段
33 ノイズ抑制度算出手段
41 抑制処理手段
51 第1減算器
52 補間処理手段
53 加算器
54 第2減算器
100 ノイズ抑制処理装置
Claims (9)
- 放射線画像データ取得装置によって取得した放射線画像の画像データに対し、該放射線画像の線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理を施す画像処理装置であって、
前記画像処理に先立って、前記放射線画像データ取得装置に応じて前記線量を示す情報を補正する手段を備えていることを特徴とする画像処理装置。 - 前記画像処理が、前記画像データが表す画像に含まれるノイズ成分を抑制するノイズ抑制処理であって、
前記補正する手段によって補正された前記線量を示す情報に基づいて、前記ノイズ成分を抑制する程度の大小を示すノイズ抑制度を導出する手段と、
該ノイズ抑制度に基づいて、前記ノイズ抑制処理を行なう手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。 - 前記ノイズ抑制度を導出する手段が、前記画像データが表す画像を構成する各画素ごとに前記ノイズ抑制度を導出するものであり、
前記ノイズ抑制処理を行なう手段が、各画素ごとの前記ノイズ抑制度に基づいて、各画素ごとに前記ノイズ抑制処理を行なうものであることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。 - 前記ノイズ抑制度を導出する手段が、前記補正する手段によって補正された前記線量を示す情報に加えて、各画素の位置における前記画像データが表す画像の局所コントラストを示す情報に基づいて、各画素ごとの前記ノイズ抑制度を導出するものであることを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
- 前記線量を示す情報の前記補正する手段によって補正される部分が、前記線量のレベルによって大小が決まる数値であって、
前記補正する手段が、前記数値に定数である補正係数を掛けることによって該数値を補正するものであり、該補正係数が前記放射線画像データ取得装置に応じて選択されるものであることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の画像処理装置。 - 前記線量を示す情報の前記補正する手段によって補正される部分が、前記線量のレベルによって大小が決まる数値であって、
前記補正する手段が、前記数値に補正係数を掛けることによって該数値を補正するものであり、該補正係数が、前記放射線画像データ取得装置に応じて選択される前記数値の関数により求められるものであることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の画像処理装置。 - 前記線量を示す情報の前記補正する手段によって補正される部分が、前記線量のレベルによって大小が決まる数値であって、
前記補正する手段が、前記数値に関する多項式によって該数値を補正するものであり、該多項式の各係数が、前記放射線画像データ取得装置に応じて選択されるものであることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の画像処理装置。 - 放射線画像データ取得装置によって取得した放射線画像の画像データに対し、該放射線画像の線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理を施す画像処理方法であって、
前記画像処理に先立って、前記放射線画像データ取得装置に応じて前記線量を示す情報を補正する工程を含んでいることを特徴とする画像処理方法。 - コンピュータに、
放射線画像データ取得装置によって取得した放射線画像の画像データに対し、該放射線画像の線量を示す情報によって処理内容および/または処理程度が異なる画像処理を施す機能と、
前記画像処理に先立って、前記放射線画像データ取得装置に応じて前記線量を示す情報を補正する機能を実現させるためのプログラム。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060905 |