JP2005021453A - 治療線照射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、治療線照射装置において、病変部に対する治療線の照射精度を向上することにある。
【解決手段】患者の病変部を治療するための治療線を発生する治療線発生器3と治療線発生器を角度可変に支持する支持機構とを有する治療線照射部2と、患者に投与された病変部に対する特異的集積性を有する光感受性物質の蛍光画像を撮影するカメラ7と、蛍光画像から蛍光領域を抽出する画像処理装置17と、抽出された蛍光領域の位置に基づいて治療線発生器の角度を決定する角度決定部35と、決定された角度に従って支持機構を制御する制御部27とを具備する。
【選択図】 図1
【解決手段】患者の病変部を治療するための治療線を発生する治療線発生器3と治療線発生器を角度可変に支持する支持機構とを有する治療線照射部2と、患者に投与された病変部に対する特異的集積性を有する光感受性物質の蛍光画像を撮影するカメラ7と、蛍光画像から蛍光領域を抽出する画像処理装置17と、抽出された蛍光領域の位置に基づいて治療線発生器の角度を決定する角度決定部35と、決定された角度に従って支持機構を制御する制御部27とを具備する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー等の治療線により病変部を壊死させる治療線照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、下記の文献に記載されているように、病変部の照射治療には、レーザ、エックス線、ガンマ線、電子線、荷電粒子線等の様々な治療線が用いられている。特許文献1、2には、レーザを使った治療装置が記載されている。治療線照射治療には、事前にCTやMRIなど画像診断装置により撮影した診断画像を用いて、照射範囲および照射時間を決定する治療計画システムや、治療中に直接病変部を観察するために、手術顕微鏡が用いられている。さらに、病変部に特異的に集積する性質を有する光感受性物質を患者に治療直前に投与し、特定波長の励起光の照射により発生する蛍光画像から病変部を最終確認することも行われている。特に、特許文献1には、蛍光画像から病変部を特定して、その病変部を含むように長方形の走査領域を設定し、その走査領域内でレーザ光を移動させながら、病変部上を通過するときに限定してレーザ光強度を増強するという技術が記載されている。
【0003】
しかし、診断画像と蛍光画像との間には撮影時期の相違に起因する位置誤差が生じる可能性があり、そのため治療線の照射位置が病変部から外れ、正常組織に影響を与えてしまう事態が危惧される。
【0004】
また、病変部が広範囲である場合、照射装置の位置や角度を移動させながら断続的又は連続的に治療線を照射することが必要とされる。照射装置の移動に際しては照射装置が振動することがあるが、この振動のなかでの治療線の照射は上記事態が発生する可能性がある。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−60893号広報
【0006】
【特許文献2】
特開平10−135149号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、治療線照射装置において、病変部に対する治療線の照射精度を向上することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る治療線照射装置は、患者の病変部を治療するための治療線を発生する治療線発生器と前記治療線発生器を角度可変に支持する支持機構とを有する治療線照射部と、前記患者に投与された前記病変部に対する特異的集積性を有する光感受性物質の蛍光画像を撮影するカメラと、前記蛍光画像から蛍光領域を抽出する画像処理装置と、前記抽出された蛍光領域の位置に基づいて前記治療線発生器の角度を決定する角度決定部と、前記決定された角度に従って前記支持機構を制御する制御部とを具備する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明による治療線照射装置を好ましい実施形態により説明する。なお、照射治療には、レーザ、エックス線、ガンマ線、電子線、荷電粒子線等様々な治療線が用いられている。ここでは、治療線としてレーザを例に説明し、治療線照射装置をレーザ治療装置として説明するが、他の治療線治療への本発明の適用を制限するものではない。
【0010】
図1は本実施形態に係るレーザ治療装置の構成を示す図である。レーザ治療装置は、図示しないが、フレームと、フレームをパワーアシストのもと角度可変及び移動可変に支持する支持台とを有する。フレームには、可視光像を撮影するために必要な構成要素を備えている双眼立体顕微鏡1と、レーザ照射装置2と、蛍光画像を撮影するために必要な構成要素を備えている超高感度カメラ7とが搭載される。双眼立体顕微鏡1はフレームに固定される。同様に、レーザ照射装置2と超高感度カメラ7もフレームのそれぞれの位置に固定される。双眼立体顕微鏡1に対するレーザ照射装置2と超高感度カメラ7の相対的な位置は不変である。
【0011】
蛍光画像の撮影に際しては、事前に患者に特定病変部に対する特異的集積性を有する光感受性物質、例えば5−ALAが投与される。5−ALAは細胞内に取り込まれてポルフィリンに変化する。ポルフィリンは、特定の腫瘍細胞に特異的に蓄積する性質と、励起光、この例では紫外線を受けて蛍光を発する性質とを有する。5−ALAの投与後に紫外線照射装置21から紫外線を照射する。その照射に伴って病変部に集積したポルフィリンから発した蛍光が超高感度カメラ7で撮影される。
【0012】
超高感度カメラ7は、その光軸が双眼立体顕微鏡1の光軸と部分的に一致するように配置される。双眼立体顕微鏡1の光軸に近接して、可視光像/蛍光画像切り替え機構9が配置される。可視光像/蛍光画像切り替え機構9は、全反射の可動鏡10と、可動鏡10を移動可能に支持する機構とからなる。可視光像撮影モードでは、切り替え機構制御部21の制御のもとで、全反射の可動鏡10は双眼立体顕微鏡1の光路から退避される。蛍光画像撮影モードでは、切り替え機構制御部21の制御のもとで、可動鏡10は、双眼立体顕微鏡1の光軸に対して所定角度で傾斜する角度で双眼立体顕微鏡1の光路内に挿入される。このような構成により、超高感度カメラ7で撮影された蛍光画像の中心は、双眼立体顕微鏡1で撮影された可視光像の中心に一致する。なお、以下では説明の便宜上、双眼立体顕微鏡1の焦点を原点として光軸をZ軸としたXYZ直交3軸の座標系を既定するものとする。
【0013】
レーザ照射装置2は、レーザ発生器3と、レーザ発生器3から発生されたレーザ光を任意の深度で集束させるフォーカス装置5と、レーザ発生器3を支持する図示しない支持機構とから構成される。支持機構は典型的には双眼立体顕微鏡1の筐体に搭載される。双眼立体顕微鏡1に対するレーザ照射装置2の相対的な位置は固定される。支持機構は、図2(a),図2(b)に示すように、レーザ発生器3を左右上下に角度可変に支持する。それによりレーザ発生器3は、双眼立体顕微鏡1とは独立して任意の方向にレーザを照射可能である。フォーカス装置5はレーザ制御部27の制御のもとにある。レーザ制御部27は、顕微鏡1に装備された顕微鏡1の焦点距離を計測するための焦点距離計測器25で計測された焦点距離に従ってフォーカス装置5を制御する。それによりレーザ発生器3から発生されたレーザは、顕微鏡1の焦点を含むXY面上で集束する。
【0014】
双眼立体顕微鏡1で撮影された可視光像のデータは、メモリ13を介して画像合成装置19に供給される。超高感度カメラ7で撮影された蛍光画像のデータは、メモリ15及び画像処理装置17を介して画像合成装置19に供給される。画像処理装置17は、蛍光画像から蛍光領域(病変部)を例えばしきい値処理により抽出するとともに、蛍光領域の輪郭線を作成する。輪郭線のデータは蛍光画像のデータと共に画像合成装置19に供給される。蛍光領域の抽出処理は、蛍光物質が特異的に蓄積するなどした病変領域の輝度値が、健常な組織と異なることなどを利用して実現できる。例えば、適切なしきい値を設け、輝度値がしきい値以上の画素のみを最高輝度値とし、それ以外の画素は最低輝度値とすることで、蛍光画像上の病変部を抽出することができる。
【0015】
画像合成装置19は、双眼立体顕微鏡1で撮影された可視光像に、超高感度カメラ7で撮影された蛍光画像と、画像処理装置17で作成された蛍光領域の輪郭線とを位置整合して合成することにより、合成画像を生成する。合成画像はディスプレイ31に表示される。上述のように、超高感度カメラ7の光軸は双眼立体顕微鏡1の光軸と部分的に一致するので、可視光像の画像中心に蛍光画像の画像中心が一致するように、蛍光画像が可視光像に合成することにより、可視光像に対して蛍光画像及び輪郭線の位置は整合され得る。なお、可視光像の解像度に対して蛍光画像の解像度が一致しない場合には、可視光像の解像度に合わせて蛍光画像の解像度が変更される
入力デバイス29は、マウス等のポインティングデバイス及びキーボードを有し、主に操作者が、表示された蛍光領域の輪郭線を拡大縮小、変形等の修正をするために設けられている。画像合成装置19は、最終的に確定した輪郭線内の複数の位置(画素)のデータを角度決定部35に供給する。角度決定部35は、顕微鏡1の焦点距離と、輪郭線内の複数の位置とに基づいて、複数の位置にそれぞれ対応するレーザ発生器3の角度を決定する。決定された角度にレーザ発生器3の角度が調整されることにより、レーザは輪郭線内の位置に対応する病変部上に照射される。
【0016】
画像合成装置19から、ゆれ検出部33には合成画像データが供給される。ゆれ検出部33は、撮影時間の相違する合成画像、例えばレーザ照射領域、つまり輪郭線確定時の合成画像と、レーザ照射期間中に発生する合成画像との間、あるいは最新の合成画像とその直前の合成画像との間で、対応する画素どうしを差分し、それらの差分から“ゆれ指標”として例えば差分の2乗和を計算する。ゆれは、レーザ発生器3の振動や患者の体動等に起因して生じる。ゆれが大きいとき、レーザの照射位置は患者病変部上の予定位置から大きく外れる。ゆれ検出部33は、ゆれ指標の値を所定のしきい値と比較する。ゆれ指標の値がしきい値以下のとき、ゆれ検出部33は、レーザ制御部21に対して治療許可信号を発生する。レーザ制御部21は、治療許可信号を受信しているとき、レーザ発生器3を制御してレーザを発生させる。ゆれ指標の値がしきい値を超えているとき、ゆれ検出部33は、レーザ制御部21に対して治療許可信号の供給を停止すると共に、治療停止信号を発生する。レーザ制御部21は、治療許可信号が停止したとき、又は治療停止信号を受信したとき、治療許可信号の供給が再開されるまで、又は治療停止信号の供給が停止するまで、レーザ発生器3を制御してレーザを停止させる。
【0017】
図3には本実施形態の動作手順を示している。まず、患者に5−ALAが投与される。可視光像撮影モードのもとで、術者は顕微鏡1の可視光像を視認して、その視野内に病変部が適当に収まるように治療装置フレームを手動又は電動で移動し、また角度を調整する。また、病変部に焦点が合うように焦点距離を調整する。適当な時点で顕微鏡1で撮影された可視光像のデータはメモリ13を経由して画像合成装置19に供給される(S1)。焦点距離計測部25により撮影時点の焦点距離が計測され、レーザ制御部27に供給される(S2)。
【0018】
次に、入力デバイス29の操作に伴って可視光像撮影モードから蛍光画像撮影モードに切り替えられる(S3)。この切り替え操作により、鏡10は双眼立体顕微鏡1の光路に移動し、双眼立体顕微鏡1の光軸に対して所定角度で傾斜する角度に停止される。蛍光画像撮影モードへの切り替えが完了後、紫外線照射装置11から紫外線が病変部及びその周囲に照射され、蛍光画像が超高感度カメラ7により撮影される(S4)。蛍光画像のデータはメモリ15を経由して画像処理装置17に供給される。画像処理装置17では、蛍光画像から蛍光領域をしきい値処理により抽出する(S5)。上述したように、5−ALAから変化したポルフィリンは、病変部に蓄積する。従って蛍光領域は病変部にほぼ一致する。抽出された蛍光領域の輪郭線が画像処理装置17で生成され、蛍光画像のデータと共に画像合成装置19に供給される。画像合成装置19では、可視光像に蛍光画像と輪郭線とを合成して、合成画像が生成される(S6)。合成画像は、図4に例示するように、ディスプレイ31に表示される(S7)。術者により輪郭線の修正操作が行われたとき、画像合成装置19により輪郭線が補正される(S8)。術者による輪郭線の最終的な確定操作により、画像合成装置19から角度決定部35に輪郭線内の複数の位置(画素)の座標データが供給される。角度決定部35では、可視光像の焦点距離と輪郭線内の複数の位置座標とに基づいて、輪郭線内の複数の位置に対応する病変部上の複数の位置それぞれ対応する複数の角度を計算する。例えば、焦点距離がF、病変領域情報のうち、位置座標を(Xn,Yn)とすると、図5(a)、図5(b)に示すように、レーザ発生器3のX軸方向(横方向)の首振り角αは、α=tan(lxn/F)、Y軸方向(縦方向)の首振り角βは、β=tan(lyn/F)に決定される。ここで、lxn、lnyはそれぞれ、原点から(Xn,0)、(0,Yn)までの距離である。原点は、どこにとっても良いが、この例では画像中心としている。
【0019】
以上の準備が完了した後、術者による治療トリガ操作に伴って治療が開始される(S10)。なお、レーザ発生器3が治療用レーザと選択的に非侵襲性ビーム、例えば赤外線ビームを発生するための構成を有しているのであれば、レーザ制御部27は、治療用レーザを照射して実際に治療を開始する前に、赤外線ビームによるプリスキャンを実行することができる。プリスキャンでは、赤外線ビームが実際の治療時と同じ経路でスキャンされる。術者は、ビームの照射位置及び照射範囲を目視確認することができる。
【0020】
治療においては、レーザ制御部27は、決定された複数の角度に順番に従ってレーザ発生器3を支持する支持機構を制御する。それによりレーザ発生器3の向きが連続的又は断続的に変化する。その期間中、レーザ発生器3からレーザが連続的又は断続的に発生される。レーザの照射位置は、図6(a)、図6(b)に示すように、決定された複数の角度に応じて決まる照射軌道に沿って移動する。それにより病変部は隈なくレーザ照射を受ける。なお、レーザー発生器3は、固定のままであっても、鏡あるいはレンズを、レーザー照射口から病変部までの間の適切な位置に配置し、かつ、治療レーザー制御装置により制御することにより、目的の座標に照射することも可能である。
【0021】
このレーザ照射期間中、鏡10の周期的な移動とともに可視光像と蛍光画像とが交互に撮影される(S11)。撮影された可視光像は蛍光画像と合成され、ディスプレイに表示される。術者はレーザ照射期間中、刻々と変化する治療効果を視覚的に確認することができる。
【0022】
次々と生成される合成画像のデータは、画像合成装置19からゆれ出部33に次々と供給される。ゆれ検出部33により、例えば輪郭線確定時の合成画像とレーザ照射期間中に発生する合成画像、あるいは最新の合成画像とその直前の合成画像とが差分され、それらの差分から“ゆれ指標”として例えば差分の2乗和が計算される(S12)。ゆれ指標の値が所定のしきい値と比較され(S13)、ゆれ指標の値がしきい値以下のとき、ゆれ検出部33からレーザ制御部21に対して治療許可信号を発生する。治療許可信号を受信しているとき、レーザの発生が継続され、治療が継続する(S15)。ゆれ指標の値がしきい値を超えているとき、ゆれ検出部33からレーザ制御部21に対して治療許可信号の供給が停止され、それと共に、治療停止信号が供給される。レーザ制御部21は、治療許可信号が停止し、治療停止信号を受信したとき、レーザ発生器3の支持機構を制御してレーザ発生器3の移動を停止させると共に、レーザ発生器3を制御してレーザを停止させる(S14)。それにより治療が中断される。治療中断は、S13で、ゆれ指標の値がしきい値以下になるまで継続される。
【0023】
S16において照射位置が軌道の終点に達した時点で、治療が終了する(S17)。
【0024】
このように可視光像と蛍光画像とを同時期に取得して、蛍光画像から病変部を認識し、その位置に従って照射を制御することで、病変部に対してレーザ照射位置を正確に合わせることができる。また、顕微鏡1の焦点距離に従ってレーザの集束位置を調整することで、効果的な治療を施すことができる。また、顕微鏡による可視光像に蛍光画像を合成表示することにより、病変部に相当する蛍光領域をその表面組織を参照して術者が確認することができるので、照射範囲をより高精度に設定することができる。また、治療中に可視光像とともに蛍光画像を確認できるので、治療S際の病変部の状態をみて、適切な照射に変更することができる。
【0025】
なお、上述の説明では、病変部をレーザの1回の走査で治療する例を説明した。しかし、レーザ照射による病変部の変性程度は病変部内で均一ではない。例えばポルフィリンが多く集積する部分では他の部分よりもレーザの照射時間又は照射強度を増加させる必要がある。そのため、図7(a)に示すように、画像処理装置17では、蛍光画像から第1のしきい値により第1輪郭線を生成するとともに、第1のしきい値により高輝度に対応する第2のしきい値により第2輪郭線を同じ蛍光画像から生成する。通常は、第2輪郭線は第1輪郭線の内部に形成される。図7(b)(c)に示すように、第1輪郭線に対応する病変部の全体範囲が1回目のレーザ照射により変性され、第2輪郭線に対応する病変部の一部分範囲が2回目のレーザ照射によりさらに変性される。
【0026】
上述の説明では、フレームに顕微鏡1と超高感度カメラ7を固定するとともに、光軸を部分的に一致させることで、可視光像と蛍光画像と位置整合処理を簡素化している。しかし、フレームに超高感度カメラ7を固定し、顕微鏡1の向きや位置の操作性向上の為に、顕微鏡1はフレームに対して角度可変かつ移動可能に設けるようにしても良い。この場合、図8に示すように両者の光軸は一致しない。従って、画像合成装置19において可視光像に対して蛍光画像の位置を整合させる必要がある。そのためには顕微鏡1に対する超高感度カメラ7の相対的な位置と、顕微鏡1に対する超高感度カメラ7の相対的な角度の情報が必要とされる。位置計測部24で、例えばフレーム上の基準位置に対する顕微鏡1の変位方向とその距離が計測され、角度計測部26でフレームに対する基準角度からの顕微鏡1の2方向の角度差が計測される。それら計測された変位方向、距離及び角度差から顕微鏡1に対する超高感度カメラ7の相対的な位置が画像合成装置19において計算され、相対的な位置に従って蛍光画像及び輪郭線が可視光像に合成される。
【0027】
また、上述の説明では、顕微鏡1にレーザ発生器3が支持機構を介して取り付けられている。顕微鏡1にレーザ発生器3を取り付けることは、顕微鏡1の画像でレーザ経路上の障害物等の有無を確認することができるので、有効である。しかし、レーザ発生器3を顕微鏡1に取り付けることには限定はされない。レーザ発生器3は、顕微鏡1だけでなく、フレームからも物理的に分離した任意の位置に取り付けるようにしてもよい。ただし、患部とレーザ発生器3との間に術者やその支援者、手術用器具や機械等が介在して、レーザを遮蔽するという事態が生じる可能性の低い位置が選択されるべきである。その位置として最も好ましいのは、例えば手術室天井の無影灯の内部又はその近傍位置である。
【0028】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、病変部に対する治療線の照射精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るレーザ治療装置の構成を示す図。
【図2】図1のレーザ発生器の角度変化を示す図。
【図3】本実施形態において、治療作業手順を示す流れ図。
【図4】図3のS7において表示される合成画像例を示す図。
【図5】図3のS8においてレーザ発生器の角度計算を示す図。
【図6】本実施形態において、レーザ照射位置の移動軌道を示す図。
【図7】本実施形態において、2回照射モード時の1回目と2回目のレーザ照射位置の移動軌道を示す図。
【図8】本実施形態に係るレーザ治療装置の他の構成を示す図。
【符号の説明】
1…双眼立体顕微鏡、2…レーザ照射装置、3…レーザ発生器、5…オートフォーカス装置、7…超高感度カメラ、9…可視光像/蛍光画像切り替え機構、10…可動鏡、11…紫外線照射装置、13…可視光像メモリ、15…蛍光画像メモリ、17…画像処理装置、19…画像合成装置、21…切り替え機構制御部、23…顕微鏡角度計測部、25…焦点距離計測部、27…レーザ制御部、29…入力デバイス、31…ディスプレイ、33…ゆれ検出部、35…角度決定部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー等の治療線により病変部を壊死させる治療線照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、下記の文献に記載されているように、病変部の照射治療には、レーザ、エックス線、ガンマ線、電子線、荷電粒子線等の様々な治療線が用いられている。特許文献1、2には、レーザを使った治療装置が記載されている。治療線照射治療には、事前にCTやMRIなど画像診断装置により撮影した診断画像を用いて、照射範囲および照射時間を決定する治療計画システムや、治療中に直接病変部を観察するために、手術顕微鏡が用いられている。さらに、病変部に特異的に集積する性質を有する光感受性物質を患者に治療直前に投与し、特定波長の励起光の照射により発生する蛍光画像から病変部を最終確認することも行われている。特に、特許文献1には、蛍光画像から病変部を特定して、その病変部を含むように長方形の走査領域を設定し、その走査領域内でレーザ光を移動させながら、病変部上を通過するときに限定してレーザ光強度を増強するという技術が記載されている。
【0003】
しかし、診断画像と蛍光画像との間には撮影時期の相違に起因する位置誤差が生じる可能性があり、そのため治療線の照射位置が病変部から外れ、正常組織に影響を与えてしまう事態が危惧される。
【0004】
また、病変部が広範囲である場合、照射装置の位置や角度を移動させながら断続的又は連続的に治療線を照射することが必要とされる。照射装置の移動に際しては照射装置が振動することがあるが、この振動のなかでの治療線の照射は上記事態が発生する可能性がある。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−60893号広報
【0006】
【特許文献2】
特開平10−135149号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、治療線照射装置において、病変部に対する治療線の照射精度を向上することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る治療線照射装置は、患者の病変部を治療するための治療線を発生する治療線発生器と前記治療線発生器を角度可変に支持する支持機構とを有する治療線照射部と、前記患者に投与された前記病変部に対する特異的集積性を有する光感受性物質の蛍光画像を撮影するカメラと、前記蛍光画像から蛍光領域を抽出する画像処理装置と、前記抽出された蛍光領域の位置に基づいて前記治療線発生器の角度を決定する角度決定部と、前記決定された角度に従って前記支持機構を制御する制御部とを具備する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明による治療線照射装置を好ましい実施形態により説明する。なお、照射治療には、レーザ、エックス線、ガンマ線、電子線、荷電粒子線等様々な治療線が用いられている。ここでは、治療線としてレーザを例に説明し、治療線照射装置をレーザ治療装置として説明するが、他の治療線治療への本発明の適用を制限するものではない。
【0010】
図1は本実施形態に係るレーザ治療装置の構成を示す図である。レーザ治療装置は、図示しないが、フレームと、フレームをパワーアシストのもと角度可変及び移動可変に支持する支持台とを有する。フレームには、可視光像を撮影するために必要な構成要素を備えている双眼立体顕微鏡1と、レーザ照射装置2と、蛍光画像を撮影するために必要な構成要素を備えている超高感度カメラ7とが搭載される。双眼立体顕微鏡1はフレームに固定される。同様に、レーザ照射装置2と超高感度カメラ7もフレームのそれぞれの位置に固定される。双眼立体顕微鏡1に対するレーザ照射装置2と超高感度カメラ7の相対的な位置は不変である。
【0011】
蛍光画像の撮影に際しては、事前に患者に特定病変部に対する特異的集積性を有する光感受性物質、例えば5−ALAが投与される。5−ALAは細胞内に取り込まれてポルフィリンに変化する。ポルフィリンは、特定の腫瘍細胞に特異的に蓄積する性質と、励起光、この例では紫外線を受けて蛍光を発する性質とを有する。5−ALAの投与後に紫外線照射装置21から紫外線を照射する。その照射に伴って病変部に集積したポルフィリンから発した蛍光が超高感度カメラ7で撮影される。
【0012】
超高感度カメラ7は、その光軸が双眼立体顕微鏡1の光軸と部分的に一致するように配置される。双眼立体顕微鏡1の光軸に近接して、可視光像/蛍光画像切り替え機構9が配置される。可視光像/蛍光画像切り替え機構9は、全反射の可動鏡10と、可動鏡10を移動可能に支持する機構とからなる。可視光像撮影モードでは、切り替え機構制御部21の制御のもとで、全反射の可動鏡10は双眼立体顕微鏡1の光路から退避される。蛍光画像撮影モードでは、切り替え機構制御部21の制御のもとで、可動鏡10は、双眼立体顕微鏡1の光軸に対して所定角度で傾斜する角度で双眼立体顕微鏡1の光路内に挿入される。このような構成により、超高感度カメラ7で撮影された蛍光画像の中心は、双眼立体顕微鏡1で撮影された可視光像の中心に一致する。なお、以下では説明の便宜上、双眼立体顕微鏡1の焦点を原点として光軸をZ軸としたXYZ直交3軸の座標系を既定するものとする。
【0013】
レーザ照射装置2は、レーザ発生器3と、レーザ発生器3から発生されたレーザ光を任意の深度で集束させるフォーカス装置5と、レーザ発生器3を支持する図示しない支持機構とから構成される。支持機構は典型的には双眼立体顕微鏡1の筐体に搭載される。双眼立体顕微鏡1に対するレーザ照射装置2の相対的な位置は固定される。支持機構は、図2(a),図2(b)に示すように、レーザ発生器3を左右上下に角度可変に支持する。それによりレーザ発生器3は、双眼立体顕微鏡1とは独立して任意の方向にレーザを照射可能である。フォーカス装置5はレーザ制御部27の制御のもとにある。レーザ制御部27は、顕微鏡1に装備された顕微鏡1の焦点距離を計測するための焦点距離計測器25で計測された焦点距離に従ってフォーカス装置5を制御する。それによりレーザ発生器3から発生されたレーザは、顕微鏡1の焦点を含むXY面上で集束する。
【0014】
双眼立体顕微鏡1で撮影された可視光像のデータは、メモリ13を介して画像合成装置19に供給される。超高感度カメラ7で撮影された蛍光画像のデータは、メモリ15及び画像処理装置17を介して画像合成装置19に供給される。画像処理装置17は、蛍光画像から蛍光領域(病変部)を例えばしきい値処理により抽出するとともに、蛍光領域の輪郭線を作成する。輪郭線のデータは蛍光画像のデータと共に画像合成装置19に供給される。蛍光領域の抽出処理は、蛍光物質が特異的に蓄積するなどした病変領域の輝度値が、健常な組織と異なることなどを利用して実現できる。例えば、適切なしきい値を設け、輝度値がしきい値以上の画素のみを最高輝度値とし、それ以外の画素は最低輝度値とすることで、蛍光画像上の病変部を抽出することができる。
【0015】
画像合成装置19は、双眼立体顕微鏡1で撮影された可視光像に、超高感度カメラ7で撮影された蛍光画像と、画像処理装置17で作成された蛍光領域の輪郭線とを位置整合して合成することにより、合成画像を生成する。合成画像はディスプレイ31に表示される。上述のように、超高感度カメラ7の光軸は双眼立体顕微鏡1の光軸と部分的に一致するので、可視光像の画像中心に蛍光画像の画像中心が一致するように、蛍光画像が可視光像に合成することにより、可視光像に対して蛍光画像及び輪郭線の位置は整合され得る。なお、可視光像の解像度に対して蛍光画像の解像度が一致しない場合には、可視光像の解像度に合わせて蛍光画像の解像度が変更される
入力デバイス29は、マウス等のポインティングデバイス及びキーボードを有し、主に操作者が、表示された蛍光領域の輪郭線を拡大縮小、変形等の修正をするために設けられている。画像合成装置19は、最終的に確定した輪郭線内の複数の位置(画素)のデータを角度決定部35に供給する。角度決定部35は、顕微鏡1の焦点距離と、輪郭線内の複数の位置とに基づいて、複数の位置にそれぞれ対応するレーザ発生器3の角度を決定する。決定された角度にレーザ発生器3の角度が調整されることにより、レーザは輪郭線内の位置に対応する病変部上に照射される。
【0016】
画像合成装置19から、ゆれ検出部33には合成画像データが供給される。ゆれ検出部33は、撮影時間の相違する合成画像、例えばレーザ照射領域、つまり輪郭線確定時の合成画像と、レーザ照射期間中に発生する合成画像との間、あるいは最新の合成画像とその直前の合成画像との間で、対応する画素どうしを差分し、それらの差分から“ゆれ指標”として例えば差分の2乗和を計算する。ゆれは、レーザ発生器3の振動や患者の体動等に起因して生じる。ゆれが大きいとき、レーザの照射位置は患者病変部上の予定位置から大きく外れる。ゆれ検出部33は、ゆれ指標の値を所定のしきい値と比較する。ゆれ指標の値がしきい値以下のとき、ゆれ検出部33は、レーザ制御部21に対して治療許可信号を発生する。レーザ制御部21は、治療許可信号を受信しているとき、レーザ発生器3を制御してレーザを発生させる。ゆれ指標の値がしきい値を超えているとき、ゆれ検出部33は、レーザ制御部21に対して治療許可信号の供給を停止すると共に、治療停止信号を発生する。レーザ制御部21は、治療許可信号が停止したとき、又は治療停止信号を受信したとき、治療許可信号の供給が再開されるまで、又は治療停止信号の供給が停止するまで、レーザ発生器3を制御してレーザを停止させる。
【0017】
図3には本実施形態の動作手順を示している。まず、患者に5−ALAが投与される。可視光像撮影モードのもとで、術者は顕微鏡1の可視光像を視認して、その視野内に病変部が適当に収まるように治療装置フレームを手動又は電動で移動し、また角度を調整する。また、病変部に焦点が合うように焦点距離を調整する。適当な時点で顕微鏡1で撮影された可視光像のデータはメモリ13を経由して画像合成装置19に供給される(S1)。焦点距離計測部25により撮影時点の焦点距離が計測され、レーザ制御部27に供給される(S2)。
【0018】
次に、入力デバイス29の操作に伴って可視光像撮影モードから蛍光画像撮影モードに切り替えられる(S3)。この切り替え操作により、鏡10は双眼立体顕微鏡1の光路に移動し、双眼立体顕微鏡1の光軸に対して所定角度で傾斜する角度に停止される。蛍光画像撮影モードへの切り替えが完了後、紫外線照射装置11から紫外線が病変部及びその周囲に照射され、蛍光画像が超高感度カメラ7により撮影される(S4)。蛍光画像のデータはメモリ15を経由して画像処理装置17に供給される。画像処理装置17では、蛍光画像から蛍光領域をしきい値処理により抽出する(S5)。上述したように、5−ALAから変化したポルフィリンは、病変部に蓄積する。従って蛍光領域は病変部にほぼ一致する。抽出された蛍光領域の輪郭線が画像処理装置17で生成され、蛍光画像のデータと共に画像合成装置19に供給される。画像合成装置19では、可視光像に蛍光画像と輪郭線とを合成して、合成画像が生成される(S6)。合成画像は、図4に例示するように、ディスプレイ31に表示される(S7)。術者により輪郭線の修正操作が行われたとき、画像合成装置19により輪郭線が補正される(S8)。術者による輪郭線の最終的な確定操作により、画像合成装置19から角度決定部35に輪郭線内の複数の位置(画素)の座標データが供給される。角度決定部35では、可視光像の焦点距離と輪郭線内の複数の位置座標とに基づいて、輪郭線内の複数の位置に対応する病変部上の複数の位置それぞれ対応する複数の角度を計算する。例えば、焦点距離がF、病変領域情報のうち、位置座標を(Xn,Yn)とすると、図5(a)、図5(b)に示すように、レーザ発生器3のX軸方向(横方向)の首振り角αは、α=tan(lxn/F)、Y軸方向(縦方向)の首振り角βは、β=tan(lyn/F)に決定される。ここで、lxn、lnyはそれぞれ、原点から(Xn,0)、(0,Yn)までの距離である。原点は、どこにとっても良いが、この例では画像中心としている。
【0019】
以上の準備が完了した後、術者による治療トリガ操作に伴って治療が開始される(S10)。なお、レーザ発生器3が治療用レーザと選択的に非侵襲性ビーム、例えば赤外線ビームを発生するための構成を有しているのであれば、レーザ制御部27は、治療用レーザを照射して実際に治療を開始する前に、赤外線ビームによるプリスキャンを実行することができる。プリスキャンでは、赤外線ビームが実際の治療時と同じ経路でスキャンされる。術者は、ビームの照射位置及び照射範囲を目視確認することができる。
【0020】
治療においては、レーザ制御部27は、決定された複数の角度に順番に従ってレーザ発生器3を支持する支持機構を制御する。それによりレーザ発生器3の向きが連続的又は断続的に変化する。その期間中、レーザ発生器3からレーザが連続的又は断続的に発生される。レーザの照射位置は、図6(a)、図6(b)に示すように、決定された複数の角度に応じて決まる照射軌道に沿って移動する。それにより病変部は隈なくレーザ照射を受ける。なお、レーザー発生器3は、固定のままであっても、鏡あるいはレンズを、レーザー照射口から病変部までの間の適切な位置に配置し、かつ、治療レーザー制御装置により制御することにより、目的の座標に照射することも可能である。
【0021】
このレーザ照射期間中、鏡10の周期的な移動とともに可視光像と蛍光画像とが交互に撮影される(S11)。撮影された可視光像は蛍光画像と合成され、ディスプレイに表示される。術者はレーザ照射期間中、刻々と変化する治療効果を視覚的に確認することができる。
【0022】
次々と生成される合成画像のデータは、画像合成装置19からゆれ出部33に次々と供給される。ゆれ検出部33により、例えば輪郭線確定時の合成画像とレーザ照射期間中に発生する合成画像、あるいは最新の合成画像とその直前の合成画像とが差分され、それらの差分から“ゆれ指標”として例えば差分の2乗和が計算される(S12)。ゆれ指標の値が所定のしきい値と比較され(S13)、ゆれ指標の値がしきい値以下のとき、ゆれ検出部33からレーザ制御部21に対して治療許可信号を発生する。治療許可信号を受信しているとき、レーザの発生が継続され、治療が継続する(S15)。ゆれ指標の値がしきい値を超えているとき、ゆれ検出部33からレーザ制御部21に対して治療許可信号の供給が停止され、それと共に、治療停止信号が供給される。レーザ制御部21は、治療許可信号が停止し、治療停止信号を受信したとき、レーザ発生器3の支持機構を制御してレーザ発生器3の移動を停止させると共に、レーザ発生器3を制御してレーザを停止させる(S14)。それにより治療が中断される。治療中断は、S13で、ゆれ指標の値がしきい値以下になるまで継続される。
【0023】
S16において照射位置が軌道の終点に達した時点で、治療が終了する(S17)。
【0024】
このように可視光像と蛍光画像とを同時期に取得して、蛍光画像から病変部を認識し、その位置に従って照射を制御することで、病変部に対してレーザ照射位置を正確に合わせることができる。また、顕微鏡1の焦点距離に従ってレーザの集束位置を調整することで、効果的な治療を施すことができる。また、顕微鏡による可視光像に蛍光画像を合成表示することにより、病変部に相当する蛍光領域をその表面組織を参照して術者が確認することができるので、照射範囲をより高精度に設定することができる。また、治療中に可視光像とともに蛍光画像を確認できるので、治療S際の病変部の状態をみて、適切な照射に変更することができる。
【0025】
なお、上述の説明では、病変部をレーザの1回の走査で治療する例を説明した。しかし、レーザ照射による病変部の変性程度は病変部内で均一ではない。例えばポルフィリンが多く集積する部分では他の部分よりもレーザの照射時間又は照射強度を増加させる必要がある。そのため、図7(a)に示すように、画像処理装置17では、蛍光画像から第1のしきい値により第1輪郭線を生成するとともに、第1のしきい値により高輝度に対応する第2のしきい値により第2輪郭線を同じ蛍光画像から生成する。通常は、第2輪郭線は第1輪郭線の内部に形成される。図7(b)(c)に示すように、第1輪郭線に対応する病変部の全体範囲が1回目のレーザ照射により変性され、第2輪郭線に対応する病変部の一部分範囲が2回目のレーザ照射によりさらに変性される。
【0026】
上述の説明では、フレームに顕微鏡1と超高感度カメラ7を固定するとともに、光軸を部分的に一致させることで、可視光像と蛍光画像と位置整合処理を簡素化している。しかし、フレームに超高感度カメラ7を固定し、顕微鏡1の向きや位置の操作性向上の為に、顕微鏡1はフレームに対して角度可変かつ移動可能に設けるようにしても良い。この場合、図8に示すように両者の光軸は一致しない。従って、画像合成装置19において可視光像に対して蛍光画像の位置を整合させる必要がある。そのためには顕微鏡1に対する超高感度カメラ7の相対的な位置と、顕微鏡1に対する超高感度カメラ7の相対的な角度の情報が必要とされる。位置計測部24で、例えばフレーム上の基準位置に対する顕微鏡1の変位方向とその距離が計測され、角度計測部26でフレームに対する基準角度からの顕微鏡1の2方向の角度差が計測される。それら計測された変位方向、距離及び角度差から顕微鏡1に対する超高感度カメラ7の相対的な位置が画像合成装置19において計算され、相対的な位置に従って蛍光画像及び輪郭線が可視光像に合成される。
【0027】
また、上述の説明では、顕微鏡1にレーザ発生器3が支持機構を介して取り付けられている。顕微鏡1にレーザ発生器3を取り付けることは、顕微鏡1の画像でレーザ経路上の障害物等の有無を確認することができるので、有効である。しかし、レーザ発生器3を顕微鏡1に取り付けることには限定はされない。レーザ発生器3は、顕微鏡1だけでなく、フレームからも物理的に分離した任意の位置に取り付けるようにしてもよい。ただし、患部とレーザ発生器3との間に術者やその支援者、手術用器具や機械等が介在して、レーザを遮蔽するという事態が生じる可能性の低い位置が選択されるべきである。その位置として最も好ましいのは、例えば手術室天井の無影灯の内部又はその近傍位置である。
【0028】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、病変部に対する治療線の照射精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るレーザ治療装置の構成を示す図。
【図2】図1のレーザ発生器の角度変化を示す図。
【図3】本実施形態において、治療作業手順を示す流れ図。
【図4】図3のS7において表示される合成画像例を示す図。
【図5】図3のS8においてレーザ発生器の角度計算を示す図。
【図6】本実施形態において、レーザ照射位置の移動軌道を示す図。
【図7】本実施形態において、2回照射モード時の1回目と2回目のレーザ照射位置の移動軌道を示す図。
【図8】本実施形態に係るレーザ治療装置の他の構成を示す図。
【符号の説明】
1…双眼立体顕微鏡、2…レーザ照射装置、3…レーザ発生器、5…オートフォーカス装置、7…超高感度カメラ、9…可視光像/蛍光画像切り替え機構、10…可動鏡、11…紫外線照射装置、13…可視光像メモリ、15…蛍光画像メモリ、17…画像処理装置、19…画像合成装置、21…切り替え機構制御部、23…顕微鏡角度計測部、25…焦点距離計測部、27…レーザ制御部、29…入力デバイス、31…ディスプレイ、33…ゆれ検出部、35…角度決定部。
Claims (14)
- 患者の病変部を治療するための治療線を発生する治療線発生器と、前記治療線発生器を前記治療線の照射方向可変に支持する支持機構とを有する治療線照射部と、
前記患者に投与された前記病変部に対する特異的集積性を有する光感受性物質の蛍光画像を撮影するカメラと、
前記蛍光画像から蛍光領域を抽出する画像処理装置と、
前記抽出された蛍光領域の位置に基づいて前記治療線の照射方向を決定する照射方向決定部と、
前記決定された照射方向に従って前記支持機構を制御する制御部とを具備することを特徴とする治療線照射装置。 - 前記患者の可視光像を撮影する機能を有する顕微鏡と、前記可視光像を前記蛍光画像に合成する画像合成装置とをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の治療線照射装置。
- 前記画像合成装置は、前記抽出された蛍光領域の輪郭線を、前記可視光像及び前記蛍光画像に対して合成することを特徴とする請求項2記載の治療線照射装置。
- 前記画像合成装置は、操作者からの指示に従って前記輪郭線を補正し、前記照射方向決定部は前記補正された輪郭線の位置に基づいて前記治療線の照射方向を決定することを特徴とする請求3記載の治療線照射装置。
- 前記カメラの光軸の少なくとも一部が、前記顕微鏡の光軸と一致するように前記カメラの位置が前記顕微鏡に対して固定されていることを特徴とする請求項2記載の治療線照射装置。
- 前記画像合成装置は画像中心を一致するように前記可視光像を前記蛍光画像に合成することを特徴とする請求項5記載の治療線照射装置。
- 前記患者に対して前記カメラと前記顕微鏡とを切り替えるための可動鏡をさらに備えることを特徴とする請求項4記載の治療線照射装置。
- 前記顕微鏡に対する前記カメラの相対的な位置を計測する計測部をさらに備え、前記画像合成装置は前記計測された相対的な位置に従って前記可視光像を前記蛍光画像に合成することを特徴とする請求項2記載の治療線照射装置。
- 前記照射方向決定部は、前記抽出された蛍光領域の位置とともに前記顕微鏡の焦点距離に基づいて前記治療線の照射方向を決定することを特徴とする請求項2記載の治療線照射装置。
- 前記治療線照射部は、前記治療線の焦点距離を調節する焦点調節機構を有し、前記制御部は前記顕微鏡の焦点距離に基づいて前記焦点調節機構を制御することを特徴とする請求項2記載の治療線照射装置。
- 前記蛍光画像の時間差分に基づいて前記蛍光画像のゆれ指標を計算するとともに、前記ゆれ指標がしきい値を超えたときに治療線停止信号を発生するゆれ検出部をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の治療線照射装置。
- 前記蛍光画像の時間差分に基づいて前記蛍光画像のゆれ指標を計算するとともに、前記ゆれ指標がしきい値以下のときに治療線発生許可信号を発生するゆれ検出部をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の治療線照射装置。
- 前記支持機構は、前記治療線発生部を直交2方向に関して移動可能に支持することを特徴とする請求項1記載の治療線照射装置。
- 前記治療線発生器は前記治療線と選択的に非侵襲性ビームを発生するための構成を有し、前記制御部は前記治療線発生器と前記支持機構とを制御して前記非侵襲性ビームによりプリスキャンを実行することを特徴とする請求項1記載の治療線照射装置。
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