JP2005020841A - 誘導電動機用回転子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンドリングを短時間で形成することができ、コスト負担を低減することができる誘導電動機用回転子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】周方向に複数のスロットを設けたロータ鉄心11を備えた誘導電動機用回転子において、前記スロットに絶縁被膜されていない巻線が巻き付けられ、該巻線のコイルエンドがプレス加工されてエンドリング13が形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】周方向に複数のスロットを設けたロータ鉄心11を備えた誘導電動機用回転子において、前記スロットに絶縁被膜されていない巻線が巻き付けられ、該巻線のコイルエンドがプレス加工されてエンドリング13が形成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導電動機用回転子およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特許文献1には、かご形誘導電動機の製造方法として、回転子の導体バー、及び短絡環(エンドリング)をダイカスト成型により製造する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−215286号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の技術では、ダイカスト成型を行うための金型が高価でコスト負担が大きく、また、エンドリングや導体バーに高い加工精度が要求されるため、処理時間が長期化するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、エンドリングを短時間で形成することができ、コスト負担を低減することができる誘導電動機用回転子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、周方向に複数のスロット(例えば、実施の形態におけるスロット12)を設けた回転子鉄心(例えば、実施の形態におけるロータ鉄心11)を備えた誘導電動機用回転子において、前記スロットに絶縁被膜されていない巻線(例えば、実施の形態における巻線14)が巻き付けられ、該巻線のコイルエンドがプレス加工されてエンドリング(例えば、実施の形態におけるエンドリング13)が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、前記絶縁被覆されていない巻線によりエンドリングが形成されるため、ステータのスロットに巻線を行う巻線機をエンドリング形成に共用でき、これにより、エンドリング形成のために高価な金型が不要となり、コストを低減することができる。また、前記プレス加工によりコイルエンドの高さが低減されたエンドリングを形成することができる。
【0008】
請求項2に記載した発明は、前記巻線を複数本同時に供給可能な複数のノズル(例えば、実施の形態におけるノズル16)により前記巻線が前記スロットに巻き付けされていることを特徴とする。
この発明によれば、前記巻線を単一のノズルで巻回する場合に比べて前記エンドリングの形成に必要な時間を短縮できるため、作業負担を低減できるとともに、量産性を高めることができる。
【0009】
請求項3に記載した発明は、前記巻線を束ねた束線を所定スロット数を隔てて同心状に複数回巻き付けるとともに、一の束線の周方向の巻終わり部分と他の束線の周方向の巻始め部分を交互に編み込んだ編み込み部(例えば、実施の形態における編み込み部18)を備えることを特徴とする。
この発明によれば、前記巻始め部分と前記巻終わり部分とが重なることによるり高さが増大することを、前記編み込み部により抑制することができるため、占積率を高く維持しながらコイルエンドの高さを抑えることができる。
【0010】
請求項4に記載した発明は、前記巻線のコイルエンドがレーシング部材(例えば、実施の形態におけるレーシング部材19)により束ねられていることを特徴とする。
この発明によれば、前記巻線の周長が前記レーシング部材により維持された状態で前記プレス加工を行えるため、コイルエンドの占積率をさらに向上させることができ、前記エンドリングの導電性能を向上させることができる。
【0011】
また、請求項5に記載した発明は、周方向に複数のスロットを設けた回転子鉄心の前記スロットに、絶縁被膜されていない巻線を巻き付けた後、該巻線のコイルエンドをプレス加工することでエンドリングを形成することを特徴とする。
この発明によれば、ステータの巻線処理と同様にして前記エンドリングを形成することができ、処理時間を短縮することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態における誘導電動機用回転子およびその製造方法を図面と共に説明する。図1は本発明の実施の形態における回転子を示す概略構成図である。また、図2は図1に示す回転子からロータコアを取り外した状態を示す説明図である。
本実施形態による誘導電動機の回転子10は、図1、図2にその外形を示すように、いわゆるかご型ロータであって、例えば、この回転子10の外周部に対向配置される略円筒形の固定子(図示略)を備えて誘導電動機が構成されている。
回転子10は、珪素鋼板等の電磁鋼板が積層されてなる略円筒状のロータ鉄心11と、ロータ鉄心11の周方向に所定間隔をおいた位置で回転軸方向(図1のO軸方向)に貫通する貫通孔からなる複数のスロット12(図3参照)とを有している。このロータ鉄心11の軸方向両端部に、略円環板状のエンドリング13が形成されている。
また、図1、図2に示したように、回転子10の鉄心挿入部7には、ロータコア9のロータ鉄心11が挿入される。また、隣合うロータ鉄心11間には、導体部6の外周側を覆う蓋部8が設けられる。
【0013】
エンドリング13は、絶縁被膜されていない巻線14を、ロータ鉄心11の軸方向両端部のスロット12に周方向に巻き付けて形成する。なお、エンドリング13間のロータ鉄心11には、巻線14が巻装された状態で、絶縁部材29が装着されている。
【0014】
図3は回転子10のロータコア9のO軸方向から視たスロット12への巻線工程を示す説明図である。同図に示したように、複数のノズル16により、複数本の巻線14を束ねた束線15を所定スロット数を隔てて同心状に複数回巻き付ける。このように、複数のノズル16により複数本の前記巻線14を同時に供給することにより、単一のノズル16で巻線工程を行う場合に比して巻回工程に要する時間を短縮することができる。
【0015】
図4は図3の回転子のスロット12への巻線工程を示す展開説明図である。同図に示すように、各束線15は複数の(例えば6つの)スロット12を隔てて同心状に複数回巻きつけられている。このようにしたため、それぞれの束線15をスロット12の角部に巻き付ける場合でも、外周側と内周側とで各束線15の張力をほぼ等しくすることができる。これにより、ロータ鉄心11に沿って密着するように前記束線15を巻き付けることができる。
【0016】
また、図4,図5に示すように、スロット12に巻回された各束線15には、一の束線(例えば束線15A)の周方向の巻終わり部分とこれに隣合う他相の束線(例えば束線15B)の周方向の巻始め部分とが交互に編み込まれた編み込み部18が形成されている。それぞれの束線15の巻始め部分と巻終わり部分とが編み込み部18で編み込まれることにより、巻始め部分と巻終わり部分が重なって高さが増大することを抑制することができるため、占積率を高く維持しながらコイルエンド17の高さを抑えることができる。
【0017】
そして、スロット12に巻回された束線15で形成されたコイルエンド17をレーシング部材19によりを束ねる。ついで、コイルエンド17の内径を拡張した状態でプレス加工を行う。レーシング部材19については後述し、プレス加工について図6、図7を用いて説明する。
【0018】
図6はコイルエンド17の内径を拡張する工程を示す説明図である。また、図7はコイルエンド17をプレス加工する工程を示す説明図である。これらの図に示した工程には、ロータ鉄心11の内側に挿入されてコイルエンド17をロータ鉄心11における内径側から押圧する傾斜押圧部20と、ロータ鉄心11の軸方向両側からコイルエンド17を押圧する軸方向押圧部21とを有するプレス装置22を用いる。
【0019】
傾斜押圧部20は、所定円周上に等間隔で配置される複数の拡張治具23と、ロータ鉄心11の軸線方向(O軸方向)両端側に配置される一対の駆動治具26とを有している。一対の駆動治具26は、O軸方向における両端側かつロータ鉄心11の径方向における内側にそれぞれ形成されたテーパ面24、25において拡張治具23に当接し、この状態で互いに近接することでこれら拡張治具23をロータ鉄心11の径方向外側に移動させる。
【0020】
各拡張治具23には、ロータ鉄心11のO軸方向における中間部分に軸線側に凹む凹部27が形成されている。また、各凹部27は、ロータ鉄心11のO軸方向における両側に、ロータ鉄心11のO軸方向における外側に向かうほどロータ鉄心11の径方向外側に拡径する一対の押圧テーパ面27となっている。
【0021】
傾斜押圧部20は、図6に示すようにロータ鉄心11の内側に挿入される。そして、この状態で、図7に示すように一対の駆動治具26を互いに近接する方向に移動させていく。これにより、各拡張治具23はロータ鉄心11の中心軸線を中心にロータ鉄心11の径方向における外径側に移動し、ロータ鉄心11の軸方向における両側から突出するコイルエンド17をそれぞれの一対の押圧テーパ面27でロータ鉄心11の内径側から半径方向外側に押圧する。その結果、両側のコイルエンド17は、押圧テーパ面27に沿って、ロータ鉄心11における軸線方向外側に位置するほどロータ鉄心11における外径側に位置するように傾斜することになる。
【0022】
軸方向押圧部21は、一対の円環状の押圧治具28を有しており、これら押圧治具28は、図7に示すように、コイルエンド17を押圧した状態の傾斜押圧部20を内側に挿通させるようにして、互いに近接する方向に軸線方向に沿って移動し、その結果、これら押圧治具28が、ロータ鉄心11の軸方向両側から両側のコイルエンド17をロータ鉄心11に向け押圧する。このように軸線方向両側のコイルエンド17を倒すことで、ロータ鉄心11を軸方向方向に小型化している。
【0023】
本実施の形態においては、上述したようにコイルエンド17をレーシング部材19で束ねることにより、プレス工程後のコイルエンド17の占積率をさらに高めている。これについて図8および図9を用いて説明する。
図8はコイルエンド17をレーシング処理を行わない(レーシング部材19を束ねない)場合の説明図である。図9はコイルエンド17にレーシング処理を行った場合の説明図である。
図8(a)に示したコイルエンド17をプレス処理すると、図8(b)に示すように、コイルエンド17の高さHはH1からH2に低減するものの、コイルエンド17を構成する束線15がプレス処理によりロータ鉄心11の周方向に拡散するように変位して、コイルエンド17の周長LがL1からL2に増大してしまう。
【0024】
これに対して、図9(a)に示したコイルエンド17をレーシング部材19で束ねておくと、図9(b)に示すようにコイルエンド17をプレス処理して高さHをH1からH2に低減させたときに、コイルエンド17を構成する束線15の変位をレーシング部材19により規制することができるため、前記コイルエンド17の周長Lをプレス処理前の周長L1と略同一な周長L3に低減することができる。従って、コイルエンド17の占積率をさらに向上させることができ、前記エンドリング13の導電性能を向上させることができる。
【0025】
また、このようにエンドリング13を形成することで、エンドリング形成のために高価な金型が不要となる。また、ステータのスロットに巻線を行う処理と同様の処理でエンドリング13を形成できるため、ステータに用いる巻線機をエンドリング13を形成する場合にも共用することができるとともに、ステータの巻線処理とエンドリングの形成処理を一括して行うことも可能となる。
また、エンドリングを形成する際にダイカスト成型の場合のような高温処理を行う必要がないので、エンドリング間のロータ鉄心に装着する絶縁部材に高度な耐熱性が要求されなくなり、高価な材料を用いる必要がない。従って、コストや作業負担を大きく低減することができる。
【0026】
なお、本発明の内容は上述した実施の形態のみに限られず、例えば、巻線をフライヤー巻きで行ってもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載した発明によれば、コイルエンドの高さが低減されたエンドリングを形成することができ、エンドリング形成のために高価な金型が不要となり、コストを低減することができる。
【0028】
請求項2に記載した発明によれば、前記エンドリングの形成に必要な時間を短縮できるため、量産性を高めることができる。
請求項3に記載した発明によれば、前記編み込み部を備えているため、前記巻始め部分と前記巻終わり部分とが重なることによるコイルエンドの高さの増大を抑制することができる。
【0029】
請求項4に記載した発明によれば、前記巻線の周長が前記レーシング部材により維持された状態で前記プレス加工を行えるため、コイルエンドの占積率をさらに向上させることができ、前記エンドリングの導電性能を向上させることができる。
請求項5に記載した発明によれば、ステータの巻線処理と同様にして前記エンドリングを形成することができ、処理時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における回転子を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す回転子からロータ鉄心を取り外した状態を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態における回転子のロータコアのO軸方向から視たスロットへの巻線工程を示す説明図である。
【図4】図2の回転子のスロットへの巻線工程を示す展開説明図である。
【図5】図3の巻線工程により形成される編み込み部を示す展開説明図である。
【図6】コイルエンドの内径を拡張する工程を示す説明図である。
【図7】コイルエンドをプレス加工する工程を示す説明図である。
【図8】コイルエンドにレーシング処理を行わない場合の説明図である。
【図9】コイルエンドにレーシング処理を行った場合の説明図である。
【符号の説明】
11 ロータ鉄心
12 スロット
13 エンドリング
16 ノズル
19 レーシング部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導電動機用回転子およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特許文献1には、かご形誘導電動機の製造方法として、回転子の導体バー、及び短絡環(エンドリング)をダイカスト成型により製造する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−215286号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の技術では、ダイカスト成型を行うための金型が高価でコスト負担が大きく、また、エンドリングや導体バーに高い加工精度が要求されるため、処理時間が長期化するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、エンドリングを短時間で形成することができ、コスト負担を低減することができる誘導電動機用回転子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、周方向に複数のスロット(例えば、実施の形態におけるスロット12)を設けた回転子鉄心(例えば、実施の形態におけるロータ鉄心11)を備えた誘導電動機用回転子において、前記スロットに絶縁被膜されていない巻線(例えば、実施の形態における巻線14)が巻き付けられ、該巻線のコイルエンドがプレス加工されてエンドリング(例えば、実施の形態におけるエンドリング13)が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、前記絶縁被覆されていない巻線によりエンドリングが形成されるため、ステータのスロットに巻線を行う巻線機をエンドリング形成に共用でき、これにより、エンドリング形成のために高価な金型が不要となり、コストを低減することができる。また、前記プレス加工によりコイルエンドの高さが低減されたエンドリングを形成することができる。
【0008】
請求項2に記載した発明は、前記巻線を複数本同時に供給可能な複数のノズル(例えば、実施の形態におけるノズル16)により前記巻線が前記スロットに巻き付けされていることを特徴とする。
この発明によれば、前記巻線を単一のノズルで巻回する場合に比べて前記エンドリングの形成に必要な時間を短縮できるため、作業負担を低減できるとともに、量産性を高めることができる。
【0009】
請求項3に記載した発明は、前記巻線を束ねた束線を所定スロット数を隔てて同心状に複数回巻き付けるとともに、一の束線の周方向の巻終わり部分と他の束線の周方向の巻始め部分を交互に編み込んだ編み込み部(例えば、実施の形態における編み込み部18)を備えることを特徴とする。
この発明によれば、前記巻始め部分と前記巻終わり部分とが重なることによるり高さが増大することを、前記編み込み部により抑制することができるため、占積率を高く維持しながらコイルエンドの高さを抑えることができる。
【0010】
請求項4に記載した発明は、前記巻線のコイルエンドがレーシング部材(例えば、実施の形態におけるレーシング部材19)により束ねられていることを特徴とする。
この発明によれば、前記巻線の周長が前記レーシング部材により維持された状態で前記プレス加工を行えるため、コイルエンドの占積率をさらに向上させることができ、前記エンドリングの導電性能を向上させることができる。
【0011】
また、請求項5に記載した発明は、周方向に複数のスロットを設けた回転子鉄心の前記スロットに、絶縁被膜されていない巻線を巻き付けた後、該巻線のコイルエンドをプレス加工することでエンドリングを形成することを特徴とする。
この発明によれば、ステータの巻線処理と同様にして前記エンドリングを形成することができ、処理時間を短縮することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態における誘導電動機用回転子およびその製造方法を図面と共に説明する。図1は本発明の実施の形態における回転子を示す概略構成図である。また、図2は図1に示す回転子からロータコアを取り外した状態を示す説明図である。
本実施形態による誘導電動機の回転子10は、図1、図2にその外形を示すように、いわゆるかご型ロータであって、例えば、この回転子10の外周部に対向配置される略円筒形の固定子(図示略)を備えて誘導電動機が構成されている。
回転子10は、珪素鋼板等の電磁鋼板が積層されてなる略円筒状のロータ鉄心11と、ロータ鉄心11の周方向に所定間隔をおいた位置で回転軸方向(図1のO軸方向)に貫通する貫通孔からなる複数のスロット12(図3参照)とを有している。このロータ鉄心11の軸方向両端部に、略円環板状のエンドリング13が形成されている。
また、図1、図2に示したように、回転子10の鉄心挿入部7には、ロータコア9のロータ鉄心11が挿入される。また、隣合うロータ鉄心11間には、導体部6の外周側を覆う蓋部8が設けられる。
【0013】
エンドリング13は、絶縁被膜されていない巻線14を、ロータ鉄心11の軸方向両端部のスロット12に周方向に巻き付けて形成する。なお、エンドリング13間のロータ鉄心11には、巻線14が巻装された状態で、絶縁部材29が装着されている。
【0014】
図3は回転子10のロータコア9のO軸方向から視たスロット12への巻線工程を示す説明図である。同図に示したように、複数のノズル16により、複数本の巻線14を束ねた束線15を所定スロット数を隔てて同心状に複数回巻き付ける。このように、複数のノズル16により複数本の前記巻線14を同時に供給することにより、単一のノズル16で巻線工程を行う場合に比して巻回工程に要する時間を短縮することができる。
【0015】
図4は図3の回転子のスロット12への巻線工程を示す展開説明図である。同図に示すように、各束線15は複数の(例えば6つの)スロット12を隔てて同心状に複数回巻きつけられている。このようにしたため、それぞれの束線15をスロット12の角部に巻き付ける場合でも、外周側と内周側とで各束線15の張力をほぼ等しくすることができる。これにより、ロータ鉄心11に沿って密着するように前記束線15を巻き付けることができる。
【0016】
また、図4,図5に示すように、スロット12に巻回された各束線15には、一の束線(例えば束線15A)の周方向の巻終わり部分とこれに隣合う他相の束線(例えば束線15B)の周方向の巻始め部分とが交互に編み込まれた編み込み部18が形成されている。それぞれの束線15の巻始め部分と巻終わり部分とが編み込み部18で編み込まれることにより、巻始め部分と巻終わり部分が重なって高さが増大することを抑制することができるため、占積率を高く維持しながらコイルエンド17の高さを抑えることができる。
【0017】
そして、スロット12に巻回された束線15で形成されたコイルエンド17をレーシング部材19によりを束ねる。ついで、コイルエンド17の内径を拡張した状態でプレス加工を行う。レーシング部材19については後述し、プレス加工について図6、図7を用いて説明する。
【0018】
図6はコイルエンド17の内径を拡張する工程を示す説明図である。また、図7はコイルエンド17をプレス加工する工程を示す説明図である。これらの図に示した工程には、ロータ鉄心11の内側に挿入されてコイルエンド17をロータ鉄心11における内径側から押圧する傾斜押圧部20と、ロータ鉄心11の軸方向両側からコイルエンド17を押圧する軸方向押圧部21とを有するプレス装置22を用いる。
【0019】
傾斜押圧部20は、所定円周上に等間隔で配置される複数の拡張治具23と、ロータ鉄心11の軸線方向(O軸方向)両端側に配置される一対の駆動治具26とを有している。一対の駆動治具26は、O軸方向における両端側かつロータ鉄心11の径方向における内側にそれぞれ形成されたテーパ面24、25において拡張治具23に当接し、この状態で互いに近接することでこれら拡張治具23をロータ鉄心11の径方向外側に移動させる。
【0020】
各拡張治具23には、ロータ鉄心11のO軸方向における中間部分に軸線側に凹む凹部27が形成されている。また、各凹部27は、ロータ鉄心11のO軸方向における両側に、ロータ鉄心11のO軸方向における外側に向かうほどロータ鉄心11の径方向外側に拡径する一対の押圧テーパ面27となっている。
【0021】
傾斜押圧部20は、図6に示すようにロータ鉄心11の内側に挿入される。そして、この状態で、図7に示すように一対の駆動治具26を互いに近接する方向に移動させていく。これにより、各拡張治具23はロータ鉄心11の中心軸線を中心にロータ鉄心11の径方向における外径側に移動し、ロータ鉄心11の軸方向における両側から突出するコイルエンド17をそれぞれの一対の押圧テーパ面27でロータ鉄心11の内径側から半径方向外側に押圧する。その結果、両側のコイルエンド17は、押圧テーパ面27に沿って、ロータ鉄心11における軸線方向外側に位置するほどロータ鉄心11における外径側に位置するように傾斜することになる。
【0022】
軸方向押圧部21は、一対の円環状の押圧治具28を有しており、これら押圧治具28は、図7に示すように、コイルエンド17を押圧した状態の傾斜押圧部20を内側に挿通させるようにして、互いに近接する方向に軸線方向に沿って移動し、その結果、これら押圧治具28が、ロータ鉄心11の軸方向両側から両側のコイルエンド17をロータ鉄心11に向け押圧する。このように軸線方向両側のコイルエンド17を倒すことで、ロータ鉄心11を軸方向方向に小型化している。
【0023】
本実施の形態においては、上述したようにコイルエンド17をレーシング部材19で束ねることにより、プレス工程後のコイルエンド17の占積率をさらに高めている。これについて図8および図9を用いて説明する。
図8はコイルエンド17をレーシング処理を行わない(レーシング部材19を束ねない)場合の説明図である。図9はコイルエンド17にレーシング処理を行った場合の説明図である。
図8(a)に示したコイルエンド17をプレス処理すると、図8(b)に示すように、コイルエンド17の高さHはH1からH2に低減するものの、コイルエンド17を構成する束線15がプレス処理によりロータ鉄心11の周方向に拡散するように変位して、コイルエンド17の周長LがL1からL2に増大してしまう。
【0024】
これに対して、図9(a)に示したコイルエンド17をレーシング部材19で束ねておくと、図9(b)に示すようにコイルエンド17をプレス処理して高さHをH1からH2に低減させたときに、コイルエンド17を構成する束線15の変位をレーシング部材19により規制することができるため、前記コイルエンド17の周長Lをプレス処理前の周長L1と略同一な周長L3に低減することができる。従って、コイルエンド17の占積率をさらに向上させることができ、前記エンドリング13の導電性能を向上させることができる。
【0025】
また、このようにエンドリング13を形成することで、エンドリング形成のために高価な金型が不要となる。また、ステータのスロットに巻線を行う処理と同様の処理でエンドリング13を形成できるため、ステータに用いる巻線機をエンドリング13を形成する場合にも共用することができるとともに、ステータの巻線処理とエンドリングの形成処理を一括して行うことも可能となる。
また、エンドリングを形成する際にダイカスト成型の場合のような高温処理を行う必要がないので、エンドリング間のロータ鉄心に装着する絶縁部材に高度な耐熱性が要求されなくなり、高価な材料を用いる必要がない。従って、コストや作業負担を大きく低減することができる。
【0026】
なお、本発明の内容は上述した実施の形態のみに限られず、例えば、巻線をフライヤー巻きで行ってもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載した発明によれば、コイルエンドの高さが低減されたエンドリングを形成することができ、エンドリング形成のために高価な金型が不要となり、コストを低減することができる。
【0028】
請求項2に記載した発明によれば、前記エンドリングの形成に必要な時間を短縮できるため、量産性を高めることができる。
請求項3に記載した発明によれば、前記編み込み部を備えているため、前記巻始め部分と前記巻終わり部分とが重なることによるコイルエンドの高さの増大を抑制することができる。
【0029】
請求項4に記載した発明によれば、前記巻線の周長が前記レーシング部材により維持された状態で前記プレス加工を行えるため、コイルエンドの占積率をさらに向上させることができ、前記エンドリングの導電性能を向上させることができる。
請求項5に記載した発明によれば、ステータの巻線処理と同様にして前記エンドリングを形成することができ、処理時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における回転子を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す回転子からロータ鉄心を取り外した状態を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態における回転子のロータコアのO軸方向から視たスロットへの巻線工程を示す説明図である。
【図4】図2の回転子のスロットへの巻線工程を示す展開説明図である。
【図5】図3の巻線工程により形成される編み込み部を示す展開説明図である。
【図6】コイルエンドの内径を拡張する工程を示す説明図である。
【図7】コイルエンドをプレス加工する工程を示す説明図である。
【図8】コイルエンドにレーシング処理を行わない場合の説明図である。
【図9】コイルエンドにレーシング処理を行った場合の説明図である。
【符号の説明】
11 ロータ鉄心
12 スロット
13 エンドリング
16 ノズル
19 レーシング部材
Claims (5)
- 周方向に複数のスロットを設けた回転子鉄心を備えた誘導電動機用回転子において、
前記スロットに絶縁被膜されていない巻線が巻き付けられ、該巻線のコイルエンドがプレス加工されてエンドリングが形成されていることを特徴とする誘導電動機用回転子。 - 前記巻線を複数本同時に供給可能な複数のノズルにより前記巻線が前記スロットに巻き付けされていることを特徴とする請求項1に記載の誘導電動機用回転子。
- 前記巻線を束ねた束線を所定スロット数を隔てて同心状に複数回巻き付けるとともに、一の束線の周方向の巻終わり部分と他の束線の周方向の巻始め部分を交互に編み込んだ編み込み部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の誘導電動機用回転子。
- 前記巻線のコイルエンドがレーシング部材により束ねられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の誘導電動機用回転子。
- 周方向に複数のスロットを設けた回転子鉄心の前記スロットに、絶縁被膜されていない巻線を巻き付けた後、該巻線のコイルエンドをプレス加工することでエンドリングを形成することを特徴とする誘導電動機用回転子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003179855A JP2005020841A (ja) | 2003-06-24 | 2003-06-24 | 誘導電動機用回転子およびその製造方法 |
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JP2003179855A JP2005020841A (ja) | 2003-06-24 | 2003-06-24 | 誘導電動機用回転子およびその製造方法 |
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JP2003179855A Withdrawn JP2005020841A (ja) | 2003-06-24 | 2003-06-24 | 誘導電動機用回転子およびその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014236618A (ja) * | 2013-06-04 | 2014-12-15 | マツダ株式会社 | 誘導モータ |
JP2016174507A (ja) * | 2015-03-18 | 2016-09-29 | スズキ株式会社 | 回転電機 |
-
2003
- 2003-06-24 JP JP2003179855A patent/JP2005020841A/ja not_active Withdrawn
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